JP6146654B2 - 画像が形成された媒体および媒体の確認方法 - Google Patents

画像が形成された媒体および媒体の確認方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6146654B2
JP6146654B2 JP2013026939A JP2013026939A JP6146654B2 JP 6146654 B2 JP6146654 B2 JP 6146654B2 JP 2013026939 A JP2013026939 A JP 2013026939A JP 2013026939 A JP2013026939 A JP 2013026939A JP 6146654 B2 JP6146654 B2 JP 6146654B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
area
color
image
region
medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013026939A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014156025A (ja
Inventor
内 豪 山
内 豪 山
村 満 北
村 満 北
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2013026939A priority Critical patent/JP6146654B2/ja
Publication of JP2014156025A publication Critical patent/JP2014156025A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6146654B2 publication Critical patent/JP6146654B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Credit Cards Or The Like (AREA)
  • Printing Methods (AREA)
  • Inspection Of Paper Currency And Valuable Securities (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

本発明は、照射される光の波長スペクトルに応じて見え方が変化する画像が形成された媒体に関する。また本発明は、媒体の確認方法に関する。
金券やプリペイドカードを含む有価証券や、免許証を含む身分証明書など、偽造を防止することが必要とされる媒体において、メタメリズムを応用したメタメリックペアインクを用いることが知られている。メタメリックペアインクとは、照射される光源の種類や、特定波長のみを透過させるフィルタの種類に応じて、同色に見えたり異なった色に見えたりする一対のインクのことである。このようなメタメリックペアインクを利用して画像を形成し、これによって偽造を防止することが提案されている。
例えば特許文献1においては、太陽光、蛍光灯、白熱電球等からの通常光下では同色に見えるが、所望のフィルタを通してみるか、又は所望のフィルタを通過させた光のもとで見ると一方が異なった色相に見えるメタメリックな性質を有する2 種類のインクを用いて画像を形成することが提案されている。
特開昭54−159004号公報
近年、照明技術の発達により、室内で使用される白色光源の発光スペクトルが従来と比べて変化している。例えば、室内で使用される蛍光灯は、従来は、普通形蛍光灯や一波長形蛍光灯と称される、連続的な波長分布を有する蛍光灯であった。一方、現在は、赤色、緑色および青色の各波長域でピークを有する三波長形蛍光灯が主流となっている。また、青色の波長域でピークを有するとともに、緑色や赤色などのその他の波長域においては連続的な波長分布を示すLEDを使用した照明も増えてきている。このように、現在は様々な光源が照明として使用されている。
ところで、メタメリックペアインクを利用した従来の偽造防止媒体は、連続的な波長分布を有する蛍光灯や太陽光が照射されるときには画像が隠れるよう、構成されている。しかしながら上述のように、近年、特定の波長域にピークを有する白色光源が多く利用されている。従って、従来の偽造防止媒体においては、隠れているべき画像が白色光源下で現れてしまうという問題が生じることが考えられる。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る媒体を提供することを目的とする。
