JP6218490B2 - 蓋材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
一般に、容器は、開口部を有し、かつ開口部に物を入れることができるように成形されている。また、容器の開口部は、蓋材により密封されることができる。
また、容器と蓋材を容易に結合させるために、容器の開口部の周縁にフランジ部を設けることがある。
容器を形成するか、又はコーティングするための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。特に、包装材料分野では、臭気、酸素及び水蒸気に対する遮蔽性、断熱性、耐熱性などの性質を容器に与えるために、ポリプロピレンを容器に適用することが注目されている。
一般に、蓋材は、基材層、金属箔層、シーラント層などの複数の層が積層されている積層体である。特に、積層体の最内層としては、容器の開口部の周縁をシールするために、シーラント層が配置される。
しかしながら、LLDPEフィルムなどのフィルムシーラントをサンドラミネートにより積層した蓋材は、カールが発生してしまうので、蓋材の枚葉納めが困難になるという欠点があった。
「PETフィルム/高圧法LDPE層/アルミニウム箔/接着剤層/PETフィルム/高圧法LDPE層/樹脂層(B)/樹脂層(A)」
また、特許文献3に記載された蓋材は、ポリエチレンをコーティングされた紙カップと溶着される。
いずれの場合でも、第一の樹脂層及び第二の樹脂層は、互いに接着性に乏しいので、共押出し法を使用しなければ、十分な層間ラミネート強度を得られない。
(1)シングルラミネート法で製造可能な蓋材;
(2)カールを低減し、かつ枚葉納めに適応できる蓋材;及び
(3)従来の蓋材よりも低温(例えば、約140℃)でポリプロピレン容器へのシールが可能であり、かつ広範な温度領域(例えば、約140℃〜約180℃)に亘って良好なシール適性を有しながら、良好な開封性を示す蓋材。
順に積層されている基材、金属箔、中間層及びシーラント層を含み、
前記中間層は、第一のポリエチレン、及びエチレン・メタクリル酸コポリマー又はエチレン・アクリル酸コポリマーを含み、かつ
前記シーラント層は、第二のポリエチレン、及びα−オレフィン系コポリマーを含む、
容器の開口部を密封するための蓋材。
前記第一の積層体の前記金属箔側に、ポリエチレンとエチレン・メタクリル酸コポリマー又はエチレン・アクリル酸コポリマーとの混合物を適用し、前記金属箔上に中間層を形成して、第二の積層体を得る第二の積層工程;及び
前記第二の積層体の前記中間層側に、ポリエチレンとα−オレフィン系コポリマーの混合物を適用し、前記中間層上にシーラント層を形成して、第三の積層体を得る第三の積層工程
を含む、容器の開口部を密封するための蓋材の製造方法。
蓋材は、容器の開口部を密封するための要素である。
蓋材と容器のフランジ部とをヒートシールして、蓋付容器を得ることができる。
以下、蓋材の構成要素である「基材」、「金属箔」、「中間層」及び「シーラント層」について、それぞれ説明する。
基材は、蓋材に所定の強度又は剛性を付与する要素である。
金属箔は、金属を箔の形態になるまで延伸することにより形成される。
金属箔としては、例えば、アルミニウム箔などが挙げられる。
中間層は、金属箔とシーラント層の間に位置する層である。図1に示されるように、中間層(4)は、金属箔(3)とシーラント層(5)の間に位置している。
したがって、金属箔とシーラント層は、中間層を介して接着されることができる。
一般に、「樹脂の追従性が悪い」とは、樹脂を押出したときに、樹脂が滑らかに流れず、樹脂の流れが分断される現象をいう。
したがって、エチレン・メタクリル酸コポリマー又はエチレン・アクリル酸コポリマー中の酸成分の含有率は、4重量%以下であると、押出し法により中間層を形成するときに、サージングを防ぎ、かつ樹脂の追従性を確保できるので好ましい。
さらに、同じ目的のために、第一のポリエチレンとエチレン・メタクリル酸コポリマー又はエチレン・アクリル酸コポリマーとの混合物のメルト・フロー・レイト(MFR)が、第一のポリエチレンのMFRに近いほど好ましい。
具体的には、第一のポリエチレンとエチレン・メタクリル酸コポリマー又はエチレン・アクリル酸コポリマーとの混合物のMFRは、約12(g/10分)(190℃)であることが好ましい。
