JP6224550B2 - 成形用アルミニウム合金板 - Google Patents

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Description

本発明は成形用Al−Mg−Si系アルミニウム合金板に関するものである。本発明で言うアルミニウム合金板とは、熱間圧延板や冷間圧延板などの圧延板であって、溶体化処理および焼入れ処理などの調質が施された後であって、焼付け塗装硬化処理される前のアルミニウム合金板を言う。また、以下の記載ではアルミニウムをアルミやAlとも言う。
近年、地球環境などへの配慮から、自動車等の車両の軽量化の社会的要求はますます高まってきている。かかる要求に答えるべく、自動車パネル、特にフード、ドア、ルーフなどの大型ボディパネル(アウタパネル、インナパネル)の材料として、鋼板等の鉄鋼材料にかえて、成形性や焼付け塗装硬化性に優れた、より軽量なアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。
この内、自動車のフード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体の、アウタパネル (外板) やインナパネル( 内板) 等のパネルには、薄肉でかつ高強度アルミニウム合金板として、Al−Mg−Si系のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に6000系とも言う) アルミニウム合金板の使用が検討されている。
この6000系アルミニウム合金板は、Si、Mgを必須として含み、特に過剰Si型の6000系アルミニウム合金は、これらSi/Mgが質量比で1以上である組成を有し、優れた時効硬化能を有している。このため、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効( 硬化) 処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、パネルとしての必要な強度を確保できる焼付け塗装硬化性(以下、ベークハード性=BH性、焼付硬化性とも言う)がある。
また、6000系アルミニウム合金板は、Mg量などの合金量が多い他の5000系アルミニウム合金などに比して、合金元素量が比較的少ない。このため、これらアルミニウム合金板のスクラップを、アルミニウム合金溶解材 (溶解原料) として再利用する際に、元の6000系アルミニウム合金鋳塊が得やすく、リサイクル性にも優れている。
一方、自動車のアウタパネルは、周知の通り、アルミニウム合金板に対し、プレス成形における張出成形時や曲げ成形などの成形加工が複合して行われて製作される。例えば、フードやドアなどの大型のアウタパネルでは、張出などのプレス成形によって、アウタパネルとしての成形品形状となされ、次いで、このアウタパネル周縁部のフラットヘムなどのヘム (ヘミング) 加工によって、インナパネルとの接合が行われ、パネル構造体とされる。
ここで、6000系アルミニウム合金は、優れたBH性を有するという利点がある反面で、室温時効性を有し、溶体化焼入れ処理後、数ヶ月間の室温保持で時効硬化して強度が増加することにより、パネルへの成形性、特に曲げ加工性が低下する課題があった。例えば、6000系アルミニウム合金板を自動車パネル用途に用いる場合、アルミメーカーで溶体化焼入れ処理された後(製造後)、自動車メーカーでパネルに成形加工されるまでに、通常は1〜4ヶ月間程度室温におかれ(室温放置され)、この間で、かなり時効硬化(室温時効)することとなる。特に、厳しい曲げ加工が入るアウタパネルにおいては、製造後1ヵ月経過後では、問題無く成形可能であっても、3ヶ月経過後では、ヘム加工時に割れが生じるなどの問題が有った。したがって、自動車パネル用、特にアウタパネル用の6000系アルミニウム合金板では、1〜4ヶ月間程度の比較的長期に亙る室温時効を抑制する必要がある。
更に、このような室温時効が大きい場合には、BH性が低下して、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効( 硬化) 処理時の加熱によっては、パネルとしての必要な強度までに、耐力が向上しなくなるという問題も生じる。
従来から、6000系アルミニウム合金板の組織、特に含有元素が形成する化合物(晶出物、析出物)の観点から、成形性やBH性の向上、あるいは室温時効の抑制を図るなどの特性向上について、種々の提案がなされている。最近では、特に、6000系アルミニウム合金板のBH性や室温時効性に影響するクラスタ(原子の集合体)を直接測定して制御する試みなども提案されている。
また、本発明におけるSnの添加に関係する先行特許としても、6000系アルミニウム合金板にSnを積極的に添加し、室温時効を抑制と焼付け塗装硬化を向上させる方法も多数提案されている。例えば、特許文献1では、経時変化抑制効果を有するSnを適量添加し、また溶体化処理後に予備時効を施すことで、室温時効抑制と焼付け塗装硬化を兼備する方法が兼備されている。また、特許文献2では、経時変化抑制効果を有するSnと成形性を向上させるCuを添加して、成形性、焼付け塗装性、耐食性を向上させる方法が提案されている。
特開平09-249950号公報 特開平10-226894号公報
