JP6168173B2 - 方向性電磁鋼板とその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、表面から10μm深さの範囲に存在する内部酸化物量を適正化することによって、曲げ密着性を改善する技術が開示されている。また、特許文献2には、フォルステライト被膜のTiとBの目付量、および、これらとNのモル比を適正化することによって、レーザによる磁区細分化処理を施したときの被膜損傷を抑え、鉄損を低減する技術が開示されている。また、特許文献3には、一次被膜(フォルステライト被膜)中にCa,Sr,Baの中から選ばれる1種または複数の元素と希土類元素と硫黄を含む化合物を含有させることによって、一次被膜の根の部分に硫化物を残存させ、強加工下での被膜密着性を改善する技術が開示されている。さらに、特許文献4には、被膜剥離試験後の鋼板側剥離部に観察される下地被膜構成粒子跡の平均粒径を特定することによって、双晶発生率を抑える技術が開示されている。
<実験1>
C:0.065mass%、Si:3.44mass%、Mn:0.08mass%、Al:0.03mass%およびN:0.008mass%を含有する鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした後、1410℃の温度に再加熱し、熱間圧延して板厚2.4mmの熱延板とし、1050℃×60秒の熱延板焼鈍を施した後、一次冷間圧延して中間板厚の1.8mmとし、1120℃×80秒の中間焼鈍を施した後、200℃温度で温間圧延して最終板厚0.23mmの冷延板とした。
次いで、上記冷延板に、一次再結晶焼鈍を兼ねて、50vol%H2−50vol%N2、露点55℃の湿潤雰囲気下で840℃×100秒の脱炭焼鈍を施した。なお、このときの脱炭焼鈍後の酸素目付量は両面で0.9g/m2であった。なお、上記酸素目付量は、脱炭焼鈍後の鋼板全体(全厚)の酸素量を化学分析により求め、単位面積あたりの目付量に換算した値である。
その後、上記鋼板表面に、酸化マグネシウムMgOを主剤とし、添加剤として焼鈍分離剤全体に対して、酸化チタンをTi換算で5mass%、水酸化ストロンチウムをSr換算で3mass%、水酸化ナトリウムをNa換算で0〜60massppm含有し、さらに、不純物としてBaを種々の濃度で含有するMgOを使用することによりBaを焼鈍分離剤全体に対して0〜35massppmの範囲で種々に変化して含有する焼鈍分離剤(スラリー)を鋼板表面に塗布し、乾燥した。なお、上記MgO、酸化チタンおよび水酸化ストロンチウム中に含まれるNa濃度および酸化チタン、水酸化ストロンチウム中に含まれるBa濃度を分析したところ、いずれも検出限界以下であった。
次いで、上記鋼板に、二次再結晶させてから、水素雰囲気下で1200℃×7時間の純化処理を行う仕上焼鈍を施した後、未反応の焼鈍分離剤を除去し、絶縁被膜液を塗布し、絶縁被膜の焼付けと形状矯正を兼ねた平坦化焼鈍を800℃×30秒で施し、方向性電磁鋼板とした。
図1(a)から、鉄損W17/50は、焼鈍分離剤中のBa含有量が30massppm未満において良好となること、ただし、Ba含有量が低い場合でも、Na添加量が20〜40massppmの範囲から外れて、高過ぎたり低過ぎたりしたときには、鉄損が増加していることがわかる。
また、図1(b)から、被膜密着性は、Na添加量が高い方ほど良好となるが、Ba含有量には適正範囲があり、5〜25massppmの範囲で良好であるが、その範囲より低過ぎても高過ぎても、被膜密着性が劣る傾向となることがわかる。
これらの結果から、BaおよびNaは、極微量ではあるが、それぞれ適正範囲に収めて添加することで、鉄損特性と被膜密着性とを両立できることがわかる。
次に、上記のような結果が得られた原因を調査するため、仕上焼鈍によって形成されたフォルステライト被膜と地鉄との界面形状、フォルステライト被膜中へのTi侵入量およびフォルステライト被膜の酸素目付量を測定した。なお、上記酸素目付量は、フォルステライト被膜形成後、即ち、上記実験1で得られた鋼板の表面から絶縁被膜を除去した鋼板全体(全厚)の酸素量を化学分析で求め、単位面積あたりの目付量に換算した値である。
ここで、上記フォルステライト被膜と地鉄との界面形状は、光学顕微鏡を用いて倍率1000倍で観察した。
また、フォルステライト被膜中へのTi侵入量については、フォルステライト被膜形成後、即ち、上記実験1で得られた鋼板の表面から絶縁被膜を除去した表面を蛍光X線分析し、得られたTi強度ITiをMg強度IMgで規格化した(ITi/IMg)を求めた。
