以下、本実施の形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
実施の形態1.
本実施の形態に係る検査装置は、透明な試料にある欠陥を検出する検査装置である。具体的には、検査装置は、暗視野照明光学系を用いて試料を照明し、欠陥で散乱した光を検出することで欠陥を検出している。透明な試料は、例えば、半導体やディスプレイの製造に用いられるガラスウェハ、フォトマスク、マスクブランクス等の透明基板である。ここでは、厚さ1mmのガラスウェハを試料としている。
図1を用いて検査装置の構成について、説明する。図1は、検査装置100の構成を模式的に示す図である。検査装置100は、照明光学系10を用いて検査を行う暗視野検査機である。検査装置100は、光源11、スキャナ13、レンズ14、XYステージ15、レンズ16、スリット17、検出器18、及び処理装置19を備えている。なお、以下の説明では説明の明確化のため、XYZの3次元直交座標系を用いている。Z方向が試料20の表面と垂直な方向であり、X方向、及びY方向は、試料20の表面内の方向である。図1では、X方向が紙面と平行な方向であり、Y方向が紙面と垂直な方向である。Z方向は照明光学系10の光軸と平行な方向であり、試料20の高さ(深さ)方向となっている。
照明光学系10は、試料20を暗視野照明する。そのため、光源11は、試料20を照明する照明光L1を生成する。なお、光源11としては、例えば、波長532nm又は405nmのレーザ光源を用いることができる。なお、光源11はランプ光源等のレーザ光源以外の光源であってもよい。さらに、照明光L1の波長は上記の値に限られるものではない。光源11からの照明光L1は平行光束となっている。
光源11から出射した照明光L1は、スキャナ13に入射する。スキャナ13は、例えば、ガルバノミラー又はポリゴンミラー等であり、照明光L1をY方向に偏向する。これにより、試料20の表面上における照明位置を変えることができる。図1に示す構成では、紙面と垂直方向に照明光L1を偏向している。すなわち、スキャナ13は照明光L1をY方向に走査する。
スキャナ13で反射された照明光L1は、レンズ14に入射する。レンズ14は、照明光L1を集光して、試料20を照射する。レンズ14は、照明光L1を試料20の検査対象面に集光する。ここでは、レンズ14が、試料20の表面上に照明光L1を集光している。なお、図1では、照明光L1が試料20の表面と垂直な方向から試料20を照明しているが、斜め方向から照明してもよい。すなわち、照明光L1の光軸は、Z方向と平行であってよいし、Z方向から傾斜していてもよい。
レンズ14で集光された照明光L1は、試料20に入射する。これにより、試料20が照明光L1で照明される。例えば、試料20の照明位置において、照明光L1が円形のスポットを形成する。試料20は、ステージ15の上に載置されている。ステージ15は試料20の端部を支持している。ステージ15はXYZステージなどの駆動ステージであり、試料20を移動させる。ステージ15を駆動することで、照明光L1による照明位置を試料20の任意の位置に移動させることができる。ステージ15がX方向に移動すると、試料20における照明位置が走査される。例えば、スキャナ13が照明光L1をY方向に走査している間、ステージ15が試料20をX方向に移動させる。このようにすることで、試料20の全体、あるいは所望の領域を照明光L1で走査することができる。
試料20に照明光L1が入射すると、試料20から散乱光L2が発生する。試料20からの散乱光L2は、レンズ16に入射する。レンズ16は試料20の表面の上側に配置されている。ここでは、暗視野検査を行うため、レンズ16の光軸がZ方向から傾いている。すなわち、試料20である特定の斜め方向に散乱した散乱光L2のみがレンズ16に入射する。
レンズ16は、散乱光L2をスリット17上に集光する。スリット17は、レンズ16の光軸上に開口部17aを有している。スリット17の直後には、検出器18が配置されている。スリット17を通過した散乱光L2を検出器18が受光する。すなわち、スリット17の開口部17aに入射した散乱光L2のみが検出器18で検出され、スリット17の開口部17aからずれた位置に入射した散乱光L2は遮光される。
検出器18は、PMT(光電子増倍管)等のポイントセンサであり、1つの画素のみを有している。検出器18は、受光した散乱光L2の光量に応じた検出信号を処理装置19に出力する。なお、検出器18としてスリット17に沿って配列された複数の画素を有するラインセンサや、2次元アレイセンサを用いてもよい。