ただし、従来のSnを積極的に添加したAl−Mg−Si系アルミニウム合金板でも、長時間の室温時効後の良好な成形性と高いBH性とを兼備するのには、未だ改善の余地があった。
このような課題に鑑み、本発明の目的は、長時間の室温時効後の車体塗装焼付け処理であっても、高いBH性と良好な加工性とが発揮できる、Snを含む成形用Al−Mg−Si系アルミニウム合金板を提供することである。
この目的を達成するために、本発明の成形用アルミニウム合金板の要旨は、質量%で、Mg:0.2〜2.0%、Si:0.3〜2.0%、Sn:0.005〜0.3%を各々含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板であって、この板の組織として、500倍のSEMを用いて測定した際の円相当直径が0.3〜20μmの範囲の化合物の平均数密度が5000個/mm以下(0個/mmを含まず)であり、前記SEMにて測定された化合物のうち、X線分光装置により識別される、0.5質量%以上のSnを含む化合物の平均個数割合が50%未満(0%を含む)であることとする。
Snは、Al−Mg−Si系アルミニウム合金板の組織において、室温においては、原子空孔を捕獲(捕捉、トラップ)することで、室温でのMgやSiの拡散を抑制し、室温における強度増加を抑制し、板のパネルへの成形時に、ヘム加工性や絞り加工や張出加工などのプレス成形性(以下、このプレス成形性を代表してヘム加工性とも言う)を向上させる効果がある。そして、パネルの塗装焼き付け処理などの人工時効処理時には捕獲していた空孔を放出するため、逆にMgやSiの拡散を促進し、BH性を高くすることができる。
ただ、本発明者らの知見によれば、このようなSnの添加には、Sn特有の特性からくる大きな制約が存在する。Snの原子空孔の捕獲や放出効果は、Snがマトリックスに固溶して初めて発揮される。しかしながら、Snのマトリックスへの固溶量はごく少なく(低く)、通常の板の製造方法では、Snの添加量を理論固溶量以下に抑えたとしても、その多くが固溶せずに、化合物として晶出あるいは析出してしまう。このように化合物として晶出あるいは析出したSnには原子空孔の捕獲や放出効果が無い。
このため、本発明では、板の製造方法も敢えて見直した上で、後述する通り、中間焼鈍などの製造条件を工夫し、含有するSnの存在状態を制御して、Snの化合物としての析出を抑制し、Snのマトリックスへの固溶を促進して、Snの固溶量を確保する。これによって、Snの原子空孔の捕獲や放出効果による時効抑制によって、ヘム加工性やBH性の向上効果を十分に発揮させる。
これによって、板製造後に例えば100日間の長時間室温時効した場合であっても、より高い成形性やBH性が発揮できる、Sn入りAl−Mg−Si系アルミニウム合金板を提供できる。
ちなみに、従来のSn入りAl−Mg−Si系アルミニウム合金板では、このようなSnの効果を充分に発揮できてはいなかった。
その理由は、従来は、主要元素であるMgやSiの固溶や析出には常に注目しながらも、選択的な添加元素の一つでしかなかった、Snの固溶や析出の存在形態には、あまり注目していなかったためであると推考される。また、常法により製造された板のSnの存在形態は、化合物としての晶出あるいは析出(以下、単に析出とも言う)である。これとは異なり、しかも、Snを固溶させること自体が難しく、Snの固溶状態がごく稀な存在形態であるため、Snの固溶により発揮される効果について、知見しにくかったためであると推考される。
以下に、本発明の実施の形態につき、要件ごとに具体的に説明する。
(化学成分組成)
先ず、本発明のAl−Mg−Si系(以下、6000系とも言う)アルミニウム合金板の化学成分組成について、以下に説明する。本発明が対象とする6000系アルミニウム合金板は、自動車のパネル用の板などとして、優れた成形性やBH性、強度、溶接性、耐食性などの諸特性が要求される。すなわち、前記調質処理後に100日の長期室温時効された板であっても、As耐力が110MPa以下、BH(ベークハード)性が耐力差で100MPa以上、ヘム加工性が実施例で後述する評価基準で2以上など、自動車パネルなどへのプレス成形性やヘム加工性にも優れ、BH性も優れていることが要求される。
このような要求を満足するために、前提となるアルミニウム合金板の組成は、質量%で、Mg:0.2〜2.0%、Si:0.3〜2.0%、Sn:0.005〜0.3%を各々含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものとする。なお、各元素の含有量の%表示は全て質量%の意味である。
本発明が対象とする6000系アルミニウム合金板は、BH性がより優れた、SiとMgとの質量比Si/ Mgが1 以上であるような過剰Si型の6000系アルミニウム合金板とされるのが好ましい。6000系アルミニウム合金板は、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、必要な強度を確保できる優れた時効硬化能(BH性)を有している。この中でも、過剰Si型の6000系アルミニウム合金板は、質量比Si/ Mgが1未満の6000系アルミニウム合金板に比して、このBH性がより優れている。
本発明では、これらMg、Si以外のその他の元素は不純物あるいは含まれても良い元素であり、AA乃至JIS規格などに沿った各元素レベルの含有量 (許容量) とする。
