JP6207230B2 - メタクリル系樹脂の製造方法、メタクリル系樹脂、及び成形体 - Google Patents
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Description
特に近年では、導光板や液晶ディスプレイ用フィルム等の光学材料への使用が進んでおり、高温下での使用を想定した用途にも展開され、より高度な耐熱性や光学特性が求められている。
一般的にマレイミド系単量体は常温で固体であることが多いため、前記PMMAの重合を塊状重合や懸濁重合法で行う場合、マレイミド系単量体を当該マレイミド系単量体以外のモノマー種に溶解させた後、当該溶液を重合系に供することが多い。しかしながら、マレイミド系単量体をモノマー種に溶解させるためには長時間を有するため、生産性に劣るという問題を有している。
マレイミド系単量体を溶解させずにPMMAの重合系に導入する方法としては、マレイミド系単量体を水性分散体として重合系に供給する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。また、マレイミド系単量体を直接反応槽に仕込んだ後、反応槽中で微分散させた上で、反応に供する方法も開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、特許文献3に記載されている製造方法においては、マレイミド系単量体を水に分散させてマレイミドスラリーとして連続フィードしているが、分散性を向上させるために、マレイミド系単量体の粒子径は極力小さくして投入していることから、当該粒子の表面積が大きくなり水との接触面積が大きくなり、マレイミドの加水分解を起こしやすくなり、生成する酸性成分により重合安定性が低下するおそれがある上、所望の特性が得られないおそれがあるという問題を有している。また、スラリー状態で長時間かけて連続フィードすることから、工程が煩雑になり、生産性に課題がある。
特許文献4に記載されている製造方法においては、マレイミドの粉体を反応槽に供給した後、高温下でマレイミドを固溶体として微分散させた後に反応に供しているが、該方法でもマレイミドの加水分解を起こしやすいことから、重合安定性が低下する恐れがある。また、得られた樹脂の色調について考慮されておらず、より優れた色調の樹脂を得られる製造方法が望まれている。
上述した従来技術の問題に鑑み、マレイミドの加水分解を抑制するため、水とマレイミド系単量体の粒子との接触時間を減じた、高い生産性を有し、かつ、高い色調を保持できるPMMAの重合方法が求められている。
そこで、本発明においては、耐熱性が高く、色調、透明性に優れ、耐湿熱性にも優れているメタクリル系樹脂を、高い生産性、重合安定性を保持したまま効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は以下の通りである。
メタクリル酸エステル系単量体(A):50〜99質量%、
マレイミド系単量体(B)1〜30質量%、
及び、その他のビニル系単量体(C):0〜20質量%を、反応槽中で共重合する重合工
程を有し、
下記(1)〜(5)の条件を満たすメタクリル系樹脂の製造方法。
(1)前記マレイミド系単量体(B)は、25℃で固体である。
(2)前記マレイミド単量体(B)を、水に分散させた状態で反応槽に供給する。
(3)前記マレイミド系単量体(B)は、0.15mm以下の粒子径成分の含有量が
、10質量%以下である。
(4)前記マレイミド系単量体(B)の水分散体を、反応槽に供給する際の前記マレイミド系単量体(B)の水分散体の温度が、0℃以上80℃以下である。
(5)前記マレイミド系単量体(B)以外の重合単量体を、反応槽に供給する際の反応槽内温度が、0℃以上80℃以下である。
〔2〕
前記マレイミド系単量体(B)の水分散体を、当該マレイミド系単量体(B)の融点よ
り20℃以上低い温度で、前記反応槽中に供給する、前記〔1〕に記載のメタクリル系樹
脂の製造方法。
〔3〕
前記マレイミド系単量体(B)以外の重合単量体を、
前記反応槽が、前記マレイミド系単量体(B)の融点より20℃以上低い温度である条
件下で、前記反応槽中に供給する、前記〔1〕又は〔2〕に記載のメタクリル系樹脂の製
造方法。
〔4〕
前記マレイミド系単量体(B)が、N−フェニルマレイミド及びN−シクロヘキシルマ
レイミドからなる群より選ばれる少なくとも一種である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれ
か一に記載のメタクリル系樹脂の製造方法。
〔5〕
前記重合工程が、懸濁重合法により実施される、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に
記載のメタクリル系樹脂の製造方法。
〔6〕
前記マレイミド系単量体(B)を分散させる水の温度が、0℃以上80℃以下である、
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のメタクリル系樹脂の製造方法。
〔7〕
前記マレイミド系単量体(B)の9.5mm以上の粒子径成分の含有量が10質量%以
下である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のメタクリル系樹脂の製造方法。
〔8〕
前記マレイミド系単量体(B)の平均粒子径が、0.2mm以上9mm以下である、前
記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のメタクリル系樹脂の製造方法。
〔9〕
前記重合工程において、重合開始剤を、前記メタクリル酸エステル系単量体(A)、及
び前記その他のビニル系単量体(C)と共に、前記反応槽に供給する、前記〔1〕乃至〔
8〕のいずれか一に記載のメタクリル系樹脂の製造方法。
なお、以下において、重合前のモノマー成分のことを「〜単量体」といい、「単量体」を省略することもある。また、重合体を構成する構成単位のことを「〜単量体単位」という。
本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法においては、
メタクリル酸エステル系単量体(A):50〜99質量%、
マレイミド系単量体(B)1〜30質量%、
及び、前記(A)、(B)に共重合可能なその他のビニル系単量体(C):0〜20質量%を、反応槽中で共重合する重合工程を有し、
下記(1)〜(3)の条件を満たすメタクリル系樹脂の製造方法。
(1)前記マレイミド系単量体(B)は、25℃で固体である
(2)前記マレイミド単量体(B)を、水に分散させた状態で反応槽に供給する。
(3)前記マレイミド系単量体(B)は、0.15mm以下の粒子径成分の含有量が10質量%以下である。
以下に各単量体成分についての詳細に記載する。
メタクリル酸エステル系単量体(A)(以下、(A)成分、(A)と記載する場合がある。)としては、下記一般式(1)で示される単量体が好適に用いられる。
前記メタクリル酸エステル単量体は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
メタクリル酸エステル系単量体(A)は、本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法において用いる全単量体成分中、後述するマレイミド系単量体(B)による耐熱性付与効果の観点から50〜99質量%含まれているものとし、好ましくは60〜95質量%、より好ましくは70〜95質量%、さらに好ましくは75〜95質量%、さらにより好ましくは78〜90質量%含まれている。
メタクリル系樹脂の耐熱性付与の観点から、本実施形態においては、マレイミド系単量体(B)(以下、(B)成分、(B)と記載する場合がある。)を用いるものとし、マレイミド系単量体としては、25℃において固体状のものを用いる。好ましいマレイミド系単量体(B)としては、下記一般式(2)で示される単量体が挙げられる。
好ましくは、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(o−クロロフェニル)マレイミド、N−(m−クロロフェニル)マレイミド、N−(p−クロロフェニル)マレイミドが挙げられ、入手のしやすさ、耐熱性付与の観点から、より好ましくはN−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドが挙げられ、さらに好ましくはN−フェニルマレイミドである。
上述したマレイミド系単量体(B)は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
マレイミド系単量体(B)を反応槽に水分散体として供給することにより、良好な重合安定性を保持したままメタクリル系樹脂の製造時間を短縮することができ、さらには、得られるメタクリル系樹脂は色調の安定性に優れている。
マレイミド系単量体(B)の平均粒子径の測定方法を以下に示す。
例えば、JIS−Z8801に基づくふるい、東京スクリーン製JTS−200−45−16(目開き9.5mm)、JTS−200−45−19(目開き5.6mm)、21(目開き4.0mm)、23(目開き2.8mm)、25(目開き2.0mm)、32(目開き0.6mm)、38(目開き150μm)、61(受け皿)を用い、かつ篩い分け試験機TSK B−1を用いて、振動力MAXにて10分間ふるいを行ったときの平均粒子径の測定値を用いて、50質量%の粒子径を測定して求めることができる。
