JP6167838B2 - エンジンの冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シリンダブロック及びシリンダヘッドに設けられたウォータジャケット内をエンジン冷却水が流通するエンジンの冷却装置に関する。
従来、エンジンのシリンダボア壁を囲むようにシリンダブロックに設けられたウォータジャケットと、上記シリンダブロックに結合されたシリンダヘッドに設けられたウォータジャケットとを有し、これらのウォータジャケット内をエンジン冷却水が流通するエンジンの冷却装置が周知である。そして、自動車の燃費性能や排気浄化性能の向上のため、エンジンの冷間時はシリンダボア壁の過冷却を抑制してエンジンを早期に暖機することが好ましい。
そのための技術として、特許文献1に開示の技術が採用可能である。すなわち、特許文献1には、シリンダブロックのウォータジャケットにシリンダボア壁と近接して対向する周壁を有するスペーサ部材を収容し、上記周壁の上下端部にスペーサ部材の外方に延びる庇を設けることが開示されている。そして、この庇により、シリンダブロックのウォータジャケット内を流れる冷却水が上記周壁とシリンダボア壁との間に回り込むことが抑制されるとしている。したがって、この技術を用いれば、冷却水が直接シリンダボア壁の表面を流れることが抑制されるので、シリンダボア壁から熱が奪われることが抑制され、エンジンの暖機が促進される。
特開2007−263120号公報(段落0030及び0031、図4)
しかし、上記庇によっても、冷却水のシリンダボア壁側への回り込みはまだ十分に抑制できているとはいえない。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、シリンダブロックのウォータジャケットに収容したスペーサ部材とシリンダボア壁との間に冷却水が回り込むことを十分に抑制できるエンジンの冷却装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、エンジンの複数の気筒のシリンダボア壁を囲むようにシリンダブロックに設けられた第1のウォータジャケットと、上記シリンダブロックの上面に結合されたシリンダヘッドに設けられた第2のウォータジャケットとを有する多気筒エンジンの冷却装置であって、上記第1のウォータジャケットに収容され、上記シリンダボア壁と近接して対向する周壁を有するスペーサ部材と、上記周壁の上部に設けられ、当該周壁からシリンダボア径方向の外方に延びるフランジ部と、上記シリンダブロックと上記シリンダヘッドとの間に介装されたガスケットに設けられ、上記第1のウォータジャケットと上記第2のウォータジャケットとを相互に連通する連通孔と、上記シリンダブロックに設けられ、上記フランジ部よりも下方の位置から上記第1のウォータジャケットに冷却水が導入される導入部と、上記シリンダヘッドに設けられ、上記第2のウォータジャケットから冷却水が排出される排出部とを備え、上記スペーサ部材の上端の高さが上記第1のウォータジャケットの上端よりも低くなる位置にスペーサ部材が配設されることにより、当該スペーサ部材の上端と上記ガスケットの下面との間に所定の隙間が形成され、上記第1のウォータジャケット内において上記スペーサ部材の周壁の外側にある冷却水の上記連通孔への流れを促進する流通促進部として、上記フランジ部に複数の切り欠きが設けられるとともに、当該各切り欠きを除いた領域を気筒列方向に延びるように上記フランジ部が形成され、上記連通孔は、上下方向視で上記各切り欠きと重なる位置に設けられていることを特徴とする(請求項1)。
本発明によれば、シリンダブロックに設けられた第1のウォータジャケットとシリンダヘッドに設けられた第2のウォータジャケットとが連通孔を介して相互に連通し、シリンダブロックに第1のウォータジャケットに冷却水が導入される導入部が設けられ、シリンダヘッドに第2のウォータジャケットから冷却水が排出される排出部が設けられているので、上記導入部から第1のウォータジャケットに導入された冷却水は、上記連通孔の近傍に来ると、その一部が上記連通孔を通過して第2のウォータジャケットに流入しようとする。つまり、上記連通孔の近傍では、第1のウォータジャケットから第2のウォータジャケットに向かう冷却水の流れ(以下これを「連通孔近傍の縦方向の流れ」という)が存在する。
そのような状況の下、第1のウォータジャケットに収容されたスペーサ部材の周壁がシリンダボア壁と近接して対向しており、上記周壁の上部シリンダボア径方向の外方に延びるフランジ部が設けられているので、このフランジ部によって、第1のウォータジャケット内の上記周壁よりスペーサ部材の外側を流れる冷却水が上記周壁とシリンダボア壁との間に上側から回り込むことが抑制される。
一方、上記周壁よりスペーサ部材の外側(以下単に「周壁の外側」ということがある)を流れる冷却水が上記周壁とシリンダボア壁との間に下側から回り込むことが、上記フランジ部に設けられた流通促進部(切り欠き)によって次のように抑制される。すなわち、上記流通促進部は、上記周壁よりスペーサ部材の外側にある冷却水の上記連通孔への流れを促進する機能(以下これを「流通促進機能」という)を有する。そのため、上記連通孔近傍の縦方向の流れが、上記流通促進機能によって周壁の外側で強められる。そして、これに伴い、上記連通孔近傍の縦方向の流れが、周壁の内側、つまり上記周壁とシリンダボア壁との間では弱められる。例えば、第1のウォータジャケットから第2のウォータジャケットへの冷却水の目標流入量に対し、周壁の外側の流れが弱いとこれを補うために周壁の内側の流れが強くなり、周壁の外側の流れが十分であると周壁の内側の流れがほとんど停止するのである。その結果、上記流通促進部の流通促進機能により、周壁の内側の流れがほとんど停止するので、周壁の外側を流れる冷却水が上記周壁とシリンダボア壁との間に下側から回り込むことが効果的に抑制される。
以上により、本発明によれば、冷却水のシリンダボア壁側への回り込みが上側及び下側の双方において抑制されるので、シリンダブロックのウォータジャケットに収容したスペーサ部材とシリンダボア壁との間に冷却水が回り込むことを十分に抑制できるエンジンの冷却装置が提供される。そのため、エンジンの冷間時にシリンダボア壁の過冷却を抑制してエンジンの早期暖機を図ることができる。
しかも、本発明によれば、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装されたガスケットを利用して、第1のウォータジャケットと第2のウォータジャケットとを相互に連通する連通孔を良好に設けることができる。
本発明においては、上記流通促進部に対し、周壁の外側を周方向に流れる冷却水の流れ方向の下流側に、上記フランジ部に連続して上記周壁の外面から縦壁が立設されていることが好ましい(請求項2)。
この構成によれば、第1のウォータジャケット内を流れて来た冷却水が上記縦壁に当たり、その一部が上記連通孔に向かう流れに変換されるので、上記流通促進部の流通促進機能が強化される。
本発明においては、相互に隣接する気筒の各シリンダボアの境界部に対し、周壁の外側を周方向に流れる冷却水の流れ方向の上流側に、上記フランジ部に連続して上記周壁の外面から障壁が立設されていることが好ましい(請求項3)。
この構成によれば、第1のウォータジャケット内を流れて来た冷却水が上記障壁に当たり、流れの勢いが弱められるので、上記障壁の下流側にあるシリンダボアの境界部に冷却水が当たる勢いもまた弱められる。そのため、上記シリンダボアの境界部に冷却水が当たった際にシリンダヘッド側に向かう冷却水の勢いが弱いものとなるので、冷却水がフランジ部を超えてシリンダボア壁側に回り込むことがより一層抑制される。
本発明においては、上記周壁の上記フランジ部よりも下方に、当該周壁からシリンダボア径方向の外方に延びる第2のフランジ部が設けられていることが好ましい(請求項4)。
この構成によれば、フランジ部が2段に設けられるので、これによっても、冷却水がフランジ部を超えてシリンダボア壁側に回り込むことがより一層抑制される。
本発明においては、上記流通促進部は、複数のシリンダボアのうち周壁の外側を周方向に流れる冷却水の流れ方向の下流側のシリンダボアに対して設けられていることが好ましい(請求項5)。
