以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1において、建設機械としてのクローラ式の油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前,後方向の前側に俯仰動可能に設けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置4とにより構成されている。
上部旋回体3は、支持構造体をなす旋回フレーム5と、該旋回フレーム5の後側に設けられ、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト6と、旋回フレーム5の前部左側に設けられオペレータが搭乗するキャブ7と、カウンタウエイト6の前側に設けられ、内部に後述のエンジン8、熱交換器10、後処理ユニット13等の搭載機器を収容する建屋カバー18と、建屋カバー18に設けられエンジン8、熱交換器10、後処理ユニット13等の上方を覆うエンジンカバー29とにより大略構成されている。
図2、図3に示すように、車体フレームとしての旋回フレーム5は、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、該底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cと、該各縦板5B,5Cの左,右方向に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム5D,右サイドフレーム5Eと、前記底板5A、各縦板5B,5Cから左,右方向に張出し、その先端部に左,右のサイドフレーム5D,5Eを支持する複数本の張出ビーム5Fとを含んで構成されている。
エンジン8は、旋回フレーム5の後側でカウンタウエイト6の前側に位置し、旋回フレーム5上に左,右方向に延びる横置き状態で搭載されている。このエンジン8は、後述の機械室22内で旋回フレーム5上に防振状態で支持されている。そして、エンジン8の左側には、図3に示すように、後述の熱交換器10に冷却風を供給するための冷却ファン8Aが設けられている。一方、エンジン8の右側には、後述の油圧ポンプ9が設けられている。また、エンジン8には、エンジン8から排出された排気ガスを後述の第1の排気ガス後処理装置15に導く排気管8Bが接続されている。
油圧ポンプ9は、エンジン8の長さ方向の一方(右側)に設けられている。この油圧ポンプ9は、エンジン8によって駆動されることにより、後述の作動油タンク11から供給される作動油を、圧油として制御弁装置(図示せず)に向け吐出するものである。
熱交換器10は、エンジン8の長さ方向の他方(左側)に位置して旋回フレーム5上に設けられている。この熱交換器10は、平面視で(上方からみて)前,後方向に長い略矩形状となって後述の機械室22の左側に位置し、エンジン8の冷却ファン8Aに対面している。そして、熱交換器10は、枠構造をなす支持枠体10Aと、支持枠体10Aの内部に前,後方向に並んで配置されたラジエータ10B、オイルクーラ10C、インタクーラ10D等により構成されている。
支持枠体10Aは、ラジエータ10B、オイルクーラ10C、インタクーラ10D等の周囲を取囲んで冷却風を効率よく流通させている。また、支持枠体10Aには、ラジエータ10B、オイルクーラ10C、インタクーラ10D等の上方を覆う長箱状の上側連結板10A1が設けられている。この上側連結板10A1は、例えばボルト等により着脱可能に取付けられており、ラジエータ10B、オイルクーラ10C、インタクーラ10D等のメンテナンスや交換作業を行うために上側に引抜くときには簡単に取外すことができる構成となっている。
ラジエータ10Bは、エンジン冷却水の熱を冷却風中に放熱することにより、温度上昇したエンジン冷却水を冷却するものである。オイルクーラ10Cは、作動油の熱を冷却風中に放熱することにより、温度上昇した作動油を冷却するものである。インタクーラ10Dは、エンジン8が吸込む空気を冷却するものである。
作動油タンク11は、油圧ポンプ9の前側に位置して旋回フレーム5の右側に設けられている。この作動油タンク11は、下部走行体2、作業装置4等に設けられたアクチュエータを駆動するための作動油を貯えるものである。一方、燃料タンク12は、作動油タンク11の前側に位置して旋回フレーム5に設けられている。
後処理ユニット13は、エンジン8の右側に配置されるものである。この後処理ユニット13は、後述の機械室22の右側に位置し、エンジン8から排出される排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去し、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化し、さらに排気ガスの騒音を低減するものである。