スリット17は、紙面と垂直な方向に沿った開口部17aが設けられている。すなわち、スリット17の開口部17aの長手方向は、スキャナ13の走査方向に対応している。検出器18は、Y方向における走査領域に対応する検出領域を有している。例えば、検出器18は、Y方向に対応する方向に延びた検出領域を有している。したがって、スリット17を通過した散乱光L2のほとんどが検出器18で検出される。よって、スキャナ13が照明光をY方向に走査しても、検出器18が散乱光L2を受光することができる。
処理装置19は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置やA/D変換器等の電子回路を備えている。処理装置19は、検出信号としきい値との比較結果に応じて、欠陥を検出する。暗視野検査を行っているため、照明光が欠陥に入射するタイミングで検出信号が大きくなる。検出信号が予め設定されたしきい値を越えた場合、処理装置19は、欠陥が存在すると判定する。一方、検出信号がしきい値を越えない場合、処理装置は、欠陥が存在しないと判定する。そして、処理装置には、XYステージ15の座標及びスキャナ13の角度が入力されているため、処理装置は、XY平面における照明位置を特定することができる。すなわち、検出信号がしきい値を越えたタイミングを欠陥検出タイミングとし、処理装置19は欠陥検出タイミングにおける照明位置から欠陥座標を特定する。このようにして、試料20の欠陥の有無、及び位置を検出することができる。
レンズ14に入射する照明光L1のスポット径が小さい場合、照明光学系10のNAが小さくなる。この場合、焦点深度が深くなるため、検査対象面以外の面からの散乱光がレンズ16に入射する。図2を用いて、試料20から検出器18までの散乱光L2の光路について説明する。図2では、検査装置100の一部の構成のみを示している。
図2では、検査対象面をB、検査対象面以外の面をA、Cとしている。ここで、検査対象面Bからの散乱光を散乱光L2Bとする。同様に、検査対象面Bよりも上側(レンズ14側)の面Aからの散乱光を散乱光L2Aとし、検査対象面Bよりも下側の面Cからの散乱光を散乱光L2Cとする。
上記したように、照明光L1は上側から試料20に入射するとともに、レンズ14によって検査対象面Bに集光している。照明光L1のスポット径は、検査対象面Bで最も小さくなっている。面Aから検査対象面Bに向かうにつれて、照明光L1が絞られていく。また、検査対象面Bから面Cに向かうにつれて、照明光L1が広がっていく。レンズ16の光軸は、検査対象面Bにおいて、レンズ14の光軸と交差する。
検査対象面Bからの散乱光L2Bは、レンズ16によって、スリット17の開口部17aに集光される。一方、面Aからの散乱光L2Aは、スリット17の開口部17aからずれた位置に集光される。したがって、散乱光L2Aは、スリット17の開口部17aを通過できない。同様に、面Cからの散乱光L2Cは、スリット17の開口部17aからずれた位置に集光される。したがって、散乱光L2Cは、スリット17の開口部17aを通過できない。このように、検査対象面Bからの散乱光L2Bのみスリット17を通過することができる。すなわち、検査対象面B以外の面A、又は面Cからの散乱光L2A、L2Cは、スリット17によって遮光される。
従って、検出器18は、検査対象面Bからの散乱光L2のみを検出する。検査対象面Bの欠陥を正確に検出することができる。すなわち、面A、又は面Cにある欠陥が存在していたとしても、散乱光L2A、L2Cはスリット17で遮光されるため、検出器18で受光されない。よって、検査対象面Bの欠陥を、検査対象面B以外の面A、Cの欠陥から確実に分離して検出することができる。
さらに、スリット17を移動させることで、検査対象面の位置を制御することができる。例えば、照明光L2Aが開口部17aの位置に集光されるようにスリット17を移動させることで、面Aを検査対象面とすることができる。照明光L2Cが開口部17aの位置に集光されるようにスリット17を移動させることで、面Cを検査対象面とすることができる。このように、レンズ16の光軸と垂直な面において、開口部17aの長手方向と垂直な方向にスリット17をスライド移動させることで、検査対象面の高さを調整することができる。よって、試料20の任意の面における欠陥を検出することが可能になる。なお、スリット17を移動させる場合、検出器18の検出領域を十分に広くする。すなわち、スリット17を移動させたとしても、開口部17aを通過した散乱光L2が検出器18に入射するように、検出領域が広い検出器18を用いる。