本発明は、基材上に画像が形成された媒体であって、前記画像は、第1画像領域および第2画像領域を有し、前記第1画像領域は、第1絵柄領域と、前記第1絵柄領域の周囲に配置された第1背景領域と、を含み、前記第2画像領域は、第2絵柄領域と、前記第2絵柄領域の周囲に配置された第2背景領域と、を含み、第1発光スペクトルを有する第1光が照射されたとき、前記第1絵柄領域は、第1色の領域として視認され、前記第1背景領域は、前記第1色とは異なる第2色の領域として視認され、かつ、前記第2絵柄領域および前記第2背景領域は、同色の領域として視認され、前記第1発光スペクトルとは異なる第2発光スペクトルを有する第2光が照射されたとき、前記第1絵柄領域および前記第1背景領域は、同色の領域として視認され、前記第2絵柄領域は、第3色の領域として視認され、かつ、前記第2背景領域は、前記第3色とは異なる第4色の領域として視認され、前記第1色、前記第2色、前記第3色および前記第4色をxy色度図において表した場合、前記第1色に対応する色度座標から前記第2色に対応する色度座標に向かう第1ベクトルの向きと、前記第3色に対応する色度座標から前記第4色に対応する色度座標に向かう第2ベクトルの向きと、が一致している、媒体である。
本発明による媒体において、前記第1絵柄領域、前記第1背景領域、前記第2絵柄領域および前記第2背景領域はそれぞれ、前記基材上に設けられた第1インク、第2インクまたは色相変化インクの少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。この場合、前記第1インクおよび前記色相変化インクは、前記第1光が照射されたときには同色のものとして視認され、前記第2光が照射されたときには異色のものとして視認される、メタメリックペアインクの関係にあり、また前記第2インクおよび前記色相変化インクは、前記第1光が照射されたときには異色のものとして視認され、前記第2光が照射されたときには同色のものとして視認される、メタメリックペアインクの関係にある。
本発明による媒体において、前記色相変化インクは、その反射スペクトルが、ベースラインから下方に凸となっている負のピークであって、ベースラインの高さhの0.5倍以上の深さを有するとともに50nm以下の半値幅を有する負のピークを含むよう、構成されていてもよい。
本発明による媒体において、前記第1インクおよび前記第2インクはいずれも、その反射スペクトルがベースラインの高さhの0.5倍以上の深さを有する負のピークを含まないよう、または、その反射スペクトルが50nm以下の半値幅を有する負のピークを含まないよう、構成されていてもよい。
本発明による媒体において、前記基材上に設けられた前記第1インクを含む領域を第1サブ画素と定義し、前記基材上に設けられた前記第2インクを含む領域を第2サブ画素と定義し、前記基材上に設けられた色相変化インクを含む領域を第3サブ画素と定義する場合、前記第1絵柄領域、前記第1背景領域、前記第2絵柄領域および前記第2背景領域における、前記第1サブ画素、前記第2サブ画素および前記第3サブ画素の含有比率が、互いに異なっていてもよい。
本発明による媒体において、前記第1サブ画素、前記第2サブ画素および前記第3サブ画素の寸法はいずれも、好ましくは10μm〜300μmの範囲内となっている。
本発明による媒体において、前記第1光は、第1白色光源から発光された第1白色光であり、前記第2光は、第2白色光源から発光された第2白色光であってもよい。
本発明による媒体において、前記第1白色光源および前記第2白色光源のうちの少なくともいずれか一方は、三波長形蛍光灯または白色LEDから構成されていてもよい。
本発明は、基材上に画像が形成された媒体の確認方法において、上記記載の媒体を準備する工程と、第1発光スペクトルを有する第1光を前記媒体に照射して、前記第1画像領域の前記第1絵柄領域と前記第1背景領域とが判別され、かつ、前記第2画像領域の前記第2絵柄領域と前記第2背景領域とが判別されないことを確認する工程と、第2発光スペクトルを有する第2光を前記媒体に照射して、前記第1画像領域の前記第1絵柄領域と前記第1背景領域とが判別されず、かつ、前記第2画像領域の前記第2絵柄領域と前記第2背景領域とが判別されることを確認する工程と、を備え、前記第1光を前記媒体に照射したときの、前記第1絵柄領域の色に対応する色度座標から前記第1背景領域の色に対応する色度座標に向かう、xy色度図上の第1ベクトルの向きと、前記第2光を前記媒体に照射したときの、前記第2絵柄領域の色に対応する色度座標から前記第2背景領域の色に対応する色度座標に向かう、xy色度図上の第2ベクトルの向きと、が一致していることを確認する工程をさらに含む、媒体の確認方法である。