すなわち、資源リサイクルの観点から、本発明でも、合金の溶解原料として、高純度Al地金だけではなく、Mg、Si以外のその他の元素を添加元素(合金元素)として多く含む6000系合金やその他のアルミニウム合金スクラップ材、低純度Al地金などを多量に使用した場合には、下記のような他の元素が必然的に実質量混入される。そして、これらの元素を敢えて低減する精錬自体がコストアップとなり、ある程度の含有を許容することが必要となる。また、これらの元素を実質量含有しても、本発明目的や効果を阻害しない有用な含有範囲がある。
したがって、本発明では、このような下記元素を各々以下に規定するAA乃至JIS 規格などに沿った上限量以下の範囲での含有を許容する。
具体的には、Mn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Cu:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Fe:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Cr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Zr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、V:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Ti:0.05%以下(但し、0%を含まず)、Zn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Ag:0.2%以下(但し、0%を含まず)の1種または2種以上を、この範囲で、上記した基本組成に加えて、更に含んでも良い。
なお、これらの元素を含有する場合、Cuは含有量が多いと耐食性を劣化させやすいので、好ましくはCuの含有量を0.7%以下、より好ましくは0.3%以下とする。また、Mn、Fe、Cr、Zr、Vは、含有量が多いと比較的粗大な化合物を生成しやすく、本発明で課題とするヘム加工性(ヘム曲げ性)を劣化させやすい。このため、Mn含有量は、好ましくは0.6%以下、より好ましくは0.3%以下、Cr、Zr、V含有量は、好ましくは0.2%以下、より好ましくは0.1%以下と各々する。
上記6000系アルミニウム合金における、各元素の含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に順に説明する。
Si:0.3〜2.0%
Siは、主要元素として、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの人工時効処理時に、強度向上に寄与するMg−Si系析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、自動車のアウタパネルとして必要な強度(耐力)を得るための必須の元素である。また、パネルへの成形後の塗装焼き付け処理での優れた時効硬化能を発揮させるためには、Si/ Mgを質量比で1.0以上とし、一般に言われる過剰Si型よりも更にSiをMgに対し過剰に含有させた6000系アルミニウム合金組成とすることが好ましい。Si含有量が少なすぎると、Mg−Si系析出物の生成量が不足するため、BH性が著しく低下する。一方、Si含有量が多すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、曲げ加工性が著しく低下する。したがって、Siは0.3〜2.0%の範囲とする。さらに好ましい下限値は0.6%であり、さらに好ましい上限値は1.4%である。
Mg:0.2〜2.0%
Mgも、主要元素として、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの人工時効処理時に、強度向上に寄与するMg−Si系析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルとしての必要耐力を得るための必須の元素である。Mg含有量が少なすぎると、Mg−Si系析出物の生成量が不足するため、BH性が著しく低下する。このためパネルとして必要な耐力が得られない。一方、Mg含有量が多すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、曲げ加工性が著しく低下する。したがって、Mgの含有量は0.2〜2.0%の範囲とする。さらに好ましい下限値は0.3%であり、さらに好ましい上限値は1.0%である。
Sn:0.005〜0.3%
Snは必須の元素であり、室温において原子空孔を捕獲することで、室温でのMgやSiの拡散を抑制し、室温における強度増加(室温時効)を長期に亘って抑制し、この室温時効後の板の、パネルへのプレス成形時に、プレス成形性や、特にヘム加工性を向上させる効果がある。そして、一方では、成形されたパネルの塗装焼き付け処理などの人工時効処理時に、捕獲していた空孔を放出するため、逆にMgやSiの拡散を促進し、BH性を高くすることができる。
Snの含有量が少なすぎると、室温における強度増加を抑制できず、耐力が高くなって、ヘム加工性が劣化するだけでなく、BH処理時のMg−Si系析出物の生成量も減少して、BH性が低くなりやすい。したがって、Snの含有量は0.005〜0.3%の範囲とする。さらに好ましい下限値は0.01%であり、さらに好ましい上限値は0.2%である。