図2から、NaもBaも含有していない条件(a)では、被膜と地鉄との界面が平坦で、Tiの侵入量(ITi/IMg)も低いことがわかる。
これに対して、Baのみを含有する条件(b)では、被膜と地鉄との界面の凹凸が激しくなっているが、Tiの侵入量(ITi/IMg)については無添加の条件(a)より若干高まるものの大きな変化はない。酸素目付量については、Baを含有することによって若干低下する傾向にある。
また、Naのみを添加した条件(c)では、被膜と地鉄との界面の凹凸は、条件(a)と大きな違いはないが、Tiの侵入量(ITi/IMg)が著しく高くなっている。酸素目付量は、他の2条件と大きな変化はないが、若干増大する傾向にある。
また、BaとNaの両方を含有する条件(d)では、被膜と地鉄との界面の凹凸が大きくなり、Tiの侵入量(ITi/IMg)も高くなる。
これらの結果から、Baを含有すると、被膜と地鉄との界面の凹凸が大きくなり、鉄損が増大し、密着性は向上する傾向にあり、一方、Naを添加すると、Tiの侵入量(ITi/IMg)が増加して鉄損特性が向上し、密着性が改善する傾向にある、したがって、鉄損を改善するには、被膜の凹凸を平坦にすること、密着性を改善するには、被膜と地鉄との界面の凹凸と被膜中のTi量を増やすことが有効であると示唆される。
次に、上記<実験2>の写真観察では、フォルステライト被膜と地鉄との界面の凹凸を定性的にしか評価できないため、図3に示した方法で、界面の凹凸を数値化した。具体的には、上記1000倍の光学顕微鏡の断面写真から、鋼板表面に平行な長さL0(=50μm)の線分における被膜−地鉄界面の長さLを画像処理装置で測定し、これをL0で規格化した値(L/L0)を界面の複雑度Lcと定義して数値化した。なお、図2の(a)や(d)の写真の被膜上部から遊離した粒子については、この測定においては考慮しなかった。
以上の結果から、焼鈍分離剤中に極微量のNaの添加と、MgO中に微量に存在するBaにより、鉄損特性と被膜密着性を両立することができることがわかった。
まず、Ba(Ba2+イオン)が、被膜密着性に及ぼす影響について説明する。
脱炭焼鈍によって鋼板表層に形成されるサブスケールは、主に非晶質のSiO2粒子が鋼板表層中に分散した形態をとっている。このSiO2は、密度が約2.2g/cm3で、地鉄の約7.7g/cm3と比べて低い。そのため、脱炭焼鈍によって低密度のSiO2が形成されると、鋼板表層部は膨張する。脱炭焼鈍後の鋼板は、その後、焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布して仕上焼鈍を施されるが、この仕上焼鈍中に、上記SiO2粒子は地鉄表層側に移動し、濃化する。その結果、地鉄表層から、膨張の原因となっていた低密度の粒子がなくなり、それを緩和するため、フォルステライト被膜に圧縮応力が働き、被膜と地鉄との界面に凹凸が形成される。
つまり、Baの含有量を増やすと、被膜−地鉄界面の凹凸が増大する。このような状態で磁化させると、界面の凹凸部で残留磁化が発生し、ヒステリシス損が増大する。したがって、Baの過度な含有は、鉄損を劣化させるため、Ba添加量には上限が存在する。
Naは、他の金属イオンと容易に結合して、低融点化合物を形成する。焼鈍分離剤中には、Mg2+やTi4+などの金属イオンがイオン結合して化合物として存在しているが、Naの添加によりMg2+,Ti4+イオンの一部が溶融し、液相拡散によって鋼板表面まで速やかに到達して、フォルステライト被膜を形成する。そのため、Naを添加すると、フォルステライト被膜中にTiが侵入しやすくなり、被膜中のTi濃度が高まる。このTiには、フォルステライト被膜の粒界に濃化して被膜強度を高める働きがあるため、被膜密着性が高まる。
C:0.002〜0.10mass%
Cは、0.002mass%未満であると、Cによる粒界強化効果が失われ、スラブに割れが生じるなどして製造に支障を来たすようになる。一方、0.10mass%を超えると、製造工程の脱炭焼鈍において、磁気時効の起こらない0.005mass%以下に低減することが難しくなる。よって、Cは0.002〜0.10mass%の範囲とする。好ましくは0.010〜0.080mass%の範囲である。
Siは、鋼の比抵抗を高め、鉄損を低減するのに必要な元素である。上記効果は、2.0mass%未満では十分ではなく、一方、8.0mass%を超えると、加工性が低下し、圧延して製造すること困難となる。よって、Siは2.0〜8.0mass%の範囲とする。好ましくは2.5〜4.5mass%の範囲である。