後処理ユニット13は、油圧ポンプ9を前,後方向に跨ぐようにして、旋回フレーム5上に設けられた後処理装置取付架台14と、エンジン8の排気管8Bの出口側に接続され、後処理装置取付架台14に取付けられた第1の排気ガス後処理装置15と、第1の排気ガス後処理装置15の出口側に接続された接続管16と、接続管16の出口側に接続され、後処理装置取付架台14に取付けられた第2の排気ガス後処理装置17等により構成されている。
即ち、第1,第2の排気ガス後処理装置15,17は、油圧ポンプ9の上方に位置して後処理装置取付架台14に取付けられ、エンジン8から排出された排気ガスを浄化処理するものである。第1,第2の排気ガス後処理装置15,17で浄化処理された排気ガスは、第2の排気ガス後処理装置17の出口側に接続された排気管17Aから後述の尾管42を介して外部へと排出される。
建屋カバー18は、図4に示すように、キャブ7とカウンタウエイト6との間に位置して旋回フレーム5上に設けられている。この建屋カバー18は、左,右の側面板19,20およびこれら各側面板19,20の上端に配置され、メンテナンスをするための開口部21Dを有する上面板21からなっている。
左側面板19は、キャブ7とカウンタウエイト6との間で左サイドフレーム5Dから立上っている。そして、左側面板19は、キャブ7側に位置する前左側面板19Aと、カウンタウエイト6側に位置し、熱交換器10に対面する後左側面板19Bとにより構成されている。また、後左側面板19Bの上端側には、冷却ファン8Aの駆動により外部の空気(冷却風)を後述の機械室22内に取込む吸気口19B1が設けられている。一方、右側面板20は、作動油タンク11とカウンタウエイト6との間で、後処理ユニット13に対面して右サイドフレーム5Eから立上っている。
上面板21は、前左側面板19Aの上端と作動油タンク11の上面との間に配置された前上面板21Aと、前上面板21Aの左後側に配置され後左側面板19Bの上端から後述の機械室22側(右側)に延びる後左上面板21Bと、作動油タンク11の上面とカウンタウエイト6の上面との間に配置され、右側面板20の上端から後述の機械室22側(左側)に延びる後右上面板21Cと、前上面板21Aと後左上面板21Bと後右上面板21Cとカウンタウエイト6の上面とにより囲まれた開口部21Dとにより構成されている。
前上面板21Aおよび作動油タンク11の上面には、後述のエンジンカバー29を固定または施錠する後述のラッチ49,50A2,50B2が左,右方向に離間して設けられている。後左上面板21Bには、冷却ファン8Aの駆動により外部の空気(冷却風)を後述の機械室22内に取込む吸気口21B1が設けられている。また、後左上面板21Bのうち吸気口21B1と開口部21D(機械室22)との間には、前,後方向に離間して後述の熱交換器上部カバー36を取付けるためのめねじ孔21B2が、例えば裏ナット、裏ねじ座等を用いて設けられている。
機械室22は、建屋カバー18によって覆われ、エンジン8、熱交換器10、後処理ユニット13を含む搭載機器を収容している。この機械室22の上側は、開口部21Dにより開口しており、常時は後述のエンジンカバー29により覆われ(閉塞され)ている。図3ないし図7に示すように、機械室22には、左,右方向の左側から順に、熱交換器10、エンジン8、後処理ユニット13が並んで配置されている。
また、機械室22の前側(作業装置4側)には、前上面板21Aから立下がる前仕切板23が旋回フレーム5上に設けられている。一方、機械室22の後側(カウンタウエイト6側)には、上端が前方に向けて屈曲した後仕切板24が旋回フレーム5上またはカウンタウエイト6に設けられている。後仕切板24の上面24Aのうち左側には、離間した2箇所に後述のエンジン上部カバー30を回動可能に取付けるためのめねじ孔24A1が例えば裏ナット、裏ねじ座等を用いて設けられている。一方、後仕切板24の上面24Aのうち右側には、離間した2箇所に後述の後処理装置上部カバー39を回動可能に取付けるためのめねじ孔24A2が例えば裏ナット、裏ねじ座等を用いて設けられている。
ステップ25は、エンジン8の上方を前,後方向に跨いで設けられたものである。このステップ25は、機械室22の左,右方向で後述のエンジン上部カバー30と後処理装置上部カバー39との境界部の近傍に設けられている。ステップ25は、オペレータや作業者がエンジン8等のメンテナンスをするときに足を乗せるためのものである。そして、ステップ25は、前仕切板23に取付けられた前脚部26と、後仕切板24に取付けられた後脚部27と、前脚部26と後脚部27との間を連結する足乗せ部28とにより構成されている。