第1のウォータジャケット内の冷却水の流れは、冷却水の導入部に近い上流側で強く、冷却水の導入部から遠い下流側で弱い。そのため、上記連通孔近傍の縦方向の流れは、上流側のシリンダボアで強く、下流側のシリンダボアで弱い。したがって、この構成によれば、上記連通孔近傍の縦方向の流れが相対的に弱い下流側のシリンダボアに対して、流通促進部の流通促進機能が発揮されるので、シリンダボア壁の過冷却を抑制する対策がより必要なシリンダボアに対して、冷却水のシリンダボア壁側への回り込みが良好に抑制される。
本発明においては、上記シリンダブロックに設けられ、上記第1のウォータジャケットから冷却水が排出される排出部と、上記導入部から第1のウォータジャケットに導入された冷却水が、上記連通孔を介して第2のウォータジャケットに流入し、第2のウォータジャケットを流通してシリンダヘッドの排出部から排出される第1の経路と、上記導入部から第1のウォータジャケットに導入された冷却水が、上記連通孔を介して第2のウォータジャケットに流入し、第2のウォータジャケットを流通してシリンダヘッドの排出部から排出されると共に、第1のウォータジャケットを流通してシリンダブロックの排出部から排出される第2の経路とが設けられ、エンジンの温度が所定の暖機判定温度未満のときは冷却水の流通経路が上記第1の経路に切り換えられ、エンジンの温度が上記暖機判定温度以上のときは上記第2の経路に切り換えられることが好ましい(請求項6)。
この構成によれば、エンジンの温度が暖機判定温度未満の冷間時は、冷却水が第2のウォータジャケットを流通する第1の経路により、シリンダヘッドのみが冷却され、エンジンの温度が暖機判定温度以上の暖機後は、冷却水が第1のウォータジャケットと第2のウォータジャケットとを流通する第2の経路により、シリンダヘッドに加えてシリンダブロックも冷却される。そのため、エンジンの冷間時は、上記流通促進部の流通促進機能により冷却水のシリンダボア壁側への回り込みが抑制され、これによりシリンダボア壁の過冷却が抑制されることに加えて、冷却水の流通経路が第1の経路に切り換えられることによっても、シリンダボア壁の過冷却が抑制される。その結果、エンジンのより一層の早期暖機が図られる。
以上のように、本発明は、シリンダブロックのウォータジャケットに収容したスペーサ部材とシリンダボア壁との間に冷却水が回り込むことを十分に抑制できるエンジンの冷却装置を提供するので、シリンダブロック及びシリンダヘッドに設けられたウォータジャケット内を冷却水が流通するエンジンの冷却装置の技術の発展・向上に寄与する。
本発明の実施形態に係るエンジンの冷却装置の全体構成を示すブロック図である。 ヘッド燃焼室壁面温度に応じた上記冷却装置の作動状態を示すブロック図であって、(a)は冷間時、(b)は暖機前、(c)は暖機後、(d)は暖機完了後である。 ガスケットを含めた上記エンジンのシリンダブロックの分解斜視図である。 上記シリンダブロックの平面図である。 図4のV−V線に沿った断面図である。 上記冷却装置に用いられるウォータジャケットスペーサの吸気側の側面図である。 上記ウォータジャケットスペーサの排気側の側面図である。 上記ウォータジャケットスペーサの第1気筒側の側面図である。 上記ウォータジャケットスペーサの第1気筒側の吸気側から見た斜視図である。 上記ウォータジャケットスペーサの第1気筒側の排気側から見た斜視図である。
(1)全体構成
[1−1]
図1は、本実施形態に係るエンジンの冷却装置1の全体構成を示すブロック図である。このエンジン2は、シリンダブロック3と、シリンダブロック3に結合されたシリンダヘッド4とを含み、4つの気筒(図3に示す第1〜4気筒♯1〜♯4)がクランク軸方向(図1に関して左右方向)に1列に配置され、吸気系と排気系とが互いにシリンダブロック3及びシリンダヘッド4の反対側に配置されたクロスフロー型の直列4気筒ディーゼルエンジンである。このエンジン2は、車両前部に設けられたエンジンルーム(図示せず)内に、気筒列が車幅方向を向き、吸気側(IN)が車両前後方向の前方を向き、排気側(EX)が車両前後方向の後方を向き、各気筒のシリンダ軸が上下方向を向くように搭載されている。
なお、図1では、シリンダブロック3は上方から見たもの、シリンダヘッド4は下方から見たものとして記載しているため、シリンダブロック3とシリンダヘッド4とで吸気側と排気側との位置関係が逆になっている。
シリンダブロック3には、ブロック側ウォータジャケット33、このウォータジャケット33にエンジン冷却水(以下単に「冷却水」という)が導入される導入孔36、及びこのウォータジャケット33から冷却水が排出されるブロック側排出孔37が設けられている。シリンダヘッド4には、ヘッド側ウォータジャケット61、及びこのウォータジャケット61から冷却水が排出されるヘッド側排出孔62が設けられている。
導入孔36には、上記ウォータジャケット33,61に冷却水を供給するためのウォータポンプ(WP)5が配設されている。このウォータポンプ5は、エンジン2の回転によって受動的に駆動される機械式のウォータポンプである。
[1−2]
冷却装置1は、上記ウォータジャケット33,61に冷却水を循環させるための第1〜4流路11〜14を備えている。
第1流路11は、流路切換部6及びウォータポンプ5を介して、ヘッド側排出孔62と導入孔36とを接続する。この第1流路11は、冷却水の温度を検知する水温センサ102、高圧EGRバルブ(HP EGR/V)21、エレキスロットル22、流路切換部6のサーモスタット弁6a、及びウォータポンプ5をこの順に経由する。水温センサ102は、ヘッド側排出孔62に配設されている。サーモスタット弁6aは、第1〜3制御弁6b〜6dの正常時は第1流路11のみに冷却水を循環させ、第1〜3制御弁6b〜6dの異常時はエンジン2の保護を図るため第2流路12にも冷却水を循環させる。
第2流路12は、流路切換部6及びウォータポンプ5を介して、ヘッド側排出孔62と導入孔36とを接続する。この第2流路12は、水温センサ102、アイドルストップ用ウォータポンプ(WP)23、空調用ヒータコア24、低圧EGRクーラ(LP EGR/C)25及び低圧EGRバルブ(LP EGR/V)26、流路切換部6の第1制御弁6b、及びウォータポンプ5をこの順に経由する。アイドルストップ用ウォータポンプ23は、アイドルストップ中にエンジン2を一時停止している際に用いられる電動式のウォータポンプである。低圧EGRクーラ25及び低圧EGRバルブ26は相互に並列に第2流路12に配置されている。
第3流路13は、流路切換部6及びウォータポンプ5を介して、ブロック側排出孔37と導入孔36とを接続する。この第3流路13は、エンジンオイルのクーラ(O/C)27、自動変速機の作動油のウォーマ(ATF/W)28、流路切換部6の第2制御弁6c、及びウォータポンプ5をこの順に経由する。エンジンオイルクーラ27は、ブロック側排出孔37に配設されている。
第4流路14は、流路切換部6及びウォータポンプ5を介して、ヘッド側排出孔62と導入孔36とを接続する。この第4流路14は、水温センサ102、ラジエータ7、流路切換部6の第3制御弁6d、及びウォータポンプ5をこの順に経由する。
[1−3]
冷却装置1は、ECU100を備えている。ECU100は、CPU、ROM、RAM等を含む周知の構成のマイクロプロセッサである。ECU100は、水温センサ102、エンジン回転数を検知するエンジン回転数センサ103、及び燃料噴射量を検知する燃料噴射量センサ104から検知信号を入力し、エンジン回転数及び燃料噴射量から判定されるエンジン2の負荷状態に基いて、エンジン2のシリンダヘッド4側の燃焼室の壁面の温度(ヘッド燃焼室壁面温度)を予測し、予測したヘッド燃焼室壁面温度に応じて第1〜3制御弁6b〜6dを制御する。なお、簡易的に冷却水の温度を用いてもよく、エンジンの温度に基いて制御することができれば、検出対象は限定されるものではない。
図2(a)〜(d)は、ヘッド燃焼室壁面温度に応じた冷却装置1の作動状態を示すブロック図である。
