JP6158557B2 - 耐火構造 - Google Patents
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Description
この構成によれば、被覆材の外周面に熱風が直接当たることが回避される。これにより、火災の際に管本体の軟化や熱分解が進行し難くなり、管本体を構成する難燃性の樹脂が被覆材の内側に残留し易くなる。
この構成によれば、無機繊維層の端面からの熱風の侵入が抑制される。これにより、火災の際に管本体の軟化や熱分解が進行し難くなり、管本体を構成する難燃性の樹脂が被覆材の内側に残留し易くなる。
図1に示すように、耐火構造は、建築物の床スラブ71を貫通して配置される鋳鉄製の耐火性継手管61に、耐火性管体11が連結された構成を有する。すなわち、耐火構造は、建築物の区画部としての床スラブ71と、この床スラブ71を貫通して配置される耐火性継手管61と、耐火性管体11とを備えている。本実施形態の耐火構造の有する配管は、建築物の排水システムを構成する。
耐火性継手管61は、床スラブ71に形成された貫通孔72に挿入される。床スラブ71は、コンクリート製であり、耐火性継手管61と貫通孔72の内壁との間がモルタル73で埋められることで、床スラブ71に耐火性継手管61が固定される。耐火性継手管61は、上下のみに流路を有するものであってもよいし、床スラブ71の上方で横方向に沿った流路を構成する枝管部を有していてもよい。
耐火性管体11は、難燃性を有する樹脂製の管本体12を有している。管本体12は、第1樹脂製継手管13と、この第1樹脂製継手管13に連結される第2樹脂製継手管14とを有している。
第2樹脂製継手管14は、難燃性を有する樹脂製の立て管62が連結される第2連結部16を有している。第2連結部16には、立て管62の端部が挿入され、接着剤で接合される。
<被覆材>
管本体12の外周には、被覆材21が設けられている。被覆材21は、耐火性を有する無機繊維層22と非通気層23とを備えている。無機繊維層22は、通気性を有しており、第1無機繊維層22a及び第2無機繊維層22bから構成されている。非通気層23は、第1無機繊維層22aと第2無機繊維層22bとの間に配置されている。このように被覆材21は、第1無機繊維層22a、非通気層23、及び第2無機繊維層22bが順に積層された積層構造を有している。
次に、被覆材21の配置の詳細について説明する。
耐火構造は、被覆材21を床スラブ71に支持する金属製の支持具51を備えている。支持具51は、被覆材21を保持する保持部52と、この保持部52を床スラブ71に支持させる支持部53とを備えている。金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼が挙げられる。
次に、耐火構造の作用について説明する。
耐火構造は、被覆材21を床スラブ71に支持する支持具51を備えるため、管本体12に対する被覆材21の位置ずれ、すなわち耐火性継手管61に対する被覆材21の位置ずれを長期にわたって抑制することが可能である。また、耐火性管体11は、無機繊維層22を有するため、管本体12の外周への熱伝導が抑制される。すなわち、被覆材21が管本体12の外周に設けられることで、火災の際に管本体12の軟化や熱分解が進行し難くなり、管本体12を構成する難燃性の樹脂が被覆材21の内側に残留し易くなる。
(1)耐火構造は、耐火性継手管61に、耐火性管体11が連結された構成を有している。耐火性管体11は、管本体12と被覆材21とを有している。被覆材21は、耐火性を有する無機繊維層22を備えている。さらに、耐火構造は、被覆材21を床スラブ71に支持する支持具51を備えている。
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・前記支持具51は、第1壁部52b及び第2壁部52cを有しているが、第1壁部52b及び第2壁部52cの少なくとも一方は省略されてもよい。
・前記保持部52の外周面の少なくとも一部に、例えば、振動を抑制する制振層を設けてもよい。
・前記非通気層23は、省略されてもよい。また、非通気層23が省略されるとともに第1無機繊維層22a及び第2無機繊維層22bのいずれか一方が省略されることで、単層の無機繊維層を備えた被覆材に変更されてもよい。
・前記第1無機繊維層22a、第2無機繊維層22b、及び非通気層23の少なくとも一つの層は、複数の層から構成されていてもよい。