さらに、スリット17の開口部17aの幅を変えることで、検査対象面の深度を制御することができる。例えば、開口部17aの幅を狭くすることで、検査対象面での被写界深度を浅くすることができる。あるいは、開口部17aの幅を広くすることで、検査対象面での被写界深度を深くすることができる。すなわち、開口部17aの幅が狭い場合、検査対象面からわずかにずれた高さであっても、散乱光がスリット17で遮光される。一方、開口部17aの幅が広い場合、検査対象面からわずかにずれた高さであれば、散乱光が開口部17aを通過して、検出器18で検出される。
よって、開口部17aの幅を変えることで、高さ方向(Z方向)における位置分解能を調整することができる。このように、スリット17の開口部17aの幅を可変とすることで、検査対象面での被写界深度の深さを制御することができる。
なお、上記の説明では、スキャナ13のスキャン方向と対応する方向に開口部17aを有するスリット17を遮光部材として用いたが、スリット17以外の構成を遮光部材として用いることも可能である。例えば、スキャナ13によりスキャンを行わない場合、点状の開口部を有するピンホールを遮光部材として用いることができる。そして、ピンホールの位置、及び開口部の大きさ(径)を調整することで、スリット17を調整する場合と同様の効果を得ることができる。
なお、レンズ16として、シリンドリカルレンズを用いることも可能である。スリット17に沿った方向に配置されたシリンドリカルレンズをレンズ16として用いてもよい。こうすることで、検出器18で検出される散乱光の光量を高くすることができる。
また、スキャナ13がY方向に走査し、ステージ15がX方向に走査する構成としたが、この構成に限られるものではない。例えば、スキャナ13がXY方向に走査してもよく、あるいは、ステージ15がXY方向に走査してもよい。
本実施の形態では、検出器18が複数の光ファイバ33の出射端から出射した散乱光を1画素でまとめて検出している。これにより、検出器18のアライメントが不要となるため、簡便に欠陥を検出することができる。もちろん、複数の画素を備えたCCDカメラなどのラインセンサや2次元アレイセンサを検出器18として用いることも可能である。
(変形例)
実施の形態1にかかる検査装置100の変形例について図3を用いて説明する。図3は、試料20から検出器18までの光路を示す図である。なお、検査装置100の基本的な構成についは、図1で示した構成と同様であるため、詳細な説明を省略する。
変形例では、スリット17が設けられていない構成となっている。さらに、検出器18が複数の画素を備えている。検出器18としては、CCDカメラ(Charge Coupled Device)やCMOSカメラ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の2次元アレイセンサを用いることができる。なお、図3では説明の簡略化のため、3つの画素18a〜18cを備えている構成を示しているが、画素数については特に限定されるものではない。
画素18a〜18cは、スキャナ13のスキャン方向(Y方向)に対応する方向と垂直な方向に配列されている。また、上記のように、検査対象面の高さが異なると、レンズ17による散乱光の集光位置がずれる。したがって、面Aからの散乱光L2Aは、画素18aに入射する。面Bからの散乱光L2Bは、画素18bに入射する。面Cからの散乱光L2Cは、画素18cに入射する。複数の画素18a〜18cを有する検出器18を用いることで、高さが異なる検査面からの散乱光を分離して検出することができる。
レンズ16による散乱光の集光位置がずれる方向に沿って複数の画素18a〜18cが配列されている。Z方向において異なる位置からの散乱光が、異なる画素に入射する。このようにすることで、異なる高さでの欠陥検査を同時に行うことができる。すなわち、画素18a〜18c毎に、検出信号としきい値とを比較する。そして、画素毎の比較欠陥に応じて、欠陥を検出する。こうすることで、異なる高さにおける検査を同時に行うことができる。また、Z方向における欠陥の位置を検出することができる。
例えば、検出器18として2次元アレイセンサを用いた場合、画素列ごとに検査対象面が異なる。ラインセンサを用いた場合、画素毎に検査対象面が異なる。レンズ16が、試料20内での深さに応じて、検出器18の異なる画素に散乱光を集光している。よって、異なる深さ(高さ)における検査を同時に行うことができる。
実施の形態2.