まず、エンジン2の冷間時は、ECU100は、全ての制御弁6b〜6dを閉弁する。これにより、図2(a)に太線で示すように、第1流路11のみに冷却水が循環される。ウォータポンプ5によりブロック側ウォータジャケット33に導入孔36から導入された冷却水は、後述する連通孔52,53a〜53f(図3参照)を介してヘッド側ウォータジャケット61に流入し、ヘッド側ウォータジャケット61を流通してヘッド側排出孔62から排出される。
この第1流路11はラジエータ7を経由しないと共に、ブロック側ウォータジャケット33には冷却水がほとんど流れないため、シリンダブロック3の温度が徐々に上昇し、エンジン2の暖機が促進される。一方、ヘッド側ウォータジャケット61には少量の冷却水が流れるため、シリンダヘッド4側の燃焼室の壁面の局所的な加熱が防止される。
さらに、高圧EGRバルブ21及びエレキスロットル22に冷却水が流れるため、エンジン2の始動直後から高圧EGRバルブ21が適正に冷却され、またエレキスロットル22が凍結している場合はそれが解凍される。
このとき実現する冷却水の流通経路を冷間時経路K1とする。
次に、ヘッド燃焼室壁面温度が所定の第1判定温度(例えば150℃)以上になると、ECU100は、エンジン2の暖機途中で第1制御弁6bを開弁する。これにより、図2(b)に太線で示すように、第1流路11に加えて第2流路12にも冷却水が循環される。ウォータポンプ5によりブロック側ウォータジャケット33に導入孔36から導入された冷却水は、連通孔52,53a〜53fを介してヘッド側ウォータジャケット61に流入し、ヘッド側ウォータジャケット61を流通してヘッド側排出孔62から排出される。
この第2流路12もまたラジエータ7を経由しないと共に、ブロック側ウォータジャケット33には冷却水がほとんど流れないため、引き続きエンジン2の暖機が促進される。
さらに、空調用ヒータコア24、低圧EGRクーラ25、及び低圧EGRバルブ26に冷却水が流れるため、エンジン2の暖機途中から暖房性能が確保され、また低圧EGRクーラ25及び低圧EGRバルブ26が適正に冷却される。
このとき実現する冷却水の流通経路を暖機前経路K2とする。
図2(a)に示される冷間時経路K1及び図2(b)に示される暖機前経路K2は、特許請求の範囲に記載される「第1の経路」に相当する。
次に、エンジン2の暖機後は、具体的には、ヘッド燃焼室壁面温度が第1判定温度よりも高い所定の第2判定温度(特許請求の範囲の「暖機判定温度」に相当)以上になると、ECU100は、第2制御弁6cを開弁する。これにより、図2(c)に太線で示すように、第1、第2流路11,12に加えて第3流路13にも冷却水が循環される。ウォータポンプ5によりブロック側ウォータジャケット33に導入孔36から導入された冷却水は、連通孔52,53a〜53fを介してヘッド側ウォータジャケット61に流入し、ヘッド側ウォータジャケット61を流通してヘッド側排出孔62から排出されると共に、第2制御弁6cが開弁することにより、ブロック側ウォータジャケット33を流通してブロック側排出孔37からも排出される。
この第3流路13はブロック側ウォータジャケット33にも冷却水が流れるため、シリンダブロック3もある程度冷却される。しかし、この第3流路13もまたラジエータ7を経由しないため、エンジン2の暖機が進行する。
さらに、オイルクーラ27及び作動油ウォーマ28に冷却水が流れるため、エンジン2の暖機後にエンジンオイルが適正に冷却され、また自動変速機の作動油が適正に加温される。その結果、作動油の粘度が低下し、摺動抵抗が低減して、燃費の向上が図られる。
このとき実現する冷却水の流通経路を暖機後経路K3とする。
そして、エンジン2の暖機が完了すると、具体的には、ヘッド燃焼室壁面温度が第2判定温度よりも高い所定の第3判定温度以上になると、ECU100は、第3制御弁6dを開弁する。これにより、図2(d)に太線で示すように、第1〜3流路11〜13に加えて第4流路14にも冷却水が循環される。ウォータポンプ5によりブロック側ウォータジャケット33に導入孔36から導入された冷却水は、連通孔52,53a〜53fを介してヘッド側ウォータジャケット61に流入し、ヘッド側ウォータジャケット61を流通してヘッド側排出孔62から排出されると共に、第2制御弁6cが開弁することにより、ブロック側ウォータジャケット33を流通してブロック側排出孔37からも排出される。
この第4流路14はラジエータ7を経由するため、ラジエータ7によってヘッド燃焼室壁面温度が下げられ、暖機後のエンジン2が所定温度に保たれる。
このとき実現する冷却水の流通経路を暖機完了後経路K4とする。
図2(c)に示される暖機後経路K3及び図2(d)に示される暖機完了後経路K4は、特許請求の範囲に記載される「第2の経路」に相当する。
以上のように、ECU100は、エンジン2の冷間時は第1〜3制御弁6b〜6dを全て閉弁し、ヘッド燃焼室壁面温度の上昇に伴って第1〜3制御弁6b〜6dを順次開弁することにより、ヘッド燃焼室壁面温度に応じて、各気筒♯1〜♯4、シリンダブロック3、シリンダヘッド4、及び各補機21〜28を適正に冷却又は加温する。
なお、以上は、ECU100は、ヘッド燃焼室壁面温度として予測値を用いたが、これに代えて、水温センサ102で検知される冷却水温度を用いてもよい。
(2)シリンダブロック
[2−1]
図3は、ガスケット50を含めたシリンダブロック3の分解斜視図、図4は、シリンダブロック3の平面図である。
シリンダブロック3は、シリンダブロック本体30と、ブロック側ウォータジャケット33に収容されたウォータジャケットスペーサ40とを含む。シリンダブロック本体30には、直列に配置された第1〜4気筒♯1〜♯4の各シリンダボア32が、シリンダ軸が上下方向を向くように設けられている。本実施形態では、シリンダブロック3を吸気側から見て左から右に第1気筒♯1から第4気筒♯4までが順に並んでいる。以下、第1気筒♯1のある側を左、第4気筒♯4のある側を右とする。
シリンダブロック本体30に、4つのシリンダボア32を連結するシリンダボア壁32aを囲むようにブロック側ウォータジャケット33が設けられている。ブロック側ウォータジャケット33は、シリンダブロック本体30の上面31に連続して開口するように形成された無端の凹溝である。ブロック側ウォータジャケット33は、シリンダブロック3の排気側を通る排気側流路33eとシリンダブロック3の吸気側を通る吸気側流路33iとを有する。
ブロック側ウォータジャケット33に冷却水が導入される導入孔36は、シリンダブロック本体30の左端部の吸気側に配置されている。導入孔36の下流部36aは、冷却水が第1気筒♯1のシリンダボア壁32aに当たる際に吸気側から平面視で比較的浅い角度で当たるように傾斜している。ブロック側ウォータジャケット33から冷却水が排出されるブロック側排出孔37は、シリンダブロック本体30における気筒列の略中央部の吸気側(第2気筒♯2の吸気側)に配置されている。
なお、ヘッド側ウォータジャケット61から冷却水が排出されるヘッド側排出孔62は、シリンダヘッド4の右端部に配置されている(図1参照)。
[2−2]
シリンダブロック本体30の上面31にシリンダヘッド4がガスケット50を介して結合される(図5参照)。シリンダブロック本体30の上面31には、シリンダヘッド4を結合するためのヘッドボルト(図示せず)が螺合可能な複数のネジ穴38が開口している。以下、シリンダブロック3のある側を下、シリンダヘッド4のある側を上とする。
ガスケット50は、複数の金属板を重ね合わせて複数箇所をカシメにより一体化した金属シートガスケットである。ガスケット50は、その全体形状がシリンダブロック本体30の上面31に対応する形状に形成されている。
すなわち、ガスケット50には、シリンダブロック本体30の4つのシリンダボア32に対応する位置に4つの同径の円孔51が設けられ、複数のネジ穴38に対応する位置に同数のヘッドボルトの挿通穴54が設けられている。
ガスケット50には、ブロック側ウォータジャケット33とヘッド側ウォータジャケット61とを相互に連通する複数の連通孔52,53a〜53fが設けられている。3つの第1連通孔52は、ガスケット50の左端部に配置されている。6つの第2連通孔53a〜53fのうち、排気側の4つの第2連通孔53a〜53dは、ガスケット50における第1〜4気筒♯1〜♯4の排気側に配置され、吸気側の2つの第2連通孔53e,53fは、ガスケット50における第2気筒♯2及び第3気筒♯3の吸気側に配置されている。
