JP6158723B2 - 吊荷重演算装置 - Google Patents

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Description

本発明は、吊り荷の荷重を演算する吊荷重演算装置に関する。
起伏シリンダの圧力を検出することでクレーンの吊荷重を検出するテレスコピックブームのクレーンが知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、同一傾斜角における上げ方向動作時と下げ方向動作時に検出された起伏シリンダの非ロッド側シリンダ内圧力の差に相当する出力を生成し、非ロッド側シリンダ内圧力に対し、加えまたは減ずることで、油圧回路の構成に起因するヒステリシスをキャンセルする技術が記載されている。
特開昭59−227692号公報
特許文献1に記載の技術は、起伏シリンダによってブームが起伏されるテレスコピックブームを備えたクレーンにおいて、起伏シリンダの圧力を検出してクレーンの吊荷重を測定する技術である。これに対して、ラチスブームを起伏ロープによって起伏させるクレーンにおいて吊荷重を測定する技術では、起伏ロープの張力を検出し、この検出結果に基づいて吊荷重を求めている。しかしながら、起伏ロープの張力に基づいて吊荷重を求める場合、起伏ロープとシーブとの摩擦の影響や、固定シーブと移動シーブとの間の距離の変化に伴うフリートアングルの影響が、起伏ロープ張力の検出結果に表れてしまう。その結果、ブームの起伏角度の変化に応じて吊荷重の出力値が変化してしまうことがあった。
請求項1に記載の吊荷重演算装置は、ブームの起伏角度を検出する角度検出装置と、ブームを起伏させる起伏ロープに作用する張力を検出する張力検出装置と、ブームの起伏動作を検出する起伏動作検出装置と、吊り荷の荷重を演算する演算部と、起伏ロープに作用する張力の補正に用いる補正係数を記憶する記憶装置とを備え、補正係数は、ブームの起伏角度に応じて設けられ、演算部は、起伏動作検出装置による起伏動作の検出結果と、角度検出装置で検出されたブームの起伏角度に応じた補正係数とに基づいて、張力検出装置で検出された起伏ロープに作用する張力を補正する補正部と、オペレータによって設定された起伏ロープのロープ掛け数を、補正部で補正した起伏ロープに作用する張力に乗じて演算された張力に基づいて吊り荷の荷重を演算する荷重演算部とを有する。
請求項2に記載の吊荷重演算装置は、請求項1に記載の吊荷重演算装置において、演算部は、起伏動作検出装置で起立動作が検出されている場合に、ブームの起伏角度に応じた起伏ロープに作用する張力を検出して、検出した張力を第1基準張力として記憶装置に記憶させ、起伏動作検出装置で倒伏動作が検出されている場合に、ブームの起伏角度に応じた起伏ロープに作用する張力を検出して、検出した張力を第2基準張力として記憶装置に記憶させる基準張力設定部と、第1基準張力および第2基準張力に基づいて補正係数を算出し、記憶装置に記憶させる補正係数設定部とを有する。
請求項3に記載の吊荷重演算装置は、請求項2に記載の吊荷重演算装置において、補正係数設定部は、補正後の張力が、第1基準張力と第2基準張力との中間値となるように、補正係数を算出する。
請求項4に記載の吊荷重演算装置は、請求項3に記載の吊荷重演算装置において、補正係数設定部は、第1基準張力と、第2基準張力とに基づいて、次式より補正係数を算出する。


請求項5に記載の吊荷重演算装置は、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の吊荷重演算装置において、補正部は、起伏動作検出装置で起立動作が検出されている場合には、補正係数を張力検出装置で検出された張力に乗算して、補正後の張力とし、起伏動作検出装置で倒伏動作が検出されている場合には、補正係数の逆数を張力検出装置で検出された張力に乗算して、補正後の張力とする。
本発明によれば、吊荷重の出力値の精度を高めることができる。
本実施の形態に係る吊荷重演算装置を備えたクレーンの外観側面図。 図1のガントリをA方向から見た図。 図1のガントリをB方向から見た図。 下部シーブおよび上部シーブに対する起伏ロープの掛け回し方法を説明するための模式図。 (a)は下部シーブ群と上部シーブ群との間の距離が最長の状態を示す模式図、(b)は下部シーブ群と上部シーブ群との間の距離が最短の状態を示す模式図。 クレーンに搭載される過負荷防止装置の制御系を示すブロック図。 定格荷重曲線の一例を示す図。 ブーム角度に応じて設けられた補正係数を示す表。 ロードセルで検出される張力と、ブームの起伏角度との関係を示す図。 コントローラにより実行される補正係数設定プログラムによる処理の動作の一例を示すフローチャート。 コントローラにより実行される吊荷重演算プログラムによる処理の動作の一例を示すフローチャート。 図11の張力の補正処理を示すフローチャート。 ブーム長さの異なるクレーンにおいて、ロードセルで検出される張力と、ブームの起伏角度との関係を示す図。
以下、図面を参照して、本発明に係る吊荷重演算装置の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る吊荷重演算装置を備えた建設機械の一例であるクローラクレーンの外観側面図である。以下では、図1の作業姿勢を基準にして上下前後方向を定義する。
クレーン100は、走行体101と、旋回輪を介して走行体101上に旋回可能に設けられた旋回体102と、旋回体102に回動可能に軸支されたラチスブーム(以下、単にブーム103と記す)とを有する。旋回体102の前部には運転室105が設けられ、旋回体102の後部にはカウンタウエイト装置120が取り付けられている。