足乗せ部28は、前,後方向に長い略L字状の上板28Aと、上板28Aの前端から立下がる前板28Bと、上板28Aの後端から立下がり前板28Bと対面する後板28Cと、上板28Aの左端から立下がる左板28Dと、上板28Aの右端から立下がり左板28Dと対面する右板28Eとにより構成されている。
図6、図7に示すように、左板28Dと右板28Eとには、前,後方向に延びる案内レール28F(右板28Eの案内レール28Fのみ図示)が形成されている。また、案内レール28Fの後端側には、下方に凹む凹部が前,後方向に並んで2箇所設けられている。この案内レール28Fには、後述のエンジン上部カバー側ステー35の一端側および後処理装置上部カバー側ステー46の一端側が摺動可能に設けられている。
エンジンカバー29は、上面板21の開口部21Dを覆うものである。即ち、エンジンカバー29は、上面板21上を左,右方向に延び、機械室22の上方を覆っている。そして、エンジンカバー29は、エンジン上部カバー30、熱交換器上部カバー36、後処理装置上部カバー39とに3分割して形成されている。
エンジン上部カバー30は、エンジンカバー29の中央部分を構成するものである。このエンジン上部カバー30は、エンジン8の上方に配置され、エンジン8の上方全域をほぼ覆うものである。また、エンジン上部カバー30は、カウンタウエイト6側(後側)を回動支点(回転端)とし、機械室22側(前側)を自由端(開閉側)として開閉可能となっている。即ち、エンジン上部カバー30は、機械室22とカウンタウエイト6との間に回動支点を設けることにより前,後方向に開閉可能となっている。
そして、エンジン上部カバー30は、前上面板21Aから立上る前面板30Aと、前面板30Aの上端から後方(カウンタウエイト6側)に向けて延びる上面板30Bと、上面板30Bの後端から立下がる後面板30Cとにより、全体として略コ字状に形成されている。
前面板30Aは、右側に位置する右前板30A1と、右前板30A1の左端から左斜め前側に向けて延びる斜め板30A2と、斜め板30A2の左端から左側に向けて延びる左前板30A3とにより構成されている。右前板30A1には、後述のストライカ48が設けられ、左前板30A3には、後述のストライカ50A1が設けられている。また、斜め板30A2には、エンジン上部カバー30の開閉作業を行うときの取っ手31が設けられている。
上面板30Bは、上面板30Bの右側と後部側に位置する略L字状の下段部30B1と、上面板30Bの左前側に位置する上段部30B2とにより段付状に形成されている。図6、図7に示すように、下段部30B1の右端側の裏面30B3には、支持ブラケット32が設けられている。この支持ブラケット32は、後述のエンジン上部カバー側ステー35の他端側を回動可能に支持している。
また、図4、図5に示すように、上面板21の後左上面板21Bから上面板30Bの左端30Dまでの高さ寸法Aは、上面板21の後左上面板21Bから後述の熱交換器上部カバー36の右端36Eまでの高さ寸法Bよりも高い寸法となっている。一方、上面板21の後右上面板21Cから上面板30Bの右端30Eまでの高さ寸法Cは、後右上面板21Cから後処理装置上部カバー39の左端39Eまでの高さ寸法Dよりも高い寸法となっている。
後面板30Cの下端側の裏面30C1には、左,右方向に離間して2個のヒンジ33が設けられている。このヒンジ33は、ボルトを後仕切板24のめねじ孔24A1に螺合することにより、後仕切板24の上面24Aに取付けられる。これにより、エンジン上部カバー30は、後面板30Cの下端を回転端とし、後面板30Cの下端よりも前側を自由端として前,後方向に回動可能となっている。
弾性部材34A〜34Dは、エンジン上部カバー30の端縁全周に取付けられたものである。これら弾性部材34A〜34Dは、例えば可撓性を有するゴムや樹脂等の材料から形成され、他の部材との衝撃を低減したり、雨水等が機械室22内に浸入するのを防止したりするものである。
弾性部材34Aは、前面板30Aの下端に嵌め込まれている。これにより、弾性部材34Aは、前面板30Aと上面板21の前上面板21Aとの衝撃を低減したり、前面板30Aと前上面板21Aと間の隙間を閉塞したりする。弾性部材34Bは、後面板30Cの下端に嵌め込まれている。これにより、弾性部材34Bは、後面板30Cと、後仕切板24およびカウンタウエイト6との衝撃を低減したり、後面板30Cと、後仕切板24およびカウンタウエイト6との間の隙間を閉塞したりする。
