JP6155704B2 - 静電潜像現像剤用キャリア、静電潜像現像剤、画像形成方法、プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
従来、画像形成装置で使用される現像方式としては、一成分現像方式、二成分現像方式、ハイブリット現像方式などがあるが、色再現性に優れ、鮮明なフルカラー画像を得るためには、静電潜像担持体上のトナー量を静電潜像に忠実に保つ必要があり、二成分現像方式が多用されている。静電潜像担持体上のトナー量が変動すると記録媒体上での画像濃度が変わったり、画像の色調が変動してしまう。
二成分現像剤の剥離は、現像スリーブ内のマグネットを奇数個とし、現像スリーブの回転軸よりも下側の位置に同極のマグネット対を設けて、磁力が殆どゼロとなる剥離領域を作り、その領域で重力を用いて現像後の現像剤を自然落下させることにより行っている。しかし、直前画像でのトナー消費時に、キャリアにカウンターチャージが発生することにより、キャリア/現像剤担持体間に鏡像力が発生し、現像剤離れ極において正常に現像剤離れされず、トナー消費によりトナー濃度の低下した現像剤が再度現像領域に搬送されることにより、現像能力が低下して画像濃度が薄くなる。即ち、スリーブ一周分は正常濃度であるが、二周目以降は濃度が薄くなる。
また、現像剤が印刷に使用されるにつれ、キャリア表面にトナーがスペントし帯電量が変動してしまう場合がある。この場合はコート膜に撥水性の高い樹脂を使用してトナーのスペントを防止したり、現像剤中に新規のキャリアを追加しスペントしたキャリアを排出して帯電量の変動を防止する手段が用いられている。トナーのスペントは、多量のトナーの入れ替わりが行われる高密度印刷時に起こりやすい。
一方、現像機の攪拌ストレス等でキャリアの被覆層が削れてしまうことがあり、低密度印刷時に起こりやすい。被覆層が削れて芯材が露出してしまうと、キャリアの抵抗が低下し画像濃度が変化してしまう。
したがって、高密度印刷時でもトナースペントを起こしにくく、低密度印刷時に芯材露出による抵抗低下を起こしにくい被覆層が求められている。
1) 磁性を有する芯材粒子とフィラーを含有する樹脂被覆層からなる静電潜像現像剤用キャリアであって、キャリアの断面を見たとき、芯材粒子の形状係数SF2が120〜160の範囲にあり、フィラーの面積率が樹脂被覆層全体の30〜85%であり、フィラーの個数平均粒径が540〜800nmの範囲にあり、芯材粒子の平均ドメイン径とフィラーの個数平均粒径の比が1:1〜1:0.003の範囲にあることを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
また、上記本発明のキャリアは、キャリアの樹脂被覆層の硬度及び靭性(可撓性と弾力性)の双方に優れ、耐摩耗性(削れ・剥がれ)に優れ、トナーのスペントによる帯電変動が少なく長期間帯電安定性に優れる。
2) 前記キャリアの断面における、芯材粒子の露出率が10%以下であることを特徴とする1)に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
3) 前記樹脂被覆層がシリコーン樹脂を含有することを特徴とする1)又は2)に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
4) トナー及び1)〜3)のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリアを有することを特徴とする静電潜像現像剤。
5) 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程、該静電潜像を、4)記載の静電潜像現像剤を用いて現像しトナー像を形成する工程、該トナー像を記録媒体に転写する工程、該転写されたトナー像を定着させる工程を有することを特徴とする画像形成方法。
6) 少なくとも、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を4)記載の静電潜像現像剤を用いて現像する手段とが一体に支持されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
詳細には、現像剤担持体へのトナーの付着は、非現像時に現像スリーブ方向へバイアスが掛かるため、トナーが現像剤担持体上へ現像されてしまうことにより発生する。即ち、現像剤担持体上へ現像されたトナーは電位を持つため、印刷時には現像剤担持体上のトナーの持つ電位分だけ現像電位が嵩上げされ、トナー現像量が増加してしまう。また、現像剤担持体上へ現像されたトナーは、現像時に消費されてしまうため、現像剤担持体上のトナー量は一定ではなく前画像の履歴により変動する。直前画像が非画像である場合や用紙と用紙の間隔直後である場合の現像時は、現像剤担持体上にはトナーが現像され、現像剤担持体上にトナーが付着しており画像濃度は高くなる。一方、直前画像が画像面積の多い画像の場合には、トナーが消費されるため現像剤担持体上のトナーが少なくなり画像濃度が低くなる。
以上のように、本発明が課題とするゴースト現象は、直前画像の履歴を受けて現像剤担持体上のトナー現像量が変動し、その変動の影響を受けて次画像の濃度変動が現れる現象であると考えられる。
