JP6167838B2 - エンジンの冷却装置 - Google Patents
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Description
[1−1]
図1は、本実施形態に係るエンジンの冷却装置1の全体構成を示すブロック図である。このエンジン2は、シリンダブロック3と、シリンダブロック3に結合されたシリンダヘッド4とを含み、4つの気筒(図3に示す第1〜4気筒♯1〜♯4)がクランク軸方向(図1に関して左右方向)に1列に配置され、吸気系と排気系とが互いにシリンダブロック3及びシリンダヘッド4の反対側に配置されたクロスフロー型の直列4気筒ディーゼルエンジンである。このエンジン2は、車両前部に設けられたエンジンルーム(図示せず)内に、気筒列が車幅方向を向き、吸気側(IN)が車両前後方向の前方を向き、排気側(EX)が車両前後方向の後方を向き、各気筒のシリンダ軸が上下方向を向くように搭載されている。
冷却装置1は、上記ウォータジャケット33,61に冷却水を循環させるための第1〜4流路11〜14を備えている。
冷却装置1は、ECU100を備えている。ECU100は、CPU、ROM、RAM等を含む周知の構成のマイクロプロセッサである。ECU100は、水温センサ102、エンジン回転数を検知するエンジン回転数センサ103、及び燃料噴射量を検知する燃料噴射量センサ104から検知信号を入力し、エンジン回転数及び燃料噴射量から判定されるエンジン2の負荷状態に基いて、エンジン2のシリンダヘッド4側の燃焼室の壁面の温度(ヘッド燃焼室壁面温度)を予測し、予測したヘッド燃焼室壁面温度に応じて第1〜3制御弁6b〜6dを制御する。なお、簡易的に冷却水の温度を用いてもよく、エンジンの温度に基いて制御することができれば、検出対象は限定されるものではない。
[2−1]
図3は、ガスケット50を含めたシリンダブロック3の分解斜視図、図4は、シリンダブロック3の平面図である。
シリンダブロック本体30の上面31にシリンダヘッド4がガスケット50を介して結合される(図5参照)。シリンダブロック本体30の上面31には、シリンダヘッド4を結合するためのヘッドボルト(図示せず)が螺合可能な複数のネジ穴38が開口している。以下、シリンダブロック3のある側を下、シリンダヘッド4のある側を上とする。
[3−1]
図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。すなわち、第3気筒♯3のシリンダ軸を含む縦断面を第1気筒♯1側から見たものである。なお、図5において、ブロック側ウォータジャケット33の排気側流路33e及び吸気側流路33iのシリンダブロック3の内側の壁部を内壁部34e,34i、外側の壁部を外壁部35e,35iとする。内壁部34e,34iはシリンダボア壁32aということもできる。
図6は、スペーサ40の吸気側の側面図、図7は、排気側の側面図、図8は、左側の側面図、図9は、左側の吸気側から見た斜視図、及び図10は、左側の排気側から見た斜視図である。
図示するように(例えば図9)、周壁41の上端部に、スペーサ40の外方に延びる第1フランジ42が設けられている。第1フランジ42は、周壁41の左端部を除いては、また後述する流通促進部46を除いては、周壁41の全周に亘って設けられている。
図示するように(例えば図9)、周壁41の第1フランジ42よりも下側に、スペーサ40の外方に延びる第2フランジ43が第1フランジ42と平行に(後述する傾斜部43aを除く)設けられている。第2フランジ43もまた、第1フランジ42と同様、周壁41の左端部、及び流通促進部46には設けられていない。さらに、第2フランジ43は、周壁41の右端部、第4気筒♯4の排気側、及び第4気筒♯4の吸気側の一部にも設けられていない。
図示するように(例えば図10)、周壁41の排気側の下端部近傍に、スペーサ40の外方に延びる第3フランジ43zが設けられている。第3フランジ43zは、第1フランジ42及び第2フランジ43と比べると、外方への延設距離が短い。第3フランジ43zは、ウォータジャケット33内において周壁41の外側を流れる冷却水がこの第3フランジ43zを乗り越えて周壁41の下側から周壁41とシリンダボア壁32aとの間に回りこむことを抑制するためのものである。