ここで、図4に明示したように、第1連通孔52は第2連通孔53a〜53fよりも大きく形成され、第2連通孔53a〜53fのうち、第2気筒♯2の吸気側の第2連通孔53e及び第3気筒♯3の吸気側の第2連通孔53fは最も大きく形成され、第3気筒♯3の排気側の第2連通孔53cはやや小さく形成され、第2気筒♯2の排気側の第2連通孔53bはさらに小さく形成され、第1気筒♯1の排気側の第2連通孔53a及び第4気筒♯4の排気側の第2連通孔53dは最も小さく形成されている。これは、導入孔36からブロック側ウォータジャケット33に導入された冷却水の第1連通孔52を通過する量の適正化や、ブロック側ウォータジャケット33からヘッド側ウォータジャケット61へ流入する冷却水の第2連通孔53a〜53fを通過する量の均等化等を考慮したものである。
ガスケット50を間に挟んでシリンダヘッド4をシリンダブロック3に結合すると、ガスケット50の弾性復元力によって円孔51の周囲及び挿通穴54の周囲がシールされる。これにより、各気筒♯1〜♯4の燃焼室からのガスの漏出、及びウォータジャケット33,61からの冷却水の漏出が防止される。このとき、上記連通孔52,53a〜53fは、全て、ブロック側ウォータジャケット33の上方に位置し、ヘッド側ウォータジャケット61の下方に位置する(図5参照)。これにより、上記連通孔52,53a〜53fは、ブロック側ウォータジャケット33とヘッド側ウォータジャケット61とを相互に連通する。
(3)ウォータジャケットスペーサ
[3−1]
図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。すなわち、第3気筒♯3のシリンダ軸を含む縦断面を第1気筒♯1側から見たものである。なお、図5において、ブロック側ウォータジャケット33の排気側流路33e及び吸気側流路33iのシリンダブロック3の内側の壁部を内壁部34e,34i、外側の壁部を外壁部35e,35iとする。内壁部34e,34iはシリンダボア壁32aということもできる。
ブロック側ウォータジャケット33にウォータジャケットスペーサ(以下単に「スペーサ」という)40が収容されている。スペーサ40は、シリンダボア壁32a(あるいはウォータジャケット33の内壁部34e,34i)と近接して対向する周壁41を有する。周壁41は、シリンダ軸方向(図5に関して上下方向)に延び、ウォータジャケット33に内壁部34e,34i及び外壁部35e,35iと所定の間隔をあけて収容されるような板厚(つまり凹溝であるウォータジャケット33の幅よりも薄い板厚)と、シリンダブロック本体30の上面31から突出しないような高さ(つまり凹溝であるウォータジャケット33の深さよりも低い高さ)とを有している。周壁41は、シリンダボア壁32aの外周に沿って平面視で4つの円が若干オーバーラップしてつながった無端の筒状部材である(図3参照)。
周壁41(より詳しくは周壁41の外面)とウォータジャケット33の外壁部35e,35iとの間隔は比較的広く、周壁41(より詳しくは周壁41の内面)とウォータジャケット33の内壁部34e,34i(シリンダボア壁32a)との間隔は比較的狭い。つまり、ウォータジャケット33内の周壁41よりスペーサ40の外側の空間は、内側の空間に比べて、幅が広く容積が大きい。そのため、ウォータジャケット33内において周壁41の外側は内側よりも流路断面積が大きく流通抵抗が小さい。したがって、冷却水は、ウォータジャケット33内では、主として周壁41の外側の空間を流れる。
なお、シリンダボア壁32aの内周面には、耐摩耗性を有するライナー39が一体成形されている。
[3−2]
図6は、スペーサ40の吸気側の側面図、図7は、排気側の側面図、図8は、左側の側面図、図9は、左側の吸気側から見た斜視図、及び図10は、左側の排気側から見た斜視図である。
<第1フランジ>
図示するように(例えば図9)、周壁41の上端部に、スペーサ40の外方に延びる第1フランジ42が設けられている。第1フランジ42は、周壁41の左端部を除いては、また後述する流通促進部46を除いては、周壁41の全周に亘って設けられている。
図4に示すように、第1フランジ42は、ウォータジャケット33の外壁部35e,35iに近接する位置まで延びている。つまり、第1フランジ42は、ウォータジャケット33の比較的上部の位置において、ウォータジャケット33の周壁41よりスペーサ40の外側の空間を閉塞する。第1フランジ42は、ウォータジャケット33内において周壁41の外側を流れる冷却水がこの第1フランジ42を乗り越えて周壁41の上側から周壁41とシリンダボア壁32aとの間に回りこむことを抑制するためのものである。
第1フランジ42が周壁41の左端部に設けられていない理由は、導入孔36からブロック側ウォータジャケット33に導入された冷却水の一部が第1連通孔52を通過してヘッド側ウォータジャケット61に流入することを阻害しないためである。
同様に、第1フランジ42が流通促進部46に設けられていない理由は、ブロック側ウォータジャケット33内を流れる冷却水の一部が第2連通孔53b〜53f(53aを除く)を通過してヘッド側ウォータジャケット61に流入することを阻害しないためである。これについてはさらに後述する。
<第2フランジ>
図示するように(例えば図9)、周壁41の第1フランジ42よりも下側に、スペーサ40の外方に延びる第2フランジ43が第1フランジ42と平行に(後述する傾斜部43aを除く)設けられている。第2フランジ43もまた、第1フランジ42と同様、周壁41の左端部、及び流通促進部46には設けられていない。さらに、第2フランジ43は、周壁41の右端部、第4気筒♯4の排気側、及び第4気筒♯4の吸気側の一部にも設けられていない。
第2フランジ43もまた、ウォータジャケット33の外壁部35e,35iに近接する位置まで延び、ウォータジャケット33の比較的上部の位置において、ウォータジャケット33の周壁41よりスペーサ40の外側の空間を閉塞する。第2フランジ43は、ウォータジャケット33内において周壁41の外側を流れる冷却水がこの第2フランジ43を乗り越えて周壁41の上側から周壁41とシリンダボア壁32aとの間に回りこむことを抑制するためのものである。
第1フランジ42と第2フランジ43との間隔は、排気側で比較的広く、吸気側で比較的狭く設定されている。第2フランジ43の吸気側の右端部は傾斜部43aを介して第1フランジ42に連接している。
<第3フランジ>
図示するように(例えば図10)、周壁41の排気側の下端部近傍に、スペーサ40の外方に延びる第3フランジ43zが設けられている。第3フランジ43zは、第1フランジ42及び第2フランジ43と比べると、外方への延設距離が短い。第3フランジ43zは、ウォータジャケット33内において周壁41の外側を流れる冷却水がこの第3フランジ43zを乗り越えて周壁41の下側から周壁41とシリンダボア壁32aとの間に回りこむことを抑制するためのものである。
<流通促進部>
図示するように(例えば図6、図7)、上記第1フランジ42及び第2フランジ43に流通促進部46が設けられている。本実施形態では、流通促進部46は5箇所に設けられている。すなわち、第2気筒♯2の排気側、第3気筒♯3の排気側、第4気筒♯4の排気側、第2気筒♯2の吸気側、及び第3気筒♯3の吸気側に設けられている。
具体的に、流通促進部46は、第1フランジ42及び第2フランジ43に形成された切り欠きで構成されている。図4からも明らかなように、例えば、第2気筒♯2の排気側では、平面視で第2連通孔53bの直下方から右側の部分に亘って、第1フランジ42及び第2フランジ43に切り欠き46aが形成されている。同様に、第3気筒♯3の排気側では、平面視で第2連通孔53cの直下方から右側の部分に亘って、第1フランジ42及び第2フランジ43に切り欠き46bが形成されている。また、第4気筒♯4の排気側では、平面視で第2連通孔53dの直下方から右側の部分に亘って、第1フランジ42に切り欠き46cが形成されている。
