本発明は、以下に説明する複数の発明を包含する発明群に属する発明であり、以下に、その発明群の実施の形態として、第1,第2の実施の形態および変形例について説明するが、そのうち、第1の実施の形態および変形例が、本出願人が特許請求の範囲に記載した発明に対応するものである。
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
まず、図1ないし図13は、本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、建設機械としての油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前,後方向の前側に俯仰動可能に設けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置4とにより構成されている。
上部旋回体3は、支持構造体をなす旋回フレーム5と、該旋回フレーム5の後側に設けられ、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト6と、旋回フレーム5の前部左側に設けられオペレータが搭乗するキャブ7と、カウンタウエイト6の前側に設けられ、内部に後述のエンジン8、熱交換器10、後処理ユニット13等の搭載機器を収容する建屋カバー18と、建屋カバー18に設けられエンジン8、後処理ユニット13等の上方を覆うエンジンカバー28と、熱交換器10の上方を覆う熱交換器上部カバー25とにより大略構成されている。
図2ないし図4に示すように、車体フレームとしての旋回フレーム5は、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、該底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cと、該各縦板5B,5Cの左,右方向に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム5D,右サイドフレーム5Eと、前記底板5A、各縦板5B,5Cから左,右方向に張出し、その先端部に左,右のサイドフレーム5D,5Eを支持する複数本の張出ビーム5Fとを含んで構成されている。
エンジン8は、旋回フレーム5の後側でカウンタウエイト6の前側に位置し、旋回フレーム5上に左,右方向に延びる横置き状態で搭載されている。このエンジン8は、後述の機械室22内で旋回フレーム5上に防振状態で支持されている。そして、エンジン8の左側には、図3に示すように、後述の熱交換器10に冷却風を供給するための冷却ファン8Aが設けられている。一方、エンジン8の右側には、後述の油圧ポンプ9が設けられている。また、エンジン8には、エンジン8から排出された排気ガスを後述する第1の排気ガス後処理装置15に導く排気管8Bが接続されている。
油圧ポンプ9は、エンジン8の長さ方向の一方(右側)に設けられている。この油圧ポンプ9は、エンジン8によって駆動されることにより、後述の作動油タンク11から供給される作動油を、圧油として制御弁装置(図示せず)に向け吐出するものである。
熱交換器10は、エンジン8の長さ方向の他方(左側)に位置して旋回フレーム5上に設けられている。この熱交換器10は、平面視で(上方からみて)前,後方向に長い略矩形状となって後述の機械室22の左側に位置し、エンジン8の冷却ファン8Aに対面している。そして、熱交換器10は、枠構造をなす支持枠体10Aと、支持枠体10Aの内部に前,後方向に並んで配置されたラジエータ10B、オイルクーラ10C、インタクーラ10D等により構成されている。
支持枠体10Aは、ラジエータ10B、オイルクーラ10C、インタクーラ10D等の周囲を取囲んで冷却風を効率よく流通させている。また、支持枠体10Aには、ラジエータ10B、オイルクーラ10C、インタクーラ10D等の上方を覆う長箱状の上側連結板10A1が設けられている。この上側連結板10A1は、例えばボルト等により着脱可能に取付けられており、ラジエータ10B、オイルクーラ10C、インタクーラ10D等のメンテナンスや交換作業を行うために上側に引抜くときには簡単に取外すことができる構成となっている。
ラジエータ10Bは、エンジン冷却水の熱を冷却風中に放熱することにより、温度上昇したエンジン冷却水を冷却するものである。オイルクーラ10Cは、作動油の熱を冷却風中に放熱することにより、温度上昇した作動油を冷却するものである。インタクーラ10Dは、エンジン8が吸込む空気を冷却するものである。
作動油タンク11は、油圧ポンプ9の前側に位置して旋回フレーム5の右側に設けられている。この作動油タンク11は、下部走行体2、作業装置4等に設けられたアクチュエータを駆動するための作動油を貯えるものである。一方、燃料タンク12は、作動油タンク11の前側に位置して旋回フレーム5に設けられている。
後処理ユニット13は、エンジン8の右側に配置されている。この後処理ユニット13は、後述の機械室22の右側に位置し、エンジン8から排出される排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去し、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化し、さらに排気ガスの騒音を低減するものである。
後処理ユニット13は、油圧ポンプ9を前,後方向に跨ぐようにして、旋回フレーム5上に設けられた後処理装置取付架台14と、エンジン8の排気管8Bの出口側に接続され、後処理装置取付架台14に取付けられた第1の排気ガス後処理装置15と、第1の排気ガス後処理装置15の出口側に接続された接続管16と、接続管16の出口側に接続され、後処理装置取付架台14に取付けられた第2の排気ガス後処理装置17等により構成されている。
即ち、第1,第2の排気ガス後処理装置15,17は、油圧ポンプ9の上方に位置して後処理装置取付架台14に取付けられ、エンジン8から排出された排気ガスを浄化処理するものである。第1,第2の排気ガス後処理装置15,17で浄化処理された排気ガスは、第2の排気ガス後処理装置17の出口側に接続された排気管17Aから後述の尾管37を介して外部へと排出される。