ブーム103は、運転室105の側方において、その基端部(図示せず)が旋回体102のフレームに回転可能に軸支されている。旋回体102のハウジング113には、3つのドラムが配設されている。3つのドラムは、前方から後方に向かって、フロントドラム201、リアドラム202、起伏ドラム203の順に取り付けられている。ブーム103の先端部から、フックロープ107によりフック108が吊り下げられている。フックロープ107の一端はフロントドラム201に固定されており、フックロープ107はフロントドラム201の回転により、フロントドラム201に巻き取られまたはフロントドラム201から繰り出される。これにより、フックロープ107の他端側に保持されたフック108は、ブーム103の先端部に対して昇降する。
旋回体102上には、ガントリ200が旋回体102に対して起伏可能に装着されている。ガントリ200は、前脚部材210と、後脚部材220と、前脚部材210の上端側に固定された下部スプレッダ230とを備えている。前脚部材210の基端部213は旋回体102の中央部に設けられたブラケット102a(図3参照)に回転可能に連結されている。後脚部材220の基端部は、旋回体102の後部側に設けられたブラケット102b(図3参照)に回転可能に連結されている。ガントリ200は、油圧シリンダ204の伸縮により起立および倒伏される。
下部スプレッダ230は、複数の下部シーブから構成される下部シーブ群231を備えている。下部スプレッダ230とブーム103の先端部との間には、上部スプレッダ160が介装されている。上部スプレッダ160は、複数の上部シーブから構成される上部シーブ群161を備えている。上部スプレッダ160の上部シーブ群161と下部スプレッダ230の下部シーブ群231とには、起伏ロープ112が複数回、掛け回されている。
上部スプレッダ160には、一端がブーム103の先端部に固定されたペンダントロープ110の他端が接続されている。一端が起伏ドラム203に固定された起伏ロープ112は、他端が下部スプレッダ230に取り付けられたロードセル281に接続されている。ロードセル281側が起伏ロープ112の固定端とされている。起伏ドラム203の回転により、起伏ロープ112が巻き取りまたは繰り出されると、下部スプレッダ230と上部スプレッダ160との間隔が変化し、起伏ロープ112を介してブーム103が起伏する。
リアドラム202は、補助フックの昇降やジブブームの起伏に用いられるが、図1では使用されていない状態として例示されている。
図2は図1のガントリ200を図示A方向から見た図であり、図3は図1のガントリ200を図示B方向から見た図である。図2に示すように、ガントリ200の前脚部材210は、一対の前脚フレーム211と、前脚フレーム211の上部において一対の前脚フレーム211を連結する上部フレーム212とを備えている。各前脚フレーム211の基端部213は、旋回体102に設けられたブラケット102a(図3参照)にピンにより連結され、前脚部材210は旋回体102に回動可能に連結される。図3に示すように、前脚部材210の上部フレーム212上には、ロードセル281が取り付けられている。
図2に示すように、下部スプレッダ230は、一対の支持フレーム232と、一対の支持フレーム232の上端側において支持フレーム232間に架け渡された支軸233と、この支軸233に回転可能に取り付けられた下部シーブ群231とを備えている。一対の支持フレーム232の下端は、前脚部材210の上部フレーム212に固定されている。
下部スプレッダ230の幅は、前脚部材210の幅よりも小さい。換言すれば、下部スプレッダ230の一対の支持フレーム232間の長さは、前脚部材210の一対の前脚フレーム211間の長さよりも小さい。
図2および図3に示すように、下部スプレッダ230には、複数(本実施の形態の例では6個)の下部シーブ231a〜231fが支軸233に回転可能に支持されている。上部スプレッダ160には、複数(本実施の形態の例では5個)の上部シーブ161a〜161e(図4参照)が支軸162(図1、図4参照)に回転可能に支持されている。
図1および図4に示すように、下部スプレッダ230の支軸233および上部スプレッダ160の支軸162は、起伏ドラム203の回転軸(図示せず)と平行に配置されている。つまり、下部シーブ231a〜231fおよび上部シーブ161a〜eは、いわゆる縦シーブである。
図4は、下部シーブ231a〜231fおよび上部シーブ161a〜161eに対する起伏ロープ112の掛け回し方法を説明するための模式図である。起伏ドラム203から繰り出された起伏ロープ112は、最初に、下部シーブ群231の一端から2番目の位置に配列された下部シーブ231bに掛け回される。下部シーブ231bに掛け回された起伏ロープ112は、上部シーブ群161における、下部シーブ群231の一端と同一側の一端の最初の位置に配列された上部シーブ161aに掛け回される。上部シーブ161aに掛け回された起伏ロープ112は、下部シーブ群231における最も一端側に配列された下部シーブ231aに掛け回される。下部シーブ231aに掛け回された起伏ロープ112は、上部シーブ群161における一端から2番目に配列された上部シーブ161bに掛け回される。上部シーブ161bに掛け回された起伏ロープ112は、下部シーブ群231における、一端から3番目に配列された下部シーブ231cに掛け回される。下部シーブ231cに掛け回された起伏ロープ112は、上部シーブ群161における一端から3番目に配列された上部シーブ161cに掛け回される。
以下、同様に、起伏ロープ112は、下部シーブ群231と上部シーブ群161に配列された各シーブを、交互に、他端側に隣接するシーブに順に掛け回される。すなわち、起伏ロープ112は、上部シーブ161cに掛け回された後は、下部シーブ231d、上部シーブ161d、下部シーブ231e、上部シーブ161e、下部シーブ231fの順に掛け回される。下部シーブ231fに掛け回された起伏ロープ112は、ロードセル281に固定される。