また、本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法においては、後述するように、マレイミド系単量体(B)は、0.15mm以下の粒子径成分の含有量を10質量%以下とするが、当該0.15mm以下の成分含有量は、受け皿に残ったマレイミド系単量体(B)の質量を、測定に用いたサンプル全体の質量で除することにより求めることができる。
かかる観点から、本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法においては、上述したように、具体的には、0.15mm以下の粒子径成分の含有量が10質量%以下であるものとする。好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下である。
具体的には、反応槽へ先ず水分散状態のマレイミド単量体(B)を投入し、その後、液状の他のモノマー種を投入し、マレイミド単量体(B)を前記他のモノマー種に溶解させる際、マレイミド単量体(B)の溶解性を高める観点から、マレイミド系単量体(B)に含まれる9.5mm以上の成分の含有量は、10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
マレイミド系単量体(B)の酸価は、JIS−K−2501−2003の方法で測定することができる。
マレイミド系単量体(B)は、メタクリル系樹脂の耐熱性の観点から、本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法において用いる全単量体中、1〜30質量%含まれているものとし、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは3〜25質量%、さらに好ましくは5〜25質量%、さらにより好ましくは5〜20質量%含まれているものとする。
本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法においては、本発明の効果を損ねない範囲で前記(A)成分及び(B)成分に共重合可能なその他のビニル系単量体(C)(以下、その他のビニル系単量体(C)、(C)成分、(C)と記載する場合がある。)を用いることができる。
前記(A)成分及び(B)成分に共重合可能なその他のビニル系単量体単位(C)を使用する場合の含有量は、使用するビニル系単量体により使用する目的が異なるが、例えば残存モノマー量の低減、耐溶剤性の付与効果の観点から、全モノマー成分中、20質量%以下であり、好ましくは18質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは12質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
また、(C)成分の含有量は、所望の特性に加えて、耐薬品性、熱安定性、反応性など、求められる特性を適宜付与する観点から、全モノマー中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。
nは、0〜5の整数を表す。
R5は、水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、炭素数が1〜12のアルコキシ基、炭素数が1〜8のアリール基、及び炭素数が1〜8のアリール基からなる群から選択されるいずれかであり、R5は全て同じ基であっても、異なる基であってもよい。
また、R5同士で環構造を形成してもよい。
前記芳香族ビニル系単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、о−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1,1−ジフェニルエチレン、イソプロペニルベンセン(α−メチルスチレン)、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン等が挙げられる。
これらは、最終的に目的とするメタクリル系樹脂において、要求される特性に応じて適宜選択する。上記の中でも、スチレン、イソプロペニルベンゼンが好ましく、流動性付与や、重合転化率の向上による未反応モノマー類の低減等の観点から、スチレンがより好ましい。
芳香族ビニル系単量体単位(C−1)を使用する場合の、芳香族ビニル系単量体単位(C−1)と前記マレイミド単量体(B)との配合割合(質量比)としては、成形加工する際の加工流動性や、残存モノマー低減によるシルバーストリークス低減効果等の観点から、下記式を満足することが好ましい。
0.3≦(C−1)/(B)≦5
良好な色調や耐熱性を保持する観点から、上限値は5以下であることが好ましく、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下である。
また、残存するマレイミド系単量体(B)を低減させるという観点から、0.3以上であることが好ましく、より好ましくは0.35以上、さらに好ましくは0.4以上である。
上述した芳香族ビニル系単量体(C−1)は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アクリル酸エステル系単量体としては、上述したように、前記一般式(4)において、置換基R7が炭素数1〜18のアルキル基である化合物が挙げられ、中でも、本実施形態の製造方法により得られるメタクリル系樹脂において、耐候性、耐熱性、流動性、熱安定性を高める観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等が好ましく、より好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルであり、入手しやすさの観点から、アクリル酸メチルがさらに好ましい。
アクリル酸エステル系単量体(C−2)を使用する場合の含有量は、マレイミド系単量体(B)による耐熱性付与効果の保持、熱安定性付与の観点から、(A)、(B)、(C)成分の合計を100質量部とした場合に、5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下である。
アクリル酸エステル単量体(C−2)は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記シアン化ビニル系化合物としては特に制限はないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられ、中でもアクリロニトリルが好適に使用される。
シアン化ビニル系化合物(C−2)を使用する場合の含有量は、マレイミド系単量体(B)による耐熱性付与効果の保持、耐溶剤性の付与の観点から、(A)、(B)、(C)成分の合計を100質量部とした場合に、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは12質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。
次に、上述した単量体成分を用いて、メタクリル系樹脂を製造する方法について説明するが、本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法は、以下に示す方法に限定されるものではない。
本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法における重合工程において用いるマレイミド系単量体(B)は25℃において固体状であり、溶解させたり、所定の分散媒を用いてスラリー状にして微分散することなく、水に分散させた状態として重合工程を実施する反応槽に投入され、他のモノマーに溶解し、反応に供される。マレイミド系単量体(B)は、メタクリル酸エステル系単量体(A)等の他の単量体により、反応槽の中で溶解する。
従来においては、固体状原料であるマレイミド単量体(B)を、これと共重合させるモノマー種や、前記マレイミド系単量体(B)を溶解可能な溶媒に予め溶解させた上で反応槽に投入して反応させていた。
しかし、固体状のマレイミド系単量体(B)の、共重合させるメタクリル酸エステル単量体(A)に対する溶解度は低く、少量であれば溶解までに長時間を有しないが、多量に生産する必要がある場合には、マレイミド系単量体(B)を溶解させるためにかなりの時間が必要となる上、長時間攪拌溶解することにより多大なエネルギーを要する。また、常温よりも高い温度とすることで、溶解性が向上し、溶解時間も短縮されるが、反応性モノマーを高い温度下におくと、溶解中に重合してしまい、溶解槽内や、溶解槽から反応槽への移送配管等で固化しやすくなるため、連続生産性が低下し、好ましくない。
本実施形態においては、固体状であるマレイミド系単量体(B)を溶解させずに直接、水分散状態で反応槽に供給することにより、マレイミド系単量体(B)を溶解するための溶解時間を短縮することができ、安定的にメタクリル系樹脂を生産することができる。
好ましくは懸濁重合法、乳化重合法が用いられ、より好ましくは懸濁重合法が用いられる。
懸濁重合法により重合工程を実施する場合、固体状の原料を反応槽に投入すると、当該固体状の原料の表面積が大きい場合には、水との接触による加水分解を生じ、重合が進行した場合でも重合状態が不安定となり、重合終盤で固化することがあるなど、安定生産が困難となる場合がある。また、得られた樹脂が、高温高湿条件下に曝された場合、色調が悪化するおそれがある。