Mnは、鋼の熱間加工性を改善するために必要な元素である。上記効果は、0.005mass%未満では十分ではなく、一方、1.0mass%を超えると、製品板の磁束密度が低下するようになる。よって、Mnは0.005〜1.0mass%の範囲とする。好ましくは0.02〜0.20mass%の範囲である。
まず、二次再結晶を生じさせるためにインヒビターを利用する場合で、例えば、AlN系インヒビターを利用するときには、AlおよびNは、それぞれAl:0.010〜0.050mass%、N:0.003〜0.020mass%の範囲で含有させるのが好ましい。また、MnS・MnSe系インヒビターを利用する場合には、前述した量のMnと、S:0.002〜0.030mass%およびSe:0.003〜0.030mass%のうちの1種または2種を含有させるのが好ましい。それぞれの添加量が、上記下限値より少ないと、インヒビター効果が十分に得られず、一方、上記上限値を超えると、インヒビター形成成分がスラブ加熱時に未固溶で残存し、磁気特性の低下をもたらす。なお、AlN系とMnS・MnSe系のインヒビターは併用して用いてもよい。
前述した成分組成を有する鋼を常法の精錬プロセスで溶製した後、常法の造塊−分塊圧延法または連続鋳造法で鋼素材(スラブ)を製造してもよいし、あるいは、直接鋳造法で100mm以下の厚さの薄鋳片を製造してもよい。上記スラブは常法に従い、例えば、インヒビター成分を含有する場合には、1400℃程度の温度に再加熱し、一方、インヒビター成分を含まない場合は、1300℃以下の温度に再加熱した後、従来公知の条件で熱間圧延に供する。なお、インヒビター成分を含有しない場合には、連続鋳造後、再加熱することなく直ちに熱間圧延に供してもよい。また、薄鋳片の場合には、熱間圧延してもよいし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めてもよい。
酸素目付量が1.8g/m2未満では、フォルステライト被膜の形成量が少な過ぎ、外部応力により被膜が破壊され易くなって密着性が低下し、一方、2.8g/m2より多いと、仕上焼鈍中に形成されるフォルステライトが過剰となるため、フォルステライト被膜と地鉄との界面の凹凸が十分に形成されず、密着性が保てなくなる。
また、(ITi/IMg)が0.03未満では、フォルステライト被膜中へのTiの侵入量が不足しているため、被膜密着性が劣り、一方、0.12を超えると、Tiが浸入し過ぎて、鋼中にも浸Tiして、鉄損特性が低下する。
さらに、界面の複雑度Lcは、1.1未満では十分な被膜密着性が得られず、一方、1.9を超えると、界面の凹凸が激しくなり過ぎて、鉄損特性が低下する。
ここで、上記脱炭焼鈍は、50vol%H2−50vol%N2、露点50〜65℃の湿潤雰囲気下で、840℃の温度に100秒間保持し、露点を変えて酸素目付量を表1に示したように変化させた。なお、上記酸素目付量は、脱炭焼鈍後の鋼板全体(全厚)の酸素量を化学分析して求め、単位面積当たりの目付量に換算して得た値である。
次いで、上記脱炭焼鈍後の鋼板表面に、MgOを主剤とし、添加剤として焼鈍分離剤全体に対して、TiO2をTi換算で2mass%添加し、硫酸Naの添加量およびTiO2中に含まれるBa濃度を種々に変化させることにより、焼鈍分離剤全体に対するNaおよびBaの含有量を表1に示したように種々に変化させた焼鈍分離剤をスラリー状にして塗布、乾燥した後、二次再結晶焼鈍させてから、1200℃×10時間の純化処理を行う仕上焼鈍を施し、方向性電磁鋼板とした。なお、上記仕上焼鈍の雰囲気は、純化処理における1200℃保定時はH2、昇温時(二次再結晶焼鈍時を含む)および降温時はN2とした。
同表から、本発明を適用することで、被膜密着性に優れ、かつ、磁気特性にも優れる方向性電磁鋼板を製造し得ることがわかる。
次いで、上記脱炭焼鈍後の鋼板表面に、MgOを主剤とし、添加剤として、焼鈍分離剤全体に対して、TiO2をTi換算で2mass%、水酸化カルシウムをCa換算で3mass%含有し、NaおよびBaを表2に示したように種々の濃度で含有する焼鈍分離剤をスラリー状にして鋼板表面に塗布した。なお、上記焼鈍分離剤中のNaの濃度は、硫酸Naの添加量を変えることで、また、Ba濃度は、水酸化カルシウム中に不純物として含まれるBa濃度を種々に変化させることで調製した。