図5(a)は下部シーブ群231と上部シーブ群161との間の距離が最長の状態を示す模式図であり、図5(b)は下部シーブ群231と上部シーブ群161との間の距離が最短の状態を示す模式図である。図5(a)および図5(b)に示すように、下部シーブ231c〜231fと、上部シーブ161b〜161eとの間の起伏ロープ112の角度であるフリートアングルは、下部シーブ群231と上部シーブ群161との間の距離によって変化する。たとえば、下部シーブ231eと上部シーブ161dとの間の起伏ロープ112のフリートアングルαは、図5(a)に示す下部シーブ群231と上部シーブ群161との間の距離が最長のときに最小角度αminとなり、図5(b)に示す下部シーブ群231と上部シーブ群161との間の距離が最短のときに最大角度αmaxとなる。
つまり、ブーム103を起立させるときには、固定シーブである下部シーブ群231に移動シーブである上部シーブ群161が近づくにつれて、フリートアングルαが徐々に大きくなる。ブーム103を倒伏させるときには、下部シーブ群231から上部シーブ群161が離れるにつれて、フリートアングルαが徐々に小さくなる。
図6は、クレーンに搭載される過負荷防止装置の制御系を示すブロック図である。過負荷防止装置は、CPUや記憶装置であるROMおよびRAM、その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成されているコントローラ300を備えている。
図7は、定格荷重曲線の一例を示す図である。コントローラ300の記憶装置には、図7に示すような、作業半径rと定格総荷重Waとの関係である定格荷重曲線のデータテーブルが複数記憶されている。定格総荷重Waとは、その作業半径rにおける吊り上げ可能な荷重の限界値であり、クレーン100の転倒や構成部材の破損を防止するために設定される。各データテーブルは、ブーム103の長さ(ブームの種類)ごとに設けられている。オペレータによってブーム長さが入力部311(図6参照)によって設定されると、入力部311からの信号に応じて、設定されたブーム103の長さに対応するデータテーブルが読み出される。
図6に示すように、コントローラ300には、ブーム角度センサ131、ロードセル281、回転センサ313、入力部311、および、操作量センサ312、ならびに、警報器321、停止装置322および表示部323が接続されている。ブーム角度センサ131は、ブーム103の基端側に取り付けられており(図1参照)、ブーム103の起伏角度(以下、ブーム角度とも記す)を検出し、検出した起伏角度に対応する制御信号をコントローラ300に出力する。ブーム角度センサ131は、たとえば、水平面に対する角度である対地角をブーム103の起伏角度(以下、ブーム角度とも記す)として検出する。
ロードセル281は、ブーム103を起伏させる起伏ロープ112に作用する張力を検出し、検出した張力に対応する制御信号をコントローラ300に出力する。入力部311は、たとえば、タッチパネルであり、オペレータからの操作に対応する制御信号をコントローラ300に出力する。オペレータは、入力部311を操作して起伏ロープ112の掛け数NB、ブーム長さやフック重量等を設定できる。
回転センサ313は、たとえば、ロータリーエンコーダであり、起伏ドラム203の回転方向を検出し、検出した回転方向に対応する制御信号をコントローラ300に出力する。操作量センサ312は、たとえば、油圧パイロット式操作レバーと方向制御弁との間の上げ操作側パイロット管路に設けられるパイロット圧センサと、油圧パイロット式操作レバーと方向制御弁との間の下げ操作側パイロット管路に設けられるパイロット圧センサにより構成される。操作量センサ312は、油圧パイロット式操作レバーの操作量を検出し、検出した操作量に対応する制御信号をコントローラ300に出力する。
表示部323は、たとえば、入力部311としても利用されるタッチパネル式のディスプレイであり、コントローラ300から出力される制御信号に基づいて、表示画面に吊荷重の情報や作業姿勢の情報を表示する。警報器321は、コントローラ300から出力される制御信号に基づいて、警報を発生する。
停止装置322は、コントローラ300から出力される制御信号に基づいて、ドラム201〜203のそれぞれに連結された油圧モータ(不図示)の駆動を停止させる。停止装置322は、たとえば、油圧パイロット式の操作レバーと、この操作レバーの操作量に応じて動作する方向制御弁との間のパイロット管路に設けられた電磁切換弁である。電磁切換弁が全開位置に制御されている場合、操作レバーの操作量に応じて方向制御弁が動作し、方向制御弁を介して油圧ポンプから油圧モータへ圧油が供給されることで、油圧モータが駆動する。
コントローラ300によって電磁切換弁が全閉位置に制御されると、操作レバーが操作されている場合であっても、方向制御弁のパイロット部に供給される圧油が遮断される。その結果、方向制御弁を介して油圧ポンプから油圧モータへ供給される圧油が遮断され、油圧モータの駆動が停止される。
コントローラ300は、起伏判定部301と、補正部302と、荷重演算部303と、ウインチ制御部304と、表示制御部305と、基準張力設定部306と、補正係数設定部307と、ブーム操作方向判定部308とを機能的に備えている。
起伏判定部301は、回転センサ313で起伏ドラム203が一の方向に回転していることが検出されている場合、ブーム103が起立動作中である、すなわちブーム上げ操作が行われていると判定する。起伏判定部301は、回転センサ313で起伏ドラム203が他の方向に回転していることが検出されている場合、ブーム103が倒伏動作中である、すなわちブーム下げ操作が行われていると判定する。
ブーム操作方向判定部308は、操作量センサ312で所定値以上の上げ側操作量が検出されている場合、ブーム上げ操作が行われていると判定する。ブーム操作方向判定部308は、操作量センサ312で所定値以上の下げ側操作量が検出されている場合、ブーム下げ操作が行われていると判定する。
図8は、ブーム角度に応じて設けられた補正係数を示す表である。図8に示すように、コントローラ300の記憶装置には、起伏ロープ112に作用する張力の補正に用いる補正係数Hがブーム103の起伏角度θbに応じて記憶されている。ここで、Hおよびθbの「m」は1からnまでの整数を表しており、nは図8に示すテーブルの補正係数の数に対応している。