図示するように(例えば図6、図7)、上記第1フランジ42及び第2フランジ43に流通促進部46が設けられている。本実施形態では、流通促進部46は5箇所に設けられている。すなわち、第2気筒♯2の排気側、第3気筒♯3の排気側、第4気筒♯4の排気側、第2気筒♯2の吸気側、及び第3気筒♯3の吸気側に設けられている。
図示するように(例えば図10)、周壁41の上部において、第2気筒♯2の排気側の流通促進部46よりも右側に縦壁44aが設けられている。縦壁44aは、平面視で第2連通孔53bに近接して配置され、第1フランジ42及び第2フランジ43に連続して周壁41の外面に立設されている。
図示するように(例えば図6、図7)、周壁41の上部において、第1気筒♯1の排気側、第2気筒♯2の排気側、第3気筒♯3の排気側、第1気筒♯1の吸気側、第2気筒♯2の吸気側、及び第4気筒♯4の吸気側にそれぞれ障壁45a,45b,45c,45d,45e,45fが設けられている。これらの障壁45a〜45fは、第1フランジ42及び第2フランジ43に連続して周壁41の外面に立設されている。
図示するように(例えば図8)、周壁41の上部において、第1気筒♯1の排気側及び吸気側にそれぞれ第2障壁45x,45yが設けられている。これらの第2障壁45x,45yは、第1フランジ42及び第2フランジ43に連続して周壁41の外面に立設されている。
図示するように(例えば図8)、周壁41の左端部にスロープ状フランジ47aが設けられている。このようなスロープ状フランジ47aが設けられている理由はおよそ次の通りである。
図示するように(例えば図6)、周壁41の吸気側において、第4気筒♯4の下部の一部に、寒冷地用ヒータ(図示せず)を挿入するための切り欠きである寒冷地用ヒータ挿入部49aが設けられている。
スペーサ40は、ブロック側ウォータジャケット33に収容されるため、シリンダブロック3内部の高温に耐え得る耐熱性と、冷却水の水圧によって変形や破損が生じない程度の剛性とを備えた樹脂で形成されている。採用可能な樹脂としては、例えば、ポリアミド系熱可塑性樹脂(PA66、PPA等)や、オレフィン系熱可塑性樹脂(PP等)や、ポリフェニレンサルファイド系熱可塑性樹脂(PPS等)等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で又は複数種を組み合せて使用することができる。また、必要に応じてガラス繊維等の補強材を配合してもよい。このような樹脂製のスペーサ40は、射出成形技術によって一体成形することができる。
次に、このスペーサ40の主な作用を説明する。
冷却水は、まず、ブロック側ウォータジャケット33の左端部に導入され(矢印R1,R3)、一部が吸気側流路33iに流れ(矢印R4)、残部が排気側流路33eに流れる(矢印R5,R6,R8)。吸気側流路33iに流れた冷却水は、第1気筒♯1の吸気側を流通して、第2気筒♯2の吸気側に配置されたブロック側排出孔37に到達する(矢印R4)。排気側流路33eに流れた冷却水は、第1〜4気筒♯1〜♯4の排気側を流通し(矢印R8)、Uターンした後、第4気筒♯4及び第3気筒♯3の吸気側を流通して、上記ブロック側排出孔37に到達する(矢印R9)。
図3及び図4に示すように、ウォータポンプ5によりブロック側ウォータジャケット33に導入孔36から導入された冷却水は、第1気筒♯1のシリンダボア壁32aの気筒列の第1気筒♯1側の端部に当たる(矢印R3)。このとき、ウォータジャケット33にスペーサ40が収容されており、スペーサ40の周壁41がシリンダボア壁32aと近接して対向しているので、冷却水はスペーサ40の周壁41に当たり、第1気筒♯1のシリンダボア壁32aに直接当たらない。そのため、第1気筒♯1のシリンダボア壁32aが局所的に冷却されて低温になることが抑制される。
図4に示すように、導入孔36から導入された冷却水は、導入孔36の下流部36aにより、第1気筒♯1のシリンダボア壁32aに当たる際、吸気側から平面視で比較的浅い角度で当たる(矢印R3)。したがって、ウォータジャケット33の吸気側流路33iに流れる冷却水の量が比較的少なくなり(矢印R4)、排気側流路33eに流れる冷却水の量が比較的多くなる(矢印R5)。そのため、吸気側よりも温度が上がりやすい排気側のシリンダブロック3がより冷却されるので、各シリンダの吸気側と排気側との温度差が抑制される。