弾性部材34Cは、エンジン上部カバー30の左端30Dに嵌め込まれている。これにより、弾性部材34Cは、エンジン上部カバー30と熱交換器上部カバー36との衝撃を低減したり、エンジン上部カバー30と熱交換器上部カバー36と間の隙間を閉塞したりする。弾性部材34Dは、エンジン上部カバー30の右端30Eに嵌め込まれている。これにより、弾性部材34Dは、エンジン上部カバー30と後処理装置上部カバー39との衝撃を低減したり、エンジン上部カバー30と後処理装置上部カバー39と間の隙間を閉塞したりする。
エンジン上部カバー側ステー35は、一端側がステップ25の左板28Dの案内レールに摺動可能に取付けられ、他端側が支持ブラケット32に回動可能に取付けられたものである。図6、図7に示すように、エンジン上部カバー側ステー35は、エンジン上部カバー30を開いたときに、エンジン上部カバー側ステー35の一端側がステップ25の足乗せ部28の左板28Dに形成された案内レールを後方向に摺動(スライド移動)して案内レールの凹部に係合することにより、エンジン上部カバー30の開状態を維持する。なお、案内レールの凹部は、前,後方向に2箇所設けられており、これらの凹部を選択してエンジン上部カバー側ステー35の一端側を係合することにより、エンジン上部カバー30の開角度を例えば60°または90°に設定することができる。
熱交換器上部カバー36は、エンジンカバー29の左側部分を構成するものである。この熱交換器上部カバー36は、エンジン上部カバー30と隣接して熱交換器10の上方に配置されている。即ち、熱交換器上部カバー36は、エンジン上部カバー30と隣接して、エンジン上部カバー30の左側(左側面板19側)に配置され、熱交換器10の上方全域を覆うものである。また、熱交換器上部カバー36は、左側面板19側を回動支点(回転端)とし、機械室22側(右側)を自由端(開閉側)として開閉可能となっている。即ち、熱交換器上部カバー36は、機械室22と左側面板19との間に回動支点を設けることにより、左,右方向に開閉可能となっている。従って、熱交換器上部カバー36とエンジン上部カバー30とは、開閉方向が90°異なっている。
そして、熱交換器上部カバー36は、前上面板21Aから立上る前面板36Aと、前面板36Aの上端から後方に向けて延びる上面板36Bと、上面板36Bの後端から立下がる後面板36Cと、上面板36Bの左端から立下がる左面板36Dとにより、右方と下方とが開口した前,後方向に長尺なボックス状に形成されている。
左面板36Dの下端側の裏面36D1には、前,後方向に離間して2個のヒンジ37が設けられている。このヒンジ37は、ボルトを後左上面板21Bのめねじ孔21B2に螺合することにより、後左上面板21Bに取付けられる。これにより、熱交換器上部カバー36は、左面板36Dの下端を回転端とし、左面板36Dの下端よりも右側を自由端として左,右方向に回動可能となっている。
この場合、熱交換器上部カバー36は、長尺方向(前,後方向)と短尺方向(左,右方向)のうち、短尺方向で開閉しているので、熱交換器上部カバー36を軽い力で開くことができる。しかも、短尺方向で開くことにより、熱交換器10の上方を前,後方向に亘って簡単に大きく(例えば、90°以上)開放することができる。
ここで、図4、図5に示すように、熱交換器上部カバー36とエンジン上部カバー30とを閉じたときに、後左上面板21Bから上面板36Bの右端36Eまでの高さ寸法Bは、後左上面板21Bからエンジン上部カバー30の上面板30Bの左端30Dまでの高さ寸法Aよりも低い寸法となっている。
これにより、熱交換器上部カバー36は、自由端側である右端36Eがエンジン上部カバー30の下側に重なるように配置される。従って、熱交換器上部カバー36は、エンジン上部カバー30を開いたときにだけ開くことができる構成となっている。換言すると、熱交換器上部カバー36は、エンジン上部カバー30により固定(閉状態を維持)される構成となっている。これにより、熱交換器上部カバー36は、専用のロック装置を設けることなく、建屋カバー18に対して固定することができる。
弾性部材38は、熱交換器上部カバー36の下端に取付けられたものである。この弾性部材38は、例えば可撓性を有するゴムや樹脂等の材料から形成され、上面板21との衝撃を低減したり、熱交換器上部カバー36と上面板21との間の隙間を閉塞して、雨水等が機械室22内に浸入するのを防止したりするものである。