本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法においては、かかる重合状態の安定性に鑑み、マレイミド系単量体(B)に含まれる0.15mm以下の粒子径成分の含有量を10質量%以下とした。これにより、固体状のマレイミド系単量体(B)を溶解させずに水に分散した状態で反応槽に投入して反応させても、表面積の大きなマレイミド系単量体(B)の粉体が水と接触することによって加水分解し、開環し、酸性状態となって重合系が不安定化することを効果的に防止でき、重合安定性を保持しつつ、重合時間を短縮した上で、安定に生産することができ、かつ、マレイミド系単量体(B)の加水分解に由来するアミン等の副生成物の生成も抑制される。
以下、本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法において、特に好適に用いることのできる懸濁重合法を例に挙げて説明するが、懸濁重合法に限定したものではない。
有機懸濁重合法や無機懸濁重合法等の懸濁重合で製造する場合には、マレイミド系単量体(B)の分散工程、後述する攪拌装置を用いた重合工程、洗浄工程、脱水工程、乾燥工程を経て、粒子状のメタクリル系樹脂を製造することができる。通常、水を媒体として用いる水系の懸濁重合法が好適に用いられる。
本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法においては、マレイミド系単量体(B)は、先ず所定の分散槽内で水に分散させたのち、重合を行う反応槽に投入される。
分散させる水の種類としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に規定はされない。例えば、イオン交換水、脱イオン水、純水、蒸留水等が挙げられる。
マレイミド系単量体(B)は、水と接触すると、開環してN置換マレアミック酸、さらには1級アミン、マレイン酸等を生じやすくなり、重合安定性が低下する傾向がある上、色調等の特性が悪化する傾向にある。
本実施形態においては、マレイミド系単量体(B)を分散槽内で水に分散させる際、マレイミド系単量体がほとんど溶融しない温度であることが好ましい。
マレイミド系単量体(B)を水分散して投入する際に使用に供される水の温度は、マレイミド系単量体(B)の溶融に起因するマレイミド系単量体(B)の加水分解抑制、生産効率、得られるメタクリル系樹脂の色調改善等の観点から、マレイミド系単量体(B)の融点より20℃以上低い温度であることが好ましい。好ましくは、融点よりも25℃以上低い温度、更に好ましくは融点よりも30℃以上低い温度である。
具体的には、80℃以下であることが好ましく、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは60℃未満、さらにより好ましくは55℃以下である。投入に際して好ましい最低温度は、使用に供される水が凝固しない温度であることが好ましく、0℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上である。
分散させる水の量は、重合反応で使用される必要量の総量を超えない量であればよい。
マレイミド系単量体(B)を分散させるための水量の好ましい量としては、重合反応で使用する水の総量を100%とすると、10〜100%の範囲で選択することが好ましい。
水に分散させたマレイミド系単量体(B)を反応槽に移送後に、分散槽や配管に残存するマレイミド系単量体(B)を洗浄し、さらに反応槽へ移送することで所望量のマレイミド系単量体(B)を反応槽に導入することができることから、最初にマレイミド系単量体(B)を分散槽内で分散させるための水量としては、重合反応で使用する水の総量を100%とした場合に、10〜99%であることが好ましく、より好ましくは20〜95%、さらに好ましくは30〜95%、とりわけ好ましくは50〜90%である。
分散工程で好適に使用される分散槽としては、公知の攪拌機付きの容器、いわゆる攪拌装置が用いられ、当該撹拌装置としては、内部に傾斜パドル翼、平パドル翼、プロペラ翼、アンカー翼、ファウドラー翼(後退翼)、タービン翼、ブルマージン翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、リボン翼、イカリ翼、スーパーミックス翼、インターミグ翼、特殊翼、軸流翼等の撹拌翼を有する撹拌装置、内部にショベル羽根を有する撹拌装置、内部にチョッパー羽根を有する撹拌装置、内部に円盤型、切欠円盤型あるいはスクリュー型等の回転ディスクを有する撹拌装置等の公知の撹拌装置が挙げられる。
分散時の攪拌速度は、用いる攪拌装置の種類、攪拌翼の攪拌効率、重合槽の容量等にも依存するが、速やかに分散できる速度であればよく、具体的には1〜500回転/分程度であることが好ましい。
洗浄移送をする場合の洗浄水の温度は、マレイミド系単量体(B)と同じ温度でも異なる温度でもよく、上記水温の範囲で適宜選択できる。
重合工程においては、所定の反応槽中で、上述したメタクリル酸エステル系単量体(A)、マレイミド系単量体(B)、必要に応じてその他のビニル系単量体(C)を、共重合させる。
所定の反応槽としては、以下に限定されるものではないが、例えば、攪拌機付きの容器、すなわち攪拌装置を用いることができ、当該攪拌装置中に適宜原料となる単量体、懸濁剤、必要に応じて重合開始剤、連鎖移動剤、その他の添加剤を供給して重合を行い、メタクリル系樹脂のスラリーを得る。
重合に際して、反応槽内には、懸濁剤、マレイミド系単量体(B)の水分散液、メタクリル酸エステル系単量体(A)、その他の供重合可能なビニル系単量体(C)や、重合開始剤等の添加剤、必要に応じて水を投入するが、本発明の効果が得られる方法であれば投入する順序は特に限定されない。取扱い性の容易さから重合開始剤を、メタクリル酸エステル系単量体(A)、その他のビニル系単量体(C)とともに供給することが好ましい。
重合時の攪拌速度は、用いる攪拌装置の種類、攪拌翼の攪拌効率、重合槽の容量等にも依存するが、適当な粒子径を得ることができること、粒子径が0.15mm未満の成分含有量を低減することができること、重合安定性等を考慮すると、1〜500回転/分程度であることが好ましい。
より好ましくは25℃以上低い温度であり、さらに好ましくは30℃以上低い温度である。
具体的には、80℃以下であることが好ましく、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは60℃未満、さらにより好ましい温度としては55℃以下である。投入に際して好ましい最低温度は、使用に供される水が凝固しない温度であることが好ましく、0℃以上であることがより好ましい。さらに好ましくは5℃以上、さらにより好ましくは10℃以上である。
具体的には、80℃以下であることが好ましく、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは60℃未満、さらにより好ましくは55℃以下である。投入に際して好ましい最低温度は、使用に供される水が凝固しない温度であることが好ましく、0℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上である。
「融点より20℃以上低い温度」より高いと、水分散体中でマレイミドが一部溶融することから、加水分解が促進され、反応系中のpHが低下して重合安定性が低下し、凝集体及びマレイミド分解物が増加する傾向にある。
懸濁重合で製造する場合、メタクリル酸エステル系単量体(A)を含むモノマー成分を投入してから発熱ピークとなるまでの時間(重合時間)は、重合時の発熱を効果的に抑制し、重合安定性を高めるという観点から、好ましくは30分以上240分以下である。より好ましくは45分以上210分以下、さらに好ましくは60分以上210分以下、さらにより好ましくは60分以上180分以下、よりさらに好ましくは90分以上180分以下である。
昇温後に当該温度に保持する時間は、残存モノマーの低減効率を考慮すると、15分以上360分以下であることが好ましく、より好ましくは30分以上240分以下、さらに好ましくは30分以上180分以下、さらにより好ましくは30分以上150分以下である。上記範囲であれば、効果的に残存モノマー量を低減することが可能である。
上述した重合温度と保持時間に従い重合を行うことにより、後述する乾燥工程を経た後、残存モノマー量が少なく、さらには安息角の小さいメタクリル系樹脂の粒子が製造できる。
上述の重合工程を経て得られたメタクリル系樹脂のスラリーは、懸濁剤除去のために、酸洗浄や水洗、アルカリ洗浄等の操作を行うことが好ましい。
これらの洗浄操作を行う回数は、作業効率と懸濁剤の除去効率から最適な回数を選べばよく、一回でも複数回繰り返してもよい。
洗浄を行う際の温度は懸濁剤の除去効率や得られる共重合体の着色度合等を考慮して最適な温度を選べばよく、20〜100℃であることが好ましい。より好ましくは30〜95℃、さらに好ましくは40〜95℃である。
また、洗浄時の一回あたりの洗浄時間は、洗浄効率や安息角低減効果、工程の簡便さの観点から10〜180分であることが好ましく、より好ましくは20〜150分である。
洗浄時に使用する洗浄液のpHは、懸濁剤除去が可能な範囲であればよいが、好ましくはpH1〜12である。酸洗浄を行う場合のpHは、懸濁剤の除去効率や得られる共重合体の色調の観点からpH1〜5であることが好ましく、より好ましくはpH1.2〜4である。その際使用する酸としては、懸濁剤除去が可能なものであればよく、特に規定はされないが、従来公知の無機酸、有機酸を使用することができる。好適に使用される酸の一例を挙げると、無機酸としては塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、硼酸等が挙げられ、それぞれ水等で希釈された希釈溶液で使用してもよい。有機酸としては、カルボキシル基やスルホ基、ヒドロキシ基、チオール基、エノールを有するものが挙げられる。懸濁剤の除去効果や得られる樹脂の色調を考慮すると、より好ましくは硝酸、硫酸、カルボキシル基を有する有機酸である。