本実施の形態に係る検査装置の構成について、図4を用いて説明する。図4は、検査装置200の全体構成を示す図である。本実施の形態では、スリット17の代わりに光ファイバユニット30が設けられている点で実施の形態1と異なっている。すなわち、光ファイバユニット30が試料20から検出器18までの光路中に配置されている。
なお、検査装置200の基本的構成については、実施の形態1で示した検査装置100と同様であるため説明を所略する。例えば、照明光学系10の光源11、及びスキャナ13は、図1と同様の構成となっている。よって、実施の形態1と同様に、スキャナ13がY方向に照明光L1を走査している。また、ステージ15についても実施の形態1と同様の構成となっている。ステージ15がX方向に試料20を移動している。
試料20の上方には、光ファイバユニット30が配置されている。光ファイバユニット30は、試料20の表面の近傍に配置されている。試料20の照明位置に向けて、光ファイバユニット30が配設されている。
光ファイバユニット30は、光ファイバ33、及びホルダ34を備えている。ホルダ34は、第1遮光プレート31、及び第2遮光プレート32を備えている。光ファイバ33の下側に第1遮光プレート31が配置され、上側に第2遮光プレート32が配置されている。第1遮光プレート31及び第2遮光プレート32は、光ファイバ33を上下に挟持するホルダ34となる。すなわち、複数の光ファイバ33がホルダ34によって、試料20の上方の保持されている。
光ファイバ33は、透明な樹脂によって形成された光ファイバであり、その内部を光が伝播する。例えば、光ファイバ33の直径は0.5mmとなっている。光ファイバ33の出射端面には、検出器18が配置されている。光ファイバ33の入射端面が試料20の照明位置を向いている。光ファイバ33は、Z方向から傾いて配置されている。光ファイバ33内の入射端面から入射した散乱光L2が光ファイバ33内を伝播する。そして、光ファイバ33内を伝播した散乱光L2は出射端面から出射する。光ファイバ33の出射端面から出射した散乱光L2は、検出器18で受光される。このように、光ファイバ33は、試料20からの散乱光L2を検出器18まで導く導光部材となる。検出器18は、実施の形態1と同様に光電子増倍管となっている。
光ファイバユニット30の構成について、図5を用いて詳細に説明する。図5は、光ファイバユニット30の構成を示す平面図であり、光ファイバ33の入射端面側の構成を模式的に示している。
第1遮光プレート31及び第2遮光プレート32が複数の光ファイバ33を挟持している。これにより、ホルダ34が複数の光ファイバ33を保持することができる。例えば、第1遮光プレート31及び第2遮光プレート32はそれぞれ平坦な板で形成されている。第1遮光プレート31及び第2遮光プレート32は例えば、黒色の樹脂で形成された遮光板である。したがって、第1遮光プレート31及び第2遮光プレート32は入射した散乱光を吸収する。第1遮光プレート31及び第2遮光プレート32の間には、複数の光ファイバ33が1列に配列されている。したがって、複数の光ファイバ33は、試料20の表面から同じ高さに配置される。複数の光ファイバ33はY方向に沿って配列されている。入射端面と平行な平面視において、第1遮光プレート31と第2遮光プレート32とが配列方向と垂直な方向から複数の光ファイバ33を挟んで、保持している。
このように、複数の光ファイバ33を一列に配置することで、スキャナ13でY方向に走査された照明位置からの散乱光を適切に検出することができる。なお、複数の光ファイバ33の入射端面は、同一平面上に配置されていてもよい。複数の光ファイバ33の出射端面側の配置は、検出器18の検出領域に応じて変化させればよい。すなわち、複数の光ファイバ33の出射端面からの散乱光が、検出器18で受光されるように、複数の光ファイバ33を束ねればよい。もちろん、入射端面側における複数の光ファイバ33の配列は、1列に限られるものではない。例えば、複数の光ファイバ33を2列以上で配列してもよい。あるいは、照明光L1をY方向に走査しないのであれば、複数の光ファイバ33を一列に配置していなくてもよい。
光ファイバユニット30に入射する散乱光の様子を図6に示す。図6は、散乱光の光路を模式的に示す図である。図6では、図4で示した一部の構成については省略している。なお、図6では、検査対象面Bに照明光L1が集光されている。