建屋カバー18は、キャブ7とカウンタウエイト6との間に位置して旋回フレーム5上に設けられている。この建屋カバー18は、左,右の側面板19,20およびこれら各側面板19,20の上端に配置され、メンテナンスをするための開口部21Dを有する上面板21からなっている。
左側面板19は、キャブ7とカウンタウエイト6との間で左サイドフレーム5Dから立上っている。そして、左側面板19は、キャブ7側に位置する前左側面板19Aと、カウンタウエイト6側に位置し、熱交換器10に対面する後左側面板19Bとにより構成されている。後左側面板19Bの上端側には、冷却ファン8Aの駆動により外部の空気(冷却風)を後述の機械室22内に取込む吸気口19B1が設けられている。一方、右側面板20は、作動油タンク11とカウンタウエイト6との間で、後処理ユニット13に対面して右サイドフレーム5Eから立上っている。
上面板21は、前左側面板19Aの上端と作動油タンク11の上面との間に配置された前上面板21Aと、前上面板21Aの左後側に配置され後左側面板19Bの上端から後述の機械室22側(右側)に延びる後左上面板21Bと、作動油タンク11の上面とカウンタウエイト6の上面との間に配置され、右側面板20の上端から後述の機械室22側(左側)に延びる後右上面板21Cと、前上面板21Aと後左上面板21Bと後右上面板21Cとカウンタウエイト6の上面とにより囲まれた開口部21Dとにより構成されている。
前上面板21Aおよび作動油タンク11の上面には、後述のエンジンカバー28および熱交換器上部カバー25を固定または施錠する後述のラッチ43,44A2,44B2が左,右方向に離間して設けられている。後左上面板21Bには、冷却ファン8Aの駆動により外部の空気(冷却風)を後述の機械室22内に取込む吸気口21B1が設けられている。また、後左上面板21Bのうち吸気口21B1と開口部21D(機械室22)との間には、前,後方向に離間して後述の熱交換器上部カバー25を取付けるためのめねじ孔21B2が、例えば裏ナット、裏ねじ座等を用いて設けられている。
機械室22は、建屋カバー18によって覆われ、エンジン8、熱交換器10、後処理ユニット13を含む搭載機器を収容している。この機械室22の上側は、開口部21Dにより開口しており、常時は後述の熱交換器上部カバー25とエンジンカバー28とにより覆われ(閉塞され)ている。図3、図4に示すように、機械室22には、左,右方向の左側から順に、熱交換器10、エンジン8、後処理ユニット13が並んで配置されている。
また、機械室22の前側(作業装置4側)には、熱交換器10と作動油タンク11との間に位置して前仕切板23が設けられている。この前仕切板23は、旋回フレーム5から開口部21Dの前端に向けて立上ることにより、機械室22の前側を仕切っている。一方、機械室22の後側(カウンタウエイト6側)には、前仕切板23と前,後方向で対面する後仕切板24が設けられている。この後仕切板24は、旋回フレーム5から開口部21Dの後端に向けて立上ることにより、機械室22の後側を仕切っている。
前仕切板23には、後述のステップ45の前脚部46を取付けるためのめねじ孔23Aが例えば裏ナット、裏ねじ座等を用いて設けられている(図5、図6参照)。一方、後仕切板24の上面24Aのうち左側には、左,右方向に離間した2箇所に後述のエンジン上部カバー29を回動可能に取付けるためのめねじ孔24A1が例えば裏ナット、裏ねじ座等を用いて設けられている。また、後仕切板24の上面24Aのうち右側には、左,右方向に離間した2箇所に後述の後処理装置上部カバー34を回動可能に取付けるためのめねじ孔24A2が例えば裏ナット、裏ねじ座等を用いて設けられている。
そして、後仕切板24の上面24Aのうち最も右側に位置するめねじ孔24A1と最も左側に位置するめねじ孔24A2との間には、後述のステップ45の後脚部48を取付けるためのめねじ孔24A3が例えば裏ナット、裏ねじ座等を用いて設けられている。即ち、めねじ孔23Aとめねじ孔24A3は、後述のステップ45を前仕切板23と後仕切板24とに取付けたときに、ステップ45がエンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34との境界位置Aに配置されるように設けられている。
熱交換器上部カバー25は、熱交換器10の上方に位置して開口部21Dを覆うものである。この熱交換器上部カバー25は、後述のエンジン上部カバー29と隣接して熱交換器10の上方に配置され、熱交換器10の上方全域を覆っている。また、熱交換器上部カバー25は、左側面板19側を回動支点(回転端)とし、機械室22側(右側)を自由端(開閉側)として開閉可能となっている。即ち、熱交換器上部カバー25は、機械室22と左側面板19との間に回動支点を設けることにより、左,右方向に開閉可能となっている。この場合、熱交換器上部カバー25と後述のエンジン上部カバー29とは、開閉方向が90°異なっている。
そして、熱交換器上部カバー25は、前上面板21Aから立上る前面板25Aと、前面板25Aの上端から後方に向けて延びる上面板25Bと、上面板25Bの後端から立下がる後面板25Cと、上面板25Bの左端から立下がる左面板25Dとにより、右方と下方とが開口した前,後方向に長尺なボックス状に形成されている。
左面板25Dの下端側の内面25D1には、前,後方向に離間して2個のヒンジ26が設けられている。このヒンジ26は、ボルトを後左上面板21Bのめねじ孔21B2に螺合することにより、後左上面板21Bに取付けられる。これにより、熱交換器上部カバー25は、左面板25Dの下端を回転端とし、左面板25Dの下端よりも右側を自由端として左,右方向に回動可能となっている。