酸洗浄後には、得られる重合体の色調、安息角低減の観点から、更に水洗やアルカリ洗浄を行うことが好ましい。
アルカリ洗浄を行う場合のアルカリ溶液のpHはpH7.1〜12であることが好ましく、より好ましくはpH7.5〜11、さらに好ましくは7.5〜10.5である。
アルカリ洗浄に使用するアルカリ性成分は、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等が好適に用いられる。より好適にはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物であり、さらに好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムであり、さらにより好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムであり、よりさらに好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
これらのアルカリ性成分は、水等で希釈してpHを調整して使用することができる。
得られたメタクリル系樹脂の重合体スラリーから重合体粒子を分離する方法としては、従来公知の方法を適用できる。
例えば、遠心力を利用して水を振り切る遠心分離機を用いる脱水方法、多孔ベルト上や濾過膜上で水を吸引除去し、重合体粒子を分離する方法等が挙げられる。
上述した脱水工程を経て得られた含水状態の重合体は、公知の方法により乾燥処理を施し、回収することができる。
例えば、熱風機やブローヒーター等から槽内に熱風を送ることにより乾燥を行う熱風乾燥、系内を減圧した上で必要に応じて加温することで乾燥を行う真空乾燥、得られた重合体を容器中で回転させることにより水分を飛ばすバレル乾燥、遠心力を利用して乾燥させるスピン乾燥等が挙げられる。これらの方法は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
得られるメタクリル系樹脂の含有水分量は、得られる樹脂の取扱性、色調等を考慮すると、0.01質量%〜1質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%〜1質量%、さらに好ましくは0.1質量%〜1質量%、さらにより好ましくは0.27質量%〜1質量%である。得られるメタクリル系樹脂の含有水分量は、カールフィッシャー法を用いて測定することができる。
凝集体とは、得られた重合体を1.68mmメッシュの篩に通した時に、篩の上に残る残渣物のことを指す。
凝集体がメタクリル系樹脂中に残っている場合、得られるメタクリル系樹脂の色調が低下する傾向にある。メタクリル系樹脂中の凝集体の量は1.2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.0質量%以下である。
凝集体の含有量は1.68mmメッシュの篩に通して篩上に残ったものを80℃の乾燥オーブンで12時間乾燥させた後の重量を測定し、得られた重量を原料の合計量で除して凝集物生成量(質量%)を算出することができる。
平均粒子径は、例えば、JIS−Z8801に基づく、篩(東京スクリーン製JTS−200−45−44(目開き500μm),34(目開き425μm),35(目開き355μm),36(目開き300μm),37(目開き250μm),38(目開き150μm),61(受け皿))を用いて篩い分け試験機TSK B−1を用いて振動力MAXにて10分間篩いを行ったときの各篩に残った粒子質量を測定し、質量が50%になるときの粒子径を求めることにより測定できる。
得られたメタクリル系樹脂中のアミン類の含有量は少ないほど好ましい。色調安定性の観点から0.12%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.08%以下、さらにより好ましくは0,06%以下である。
色調安定性の観点から、アミン類の含有量は少ないほど好ましく、含まれないことがより好ましい。すなわち、0%であることが好ましい。しかし、特性への影響が実用上問題の無い範囲であれば、少量含有していてもよく、0.0001%以上含有していてもよく、さらには、0.0005%以上含有していてもよく、0.001%以上含有していてもよい。
ここで、メタクリル系樹脂に含有するアミン類は、使用するマレイミドに由来する一級アミン類のことを言う。例えば、N−フェニルマレイミドを使用した場合はアニリン、N−シクロヘキシルマレイミドを使用した場合はシクロヘキシルアミンのことを言う。
アミン類の含有量の測定は、従来公知の方法を用いることができ、ガスクロマトグラフィーを用いて定量することが可能である。
懸濁剤については、反応槽に水を投入した後に投入し、その後にマレイミド系単量体(B)又は他のモノマー種を投入してもよく、マレイミド系単量体(B)を投入後、水を投入した後、他のモノマー種を投入する前又は後に懸濁剤を投入してもよい。
懸濁剤の添加量は、懸濁重合時の重合安定性、及び得られるメタクリル系樹脂粒子に求める粒子径によって適宜選択することができるが、重合に用いるモノマー種の合計量を100質量部としたとき、0.01質量部以上2質量部以下であることが好ましい。より好ましくは0.02質量部以上1.5質量部以下、さらに好ましくは0.03質量部以上1.2質量部以下である。2質量部を超えると、粒子径が小さい微粒子が多く生成することになり、後処理工程で問題が生じやすい。また、0.01質量部未満の場合、粒子が大きくなりすぎ、重合安定性が低下する傾向にある。
前記懸濁剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第2鉄、水酸化チタン、水酸化マグネシウム、リン酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、ベントナイト等の微粒子状の無機懸濁剤や、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースや、ポリビニルアルコールおよびポリ酢酸ビニルの部分ケン化物等の有機懸濁剤を使用することができる。これらの懸濁剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤を用いる場合、メタクリル酸エステル系単量体(A)及びその他のビニル系単量体(C)を含む溶液中に混合して用いる方法がこのましい。
重合開始剤としては、ラジカル重合を行う場合は、10時間半減期温度が40℃以上120℃以下であるものが好ましい。重合開始剤は、以下の例に限定されるものではないが、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤を挙げることができる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのラジカル重合開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として用いてもよい。
これらの重合開始剤は、使用する全単量体の総量100質量部に対して、0〜1質量部の範囲で用いるのが一般的であり、重合を行う温度と開始剤の半減期を考慮して適宜選ぶことができる。
塊状重合法やキャスト重合法、懸濁重合法を選択する場合、メタクリル系樹脂の着色を防止する観点から、過酸化系開始剤のラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等を特に好適に用いることができ、ラウロイルパーオキサイドが特に好適に使用される。
例えば、アルキルメルカプタン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤、ジチオカルバメート類、トリフェニルメチルアゾベンゼン、テトラフェニルエタン誘導体等のイニファータ等を用いることによって分子量の制御を行うことができ、さらには、これらの添加量を調整することにより、分子量を調整することが可能である。
これらの添加剤を用いる場合、取扱性や安定性の点からアルキルメルカプタン類が好適に用いられ、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等が挙げられる。
これらは、要求される分子量に応じて適宜添加することができるが、一般的には使用する全単量体の総量100質量部に対して0.001質量部〜3質量部の範囲で用いられる。
また、その他の分子量制御方法としては重合方法を変える方法、重合開始剤の量を調整する方法、重合温度を変更する方法等が挙げられる。
これらの分子量制御方法は、一種の方法だけを単独で用いてもよいし、二種以上の方法を併用してもよい。
上述した本実施形態の製造方法によれば、メタクリル酸エステル単量体単位(A):50〜99質量%、マレイミド系単量体単位(B):1〜30質量%、前記(A)及び(B)に共重合可能なその他の単量体単位(C):0〜20質量%含有するメタクリル系樹脂が得られる。
本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法によって製造されるメタクリル系樹脂は、 重量平均分子量が6万〜30万であることが好ましい。この範囲のメタクリル系樹脂は、機械的強度、耐溶剤性及び流動性に優れる。より好ましくは6万〜25万であり、さらに好ましくは7万〜23万である。
