JP6175420B2 - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ワンウェイクラッチを備えるクランク式の車両用動力伝達装置に関する。
エンジンに接続された入力軸の回転をコネクティングロッドの往復運動に変換し、更に、コネクティングロッドの往復運動をワンウェイクラッチによって出力軸の回転運動に変換するようにしたワンウェイクラッチを備えた車両用動力伝達装置が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のワンウェイクラッチは、アウター部材と、インナー部材と、アウター部材及びインナー部材間に配置した複数のローラと、各々のローラを付勢する複数のコイルスプリングとを備え、アウター部材の回転速度が、インナー部材の回転速度より早くなったとき、アウター部材の内周面とインナー部材の外周面との間に設けられた楔部にローラを係合させて、入力軸から出力軸にトルクを伝達している。
特許第5142234号公報
しかし、特許文献1に記載の車両用動力伝達装置では、ワンウェイクラッチの係合状態から非係合状態に移行する際、すなわち、ワンウェイクラッチのトルク解放時に入出力軸に大きな振動が発生してしまうことが分かった。図12は、ワンウェイクラッチのトルク変動とトルク変動に伴って入出力軸に発生する振動を示したものであるが、ワンウェイクラッチのトルク解放時に入出力軸に大きな振動が発生していることが分かる。
本発明の目的は、ワンウェイクラッチの係合状態から非係合状態に移行する際の振動を抑制可能な車両用動力伝達装置を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ワンウェイクラッチのトルク解放時に振動が発生するのは、図13に示すように、ワンウェイクラッチによって出力軸に伝達されるトルクの時間変化がトルク解放時に急激に変化することによることを見出し、トルク解放時のトルクの時間変化を緩やかにすることを企図し、ワンウェイクラッチのアウター部材を分割構造とし、且つ、トルク非伝達時に分割された第1アウター部材と第2アウター部材間で面圧が発生しないように構成することで本発明に至ったものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、
駆動源(例えば、後述の実施形態のエンジンENG)に接続された入力軸(例えば、後述の実施形態の入力部2及びカムディスク5)の回転を変速して出力軸(例えば、後述の実施形態の出力軸3)に伝達する複数の動力伝達ユニット(例えば、後述の実施形態の動力伝達ユニット20)を前記入力軸と前記出力軸間で軸方向に並置し、
前記動力伝達ユニットの各々は、
前記入力軸の軸線(例えば、後述の実施形態の回転中心軸線P1)からの偏心量(例えば、後述の実施形態の偏心量R1)が可変であって該入力軸と共に回転する入力側支点(例えば、後述の実施形態の回転ディスク6の中心P3)と、
インナー部材(例えば、後述の実施形態のインナー部材72)と、アウター部材(例えば、後述の実施形態のアウター部材71)と、前記アウター部材の内周面(例えば、後述の実施形態の内周面71a)と前記インナー部材の外周面(例えば、後述の実施形態の外周面72a)との間に設けられたローラ(例えば、後述の実施形態のローラ25)と、該ローラを保持するケージ(例えば、後述の実施形態のケージ31)と、を備え、前記インナー部材の外周面に設けられた楔部(例えば、後述の実施形態の楔部W)に該ローラを係合させて、前記入力軸から前記出力軸にトルクを伝達するワンウェイクラッチ(例えば、後述の実施形態のワンウェイクラッチ17)と、
前記ワンウェイクラッチの前記アウター部材に設けた出力側支点(例えば、後述の実施形態の出力側支点P4)と、
前記入力側支点および前記出力側支点を接続するコネクティングロッド(例えば、後述の実施形態のコネクティングロッド15)と、を備える車両用動力伝達装置(例えば、後述の実施形態の無段変速機1)であって、
前記アウター部材は、前記出力側支点が形成された第1アウター部材(例えば、後述の実施形態の第1アウター部材75)と、前記第1アウター部材の内周部に相対回転不能に配置される第2アウター部材(例えば、後述の実施形態の第2アウター部材76)と、を有し、
前記第1アウター部材と前記第2アウター部材とは、前記ワンウェイクラッチのトルク非伝達時に、面圧が発生しないように構成される。
また請求項2に記載された発明は、請求項1の構成であって、
前記第1アウター部材と前記第2アウター部材との間には、前記ワンウェイクラッチのトルク非伝達時に所定の径方向隙間(例えば、後述の実施形態の径方向隙間T)が設けられており、
該径方向隙間は、前記ワンウェイクラッチのトルク伝達に伴う前記第2アウター部材の拡径量以下である。
また請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載の構成であって、
前記第1アウター部材と前記第2アウター部材とは、キー(例えば、後述の実施形態のキー77)とキー溝(例えば、後述の実施形態のキー溝75b、76b)により相対回転不能に構成される。
上記目的を達成するために、請求項4に記載された発明は、
駆動源(例えば、後述の実施形態のエンジンENG)に接続された入力軸(例えば、後述の実施形態の入力部2及びカムディスク5)の回転を変速して出力軸(例えば、後述の実施形態の出力軸3)に伝達する複数の動力伝達ユニット(例えば、後述の実施形態の動力伝達ユニット20)を前記入力軸と前記出力軸間で軸方向に並置し、
前記動力伝達ユニットの各々は、
前記入力軸の軸線(例えば、後述の実施形態の回転中心軸線P1)からの偏心量(例えば、後述の実施形態の偏心量R1)が可変であって該入力軸と共に回転する入力側支点(例えば、後述の実施形態の回転ディスク6の中心P3)と、
インナー部材(例えば、後述の実施形態のインナー部材72)と、アウター部材(例えば、後述の実施形態のアウター部材71)と、ローラ(例えば、後述の実施形態のローラ25)と、を備え、該アウター部材の内周面(例えば、後述の実施形態の内周面71a)と該インナー部材の外周面(例えば、後述の実施形態の外周面72a)との間に設けられた楔部(例えば、後述の実施形態の楔部W)に該ローラを係合させて、前記入力軸から前記出力軸にトルクを伝達するワンウェイクラッ(例えば、後述の実施形態のワンウェイクラッチ17)と、
前記ワンウェイクラッチの前記アウター部材に設けた出力側支点(例えば、後述の実施形態の出力側支点P4)と、