導入孔36から導入された冷却水は、排気側流路33eに流れる途中で、傾斜案内部47によって上方つまりヘッド側ウォータジャケット61側に指向させられる(矢印R6)。図2を用いて説明したように、ヘッド側排出孔62と導入孔36とを接続する第1流路11は常に冷却水が循環するので、ヘッド側ウォータジャケット61側に指向させられた冷却水は、第1連通孔52を通過してヘッド側ウォータジャケット61に流入する(矢印R7)。
<iv>で説明したのと同様、エンジン2の暖機前は(図2(a)及び図2(b))、ブロック側排出孔37と導入孔36とを接続する第3流路13は冷却水が循環しないので、ブロック側ウォータジャケット33の排気側流路33eに流れた冷却水(矢印R8)は、排気側の第2連通孔53a〜53dの近傍に来ると、上方に指向させられ、その一部が上記第2連通孔53a〜53dを通過してヘッド側ウォータジャケット61に流入しようとする(矢印R11〜R14)。つまり、排気側流路33eでは、第2連通孔53a〜53dの近傍では、ブロック側ウォータジャケット33からヘッド側ウォータジャケット61に向かう連通孔近傍の縦方向の流れが存在する。
<v>で説明したのと類似して、ブロック側ウォータジャケット33の吸気側流路33iに流れた冷却水(矢印R4)、及び排気側流路33eから吸気側流路33iにUターンした冷却水(矢印R9)についても、吸気側の第2連通孔53e,53fの近傍に来ると、上方に指向させられ、その一部が上記第2連通孔53e,53fを通過してヘッド側ウォータジャケット61に流入しようとする(矢印R15,R16)。つまり、吸気側流路33iでも、第2連通孔53e,53fの近傍では、ブロック側ウォータジャケット33からヘッド側ウォータジャケット61に向かう連通孔近傍の縦方向の流れが存在する。
スペーサ40の排気側においては、第2気筒♯2及び第3気筒♯3の流通促進部46よりも冷却水の流れ方向(矢印R8)の下流側に、それぞれ縦壁44a,44bが第1フランジ42及び第2フランジ43に連続して周壁41の外面に立設されている。そのため、ブロック側ウォータジャケット33の排気側流路33eを流れて来た冷却水が上記縦壁44a,44bに当たり、その一部が第2連通孔53b,53cに向かう流れ(矢印R12,R13)に変換される。これにより、流通促進部46の流通促進機能の強化が図られる。
周壁41の上端部に、第1連通孔52及び傾斜案内部47が位置する部分と、第2連通孔53b〜53f及び流通促進部46が位置する部分とを除いて、スペーサ40の外方に延びる第1フランジ42が設けられている。そのため、この第1フランジ42によって、ブロック側ウォータジャケット33内の周壁41の外側を流れる冷却水が周壁41とシリンダボア壁32aとの間に上側から回り込むことが抑制される。
以上説明したように、本実施形態に係るエンジンの冷却装置1は、エンジン2のシリンダボア壁32aを囲むようにシリンダブロック3に設けられたブロック側ウォータジャケット33と、上記シリンダブロック3に結合されたシリンダヘッド4に設けられたヘッド側ウォータジャケット61とを有している。
2 エンジン
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
32a シリンダボア壁
33 ブロック側ウォータジャケット(第1のウォータジャケット)
36 導入孔(導入部)
36a 導入孔の下流部
37 ブロック側排出孔(排出部)
40 ウォータジャケットスペーサ(スペーサ部材)
41 周壁
42 第1フランジ(フランジ部)
43 第2フランジ(第2のフランジ部)
44a,44b 縦壁
45a〜45f 障壁
46 流通促進部
46a〜46e 切り欠き
47 傾斜案内部
47a スロープ状フランジ
50 ガスケット
52 第1連通孔
53a〜53f 第2連通孔
61 ヘッド側ウォータジャケット(第2のウォータジャケット)
62 ヘッド側排出孔(排出部)
100 ECU