この場合、熱交換器上部カバー25は、長尺方向(前,後方向)と短尺方向(左,右方向)のうち、短尺方向で開閉することができるので、熱交換器上部カバー25を軽い力で開くことができる。しかも、短尺方向で開くことにより、熱交換器10の上方を前,後方向に亘って簡単に大きく(例えば90°以上)開放することができる(図10参照)。
また、図4に示すように、熱交換器上部カバー25は、自由端側である右端25Eが後述のエンジン上部カバー29の下側に重なるように配置される。従って、熱交換器上部カバー25は、エンジン上部カバー29を開いたときにだけ開くことができる構成となっている。換言すると、熱交換器上部カバー25は、エンジン上部カバー29により固定(閉状態を維持)される構成となっている。
弾性部材27は、熱交換器上部カバー25の下端に取付けられたものである。この弾性部材27は、例えば可撓性を有するゴムや樹脂等の材料から形成され、上面板21との衝撃を低減したり、熱交換器上部カバー25と上面板21との間の隙間を閉塞して、雨水等が機械室22内に浸入するのを防止したりするものである。
エンジンカバー28は、熱交換器上部カバー25の右側に隣接して上面板21の開口部21Dを覆うものである。エンジンカバー28は、上面板21上を左,右方向に延び、機械室22に配設されたエンジン8と後処理ユニット13との上方を覆っている。エンジンカバー28は、カウンタウエイト6側を回動支点とし機械室22側を自由端として開閉可能となっている。そして、エンジンカバー28は、エンジン上部カバー29と、後処理装置上部カバー34とに2分割して形成されている。
エンジン上部カバー29は、エンジンカバー28の左側部分を構成するものである。このエンジン上部カバー29は、エンジン8の上方に配置され、エンジン8の上方全域をほぼ覆うものである。また、エンジン上部カバー29は、カウンタウエイト6側(後側)を回動支点(回転端)とし、機械室22側(前側)を自由端(開閉側)として開閉可能となっている。即ち、エンジン上部カバー29は、機械室22とカウンタウエイト6との間に回動支点を設けることにより前,後方向に開閉可能となっている。
そして、エンジン上部カバー29は、前上面板21Aから立上る前面板29Aと、前面板29Aの上端から後方(カウンタウエイト6側)に向けて延びる上面板29Bと、上面板29Bの後端から立下がる後面板29Cとにより、全体として略コ字状に形成されている。
前面板29Aの左端側には、後述のストライカ44A1が設けられ、右端側には、後述のストライカ42が設けられている。また、前面板29Aの中央部には、エンジン上部カバー29の開閉作業を行うときの取っ手30が設けられている。
上面板29Bは、左前側部位が***した段付状に形成されている。図9ないし図11に示すように、上面板29Bの右端側の内面29B1には、エンジン上部カバー側支持ブラケット31が設けられている。このエンジン上部カバー側支持ブラケット31には、後述のエンジン上部カバー用ステー53の一端53A側が回動可能に取付けられている。
後面板29Cの下端側の内面29C1には、左,右方向に離間して2個のヒンジ32が設けられている。このヒンジ32は、ボルトを後仕切板24のめねじ孔24A1に螺合することにより、後仕切板24の上面24Aに取付けられる。これにより、エンジン上部カバー29は、後面板29Cの下端を回転端とし、後面板29Cの下端よりも前側を自由端として前,後方向に回動可能となっている。
また、図4に示すように、エンジン上部カバー29の左端29Dは、熱交換器上部カバー25の右端25Eの上側に重なっている。一方、エンジン上部カバー29の右端29Eは、後述の後処理装置上部カバー34の左端34Eの上側に重なっている。これにより、熱交換器上部カバー25、エンジン上部カバー29、後処理装置上部カバー34を閉じたときに、エンジン上部カバー29は、熱交換器上部カバー25と後処理装置上部カバー34とを開放不能に固定している。
弾性部材33A〜33Dは、エンジン上部カバー29の端縁全周に取付けられたものである。これら弾性部材33A〜33Dは、例えば可撓性を有するゴムや樹脂等の材料から形成され、他の部材との衝撃を低減したり、雨水等が機械室22内に浸入するのを防止したりするものである。
弾性部材33Aは、前面板29Aの下端に嵌め込まれている。これにより、弾性部材33Aは、前面板29Aと上面板21の前上面板21Aとの衝撃を低減したり、前面板29Aと前上面板21Aと間の隙間を閉塞したりする。弾性部材33Bは、後面板29Cの下端に嵌め込まれている。これにより、弾性部材33Bは、後面板29Cと、後仕切板24およびカウンタウエイト6との衝撃を低減したり、後面板29Cと、後仕切板24およびカウンタウエイト6との間の隙間を閉塞したりする。
弾性部材33Cは、エンジン上部カバー29の左端29Dに嵌め込まれている。これにより、弾性部材33Cは、エンジン上部カバー29と熱交換器上部カバー25との衝撃を低減したり、エンジン上部カバー29と熱交換器上部カバー25と間の隙間を閉塞したりする。弾性部材33Dは、エンジン上部カバー29の右端29Eに嵌め込まれている。これにより、弾性部材33Dは、エンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34との衝撃を低減したり、エンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34と間の隙間を閉塞したりする。
後処理装置上部カバー34は、エンジンカバー28の右側部分を構成するものである。この後処理装置上部カバー34は、後処理ユニット13(排気ガス後処理装置15,17)の上方に配置され、後処理ユニット13の上方全域を覆うものである。また、後処理装置上部カバー34は、カウンタウエイト6側(後側)を回動支点(回転端)とし、機械室22側(前側)を自由端(開閉側)として開閉可能となっている。即ち、後処理装置上部カバー34は、機械室22とカウンタウエイト6との間に回動支点を設けることにより前,後方向に開閉可能となっている。