複数の光ファイバ33は、Z方向から傾斜した方向に沿って配置されている。光ファイバ33の入射端面33aよりもホルダ34が照明位置側に突出している。すなわち、第1遮光プレート31の照明位置側の端部31a、及び第2遮光プレート32の照明位置側の端部32aが、入射端面33aよりも照明位置側に配置されている。第1遮光プレート31、又は第2遮光プレート32は、試料20からの散乱光の一部を遮光する。
検査対象面B以外の面A,Cからの散乱光が、第1遮光プレート31、又は第2遮光プレート32によって遮光される。すなわち、検査対象面B以外の面A,Cからの散乱光は、第1遮光プレート31と第2遮光プレート32との間の隙間を通過することができない。検査対象面B以外の面A,Cからの散乱光が、第1遮光プレート31、又は第2遮光プレート32に入射する。検査対象面B以外の面A,Cからの散乱光が、第1遮光プレート31、又は第2遮光プレート32で遮光され、光ファイバ33の入射端面33aに入射しない。
一方、検査対象面Bからの散乱光L2Bのみが光ファイバ33の入射端面33aに入射する。すなわち、検査対象面Bからの散乱光L2Bの一部は、第1遮光プレート31と第2遮光プレート32との間の隙間を通過して、光ファイバ33に入射する。光ファイバ33の入射端面33aに入射した散乱光L2Bは、光ファイバ33内を伝播して、出射端面33cから出射する。出射端面33cから出射した散乱光L2Bは、検出器18(図6では不図示)で検出される。
本実施の形態では、光ファイバ33の側面33bの少なくとも一部を覆う第1遮光プレート31と第2遮光プレート32とが設けられている。そして、第1遮光プレート31と第2遮光プレート32が、光ファイバ33よりも照明位置側から突出している。この構成によって、光ファイバ33のNAをさらに制限することができる。すなわち、検出光学系のNAを光ファイバ33のNAよりも小さくすることができる。これにより、検出対象面の高さを制限することができる。所定の検査対象面B以外の面A、Cからの散乱光については、ホルダ34によって吸収される。これにより、検査対象面Bの欠陥のみを検出することができる。
また、本実施の形態では、複数の光ファイバ33を保持するホルダ34を試料20の照明位置近傍に配置している。したがって、簡便な構成で、所望の検査対象面からの散乱光のみを検出することができる。例えば、レンズ16、スリット17、及び検出器18等のアライメントが不要となる。簡便な構成で、簡便な構成で、試料内の検査対象面における欠陥を正確に検出することができる。すなわち、検査対象面以外の面の欠陥から区別して、検査対象面における欠陥を検出することができる。また、入射端面33aよりも突出したホルダ34で、複数のファイバ33を保持している。よって、装置構成を簡素化することができる。
さらに、光ファイバユニット30と試料20との間にレンズ16を配置せずに、試料20からの散乱光を直接光ファイバ33に入射する構成としている。レンズ16を用いてないため、レンズ収差の影響を排除することができる。また、通常レンズ16は、複数のレンズを円筒状の鏡筒に収容した構成を有している。円筒状のレンズ16を用いた場合、設置スペースが制限され、試料20の近傍に近接することが困難となる。本実施の形態のように、レンズ16を用いない検出光学系とすることで、光ファイバユニット30を試料20に近接して配置することができる。レンズ16を用いた図1の構成よりも、多くの散乱光を検出器18に入射させることが可能になる。これにより、散乱光の検出光量を高くすることができ、より高感度で欠陥を検出することができる。
例えば、光ファイバユニット30は、試料20の表面から0.5mmの高さに配置される。すなわち、試料20の表面から、光ファイバユニット30の下端までの距離が0.5mmとなっている。このように、光ファイバユニット30を試料20の近傍に配置することができるため、検出器18で受光する散乱光強度を高くすることができる。よって、実施の形態1よりも、より高感度で欠陥を検出することができる。
検出器18が複数の光ファイバ33の出射端から出射した散乱光を1画素でまとめて検出するようにしてもよい。これにより、検出器18のアライメントが不要となるため、簡便に欠陥を検出することができる。また、照明光学系10には、照明光をY方向に走査するスキャナ13が設けられている。複数の光ファイバ33がY方向に沿って配列されていてもよい。これにより、検出器18のアライメントが不要となるため、簡便に欠陥を検出することができる。