図6に示す補正部302は、起伏判定部301による起伏動作の判定結果と、ブーム角度センサ131で検出されたブーム角度θbに応じた補正係数Hとに基づいて、ロードセル281で検出された起伏ロープ112に作用する張力(以下、ロープ張力Trとも記す)を補正する。
補正部302は、図8のテーブルのθbのうち、検出されたブーム角度θbに最も近いθbを選択し、選択されたブーム角度θbに応じた補正係数Hを選択する。
補正部302は、起伏判定部301により起立動作中であることが判定されている場合には、補正係数Hをロープ張力Trに乗算して、補正後の張力(以下、補正張力Thとも記す)とする。すなわち、補正張力Thは、次式(1)により演算される。
Th=Tr×H ・・・(1)
補正部302は、起伏判定部301により倒伏動作中であることが判定されている場合には、補正係数の逆数1/Hをロープ張力Trに乗算して、補正張力Thとする。すなわち、補正張力Thは、次式(2)により演算される。
Th=Tr×1/H ・・・(2)
荷重演算部303は、ブーム角度センサ131で検出されたブーム角度θb、入力部311で入力されたブーム長さに基づいて作業半径rを演算する。荷重演算部303は、補正部302で演算された補正張力Thと、オペレータによって操作される入力部311により設定されたロープ掛け数NBとに基づいて吊り荷の実荷重(以下、吊荷重Wと記す)を演算する。
ウインチ制御部304は、演算された吊荷重Wが演算された作業半径rにおける定格総荷重Waより小さいか否かを判定する。ウインチ制御部304は、吊荷重Wが定格総荷重Wa以上である場合、停止装置322に停止信号を出力するとともに、警報器321に警報信号を出力する。停止装置322に停止信号が入力されると、停止装置322は各ドラム201〜203に連結された油圧モータの駆動を停止させる。警報器321に警報信号が入力されると、警報器321は警報を発生する。
たとえば、クレーン作業において、ブーム103の倒伏動作中にウインチ制御部304から停止装置322に停止信号が出力されると、起伏ドラム203に連結された油圧モータ(不図示)の駆動が停止され、ブーム103の倒伏動作が自動的に停止する。
表示制御部305は、表示部323の表示画面に表示する画像を制御する。表示制御部305は、荷重演算部303で演算された吊荷重Wを表示部323の表示画面に表示させる。
基準張力設定部306は、起伏判定部301により起立動作中であることが判定されている場合に、ブーム角度θbに応じたロープ張力Trを検出して、検出したロープ張力Trを第1基準張力T1として記憶装置に記憶させる。基準張力設定部306は、起伏判定部301により倒伏動作中であることが判定されている場合に、ブーム角度θbに応じたロープ張力Trを検出して、検出したロープ張力Trを第2基準張力T2として記憶装置に記憶させる。第1基準張力T1および第2基準張力T2は、吊荷重が同一の条件、たとえば空フックの状態で起立動作と倒伏動作とが行われることで、設定される。第1基準張力T1および第2基準張力T2は、後述する補正係数の算出に用いられる。
図9は、ロードセル281で検出されるロープ張力と、ブーム103の起伏角度との関係を示す図である。図9に示す特性BUは、吊り荷がフック108に装着されていない空フックの状態において、ブーム上げ動作中、すなわちブーム103の起立動作中にロードセル281で検出されるロープ張力Trを示す特性である。図9に示す特性BDは、吊り荷がフック108に装着されていない空フックの状態において、ブーム下げ動作中、すなわちブーム103の倒伏動作中にロードセル281で検出されるロープ張力Trを示す特性ある。ロードセル281で検出されるロープ張力Trには、図示するように、シーブ161a〜161e,231a〜231fの摩擦に起因するヒステリシスが生じる。
図示するように、起立動作中のロープ張力Trと、倒伏動作中のロープ張力Trとは、所定のブーム角度θbにおいて同じ値とならない。これは、起立動作時と倒伏動作時とでは、起伏ロープ112が掛けられるシーブ161a〜161e,231a〜231fの回転方向が異なるため、シーブ161a〜161e,231a〜231fと起伏ロープ112との間に発生する摩擦力の大きさに差が生じることが主な原因と推定される。
さらに、ブーム角度の変化量に対するロープ張力の変化量の比率(以下、単に変化率と記す)、すなわち傾きも特性BUと特性BDとで異なっている。このように変化率に違いが表れるのは、起立動作時と倒伏動作時とでは、下部シーブ群231と上部シーブ群161との間の距離が縮まる場合、すなわちフリートアングルαが大きくなる場合(図5(a)→図5(b)参照)と、下部シーブ群231と上部シーブ群161との間の距離が伸びる場合、すなわちフリートアングルαが小さくなる場合(図5(b)→図5(a)参照)とで、シーブ161a〜161e,231a〜231fと起伏ロープ112との間に発生する摩擦力の大きさの変化に違いがあることが主な原因と推定される。
本実施の形態では、ブーム103の起立動作時と倒伏動作時とで、ブーム角度に応じたロープ張力の変化特性の違いの影響を抑制するために、補正係数Hを用いて、検出されたロープ張力Trを補正して、補正後の張力Thとして出力するようにした。
補正係数は、予め図6に示す補正係数設定部307で設定される。補正係数設定部307は、基準張力設定部306で第1基準張力T1および第2基準張力T2が設定されると、第1基準張力T1および第2基準張力T2に基づいて補正係数Hを算出する。補正係数設定部307は、補正後の張力が、第1基準張力T1と第2基準張力T2との中間値(図9の一点鎖線)となるように、式(3)より補正係数Hを算出し、記憶装置に記憶させる。T1(θb)およびT2(θb)は、それぞれブーム角度θb(m=1,2・・・,n−1,n)ごとに検出され、記憶された第1基準張力および第2基準張力である。Hは、所定のブーム角度θbにおいて算出される補正係数である。