前記入力側支点および前記出力側支点を接続するコネクティングロッド(例えば、後述の実施形態のコネクティングロッド15)と、を備える車両用動力伝達装置(例えば、後述の実施形態の無段変速機1)であって、
前記アウター部材は、前記出力側支点が形成された第1アウター部材(例えば、後述の実施形態の第1アウター部材75)と、前記出力側支点を避けるように前記第1アウター部材の外周部に配置される第2アウター部材(例えば、後述の実施形態の第2アウター部材76)と、を有し、
前記第1アウター部材と前記第2アウター部材とは、前記ワンウェイクラッチのトルク非伝達時に、面圧が発生しないように構成される。
また請求項5に記載された発明は、請求項4の構成であって、
前記第1アウター部材と前記第2アウター部材との間には、前記ワンウェイクラッチのトルク非伝達時に所定の径方向隙間(例えば、後述の実施形態の径方向隙間T)が設けられており、
該径方向隙間は、前記ワンウェイクラッチのトルク伝達に伴う前記第1アウター部材の拡径量以下である。
また請求項6に記載された発明は、請求項4又は5に記載の構成であって、
前記第2アウター部材は、少なくとも2以上の剛性部材(例えば、後述の実施形態の第2アウター部材片80)が結合部材(例えば、後述の実施形態の結合部材79)によって結合される。
請求項1の構成によれば、ワンウェイクラッチのアウター部材は、分割構造を有し、トルク非伝達時に第1アウター部材と第2アウター部材との間で面圧が発生しないように構成され、トルク伝達時にローラが楔部に係合して第2アウター部材が拡径した際に面圧が発生するように構成されることで、ワンウェイクラッチの係合状態から非係合状態に移行する際のトルクの時間変化を穏やかにすることができ、トルクの急変による振動を抑制することができる。
請求項2の構成によれば、第1アウター部材と第2アウター部材とをすきま嵌めとすることで、確実にトルク非伝達時に第1アウター部材と第2アウター部材との間で面圧が発生しないように構成することができる。
請求項3の構成によれば、キーとキー溝の簡単な構成により、第1アウター部材と第2アウター部材とを相対回転不能に構成することができ、第1アウター部材と第2アウター部材との間で面圧が発生する前にキーとキー溝とが係合することにより第1アウター部材と第2アウター部材とが一体回転してローラを楔部に移動させることができる。
請求項4の構成によれば、ワンウェイクラッチのアウター部材は、トルク非伝達時に第1アウター部材と第2アウター部材との間で面圧が発生しないように構成され、トルク伝達時にローラが楔部に係合して第2アウター部材が拡径した際に面圧が発生するように構成されることで、ワンウェイクラッチの係合状態から非係合状態に移行する際のトルクの時間変化を穏やかにすることができ、トルクの急変による振動を抑制することができる。
また、第2アウター部材は単純な剛性部材として機能するので、軸心の設定が不要となる。
請求項5の構成によれば、第1アウター部材と第2アウター部材とをすきま嵌めとすることで、確実にトルク非伝達時に第1アウター部材と第2アウター部材との間で面圧が発生しないように構成することができる。
請求項6の構成によれば、第2アウター部材は少なくとも2以上の剛性部材を結合部材によって結合するだけでよいので、組み付けを容易にできる。
本発明の一実施形態に係る無段変速機の断面図である。 図1の無段変速機の動力伝達ユニットの構成を軸方向から示す説明図である。 図1の無段変速機の動力伝達ユニットの入力側支点の回転半径の変化を示す説明図であり、(A)は回転半径が「最大」、(B)は回転半径が「中」、(C)は回転半径が「小」、(D)は回転半径が「0」の場合を示す。 図1の無段変速機の動力伝達ユニットの入力側支点の回転半径の変化に対する出力側支点の揺動範囲の変化を示す説明図であり、(A)は揺動範囲が「最大」、(B)は揺動範囲が「中」、(C)は揺動範囲が「小」、(D)は揺動範囲が「0」の場合を示す。 第1実施形態のワンウェイクラッチの分解斜視図である。 第1実施形態のワンウェイクラッチにおいて、(a)ローラの係合初期段階において第1アウター部材と第2アウター部材との間に径方向隙間Tが存在した状態を示す図であり、(b)はローラが楔部に噛み込み第1アウター部材と第2アウター部材との間の径方向隙間Tが減少した状態を示す図であり、(c)は第1アウター部材と第2アウター部材とが密着し両者間に面圧が作用した状態を示す図である。 第1実施形態のワンウェイクラッチの作用説明図である。 第1及び第2実施形態のワンウェイクラッチにおいて、(a)は揺動リンクが1回転する際にワンウェイクラッチから出力軸に伝達されるトルクを示すグラフであり、(b)は揺動リンクが1回転する際にワンウェイクラッチから出力軸に伝達されるトルクの時間変化を示すグラフである。 第2アウター部材の第1アウター部材への組み付け前の第2実施形態のワンウェイクラッチの図であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。 第2アウター部材の第1アウター部材への組み付け後の第2実施形態のワンウェイクラッチの図であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。 変形例のワンウェイクラッチにおいて、(a)ローラの係合初期段階において第1インナー部材と第2インナー部材との間に径方向隙間Tが存在した状態を示す図であり、(b)はローラが楔部に噛み込み第1インナー部材と第2インナー部材との間の径方向隙間Tが減少した状態を示す図であり、(c)は第1インナー部材と第2インナー部材とが密着し両者間に面圧が作用した状態を示す図である。 従来のワンウェイクラッチにおけるトルク変動とトルク変動に伴って入出力軸に発生する振動を示したものである。 従来のワンウェイクラッチにおいて、(a)は揺動リンクが1回転する際にワンウェイクラッチから出力軸に伝達されるトルクを示すグラフであり、(b)は揺動リンクが1回転する際にワンウェイクラッチから出力軸に伝達されるトルクの時間変化を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の車両用動力伝達装置の実施形態を説明する。本実施形態の車両用動力伝達装置は、四節リンク機構型の無段変速機であり、変速比h(h=入力軸の回転速度/出力軸の回転速度)を無限大(∞)にして出力軸の回転速度を「0」にできる変速機、いわゆるIVT(Infinity Variable Transmission)の一種である。