即ち、キャリアの断面を見たときの芯材粒子の形状係数SF2を120〜160の範囲とすることにより、被覆後のキャリア嵩密度を低くすることができる。SF2が大きい芯材は芯材表面の凹凸が大きくなり、また製造時に芯材内部の空孔が増えるため嵩密度が低くなる。像担持体と現像剤担持体で形成される現像ニップ部へ搬送されるキャリア個数を同じにした場合、嵩密度の低いキャリアを用いて現像剤を作製すると、相対的に現像剤の体積が大きくなるため、現像ニップでの現像剤のパッキング密度は高くなる。SF2を前記範囲とすれば、像担持体と現像剤担持体で形成される現像ニップ部での実効抵抗が低くなり、非画像時に現像剤担持体上へ現像されたトナーが、印刷時に消費されにくくなるので、現像剤担持体上のトナー量が直前画像に依らず安定し、画像の均一性が得られる。
なお、本発明における芯材粒子の形状係数SF2、平均ドメイン径、フィラーの個数平均粒径、フィラーの面積率、芯材粒子の露出率(芯材粒子が樹脂被覆層で被覆されていない割合)は、以下のものを意味する。
日立製作所製FE−SEM(S−800)などを用いて5000倍に拡大したキャリア粒子断面像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報を、インターフェースを介して、ニレコ社製画像解析装置(Luzex AP)などにより解析し、下記式(1)より算出して得られた値。形状係数SF2は粒子の凹凸の度合いを示しており、表面の凹凸の起伏が激しくなるとSF2の値が大きくなる。
SF2=(P2/A)×(1/4π)×100・・・(1)
(式中、Pは粒子の周囲長、Aは粒子の投影面積を示す。)
<芯材粒子の平均ドメイン径>
5000倍に拡大したキャリア粒子像を20個無作為にサンプリングし、二軸平均径によって算出した個数平均粒径。
<フィラーの個数平均粒径>
10000〜50000倍に拡大したキャリアの樹脂被覆層を、20視野無作為にサンプリングし、二軸平均径によって算出した個数平均粒径。
<フィラーの面積率>
10000〜50000倍に拡大したキャリアの樹脂被覆層を、20視野無作為にサンプリングし、フィラー面積/樹脂被覆層面積によって算出した。
<芯材粒子の露出率>
10000〜50000倍に拡大したキャリアの樹脂被覆層を観察し、芯材粒子が樹脂被覆層で被覆されていない割合を芯材粒子の露出率として算出した。
更に芯材粒子の平均ドメイン径とフィラーの個数平均粒径が1:1〜1:0.003の範囲にあることが好ましい。この比が1:0.003より大きいと、樹脂被覆層の強度が弱くなり、使用時に樹脂被覆層が削れて芯材の露出が多くなり、初期抵抗値と使用後の抵抗値の変化が大きくなり、静電潜像担持体上のトナーの量、乗り方が変わり、画像品質が安定しないことになる。逆に、この比が1:1より小さいと、キャリア表面へのフィラー固定が難しくなり、また現像時の攪拌ストレスによりフィラーが離脱しやすい。
またキャリアの断面を見たときのフィラーの占める面積の割合(面積率)は、樹脂被覆層全体の30〜85%とする。この条件を満たせば、現像機で長期間使用した際の被覆層の削れを抑制することができる。面積率が30%未満では被覆層の削れ防止効果が減少し、連続使用により芯材粒子が露出し、現像剤の抵抗低下が起こり、画像の変化やキャリア付着などの不具合を起こしやすくなる。また、面積率が85%を超えると、キャリア表面でのフィラー比率が多くなりすぎ、樹脂の離型効果が薄れてトナースペントが起き易くなる。フィラーの面積率は画像解析装置により数値化することが出来る。
更に、キャリアの断面におけるフィラーの個数平均粒径は540〜800nmとする。この範囲であれば、樹脂被覆層の表面からフィラーが出やすくなり、部分的な低抵抗を作りやすく、更にはキャリア表面のスペント物を掻き取り易く、耐摩耗性にも優れる。
導電性フィラーとしては導電性微粒子が好ましく、例えば、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化珪素、硫酸バリウム、酸化ジルコニウムなどの基体に、二酸化スズや酸化インジウムなどの導電性材料を層として形成したものや、カーボンブラックなどが挙げられる。
非導電性フィラーとしては、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化珪素、硫酸バリウム、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
また、キャリアの断面における芯材粒子の露出率は10%以下であることが好ましい。この芯材粒子の露出率は被覆膜の作製方法によって大きく影響されるが、流動床型コーティング装置を用いると芯材粒子の表面凹凸に影響されることなく、比較的良好に被覆層を形成することができ、被覆層の量で制御することが可能である。
即ち、被覆層は、シラノール基及び/又は加水分解性官能基を有するシリコーン樹脂、重合触媒、(必要に応じてシラノール基及び/又は加水分解性官能基を有するシリコーン樹脂以外の樹脂)、及び溶媒を含む被覆層用組成物を用いて形成することができる。
具体的には、被覆層用組成物で芯材粒子を被覆しながら、シラノール基を縮合させることにより形成してもよいし、被覆層用組成物で芯材粒子を被覆した後に、シラノール基を縮合させることにより形成してもよい。被覆層用組成物で芯材粒子を被覆しながら、シラノール基を縮合させる方法は特に限定されないが、熱、光等を付与しながら、被覆層用組成物で芯材粒子を被覆する方法等が挙げられる。また、被覆層用組成物で芯材粒子を被覆した後にシラノール基を縮合させる方法も特に限定されないが、被覆層用組成物で芯材粒子を被覆した後に加熱する方法等が挙げられる。