後処理装置上部カバー39は、エンジンカバー29の右側部分を構成するものである。この後処理装置上部カバー39は、エンジン上部カバー30と隣接して後処理ユニット13(排気ガス後処理装置15,17)の上方に配置されている。即ち、後処理装置上部カバー39は、エンジン上部カバー30と隣接して、エンジン上部カバー30の右側(右側面板20側)に配置され、後処理ユニット13の上方全域を覆うものである。また、後処理装置上部カバー39は、カウンタウエイト6側(後側)を回動支点(回転端)とし、機械室22側(前側)を自由端(開閉側)として開閉可能となっている。即ち、後処理装置上部カバー39は、機械室22とカウンタウエイト6との間に回動支点を設けることにより前,後方向に開閉可能となっている。
そして、後処理装置上部カバー39は、前上面板21Aおよび作動油タンク11の上面から立上る前面板39Aと、前面板39Aの上端から後方(カウンタウエイト6側)に向けて延びる上面板39Bと、上面板39Bの後端から立下がる後面板39Cと、上面板39Bの右端から立下がる右面板39Dとにより左方と下方とが開口したボックス状に形成されている。
前面板39Aには、後述のストライカ50B1と取っ手40とが左,右方向に並んで設けられている。上面板39Bには、前,後方向に延びる長方形状の排出口39B1が左,右方向に並んで2個形成されている。また、上面板39Bの後端側には、円形状の排出口39B2が形成されている(図6参照)。
上面板39Bのうち各排出口39B1に対応した位置には、右側に向けて開口したルーバ41が設けられている。これにより、後左側面板19Bの吸気口19B1や後左上面板21Bの吸気口21B1から機械室22内に導入された冷却風は、排出口39B1からルーバ41を介して右側に向けて外部に排出される。また、上面板39Bのうち排出口39B2に対応した位置には、尾管42が設けられている。この尾管42は、排出口39B2を介して第2の排気ガス後処理装置17の排気管17Aに接続されている。これにより、エンジン8から排出された排気ガスは、第1,第2の排気ガス後処理装置15,17により浄化処理された後に排出口39B2から尾管42を介して外部へと排出される。
後面板39Cの上端側の裏面39C1には、支持ブラケット43が設けられている。この支持ブラケット43は、後述の後処理装置上部カバー側ステー46の他端側を回動可能に支持している。また、後面板39Cの下端側の裏面39C1には、左,右方向に離間して2個のヒンジ44が設けられている。このヒンジ44は、ボルトを後仕切板24のめねじ孔24A2に螺合することにより、後仕切板24の上面24Aに取付けられる。これにより、後処理装置上部カバー39は、後面板39Cの下端を回転端とし、後面板39Cの下端よりも前側を自由端として前,後方向に回動可能となっている。
右面板39Dには、前,後方向に並んで排出口39D1が設けられている。この排出口39D1は、後左側面板19Bの吸気口19B1や後左上面板21Bの吸気口21B1から機械室22内に導入された冷却風を外部に向けて排出するものである。
ここで、図4に示すように、後処理装置上部カバー39とエンジン上部カバー30とを閉じたときに、後右上面板21Cから上面板39Bの左端39Eまでの高さ寸法Dは、後右上面板21Cからエンジン上部カバー30の上面板30Bの右端30Eまでの高さ寸法Cよりも低い寸法となっている。
これにより、後処理装置上部カバー39は、自由端側である左端39Eがエンジン上部カバー30の下側に重なるように配置される。従って、後処理装置上部カバー39は、エンジン上部カバー30を開いたときにだけ開くことができる構成となっている。換言すると、後処理装置上部カバー39は、エンジン上部カバー30により固定(閉状態を維持)される構成となっている。これにより、後処理装置上部カバー39は、後述のロック装置47を設けることなく、建屋カバー18に対して固定することができる。
弾性部材45は、後処理装置上部カバー39の下端に取付けられたものである。この弾性部材45は、例えば可撓性を有するゴムや樹脂等の材料から形成され、上面板21および作動油タンク11との衝撃を低減したり、後処理装置上部カバー39と、上面板21および作動油タンク11との間の隙間を閉塞して、雨水等が機械室22内に浸入するのを防止したりするものである。
後処理装置上部カバー側ステー46は、一端側をステップ25の右板28Eの案内レール28Fに摺動可能に取付け、他端側を支持ブラケット43に回動可能に取付けられたものである。図6、図7に示すように、後処理装置上部カバー側ステー46は、後処理装置上部カバー39を開いたときに、後処理装置上部カバー側ステー46の一端側がステップ25の足乗せ部28の右板28Eに形成された案内レール28Fを後方向に摺動(スライド移動)する。