このように、本実施の形態では、コントローラ300が基準張力設定部306と補正係数設定部307とを機能的に有しているため、工場出荷時や、ブーム103の交換時等に補正係数Hを容易に設定することができる。
図10は、コントローラ300により実行される補正係数設定プログラムによる処理の動作の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、たとえば、入力部311に対して補正係数設定ガイダンスの実行操作がなされることにより開始される。
図10に示すように、ステップS101において、コントローラ300は、表示部323に「空フックにしてください」というメッセージを表示させてステップS103へ進む。ステップS103において、コントローラ300は、入力部311に対して、空フックへの作業が完了したことを指示するための作業完了操作がオペレータによってなされたか否かを判定する。ステップS103で肯定判定されるとコントローラ300は空フック状態であると判定し、ステップS106へ進む。ステップS103で否定判定されるとコントローラ300は空フック状態でないと判定し、ステップS101に戻る。なお、ステップS103における空フック判定処理は、ロードセル281で検出された張力が予め記憶装置に記憶されている閾値未満ときには空フック状態であると判定し、ロードセル281で検出された張力が閾値以上のときには空フック状態でないと判定してもよい。
ステップS106において、コントローラ300は、表示部323に「ブームを下限停止するまで巻き下げてください」というメッセージを出力させてステップS111へ進む。ステップS111において、コントローラ300は、ブーム103の起伏角度が下限位置に達しているか否か、すなわちブーム角度θbが下限位置に対応する角度より小さいか否かを判定する。ステップS111で肯定判定されるとステップS113へ進み、否定判定されるとステップS106へ戻る。
ステップS113において、コントローラ300は、停止装置322に停止信号を出力して、起伏ドラム203の油圧モータ(不図示)の駆動を停止させ、ステップS116へ進む。
ステップS116において、コントローラ300は、表示部323に「微速で巻き上げてください」というメッセージを表示させてステップS118へ進む。ステップS118において、コントローラ300は、操作レバーによってブーム上げ操作が行われたか否かを判定する。ステップS118で肯定判定されるとステップS120へ進み、否定判定されるとステップS116へ戻る。
ステップS120において、コントローラ300は、停止装置322に停止解除信号を出力して、起伏ドラム203の油圧モータ(不図示)の駆動停止を解除させ、ステップS121へ進む。
ステップS121において、コントローラ300は、ブーム103の起伏角度が上限位置に対応する所定角度に達しているか否か、すなわちブーム角度θbが上限位置に対応する角度より大きいか否かを判定する。ステップS121で否定判定されるとステップS126へ進み、肯定判定されるとステップS131へ進む。
ステップS126において、コントローラ300は、ブーム角度センサ131で検出されたブーム角度θbの情報とロードセル281で検出された起伏ロープ112に作用するロープ張力Trの情報とを読み込んで、記憶装置に記憶させ、ステップS121へ戻る。この記憶処理は、ブーム角度θbがθb〜θbまでの範囲にある状態において、Δθごとに実行される。たとえば、θb=30度のときのロープ張力Trを第1基準張力T1(θb)として記憶装置に記憶させ、θb=35度のときの張力Trを第1基準張力T1(θb)として記憶装置に記憶させる。Δθ=5度ごとに、θb,θb・・・θb11=80度まで、検出したロープ張力Trを第1基準張力T1(θb),T1(θb)・・・T1(θb11)として記憶装置に記憶させる。
ステップS131において、コントローラ300は、停止装置322に停止信号を出力して、起伏ドラム203の油圧モータ(不図示)の駆動を停止させ、ステップS136へ進む。
ステップS136において、コントローラ300は、表示部323に「微速で巻き下げてください」というメッセージを表示させてステップS138へ進む。ステップS138において、コントローラ300は、操作レバーによってブーム下げ操作が行われたか否かを判定する。ステップS138で肯定判定されるとステップS140へ進み、否定判定されるとステップS136へ戻る。
ステップS140において、コントローラ300は、停止装置322に停止解除信号を出力して、起伏ドラム203の油圧モータ(不図示)の駆動停止を解除させ、ステップS141へ進む。
ステップS141において、コントローラ300は、ブーム103の起伏角度が下限位置に達しているか否か、すなわちブーム角度θbが下限位置に対応する角度より小さいか否かを判定する。ステップS141で否定判定されるとステップS146へ進み、肯定判定されるとステップS151へ進む。
ステップS146において、コントローラ300は、ブーム角度センサ131で検出されたブーム角度θbの情報とロードセル281で検出された起伏ロープ112に作用するロープ張力Trの情報とを読み込んで、記憶装置に記憶させ、ステップS141へ戻る。この記憶処理は、ブーム角度θbがθb〜θbまでの範囲にある状態において、Δθごとに実行される。たとえば、θb11=80度のときのロープ張力Trを第2基準張力T2(θb11)として記憶装置に記憶させ、θb10=75度のときのロープ張力Trを第2基準張力T2(θb10)として記憶装置に記憶させる。Δθ=5度ごとに、θb,θb・・・θb=30度まで、検出したロープ張力Trを第2基準張力T2(θb),T2(θb)・・・T2(θb)として記憶装置に記憶させる。
ステップS151において、コントローラ300は、停止装置322に停止信号を出力して、起伏ドラム203の油圧モータ(不図示)の駆動を停止させ、ステップS161へ進む。ステップS161において、コントローラ300は、上述した式(3)より、補正係数H(m=1,2,・・・,n−1,n)を演算し、記憶装置に記憶させ、図10に示す処理を終了する。