そして、後処理装置上部カバー34は、前上面板21Aおよび作動油タンク11の上面から立上る前面板34Aと、前面板34Aの上端から後方(カウンタウエイト6側)に向けて延びる上面板34Bと、上面板34Bの後端から立下がる後面板34Cと、上面板34Bの右端から立下がる右面板34Dとにより左方と下方とが開口したボックス状に形成されている。
前面板34Aには、後述のストライカ44B1と取っ手35とが左,右方向に並んで設けられている。上面板34Bには、前,後方向に延びる長方形状の排出口34B1が左,右方向に並んで2個形成されている。また、上面板34Bの後端側には、円形状の排出口34B2が形成されている(図9参照)。
上面板34Bのうち各排出口34B1に対応した位置には、右側に向けて開口したルーバ36が設けられている。これにより、後左側面板19Bの吸気口19B1や後左上面板21Bの吸気口21B1から機械室22内に導入された冷却風は、排出口34B1からルーバ36を介して右側に向けて外部に排出される。また、上面板34Bのうち排出口34B2に対応した位置には、尾管37が設けられている。この尾管37は、排出口34B2を介して第2の排気ガス後処理装置17の排気管17Aに接続されている。これにより、エンジン8から排出された排気ガスは、第1,第2の排気ガス後処理装置15,17により浄化処理された後に排出口34B2から尾管37を介して外部へと排出される。
後面板34Cの上端側の内面34C1には、後処理装置上部カバー側支持ブラケット38が設けられている。この後処理装置上部カバー側支持ブラケット38には、後述の後処理装置上部カバー用ステー54の一端54A側が回動可能に取付けられている。また、後面板34Cの下端側の内面34C1には、左,右方向に離間して2個のヒンジ39が設けられている。このヒンジ39は、ボルトを後仕切板24のめねじ孔24A2に螺合することにより、後仕切板24の上面24Aに取付けられる。これにより、後処理装置上部カバー34は、後面板34Cの下端を回転端とし、後面板34Cの下端よりも前側を自由端として前,後方向に回動可能となっている。
右面板34Dには、前,後方向に並んで排出口34D1が設けられている。この排出口34D1は、後左側面板19Bの吸気口19B1や後左上面板21Bの吸気口21B1から機械室22内に導入された冷却風を外部に向けて排出するものである。
エンジンカバー28を分割した境目、即ちエンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34との境目は、境界位置Aとなっている。図4に示すように、境界位置Aは、エンジン上部カバー29の右端29Eと後処理装置上部カバー34の左端34Eとが重なったエンジン8の上方位置となっている。この境界位置Aは、例えばエンジン8、後処理ユニット13等のメンテナンス性を考慮して設定されている。
境界位置Aでは、後処理装置上部カバー34の自由端側である左端34Eがエンジン上部カバー29の下側に重なるように配置される。従って、後処理装置上部カバー34は、エンジン上部カバー29を開いたときに開くことができる構成となっている。換言すると、後処理装置上部カバー34は、エンジン上部カバー29により固定(閉状態を維持)される構成となっている。
弾性部材40は、後処理装置上部カバー34の下端に取付けられたものである。この弾性部材40は、例えば可撓性を有するゴムや樹脂等の材料から形成され、上面板21および作動油タンク11との衝撃を低減したり、後処理装置上部カバー34と、上面板21および作動油タンク11との間の隙間を閉塞して、雨水等が機械室22内に浸入するのを防止したりするものである。
ロック装置41は、エンジン上部カバー29と上面板21との間に設けられたものである。このロック装置41は、エンジン上部カバー29を閉じた状態で、エンジン上部カバー29を上面板21に対して施錠、解錠可能にロックするものである。そして、ロック装置41は、エンジン上部カバー29の前面板29Aの右端側に設けられたストライカ42と、前上面板21Aに設けられ、キーシリンダ43Aを有するラッチ43とにより構成されている。
エンジン上部カバー29は、ラッチ43をストライカ42に係合することにより上面板21に固定される。そして、ラッチ43のキーシリンダ43Aに差し込んだキー(図示せず)を回すことにより、ストライカ42とラッチ43とを抜止め状態に施錠することができる。この場合、エンジン上部カバー29は、熱交換器上部カバー25や後処理装置上部カバー34に対して上側に重ねて配置されているから、熱交換器上部カバー25や後処理装置上部カバー34を固定している。従って、ロック装置41によりエンジン上部カバー29を上面板21(建屋カバー18)にロックすると、間接的に熱交換器上部カバー25や後処理装置上部カバー34も建屋カバー18に対して開放不能にロックされる構成となっている。
また、キーシリンダ43Aに差し込んだキー(図示せず)を逆側に回すことにより、ストライカ42とラッチ43との抜止め状態を解錠することができる。そして、ラッチ43とストライカ42との係合を解除することにより、エンジン上部カバー29を開けることができ、その後に熱交換器上部カバー25や後処理装置上部カバー34を開けることができる。
なお、固定具44Aは、エンジン上部カバー29の前面板29Aの左端側に設けられたストライカ44A1と前上面板21Aに設けられたラッチ44A2とにより構成され、固定具44Bは、後処理装置上部カバー34の前面板34Aに設けられたストライカ44B1と作動油タンク11の上面に設けられたラッチ44B2とにより構成されたものである。これら固定具44A、44Bのラッチ44A2,44B2には、キーシリンダが備えられておらず、その他はロック装置41と同様の構成となっている。固定具44A,44Bは、エンジン上部カバー29や後処理装置上部カバー34のがたつきを抑制するものである。
次に、作業者がエンジン8等のメンテナンスを行うときに足を乗せるためのステップ45について説明する。