以下、図1〜図8を参照して、本発明の車両用動力伝達装置の一実施形態としての無段変速機1について説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態の無段変速機1の概略構成について説明する。
本実施形態の無段変速機1は、図1に示すように、入力部2と、入力部2の回転中心軸線P1と平行に配置された出力軸3と、入力部2の回転中心軸線P1上に設けられた6個の回転半径調節機構4とを備える。
入力部2は、主駆動源であるエンジンENGからの駆動力が伝達されることで回転中心軸線P1を中心に回転する。なお、主駆動源としては、内燃機関の他、電動機等を用いてもよい。
出力軸3は、図示省略したデファレンシャルギヤを介して車両の駆動輪(図示省略)に回転駆動力を伝達させる。なお、デファレンシャルギヤの代わりにプロペラシャフトを設けてもよい。
回転半径調節機構4は、入力部2の回転中心軸線P1上に設けられたカムディスク5と、カムディスク5に回転自在に外嵌している回転ディスク6とを有する。
カムディスク5は、円盤状であり、入力部2の回転中心軸線P1に対して偏心した状態で、入力部2と一体的に回転可能に、2個1組で設けられている。各1組のカムディスク5は、それぞれ位相が60°異なるように設定され、6組のカムディスク5で入力部2の回転中心軸線P1の周方向を一回りするように配置されている。
カムディスク5には、入力部2の回転中心軸線P1方向に貫通し、カムディスク5の中心P2に対して偏心した位置に穿設された貫通孔5aが形成されている。また、カムディスク5には、入力部2の回転中心軸線P1を挟んでカムディスク5の中心P2と反対側となる領域に、カムディスク5の外周面と貫通孔5aの内周面とを連通させる切欠孔5bが形成されている。
2個1組のカムディスク5同士はボルト(図示省略)で固定されている。また、2個1組のカムディスク5の一方は、隣接する回転半径調節機構4が有する他の2個1組のカムディスク5の他方と一体的に形成され、一体型カム部を構成している。また、カムディスク5のうち、最もエンジンENGに近い位置にあるカムディスク5は、入力部2と一体的に形成されている。このようにして、入力部2と複数のカムディスク5とで、入力軸(カムシャフト)が構成されることとなる。
なお、2個1組のカムディスク5同士は、ボルトではなく、他の手段で固定してもよい。また、一体型カム部は、一体成型で形成してもよく、2つのカムディスク5を溶接して一体化してもよい。また、最もエンジンENGに近い位置にあるカムディスク5と入力部2とを一体的に形成する方法としては、一体成型で形成してもよく、カムディスク5と入力部2とを溶接して一体化してもよい。
回転ディスク6は、図2に示すように、その中心P3から偏心した位置に受入孔6aが設けられた円盤状であり、入力部2の回転中心軸線P1に対して回転可能に設けられている。その受入孔6aには、各1組のカムディスク5が、回転自在に嵌め込まれている。また、回転ディスク6の受入孔6aには、図1に示すように、1組のカムディスク5の間となる位置に、内歯6bが設けられている。
また、回転ディスク6の受入孔6aは、入力部2の回転中心軸線P1からカムディスク5の中心P2(受入孔6aの中心)までの距離Rxとカムディスク5の中心P2から回転ディスク6の中心P3までの距離Ryとが同一となるように、カムディスク5に対して偏心している。
入力部2と複数のカムディスク5によって構成された入力軸は、カムディスク5の貫通孔5aが連なることによって構成される挿通孔50を備えている。これにより、入力軸は、エンジンENGとは反対側の一方端が開口し他方端が閉塞した中空軸形状となっている。
挿通孔50には、回転中心軸線P1と同心に、ピニオンシャフト7が入力軸と相対回転自在となるように配置されている。
ピニオンシャフト7は、回転ディスク6の内歯6bと対応する位置にピニオン7aを有している。また、ピニオンシャフト7は、入力部2の回転中心軸線P1方向において隣接するピニオン7aの間にピニオン軸受7bが設けられている。このピニオン軸受7bを介して、ピニオンシャフト7は、入力軸を支えている。
ピニオン7aは、ピニオンシャフト7のシャフト部と一体に形成されている。ピニオン7aは、カムディスク5の切欠孔5bを介して、回転ディスク6の内歯6bと噛合する。なお、ピニオン7aは、ピニオンシャフト7と別体に構成して、ピニオンシャフト7にスプライン結合で連結させてもよい。本実施形態においては、単にピニオン7aというときは、ピニオンシャフト7を含むものとして定義する。
また、ピニオンシャフト7には、遊星歯車機構などで構成される差動機構8が、エンジンENGとは反対側の一方端側に接続されている。
差動機構8は、図1に示すように、例えば、遊星歯車機構として構成され、サンギヤ9と、入力部2と複数のカムディスク5によって構成された入力軸に連結された第1リングギヤ10と、ピニオンシャフト7に連結された第2リングギヤ11と、サンギヤ9及び第1リングギヤ10と噛合する大径部12aと、第2リングギヤ11と噛合する小径部12bとからなる段付ピニオン12を自転及び公転自在に軸支するキャリア13と、を有している。
サンギヤ9は、ピニオンシャフト7用の副駆動源であるアクチュエータ14の回転軸14aに連結されており、そのアクチュエータ14から駆動力が伝達される。したがって、ピニオン7aにも、差動機構8を介して、アクチュエータ14の駆動力が伝達される。
ピニオンシャフト7の回転速度を入力部2の回転速度と同一にした場合、サンギヤ9と第1リングギヤ10とが同一速度で回転することとなる。その結果、サンギヤ9、第1リングギヤ10、第2リングギヤ11及びキャリア13の4個の要素が相対回転不能なロック状態となって、第2リングギヤ11と連結するピニオンシャフト7が入力部2と同一速度で回転する。
ピニオンシャフト7の回転速度を入力部2の回転速度よりも遅くした場合、サンギヤ9の回転数をNs、第1リングギヤ10の回転数をNR1、サンギヤ9と第1リングギヤ10のギヤ比(第1リングギヤ10の歯数/サンギヤ9の歯数)をjとすると、キャリア13の回転数が(j・NR1+Ns)/(j+1)となる。また、サンギヤ9と第2リングギヤ11のギヤ比((第2リングギヤ11の歯数/サンギヤ9の歯数)×(段付ピニオン12の大径部12aの歯数/小径部12bの歯数))をkとすると、第2リングギヤ11の回転数が{j(k+1)NR1+(k−j)Ns}/{k(j+1)}となる。