[構造式1]
シランカップリング剤としては特に限定されないが、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、r−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−r−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、r−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、r−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、r−クロルプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、r−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、r−クロルプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロルシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系バインダー樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系バインダー樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなど。
これらは、単独で又は混合して使用することができる。
ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応によって得ることができる。
透明トナーの場合は、着色剤を含有させないでトナーとすればよい。
また、ブラックトナーには、磁性体を含有させて磁性トナーとすることも可能である。磁性体としては、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Znフェライト、Baフェライトなどの微粉末が使用できる。
なお、ブラック以外のカラートナーにおいては、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等の白色又は透明な材料が好ましい。
また、トナーには必要に応じて離型剤を添加してもよい。その例としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ホホバワックス、ライスワックス、モンタン酸ワックス等が挙げられる。これらは単独で又は混合して用いることができる。
その具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂やステアリン酸亜鉛などの滑剤;酸化セリウム、炭化ケイ素などの研磨剤;表面を疎水化したSiO2、TiO2等の無機酸化物などの流動性付与剤;ケーキング防止剤として知られるもの、及び、それらの表面処理物などが挙げられる。中でも特に疎水性シリカが好ましい。
また、本発明のキャリアを、キャリアとトナーから成る補給用現像剤とし、現像装置内の余剰の現像剤を排出しながら画像形成を行う画像形成装置に適用することもできる。
このような補給用現像剤を用いる現像装置は、極めて長期に渡って安定した画像品質を得ることができる。つまり、現像装置内の劣化したキャリアと、補給用現像剤中の劣化していないキャリアを入れ替えることにより、長期間に渡って帯電量を安定に保つことができ、安定した画像が得られる。
この方式は、特に高画像面積印字の際に有効である。高画像面積印字の際の劣化は、キャリアへのトナースペントによるキャリア帯電能力低下が主な劣化であるが、前記方式を用いることにより、高画像面積印字の際には、キャリア補給量も多くなるため、劣化したキャリアが入れ替わる頻度が高くなる。これにより、極めて長期間に渡って安定した画像が得られる。
MnCO3、Mg(OH)2、及びFe2O3粉を秤量し混合して混合粉を得た。
この混合粉を、加熱炉において、大気雰囲気下、900℃で3時間仮焼成し、得られた仮焼成物を冷却した後、粉砕して、ほぼ粒径3μmの粉体とした。
この粉体に1%の分散剤を水と共に加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、平均粒径約40μmの造粒物を得た。
この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下、1220℃で5時間焼成した。
得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、体積平均粒径が約35μmの球形フェライト粒子(芯材1)を得た。
この球形フェライト粒子の成分分析を行ったところ、MnO:46.2mol%、MgO:0.7mol%、Fe2O3:53mol%であった。
また、この球形フェライト粒子の断面を観察したところ、SF2は147、ドメイン径は3.5μmであった。
芯材1の製造と同様にして得た仮焼成物を冷却した後、粉砕して、ほぼ粒径1μmの粉体とした。
この粉体に1%の分散剤を水と共に加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、平均粒径約40μmの造粒物を得た。