ステップ45は、エンジン上部カバー29の内面29B1側および後処理装置上部カバー34の内面34C1側であってエンジン8の上方位置に固定的に設けられたものである。図2、図4、図8に示すように、ステップ45は、機械室22の左,右方向でエンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34との境界位置Aに配置され、エンジン8を前,後方向に跨いでいる。
即ち、図4に示すように、ステップ45は、エンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34とを閉じた状態で、エンジン上部カバー29の右端29Eと後処理装置上部カバー34の左端34Eとの下方に配置されている。そして、ステップ45は、前仕切板23に取付けられた前脚部46と、後仕切板24に取付けられた後脚部48と、前脚部46と後脚部48との間を接続する足乗せ部50とにより構成されている。
前脚部46は、開口部21Dの前部側から機械室22の上方に向かって延びている。具体的には、前脚部46は、基端側が前仕切板23に取付けられ、機械室22の上方に向かって斜め後方に延び、先端側が足乗せ部50の前部に固着されている。前脚部46は、前仕切板23に取付けられるL字状の取付板46Aと、取付板46Aから上斜め後方に向かって延びるコ字状の支持板46Bとにより構成されている。
取付板46Aは、前仕切板23に当接する縦板46A1と、縦板46A1の上端から前方に向かって延びる横板46A2とによりL字状に形成されている。縦板46A1には、前仕切板23のめねじ孔23Aに対応する位置にボルト挿通孔46A3が穿設されている。そして、前脚部46は、ボルト47をボルト挿通孔46A3に挿通して、めねじ孔23Aに螺合することにより、開口部21Dの前部側に取付けられる。支持板46Bは、基端側が取付板46Aの縦板46A1に溶接等により固着され、先端側が足乗せ部50の裏面50A2に溶接等により固着されている。
後脚部48は、開口部21Dの後部側で前脚部46と前,後方向で対応した位置に設けられている。後脚部48は、開口部21Dの後部側から機械室22の上方に向かって延びている。具体的には、後脚部48は、基端側が後仕切板24に取付けられ、機械室22の上方に向かって斜め前方に延び、先端側が足乗せ部50の後部に固着されている。後脚部48は、後仕切板24に取付けられる平板状の取付板48Aと、基端側が取付板48Aに固着され上斜め前方に向かって延び、先端側が足乗せ部50に固着されたコ字状の支持板48Bとにより構成されている。
取付板48Aには、後仕切板24のめねじ孔24A3に対応する位置にボルト挿通孔48A1が穿設されている。そして、後脚部48は、ボルト49をボルト挿通孔48A1に挿通して、めねじ孔24A3に螺合することにより、開口部21Dの後部側に取付けられる。支持板48Bは、基端側が取付板48Aの上面に溶接等により固着され、先端側が足乗せ部50の裏面50A2に溶接等により固着されている。
足乗せ部50は、前脚部46と後脚部48との間を接続するものである。足乗せ部50は、前,後方向に長尺な略L字状の上板50Aと、上板50Aの前端から立下がる前板50Bと、上板50Aの後端から立下がり前板50Bと対面する後板50Cと、上板50Aの左端から立下がる左板50Dと、上板50Aの右端から立下がり左板50Dと対面する右板50Eとにより構成されている。
上板50Aは、作業者が足を乗せる部分で、前側が幅広な略L字状に形成され、作業者が足を乗せるのに十分な広さをなしている。上板50Aの表面50A1には、作業者が足を滑らせないように凹凸状の滑り止め加工が施されている。上板50Aの裏面50A2の前部には、前脚部46の支持板46Bの先端側が溶接等により固着され、上板50Aの裏面50A2の後部には、後脚部48の支持板48Bの先端側が溶接等により固着されている。
前板50B、後板50C、左板50D、右板50Eは、上板50Aを補強するものである。この場合、左板50Dは、機械室22の上方を前,後方向に延びる補強板で、その中央部には、前,後方向に延びる後述のエンジン上部カバー用案内レール51が設けられている。即ち、左板50Dは、上板50Aの補強板としての機能と、後述するエンジン上部カバー用ステー53のブラケットとの機能を有している。また、右板50Eは、機械室22の上方を前,後方向に延びる補強板で、その中央部には、前,後方向に延びる後述の後処理装置上部カバー用案内レール52が設けられている。即ち、右板50Eは、上板50Aの補強板としての機能と、後述する後処理装置上部カバー用ステー54のブラケットとの機能を有している。
エンジン上部カバー用案内レール51は、ステップ45の足乗せ部50に前,後方向に延びるものである。具体的には、図5、図12に示すように、エンジン上部カバー用案内レール51は、足乗せ部50の熱交換器10側(左側)に位置する左板50Dに前,後方向に延びて設けられている。このエンジン上部カバー用案内レール51には、後述のエンジン上部カバー用ステー53の他端53B側がスライド(移動)可能に係合されている。
エンジン上部カバー用案内レール51の後端側(後脚部48側)には、下方に屈曲して延びる前凹部51Aと後凹部51Bとが前,後方向に所定の間隔をもって2個設けられている。前凹部51Aに後述のエンジン上部カバー用ステー53の他端53B側を係合することにより、エンジン上部カバー29を中間開度となる約60°の開度に維持することができる。また、後凹部51Bに後述のエンジン上部カバー用ステー53の他端53B側を係合することにより、エンジン上部カバー29を最大開度となる約90°の開度に維持することができる。
なお、本実施の形態では、前凹部51A、後凹部51Bにより、エンジン上部カバー29の開角度を60°または90°に設定した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えばエンジン上部カバー29の開角度を50°や70°等に設定してもよい。また、凹部は、2個に限らず、例えば1個でもよいし、3個以上設けてもよい。