シーラント層は、蓋材によって封止すべき容器へ蓋材をヒートシールするための層である。
α−オレフィンは、炭素−炭素二重結合がα位にあるアルケン、つまり炭素−炭素二重結合が末端にあるアルケンでよいが、炭素数3又は4のアルケンであることが好ましい。
本明細書では、中間層に含まれるポリエチレンを「第一のポリエチレン」といい、そしてシーラント層に含まれるポリエチレンを「第二のポリエチレン」という。
第一のポリエチレン又は第二のポリエチレンとしては、例えば、LDPE、LLDPE、高密度ポリエチレン(HDPE)などが挙げられる。
容器の開口部を密封するための蓋材は、以下の工程を含む方法により製造されることができる:
基材に金属箔を積層して、第一の積層体を得る第一の積層工程;
前記第一の積層体の前記金属箔側に、ポリエチレンとエチレン・メタクリル酸コポリマー又はエチレン・アクリル酸コポリマーとの混合物を適用し、前記金属箔上に中間層を形成して、第二の積層体を得る第二の積層工程;及び
前記第二の積層体の前記中間層側に、ポリエチレンとα−オレフィン系コポリマーの混合物を適用し、前記中間層上にシーラント層を形成して、第三の積層体を得る第三の積層工程。
ドライラミネートにより第一の積層工程を行うときには、ドライラミネート接着剤は、2液型ウレタン接着剤であることが好ましく、ポリエステルポリオールと芳香族イソシアネートの組み合わせであることがより好ましい。
打ち抜き工程は、例えば、ロータリーカッターで第三の積層体をシートの形態に切断し、裁断機で複数の枚葉にしてから、打ち抜き装置で枚葉を個別に蓋材の形状に打ち抜くことにより行なわれることができる。
容器は、開口部を有し、かつ開口部に物を入れることができる器である。また、容器の開口部は、蓋材により密封されることができる。
蓋付容器は、蓋材の周縁と容器とをヒートシールすることにより得られる。
具体的には、蓋材のシーラント層側と容器のフランジ部とがヒートシールされていることが好ましい。
なお、一般に、「フェザーリング」は、蓋付容器から蓋を剥離したときに、蓋材に由来する樹脂が剥離面に繊維状に残る現象を意味し、「糸引き」とも呼ばれる。
下記表1に示されるように、リニヤー低密度ポリエチレン(LLDPE)の種類、エチレン・メタクリル酸コポリマー(EMAA)の種類、及びLLDPEとEMAAの質量を基準とした配合比を決定して、LLDPE及び/又はEMAAから参考例1〜19の中間層用樹脂組成物を調製した。
また、密度測定装置(アルファーミラージュ株式会社製、型番:電子比重計 MD−300S)を用いて、JIS K 7112に従って参考例1〜19の中間層用樹脂組成物の密度を測定した。
参考例1〜19の中間層用樹脂組成物のMFR及び密度を下記表1に示す。
SP00108C:12(g/10分)のMFR及び904(kg/m3)の密度を有するLLDPE(株式会社プライムポリマー製「エボリューP[SP00108C]」)
SP1071C:10(g/10分)のMFR及び911(kg/m3)の密度を有するLLDPE(株式会社プライムポリマー製「エボリュー[SP1071C]」)
AN4228C:4重量%の酸成分を含むEMAA(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製「ニュクレル[AN4228C]」)
N0908C:9重量%の酸成分を含むEMAA(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製「ニュクレル[N0908C]」)
N1108C:11重量%の酸成分を含むEMAA(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製「ニュクレル[N1108C]」)
また、SP00108CとAN4228CのMFRの値が近似しているので、両者の混合物は、サージングを起こし難いと考えられる。
下記表2に示されるように、LLDPEとEMAAの質量を基準とした配合比を決定して、LLDPE及び/又はEMAAから参考例20〜28の中間層用樹脂組成物を調製した。
また、押出しラミネート時に、押出し樹脂を目視で観察して、サージングの有無、樹脂の追従性の有無などを確認した。観察結果を下記表2に示す。