この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下、1300℃で5時間焼成した。
得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、体積平均粒径が約35μmの球形フェライト粒子(芯材2)を得た。
この球形フェライト粒子の断面を観察したところ、SF2は123、ドメイン径は、8.6μmであった。
芯材2の製造と同様にして仮焼成し造粒して得た平均粒径約40μmの造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下、1320℃で5時間焼成した。
得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、体積平均粒径が約35μmの球形フェライト粒子(芯材3)を得た。
この球形フェライト粒子の断面を観察したところ、SF2は119、ドメイン径は、9.5μmであった。
MnCO3、Mg(OH)2、Fe2O3、及びSrCO3粉を秤量し混合して混合粉を得た。この混合粉を、加熱炉において、大気雰囲気下、850℃で1時間仮焼成し、得られた仮焼成物を冷却した後、粉砕して、粒径3μm以下の粉体とした。
この粉体に1%の分散剤を水と共に加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、平均粒径約40μmの造粒物を得た。
この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下、1120℃で4時間焼成した。
得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、体積平均粒径が約35μmの球形フェライト粒子(芯材4)を得た。
この球形フェライト粒子の成分分析を行ったところ、MnO:40.0mol%、MgO:10.0mol%、Fe2O3:50mol%、SrO:0.4mol%であった。
また、この球形フェライト粒子の断面を観察したところ、SF2は159、ドメイン径は1.8μmであった。
芯材4の製造と同様にして仮焼成し造粒して得た平均粒径約40μmの造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下、1150℃で4時間焼成した。
得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、体積平均粒径が約35μmの球形フェライト粒子(芯材5)を得た。
この球形フェライト粒子の断面を観察したところ、SF2は132、ドメイン径は、4.6μmであった。
芯材4の製造と同様にして仮焼成し造粒して得た平均粒径約40μmの造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下、1080℃で4時間焼成した。
得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、体積平均粒径が約35μmの球形フェライト粒子(芯材6)を得た。
この球形フェライト粒子の断面を観察したところ、SF2は163、ドメイン径は、0.9μmであった。
酸化アルミニウム(住友化学社製AKP−30)100gを水1リットルに分散させて懸濁液とし、この液を70℃に加温した。次いで、塩化第二錫11.6gを2N塩酸1リットルに溶かした溶液と、12%アンモニア水とを、懸濁液のPHが7〜8になるように40分かけて滴下した。更に、塩化インジウム36.7gと塩化第二スズ5.4gを2N塩酸450ミリリットルに溶かした溶液と、12%アンモニア水とを、懸濁液のPHが7〜8になるように1時間かけて滴下した。滴下終了後、懸濁液を濾過、洗浄し、得られたケーキを110℃で乾燥して乾燥粉末を得た。次いで、この乾燥粉末を窒素気流中、500℃で4時間処理して導電性粒子1を得た。
この導電性粒子1の体積平均粒径は300nm、体積固有抵抗は5Ω・cmであった。
酸化アルミニウム(住友化学社製AKP−30)100gを水1リットルに分散させて懸濁液とし、この液を70℃に加温した。次いで、塩化第二錫200gと五酸化燐6gを2N塩酸1リットルに溶かした溶液と、12%アンモニア水とを、懸濁液のPHが7〜8になるように4時間かけて滴下した。滴下終了後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥して乾燥粉末を得た。次いで、この乾燥粉末を窒素気流中、500℃で4時間処理し、導電性粒子2を得た。
この導電性粒子2の体積平均粒径は540nmで、体積固有抵抗は8Ω・cmであった。
酸化アルミニウム(住友化学社製AKP−20)100gを水1リットルに分散させて懸濁液とし、この液を70℃に加温した。次いで、塩化第二錫250gと五酸化燐7.5gを2N塩酸1.5リットルに溶かした溶液と、12%アンモニア水とを、懸濁液のPHが7〜8になるように5時間かけて滴下した。滴下終了後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥して乾燥粉末を得た。次いで、この乾燥粉末を窒素気流中、500℃で4時間処理し、導電性粒子3を得た。
この導電性粒子3の体積平均粒径は760nmで、体積固有抵抗は9Ω・cmであった。