後処理装置上部カバー用案内レール52は、ステップ45の足乗せ部50に前,後方向に延びるものである。具体的には、図6、図13に示すように、後処理装置上部カバー用案内レール52は、足乗せ部50の後処理ユニット13側(右側)に位置する右板50Eに前,後方向に延びて設けられている。この後処理装置上部カバー用案内レール52には、後述の後処理装置上部カバー用ステー54の他端54B側がスライド(移動)可能に係合されている。
後処理装置上部カバー用案内レール52の後端側(後脚部48側)には、下方に屈曲して延びる前凹部52Aと後凹部52Bとが前,後方向に所定の間隔をもって2個設けられている。前凹部52Aに後述の後処理装置上部カバー用ステー54の他端54B側を係合することにより、後処理装置上部カバー34を中間開度となる約60°の開度に維持することができる。また、後凹部52Bに後述の後処理装置上部カバー用ステー54の他端54B側を係合することにより、後処理装置上部カバー34を最大開度となる約90°の開度に維持することができる。
なお、本実施の形態では、前凹部52A、後凹部52Bにより、後処理装置上部カバー34の開角度を60°または90°に設定した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば後処理装置上部カバー34の開角度を50°や70°等に設定してもよい。また、凹部は、2個に限らず、例えば1個でもよいし、3個以上設けてもよい。
エンジン上部カバー用ステー53は、エンジン上部カバー29とステップ45との間に設けられたものである。エンジン上部カバー用ステー53は、エンジン上部カバー29を開閉するときに、エンジン上部カバー用案内レール51に案内されてエンジン上部カバー29の開度を決めるものである。具体的には、エンジン上部カバー用ステー53は、一端53A側がエンジン上部カバー側支持ブラケット31に回動可能に取付けられ、他端53B側がエンジン上部カバー用案内レール51に沿って移動可能に取付けられている。
エンジン上部カバー用ステー53は、エンジン上部カバー29を開いたときに、エンジン上部カバー用ステー53の他端53B側がエンジン上部カバー用案内レール51を後方向に沿って移動し、エンジン上部カバー用案内レール51の前凹部51Aまたは後凹部51Bに係合することにより、エンジン上部カバー29の開状態を維持する。
この場合、エンジン上部カバー用ステー53の他端53B側を前凹部51Aに係合することにより、エンジン上部カバー29の開角度を中間開度(60°)に維持することができる(図10参照)。また、エンジン上部カバー用ステー53の他端53B側を後凹部51Bに係合することにより、エンジン上部カバー29の開角度を最大開度(90°)に維持することができる(図9、図11参照)。これにより、例えば機械室22内の搭載機器の部品を交換するときには、エンジン上部カバー29を最大開度に開放することができ、目視等の点検作業を行うときには、エンジン上部カバー29を中間開度に開放することができる。
後処理装置上部カバー用ステー54は、後処理装置上部カバー34とステップ45との間に設けられたものである。後処理装置上部カバー用ステー54は、後処理装置上部カバー34を開閉するときに、後処理装置上部カバー用案内レール52に案内されて後処理装置上部カバー34の開度を決めるものである。具体的には、後処理装置上部カバー用ステー54は、一端54A側が後処理装置上部カバー側支持ブラケット38に回動可能に取付けられ、他端54B側が後処理装置上部カバー用案内レール52に沿って移動可能に取付けられている。
後処理装置上部カバー用ステー54は、後処理装置上部カバー34を開いたときに、後処理装置上部カバー用ステー54の他端54B側が後処理装置上部カバー用案内レール52を後方向に沿って移動し、後処理装置上部カバー用案内レール52の前凹部52Aまたは後凹部52Bに係合することにより、後処理装置上部カバー34の開状態を維持する。
この場合、後処理装置上部カバー用ステー54の他端54B側を前凹部52Aに係合することにより、後処理装置上部カバー34の開角度を中間開度(60°)に維持することができる(図10、図11参照)。また、後処理装置上部カバー用ステー54の他端54B側を後凹部52Bに係合することにより、後処理装置上部カバー34の開角度を最大開度(90°)に維持することができる(図9参照)。これにより、例えば機械室22内の搭載機器の部品を交換するときには、後処理装置上部カバー34を最大開度に開放することができ、目視等の点検作業を行うときには、後処理装置上部カバー34を中間開度に開放することができる。
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、オペレータはキャブ7に搭乗してエンジン8を作動させる。そして、オペレータが、キャブ7内に配置された走行用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、油圧ショベル1を走行させることができ、作業用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、作業装置4を用いて土砂の掘削作業を行うことができる。
次に、機械室22内に配置されたエンジン8、熱交換器10、後処理ユニット13等の搭載機器のメンテナンスをする場合について説明する。
まず、作業者は、建屋カバー18の上面板21上に上がり、ラッチ43のキーシリンダ43Aにキー差し込みロック装置41を解錠する。そして、ロック装置41のストライカ42とラッチ43、固定具44Aのストライカ44A1とラッチ44A2、および固定具44Bのストライカ44B1とラッチ44B2との係合状態を解除する。
次に、エンジン上部カバー29の取っ手30を把持して上方に持上げることにより、後仕切板24の上面24Aに設けられたヒンジ32を回動支点として、エンジン上部カバー29を前,後方向に開けることができる。この場合、エンジン上部カバー用ステー53の他端53B側は、足乗せ部50の左板50Dに設けられたエンジン上部カバー用案内レール51を後方に沿って移動する。