すなわち、入力部2の回転速度とピニオンシャフト7の回転速度とに差がある場合、ピニオンシャフト7のピニオン7aと噛合する回転ディスク6の内歯6bを介して伝達されたアクチュエータ14からの駆動力により、回転ディスク6は、カムディスク5の中心P2を中心にカムディスク5の周縁を回転する。
ところで、図2に示すように、回転ディスク6は、カムディスク5に対して、入力部2の回転中心軸線P1からカムディスク5の中心P2までの距離Rxと、カムディスク5の中心P2から回転ディスク6の中心P3までの距離Ryとが同一となるように偏心している。
そのため、回転ディスク6の中心P3を入力部2の回転中心軸線P1と同一線上に位置させて、入力部2の回転中心軸線P1と回転ディスク6の中心P3との距離(回転半径調節機構4の回転半径)、すなわち、偏心量R1を「0」にすることもできる。
回転ディスク6の周縁には、一方(入力部2側)の端部に大径の入力側環状部15aを有し、他方(出力軸3)の端部に入力側環状部15aの径よりも小径の出力側環状部15bを有するコネクティングロッド15が、回転自在に接続している。
コネクティングロッド15の入力側環状部15aは、コネクティングロッド軸受16を介して、回転ディスク6に回転自在に外嵌している。
出力軸3には、ワンウェイクラッチ17を介して、6個の揺動リンク18が、コネクティングロッド15に対応させて揺動自在に軸支されている。
ワンウェイクラッチ17は、詳しくは後述するが、揺動リンク18と出力軸3との間に設けられ、揺動リンク18が出力軸3の回転中心軸線P5を中心として出力軸3に対して一方側に相対回転しようとする場合には、出力軸3に対して揺動リンク18を固定し(固定状態)、他方側に相対回転しようとする場合には、出力軸3に対して揺動リンク18を空転させる(空転状態)。
揺動リンク18は、環状に形成されており、その下方には、コネクティングロッド15の出力側環状部15bに連結される揺動端部18aが設けられている。揺動端部18aには、出力側環状部15bを軸方向から挟み込むように突出した一対の突片18bが設けられている。一対の突片18bには、出力側環状部15bの内径に対応する差込孔18cが穿設されている。
差込孔18c及び出力側環状部15bに、揺動軸としての連結ピン19が挿入されることによって、コネクティングロッド15と揺動リンク18とが、相対回転可能に接続される。
本実施形態の無段変速機1では、上記のような構成を有する回転半径調節機構4と、揺動リンク18と、コネクティングロッド15とによって、動力伝達ユニット20が構成されている。
なお、本実施形態においては、6個の動力伝達ユニット20を備えたものを説明した。しかし、本発明の無段変速機における動力伝達ユニットの数は、その数に限られず、例えば、5個以下の動力伝達ユニットを備えていてもよいし、7個以上の動力伝達ユニットを備えていてもよい。
また、本実施形態においては、入力部2と複数のカムディスク5によって入力軸を構成し、入力軸がカムディスク5の貫通孔5aが連なることによって構成される挿通孔50を備えるものを説明した。しかし、本発明の無段変速機における入力軸はこのように構成されたものに限られない。
例えば、入力部を一端が開口するように挿通孔を有する中空軸状に構成し、円盤状のカムディスクに入力部を挿通できるように貫通孔を本実施形態のものよりも大きく形成して、カムディスクを中空軸状に構成された入力部の外周面にスプライン結合させてもよい。
この場合、中空軸からなる入力部には、カムディスクの切欠孔に対応させて切欠孔が設けられる。そして、入力部内に挿入されるピニオンは、入力部の切欠孔及びカムディスクの切欠孔を介して、回転ディスクの内歯と噛合する。
次に、図1〜図4を参照して、本実施形態の無段変速機の動力伝達ユニット20について説明する。
本実施形態の無段変速機1は、図1に示すように、合計6個の動力伝達ユニット20(四節リンク機構)を備えている。動力伝達ユニット20は、図2に示すように、コネクティングロッド15と、揺動リンク18と、回転ディスク6を有しその回転半径を調節自在な回転半径調節機構4とで構成されている。この動力伝達ユニット20によって、入力軸の回転運動が、揺動リンク18の揺動運動に変換される。
この動力伝達ユニット20では、回転半径調節機構4の回転ディスク6の中心P3(入力側支点)の回転半径(偏心量R1)が、「0」でない場合、入力部2とピニオンシャフト7とを同一速度で回転させると、各コネクティングロッド15が、位相を変えながら、入力部2と出力軸3との間で、揺動端部18aを、出力軸3側に押したり、入力部2側に引いたりを交互に繰り返して、揺動リンク18を揺動させる。
そして、揺動リンク18と出力軸3との間にはワンウェイクラッチ17が設けられているので、コネクティングロッド15によって、揺動リンク18が出力軸3に対して一方側に、出力軸3の回転速度を超える速度で回転するときには、揺動リンク18が出力軸3に対して固定され、出力軸3にトルクを伝達する。一方、揺動リンク18が出力軸3に対して他方側に回転するときには、揺動リンク18が出力軸3に対して空回りし、出力軸3にトルクを伝達しない。
本実施形態の無段変速機1では、6個の動力伝達ユニット20の回転半径調節機構4が、それぞれ60度ずつ位相を変えて配置されているので、出力軸3は、6個の動力伝達ユニット20で順に回転させられる。
図3は、回転半径調節機構4の回転ディスク6の中心P3(入力側支点)の回転半径(偏心量R1)を変化させた状態のピニオンシャフト7と回転ディスク6との位置関係を示す図である。
図3(A)は、偏心量R1を「最大」とした状態を示し、入力部2の回転中心軸線P1とカムディスク5の中心P2と回転ディスク6の中心P3とが一直線に並ぶように、ピニオンシャフト7と回転ディスク6とが位置する。この場合の変速比hは「最小」となる。
図3(B)は、偏心量R1を図3(A)よりも小さい「中」とした状態を示し、図3(C)は、偏心量R1を図3(B)よりも更に小さい「小」とした状態を示している。変速比hは、図3(B)では図3(A)の変速比hよりも大きい「中」となり、図3(C)では図3(B)の変速比hよりも大きい「大」となる。
図3(D)は、偏心量R1を「0」とした状態を示し、入力部2の回転中心軸線P1と、回転ディスク6の中心P3とが同心に位置する。この場合の変速比hは「無限大(∞)」となる。