酸化アルミニウム(昭和電工製A−43−M)100gを水1リットルに分散させて懸濁液とし、この液を70℃に加温した。次いで、塩化第二錫600gと五酸化燐18gを2N塩酸1.5リットルに溶かした溶液と、12%アンモニア水とを、懸濁液のPHが7〜8になるように12時間かけて滴下した。滴下終了後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥して乾燥粉末を得た。次いで、この乾燥粉末を窒素気流中、500℃で4時間処理し、導電性粒子4を得た。
この導電性粒子4の体積平均粒径は1200nmで、体積固有抵抗は22Ω・cmであった。
撹拌機付きフラスコにトルエン300gを投入し、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いで、CH2=CMe−COO−C3H6−Si(OSiMe3)3(式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン84.4g(200mmol:サイラプレーン TM−0701T/チッソ社製)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン39g(150mmol)、メタクリル酸メチル65.0g(650mmol)、及び、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3mmol)の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3mmol)をトルエン15gに溶解した溶液を加え(2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3mmol)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させメタクリル系共重合体(樹脂1)を得た。この樹脂1の重量平均分子量は33,000であった。
次いで、この樹脂1を、不揮発分が25%になるようにトルエンで希釈した。得られた樹脂溶液の粘度は8.8mm2/s、比重は0.91であった。
樹脂合成例1における3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランを、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン37.2g(150mmol)に替えた点以外は、樹脂合成例1と同様にしてラジカル共重合させ、メタクリル系共重合体(樹脂2)を得た。この樹脂2の重量平均分子量は34,000であった。
次いで、この樹脂2を、不揮発分が25%になるようにトルエンで希釈した。得られた樹脂溶液の粘度は8.7mm2/s、比重は0.91であった。
比較例1〜7)]
以下、実施例、参考例及び比較例のキャリアの製造例を示すが、製造に使用した材料の詳細は、次のとおりである。
・メチルシリコーンレジン:2官能又は3官能のモノマーから作製された重量平均分子量
15,000のメチルシリコーンレジン(固形分25%)
(RSR−213:東レ・ダウシリコーン社製)
・チタン触媒:チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)TC−750
(マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤:SH6020(東レ・シリコーン社製)
メチルシリコーンレジン110部、導電性粒子2のフィラー50部、チタン触媒7部、シランカップリング剤1部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。
この樹脂溶液を、流動槽内の温度を70℃に制御した流動床型コーティング装置を用いて、1000部の芯材1に塗布し乾燥した。得られたキャリアを、電気炉により180℃で2時間焼成して、キャリアAを得た。
メチルシリコーンレジン120部、導電性粒子3のフィラー45部、チタン触媒7部、シランカップリング剤1部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、実施例1と同様にして芯材1に塗布、乾燥、焼成し、キャリアBを得た。
メチルシリコーンレジン30部、樹脂1を30部、フィラーの三井金属鉱業社製パストラン4310(平均粒径150nm)33部、チタン触媒4部、シランカップリング剤0.6部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、実施例1と同様にして芯材1に塗布、乾燥、焼成し、キャリアCを得た。
メチルシリコーンレジン64部、樹脂2を16部、フィラーの三菱マテリアル電子化成社製S2000(平均粒径30nm)20部、チタン触媒5部、シランカップリング剤0.8部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、実施例1と同様にして芯材1に塗布、乾燥、焼成し、キャリアDを得た。
メチルシリコーンレジン42部、樹脂2を2部、導電性粒子1のフィラー15部、チタン触媒3部、シランカップリング剤0.6部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、実施例1と同様にして芯材1に塗布、乾燥、焼成し、キャリアEを得た。