K1 冷間時経路(第1の経路)
K2 暖機前経路(第1の経路)
K3 暖機後経路(第2の経路)
K4 暖機完了後経路(第2の経路)
Claims (6)
- エンジンの複数の気筒のシリンダボア壁を囲むようにシリンダブロックに設けられた第1のウォータジャケットと、上記シリンダブロックの上面に結合されたシリンダヘッドに設けられた第2のウォータジャケットとを有する多気筒エンジンの冷却装置であって、
上記第1のウォータジャケットに収容され、上記シリンダボア壁と近接して対向する周壁を有するスペーサ部材と、
上記周壁の上部に設けられ、当該周壁からシリンダボア径方向の外方に延びるフランジ部と、
上記シリンダブロックと上記シリンダヘッドとの間に介装されたガスケットに設けられ、上記第1のウォータジャケットと上記第2のウォータジャケットとを相互に連通する連通孔と、
上記シリンダブロックに設けられ、上記フランジ部よりも下方の位置から上記第1のウォータジャケットに冷却水が導入される導入部と、
上記シリンダヘッドに設けられ、上記第2のウォータジャケットから冷却水が排出される排出部とを備え、
上記スペーサ部材の上端の高さが上記第1のウォータジャケットの上端よりも低くなる位置にスペーサ部材が配設されることにより、当該スペーサ部材の上端と上記ガスケットの下面との間に所定の隙間が形成され、
上記第1のウォータジャケット内において上記スペーサ部材の周壁の外側にある冷却水の上記連通孔への流れを促進する流通促進部として、上記フランジ部に複数の切り欠きが設けられるとともに、当該各切り欠きを除いた領域を気筒列方向に延びるように上記フランジ部が形成され、
上記連通孔は、上下方向視で上記各切り欠きと重なる位置に設けられていることを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項1に記載のエンジンの冷却装置において、
上記流通促進部に対し、周壁の外側を周方向に流れる冷却水の流れ方向の下流側に、上記フランジ部に連続して上記周壁の外面から縦壁が立設されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項1又は2に記載のエンジンの冷却装置において、
相互に隣接する気筒の各シリンダボアの境界部に対し、周壁の外側を周方向に流れる冷却水の流れ方向の上流側に、上記フランジ部に連続して上記周壁の外面から障壁が立設されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のエンジンの冷却装置において、
上記周壁の上記フランジ部よりも下方に、当該周壁からシリンダボア径方向の外方に延びる第2のフランジ部が設けられていることを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載のエンジンの冷却装置において、
上記流通促進部は、複数のシリンダボアのうち周壁の外側を周方向に流れる冷却水の流れ方向の下流側のシリンダボアに対して設けられていることを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のエンジンの冷却装置において、
上記シリンダブロックに設けられ、上記第1のウォータジャケットから冷却水が排出される排出部と、
上記導入部から第1のウォータジャケットに導入された冷却水が、上記連通孔を介して第2のウォータジャケットに流入し、第2のウォータジャケットを流通してシリンダヘッドの排出部から排出される第1の経路と、
上記導入部から第1のウォータジャケットに導入された冷却水が、上記連通孔を介して第2のウォータジャケットに流入し、第2のウォータジャケットを流通してシリンダヘッドの排出部から排出されると共に、第1のウォータジャケットを流通してシリンダブロックの排出部から排出される第2の経路とが設けられ、
エンジンの温度が所定の暖機判定温度未満のときは冷却水の流通経路が上記第1の経路に切り換えられ、エンジンの温度が上記暖機判定温度以上のときは上記第2の経路に切り換えられることを特徴とするエンジンの冷却装置。
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