図4は、回転半径調節機構4の回転ディスク6の中心P3(入力側支点)の回転半径(偏心量R1)と、揺動リンク18の揺動運動の揺動範囲θ2との関係を示す図である。
図4(A)は、偏心量R1が図3(A)の「最大」である場合(変速比hが「最小」である場合)、図4(B)は、偏心量R1が図3(B)の「中」である場合(変速比hが「中」である場合)、図4(C)は、偏心量R1が図3(C)の「小」である場合(変速比hが「大」である場合)、図4(D)は、偏心量R1が図3(D)の「0」である場合(変速比hが「無限大(∞)」である場合)を示す。
ここで、R2は、揺動リンク18の長さである。より具体的には、R2は、出力軸3の回転中心軸線P5からコネクティングロッド15と揺動端部18aとの連結点、すなわち、連結ピン19の中心(出力側支点P4)までの距離である。また、θ1は、回転半径調節機構4の回転ディスク6の位相である。
この図4から明らかなように、偏心量R1が小さくなるにつれ、揺動リンク18の揺動範囲θ2が狭くなり、偏心量R1が「0」になった場合には、揺動リンク18は揺動しなくなる。
次に、図5を参照しながら、ワンウェイクラッチ17の構造及び作用について詳細に説明する。
本実施の形態のワンウェイクラッチ17は、一部が揺動リンク18と一体形成された環状のアウター部材71と、出力軸3と一体形成された筒状のインナー部材72と、アウター部材71の円形の内周面71aとインナー部材72の波状に屈曲する外周面72aとの間に配置された12個のローラ25と、ローラ25を付勢するエンゲージスプリング24と、ローラ25を回動自在に保持すると共に、エンゲージスプリング24を支持するための保持部材であるケージ31と、を備え、ローラ25がアウター部材71の内周面71aとインナー部材72の外周面72aとの間に形成された楔状の空間である楔部W(図7参照)に係合することでアウター部材71(揺動リンク18)からインナー部材72(出力軸3)へのトルク伝達が可能となっている。
ケージ31は、円環状の板材からなる一対の環状部材32,32と、周方向に等間隔で配置されて一対の環状部材32,32を相互に接続する12本のばね支持部材33とで構成され、一対の環状部材32,32が12個のローラ25の軸方向両側に配置され、12本のばね支持部材33が12個のローラ25間に配置される。図7も参照して、エンゲージスプリング24の一端には、ケージ31のばね支持部材33に固定される固定端部24aが形成されるとともに、エンゲージスプリング24の他端には、ローラ25の外周面25aに当接する付勢端部24bが形成される。固定端部24aは断面U字状であり、長方形断面のばね支持部材33に圧入されて固定される。
アウター部材71は、筒状のアウター部材本体の両端に一対のリンクプレート73が径方向外側に突設されて断面形状が略U字状をなしている。一対のリンクプレート73には、差込孔18cが穿設された突片18bが一体形成されている。なお、図5中、符号28は、差込孔18cに挿入された連結ピン19を抜けないように規制するクリップである。
ここで、本実施形態のアウター部材71は、分割構造を有し、第1アウター部材75と第2アウター部材76とから構成されている。以下、揺動リンク18と一体成形された第1アウター部材75の内周部に、第2アウター部材76が内嵌されたものを第1実施形態とし、揺動リンク18と一体成形された第1アウター部材75の外周部に、第2アウター部材76が外嵌されたもの第2実施形態として説明する。
<第1実施形態>
まず、第1実施形態のワンウェイクラッチ17について図5、6を参照しながら説明する。
本実施形態のワンウェイクラッチ17では、一対のリンクプレート73と一対のリンクプレート73を連結する筒状部74とが一体形成された断面略U字状の第1アウター部材75と、筒状の第2アウター部材76と、から構成され、第1アウター部材75の内周部に第2アウター部材76が配置されている。即ち、第1アウター部材75が揺動リンク18と一体成形されており、第2アウター部材76が揺動リンク18とは別体となっている。
第1アウター部材75の内周面75aと第2アウター部材76の外周面76aとには同位相となる位置(本実施形態では、差込孔18cから180°の位置)にキー溝75b、76bが形成され、キー77がキー溝75b、76bに係合することで、第1アウター部材75と第2アウター部材76とが相対回転不能となっている。
また、第1アウター部材75と第2アウター部材76とはすきま嵌めされており、第1アウター部材75の内周面75aと第2アウター部材76の外周面76aとの間には所定の径方向隙間Tが設けられている。この径方向隙間Tは、ワンウェイクラッチ17のトルク伝達に伴う第2アウター部材76の拡径量以下に設定されており、ワンウェイクラッチ17のトルク非伝達時に、第1アウター部材75の内周面75aと第2アウター部材76の外周面76aとの間で面圧が発生しないように設定される。一方、ワンウェイクラッチ17のトルク伝達時には、ローラ25が楔部Wに噛み込み第2アウター部材76の内周面76cがローラ25によって径方向外側に押されて拡径することで、第1アウター部材75の内周面75aと第2アウター部材76の外周面76aとの間にあった径方向隙間Tがなくなり、第1アウター部材75の内周面75aと第2アウター部材76の外周面76aとの間で面圧が発生するように設定される。
このような構成を有するワンウェイクラッチ17を備えた6個の動力伝達ユニット20のうち一つの動力伝達ユニット20に着目して、無段変速機1におけるワンウェイクラッチ17のトルク伝達を図1、図2、図6及び図7を参照しながら説明する。なお、図6(図9〜11についても同様。)では、簡単のため、インナー部材72(出力軸3)の外周面72aを円筒面として簡略化し、ケージ31及びエンゲージスプリング24を省略している。また、径方向隙間Tに焦点を当てて図示し、ワンウェイクラッチ17の回転については図示しないものとした(図11についても同様。)
無段変速機1において、偏心量R1が「0」でない状態で、エンジンENGで入力部2を回転させるとともに、ピニオンシャフト7の回転速度が入力部2の回転速度と同一となるようにアクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力部2と複数のカムディスク5によって構成される入力軸とピニオンシャフト7とが一体になった状態で、これらが回転中心軸線P1を中心に反時計方向(図2の矢印A参照)に偏心回転する。回転ディスク6の外周に入力側環状部15aをコネクティングロッド軸受16を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド15は、その出力側環状部15bの先端に連結ピン19で枢支された第1アウター部材75と一体の揺動リンク18を反時計方向(図2、図7の矢印B参照)に回転させる。