・前記第2無機繊維層22bは、第1連結部15の外周を被覆しているが、厚肉部12aのみが被覆される構成に変更されてもよい。非通気層23についても、第2無機繊維層22bと同様に第1連結部15の外周を被覆しているが、厚肉部12aのみが被覆される構成に変更されてもよい。
・前記管本体12は、第1樹脂製継手管13と、第2樹脂製継手管14とを有しているが、第1連結部15と第2連結部16とを有する一体型の樹脂製継手管に変更されてもよい。なお、残留物17による閉塞の度合いは、例えば、第1無機繊維層22a又は第2無機繊維層22bの厚みをより厚く設定することで高めることが可能である。また、管本体12の厚みを厚くするほど、残留物17が多くなる傾向にあるため、管本体12の厚みの設定によっても残留物17による閉塞の度合いを高めることができる。前記実施形態の管本体12は、残留物17による閉塞に有効な厚肉部12aを容易に形成できるという観点から有利である。
・前記第1連結部15は、耐火性管体11が挿入される被挿入部15aを有しているが、耐火性管体11に挿入される挿入部に変更されてもよい。この場合、例えば、特許文献1に開示されるように、耐火性継手管61にフランジを形成し、このフランジ、パッキン、締結具等を用いて、耐火性継手管61に耐火性管体11を固定することができる。
・前記耐火構造は、区画部として、水平方向に沿って区画する床スラブ71に適用されているが、例えば、区画部として、垂直方向に沿って区画する耐火性を有する壁材に適用されてもよい。この場合、第2連結部16には、立て管62の代わりに、難燃性を有する樹脂製の横管が連結される。
・前記耐火性管体11及び耐火構造は、排水システムに適用されているが、通気システムに適用されてもよい。
(イ)前記耐火構造において、前記管本体は、前記耐火性継手管に連結される第1樹脂製継手管と、前記第1樹脂製継手管に連結される第2樹脂製継手管とを備える耐火構造。
(ハ)前記耐火構造において、前記被覆材は、非通気層をさらに備え、前記無機繊維層は、第1無機繊維層と第2無機繊維層とを含み、前記非通気層は、前記第1無機繊維層と前記第2無機繊維層との間に配置されている耐火構造。
(実施例1)
図1に示される耐火性管体を製造した。管本体は、塩化ビニル樹脂製であり、第1無機繊維層及び第2無機繊維層としては、シリカ繊維の不織布を用いた。この不織布の厚みは約5mmであり、密度は約125kg/m3であり、耐熱温度は約1000℃である。非通気層としては、オレフィン系樹脂からなる基材と、無機充填剤としての硫酸バリウムとを含有するシートを用いた。このシートの厚みは、約1.5mmである。この耐火性管体を用いて試験用の耐火構造を形成した。
比較例1では、被覆材及び支持具を省略した以外は、実施例1と同様に試験用の耐火構造を形成した。
実施例1の耐火構造について耐火性の試験を行った。この試験では、バーナ95を用いて容器91内を加熱した。そして、温度測定箇所96の温度において、開始温度が約20℃であり、終了温度が約1000℃になるようにバーナの火力を調整し、開始から60分後に耐火性の試験を終了した。
続いて、各例の試験後に、耐火性継手管61の上方から流路の写真を撮影した。その写真を用いて、耐火性継手管61下端の開口面積に対して閉塞されている部分の面積を百分率で算出し、これを閉塞率とした。実施例1の閉塞率は90%以上であるのに対して、比較例1の閉塞率は0%であった。
Claims (3)
- 建築物の区画部を上下に貫通して配置される鋳鉄製の耐火性継手管に、耐火性管体が連結されてなる耐火構造であって、
前記耐火性管体は、難燃性を有する樹脂製の管本体と、前記管本体の外周に設けられる被覆材とを有し、
前記管本体は、前記耐火性継手管が挿入されて連結される第1連結部と、難燃性を有する樹脂製の立て管が挿入されて連結される第2連結部と、を有し、
前記被覆材は、耐火性を有する無機繊維層を含み、
前記被覆材を前記区画部又は前記耐火性継手管に支持する支持具を備え、
前記支持具は、前記被覆材の下端面に沿って配置される壁部を有し、
前記壁部は、前記管本体の下端面と重なる位置に突出していることを特徴とする耐火構造。 - 前記支持具は、前記被覆材の外周面全体を覆う形状を有することを特徴とする請求項1に記載の耐火構造。
- 前記無機繊維層は通気性を有し、前記支持具は、前記無機繊維層の端面全体を覆う形状を有することを特徴とする請求項2に記載の耐火構造。
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