なお、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量:Mw/Mn)は、流動性と機械強度、耐溶剤性のバランスを考慮すると1.5以上5以下であることが好ましい。より好ましくは1.5以上4.5以下、さらに好ましくは1.6以上3以下、さらにより好ましくは1.6以上2.5以下である。
本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法によって製造されるメタクリル系樹脂の重量平均分子量、数平均分子量、及びピーク分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される。
具体的には、予め単分散の重量平均分子量、数平均分子量、及びピーク分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムとを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておく。
次に、得られた検量線から、測定対象であるメタクリル系樹脂の試料の重量平均分子量、数平均分子量、及びピーク分子量を求めることができる。
本実施形態により製造されるメタクリル系樹脂は、後述する所定のその他の樹脂や所定の添加剤と組み合わせることにより、メタクリル系樹脂組成物とすることができる。
メタクリル系樹脂に組み合わせるその他の樹脂については、メタクリル系樹脂に求められる特性を発揮できるものであれば特に限定されるものではなく、公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。
その他の樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、メタクリル系樹脂、AS系樹脂、BAAS系樹脂、MBS樹脂、AAS樹脂、生分解性樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂のアロイ、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンアリレート系樹脂;ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。
特に、AS樹脂、BAAS樹脂は、流動性を向上させるのに好ましく、ABS樹脂、MBS樹脂は耐衝撃性を向上させるのに好ましく、また、ポリエステル樹脂は耐薬品性を向上させるのに好ましい。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等は難燃性を向上させる効果が期待できる。
これらの樹脂は、一種単独で用いても、二種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の製造方法により得られるメタクリル系樹脂には、剛性や寸法安定性等の各種特性を付与するため、所定の添加剤を添加してもよい。
添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤;可塑剤(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル)、難燃剤(例えば、有機リン化合物、赤リン、無機系リン酸塩等のリン系、ハロゲン系、シリカ系、シリコーン系等)、難燃助剤(例えば、酸化アンチモン類、金属酸化物、金属水酸化物等)、硬化剤(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチルアミノプロピルアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、m−キシレンジアミン、m−フェヒレンジアミン、ジアミノフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジド等のアミン類や、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂類、液状ポリメルカプタン、ポリサルファイド等のポリメルカプタン、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ドデシル無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水クロレンディック酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)等の酸無水物等)、硬化促進剤(2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール、テトラメチルヘキサンジアミン等の三級アミン類、トリフェニルホスファインテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアミンテトラフェニルボレート等のボロン塩、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン等のキノイド化合物等)、帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー、四級アンモニウム塩系、ピリジン誘導体、脂肪族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩共重合体、硫酸エステル塩、多価アルコール部分エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリアルキレングリコール誘導体、ベタイン系、イミダゾリン誘導体等)、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤(アルコール、及びアルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、シリコーンオイル等)、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸、及びその金属塩、エチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド類等)、衝撃付与剤、摺動性改良剤(低分子量ポリエチレン等の炭化水素系、高級アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのフルエステル又は部分エステル、脂肪酸とポリグリコールとのフルエステル又は部分エステル、シリコーン系、フッ素樹脂系等)、相溶化剤、核剤、強化剤、流動調整剤、染料(ニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン/インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン/オキシケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料等の染料)、増感剤、着色剤(酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン、クロム酸鉛系顔料、カドミウム系顔料等の無機顔料、アゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料、フタリシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料等の有機系顔料、リン片状のアルミのメタリック顔料、ウェルド外観を改良するために使用されている球状のアルミ顔料、パール調メタリック顔料用のマイカ粉、その他ガラス等の無機物の多面体粒子に金属メッキやスパッタリングで被覆したものなどのメタリック顔料等)、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状補強剤、さらにはガラスビーズ、炭酸カルシウム、タルク、クレイ等)、消泡剤(シリコーン系消泡剤、界面活性剤やポリエーテル、高級アルコール等の有機系消泡剤等)、カップリング剤、光拡散性微粒子、防錆剤、抗菌・防カビ剤、防汚剤、導電性高分子等が挙げられる。
また、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、MS樹脂、環状オレフィン樹脂等の透明性の高い樹脂材料からなる中空架橋微粒子及びガラスからなる中空微粒子等も挙げられる。
無機微粒子においては、アルミナ及び酸化チタン等がより好ましい。
また、光拡散性微粒子は、単独で使用してもよく、複数併用することもでき、何ら限定されるものではない。
ここで、光拡散性微粒子の屈折率は、1.7〜3.0が好ましく、より好ましくは1.7〜2.5、さらに好ましくは1.7〜2.0である。屈折率が1.7未満であると散乱性が弱くなりすぎ、逆に3.0を超えるとランプ近傍での散乱が強くなりすぎ、その結果輝度ムラ及び出射光色調にムラが生じ易くなり好ましくない。
前記屈折率とは、D線(589nm)に基づく温度20℃での値である。微粒子の屈折率の測定方法としては、例えば、微粒子を、屈折率を少しずつ変化させることのできる液体に浸し、液体の屈折率を変化させながら微粒子界面を観察し、微粒子界面が不明確になった時の液体の屈折率を測定するという方法が挙げられる。なお、液体の屈折率の測定には、アッベの屈折計等を用いることができる。