このようにして第1アウター部材75が反時計方向に回転すると、第2アウター部材76も反時計方向に回転する。ローラ25の係合初期段階では、第1アウター部材75の内周面75aと第2アウター部材76の外周面76aとの間に径方向隙間Tが存在した状態、即ち、第1アウター部材75の内周面75aと第2アウター部材76の外周面76aとの間に面圧が発生していない状態で、楔部Wにローラ25が噛み込むが、アウター部材71の剛性が低くインナー部材72(出力軸3)にほとんどトルクが伝達されない(図6(a))。そして、ローラ25が楔部Wに噛み込み第2アウター部材76の内周面76cがローラ25によって径方向外側に押されて拡径すると、径方向隙間Tが徐々に狭くなる(図6(b))。その後、第1アウター部材75の内周面75aと第2アウター部材76の外周面76aとが密着し両者間に面圧が作用し(図6(c))、アウター部材71の剛性が高くなりインナー部材72(出力軸3)に大きなトルクが伝達され、インナー部材72(出力軸3)は反時計方向(図2、図7の矢印B参照)に回転する。
入力軸とピニオンシャフト7とが更に回転すると、回転ディスク6が反時計方向(図2の矢印A参照)に更に偏心回転する。回転ディスク6の外周に入力側環状部15aをコネクティングロッド軸受16を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド15は、その出力側環状部15bの先端に連結ピン19で枢支された第1アウター部材75と一体の揺動リンク18を時計方向(図2、図7の矢印B′参照)に回転させる。
このようにして第1アウター部材75が時計方向に回転すると、第2アウター部材76も時計方向に回転する。第2アウター部材76の回転に伴って、楔部Wからローラ25がエンゲージスプリング24を圧縮しながら押し出される。このとき、ローラ25によって径方向外側に押されて拡径していた第2アウター部材76が次第に縮径するため、第1アウター部材75の内周面75aと第2アウター部材76の外周面76aとが密着した状態から徐々に離間し、両者間の面圧もしだいに減少する。そのため、図8に示すように、図13と比較してトルク解放時のトルクの時間変化が緩やかとなり、トルクの時間変化がトルク解放時に急激に変化することが妨げられ、従来のような出力軸3の振動が抑えられる。そして、ローラ25が楔部Wから離間することで、アウター部材71がインナー部材72に対して相対回転して出力軸3へのトルク伝達が終了する。
このように、アウター部材71が往復回転したとき、アウター部材71の回転方向が反時計方向(図2、7の矢印B参照)のときだけ出力軸3が反時計方向(図2、7の矢印B参照)に回転するため、出力軸3は間欠回転することになる。また、ローラ25の非係合状態から係合状態への移行時及びローラ25の係合状態から非係合状態への移行時に径方向隙間Tによって第1アウター部材75の内周面75aと第2アウター部材76の外周面76aとの間の面圧が調整されるので、特に、ワンウェイクラッチ17の係合状態から非係合状態に移行する際のトルクの時間変化を穏やかにすることができる。上記説明は、一つの動力伝達ユニット20に着目して説明したが、無段変速機1では、6個の動力伝達ユニット20の回転半径調節機構4が、それぞれ60度ずつ位相を変えて配置されているので、出力軸3は、6個の動力伝達ユニット20で順に回転させられることになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、ワンウェイクラッチ17のアウター部材71が分割構造を有し、トルク非伝達時に第1アウター部材75と第2アウター部材76との間で面圧が発生しないように構成され、トルク伝達時にローラ25が楔部Wに係合して第2アウター部材76が拡径した際に第1アウター部材75の内周面75aと第2アウター部材76の外周面76aとの間で面圧が発生するように構成されることで、ワンウェイクラッチ17の係合状態から非係合状態に移行する際のトルクの時間変化を穏やかにすることができ、トルクの急変による振動を抑制することができる。
また、第1アウター部材75と第2アウター部材76とをすきま嵌めとすることで、確実にトルク非伝達時に第1アウター部材75の内周面75aと第2アウター部材76の外周面76aとの間で面圧が発生しないように構成することができる。
さらに、第1アウター部材75と第2アウター部材76とは、キー77とキー溝75b、76bの簡単な構成により、相対回転不能に構成することができ、第1アウター部材75の内周面75aと第2アウター部材76の外周面76aとの間で面圧が発生する前にキー77とキー溝75b、76bとが係合することにより第1アウター部材75と第2アウター部材76とが一体回転してローラ25を楔部Wに移動させることができる。
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態のワンウェイクラッチ17について図9、10を参照しながら説明する。
本実施形態のワンウェイクラッチ17では、一対のリンクプレート73と一対のリンクプレート73を連結する筒状部74とが一体形成された断面略U字状の第1アウター部材75と、筒状の第2アウター部材76と、から構成され、第1アウター部材75の外周部に第2アウター部材76が配置されている。即ち、第1アウター部材75が揺動リンク18と一体成形されており、第2アウター部材76が揺動リンク18とは別体となっている。
第2アウター部材76は、差込孔18cとの干渉をさけるように、一対のリンクプレート73に挟まれた筒状部74の外周部に配置され、2分割された半円筒状の第2アウター部材片80が合わせ面に形成された締結部78でボルト等の結合部材79によって結合される。