メチルシリコーンレジン30部、樹脂1を50部、導電性粒子1のフィラー60部、チタン触媒5部、シランカップリング剤0.8部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材2に変えた点以外は実施例1と同様にして、塗布、乾燥、焼成し、キャリアFを得た。
メチルシリコーンレジン60部、導電性粒子3のフィラー25部、チタン触媒4部、シランカップリング剤0.6部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材2に変えた点以外は実施例1と同様にして、塗布、乾燥、焼成し、キャリアGを得た。
樹脂合成例1で得た樹脂110部、フィラーの三菱マテリアル電子化成社製S2000(平均粒径30nm)40部、チタン触媒7部、シランカップリング剤1部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材2に変えた点以外は実施例1と同様にして、塗布、乾燥、焼成し、キャリアHを得た。
メチルシリコーンレジン110部、導電性粒子4のフィラー50部、チタン触媒7部、シランカップリング剤1部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材4に変えた点以外は実施例1と同様にして、塗布、乾燥、焼成し、キャリアIを得た。
メチルシリコーンレジン12部、樹脂1を48部、フィラーの三井金属鉱業社製パストラン4310(平均粒径150nm)15部、チタン触媒4部、シランカップリング剤0.6部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材4に変えた点以外は実施例1と同様にして塗布、乾燥、焼成し、キャリアJを得た。
メチルシリコーンレジン30部、樹脂1を30部、導電性粒子1のフィラー16部、チタン触媒4部、シランカップリング剤0.6部をトルエンで希釈し固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材4に変えた点以外は実施例1と同様にして塗布、乾燥、焼成し、キャリアKを得た。
メチルシリコーンレジン35部、樹脂2を9部、導電性粒子1のフィラー10部、チタン触媒3部、シランカップリング剤0.3部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材5に変えた点以外は実施例1と同様にして塗布、乾燥、焼成し、キャリアLを得た。
メチルシリコーンレジン35部、導電性粒子2のフィラー10部、チタン触媒2部、シランカップリング剤0.2部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材5に変えた点以外は実施例1と同様にして、塗布、乾燥、焼成し、キャリアMを得た。
メチルシリコーンレジン100部、樹脂1を100部、フィラーの三菱マテリアル電子化成社製S2000(平均粒径30nm)60部、チタン触媒12部、シランカップリング剤2部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材5に変えた点以外は実施例1と同様にして、塗布、乾燥、焼成し、キャリアNを得た。
メチルシリコーンレジン20部、導電性粒子1のフィラー10部、チタン触媒1部、シランカップリング剤0.2部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材2に変えた点以外は実施例1と同様にして、塗布、乾燥、焼成し、キャリアOを得た。
メチルシリコーンレジン110部、導電性粒子3のフィラー34部、チタン触媒7部、シランカップリング剤1部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材3に変えた点以外は実施例1と同様にして、塗布、乾燥、焼成し、キャリアPを得た。
メチルシリコーンレジン35部、樹脂1を10部、フィラーの三菱マテリアル電子化成社製S2000(平均粒径30nm)10部、チタン触媒3部、シランカップリング剤0.6部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材4に変えた点以外は実施例1と同様にして塗布、乾燥、焼成し、キャリアQを得た。
メチルシリコーンレジン100部、フィラーのキャボット社製カーボンブラックMONARCH 1100(平均粒径14nm)5部、チタン触媒6部、シランカップリング剤1部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材2に変えた点以外は実施例1と同様にして、塗布、乾燥、焼成し、キャリアRを得た。
メチルシリコーンレジン20部、樹脂2を30部、導電性粒子4のフィラー15部、チタン触媒3部、シランカップリング剤0.6部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材6に変えた点以外は実施例1と同様にして、塗布、乾燥、焼成し、キャリアSを得た。
メチルシリコーンレジン25部、導電性粒子3のフィラー10部、チタン触媒2部、シランカップリング剤0.8部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材6に変えた点以外は実施例1と同様にして、塗布、乾燥、焼成し、キャリアTを得た。