そして、後処理装置上部カバー側ステー46の一端側は、案内レール28Fの凹部に係合することにより、後処理装置上部カバー39の開状態を維持することができる。なお、案内レール28Fの凹部は、前,後方向に2箇所設けられており、これらの凹部を選択して後処理装置上部カバー側ステー46の一端側を係合することにより、後処理装置上部カバー39の開角度を例えば60°または90°に設定することができる。
ここで、エンジン上部カバー30と、熱交換器上部カバー36および後処理装置上部カバー39との配置関係について説明する。
エンジン上部カバー30は、機械室22の上方で左,右方向の中央部に配置されている。熱交換器上部カバー36は、エンジン上部カバー30と隣接して、エンジン上部カバー30の左側に配置されている。また、後処理装置上部カバー39は、エンジン上部カバー30と隣接して、エンジン上部カバー30の右側に配置されている。
この場合、エンジン上部カバー30の左端30D側は、熱交換器上部カバー36の右端36E側を覆っている。一方、エンジン上部カバー30の右端30E側は、後処理装置上部カバー39の左端39E側を覆っている。即ち、図4、図5に示すように、上面板21の後左上面板21Bからエンジン上部カバー30の上面板30Bの左端30Dまでの高さ寸法Aは、上面板21の後左上面板21Bから熱交換器上部カバー36の上面板36Bの右端36Eまでの高さ寸法Bよりも高い寸法となっている。従って、エンジン上部カバー30と熱交換器上部カバー36とを閉じたときに、熱交換器上部カバー36の右端36E(自由端)に対してエンジン上部カバー30の左端30D(自由端)が上側に重なるように配置されている。
また、上面板21の後右上面板21Cからエンジン上部カバー30の上面板30Bの右端30Eまでの高さ寸法Cは、後右上面板21Cから後処理装置上部カバー39の上面板39Bの左端39Eまでの高さ寸法Dよりも高い寸法となっている。即ち、エンジン上部カバー30と後処理装置上部カバー39とを閉じたときに、後処理装置上部カバー39の左端39E(自由端)に対してエンジン上部カバー30の右端30E(自由端)が上側に重なるように配置されている。
これにより、エンジン上部カバー30、熱交換器上部カバー36、後処理装置上部カバー39を閉じたときに、エンジン上部カバー30は、熱交換器上部カバー36と後処理装置上部カバー39とを上側から覆うことにより、熱交換器上部カバー36と後処理装置上部カバー39とを建屋カバー18に対して固定する構成となっている。
ロック装置47は、エンジン上部カバー30と上面板21との間に設けられたものである。このロック装置47は、エンジン上部カバー30を閉じた状態で、エンジン上部カバー30を上面板21に対して施錠、解錠可能にロックするものである。そして、ロック装置47は、エンジン上部カバー30の右前板30A1に設けられたストライカ48と、前上面板21Aに設けられ、キーシリンダ49Aを有するラッチ49とにより構成されている。
エンジン上部カバー30は、ラッチ49をストライカ48に係合することにより上面板21に固定される。そして、ラッチ49のキーシリンダ49Aに差し込んだキー(図示せず)を回すことにより、ストライカ48とラッチ49とを抜止め状態に施錠することができる。この場合、エンジン上部カバー30は、熱交換器上部カバー36や後処理装置上部カバー39に対して上側に重ねて配置されているから、熱交換器上部カバー36や後処理装置上部カバー39を固定している。従って、ロック装置47によりエンジン上部カバー30を上面板21(建屋カバー18)にロックすると、間接的に熱交換器上部カバー36や後処理装置上部カバー39も建屋カバー18に対して開放不可状態にロックされる構成となっている。
また、キーシリンダ49Aに差し込んだキー(図示せず)を逆側に回すことにより、ストライカ48とラッチ49との抜止め状態を解錠することができる。そして、ラッチ49とストライカ48との係合を解除することにより、エンジン上部カバー30を開けることができ、その後に熱交換器上部カバー36や後処理装置上部カバー39を開けることができる。
なお、固定具50Aは、エンジン上部カバー30の左前板30A3に設けられたストライカ50A1と前上面板21Aに設けられたラッチ50A2とにより構成され、固定具50Bは、後処理装置上部カバー39の前面板39Aに設けられたストライカ50B1と作動油タンク11の上面に設けられたラッチ50B2とにより構成されたものである。これら固定具50A、50Bのラッチ50A2,50B2には、キーシリンダが備えられておらず、その他はロック装置47と同様の構成となっている。固定具50A,50Bは、エンジン上部カバー30や後処理装置上部カバー39のがたつきを抑制するものである。