また、第1アウター部材75と第2アウター部材76とはすきま嵌めされており、第1アウター部材75の筒状部74の外周面75cと第2アウター部材76の内周面76cとの間には所定の径方向隙間T(図示せず。)が設けられている。第1アウター部材75と第2アウター部材76とは径方向隙間Tにより相対回転可能となっており、第2アウター部材76は、径方向隙間Tが存在する限り、第1アウター部材75と一体の揺動リンク18の運動とは独立して運動可能となっている。この径方向隙間Tは、ワンウェイクラッチ17のトルク伝達に伴う第1アウター部材75の拡径量以下に設定されており、ワンウェイクラッチ17のトルク非伝達時に、第1アウター部材75の外周面75cと第2アウター部材76の内周面76cとの間で面圧が発生しないように設定される。一方、ワンウェイクラッチ17のトルク伝達時には、ローラ25が楔部Wに噛み込み第1アウター部材75の内周面75aがローラ25によって径方向外側に押されて拡径することで、第1アウター部材75の外周面75cと第2アウター部材76の内周面76cとの間にあった径方向隙間Tがなくなり、第1アウター部材75の外周面75cと第2アウター部材76の内周面76cとの間で面圧が発生するように設定される。
第1実施形態と同様に、上記構成を有するワンウェイクラッチ17を備えた6個の動力伝達ユニット20のうち一つの動力伝達ユニット20に着目して、無段変速機1におけるワンウェイクラッチ17のトルク伝達について説明すると、偏心量R1が「0」でない状態で、エンジンENGで入力部2を回転させるとともに、ピニオンシャフト7の回転速度が入力部2の回転速度と同一となるようにアクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力部2と複数のカムディスク5によって構成される入力軸とピニオンシャフト7とが一体になった状態で、これらが回転中心軸線P1を中心に反時計方向(図2の矢印A参照)に偏心回転する。回転ディスク6の外周に入力側環状部15aをコネクティングロッド軸受16を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド15は、その出力側環状部15bの先端に連結ピン19で枢支された第1アウター部材75と一体の揺動リンク18を反時計方向(図2、図7の矢印B参照)に回転させる。
このようにして第1アウター部材75が反時計方向に回転すると、ローラ25の係合初期段階では、第1アウター部材75の外周面75cと第2アウター部材76の内周面76cとの間に径方向隙間Tが存在した状態、即ち、第1アウター部材75の外周面75cと第2アウター部材76の内周面76cとの間に面圧が発生していない状態で、楔部Wにローラ25が噛み込むが、アウター部材71の剛性が低くインナー部材72(出力軸3)にほとんどトルクが伝達されない。そして、ローラ25が楔部Wに噛み込み第1アウター部材75の内周面75aがローラ25によって径方向外側に押されて拡径すると、径方向隙間Tが徐々に狭くなる。その後、第1アウター部材75の外周面75cと第2アウター部材76の内周面76cとが密着し両者間に面圧が作用し、アウター部材71の剛性が高くなりインナー部材72(出力軸3)に大きなトルクが伝達され、インナー部材72(出力軸3)は反時計方向(図2、図7の矢印B参照)に回転する。
入力軸とピニオンシャフト7とが更に回転すると、回転ディスク6が反時計方向(図2の矢印A参照)に更に偏心回転する。回転ディスク6の外周に入力側環状部15aをコネクティングロッド軸受16を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド15は、その出力側環状部15bの先端に連結ピン19で枢支された第1アウター部材75と一体の揺動リンク18を時計方向(図2、図7の矢印B′参照)に回転させる。
このようにして第1アウター部材75が時計方向に回転すると、第2アウター部材76も時計方向に回転する。第1アウター部材75の回転に伴って、楔部Wからローラ25がエンゲージスプリング24を圧縮しながら押し出される。このとき、ローラ25によって径方向外側に押されて拡径していた第1アウター部材75が次第に縮径するため、第1アウター部材75の外周面75cと第2アウター部材76の内周面76cとが密着した状態から徐々に離間し、両者間の面圧もしだいに減少する。そのため、図6と同様に、トルク解放時のトルクの時間変化が緩やかとなり、トルクの時間変化がトルク解放時に急激に変化することが妨げられ、従来のような出力軸3の振動が抑えられる。そして、ローラ25が楔部Wから離間することで、アウター部材71がインナー部材72に対して相対回転して出力軸3へのトルク伝達が終了する。
このように、第1アウター部材75が往復回転したとき、第1アウター部材75の回転方向が反時計方向(図2、7の矢印B参照)のときだけ出力軸3が反時計方向(図2、7の矢印B参照)に回転するため、出力軸3は間欠回転することになる。また、ローラ25の非係合状態から係合状態への移行時及びローラ25の係合状態から非係合状態への移行時に径方向隙間Tによって第1アウター部材75の外周面75cと第2アウター部材76の内周面76cとの間の面圧が調整されるので、特に、ワンウェイクラッチ17の係合状態から非係合状態に移行する際のトルクの時間変化を穏やかにすることができる。上記説明は、一つの動力伝達ユニット20に着目して説明したが、無段変速機1では、6個の動力伝達ユニット20の回転半径調節機構4が、それぞれ60度ずつ位相を変えて配置されているので、出力軸3は、6個の動力伝達ユニット20で順に回転させられることになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、ワンウェイクラッチ17のアウター部材71が分割構造を有し、トルク非伝達時に第1アウター部材75と第2アウター部材76との間で面圧が発生しないように構成され、トルク伝達時にローラ25が楔部Wに係合して第1アウター部材75が拡径した際に第1アウター部材75の外周面75cと第2アウター部材76の内周面76cとの間で面圧が発生するように構成されることで、ワンウェイクラッチ17の係合状態から非係合状態に移行する際のトルクの時間変化を穏やかにすることができ、トルクの急変による振動を抑制することができる。
また、第1アウター部材75と第2アウター部材76とをすきま嵌めとすることで、確実にトルク非伝達時に第1アウター部材75の外周面75cと第2アウター部材76の内周面76cとの間で面圧が発生しないように構成することができる。