メチルシリコーンレジン100部、樹脂1を100部、導電性粒子2のフィラー60部、チタン触媒12部、シランカップリング剤2部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材6に変えた点以外は実施例1と同様にして、塗布、乾燥、焼成し、キャリアUを得た。
メチルシリコーンレジン80部、導電性粒子1のフィラー70部、チタン触媒5部、シランカップリング剤0.8部をトルエンで希釈して固形分10%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、芯材1を芯材4に変えた点以外は実施例1と同様にして、塗布、乾燥、焼成し、キャリアVを得た。
<現像剤作製>
実施例、参考例及び比較例で得た各キャリア930部と、市販のデジタルフルカラープリンター(リコー社製RICOH Pro C901)用トナー70部を混合し、タービュラーミキサーを用いて81rpmで5分間攪拌し、評価用の各現像剤を作製した。
また、上記現像剤と同じキャリアとトナーからなり、キャリア濃度が10%の補給用現像剤を作製した。
<ゴースト画像の評価>
市販のデジタルフルカラープリンター(リコー社製RICOH Pro C901)に各現像剤及び補給用現像剤をセットし、画像面積8%の文字チャート(1文字の大きさ;2mm×2mm程度)を10万枚出力した。次いで、図7に示す縦帯チャートを印刷し、スリーブ一周分(a)と一周後(b)の濃度差を、X−Rite938(X−Rite社製)により測定し、センター、リア、フロントの3箇所の平均濃度差をΔIDとし、次の基準で評価した。◎、○、△は合格、×は不合格である。
〔評価基準〕
◎(非常に良好): ΔID≦0.01
○(良好) :0.01<ΔID≦0.03
△(許容できる):0.03<ΔID≦0.06
×(実用不能) :0.06<ΔID
新品の現像剤と10万枚印刷した後の現像剤について、キャリアの静抵抗を測定した。
図6の装置を用い、795メッシュで現像剤からトナーを分離、除去してキャリアのみとし、そのキャリアの抵抗値を、図5の装置を用いて測定してΔLogRを算出し、次の基準で評価した。◎、○、△は合格、×は不合格である。
〔評価基準〕
◎(非常に良好): ΔLogR≦0.5
○(良好) :0.5<ΔLogR≦1
△(許容できる): 1<ΔLogR≦2
×(実用不能) : 2<ΔLogR
10万枚印刷後の現像剤と新品現像剤について、それぞれのトナー成分をメチルエチルケトンで抽出して測定し、その差をスペントトナー量(キャリア重量に対する%で表示)とし、次の基準で評価した。◎、○、△は合格、×は不合格である。
〔評価基準〕
◎(非常に良好): 0%以上、0.03%未満
○(良好) :0.03%以上、0.07%未満
△(許容できる):0.07%以上、0.15%未満
×(実用不能) :0.15%以上
一方、比較例8の現像剤はゴースト画像のΔIDが大きく、画像濃度差が目視で確認できた。また、比較例9〜12の現像剤は10万枚後の抵抗値が大きく低下し、細線へのトナー量が減少し、画像濃度は上昇し、画像品質の変化が見られた。また、比較例11についてはフィラーの離脱が多く確認された。比較例13の現像剤はゴースト画像、抵抗変化、トナースペント量は実用レベルであったが、キャリア付着が多く確認された。比較例14の現像剤はトナースペント量が多く、抵抗値もスタートに比べ高くなった。
Claims (6)
- 磁性を有する芯材粒子とフィラーを含有する樹脂被覆層からなる静電潜像現像剤用キャリアであって、キャリアの断面を見たとき、芯材粒子の形状係数SF2が120〜160の範囲にあり、フィラーの面積率が樹脂被覆層全体の30〜85%であり、フィラーの個数平均粒径が540〜800nmの範囲にあり、芯材粒子の平均ドメイン径とフィラーの個数平均粒径の比が1:1〜1:0.003の範囲にあることを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
- 前記キャリアの断面における、芯材粒子の露出率が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
- 前記樹脂被覆層がシリコーン樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
- トナー及び請求項1〜3のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリアを有することを特徴とする静電潜像現像剤。
- 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程、該静電潜像を、請求項4記載の静電潜像現像剤を用いて現像しトナー像を形成する工程、該トナー像を記録媒体に転写する工程、該転写されたトナー像を定着させる工程を有することを特徴とする画像形成方法。
- 少なくとも、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を請求項4記載の静電潜像現像剤を用いて現像する手段とが一体に支持されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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