次いで、上記焼鈍分離剤を塗布した鋼板は、二次再結晶させてから、1220℃×4時間の純化処理を行う仕上焼鈍を施し、方向性電磁鋼板とした。なお、上記仕上焼鈍の雰囲気は、純化処理する1220℃保定時はH2、昇温時(二次再結晶焼鈍時を含む)および降温時はArとした。
ここで、上記脱炭焼鈍は、50vol%H2−50vol%N2、露点55℃の湿潤雰囲気下で、840℃の温度に100秒間保持して酸素目付量が1.0m2/gとなるようなサブスケールを形成させた。なお、上記酸素目付量は、脱炭焼鈍後の鋼板全体(全厚)の酸素量を化学分析して求め、単位面積当たりの目付量に換算して得た値である。
次いで、上記脱炭焼鈍後の鋼板表面に、MgOを主剤とし、添加剤として焼鈍分離剤全体に対して、TiO2をTi換算で5mass%、硫酸NaをNa換算で25massppm、および、微量元素としてBaを焼鈍分離剤全体に対して表3に示した量を含有する各種添加剤を添加した焼鈍分離剤をスラリー状にして塗布、乾燥させた。ここで、Baは添加剤の製造工程の途中で添加することにより含有させた。
その後、二次再結晶焼鈍させてから、1200℃×10時間の純化処理を行う仕上焼鈍を施し、方向性電磁鋼板とした。なお、上記仕上焼鈍の雰囲気は、純化処理における1200℃保定時はH2、昇温時(二次再結晶焼鈍時を含む)および降温時はN2とした。
同表から、本発明を適用することで、被膜密着性に優れ、かつ、磁気特性にも優れる方向性電磁鋼板を製造し得ることがわかる。
Claims (6)
- フォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板であって、上記フォルステライト被膜の酸素目付量が両面で1.8〜2.8g/m2、上記フォルステライト被膜の表面を蛍光X線分析したときのMgに対するTiの強度比(ITi/IMg)が0.03〜0.12、上記フォルステライト被膜断面における被膜と地鉄との界面の複雑度Lcが1.1〜1.9の範囲にあることを特徴とする方向性電磁鋼板。
- C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%、Al:0.01mass%未満、N:0.0050mass%未満、S:0.0050mass%未満およびSe:0.0050mass%未満を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなくあるいは熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍を兼ねた脱炭焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
脱炭焼鈍後の酸素目付量を両面で0.7〜1.1g/m2とし、
上記焼鈍分離剤として、MgOを主剤とし、添加剤として焼鈍分離剤全体に対して少なくともTi化合物をTi換算で1〜7mass%およびNa化合物をNa換算で20〜40massppm、Ca,Sr,Mn,Mo,Fe,Cu,Zn,Ni,Al,K,Li,Sbの酸化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、塩化物および硫化物のうちから選ばれる1種または2種以上を該金属換算の合計で0.1〜5mass%含有し、かつ、上記主剤中および/または添加剤中にBaを5〜25massppmの範囲で含有するものを用いることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。 - C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%、Se:0.003〜0.030mass%および/またはS:0.002〜0.03mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなくあるいは熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍を兼ねた脱炭焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
脱炭焼鈍後の酸素目付量を両面で0.7〜1.1g/m2とし、