さらに、第2アウター部材76は少なくとも2以上の剛性部材として機能する第2アウター部材片80を結合部材79によって結合するだけでよいので、組み付けを容易にできる。なお、第2実施形態におけるワンウェイクラッチ17では、第2アウター部材76は、第1アウター部材75と一体の揺動リンク18の運動とは独立して運動可能なので、軸心の設定が不要となる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、上記実施形態では、アウター部材71が分割構造を有していたが、図11に示すように、インナー部材72が分割構造を有していてもよい。図11に示す例では、上記実施形態において出力軸3と一体形成されていた筒状のインナー部材72が、出力軸3と一体形成される第1インナー部材81と、筒状の第2インナー部材82と、から構成され、第1インナー部材81の外周部に第2インナー部材82が配置されている。また、第1インナー部材81と第2インナー部材82とはすきま嵌めされており、第1インナー部材81の外周面81aと第2インナー部材82の内周面82aとの間には所定の径方向隙間Tが設けられている。この径方向隙間Tは、ワンウェイクラッチ17のトルク伝達に伴う第2インナー部材82の縮径量以下に設定されており、ワンウェイクラッチ17のトルク非伝達時に、第1インナー部材81の外周面81aと第2インナー部材82の内周面82aとの間で面圧が発生しないように設定される。一方、ワンウェイクラッチ17のトルク伝達時には、ローラ25が楔部Wに噛み込み第2インナー部材82の内周面82aがローラ25によって径方向内側に押されて縮径することで、第1インナー部材81の外周面81aと第2インナー部材82の内周面82aとの間にあった径方向隙間Tがなくなり、第1インナー部材81の外周面81aと第2インナー部材82の内周面82aとの間で面圧が発生するように設定される。
このように、インナー部材72を分割構造として、第1インナー部材81の外周面81aと第2インナー部材82の内周面82aとの間には所定の径方向隙間Tが設けることでも、上記した第1及び第2実施形態と同様に、ワンウェイクラッチ17の係合状態から非係合状態に移行する際のトルクの時間変化を穏やかにすることができ、トルクの急変による振動を抑制することができる。
1 無段変速機(車両用動力伝達装置)
2 入力部(入力軸)
3 出力軸
5 カムディスク(入力軸)
15 コネクティングロッド
17 ワンウェイクラッチ
20 動力伝達ユニット
25 ローラ
71 アウター部材
71a 内周面(アウター部材の内周面)
72 インナー部材
72a 外周面(インナー部材の外周面)
75 第1アウター部材
75b キー溝
76 第2アウター部材
76b キー溝
77 キー
79 結合部材
80 第2アウター部材片(剛性部材)
ENG エンジン(駆動源)
P1 回転中心軸線(入力軸の軸線)
P3 回転ディスクの中心(入力側支点)
P4 出力側支点
R1 偏心量
T 径方向隙間
W 楔部

Claims (6)

  1. 駆動源に接続された入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する複数の動力伝達ユニットを前記入力軸と前記出力軸間で軸方向に並置し、
    前記動力伝達ユニットの各々は、
    前記入力軸の軸線からの偏心量が可変であって該入力軸と共に回転する入力側支点と、
    インナー部材と、アウター部材と、前記アウター部材の内周面と前記インナー部材の外周面との間に設けられたローラと、該ローラを保持するケージと、を備え、前記インナー部材の外周面に設けられた楔部に該ローラを係合させて、前記入力軸から前記出力軸にトルクを伝達するワンウェイクラッチと、
    前記ワンウェイクラッチの前記アウター部材に設けた出力側支点と、
    前記入力側支点および前記出力側支点を接続するコネクティングロッドと、を備える車両用動力伝達装置であって、
    前記アウター部材は、前記出力側支点が形成された第1アウター部材と、前記第1アウター部材の内周部に相対回転不能に配置される第2アウター部材と、を有し、
    前記第1アウター部材と前記第2アウター部材とは、前記ワンウェイクラッチのトルク非伝達時に、面圧が発生しないように構成される、車両用動力伝達装置。
  2. 請求項1に記載の車両用動力伝達装置であって、
    前記第1アウター部材と前記第2アウター部材との間には、前記ワンウェイクラッチのトルク非伝達時に所定の径方向隙間が設けられており、
    該径方向隙間は、前記ワンウェイクラッチのトルク伝達に伴う前記第2アウター部材の拡径量以下である、車両用動力伝達装置。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用動力伝達装置であって、
    前記第1アウター部材と前記第2アウター部材とは、キーとキー溝により相対回転不能に構成される、車両用動力伝達装置。
  4. 駆動源に接続された入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する複数の動力伝達ユニットを前記入力軸と前記出力軸間で軸方向に並置し、
    前記動力伝達ユニットの各々は、
    前記入力軸の軸線からの偏心量が可変であって該入力軸と共に回転する入力側支点と、
    インナー部材と、アウター部材と、ローラと、を備え、該アウター部材の内周面と該インナー部材の外周面との間に設けられた楔部に該ローラを係合させて、前記入力軸から前記出力軸にトルクを伝達するワンウェイクラッチと、
    前記ワンウェイクラッチの前記アウター部材に設けた出力側支点と、
    前記入力側支点および前記出力側支点を接続するコネクティングロッドと、を備える車両用動力伝達装置であって、
    前記アウター部材は、前記出力側支点が形成された第1アウター部材と、前記出力側支点を避けるように前記第1アウター部材の外周部に配置される第2アウター部材と、を有し、
    前記第1アウター部材と前記第2アウター部材とは、前記ワンウェイクラッチのトルク非伝達時に、面圧が発生しないように構成される、車両用動力伝達装置。
  5. 請求項4に記載の車両用動力伝達装置であって、
    前記第1アウター部材と前記第2アウター部材との間には、前記ワンウェイクラッチのトルク非伝達時に所定の径方向隙間が設けられており、
    該径方向隙間は、前記ワンウェイクラッチのトルク伝達に伴う前記第1アウター部材の拡径量以下である、車両用動力伝達装置。
  6. 請求項4又は5に記載の車両用動力伝達装置であって、
    前記第2アウター部材は、少なくとも2以上の剛性部材が結合部材によって結合される、車両用動力伝達装置。
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