また、光拡散性微粒子の平均粒子径は0.1〜20μmが好ましく、より好ましくは0.2〜15μm、さらに好ましくは0.3〜10μm、さらにより好ましくは0.4〜5μmである。平均粒子径が20μm以下であると後方反射等による光損失が抑えられ、入光した光を効率的に発光面側に拡散させることができるため好ましい。また、平均粒子径が0.1μm以上であると出射光を拡散させることが可能となり、所望の面発光輝度、拡散性を得ることができるため好ましい。
また、メタクリル系樹脂組成物中の光拡散性微粒子の含有量は、光拡散効果の発現、面発光の均一性の観点から、メタクリル系樹脂100質量部に対して0.0001〜0.03質量部、好ましくは0.0001〜0.01質量部である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリン)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミン)フェノール等が挙げられる。特に、ペンタエリスリトールテラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として市販のフェノール系酸化防止剤を使用してもよく、このような市販のフェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イルガノックス1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス1076(Irganox 1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス1330(Irganox 1330:3,3',3'',5,5',5''−ヘキサ−t−ブチル−a,a',a''−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス3114(Irganox 3114:1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス3125(Irganox 3125、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、スミライザーBHT(Sumilizer BHT、住友化学製)、シアノックス1790(Cyanox 1790、サイテック製)、スミライザーGA−80(Sumilizer GA−80、住友化学製)、スミライザーGS(Sumilizer GS、住友化学製)、(ビタミンE(エーザイ製)等が挙げられる。この中でも、特にイルガノックス1010、イルガノックス1076、スミライザーGS等を用いるのが好ましい。これらは1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
また、リン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4'−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4'−ジイルビスホスフォナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスフォナイト等が挙げられる。
さらに、リン系酸化防止剤として市販のリン系酸化防止剤を使用してもよく、このような市販のリン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イルガフォス168(Irgafos 168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス12(Irgafos 12:トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス38(Irgafos 38:ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、アデカスタブ329K(ADK STAB 329K、旭電化製)、アデカスタブPEP36(ADK STAB PEP36、旭電化製)、アデカスタブPEP−8(ADK STAB PEP−8、旭電化製)、Sandstab P−EPQ(クラリアント製)、ウェストン618(Weston 618、GE製)、ウェストン619G(Weston 619G、GE製)、ウルトラノックス626(Ultranox 626、GE製)、スミライザーGP(Sumilizer GP、住友化学製)等が挙げられる。これらは1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上述した熱安定剤の配合量は、本発明の効果を発揮する量であればよく、多量に入れて過ぎた場合、加工時にブリードアウトする等の問題が発生するおそれがあることから、メタクリル系樹脂100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、さらにより好ましくは0.8質量部以下、よりさらに好ましくは0.01質量部以上0.8質量部以下である。
紫外線吸収剤は、メタクリル系樹脂組成物の良好な成形加工性を確保する観点から、20℃における蒸気圧(P)が1.0×10-4Pa以下であることが好ましく、1.0×10-6Pa以下であることがより好ましく、1.0×10-8Pa以下であることがさらに好ましい。
ここで、前記メタクリル系樹脂組成物の良好な成形加工性とは、例えば、フィルムとして成形する際、低分子化合物のロールへの付着が少ないこと等を意味する。ロールへ付着すると、さらに表面に再付着するため、外観が劣化したり、光学特性が悪化したりする原因となる。
また、紫外線吸収剤の融点(Tm)は、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましく、160℃以上であることがさらにより好ましい。
紫外線吸収剤は、23℃〜260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の重量減少率が50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることがさらにより好ましく、5%以下であることがよりさらに好ましい。
紫外線吸収剤の配合量は、本発明の効果を発揮する量であればよいが、多量に入れて過ぎた場合、加工時にブリードアウトする等の問題が発生するおそれもあることから、メタクリル系樹脂100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、よりさらに好ましくは0.8質量部以下、さらにより好ましくは0.01質量部以上0.8質量部以下である。
メタクリル系樹脂を加工し、又は当該メタクリル系樹脂の種々の添加剤や、その他の樹脂と混合し、メタクリル系樹脂組成物を加工する方法としては、例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練する方法が挙げられる。
その中でも押出機による混練が、生産性の面で好ましい。
混練温度は、メタクリル系樹脂を構成する重合体や、混合する他の樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140〜300℃の範囲、好ましくは180〜280℃の範囲である。
本実施形態の成形体は、上述したメタクリル系樹脂を含み、上述したメタクリル系樹脂を単独で又はこれを含む樹脂組成物を成型することにより得られる。
成形体の製造方法としては、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、Tダイ成形、プレス成形、押出成形、発泡成形等、公知の方法で成型することが可能であり、圧空成形、真空成形等の二次加工性系法も用いることができる。
また、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等の混練機を用いて樹脂組成物を混練製造した後、冷却、粉砕し、さらにトランスファー成形、射出成形、圧縮成形等により成形を行う方法も一例として挙げることができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法により得られるメタクリル系樹脂、当該メタクリル系樹脂を用いたメタクリル系樹脂組成物においては、高い耐熱性と透明性、更には、高温高湿条件下での歪みがほとんど見られない優れた耐湿熱性を有している。
また、本実施形態のメタクリル系樹脂を成型して計器カバー、例えば車両用計器カバーを作製することを前提とするとき、成型加工時おいて複屈折の高い材料を用いた場合、偏光板を通した時に偏光が見られることから、サングラス等の偏光板を通して見た場合に、視認性が低下することになり好ましくない。かかる問題点を解決するためには、成型加工温度を高くすることで偏光を抑え、視認性を向上させ、さらには、高い成型加工温度でもシルバー等の不具合が出ないことが必要である。このことから、成型時には優れた熱安定性を有し、成形体は高い耐熱性及び透明性を有していることが必要である。
本実施形態のメタクリル系樹脂は、VICAT軟化温度が105℃以上であることが好ましい。より好ましくは110℃以上であり、さらに好ましくは115℃以上、さらにより好ましくは117℃以上、特に好ましくは120℃以上である。
VICAT軟化温度は、ISO 306 B50に準拠して測定を行うことができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂は、視認性の観点から、3mm厚みの成形体における全光線透過率が70%以上であることが好ましい。より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。