但し、これらのSnの効果は、Snが固溶して初めて発揮される。このために、本発明では、後述する通り、特定の範囲のサイズの化合物のうち、一定量以上のSnを含む化合物の個数割合を規定して、Snの必要固溶量を確保する。
したがって、本発明のSnを含有したAl−Mg−Si系アルミニウム合金板は、Snの固溶という点で、組織的にも特性的にも、Snを含有しないAl−Mg−Si系アルミニウム合金板と比較して大きく異なる。また、同じように(同じ量)Snを含有したAl−Mg−Si系アルミニウム合金板であっても、中間焼鈍などの製造条件が違えば、Snの固溶量が異なり、通常の板の製造条件(常法)では、Snが化合物として析出しやすく、固溶量が著しく低くなる(少なくなる)ために、その組織は互いに大きく異なる。このため、同じように(同じ量)Snを含有していても、本発明のような高いレベルで室温時効を抑制するとともに、BH性やヘム加工性を向上させる効果のある組織が得られるとは限らない。
(組織)
本発明の6000系アルミニウム合金板の組織について、以下に説明する。
化合物の平均数密度:
先ず、板の組織として、500倍のSEMを用いて測定した際の円相当直径が0.3〜20μmの範囲の化合物の平均数密度が5000個/mm以下(0個/mmを含まず)、好ましくは4500個/mm 以下(0個/mmを含まず)より好ましくは4000個/mm 以下(0個/mmを含まず)とする。
円相当直径が0.3μm以上の化合物の数密度を5000個/mm以下まで低減させると、成形の際の、板の組織中の破断の起点が減少して、ヘム加工性が向上する。さらに、固溶Mg量と固溶Si量が増加して、BH処理時に生成して高強度化に寄与するMg−Si系析出物の生成量が増加するため、BH性も向上する。一方、円相当直径が0.3μm以上の化合物の数密度が5000個/mmを超えると、成形の際の、板の組織中の破断の起点が増して、ヘム加工性や、絞りや張出などのプレス成形性が低下する。さらに、固溶Mg量と固溶Si量が減少して、BH処理時に生成して高強度化に寄与するMg−Si系析出物の生成量が不足して、BH性も低下する。
ヘム加工の際の破断の起点となりうるか否かは、化合物の大きさ(サイズ)に依存しており、円相当直径が0.3μmより大きいほど、破断の起点となりやすく、その組成には依存しない。ただし、円相当直径が、規定する上限値である20μmを超えるような粗大な化合物は、板の基本的な機械的特性や品質を著しく阻害する。このため、通常の板の製法や品質管理では、極力、このように粗大な化合物を存在させないように製造しており、SEMによる測定範囲として意味が無い。したがって、本発明で規定する化合物の円相当直径は0.3〜20μmの範囲として、化合物の組成は問わない。ちなみに、本発明で規定する化合物の円相当径とは、不定形である化合物と同じ面積を有する円の直径であり、化合物の大きさを正確に、かつ再現性良く測定あるいは規定する方法として、従来から汎用されている。
円相当直径が0.3〜20μmの範囲の化合物の平均数密度は、ヘム加工の際の破断の起点の減少や、Snの固溶量の確保からすると、少ないほど好ましいが、実際の製造において、板の効率的な製造方法の製造限界からして、完全に0個/mmとすることはできない。したがって、円相当直径が0.3〜20μmの範囲の化合物の平均数密度の本発明規定での下限は、0個/mmを含まず、板の効率的な製造での限界からすると、その下限は100個/mm 程度である。
なお、500倍のSEMにより板組織中に観察される化合物は、白黒の画像にて観察した際に、組織中に点在する白色の粒子として観察される、Al-Fe系、Al-Fe-Mn系、Al-Fe-Mn-Si系などや、Al-Si-Sn系などのSnを含む、多様な化合物(析出物、晶出物)である。また、Mg-Si系の化合物も、組織中に点在する黒色の粒子として、少数ではあるが散見される場合もある。このように、アルミニウム合金板の組成によって、化合物の組成が多種多様で、特定の組成に限定しにくい点も、本発明で規定する化合物の組成を問わない理由である。
Sn固溶量の目安:
本発明では、Snの効果を発揮させるために必要な、Snの固溶量を確保することを特徴とする。このSnの固溶量確保の目安(基準)として、前記SEMにて測定された円相当直径が0.3〜20μmの範囲の化合物のうち、X線分光装置により識別される、0.5質量%以上のSnを含む化合物の平均個数割合を50%未満(0%を含む)、好ましくは40%未満(0%を含む)、より好ましくは30%未満(0%を含む)とする。なお、Snの含有量が0.5%未満である化合物は、Sn固溶量の目安としてのSnを含む化合物の測定対象とはしない。ちなみに、Snの含有量が0.5質量%未満の、ごく微量のSnを含む化合物も測定対象とすると、X線分光装置の測定誤差よりも小さいSnを含む化合物まで検出され、前記した大きさの範囲の化合物全てが測定対象となってしまう可能性がある。これでは、Snの固溶量を正確に反映しているとは言えないので、相関性や再現性の点から、化合物のSnの含有量に0.5質量%以上という下限値を設けた。
円相当直径が0.3〜20μmの範囲の、SEMにより測定された全部の化合物の個数のうち、0.5質量%以上のSnを含む化合物の個数(平均個数)の割合が50%未満とは、析出するSnが少なく、Snの固溶量が、添加したSnの前記効果を発揮できるに足る量であることを示している。一方、0.5質量%以上のSnを含む化合物の個数(平均個数)の割合が50%以上になると、析出するSnが多くなって、Snの固溶量が、添加したSnの前記効果を発揮しないような少ない量であることを示している。