一方、第2気筒♯2の吸気側では、平面視で第2連通孔53eの直下方から右側の部分及び左側の部分に亘って、第1フランジ42及び第2フランジ43に切り欠き46dが形成されている。同様に、第3気筒♯3の吸気側では、平面視で第2連通孔53fの直下方から右側の部分及び左側の部分に亘って、第1フランジ42及び第2フランジ43に切り欠き46eが形成されている。
これにより、流通促進部46が設けられた部分では、第1フランジ42及び第2フランジ43が設けられていないので、第1フランジ42及び第2フランジ43によってウォータジャケット33の周壁41より外側の空間が比較的上部の位置において閉塞されることがない。したがって、ウォータジャケット33内を流れる冷却水の一部が第2連通孔53b〜53f(53aを除く)を通過してヘッド側ウォータジャケット61に流入することが第1フランジ42及び第2フランジ43によって阻害されることがない。そのため、ウォータジャケット33内における上記周壁41の外側にある冷却水の上記第2連通孔53b〜53f(53aを除く)への流れが促進される。すなわち、流通促進部46の流通促進機能が発揮される。
<縦壁>
図示するように(例えば図10)、周壁41の上部において、第2気筒♯2の排気側の流通促進部46よりも右側に縦壁44aが設けられている。縦壁44aは、平面視で第2連通孔53bに近接して配置され、第1フランジ42及び第2フランジ43に連続して周壁41の外面に立設されている。
同様に、周壁41の上部において、第3気筒♯3の排気側の流通促進部46よりも右側に縦壁44bが設けられている。縦壁44bは、平面視で第2連通孔53cに近接して配置され、第1フランジ42及び第2フランジ43に連続して周壁41の外面に立設されている。
<障壁>
図示するように(例えば図6、図7)、周壁41の上部において、第1気筒♯1の排気側、第2気筒♯2の排気側、第3気筒♯3の排気側、第1気筒♯1の吸気側、第2気筒♯2の吸気側、及び第4気筒♯4の吸気側にそれぞれ障壁45a,45b,45c,45d,45e,45fが設けられている。これらの障壁45a〜45fは、第1フランジ42及び第2フランジ43に連続して周壁41の外面に立設されている。
具体的に、第1気筒♯1の排気側の障壁45aは、第1気筒♯1のシリンダボア32と第2気筒♯2のシリンダボア32との排気側の境界部(スペーサ40の内側への凹部の底)と、第1気筒♯1のシリンダボア32の排気側の膨張部(スペーサ40の外側への凸部の頂)との間に配置されている。
同様に、第2気筒♯2の排気側の障壁45bは、第2気筒♯2のシリンダボア32と第3気筒♯3のシリンダボア32との排気側の境界部と、第2気筒♯2のシリンダボア32の排気側の膨張部との間に配置され、第3気筒♯3の排気側の障壁45cは、第3気筒♯3のシリンダボア32と第4気筒♯4のシリンダボア32との排気側の境界部と、第3気筒♯3のシリンダボア32の排気側の膨張部との間に配置されている。
一方、第1気筒♯1の吸気側の障壁45dは、第1気筒♯1のシリンダボア32と第2気筒♯2のシリンダボア32との吸気側の境界部と、第1気筒♯1のシリンダボア32の吸気側の膨張部との間に配置され、第2気筒♯2の吸気側の障壁45eは、第2気筒♯2のシリンダボア32と第3気筒♯3のシリンダボア32との吸気側の境界部と、第2気筒♯2のシリンダボア32の吸気側の膨張部との間に配置され、第4気筒♯4の吸気側の障壁45fは、第3気筒♯3のシリンダボア32と第4気筒♯4のシリンダボア32との吸気側の境界部と、第4気筒♯4のシリンダボア32の吸気側の膨張部との間に配置されている。
<第2障壁>
図示するように(例えば図8)、周壁41の上部において、第1気筒♯1の排気側及び吸気側にそれぞれ第2障壁45x,45yが設けられている。これらの第2障壁45x,45yは、第1フランジ42及び第2フランジ43に連続して周壁41の外面に立設されている。
具体的に、第1気筒♯1の排気側の第2障壁45xは、第1気筒♯1のシリンダボア32の排気側の膨張部よりも気筒列の左端部側に配置され、第1気筒♯1の吸気側の第2障壁45yは、第1気筒♯1のシリンダボア32の吸気側の膨張部よりも気筒列の左端部側に配置されている。
これらの第2障壁45x,45yは、ブロック側ウォータジャケット33に導入直後の冷却水の排気側流路33e及び吸気側流路33iの外壁部35e,35iに衝突する勢いを弱め、冷却水が上記外壁部35e,35iに衝突した際に第1フランジ42を超えてシリンダボア壁32a側に回り込むことを抑制するためのものである。
<スロープ状フランジ>
図示するように(例えば図8)、周壁41の左端部にスロープ状フランジ47aが設けられている。このようなスロープ状フランジ47aが設けられている理由はおよそ次の通りである。
図3に示すように、ブロック側ウォータジャケット33の左端部の下面は、導入孔36の配置側すなわち吸気側から排気側に向かって滑らかに上昇した後下降する傾斜状に形成されている。これにより、導入孔36からブロック側ウォータジャケット33に導入された冷却水の上記ウォータジャケット33内の流れを上記上昇部分によって上方つまり第1連通孔52を介してヘッド側ウォータジャケット61側に指向させる傾斜案内部47が構成されている(図4参照)。
そして、この傾斜案内部47に対応して、周壁41の左端部の下端部が吸気側から排気側に向かって滑らかに上昇した後下降する傾斜状に形成されている。さらに、傾斜状に形成された周壁41の下端部の上記上昇部分に、スペーサ40の外方に延びるスロープ状フランジ47aが設けられたものである。そのため、スロープ状フランジ47aは、吸気側から排気側に向かって周壁41の下端部からシリンダ軸方向の中央部付近まで滑らかに上昇している。
<その他>
図示するように(例えば図6)、周壁41の吸気側において、第4気筒♯4の下部の一部に、寒冷地用ヒータ(図示せず)を挿入するための切り欠きである寒冷地用ヒータ挿入部49aが設けられている。
図示するように(例えば図6)、周壁41の吸気側において、第1気筒♯1の下部の一部、第2気筒♯2の下部、及び第3気筒♯3の下部の一部に亘って、ウォータジャケット33の流路断面積を拡大することによりブロック側排出孔37からの冷却水の円滑な排出を確保するための切り欠きである排出対応欠損部49bが設けられている。
[3−3]
スペーサ40は、ブロック側ウォータジャケット33に収容されるため、シリンダブロック3内部の高温に耐え得る耐熱性と、冷却水の水圧によって変形や破損が生じない程度の剛性とを備えた樹脂で形成されている。採用可能な樹脂としては、例えば、ポリアミド系熱可塑性樹脂(PA66、PPA等)や、オレフィン系熱可塑性樹脂(PP等)や、ポリフェニレンサルファイド系熱可塑性樹脂(PPS等)等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で又は複数種を組み合せて使用することができる。また、必要に応じてガラス繊維等の補強材を配合してもよい。このような樹脂製のスペーサ40は、射出成形技術によって一体成形することができる。
[3−4]
次に、このスペーサ40の主な作用を説明する。
スペーサ40の作用の説明のために、矢印R1(図3及び図4)は、ブロック側ウォータジャケット33に導入孔36から導入される冷却水の流れを示し、矢印R2(図3及び図4)は、ブロック側排出孔37から排出される冷却水の流れを示し、矢印R3(図4)は、第1気筒♯1のシリンダボア壁32aに向かう冷却水の流れを示し、矢印R4(図6及び図8)は、吸気側流路33iに向かう及び吸気側流路33iを通過する冷却水の流れを示し、矢印R5(図8)は、排気側流路33eに向かう冷却水の流れを示し、矢印R6(図8)は、傾斜案内部47によって上方に指向させられる冷却水の流れを示し、矢印R7(図8)は、第1流通孔52に向かう冷却水の流れを示し、矢印R8(図7及び図8)は、傾斜案内部47を通過した後、排気側流路33eに向かう及び排気側流路33eを通過する冷却水の流れを示し、矢印R9(図6)は、排気側流路33eを通過した後、Uターンして吸気側流路33iを通過する冷却水の流れを示し、矢印R10(図6)は、ブロック側排出孔37に向かう冷却水の流れを示し、矢印R11〜R14(図7)及び矢印R15,R16(図6)は、排気側及び吸気側において第2流通孔53a〜53fに向かう冷却水の流れを示す。