全光線透過率は高い方が好ましいが、実用上は94%以下でも十分に視認性を確保することができる。
透明性は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂においては、成形温度を上げて溶融粘度を下げて成形加工を行った場合においても、シルバー等の不具合が出ないことが好ましい。具体的には、バレル温度290℃、金型温度60℃で50ショット連続して成形した場合においても、シルバーストリークス等の成型不良がほとんど見られないことが好ましい。
本実施形態の製造方法により製造されるメタクリル系樹脂、及びこれを用いたメタクリル系樹脂組成物は、各種成形体の材料として好適に用いることができる。
成形体の用途としては、例えば、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、ハウジング用途、サニタリー用途、弾性遊戯機器用途や、ヘッドランプカバー、リアランプカバー、リアコンビランプカバー、バイザー、バグガード、計器カバー、メータパネル等の車両用部品、車両用ヘッドアップディスプレイ用部品、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いられる導光板、拡散板、偏光板保護フィルム、1/4波長板、1/2波長板、視野角制御フィルム、液晶光学補償フィルム等の位相差フィルム、ディスプレイ前面板、ディスプレイ基盤、レンズ、タッチパネル等が挙げられ、また、太陽電池に用いられる透明基盤等に好適に用いることができる。その他にも、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバーなどにも用いることができる。また、他の樹脂の改質材として用いることもできる。
本実施形態のメタクリル系樹脂及びその樹脂組成物を用いた成形体には、例えば反射防止処理、透明導電処理、電磁波遮蔽処理、ガスバリア処理等の表面機能化処理をすることもできる。
後述する実施例及び比較例において使用した原料について下記に示す。
((A)成分:メタクリル酸メチル(MMA))
:旭化成ケミカルズ(株)社製(重合禁止剤として中外貿易(株)社製2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(2,4-di-methyl-6-tert-butylphenol)を2.5ppm添加されているもの)
((B)成分:マレイミド系単量体)
(B−1):N−フェニルマレイミド(N−PMI)
:株式会社日本触媒製、イミレックス(登録商標)−P、融点89℃、平均粒子径が4mmであり、0.15mm以下の粒子径の成分含有量が0.5質量%、9.5mm以上の粒子径の成分含有量が0.00質量%、酸価0.6のものを使用。
(B−2):N−フェニルマレイミド(N−PMI)
:株式会社日本触媒製、イミレックス(登録商標)−P、融点89℃、上記(B−1)を粉砕して得た、平均粒子径が0.9mm、0.15mm以下の成分含有量が16質量%、9.5mm以上の粒子径の成分含有量が0.00質量%のものを使用。
(B−3):N−シクロヘキシルマレイミド(N−CyMI)
:株式会社日本触媒製、イミレックス(登録商標)−C、融点89℃、平均粒子径が3mmであり、0.15mm以下の粒子径の成分含有量が0.7質量%、9.5mm以上の粒子径の成分含有量が0.00質量%、酸価0.5のものを使用。
<(B)成分の平均粒子径、0.15mm以下の粒子径の成分含有量、及び9.5mm以上の粒子径の成分含有量の測定方法>
JIS−Z8801に基づくふるい、東京スクリーン製JTS−200−45−16(目開き9.5mm)、JTS−200−45−19(目開き5.6mm),21(目開き4.0mm),23(目開き2.8mm),25(目開き2.0mm),32(目開き0.6mm),38(目開き150μm),61(受け皿)を用いて、かつ篩い分け試験機TSK B−1を用いて振動力MAXにて10分間ふるいを行ったときの平均粒子径の測定値を用い、50質量%の粒子径を測定し平均粒子径を求めた。
また、粒子径が0.15mm以下の成分含有量は、受け皿に残った質量を、測定に用いたサンプル質量で除して求めた。
9.5mm以上の成分含有量は、目開き9.5mmの篩上に残った質量を、測定に用いたサンプル質量で除して求めた。
<(B)成分の酸価の測定方法>
酸価はJIS−K−2501−2003に準拠して測定を行った。
((C)成分:その他のビニル系単量体)
(C−1):スチレン(St)
:旭化成ケミカルズ(株)社製
(C−2−1):アクリル酸メチル(MA)
:三菱化学(株)社製
(C−2−2):アクリル酸エチル(EA)
:三菱化学(株)社製
(C−3):アクリロニトリル (AN)
:旭化成ケミカルズ(株)社製
(ラウロイルパーオキサイド(lauroyl peroxide;LPO)):日本油脂(株)社製、重合開始剤として使用
(第三リン酸カルシウム(calcium phosphate)):日本化学工業(株)社製、懸濁剤として使用
(炭酸カルシウム(calcium calbonate)):白石工業(株)社製、懸濁剤として使用
(ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate)):和光純薬(株)社製、懸濁助剤として使用
(I.重量平均分子量の測定)
GPC溶出曲線におけるエリア面積と、検量線を基に、メタクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)を求めた。
検量線用標準サンプルとして、単分散の重量平均分子量が既知で分子量が異なる以下の10種のメタクリル樹脂(EasiCal PM-1 Polymer Laboratories製)を用いた。
重量平均分子量
標準試料1 1,900,000
標準試料2 790,000
標準試料3 281,700
標準試料4 144,000
標準試料5 59,800
標準試料6 28,900
標準試料7 13,300
標準試料8 5,720
標準試料9 1,936
標準試料10 1,020
(II.重合所要時間)
<1.溶解法>
マレイミド系単量体(B)と、メタクリル酸エステル系単量体(A)と、必要に応じてその他のビニル系単量体(C)とを溶解させるために混合を開始した時点を重合所要時間の測定開始時とし、溶解液を反応槽に投入して重合を開始して、重合が完結するまでの時間を測定した。
<2.水分散粉体投入法>
水分散粉体投入法においては、反応槽とは異なる所定の分散槽中で、水とマレイミド系単量体(B)とを接触させ、分散液を調製し、当該分散液を反応槽に投入して重合を行った。
水分散粉体投入法においては、前記分散槽で水とマレイミド系単量体(B)を接触させてから、重合が完結するまでの時間を測定した。
重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけた時に篩上に残る凝集体を採取し、85℃で12時間乾燥させた後の凝集体の質量を、反応に使用したモノマー重量で除して、凝集体発生率(%)を算出し、重合安定性の指標とした。
1.0%未満のものを「○」、1.0%以上2%未満のものを「△」、2%以上のものを「×」として評価した。
上記<溶解法>、<水分散粉体投入法>において測定した、重合所要時間が300分を超えるものを生産性評価が良好でない「×」、300分以下のものを生産性評価が良好「○」として評価した。
ISO13468−1規格に準拠して、3mm厚試験片を用いて、全光線透過率の測定を行い、透明性の指標とした。
<黄色度差の評価>
後述する実施例及び比較例において製造したメタクリル系樹脂粒子を用いて、厚さ4mm×幅40mm×長さ60mm試験片を成形した。
日本電色工業株式会社色差計300Aを使用して、前記試験片のYI値(i)、及び、設定温度80℃、設定湿度95%Rhに設定した恒温恒湿槽で192時間置いた後のYI値(ii)を測定し、YI値の変化度を測定した。
前記(ii)と前記(i)との差が1以上のものを不良:「×」、1未満のものを良好:「○」として評価を行った。
東芝機械株式会社製IS−100EN射出成型機を用いて、成型温度270℃、金型温度60℃にて、厚さ3mm×幅100mm×長さ100mm試験片を製造し、温度90℃、湿度95%に設定された恒温恒湿槽に500時間放置した後の試験片形状を観察し、歪み等の変形が見られたものを「×」、わずかに変形が見られたものを「△」、ほとんど変形が見られなかったものを「○」として評価を行った。
メタクリル系樹脂に含まれる残存アミン量は下記の条件・装置で測定を行った。
測定装置:Agilent MSD5975C
使用カラム:DB−1 30m×0.25mm i.d. 液相厚 0.25μm
キャリアガス:ヘリウム
スプリット比:(1:10)
カラム温度:40℃(5分保持)⇒20℃/分昇温⇒320℃(11分保持)
I/F温度:320℃
注入口温度:320℃
注入量:1.0μL
i)アニリン量の定量
試料40mgを、クロロホルムを用いて2mLに定容し測定を行った。アニリン標準溶液から作成した検量線から定量を行った。
ii)シクロヘキシルアミン量の定量
試料10mgに、N−メチル−ビス(トリフルオロアセトアミド)0.5mLを添加し、室温で2時間反応させた後に塩化メチレンを用いて2mLに定容し測定を行った。シクロヘキシルアミン標準溶液についても、同様に誘導体化を実施後に検量線を作成して定量を行った。
なお、下記表2中、「残存アミン量」は、上記におより定量されたアニリン量と、シクロヘキシルアミン量の合計量であるとする。