本発明における、特定サイズの化合物中の特定量以上のSnを含む化合物の個数割合という、間接的なSn固溶量の測定は、再現性良く、簡便にSnの固溶量の評価が可能である。
また、このSnを含む化合物の個数割合によるSn固溶量の評価は、間接的な測定方法でありながら、円相当直径が0.3〜20μmの範囲の0.5質量%以上のSnを含む化合物が測定の対象であれば、固溶したSnの発揮する効果と良く相関する。すなわち、固溶したSnの発揮する効果は、X線分光装置によってSnを0.5質量%以上含有するか否か識別される、Snを含む化合物の個数(平均個数)の割合と、良く相関する。この点は、後述する実施例によって裏付けられる。
前記規定の通り、0.5質量%以上のSnを含む化合物の平均個数の割合を50%未満とし、Snの固溶量を確保して初めて、室温における原子空孔の捕獲による、室温でのMgやSiの拡散の抑制や、室温における強度増加(室温時効)を長期に亘って抑制の効果が発揮される。この結果、この室温時効後の板のパネルへのプレス成形時に、プレス成形性や、特にヘム加工性が向上する。また、成形されたパネルの塗装焼き付け処理などの人工時効処理時に、前記捕獲していた空孔を放出する効果も発揮され、MgやSiの拡散を促進して、BH性を高くすることができる。
0.5質量%以上のSnを含む化合物の個数(平均個数)の割合の下限は、理論的には、Snが全て固溶した場合で、Snを含む化合物の個数が0個で、0%の場合である。ただ、後述する板の製法の通り、常法ではSnは析出しやすく、一旦析出したSnを、再度固溶させることはなかなか難しい。したがって、製造の効率を無視すれば、Snを含む化合物の個数割合を0%とすることもできるが、効率的な(工業的な)製造限界からくる、Snを含む化合物の個数(平均個数)の割合の下限は、0.1%程度である。
化合物の測定:
円相当直径が0.3〜20μmの範囲の化合物の数密度の500倍のSEMによる測定は、供試板の表面から板厚方向1/4部の任意の点、10箇所について行い(試料を10個採取し)、これら各試料の各数密度を平均化して平均数密度(個/mm)とする。後述する0.5質量%以上のSnを含む化合物の個数割合の測定も、このSEMに測定に伴って行い、同様に、各試料の個数割合を平均化した平均の個数割合(%)とする。具体的には、調質処理直後の供試板の板厚方向の直角断面につき、表面から板厚方向1/4部の任意の点を通り、板表面に平行な面について、500倍のSEM(Scanning Electron Microscope)を用いて測定する。試料は、上記部位から10個サンプリングした板断面試料表面を機械研磨して、板表面から約0.25mmを機械研磨により削り落とし、更に、バフ研磨を行なって表面を調整した試料を用意する。次に、反射電子像を利用し、自動解析装置により、前記円相当直径範囲の化合物の個数を測定して、数密度を算出する。測定部位は試料研磨表面、1試料あたりの測定領域は240μm×180μmとする。
また、Snを含む化合物の個数割合の測定に用いるX線分光装置は、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)による分析装置として周知であり、通常EDXと称される。このX線分光装置は、本発明で用いるSEMに通常付属して、観察される化合物の組成などの定量分析に汎用される。このX線分光装置によって、前記SEMにより測定された円相当直径が0.3〜20μmの範囲の化合物の全個数のうち、Snを含むと識別された化合物の個数を測定し、前記10個の試料測定結果につき平均化して、平均個数割合として算出する。
(製造方法)
次ぎに、本発明アルミニウム合金板の製造方法について以下に説明する。
本発明アルミニウム合金板は、製造工程自体は常法あるいは公知の方法であり、上記6000系成分組成のアルミニウム合金鋳塊を鋳造後に均質化熱処理し、熱間圧延、冷間圧延が施されて所定の板厚とされ、更に溶体化焼入れなどの調質処理が施されて製造される。
但し、これらの製造工程中で、Snを固溶させ、規定するSnを含む化合物の個数(平均個数)の割合とするためには、後述する通り、鋳造時の平均冷却速度制御に加えて、冷間圧延途中の中間焼鈍を規定する好ましい条件とする。このような中間焼鈍条件としなければ、Snを固溶させ、規定するSnを含む化合物の個数(平均個数)の割合とすることが難しくなる。
(溶解、鋳造冷却速度)
先ず、溶解、鋳造工程では、上記6000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。ここで、本発明で規定する、円相当直径が0.3μm以上の化合物の数密度とし、Snを含む化合物の個数(平均個数)の割合とするためには、鋳造時の平均冷却速度について、液相線温度から固相線温度までを30℃/分以上と、できるだけ大きく(速く)することが好ましい。
このような、鋳造時の高温領域での温度(冷却速度)制御を行わない場合、この高温領域での冷却速度は必然的に遅くなる。このように高温領域での平均冷却速度が遅くなった場合、この高温領域での温度範囲で粗大に生成する晶出物の量が多くなって、鋳塊の板幅方向、厚さ方向での晶出物のサイズや量のばらつきも大きくなる。この結果、本発明の規定範囲に、円相当直径が0.3μm以上の化合物の数密度や、Snを含む化合物の個数(平均個数)の割合を制御することができなくなる可能性が高くなる。