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、オペレータはキャブ7に搭乗してエンジン8を作動させる。そして、オペレータが、キャブ7内に配置された走行用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、油圧ショベル1を走行させることができ、作業用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、作業装置4を用いて土砂の掘削作業を行うことができる。
次に、機械室22内に配置されたエンジン8、熱交換器10、後処理ユニット13等の搭載機器のメンテナンスをする場合について説明する。
まず、作業者は、建屋カバー18の上面板21上に上がり、ラッチ49のキーシリンダ49Aにキーを差し込みロック装置47を解錠する。そして、ロック装置47のストライカ48とラッチ49、固定具50Aのストライカ50A1とラッチ50A2、および固定具50Bのストライカ50B1とラッチ50B2との係合状態を解除する。
次に、エンジン上部カバー30の取っ手31を把持して上方に持上げることにより、後仕切板24の上面24Aに設けられたヒンジ33を回動支点として、エンジン上部カバー30を前,後方向に開けることができる。この場合、エンジン上部カバー30は、エンジン8の上方のみを覆うものであるから、軽量かつコンパクトに形成されている。従って、作業者は、容易にエンジン上部カバー30を開けることができる。
そして、エンジン上部カバー側ステー35の一端側をステップ25の案内レールに形成された複数(2個)の凹部のうち、前側に位置する凹部に係合することにより、エンジン上部カバー30は、上面板21に対する開角度を60°に開放して維持することができる。また、エンジン上部カバー30をより大きく開放したい場合には、エンジン上部カバー側ステー35の一端側をステップ25の案内レールに形成された複数(2個)の凹部のうち、後側に位置する凹部に係合することにより、エンジン上部カバー30は、上面板21に対する開角度を90°に開放して維持することができる(図6、図7参照)。
これにより、作業者は、上面板21の開口部21Dから機械室22内に配設されたエンジン8のメンテナンスを行うことができる。この場合、作業者は、ステップ25の足乗せ部28に片足を乗せることにより、機械室22の奥側を簡単に覗き込むことができるので、例えばエンジン8の後側(カウンタウエイト6側)のメンテナンスの作業性を向上することができる。
次に、熱交換器10のメンテナンスを行うときには、エンジン上部カバー30を開けた状態で、熱交換器上部カバー36の右端36E側を上方に持上げることにより、後左上面板21Bに設けられたヒンジ37を回動支点として、熱交換器上部カバー36を左,右方向に開けることができる。この場合、熱交換器上部カバー36は、熱交換器10の上方のみを覆うものであるから、軽量かつコンパクトに形成されている。従って、作業者は、容易に熱交換器上部カバー36を開けることができる。
図6に示すように、熱交換器上部カバー36は、左側面板19側を回動支点として、エンジン上部カバー30とは開閉方向が90°異なる左,右方向に開く構成となっている。これにより、熱交換器上部カバー36は、長尺方向(前,後方向)と短尺方向(左,右方向)のうち、短尺方向で開閉しているので、熱交換器上部カバー36を軽い力で開くことができる。しかも、短尺方向で開くことにより、熱交換器10の上方を前,後方向に亘って簡単に大きく(例えば、90°以上)開放することができる。
そして、作業者は、熱交換器10の上側連結板10A1を取外すことにより、図6の二点鎖線で示すように、ラジエータ10B、オイルクーラ10C、インタクーラ10Dを上側に引抜くことができる。また、作業者は、必要に応じてステップ25の足乗せ部28に足を乗せることにより、メンテナンスの作業性を向上することができる。
次に、後処理ユニット13のメンテナンスを行うときには、エンジン上部カバー30を開けた状態で、後処理装置上部カバー39の取っ手40を把持して上方に持上げることにより、後仕切板24の上面24Aに設けられたヒンジ44を回動支点として、後処理装置上部カバー39を前,後方向に開けることができる。この場合、後処理装置上部カバー39は、後処理ユニット13の上方のみを覆うものであるから、軽量かつコンパクトに形成されている。従って、作業者は、容易に後処理装置上部カバー39を開けることができる。