配合量については、下記表1に示す。
また、単量体の仕込み組成と、重量平均分子量の測定結果、及び重合条件を下記表2に示す。
4枚傾斜パドル翼を取り付けた攪拌機を有する容器に、水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し、混合液(a)を得た。
別途、4枚傾斜パドル翼を取り付けた攪拌機を要する容器(分散槽)に、下記表1に示す量のN−フェニルマレイミドを投入したのち、50℃のイオン交換水21kgを投入して10分間攪拌分散させ、分散液を調製した。使用したイオン交換水のpHは6.1であった。
次に、上記分散液を、3枚後退翼を取り付けた攪拌機を有する60Lの反応器(反応槽)に、10kg/minの速度で移送した。上記分散槽と配管に残存するN−フェニルマレイミドを洗い流すために、分散槽中に50℃の温水5kgを投入して再度移送した。
続いて上記混合液(a)を投入し、さらに下記表1に示す配合量でN−フェニルマレイミド以外の原料混合物を投入した。
その後、約75℃に昇温して、かつ約75℃を保って懸濁重合を行い、前記N−フェニルマレイミド以外の原料混合物を投入してから約125分後に発熱ピークが観測された。
その後、約93℃に1℃/minの速度で昇温した後、93〜98℃の温度で120分間熟成反応し、重合反応を実質終了した。分散槽で水とマレイミド系単量体(B)を接触させてから、重合が完結するまでの時間は、290分であった。
次に、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20質量%硫酸を投入した。
次に、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集体を除去した上で、水分を濾別し、得られたスラリーを脱水してビーズ状ポリマーを得、得られたビーズ状ポリマーを、水洗浄した後、上記と同様に脱水し、更にイオン交換水で洗浄、脱水を繰り返して洗浄し、ポリマー粒子を得た。
得られたポリマー粒子は85℃の熱風乾燥オーブンで12時間乾燥させたのち、バレル温度240℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレットを得た。その際の押出し作業性は良好であった。得られたペレットを用いて、射出成形体を製造し、上記評価を行った。
マレイミド系単量体(B)の分散液の調製、及び、移送方法を、下記の方法に変更した以外は、実施例1と同様に重合、評価を行った。
すなわち、分散液は、4枚傾斜パドル翼を取り付けた攪拌機を要する容器(分散槽)に、下記表1に示す量のN−フェニルマレイミドを投入したのち、45℃の温水18kgを投入して15分間攪拌分散させ、調製した。
次に、上記分散液を、3枚後退翼を取り付けた攪拌機を有する60Lの反応器(反応槽)に10kg/minの速度で移送した。上記分散槽と配管に残存するN−フェニルマレイミドを洗い流すために、分散槽中に50℃のイオン交換水5kgを投入して再度移送した。さらに55℃のイオン交換水3kgを投入して、反応槽へ移送した。
評価結果を下記表2に示す。
単量体及びその配合量を表1のように変更した。
また、反応槽への(B)成分の供給温度、後洗浄回数、後洗浄水温度、反応槽への(B)成分以外のモノマーの供給温度を表2に示すように変更した。
その他の条件は、実施例1と同様の方法で重合を行った。評価結果を下記表2に示す。
4枚傾斜パドル翼を取り付けた攪拌機を有する容器に、水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し、混合液(a)を得た。
下記表1に示す配合量で、10℃でN―フェニルマレイミド及び他の原料混合物を混合溶解させ、溶解液(b)を得た。
N−フェニルマレイミドの粒子が目視によりほぼ確認できなくなるまでに2時間を要した。
次に、3枚後退翼を取り付けた攪拌機を有する60Lの反応器(反応槽)に水26kgを投入し75℃に昇温し、続いて上記混合液(a)を投入し、上記の溶解液(b)を投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、原料混合物を投入してから約120分後に発熱ピークを発熱ピークが観測された。
その後、93℃に1℃/minの速度で昇温した後、120分間熟成し、重合反応を実質終了した。
マレイミド系単量体(B)と、メタクリル酸エステル系単量体(A)と、必要に応じてその他のビニル系単量体(C)とを溶解させるために混合を開始してから、反応槽に投入し、重合が完結するまでの時間は、365分であった。
次に、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20質量%硫酸を投入した。
次に、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去した上で、水分を濾別し、得られたスラリーを脱水してビーズ状ポリマーを得、得られたビーズ状ポリマーを、水洗浄した後、上記と同様に脱水し、更にイオン交換水で洗浄、脱水を繰り返して洗浄し、ポリマー粒子を得た。
得られたポリマー粒子は85℃の熱風乾燥オーブンで12時間乾燥させたのち、バレル温度240℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレットを得た。その際の押出し作業性は良好であった。得られたペレットを用いて、射出成形体を製造し、上記評価を行った。
マレイミド単量体として(B−2)を使用し、表1、表2に示す組成に従い、その他の条件は、実施例1と同様として重合を行い、上記評価を行った。
下記表1に示す配合量で、10℃でN―フェニルマレイミド及び他の原料混合物を混合した。
3時間攪拌し、溶解を試みたが、N−フェニルマレイミドの溶け残りが多く見られたため、50℃に加温してさらに30分攪拌し、N−フェニルマレイミドの粒子が目視によりほぼ確認できなくなるまで溶解させて、溶解液を得た(溶解液(b))。その他の条件は、比較例1と同様として重合を行い、上記評価を行った。
また、実施例1〜10のように、0.15mm以下成分の少ないマレイミド系単量体(B−1:0.5質量%含有)、(B−3:0.7質量%含有)を用いた場合、比較例2のように0.15mm以下成分の多いマレイミド系単量体を用いた場合(B−2:16質量%含有)と比較すると、他のモノマーに溶解した状態で供給せず、水に分散させた状態で、反応槽に供給する方法でも高い重合安定性を保持できる上、色調安定性にも優れていることが分かった。
比較例3を見ると、マレイミド系単量体量が多い場合に長時間攪拌しても、原料混合物中へは完全には溶解せず、加温による溶解が必要であり、生産性が低いものであった。
Claims (9)
- メタクリル酸エステル系単量体(A):50〜99質量%、
マレイミド系単量体(B)1〜30質量%、
及び、その他のビニル系単量体(C):0〜20質量%を、反応槽中で共重合する重合工
程を有し、
下記(1)〜(5)の条件を満たすメタクリル系樹脂の製造方法。
(1)前記マレイミド系単量体(B)は、25℃で固体である。
(2)前記マレイミド単量体(B)を、水に分散させた状態で反応槽に供給する。
(3)前記マレイミド系単量体(B)は、0.15mm以下の粒子径成分の含有量が
、10質量%以下である。
(4)前記マレイミド系単量体(B)の水分散体を、反応槽に供給する際の前記マレイミド系単量体(B)の水分散体の温度が、0℃以上80℃以下である。
(5)前記マレイミド系単量体(B)以外の重合単量体を、反応槽に供給する際の反応槽内温度が、0℃以上80℃以下である。 - 前記マレイミド系単量体(B)の水分散体を、当該マレイミド系単量体(B)の融点よ
り20℃以上低い温度で、前記反応槽中に供給する、請求項1に記載のメタクリル系樹脂
の製造方法。 - 前記マレイミド系単量体(B)以外の重合単量体を、
前記反応槽が、前記マレイミド系単量体(B)の融点より20℃以上低い温度である条
件下で、前記反応槽中に供給する、請求項1又は2に記載のメタクリル系樹脂の製造方法
。 - 前記マレイミド系単量体(B)が、N−フェニルマレイミド及びN−シクロヘキシルマ
レイミドからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1乃至3のいずれか一項
に記載のメタクリル系樹脂の製造方法。 - 前記重合工程が、懸濁重合法により実施される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載
のメタクリル系樹脂の製造方法。 - 前記マレイミド系単量体(B)を分散させる水の温度が、0℃以上80℃以下である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のメタクリル系樹脂の製造方法。 - 前記マレイミド系単量体(B)の9.5mm以上の粒子径成分の含有量が10質量%以
下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のメタクリル系樹脂の製造方法。 - 前記マレイミド系単量体(B)の平均粒子径が、0.2mm以上9mm以下である、請
求項1乃至7のいずれか一項に記載のメタクリル系樹脂の製造方法。 - 前記重合工程において、重合開始剤を、前記メタクリル酸エステル系単量体(A)、及
び前記その他のビニル系単量体(C)と共に、前記反応槽に供給する、請求項1乃至8の
いずれか一項に記載のメタクリル系樹脂の製造方法。
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