(均質化熱処理)
次いで、前記鋳造されたアルミニウム合金鋳塊に、熱間圧延に先立って、均質化熱処理を施す。この均質化熱処理(均熱処理)は、組織の均質化、すなわち、鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくすことを目的とする。この目的を達成する条件であれば、特に限定されるものではなく、通常の1回または1段の処理でも良い。
均質化熱処理温度は、500℃以上で融点未満、均質化時間は4時間以上の範囲から適宜選択される。この均質化温度が低いと結晶粒内の偏析を十分に無くすことができず、これが破壊の起点として作用するために、伸びフランジ性や曲げ加工性が低下する。この後、直ちに熱間圧延を開始又は、適当な温度まで冷却保持した後に熱間圧延を開始しても良い。
この均質化熱処理を行った後、300℃〜500℃の間を20〜100℃/hの平均冷却速度で室温まで冷却し、次いで20〜100℃/hの平均加熱速度で350℃〜450℃まで再加熱し、この温度域で熱間圧延を開始することもできる。
この均質化熱処理後の平均冷却速度および、その後の再加熱速度の条件を外れると、粗大なMg−Si化合物が形成される可能性が高くなり、Snの効果発揮以前に、前提として必要な、6000系アルミニウム合金板の、強度や伸びなどの基本的な機械的性質が低下する。
(熱間圧延)
熱間圧延は、圧延する板厚に応じて、鋳塊 (スラブ) の粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とから構成される。これら粗圧延工程や仕上げ圧延工程では、リバース式あるいはタンデム式などの圧延機が適宜用いられる。
この際、熱延(粗圧延)開始温度が固相線温度を超える条件では、バーニングが起こるため熱延自体が困難となる。また、熱延開始温度が350℃未満では熱延時の荷重が高くなりすぎ、熱延自体が困難となる。したがって、熱延開始温度は350℃〜固相線温度、更に好ましくは400℃〜固相線温度の範囲とする。
(熱延板の焼鈍)
この熱延板の冷間圧延前の焼鈍 (荒鈍) は必ずしも必要ではないが、結晶粒の微細化や集合組織の適正化によって、成形性などの特性を更に向上させる為に実施しても良い。
(冷間圧延)
冷間圧延では、上記熱延板を圧延して、所望の最終板厚の冷延板 (コイルも含む) に製作する。但し、結晶粒をより微細化させるためには、パス数に関わらず、合計の冷間圧延率は60%以上であることが望ましい。
(中間焼鈍)
この冷間圧延前(熱延後)か、冷間圧延の途中(パス間)で、板を480℃以上、融点以下の高温で0.1〜10秒間保持し、次いで、3℃/秒以上の平均冷却速度で室温まで強制冷却(急冷)する中間焼鈍を、繰り返して2回以上行い、それまでの熱延工程などで化合物として生成したSnを固溶させることが好ましい。常法ではSnは析出しやすく、一旦析出したSnを再度固溶させることもなかなか難しく、前記した特定のサイズの化合物の個数のうち、Snを含む化合物の平均個数の割合を50%未満とするためには、このような高温での短時間の熱処理を複数回行う必要がある。ただし、この条件範囲内であれば、複数回の熱処理条件を同じとせずとも、変えても良い。
この中間焼鈍条件につき、板の温度が480℃未満では、例え、中間焼鈍を2回以上行っても、Snの固溶量が不足する。これは、焼鈍温度や急冷条件が範囲内である中間焼鈍の回数が1回のみでも同じである。また、保持時間は、0.1秒などの瞬間的も含む短時間で良いが、10秒を超えると板の機械的性質が著しく低下する。また、焼鈍後の冷却を、3℃/秒以上の平均冷却速度とする、空冷やミスト、水冷などによる、室温までの強制冷却(急冷)としないと、すなわち平均冷却速度が3℃/秒未満では、一旦固溶したSnが再析出して化合物化してしまう。
このような条件での焼鈍は、急冷も含めて、バッチ炉では無理で、板を巻き戻しながら炉に通板して巻き取る、連続的な熱処理炉が必要となる。このように、急冷が可能な連続焼鈍を用いる場合でも、本発明者らの知見によれば、1回だけの連続焼鈍だけでは、どうしてもSnの固溶量が不足する。このため、連続焼鈍による中間焼鈍を2回以上繰り返すものとする。但し、連続焼鈍の繰り返しは、回数が増すほど、製造工程の効率を大きく低下させるので、繰り返し回数は2回程度とすることが好ましい。
(溶体化および焼入れ処理)
冷間圧延後、溶体化焼入れ処理を行う。溶体化処理焼入れ処理については、通常の連続熱処理ラインによる加熱,冷却でよく、特に限定はされない。ただ、各元素の十分な固溶量を得ること、および板組織の結晶粒はより微細であることが望ましいことから、520℃以上、溶融温度以下の溶体化処理温度に、加熱速度5℃/秒以上で加熱して、0〜10秒保持する条件で行う。
そして、溶体化温度から焼入れ停止温度までの平均冷却速度を3℃/秒以上とする。冷却速度が小さいと、冷却中にMg−Si系化合物などが析出しやすくなり、プレス成形や曲げ加工時の割れの起点となり易く、これら成形性が低下する。この冷却速度を確保するために、焼入れ処理は、ファンなどの空冷、ミスト、スプレー、浸漬等の水冷手段や条件を各々選択して用いる。
(再加熱処理)
