JP6153778B2 - スクラロースの味質改善剤及び味質改善方法 - Google Patents
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Description
詳細には、チョウジ油を含有するスクラロースの味質改善剤、及びスクラロースに対して、チョウジ油を添加するスクラロースの味質改善方法に関する。
しかし、ショ糖は良質な甘味とコク感を有するものの、最近の健康志向や低カロリー志向から、肥満や虫歯の原因となり、敬遠されるようになってきている。
特に、飲料や菓子などの嗜好品においては低カロリー化が進んでおり、これらについて、ショ糖と同等の良質な甘味を有し、かつ低カロリー化できる甘味料が望まれている。
しかし、高甘味度甘味料の多くは、ショ糖と同等の良質な甘味やコク感を有しているものは少なく、独特の苦味や渋味を有している、甘味の立ち上がりが遅れる、甘味が後を引く等といった欠点を持つものが多い。
その中でも、スクラロースは、それらの欠点の少ない砂糖に近い甘味質を有する高甘味度甘味料である。
また、スクラロースは甘味質が優れているだけでなく、レトルト殺菌やUHT殺菌のような食品の加熱殺菌工程中でも安定であり、長期保存や缶コーヒー等の保温販売などにおける保存安定性にきわめて優れていることにより、加工食品の甘味付与に最も優れた甘味料の一種であり、広く用いられている。
しかしながら、スクラロースの味質においても、甘味の後引き感が少なからず違和感を与えることがあり、さらにコク感にも欠けるところがあり、それらの改善が求められている。
例えば、特許文献1では、スクラロースにクエン酸やリンゴ酸などの有機酸又はその塩を添加して、甘味の後引き感を調整する方法が開示されている。
さらに、スクラロースの味質を改善する方法として、ヘスペリジン(特許文献2)、ルチン(特許文献3)、ショウガ抽出物と、キャラウェイ精油、ペパーミントテイル精油、カルダモン精油、ナツメグ抽出物及びホップ精油から選択される1種以上(特許文献4)、ブランデーアブソリュート(特許文献5)などを使用する方法も提案されている。
チョウジについては、エリスリトールなどの糖アルコールとチョウジ油を含有する口腔内組成物において、チョウジ油を添加することで、糖アルコールに特有の不自然な甘みや苦味といった不快味を改善できることが知られている(特許文献6)。
また、チョウジ油とスクラロースが併用された組成物もある(特許文献7、8)が、チョウジ油がスクラロースの味質を改善することは記載も示唆もされていない。
(スクラロースの味質改善剤)
項1.チョウジ油を含有することを特徴とする、スクラロースの味質改善剤。
項2.味質改善が、甘味の後引き感の改善、又はコク感の付与である、項1記載のスクラロースの味質改善剤。
項3.スクラロース1質量部に対して、チョウジ油を5×10−6〜5×10−4質量部含有する、項1又は2記載のスクラロースの味質改善剤。
(スクラロースの味質改善方法)
項4.スクラロースに対してチョウジ油を添加することを特徴とする、スクラロースの味質改善方法。
項5.味質改善が、甘味の後引き感の改善、又はコク感の付与である、項4記載のスクラロースの味質改善方法。
項6.スクラロース1質量部に対して、チョウジ油を5×10−6〜5×10−4質量部添加する、項4又は5記載のスクラロースの味質改善方法。
スクラロースの味質改善には、スクラロースの甘味の後引き感の改善、コク感の付与などが挙げられる。
チョウジ油の調製は従来公知の方法に従って行なってもよく、また、市販品を使用することもできる。
スクラロース1質量部に対して、チョウジ油の添加量が5×10−6質量部より少ないとスクラロースの味質改善効果が十分ではなく、また、5×10−4質量部より多いと後味にチョウジ油のスパイス臭を感じるので、いずれも好ましくない。
この味質改善剤は、スクラロースとチョウジ油とが上記割合で添加されていればよく、粉末状、顆粒状、固形状、液状といった剤型を問わず、また、一剤であるか二剤であるかも問わない。