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冷却水は、まず、ブロック側ウォータジャケット33の左端部に導入され(矢印R1,R3)、一部が吸気側流路33iに流れ(矢印R4)、残部が排気側流路33eに流れる(矢印R5,R6,R8)。吸気側流路33iに流れた冷却水は、第1気筒♯1の吸気側を流通して、第2気筒♯2の吸気側に配置されたブロック側排出孔37に到達する(矢印R4)。排気側流路33eに流れた冷却水は、第1〜4気筒♯1〜♯4の排気側を流通し(矢印R8)、Uターンした後、第4気筒♯4及び第3気筒♯3の吸気側を流通して、上記ブロック側排出孔37に到達する(矢印R9)。
冷却水は、ブロック側ウォータジャケット33を流通している間に、第1連通孔52及び第2連通孔53a〜53fを通過して、ヘッド側ウォータジャケット61に流入する(矢印R7,R11〜R16)。ヘッド側ウォータジャケット61に流入した冷却水は、ヘッド側ウォータジャケット61を流通して、シリンダヘッド4の右端部に配置されたヘッド側排出孔62に到達する。
エンジン2の暖機前は(図2(a)及び図2(b))、ヘッド側排出孔62と導入孔36とを接続する第1流路11のみに冷却水が循環され、ブロック側排出孔37と導入孔36とを接続する第3流路13には冷却水が循環されないので、冷却水はヘッド側排出孔62のみから排出され、ブロック側排出孔37からは排出されない。エンジン2の暖機後は(図2(c)及び図2(d))、第3流路13にも冷却水が循環されるので、冷却水はブロック側排出孔37からも排出される(矢印R10,R2)。
このような状況において、ブロック側ウォータジャケット33にスペーサ40が収容されており、スペーサ40の周壁41がシリンダボア壁32aと近接して対向し、冷却水は、ブロック側ウォータジャケット33内では、主として周壁41の外側の空間を流れ、直接シリンダボア壁32aの表面を流れないので、シリンダボア壁32aの局所的な冷却が抑制されて、第1〜4気筒♯1〜♯4間の温度差が抑制される。
<ii>
図3及び図4に示すように、ウォータポンプ5によりブロック側ウォータジャケット33に導入孔36から導入された冷却水は、第1気筒♯1のシリンダボア壁32aの気筒列の第1気筒♯1側の端部に当たる(矢印R3)。このとき、ウォータジャケット33にスペーサ40が収容されており、スペーサ40の周壁41がシリンダボア壁32aと近接して対向しているので、冷却水はスペーサ40の周壁41に当たり、第1気筒♯1のシリンダボア壁32aに直接当たらない。そのため、第1気筒♯1のシリンダボア壁32aが局所的に冷却されて低温になることが抑制される。
<iii>
図4に示すように、導入孔36から導入された冷却水は、導入孔36の下流部36aにより、第1気筒♯1のシリンダボア壁32aに当たる際、吸気側から平面視で比較的浅い角度で当たる(矢印R3)。したがって、ウォータジャケット33の吸気側流路33iに流れる冷却水の量が比較的少なくなり(矢印R4)、排気側流路33eに流れる冷却水の量が比較的多くなる(矢印R5)。そのため、吸気側よりも温度が上がりやすい排気側のシリンダブロック3がより冷却されるので、各シリンダの吸気側と排気側との温度差が抑制される。
<iv>
導入孔36から導入された冷却水は、排気側流路33eに流れる途中で、傾斜案内部47によって上方つまりヘッド側ウォータジャケット61側に指向させられる(矢印R6)。図2を用いて説明したように、ヘッド側排出孔62と導入孔36とを接続する第1流路11は常に冷却水が循環するので、ヘッド側ウォータジャケット61側に指向させられた冷却水は、第1連通孔52を通過してヘッド側ウォータジャケット61に流入する(矢印R7)。
特に、エンジン2の暖機前は(図2(a)及び図2(b))、ブロック側排出孔37と導入孔36とを接続する第3流路13は冷却水が循環しないので、ヘッド側ウォータジャケット61側に指向させられた冷却水は、第1連通孔52を通過してヘッド側ウォータジャケット61に流入しようとする(矢印R7)。そのため、エンジン2の暖機前は、シリンダブロック3が冷却されずに温度が徐々に上昇してエンジン2の暖機が促進される。
<v>
<iv>で説明したのと同様、エンジン2の暖機前は(図2(a)及び図2(b))、ブロック側排出孔37と導入孔36とを接続する第3流路13は冷却水が循環しないので、ブロック側ウォータジャケット33の排気側流路33eに流れた冷却水(矢印R8)は、排気側の第2連通孔53a〜53dの近傍に来ると、上方に指向させられ、その一部が上記第2連通孔53a〜53dを通過してヘッド側ウォータジャケット61に流入しようとする(矢印R11〜R14)。つまり、排気側流路33eでは、第2連通孔53a〜53dの近傍では、ブロック側ウォータジャケット33からヘッド側ウォータジャケット61に向かう連通孔近傍の縦方向の流れが存在する。
そして、第2連通孔53b〜53d(53aを除く)に対しては、上述したように、流通促進機能を有する流通促進部46が設けられているので、排気側流路33e内を流れる冷却水の一部が第2連通孔53b〜53d(53aを除く)を通過してヘッド側ウォータジャケット61に流入することが第1フランジ42及び第2フランジ43によって阻害されることがなく、そのため、排気側流路33e内における周壁41の外側にある冷却水の第2連通孔53b〜53d(53aを除く)への流れが促進される。
これにより、第2〜4気筒♯2〜♯4においては、連通孔近傍の縦方向の流れが、流通促進部46の流通促進機能によって、周壁41の外側で強められ(図5の太い矢印参照)、これと引き換えに、周壁41の内側、つまり周壁41とシリンダボア壁32aとの間では弱められる(図5の細い矢印参照)。その結果、流通促進部46の流通促進機能により、周壁41の内側の流れがほとんど停止するので、周壁41の外側を流れる冷却水が周壁41とシリンダボア壁32aとの間に下側から回り込むことが効果的に抑制される。そのため、冷却水が直接シリンダボア壁32aの表面を流れることが抑制され、シリンダボア壁32aから熱が奪われることが抑制されて、エンジン2の暖機が促進される。
なお、第1気筒♯1において、すなわち第2連通孔53aに対して、流通促進部46が設けられていない理由はおよそ次の通りである。第1気筒♯1は第2〜4気筒♯2〜♯4よりも冷却水の流れ方向(矢印R8)の上流側にあり、冷却水の流れが比較的強いため、例えば冷却水がウォータジャケット33の排気側流路33eの外壁部35eに当たることにより第1気筒♯1の排気側で生じる連通孔近傍の縦方向の流れ(矢印R11)は、第2〜4気筒♯2〜♯4の排気側で生じる連通孔近傍の縦方向の流れ(矢印R12〜R14)に比べて、もともと周壁41の外側で強いものである。したがって、第2連通孔53aに対しては、流通促進部46を設けなくても周壁41の内側の流れがほとんど停止するので、流通促進部46を設ける必要がないのである。
<vi>
<v>で説明したのと類似して、ブロック側ウォータジャケット33の吸気側流路33iに流れた冷却水(矢印R4)、及び排気側流路33eから吸気側流路33iにUターンした冷却水(矢印R9)についても、吸気側の第2連通孔53e,53fの近傍に来ると、上方に指向させられ、その一部が上記第2連通孔53e,53fを通過してヘッド側ウォータジャケット61に流入しようとする(矢印R15,R16)。つまり、吸気側流路33iでも、第2連通孔53e,53fの近傍では、ブロック側ウォータジャケット33からヘッド側ウォータジャケット61に向かう連通孔近傍の縦方向の流れが存在する。
そして、第2連通孔53e,53fに対しては、上述したように、流通促進機能を有する流通促進部46が設けられているので、吸気側流路33i内を流れる冷却水の一部が第2連通孔53e,53fを通過してヘッド側ウォータジャケット61に流入することが第1フランジ42及び第2フランジ43によって阻害されることがなく、そのため、吸気側流路33i内における周壁41の外側にある冷却水の第2連通孔53e,53fへの流れが促進される。