続いて、BH処理時に生成するMg−Si系化合物の核となる原子の集合体(クラスタ)を形成させるために、溶体化焼入れ処理後に、予備時効処理(再加熱処理)を行う。板の到達温度(実体温度)は80〜150℃の温度範囲かつ、保持時間は3〜50時間の範囲であることが望ましい。再加熱処理後の室温までの冷却は、放冷でも、生産の効率化のために前記焼入れ時の冷却手段を用いて強制急冷しても良い。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の実施例を説明する。本発明で規定するSnの固溶量が異なる6000系アルミニウム合金板を、前記中間焼鈍条件によって作り分けて、前記化合物の数密度や、これに基づくSnの固溶量を調査した。そして、この板を室温に100日間保持後のBH性(塗装焼付け硬化性)や、ヘム加工性も評価した。この結果を表2に示す。
これらアルミニウム合金板の具体的な製造条件は以下の通りとした。表1に示す各組成のアルミニウム合金鋳塊を、DC鋳造法により共通して溶製した。この際、各例とも共通して、鋳造時の平均冷却速度について、液相線温度から固相線温度までを50℃/分とした。各例の6000系アルミニウム合金板の組成を示す表1中の各元素の含有量の表示において、各元素における数値をブランクとしている表示は、その含有量が検出限界以下で、これらの元素を含まない0%であることを示す。
続いて、前記鋳塊を、各例とも共通して、540℃×4時間均熱処理した後、熱間粗圧延を開始した。そして、各例とも共通して、続く仕上げ圧延にて、厚さ2.5mmまで熱延し、熱間圧延板とした。熱間圧延後のアルミニウム合金板を、各例とも共通して、500℃×1分の荒焼鈍を施した後、冷間圧延のパス途中(パス間)に、表2に示すように、連続焼鈍炉による中間焼鈍を、その回数や温度、平均冷却速度などを変えた、種々の条件で行って、最終的に厚さ1.0mmの冷延板(製品板)とした。
更に、これらの各冷延板を、各例とも共通して、560℃の硝石炉にて溶体化処理を行い、目標温度に到達後10秒保持し、水冷にて焼入れ処理した。この焼入れ後直ちに、100℃で5時間保持する予備時効処理を行った(保持後は冷却速度0.6℃/時間で徐冷)。
これらの調質処理直後の各板から供試板 (ブランク) を切り出し、各供試板の組織(化合物の数密度、Snを含む化合物の個数割合)を測定した。また、前記調質処理後に100日間室温で放置した後の各板から供試板 (ブランク) を切り出し、各供試板の強度(AS耐力)とBH性とを調査した。これらの結果を表2に示す。
(供試板の組織)
調質処理直後の各供試板の組織として、前記した測定方法により、500倍のSEMにて、円相当直径が0.3〜20μmの範囲の化合物の平均数密度(個/mm )を測定し、この測定された化合物のうち、X線分光装置により識別される、0.5%以上のSnを含む化合物の平均個数割合(%)を調査した。
(引張試験)
前記引張試験は、前記調質処理後に100日間室温で放置した後の各供試板から、各々JISZ2201の5号試験片(25mm×50mmGL×板厚)を採取し、室温にて引張り試験を行った。このときの試験片の引張り方向を圧延方向の直角方向とした。引張り速度は、0.2%耐力までは5mm/分、耐力以降は20mm/分とした。機械的特性測定のN数は5とし、各々平均値で算出した。なお、前記BH後の耐力測定用の試験片には、この試験片に、板のプレス成形を模擬した2%の予歪をこの引張試験機により与えた後に、前記BH処理を行った。
(BH性)
各供試板を各々共通して、前記100日間の室温時効させた後に、185℃×20分の人工時効硬化処理した後(BH後)の、供試板の0.2%耐力(BH後耐力)を前記引張試験により求めた。そして、これら0.2%耐力同士の差(耐力の増加量)から各供試板のBH性を評価し、0.2%耐力の増加量が100MPa以上ある場合を合格とした。
(ヘム加工性)
ヘム加工性は、前記100日間室温放置後の各供試板について行った。試験は、30mm幅の短冊状試験片を用い、ダウンフランジによる内曲げR1.0mmの90°曲げ加工後、1.0mm厚のインナを挟み、折り曲げ部を更に内側に、順に約130度に折り曲げるプリヘム加工、180度折り曲げて端部をインナに密着させるフラットヘム加工を行った。
このフラットヘムの曲げ部(縁曲部)の、肌荒れ、微小な割れ、大きな割れの発生などの表面状態を目視観察し、以下の基準にて目視評価し、基準0〜2までを合格とした。
0;割れ、肌荒れ無し、1;軽度の肌荒れ、2;深い肌荒れ、3;微小表面割れ、4;線状に連続した表面割れ、5;破断
表2の番号1〜4、12〜23に示す各発明例は、本発明成分組成範囲内(表1の合金番号1〜13)で、かつ、中間焼鈍を含めて前記した好ましい条件範囲内で製造している。このため、これら各発明例は、表2に示す通り、本発明で規定する化合物の平均数密度と、0.5質量%以上のSnを含む化合物の平均個数割合を満たし、含有するSnの析出が抑制されており、Snの固溶量が高い。
この結果、前記各発明例は、表2に示す通り、前記調質処理後100日の長期の室温時効後であっても、As耐力が90〜110MPaのレベルであっても、BH(ベークハード)後の耐力が190MPaのレベルで、耐力差が100MPa以上と、BH性に優れている。また、前記調質処理後の長期の室温時効後であってもAs耐力が比較的低いために、自動車パネルなどへのプレス成形性に優れ、ヘム加工性にも優れている。