そして、エンジン上部カバー用ステー53の他端53B側をステップ45のエンジン上部カバー用案内レール51に形成された複数(2個)の凹部51A,51Bのうち、前側に位置する前凹部51Aに係合することにより、エンジン上部カバー29を中間開度に開放して維持することができる(図10参照)。また、エンジン上部カバー29をより大きく開放したい場合には、エンジン上部カバー用ステー53の他端53B側を後側に位置する後凹部51Bに係合することにより、エンジン上部カバー29を最大開度に開放して維持することができる(図9、図11参照)。
次に、エンジン上部カバー29を開けた状態で、後処理装置上部カバー34の取っ手35を把持して上方に持上げることにより、後仕切板24の上面24Aに設けられたヒンジ39を回動支点として、後処理装置上部カバー34を前,後方向に開けることができる。この場合、後処理装置上部カバー用ステー54の他端54B側は、足乗せ部50の右板50Eに設けられた後処理装置上部カバー用案内レール52を後方に沿って移動する。
そして、後処理装置上部カバー用ステー54の他端54B側をステップ45の後処理装置上部カバー用案内レール52に形成された複数(2個)の凹部52A,52Bのうち、前側に位置する前凹部52Aに係合することにより、後処理装置上部カバー34を中間開度に開放して維持することができる(図10、図11参照)。また、後処理装置上部カバー34をより大きく開放したい場合には、後処理装置上部カバー用ステー54の他端54B側を後側に位置する後凹部52Bに係合することにより、後処理装置上部カバー34を最大開度に開放して維持することができる(図9参照)。
これにより、作業者は、上面板21の開口部21Dから機械室22内に配設されたエンジン8や後処理ユニット13のメンテナンスを行うことができる。また、作業者は、必要に応じてステップ45の足乗せ部50に足を乗せることにより、機械室22の奥側を簡単に覗き込むことができるので、例えばエンジン8の後側(カウンタウエイト6側)のメンテナンスの作業性を向上することができる。
ここで、本実施の形態では、エンジン上部カバー29は、カウンタウエイト6側を回動支点とすることにより、前,後方向に開閉可能としている。このように、エンジン上部カバー29を前,後方向に開閉可能とすることで、エンジン上部カバー用ステー53の他端53B側をエンジン上部カバー29の開閉方向と同方向である前,後方向に移動させることができる。そして、エンジン上部カバー用案内レール51は、足乗せ部50の左板50Dの長尺方向(前,後方向)に一体的に設ける構成としている。これにより、機械室22の上方に別個にエンジン上部カバー用ステー53を取付けるブラケットを設ける必要がないので、機械室22の上方に広いスペースを確保することができる。
また、後処理装置上部カバー34も同様に、カウンタウエイト6側を回動支点とすることにより、前,後方向に開閉可能としている。そして、後処理装置上部カバー用案内レール52は、足乗せ部50の右板50Eの長尺方向(前,後方向)に一体的に設ける構成としている。これにより、機械室22の上方に別個に後処理装置上部カバー用ステー54を取付けるブラケットを設ける必要がないので、機械室22の上方に広いスペースを確保することができる。
また、熱交換器10のメンテナンスを行うときには、エンジン上部カバー29を開けた状態で、熱交換器上部カバー25の右端25E側を上方に持上げることにより、後左上面板21Bに設けられたヒンジ26を回動支点として、熱交換器上部カバー25を左,右方向に開けることができる。
一方、エンジン8、熱交換器10、後処理ユニット13等の搭載機器のメンテナンスを終えたときには、熱交換器上部カバー25、エンジン上部カバー29、後処理装置上部カバー34を閉じる。この場合、後処理装置上部カバー用案内レール52の前凹部52Aまたは後凹部52Bに係合している後処理装置上部カバー用ステー54の他端54B側を持上げて係合を解除することにより、後処理装置上部カバー34を閉じることができる。その後、エンジン上部カバー用案内レール51の前凹部51Aまたは後凹部51Bに係合しているエンジン上部カバー用ステー53の他端53B側を持上げて係合を解除することにより、エンジン上部カバー29を閉じることができる。
そして、作業者は、各ストライカ42,44A1,44B1に各ラッチ43,44A2,44B2を係合させて、熱交換器上部カバー25、エンジン上部カバー29、後処理装置上部カバー34と建屋カバー18とのがたつきを防止し、最後にラッチ43のキーシリンダ43Aにキーを差し込み、ロック装置41を施錠する。これにより、エンジン上部カバー29は、ロック装置41により建屋カバー18にロックされ、熱交換器上部カバー25と後処理装置上部カバー34とは、ロック装置41により建屋カバー18に間接的にロックされる。
かくして、本実施の形態によれば、エンジン8を前,後方向に跨ぎ、作業者が足を乗せることができるステップ45の足乗せ部50に、エンジン上部カバー用ステー53を案内するエンジン上部カバー用案内レール51と、後処理装置上部カバー用ステー54を案内する後処理装置上部カバー用案内レール52とを一体的に設けている。
これにより、機械室22の上方の部品点数を少なくすることができるので、機械室22の上方に大きなスペースを確保することができ、メンテナンスの作業性を向上することができると共に、コストを低減することができる。
また、エンジンカバー28をエンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34とに分割して形成し、ステップ45は、エンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34との境界位置Aに配置されている。これにより、機械室22の上方のうちステップ45を挟んで熱交換器10側と後処理ユニット13側とのスペースをバランスよく開放することができる。従って、ステップ45を挟んで機械室22の左,右方向のどちら側も効率よくメンテナンスをすることができ、メンテナンスの作業性を向上することができる。