この補正係数設定プログラムの処理にしたがって行われるオペレータの作業について説明する。オペレータが、入力部311に対して補正係数設定ガイダンスの実行操作を行うと、表示部323に「空フックにしてください」というメッセージが表示される(ステップS101)。
オペレータは、吊り荷がフック108に吊り下げられている場合、メッセージにしたがって、フック108から吊り荷を取り外して、入力部311に対して作業完了操作を行う。作業完了操作が行われると、表示部323に「ブームを下限停止するまで巻き下げてください」というメッセージが表示される(ステップS103→S106)。
ブーム103が下限位置にない場合、オペレータは、メッセージにしたがって、ブーム操作レバーを下げ側に操作し、ブーム103を倒伏させる。ブーム103が下限位置まで倒伏すると、ブーム103が自動で停止して、表示部323に「微速で巻き上げてください」というメッセージが表示される(ステップS111→S113→S116)。
オペレータは、メッセージにしたがって、ブーム操作レバーを上げ側に操作し、ブーム103をゆっくりと起立させる(ステップS118→S120)。ブーム103の起立動作中には、ロードセル281で検出されたロープ張力Trが所定の制御周期ごとに取得され、所定の起伏角度θb(mは、1からnまでの整数)となったときのロープ張力Trが第1基準張力T1(θb)として記憶装置に記憶される(ステップS121→S126)。第1基準張力T1(θb)は、たとえばブーム103の起伏角度が30度〜80度まで5度変化するごとに設定される。
ブーム103が上限位置まで起立すると、ブーム103が自動で停止して、表示部323に「微速で巻き下げてください」というメッセージが表示される(ステップS121→S131→S136)。
オペレータは、メッセージにしたがって、ブーム操作レバーを下げ側に操作し、ブーム103をゆっくりと倒伏させる(ステップS138→S140)。ブーム103の倒伏動作中には、ロードセル281で検出されたロープ張力Trが所定の制御周期ごとに取得され、所定の起伏角度θb(mは、1からnまでの整数)となったときのロープ張力Trが第2基準張力T2(θb)として記憶装置に記憶される(ステップS141→S146)。第2基準張力T2は、たとえばブーム103の起伏角度が80度〜30度まで5度変化するごとに設定される。
ブーム103が下限位置まで倒伏すると、ブーム103が自動で停止する(ステップS141→S151)。上述のように、ブーム103の起立動作中のロープ張力Trが第1基準張力T1(θb)として設定され、ブーム103の倒伏動作中のロープ張力Trが第2基準張力T2(θb)として設定されると、第1基準張力T1(θb)および第2基準張力T2(θb)に基づいて、補正係数H(m=1,2,・・・,n−1,n)が算出され、図8に示すテーブルが記憶装置に記憶される(ステップS161)。
図11は、コントローラ300により実行される吊荷重演算プログラムによる処理の動作の一例を示すフローチャートである。イグニッションスイッチ(不図示)がオンされると、図11に示す処理を行うプログラムが起動され、所定の制御周期ごとにステップS200以降の処理がコントローラ300で繰り返し実行される。
ステップS200において、コントローラ300は、ロードセル281で検出された起伏ロープ112に作用するロープ張力Tr、ブーム角度センサ131で検出されたブーム角度θbの情報、入力部311で設定された情報(ブーム長さ、フック重量、ロープ掛け数NB)、および、回転センサ313で検出されたブーム103の動作方向の情報を取得して、ステップS300へ進む。
ステップS300において、コントローラ300は、ステップS200で取得したロープ張力Trを補正する、すなわち補正後の張力Thを演算して、ステップS390へ進む。ステップS390において、コントローラ300は、ステップS200で取得したロープ掛け数NBを、ステップS300で演算された補正張力Thに乗じて、ペンダントロープ111に作用する張力Tpを演算してステップS400へ進む。
ステップS400において、コントローラ300は、ステップS390で演算された張力Tpから、ブーム103やフック108を含むフロント作業部の荷重(吊り荷を除く荷重)に相当する張力を差し引いて、鉛直方向に作用する吊荷重Wを演算し、ステップS410へ進む。なお、フロント作業部の荷重に相当する張力は、ブーム角度θbに応じた特性が予め記憶装置に記憶されている。この特性は、入力部311で設定されるブーム長さとフック重量に応じて、複数、記憶されている。
ステップS410において、コントローラ300は、ステップS200で取得したブーム角度θbと、ブーム長さに基づいて作業半径rを演算して、ステップS420へ進む。ステップS420において、コントローラ300は、記憶装置に記憶される定格荷重曲線のデータテーブルを参照し、ステップS410で演算した作業半径rに基づいて定格総荷重Waを演算し、ステップS430へ進む。
ステップS430において、コントローラ300は、ステップS400で演算した吊荷重WとステップS420で演算した定格総荷重Waとを比較し、吊荷重Wが定格総荷重Waより小さいか否かを判定する。ステップS430で肯定判定されるとステップS440へ進み、否定判定されるとステップS450へ進む。
ステップS440において、コントローラ300は、停止装置322を非作動とする制御信号を停止装置322に出力し、ステップS200へ戻る。停止装置322が、たとえば、上述したように、操作レバーと、操作レバーの操作量に応じて動作する方向制御弁との間のパイロット管路に設けられた電磁切換弁である場合、ステップS440において、コントローラ300は電磁切換弁を全開とする信号を電磁切換弁に出力する。