また、この味質改善剤には、本発明の効果を阻害しない限度において、香料、色素、酸化防止剤、保存料、ビタミン類、カルシウム類、ミネラル類など、その他の食品添加物類を含むことができる。
この味質改善剤によれば、スクラロース本来の雑味の無い良質な甘味に、甘味の後引き感による違和感という欠点を解消し、さらにコク感を付与して、スクラロースの味質を改善することができる。
本発明の対象となる飲食品としては、特に制限はされないが、好適には、柑橘果汁や野菜果汁等を含む果実飲料又は野菜ジュース、コーラやジンジャエール又はサイダー等の炭酸飲料、スポーツドリンク、ニアウオーター等の清涼飲料水、コーヒー、紅茶や抹茶等の茶系飲料、ココアや乳酸菌飲料等の乳飲料などの飲料一般;ヨーグルト、ゼリー、プディング及びムース等のデザート類;ケーキ、クラッカー、ビスケット、パイや饅頭等といった洋菓子及び和菓子を含む焼菓子や蒸菓子等の菓子類;米菓、スナック類;アイスクリームやシャーベット等の冷菓並びに氷菓;チューインガム、ハードキャンディ、ヌガーキャンデー、ゼリービーンズ、等を含む糖菓一般;果実フレーバーソースやチョコレートソースを含むソース類;バタークリーム、フラワーペーストやホイップクリーム等のクリーム類;イチゴジャムやマーマレード等のジャム;菓子パン等を含むパン;焼き肉、焼き鳥、鰻蒲焼き等に用いられるタレ、トマトケチャップ、ソース、麺つゆ等の調味料一般;蒲鉾等の練り製品、ソーセージ等の食肉加工品、レトルト食品、漬け物、佃煮、珍味、惣菜並びに冷凍食品等を含む農畜水産加工品を広く例示することができる。
これらの食品にスクラロースとチョウジ油を配合する時期や順序には特に制限はなく、必ずしも同一の食品中にスクラロースとチョウジ油が添加されている必要もなく、異なる食品にそれぞれ別々に含まれる場合であっても、食する時点においてスクラロースとチョウジ油が共存していれば足りる。
なお、以下の記載において「%」は質量%を示し、「*」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製を示す。
0.014%のスクラロース水溶液に、チョウジ油を表1の濃度で添加し、チョウジ油の無添加区と比較して、スクラロースの味質改善効果を次のように官能評価した。
なお、以下の実験例及び実施例のチョウジ油は、チョウジの葉を水蒸気蒸留により得られた精油を用いた。
×:無添加区と比べて効果が無い、又は異味がある。
△:やや味質が改善している、又はやや異味を感じる。
○:味質が改善している。
◎:非常に味質が改善している。
表2の各甘味料の水溶液(各甘味料は砂糖6.0%と同じ甘味になるように添加した)に、チョウジ油0.01ppmを添加して、官能によりチョウジ油の無添加区と比較し、実験例1と同様に味質改善効果を評価した。
注2:レバウディオJ-100(守田化学工業株式会社、レバウディオサイドAを95%含有)
チョウジ油をエタノールに溶解させて、0.01%溶液を調製した。
表3の1〜7の成分を水に撹拌溶解して、93℃まで加熱し、次いで8〜9の成分を加えて全量を100Lに合わせ、容器に充填してニアウオーターを製造した。
各ニアウオーターを官能評価した結果を、表5に示した。
Claims (5)
- チョウジ油を含有することを特徴とする、スクラロースの味質改善剤。
- 味質改善が、甘味の後引き感の改善、又はコク感の付与である、請求項1記載のスクラロースの味質改善剤。
- スクラロースに対してチョウジ油を添加することを特徴とする、スクラロースの味質改善方法。
- 味質改善が、甘味の後引き感の改善、又はコク感の付与である、請求項3記載のスクラロースの味質改善方法。
- スクラロース1質量部に対して、チョウジ油を5×10−6〜5×10−4質量部添加する、請求項3又は4記載のスクラロースの味質改善方法。
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