これにより、第2気筒♯2及び第3気筒♯3においては、連通孔近傍の縦方向の流れが、流通促進部46の流通促進機能によって、周壁41の外側で強められ(図5の太い矢印参照)、これと引き換えに、周壁41の内側、つまり周壁41とシリンダボア壁32aとの間では弱められる(図5の細い矢印参照)。その結果、流通促進部46の流通促進機能により、周壁41の内側の流れがほとんど停止するので、周壁41の外側を流れる冷却水が周壁41とシリンダボア壁32aとの間に下側から回り込むことが効果的に抑制される。そのため、冷却水が直接シリンダボア壁32aの表面を流れることが抑制され、シリンダボア壁32aから熱が奪われることが抑制されて、エンジン2の暖機が促進される。
<vii>
スペーサ40の排気側においては、第2気筒♯2及び第3気筒♯3の流通促進部46よりも冷却水の流れ方向(矢印R8)の下流側に、それぞれ縦壁44a,44bが第1フランジ42及び第2フランジ43に連続して周壁41の外面に立設されている。そのため、ブロック側ウォータジャケット33の排気側流路33eを流れて来た冷却水が上記縦壁44a,44bに当たり、その一部が第2連通孔53b,53cに向かう流れ(矢印R12,R13)に変換される。これにより、流通促進部46の流通促進機能の強化が図られる。
なお、第4気筒♯4において、すなわち第2連通孔53dに対して、上記のような縦壁が設けられていない理由はおよそ次の通りである。第4気筒♯4はブロック側ウォータジャケット33の右端部にあり、そこは図4に示すようにウォータジャケット33の幅が狭くなっており、かつ冷却水がUターンする場所なので、流通抵抗が大きく、冷却水の流れにブレーキがかかる。したがって、第2連通孔53dに対しては、上記のような縦壁を設けなくても冷却水の一部が第2連通孔53dに向かう流れ(矢印R14)に変換されるので、上記のような縦壁を設ける必要がないのである。
なお、吸気側は、気筒列の左右から冷却水が流れてきて衝突するので(矢印R4,R9)、上記のような縦壁を設けなくても冷却水の一部が第2連通孔53e,53fに向かう流れ(矢印R15,R16)に変換される。そのため、スペーサ40の吸気側には上記のような縦壁が設けられていない。
また、上記のように、吸気側は気筒列の左右から冷却水が流れてくるので、吸気側の流通促進部46は、第2連通孔53e,53fの左右に、第1フランジ42及び第2フランジ43の切り欠き46d,46eが形成されている。これに対し、排気側は気筒列の左のみから冷却水が流れてくるので、排気側の流通促進部46は、第2連通孔53b〜53dの左のみに、第1フランジ42及び第2フランジ43の切り欠き46a〜46cが形成されている。
<viii>
周壁41の上端部に、第1連通孔52及び傾斜案内部47が位置する部分と、第2連通孔53b〜53f及び流通促進部46が位置する部分とを除いて、スペーサ40の外方に延びる第1フランジ42が設けられている。そのため、この第1フランジ42によって、ブロック側ウォータジャケット33内の周壁41の外側を流れる冷却水が周壁41とシリンダボア壁32aとの間に上側から回り込むことが抑制される。
つまり、上述の流通促進部46の流通促進機能によって冷却水のシリンダボア壁32a側への下側からの回りこみが抑制されるのに対し、この第1フランジ42によっては上側からの回りこみが抑制される。
(4)作用等
以上説明したように、本実施形態に係るエンジンの冷却装置1は、エンジン2のシリンダボア壁32aを囲むようにシリンダブロック3に設けられたブロック側ウォータジャケット33と、上記シリンダブロック3に結合されたシリンダヘッド4に設けられたヘッド側ウォータジャケット61とを有している。
そして、上記冷却装置1は、上記ブロック側ウォータジャケット33に収容され、上記シリンダボア壁32aと近接して対向する周壁41を有するスペーサ40と、上記周壁41の上端部に設けられ、上記スペーサ40の外方に延びる第1フランジ42と、上記シリンダブロック3と上記シリンダヘッド4との間に介装されたガスケット50に設けられ、上記ブロック側ウォータジャケット33と上記ヘッド側ウォータジャケット61とを相互に連通する第2連通孔53a〜53fと、上記シリンダブロック3に設けられ、上記ブロック側ウォータジャケット33に冷却水が導入される導入孔36と、上記シリンダヘッド4に設けられ、上記ヘッド側ウォータジャケット61から冷却水が排出されるヘッド側排出孔62と、上記第1フランジ42に設けられ、上記ブロック側ウォータジャケット33内において上記スペーサ40の周壁41の外側にある冷却水の上記第2連通孔53b〜53f(53aを除く)への流れを促進する流通促進部46と、を有している。
この構成によれば、ブロック側ウォータジャケット33に収容されたスペーサ40の周壁41がシリンダボア壁32aと近接して対向しており、上記周壁41の上端部にスペーサ40の外方に延びる第1フランジ42が設けられているので、この第1フランジ42によって、ブロック側ウォータジャケット33内の上記周壁41よりスペーサ40の外側を流れる冷却水が上記周壁41とシリンダボア壁32aとの間に上側から回り込むことが抑制される。
一方、流通促進部46の流通促進機能により、連通孔近傍の縦方向の流れが周壁41の外側で強められ、これに伴い、周壁41の内側では冷却水の流れがほとんど停止するので、周壁41の外側を流れる冷却水が上記周壁41とシリンダボア壁32aとの間に下側から回り込むことが効果的に抑制される。
以上により、冷却水のシリンダボア壁32a側への回り込みが周壁41の上端部及び下端部の双方において抑制されるので、ブロック側ウォータジャケット33に収容したスペーサ40とシリンダボア壁32aとの間に冷却水が回り込むことを十分に抑制できるエンジンの冷却装置1が提供される。そのため、エンジン2の冷間時にシリンダボア壁32aの過冷却を抑制してエンジン2の早期暖機を図ることができる。
しかも、シリンダブロック3とシリンダヘッド4との間に介装されたガスケット50を利用して、ブロック側ウォータジャケット33とヘッド側ウォータジャケット61とを相互に連通する第2連通孔53a〜53fを良好に設けることができる。
本実施形態においては、上記流通促進部46に対し、周壁41の外側を周方向に流れる冷却水の流れ方向の下流側に、上記第1フランジ42に連続して上記周壁41の外面から縦壁44a,44bが立設されている。
この構成によれば、ブロック側ウォータジャケット33内を流れて来た冷却水が上記縦壁44a,44bに当たり、その一部が第2連通孔53b,53cに向かう流れに変換されるので、上記流通促進部46の流通促進機能が強化される。
本実施形態においては、エンジン2は4気筒エンジンであり、相互に隣接する第1〜4気筒♯1〜♯4の各シリンダボア32の境界部に対し、周壁41の外側を周方向に流れる冷却水の流れ方向の上流側に、上記第1フランジ42に連続して上記周壁41の外面から障壁45a〜45fが立設されている。
この構成によれば、ブロック側ウォータジャケット33内を流れて来た冷却水が上記障壁45a〜45fに当たり、流れの勢いが弱められるので、上記障壁45a〜45fの下流側にあるシリンダボア32の境界部に冷却水が当たる勢いもまた弱められる。そのため、上記シリンダボア32の境界部に冷却水が当たった際にシリンダヘッド4側に向かう冷却水の勢いが弱いものとなるので、冷却水が第1フランジ42を超えてシリンダボア壁32a側に回り込むことがより一層抑制される。
本実施形態においては、上記周壁41の上記第1フランジ42よりも下側に、上記スペーサ40の外方に延びる第2フランジ43が設けられている。
この構成によれば、第1フランジ42と第2フランジ43とが2段に設けられるので、これによっても、冷却水がこれらのフランジ42,43を超えてシリンダボア壁32a側に回り込むことがより一層抑制される。
本実施形態においては、エンジン2は4気筒エンジンであり、上記流通促進部46は、排気側流路33eにおいて、4つのシリンダボア32のうち周壁41の外側を周方向に流れる冷却水の流れ方向の下流側の第2〜4気筒♯2〜♯4のシリンダボア32に対して設けられている。