ステップS450において、コントローラ300は、停止装置322を作動させる制御信号を停止装置322に出力し、ステップS200へ戻る。停止装置322が、たとえば、上述したように、操作レバーと、操作レバーの操作量に応じて動作する方向制御弁との間のパイロット管路に設けられた電磁切換弁である場合、ステップS440において、コントローラ300は電磁切換弁を全閉とする信号を電磁切換弁に出力する。クレーン作業において、ブーム103の倒伏動作中に停止装置322が作動すると、油圧モータ(不図示)の駆動が停止され、ブーム103の倒伏動作が自動的に停止する。
図12を参照して、張力Trの補正処理について説明する。ステップS310において、コントローラ300は、ステップS200で取得したブーム角度θbと、記憶装置に記憶されている補正係数テーブル(図8参照)のブーム角度θbとを比較して、検出されたブーム角度θbに最も近い、すなわち検出値との差が最も小さいブーム角度θbを選択し、ステップS320へ進む。
ステップS320において、コントローラ300は、ステップS310で選択したブーム角度θbに対応する補正係数Hを読み込んで、ステップS330へ進む。ステップS330において、コントローラ300は、ステップS200で取得したブームの動作方向の情報、すなわち回転センサ313で検出された起伏ドラム203の回転方向の情報に基づいて、ブーム103が起立動作中であるか否かを判定する。ステップS330で肯定判定されると、コントローラ300はブーム103が起立動作中である、すなわちブーム上げ操作中である判定してステップS340へ進む。ステップS330で否定判定されると、コントローラ300はブーム103が倒伏動作中である、すなわちブーム下げ操作中であると判定してステップS350へ進む。
ステップS340において、コントローラ300は、ステップS200で取得したロープ張力Trに、ステップS320で読み込まれた補正係数Hを乗じて、補正張力Thを求め、図12の補正処理を終了し、ステップS390へ進む。ステップS350において、コントローラ300は、ステップS200で取得したロープ張力Trに、ステップS320で読み込まれた補正係数の逆数1/Hを乗じて、補正張力Thを求め、図12の補正処理を終了し、ステップS390へ進む。
このように、本実施の形態では、図10に示す補正係数設定プログラムが実行されることで、空フック状態で設定された第1および第2基準張力を用いて式(3)により補正係数Hが演算され、記憶装置に記憶される。クレーン作業時には、図11および図12に示す吊荷重演算プログラムが実行されることで、記憶装置に記憶されている補正係数Hを用いて式(1)、式(2)により補正張力Thが演算され、補正張力Thに基づいて吊荷重が演算される。このため、クレーン作業時における補正張力Thは、ブーム起立動作中に検出される張力と、ブーム倒伏動作中に検出される張力との中間値となり、吊荷重の出力値の精度を高めることができる。
以上説明した本実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)起伏ロープ112に作用する張力Trの補正に用いる補正係数をブーム103の起伏角度に応じて設けるようにした。コントローラ300は、起伏動作の検出結果と、ブームの起伏角度に応じた補正係数とに基づいて、ロープ張力Trを補正し、補正した張力Thに基づいて吊り荷の荷重Wを演算する。これにより、ブーム103の起伏角度の変化に応じた吊荷重Wの出力値の変化を抑制することができる。吊荷重Wの出力値の精度を高めることができるため、過負荷防止装置の動作の精度を高めることができる。
(2)コントローラ300は、起立動作が検出されている場合に、ブーム角度θbに応じたロープ張力Trを検出して、検出したロープ張力Trを第1基準張力T1(θb)として記憶装置に記憶させ、倒伏動作が検出されている場合に、ブーム角度θbに応じたロープ張力Trを検出して、検出した張力Trを第2基準張力T2(θb)として記憶装置に記憶させる機能を有している。また、コントローラ300は、第1基準張力T1(θb)および第2基準張力T2(θb)に基づいて補正係数Hを算出し、記憶装置に記憶させる機能を有している。これにより、工場出荷時や、ブーム103の交換時等に補正係数Hを容易に設定することができる。
図13は、ブーム長さの異なるクレーン100において、ロードセル281で検出される張力と、ブームの起伏角度との関係を示す図である。図13では、3種類のブームを装着したクレーンにおける特性を示しており、いずれも空フックの状態の特性を示している。ブーム上げ特性BU1およびブーム下げ特性BD1は、3種類のブームのうちブーム長さが最も長いクレーンにおける特性である。ブーム上げ特性BU3およびブーム下げ特性BD3は、3種類のブームのうちブーム長さが最も短いクレーンにおける特性である。ブーム上げ特性BU2およびブーム下げ特性BD2は、3種類のブーム103のうち中間の長さを有するブームを備えたクレーンにおける特性である。図示するように、ブーム長さが異なると、所定角度におけるロープ張力の大きさが異なり、さらに、変化率(傾き)も異なっている。
本実施の形態では、ブーム103の交換時に補正係数Hを設定することができるため、予め記憶装置に複数種類のブームに対応する補正係数Hを記憶させる必要がない。このため、補正係数Hを記憶させる記憶装置の容量の低減を図ることができる。
(3)コントローラ300は、補正後の張力が、第1基準張力T1(θb)と第2基準張力T2(θb)との中間値となるように、式(3)により補正係数Hを算出する。コントローラ300は、起立動作が検出されている場合には、式(1)のとおり、補正係数Hを検出されたロープ張力Trに乗算して、補正後の張力Thとし、倒伏動作が検出されている場合には、式(2)のとおり、補正係数の逆数1/Hを検出されたロープ張力Trに乗算して、補正後の張力Thとする。これにより、クレーン作業時の吊荷重Wの出力値の精度を高めることができる。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上述した実施の形態では、ブーム103の起伏動作を回転センサ313で検出した回転方向の情報に基づいてコントローラ300で判定するようにしたが、ブーム103の起伏動作の検出方法はこれに限定されない。たとえば、ブーム操作レバーによってブーム上げ操作が行われている場合にブーム103が起立動作中であると判定し、ブーム操作レバーによってブーム下げ操作が行われている場合にブーム103が倒伏動作中であると判定してもよい。ブーム103の起伏角度の変化を検出して、ブーム103が起立動作中であるのか、倒伏動作中であるのかを判定してもよい。