また、表2から分る通り、同じ表1の合金番号1を用いても、中間焼鈍条件の違いによって、化合物の平均数密度やSnの固溶状態(Snを含む化合物の平均個数割合)が大きく異なり、特性が大きく異なっている。すなわち、発明例1〜4の中でも、中間焼鈍温度が比較的低く、平均冷却速度も比較的小さい発明例1、2に比して、中間焼鈍温度が比較的高く、平均冷却速度も比較的大きい発明例3、4は、化合物の平均数密度が少ない一方で、Snを含む化合物の平均個数割合が低く、含有するSnの析出が抑制されており、Snの固溶量が高い。この結果、発明例1、2に比して、発明例3、4は、前記調質処理後100日の長期の室温時効後であっても、BH後の耐力差がより高く、BH性がより優れている。
これに対して、これら発明例と同じ表1の合金番号1を用いている、表2の比較例5〜11は、中間焼鈍条件が好ましい範囲から外れる例である。このため、これら比較例は、本発明で規定する化合物が多すぎ、その平均数密度が上限を超えて外れる。また、たとえ化合物の平均数密度が本発明の規定範囲内であっても、0.5質量%以上のSnを含む化合物の平均個数割合が50%を超えて高く、含有するSnの析出が抑制できておらず、Snの固溶量が低い。このため、同じ合金組成である前記発明例に比して、自動車パネルなどへのプレス成形性やヘム加工性に劣り、耐力差が100MPa未満と、BH性も劣っている。
比較例5は中間焼鈍していない。
比較例6は、温度、保持時間、平均冷却速度の条件は満たすが、1回のみの中間焼鈍である。
比較例7は、2回目の中間焼鈍は、温度、保持時間、平均冷却速度の条件を満たしているが、1回目の中間焼鈍の温度が480℃未満で低すぎる。
比較例8は、1回目の中間焼鈍は、温度、保持時間、平均冷却速度の条件を満たしているが、2回目の中間焼鈍の温度が480℃未満で低すぎる。
比較例9は、1回目、2回目の中間焼鈍の温度が、2回とも480℃未満で低すぎる。
比較例10、11は、1回目、2回目の中間焼鈍の温度、保持時間は条件を満たしているが、1回目か2回目かの平均冷却速度が遅すぎる。
また、表2の比較例24〜29は、中間焼鈍条件を含めて好ましい範囲で製造しているものの、表1の合金番号14〜19を用いており、必須元素のMg、Si、Snの含有量が各々本発明範囲を外れている。このため、これら比較例24〜29は、表2に示す通り、各発明例に比して、特に100日間室温保持後のAs耐力が比較的高すぎて自動車パネルなどへのプレス成形性やヘム加工性に劣るか、BH性が劣っている。また、比較例27は、Snが多すぎ、熱延時に割れが発生して熱延板自体が製造できなかった。
比較例24は表1の合金14であり、Siが少なすぎる。
比較例25は表1の合金15であり、Siが多すぎる。
比較例26は表1の合金16であり、Snが少なすぎる
比較例27は表1の合金17であり、Snが多すぎる。
比較例28は表1の合金18であり、Mgが少なすぎる。
比較例29は表1の合金19であり、Mgが多すぎる。
以上の実施例の結果から、Snを含む6000系アルミニウム合金板の長期室温時効後のヘム加工性やBH性向上に対して、本発明で規定する組成や化合物組織とすることや、中間焼鈍条件などの好ましい製造条件の、臨界的な意義乃至効果が裏付けられる。
Figure 0006224550
Figure 0006224550
本発明によれば、長期室温時効後のBH性や成形性を兼備する6000系アルミニウム合金板を提供できる。この結果、自動車、船舶あるいは車両などの輸送機、家電製品、建築、構造物の部材や部品用として、また、特に、自動車などの輸送機の部材に6000系アルミニウム合金板の適用を拡大できる。

Claims (2)

  1. 質量%で、Mg:0.2〜2.0%、Si:0.3〜2.0%、Sn:0.005〜0.3%を各々含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板であって、この板の組織として、500倍のSEMを用いて測定した際の円相当直径が0.3〜20μmの範囲の化合物の平均数密度が5000個/mm 以下(0個/mmを含まず)であり、前記SEMにて測定された化合物のうち、X線分光装置により識別される、0.5質量%以上のSnを含む化合物の平均個数割合が50%未満(0%を含む)であることを特徴とする成形用アルミニウム合金板。
  2. 前記アルミニウム合金板が、更に、Mn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Cu:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Fe:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Cr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Zr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、V:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Ti:0.05%以下(但し、0%を含まず)、Zn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Ag:0.2%以下(但し、0%を含まず)の1種または2種以上を含む請求項1に記載の成形用アルミニウム合金板。
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