SP00108C:12(g/10分)のMFR及び904(kg/m3)の密度を有するLLDPE(株式会社プライムポリマー製「エボリューP[SP00108C]」)
AN4228C:4重量%の酸成分を含むEMAA(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製「ニュクレル[AN4228C]」)
<同一のシーラント層を使用して、中間層の組成を変化させる場合>
下記表3に示されるように、LLDPEとEMAAの質量比を決定して、LLDPE及び/又はEMAAから参考例29〜37の中間層用樹脂組成物を調製した。
SP00108C:12(g/10分)のMFR及び904(kg/m3)の密度を有するLLDPE(株式会社プライムポリマー製「エボリューP[SP00108C]」)
AN4228C:4重量%の酸成分を含むEMAA(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製「ニュクレル[AN4228C]」)
70質量%のLLDPE(株式会社プライムポリマー製「エボリューP[SP00108C]」)と30質量%のEMAA(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製「ニュクレル[AN4228C]」を混合して、中間層用樹脂組成物Cを得た。
SP00108C:12(g/10分)のMFR及び904(kg/m3)の密度を有するLLDPE(株式会社プライムポリマー製「エボリューP[SP00108C]」)
A−1070S:α−オレフィンコポリマー(三井化学株式会社製「タフマー[A−1070S]」)
P−0480:α−オレフィンコポリマー(三井化学株式会社製「タフマー[P−0480]」)
[実施例1]
表1〜4に示される結果を考慮して、以下に示される材料を用意した:
紙:坪量80g/m2 大王製紙株式会社製(型番:竜王コート80g/m2)
PETフィルム:株式会社KOLON製 ASTROLL POLYESTER FILM
PE:東ソー株式会社製(型番:ペトロセン205)
アルミ箔:東洋アルミ千葉株式会社製(型番:1N30)
接着剤:DIC株式会社製(型番:主剤LX−500/硬化剤KW−75)
中間層用樹脂組成物:LLDPE(70質量%)とEMAA(30質量%)の混合物
シーラント層用樹脂組成物:LLDPE(70質量%)とα−オレフィンコポリマー(30質量%)の混合物
LLDPE:株式会社プライムポリマー製(型番:エボリューP[SP00108C])
EMAA:三井・デュポン ポリケミカル株式会社製(型番:ニュクレル[AN4228C])
α−オレフィンコポリマー:三井化学株式会社製(型番:タフマー[A−1070S])
容器:内面にポリプロピレンシートが積層された紙製カップ
ラミネーターを用いて、PETフィルムに接着剤を塗布し、アルミ箔をドライラミネートして、積層体aを作製した。
なお、上記層構成中の「/」は、押出しラミネートを表し、「//」は、ドライラミネートを表し、そして括弧内の数値は、厚み(μm)を表す。
ヒートシール試験機を用いて、下記表5に示されるように、約140℃〜約230℃のシールバー温度で、得られた蓋材のシーラント層側と容器のフランジ部とをヒートシールして、蓋付容器を得た。
得られた蓋付容器のヒートシール部分を目視で観察して、ブリスターの有無を以下の基準に従って評価した。ブリスターの評価を下記表5に示す。
(ブリスターの評価基準)
○:ブリスターの発生が目視で確認されない。
△:ブリスターの発生が目視で確認される。
計測スタンド、引張冶具及び引張試験機を用いて、下記表5に示されるシールバー温度で得られた蓋付容器のそれぞれについて剥離試験を行なって、開封強度(kg/カップ)及びピール強度(kg/カップ)を測定するとともに、蓋付容器の剥離部を目視で観察し、フェザーリングの有無を以下の基準に従って評価した。剥離試験の結果を下記表5に示す。
○:フェザーリングの発生が目視で確認されない。
×:フェザーリングの発生が目視で確認される。
<蓋材の作製>
表6中の実施例2〜8の欄に示されるように、LLDPEとα−オレフィンコポリマーの配合比を変え、かつ/又はα−オレフィンコポリマーとして三井化学株式会社製「タフマー[P−0480]」を使用すること以外は、実施例1と同様に蓋材を得た。