上記焼鈍分離剤として、MgOを主剤とし、添加剤として焼鈍分離剤全体に対して少なくともTi化合物をTi換算で1〜7mass%およびNa化合物をNa換算で20〜40massppm、Ca,Sr,Mn,Mo,Fe,Cu,Zn,Ni,Al,K,Li,Sbの酸化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、塩化物および硫化物のうちから選ばれる1種または2種以上を該金属換算の合計で0.1〜5mass%含有し、かつ、上記主剤中および/または添加剤中にBaを5〜25massppmの範囲で含有するものを用いることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。 - C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%、Al:0.010〜0.050mass%およびN:0.003〜0.020mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなくあるいは熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍を兼ねた脱炭焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
脱炭焼鈍後の酸素目付量を両面で0.7〜1.1g/m2とし、
上記焼鈍分離剤として、MgOを主剤とし、添加剤として焼鈍分離剤全体に対して少なくともTi化合物をTi換算で1〜7mass%およびNa化合物をNa換算で20〜40massppm、Ca,Sr,Mn,Mo,Fe,Cu,Zn,Ni,Al,K,Li,Sbの酸化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、塩化物および硫化物のうちから選ばれる1種または2種以上を該金属換算の合計で0.1〜5mass%含有し、かつ、上記主剤中および/または添加剤中にBaを5〜25massppmの範囲で含有するものを用いることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。 - C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%、Al:0.010〜0.050mass%、N:0.003〜0.020mass%、Se:0.003〜0.030mass%および/またはS:0.002〜0.03mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなくあるいは熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍を兼ねた脱炭焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
脱炭焼鈍後の酸素目付量を両面で0.7〜1.1g/m2とし、
上記焼鈍分離剤として、MgOを主剤とし、添加剤として焼鈍分離剤全体に対して少なくともTi化合物をTi換算で1〜7mass%およびNa化合物をNa換算で20〜40massppm、Ca,Sr,Mn,Mo,Fe,Cu,Zn,Ni,Al,K,Li,Sbの酸化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、塩化物および硫化物のうちから選ばれる1種または2種以上を該金属換算の合計で0.1〜5mass%含有し、かつ、上記主剤中および/または添加剤中にBaを5〜25massppmの範囲で含有するものを用いることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。 - 上記鋼素材は、上記成分組成に加えてさらに、Ni:0.010〜1.50mass%、Cr:0.01〜0.50mass%、Cu:0.01〜0.50mass%、P:0.005〜0.50mass%、Sb:0.005〜0.50mass%、Sn:0.005〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.50mass%、Mo:0.005〜0.100mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Te:0.0005〜0.0100mass%、Nb:0.0010〜0.0100mass%、V:0.001〜0.010mass%およびTi:0.0005〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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