(変形例2)
上述した実施の形態では、ブーム角度θbが30度〜80度の範囲において、Δθ=5度ごとに、補正係数Hが記憶されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。Δθの値は、5度未満としてもよいし、5度より大きい値としてもよい。5度ごとに等間隔で補正係数Hが設定されている例について説明したが、不等間隔で補正係数Hを設定してもよい。
(変形例3)
上述した実施の形態では、コントローラ300が基準張力設定部306と、補正係数設定部307とを機能的に有している例について説明したが、本発明はこれに限定されない。予めブーム角度に応じた補正係数の特性を、ブーム103の種類(ブーム長)ごとに、予め記憶装置に記憶させておくことができる。なお、コントローラ300が基準張力設定部306と、補正係数設定部307とを機能的に有していることで、クレーンの機種が異なる場合や、同一機種におけるクレーンごとのばらつきにも対応することができるため、好適である。
(変形例4)
上述した実施の形態では、クローラクレーンに搭載された過負荷防止装置における荷重演算装置を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。定置式のタワークレーンなど吊り荷の荷重を演算して用いる種々の建設機械に本発明を適用することができる。
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
100 クレーン、101 走行体、102 旋回体、102a ブラケット、102b ブラケット、103 ブーム、105 運転室、107 フックロープ、108 フック、110 ペンダントロープ、111 ペンダントロープ、112 起伏ロープ、113 ハウジング、120 カウンタウエイト装置、131 ブーム角度センサ、160 上部スプレッダ、161 上部シーブ群、162 支軸、200 ガントリ、201 フロントドラム、202 リアドラム、203 起伏ドラム、204 油圧シリンダ、210 前脚部材、211 前脚フレーム、212 上部フレーム、213 基端部、220 後脚部材、230 下部スプレッダ、231 下部シーブ群、232 支持フレーム、233 支軸、281 ロードセル、300 コントローラ、301 起伏判定部、302 補正部、303 荷重演算部、304 ウインチ制御部、305 表示制御部、306 基準張力設定部、307 補正係数設定部、308 ブーム操作方向判定部、311 入力部、312 操作量センサ、313 回転センサ、321 警報器、322 停止装置、323 表示部

Claims (5)

  1. ブームの起伏角度を検出する角度検出装置と、
    前記ブームを起伏させる起伏ロープに作用する張力を検出する張力検出装置と、
    前記ブームの起伏動作を検出する起伏動作検出装置と、
    吊り荷の荷重を演算する演算部と、
    前記起伏ロープに作用する張力の補正に用いる補正係数を記憶する記憶装置とを備え、
    前記補正係数は、前記ブームの起伏角度に応じて設けられ、
    前記演算部は、
    前記起伏動作検出装置による起伏動作の検出結果と、前記角度検出装置で検出された前記ブームの起伏角度に応じた補正係数とに基づいて、前記張力検出装置で検出された前記起伏ロープに作用する張力を補正する補正部と、
    オペレータによって設定された前記起伏ロープのロープ掛け数を、前記補正部で補正した前記起伏ロープに作用する張力に乗じて演算された張力に基づいて吊り荷の荷重を演算する荷重演算部とを有する
    吊荷重演算装置。
  2. 請求項1に記載の吊荷重演算装置において、
    前記演算部は、
    前記起伏動作検出装置で起立動作が検出されている場合に、前記ブームの起伏角度に応じた前記起伏ロープに作用する張力を検出して、検出した張力を第1基準張力として前記記憶装置に記憶させ、
    前記起伏動作検出装置で倒伏動作が検出されている場合に、前記ブームの起伏角度に応じた前記起伏ロープに作用する張力を検出して、検出した張力を第2基準張力として前記記憶装置に記憶させる基準張力設定部と、
    前記第1基準張力および第2基準張力に基づいて前記補正係数を算出し、前記記憶装置に記憶させる補正係数設定部とを有する
    吊荷重演算装置。
  3. 請求項2に記載の吊荷重演算装置において、
    前記補正係数設定部は、
    補正後の張力が、前記第1基準張力と前記第2基準張力との中間値となるように、前記補正係数を算出する
    吊荷重演算装置。
  4. 請求項3に記載の吊荷重演算装置において、
    前記補正係数設定部は、前記第1基準張力と、前記第2基準張力とに基づいて、次式より補正係数を算出する
    吊荷重演算装置。

  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の吊荷重演算装置において、
    前記補正部は、
    前記起伏動作検出装置で起立動作が検出されている場合には、前記補正係数を前記張力検出装置で検出された張力に乗算して、補正後の張力とし、
    前記起伏動作検出装置で倒伏動作が検出されている場合には、前記補正係数の逆数を前記張力検出装置で検出された張力に乗算して、補正後の張力とする
    吊荷重演算装置。
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