また、ステップ45の熱交換器10側にエンジン上部カバー用案内レール51を形成し、ステップ45の後処理ユニット13側に後処理装置上部カバー用案内レール52を形成している。これにより、エンジンカバー28をエンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34とに分割して形成しても、両方のカバー29、34の案内レール51、52をステップ45に設けているので、部品点数を少なくすることができ、機械室22の上方に大きなスペースを確保することができる。従って、メンテナンスの作業性を向上することができると共に、コストを低減することができる。
次に、図14、図15は、本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、ステップをエンジン上部カバーと後処理装置上部カバーとの境界位置から熱交換器側(左側)にずらして配置したことにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
ステップ61は、エンジン上部カバー29の内面29B1側および後処理装置上部カバー34の内面34C1側であってエンジン8の上方位置に固定的に設けられたものである。図14、図15に示すように、ステップ61は、機械室22の左,右方向でエンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34との境界位置Aから熱交換器側(左側)にずらした位置に配置され、エンジン8を前,後方向に跨いでいる。
エンジン上部カバー用ステー62は、エンジン上部カバー29とステップ61との間に設けられたものである。エンジン上部カバー用ステー62は、エンジン上部カバー29を開閉するときに、エンジン上部カバー用案内レール51に案内されてエンジン上部カバー29の開度を決めるものである。
また、後処理装置上部カバー用ステー63は、後処理装置上部カバー34とステップ61との間に設けられたものである。後処理装置上部カバー用ステー63は、ステップ61を左側にずらした位置に配置したので、第1の実施の形態による後処理装置上部カバー用ステー54よりも若干長くなっている。後処理装置上部カバー用ステー63は、後処理装置上部カバー34を開閉するときに、後処理装置上部カバー用案内レール52に案内されて後処理装置上部カバー34の開度を決めるものである。
かくして、第2の実施の形態においても上述した第1の実施の形態と同様の作用、効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態においては、機械室22内の搭載機器のうち、メンテナンスが多く行われる方のスペースを広くすることができるので、メンテナンスの作業性を向上することができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、熱交換器上部カバー25を左側面板19側を回動支点として左,右方向に開閉可能とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば図16に示す変形例のように、熱交換器上部カバー71をボルト72を用いて上面板21に固定する構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、エンジンカバー28をエンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34とに2分割した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばエンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34とを一体的な1個のエンジンカバーとして構成してもよい。このことは、第2の実施の形態および変形例についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、機械室22の上方をエンジンカバー28を構成するエンジン上部カバー29および後処理装置上部カバー34と、熱交換器上部カバー25とにより閉塞した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばエンジン上部カバー29、後処理装置上部カバー34、熱交換器上部カバー25を一体的な1個のエンジンカバーとして構成してもよい。また、エンジン上部カバー29と熱交換器上部カバー25とを一体的な1個のエンジン上部カバーとして構成してもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、上述した実施の形態では、後処理装置上部カバー34の上側にエンジン上部カバー29が重なるように配置された場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、エンジン上部カバー29の上側に後処理装置上部カバー34が重なるように配置されてもよい。また、エンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34とが重ならない構成としてもよい。
また、上述した第2の実施の形態では、ステップ61を境界位置Aから左側にずらした位置に配置した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばステップをエンジン上部カバー29と後処理装置上部カバー34との境界位置Aから後処理ユニット側(右側)にずらした位置に配置してもよい。
また、上述した実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。それ以外にも、ホイールローダ、ダンプトラック、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。