その理由は、[3−4]の<v>で説明したように、ブロック側ウォータジャケット33内の冷却水の流れは、冷却水の導入孔36に近い上流側で強く、冷却水の導入孔36から遠い下流側で弱い。そのため、上記連通孔近傍の縦方向の流れ(矢印R11〜R14)は、上流側の第1気筒♯1のシリンダボア32で強く、下流側の第2〜4気筒♯2〜♯4のシリンダボア32で弱い。したがって、この構成によれば、上記連通孔近傍の縦方向の流れが相対的に弱い下流側の第2〜4気筒♯2〜♯4のシリンダボア32に対して、流通促進部46の流通促進機能が発揮されるので、シリンダボア壁32aの過冷却を抑制する対策がより必要な下流側の第2〜4気筒♯2〜♯4のシリンダボア32に対して、冷却水のシリンダボア壁32a側への回り込みが良好に抑制される。
本実施形態においては、上記冷却装置1は、ヘッド側排出孔62に加えて、上記シリンダブロック3に設けられ、上記ブロック側ウォータジャケット33から冷却水が排出されるブロック側排出孔37を有している。
上記冷却装置1は、さらに、上記導入孔36からブロック側ウォータジャケット33に導入された冷却水が、上記連通孔52,53a〜53fを介してヘッド側ウォータジャケット61に流入し、ヘッド側ウォータジャケット61を流通してヘッド側排出孔62から排出される第1の経路(すなわち図2(a)に示される冷間時経路K1及び図2(b)に示される暖機前経路K2)と、上記導入孔36からブロック側ウォータジャケット33に導入された冷却水が、上記連通孔52,53a〜53fを介してヘッド側ウォータジャケット61に流入し、ヘッド側ウォータジャケット61を流通してヘッド側排出孔62から排出されると共に、ブロック側ウォータジャケット33を流通してブロック側排出孔37から排出される第2の経路(すなわち図2(c)に示される暖機後経路K3及び図2(d)に示される暖機完了後経路K4)とが設けられている。
そして、上記冷却装置1は、ヘッド燃焼室壁面温度が第2判定温度未満のときは、冷却水の流通経路を上記第1の経路に切り換え、ヘッド燃焼室壁面温度が第2判定温度以上のときは、冷却水の流通経路を上記第2の経路に切り換えるECU100を備えている。
この構成によれば、ヘッド燃焼室壁面温度が第2判定温度未満の冷間時は、冷却水がヘッド側ウォータジャケット61を流通する第1の経路により、シリンダヘッド4のみが冷却され、ヘッド燃焼室壁面温度が第2判定温度以上の暖機後は、冷却水がブロック側ウォータジャケット33とヘッド側ウォータジャケット61とを流通する第2の経路により、シリンダヘッド4に加えてシリンダブロック3も冷却される。そのため、エンジン2の冷間時は、上記流通促進部46の流通促進機能により冷却水のシリンダボア壁32a側への回り込みが抑制され、これによりシリンダボア壁32aの過冷却が抑制されることに加えて、冷却水の流通経路が第1の経路に切り換えられることによっても、シリンダボア壁32aの過冷却が抑制される。その結果、エンジン2のより一層の早期暖機が図られる。
なお、上記実施形態では、エンジン2は直列4気筒ディーゼルエンジンであったが、シリンダブロックに設けられたウォータジャケット内をエンジン冷却水が流通するタイプのエンジンである限り、気筒の数は4つ以外でもよく、またガソリンエンジンでもよい。
1 冷却装置
2 エンジン
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
32a シリンダボア壁
33 ブロック側ウォータジャケット(第1のウォータジャケット)
36 導入孔(導入部)
36a 導入孔の下流部
37 ブロック側排出孔(排出部)
40 ウォータジャケットスペーサ(スペーサ部材)
41 周壁
42 第1フランジ(フランジ部)
43 第2フランジ(第2のフランジ部)
44a,44b 縦壁
45a〜45f 障壁
46 流通促進部
46a〜46e 切り欠き
47 傾斜案内部
47a スロープ状フランジ
50 ガスケット
52 第1連通孔
53a〜53f 第2連通孔
61 ヘッド側ウォータジャケット(第2のウォータジャケット)
62 ヘッド側排出孔(排出部)
100 ECU
K1 冷間時経路(第1の経路)
K2 暖機前経路(第1の経路)
K3 暖機後経路(第2の経路)
K4 暖機完了後経路(第2の経路)

Claims (6)

  1. エンジンの複数の気筒のシリンダボア壁を囲むようにシリンダブロックに設けられた第1のウォータジャケットと、上記シリンダブロックの上面に結合されたシリンダヘッドに設けられた第2のウォータジャケットとを有する多気筒エンジンの冷却装置であって、
    上記第1のウォータジャケットに収容され、上記シリンダボア壁と近接して対向する周壁を有するスペーサ部材と、
    上記周壁の上部に設けられ、当該周壁からシリンダボア径方向の外方に延びるフランジ部と、
    上記シリンダブロックと上記シリンダヘッドとの間に介装されたガスケットに設けられ、上記第1のウォータジャケットと上記第2のウォータジャケットとを相互に連通する連通孔と、
    上記シリンダブロックに設けられ、上記フランジ部よりも下方の位置から上記第1のウォータジャケットに冷却水が導入される導入部と、
    上記シリンダヘッドに設けられ、上記第2のウォータジャケットから冷却水が排出される排出部とを備え、
    上記スペーサ部材の上端の高さが上記第1のウォータジャケットの上端よりも低くなる位置にスペーサ部材が配設されることにより、当該スペーサ部材の上端と上記ガスケットの下面との間に所定の隙間が形成され
    上記第1のウォータジャケット内において上記スペーサ部材の周壁の外側にある冷却水の上記連通孔への流れを促進する流通促進部として、上記フランジ部に複数の切り欠きが設けられるとともに、当該各切り欠きを除いた領域を気筒列方向に延びるように上記フランジ部が形成され、
    上記連通孔は、上下方向視で上記各切り欠きと重なる位置に設けられていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの冷却装置において、
    上記流通促進部に対し、周壁の外側を周方向に流れる冷却水の流れ方向の下流側に、上記フランジ部に連続して上記周壁の外面から縦壁が立設されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  3. 請求項1又は2に記載のエンジンの冷却装置において、
    相互に隣接する気筒の各シリンダボアの境界部に対し、周壁の外側を周方向に流れる冷却水の流れ方向の上流側に、上記フランジ部に連続して上記周壁の外面から障壁が立設されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のエンジンの冷却装置において、
    上記周壁の上記フランジ部よりも下方に、当該周壁からシリンダボア径方向の外方に延びる第2のフランジ部が設けられていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のエンジンの冷却装置において、
    上記流通促進部は、複数のシリンダボアのうち周壁の外側を周方向に流れる冷却水の流れ方向の下流側のシリンダボアに対して設けられていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のエンジンの冷却装置において、
    上記シリンダブロックに設けられ、上記第1のウォータジャケットから冷却水が排出される排出部と、
    上記導入部から第1のウォータジャケットに導入された冷却水が、上記連通孔を介して第2のウォータジャケットに流入し、第2のウォータジャケットを流通してシリンダヘッドの排出部から排出される第1の経路と、
    上記導入部から第1のウォータジャケットに導入された冷却水が、上記連通孔を介して第2のウォータジャケットに流入し、第2のウォータジャケットを流通してシリンダヘッドの排出部から排出されると共に、第1のウォータジャケットを流通してシリンダブロックの排出部から排出される第2の経路とが設けられ、
    エンジンの温度が所定の暖機判定温度未満のときは冷却水の流通経路が上記第1の経路に切り換えられ、エンジンの温度が上記暖機判定温度以上のときは上記第2の経路に切り換えられることを特徴とするエンジンの冷却装置。
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