さらに、レンズ16を用いていないため、スキャナ13による走査範囲を容易に広くすることができる。光ファイバ33の配列数を多くすることで、スキャナ13による走査範囲を広くすることができる。一方、レンズ16を用いた場合、スキャナ13による走査範囲を広くすると、レンズ16の径を大きくする必要がある。レンズ16の径を大きくすると、高価なレンズ16が必要となってしまう。本実施の形態のように、レンズ16を用いずに、光ファイバユニット30を用いることで、安価な装置構成を実現することができる。
さらに、光ファイバユニット30は上下方向(Z方向)に移動可能に配置することが好ましい。例えば、光ファイバユニット30が図6の矢印Dの方向に移動する。このようにすることで、検査対象面の高さを変えることができる。光ファイバユニット30と試料20との距離を変えるように、光ファイバユニット30を上下に移動させる。例えば、モータなどのアクチュエータ(不図示)によって、ホルダ34を上下に駆動すればよい。図7の矢印Dの方向に、光ファイバ33を保持するホルダ34を上昇させる。こうすることで、散乱光L2Aのみが光ファイバ33に入射する。よって、面Aを検査対象面とすることができる。あるいは、光ファイバ33を保持するホルダ34を下降させることで、検査対象面Cを検査することができる(図示は省略)。
こうすることで、簡便に検査対象面の高さを制御することができる。よって、面A、B、Cの欠陥をそれぞれ分離して検出することができる。なお、試料20と光ファイバユニット30の移動方向は、Z方向と平行であってもよく、Z方向から傾いていてもよい。すなわち、試料20の表面と垂直なZ方向において、ホルダ34が移動可能に設けられていればよい。こうすることで、検査対象面を任意の高さに容易に調整することができる。
さらに、ホルダ34の照明位置側の端部31a、32aと、複数の光ファイバ33の入射端面33aとの距離が可変とすることが好ましい。例えば、光ファイバ33を矢印Eの方向に沿って移動させる。これにより、検査対象面の深度を制御することができる。例えば、図8の矢印Eの方向に、ホルダ34の後ろ側から各光ファイバ33を照明位置側に押し込む。こうすることで、光ファイバ33の入射端面33aを照明位置に近づけることができる。ホルダ34の照明位置側の端部31a、32aから入射端面33aまでの距離が短くなる。よって、散乱光を検出する検出光学系のNAをより大きくすることができる。検査対象面での被写界深度を深くすることができる。
あるいは、ホルダ34の後ろ側から各光ファイバ33の一部を引き出すことで、光ファイバ33の入射端面33aを照明位置から遠ざけることができる(図示は省略)。こうすることで、ホルダ34の照明位置側の端部31a、32aから入射端面33aまでの距離が長くなる。よって、散乱光を検出する検出光学系のNAをより小さくすることができる。検査対象面での被写界深度を浅くすることができる。
このように、入射端面33aから突出したホルダ34の突出量を変えることで、検査対象面の深度を制御することができる。なお、光ファイバ33の代わりにホルダ34を移動させることで、検査対象面の深度を制御するようにしてもよい。すなわち、第1遮光プレート31、及び第2遮光プレート32の少なくとも一方を照明位置に近づけたり、遠ざけたりするようにしてもよい。このようにしても、同様の効果を得ることができる。ホルダ34の照明位置側の端部31a、32aと、複数の光ファイバ33の入射端面33aとの距離が可変であるため、調整を容易に行うことができる。なお、複数の光ファイバ33の入射端面33aとの距離は、モータ等のアクチュエータで変えてもよく、操作者が手作業で変えてもよい。
なお、検査装置200において、第1遮光プレート31の端部31aと第2遮光プレート32の端部32aが、入射端面33aよりも照明位置側に突出した構成としたが、本実施の形態は、この構成に限られるものではない。例えば、第1遮光プレート31の端部31aのみが、入射端面33aよりも照明位置側に突出する構成となっていてもよい。第2遮光プレート32の端部32aのみが、入射端面33aよりも照明位置側に突出する構成となっていてもよい。また、ホルダ34の構成は、図5のように、第1遮光プレート31及び第2遮光プレート32が上下から光ファイバ33を挟持する構成に限られるものではない。すなわち、ホルダ34は、光ファイバ33を保持することができる構成であれば、どのような構成であってもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。