ヒートシール試験機を用いて、約160℃のシールバー温度で、得られた蓋材のシーラント層側と容器のフランジ部とをヒートシールして、蓋付容器を得た。
実施例1と同様に、蓋付容器のブリスター評価、剥離試験及びフェザーリング評価を行った。結果を下記表6に示す。
<蓋材の作製>
表6中の比較例1の欄に示されるように、LLDPE(株式会社プライムポリマー製「エボリューP[SP00108C]」)のみを使用してシーラント層を得たこと以外は、実施例1と同様に蓋材を得た。
ヒートシール試験機を用いて、約160℃のシールバー温度で、得られた蓋材のシーラント層側と容器のフランジ部とをヒートシールして、蓋付容器を得た。
実施例1と同様に、蓋付容器のブリスター評価、剥離試験及びフェザーリング評価を行った。結果を下記表6に示す。
2 基材
3 金属箔
4 中間層
5 シーラント層
Claims (11)
- 容器の開口部を密封するための蓋材であって、
順に積層されている基材、金属箔、中間層及びシーラント層を含み、
前記中間層は、リニヤー低密度ポリエチレン、及びエチレン・メタクリル酸コポリマー又はエチレン・アクリル酸コポリマーを含み、かつ
前記シーラント層は、リニヤー低密度ポリエチレン、及びエチレン・プロピレンコポリマー又はエチレン・1−ブテンコポリマーを含む、
容器の開口部を密封するための蓋材。 - 前記エチレン・メタクリル酸コポリマー又は前記エチレン・アクリル酸コポリマー中の酸成分の含有率が、4重量%以下である、請求項1に記載の蓋材。
- 前記リニヤー低密度ポリエチレンと前記エチレン・メタクリル酸コポリマー又は前記エチレン・アクリル酸コポリマーとの混合物が、JIS K 7112に準じて測定されたときに、895kg/m3以上かつ904kg/m3以下の密度を有する、請求項1又は2に記載の蓋材。
- 前記リニヤー低密度ポリエチレンと前記エチレン・プロピレンコポリマー又は前記エチレン・1−ブテンコポリマーとの混合物に対する前記エチレン・プロピレンコポリマー又は前記エチレン・1−ブテンコポリマーの重量比が、0.01以上かつ0.7未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓋材。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓋材と前記容器とを有し、かつ前記蓋材の前記シーラント層側と前記容器のフランジ部とがヒートシールされている、蓋付容器。
- 前記容器は、ポリプロピレンから成るか、ポリプロピレンを含むか、又はポリプロピレンでコーティングされている、請求項5に記載の蓋付容器。
- 前記蓋材の前記シーラント層側と前記容器の前記フランジ部とを140℃以上かつ180℃以下の温度でヒートシールすることにより得られる、請求項5又は6に記載の蓋付容器。
- 基材に金属箔を積層して、第一の積層体を得る第一の積層工程;
前記第一の積層体の前記金属箔側に、リニヤー低密度ポリエチレンとエチレン・メタクリル酸コポリマー又はエチレン・アクリル酸コポリマーとの混合物を適用し、前記金属箔上に中間層を形成して、第二の積層体を得る第二の積層工程;及び
前記第二の積層体の前記中間層側に、リニヤー低密度ポリエチレンとエチレン・プロピレンコポリマー又はエチレン・1−ブテンコポリマーとの混合物を適用し、前記中間層上にシーラント層を形成して、第三の積層体を得る第三の積層工程
を含む、容器の開口部を密封するための蓋材の製造方法。 - 前記第二の積層工程及び前記第三の積層工程は、それぞれシングルラミネート法により行われる、請求項8に記載の方法。
- 前記エチレン・メタクリル酸コポリマー又は前記エチレン・アクリル酸コポリマー中の酸成分の含有率が、4重量%以下である、請求項8又は9に記載の方法。
- 前記リニヤー低密度ポリエチレンと前記エチレン・メタクリル酸コポリマー又は前記エチレン・アクリル酸コポリマーとの混合物が、JIS K 7112に準じて測定されたときに、895kg/m 3 以上かつ904kg/m 3 以下の密度を有する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
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