そして、後処理装置上部カバー側ステー46の一端側をステップ25の案内レール28Fに形成された複数(2個)の凹部のうち、前側に位置する凹部に係合することにより、後処理装置上部カバー39は、上面板21に対する開角度を例えば60°に開放して維持することができる。また、後処理装置上部カバー39をより大きく開放したい場合には、後処理装置上部カバー側ステー46の一端側をステップ25の案内レール28Fに形成された複数(2個)の凹部のうち、後側に位置する凹部に係合することにより、後処理装置上部カバー39は、上面板21に対する開角度を90°に開放して維持することができる(図6、図7参照)。
これにより、作業者は、上面板21の開口部21Dから機械室22内に配設された後処理ユニット13のメンテナンスを行うことができる。また、作業者は、必要に応じてステップ25の足乗せ部28に足を乗せることにより、メンテナンスの作業性を向上することができる。
そして、エンジン8、熱交換器10、後処理ユニット13等の搭載機器のメンテナンスを終えたときには、熱交換器上部カバー36と後処理装置上部カバー39とを閉じた後にエンジン上部カバー30を閉じる。この場合、エンジン上部カバー30の左端30D側は、熱交換器上部カバー36の右端36E側の上側に重なる。これにより、熱交換器上部カバー36は、エンジン上部カバー30により上方への移動を規制される。即ち、熱交換器上部カバー36は、エンジン上部カバー30により動作が規制された固定状態(開放不可状態)となる。
また、エンジン上部カバー30の右端30E側は、後処理装置上部カバー39の左端39E側の上側に重なる。これにより、後処理装置上部カバー39は、エンジン上部カバー30により上方への移動が規制される。即ち、後処理装置上部カバー39は、エンジン上部カバー30により固定され開放不可状態となる。
そして、作業者は、各ストライカ48,50A1,50B1に各ラッチ49,50A2,50B2を係合させて、エンジン上部カバー30、熱交換器上部カバー36、後処理装置上部カバー39と建屋カバー18とのがたつきを防止する。その後、ラッチ49のキーシリンダ49Aにキーを差し込み、ロック装置47を施錠する。これにより、エンジン上部カバー30は、ロック装置47により建屋カバー18にロックされ、熱交換器上部カバー36と後処理装置上部カバー39とは、ロック装置47により建屋カバー18に間接的にロックされる。
かくして、本実施の形態によれば、エンジンカバー29をエンジン8の上方に配置されるエンジン上部カバー30と、熱交換器10の上方に配置される熱交換器上部カバー36と、後処理ユニット13の上方に配置される後処理装置上部カバー39とに分割して形成しているので、これら各カバー30、36、39の重量を低減することができ、各カバー30、36、39を開閉するときの操作力を低減することができる。
さらに、エンジン上部カバー30と熱交換器上部カバー36とを閉じたときに、エンジン上部カバー30が熱交換器上部カバー36の上側に重なるように配置されるので、熱交換器上部カバー36は、エンジン上部カバー30により固定される。これにより、熱交換器10の周囲や熱交換器上部カバー36にロック装置47等を設ける必要がないので、コストを低減することができると共に、搭載機器類のメンテナンスを行うときの作業性を向上することができる。
また、エンジン上部カバー30と後処理装置上部カバー39とを閉じたときに、エンジン上部カバー30が後処理装置上部カバー39の上側に重なるように配置されるので、後処理装置上部カバー39は、エンジン上部カバー30により固定される。これにより、コストを低減することができると共に、搭載機器類のメンテナンスを行うときの作業性が低下するのを抑制することができる。
また、熱交換器上部カバー36は、左側面板19側を回動支点とし機械室22側を自由端として開閉可能に設けられているので、熱交換器上部カバー36を開いたときに、熱交換器10の前,後方向に亘って熱交換器10の上方を簡単に開放させることができる。これにより、熱交換器10を構成するラジエータ10B、オイルクーラ10C、インタクーラ10D等を簡単に上方に引抜くことができるので、熱交換器10のメンテナンスの作業性を向上することができる。
また、熱交換器上部カバー36と後処理装置上部カバー39よりも上側に配置されたエンジン上部カバー30にロック装置47を設けているので、1個のロック装置47でエンジン上部カバー30、熱交換器上部カバー36、後処理装置上部カバー39を建屋カバー18に対して施錠、解錠可能にロックすることができる。これにより、コストを低減することができると共に、搭載機器類のメンテナンスを行うときの作業性を向上することができる。
また、上述した実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。それ以外にも、ホイールローダ、ダンプトラック、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。