本発明によれば、その全容を解明することが困難な画像が形成された媒体を提供することができる。このため、媒体が偽造されることを抑制することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態における媒体を示す平面図。 図2は、図1に示す媒体の画像を拡大して示す平面図。 図3は、図2の画像の第1絵柄領域を拡大して示す平面図。 図4は、図2の画像の第1背景領域を拡大して示す平面図。 図5は、図2の画像の第2絵柄領域を拡大して示す平面図。 図6は、図2の画像の第2背景領域を拡大して示す平面図。 図7(a)(b)(c)はそれぞれ、第1サブ画素、第2サブ画素および第3サブ画素を示す断面図。 図8は、第1白色光の発光スペクトルを示す図。 図9は、第2白色光の発光スペクトルを示す図。 図10は、その他の白色光の発光スペクトルを示す図。 図11は、色相変化インクを含む領域の反射スペクトルを示す図。 図12は、第1インクを含む領域の反射スペクトルを示す図。 図13は、第2インクを含む領域の反射スペクトルを示す図。 図14は、各領域の色相の色度座標を示すxy色度図。 図15(a)(b)(c)(d)は、第1白色光が照射されたときの、第1絵柄領域,第1背景領域,第2絵柄領域および第2背景領域を構成する各サブ画素の色相をそれぞれ示す図。 図16(a)(b)(c)(d)は、第2白色光が照射されたときの、第1絵柄領域,第1背景領域,第2絵柄領域および第2背景領域を構成する各サブ画素の色相をそれぞれ示す図。 図17は、第1白色光が照射されたときの画像を示す平面図。 図18は、第2白色光が照射されたときの画像を示す平面図。
以下、図1乃至図18を参照して、本発明の実施の形態について説明する。はじめに、本実施の形態による媒体10を観察するために用いられる光の例について説明する。
媒体10を観察するために用いられる光としては、例えば、互いに異なる発光スペクトルを有する2種類の白色光が用いられる。例えば、第1発光スペクトルを有する第1白色光として、三波長形蛍光灯から発光された白色光が用いられ、第2発光スペクトルを有する第2白色光として、白色LEDから発光された白色光が用いられる。
図8は、三波長形蛍光灯から発光された第1白色光の第1発光スペクトル41を示す図である。第1発光スペクトル41は、少なくとも3つの波長域でピークを有している。例えば図8に示すように、第1発光スペクトル41は、青色波長域に存在する第1ピーク41aと、緑色波長域に存在する第2ピーク41bと、赤色波長域に存在する第3ピーク41cと、を含んでいる。各ピーク41a,41b,41cはいずれも、その半値幅が10nm程度である急峻なピークとなっている。なお、各ピーク41a,41b,41cの波長や半値幅が特に限られることはなく、後述する色相変化インクの光学特性に応じて、様々なタイプの三波長形蛍光灯が用いられ得る。
図9は、白色LEDから発光された第2白色光の第2発光スペクトル42を示す図である。第2白色光は、上述の第1白色光に比べて、より連続的な波長分布を有する光となっている。例えば図9に示すように、第2発光スペクトル42は、青色波長域に存在する第1ピーク42aと、緑色波長域および赤色波長域にわたって連続的に広がる第2ピーク42bと、を含んでいる。
次に、上述の第1白色光および第2白色光を用いて観察される媒体10について説明する。はじめに図1および図2を参照して、媒体10全体について説明する。
(媒体)
図1は、基材11上に画像12が形成された媒体10の一例を示す平面図であり、図2は、図1に示す媒体10の画像12を拡大して示す平面図である。媒体10は、例えば、商品券などの有価証券として構成されている。なお本実施の形態において、画像とは、特定の情報を示すまたは特定の情報を意味するものに限られることはない。例えば画像とは、図形、文字、模様、パターン、記号、柄、マーク、色彩等を広く含む概念である。
本実施の形態においては、画像12が、媒体10の真偽を判別するための真偽判別用画像として機能する。この画像12は、図2に示すように、第1画像領域20および第2画像領域25を有している。第1画像領域20は、「O」という画像に対応した輪郭を有する第1絵柄領域21と、第1絵柄領域21の周囲に配置された第1背景領域22と、を含んでいる。第2画像領域25は、「K」という画像に対応した輪郭を有する第2絵柄領域26と、第2絵柄領域26の周囲に配置された第2背景領域27と、を含んでいる。後述するように、各領域21,22,26,27はそれぞれ、基材11に設けられた第1インク、第2インクまたは色相変化インクの少なくともいずれか1つを含んでいる。
なお図2において、第1画像領域20と第2画像領域25との間の境界線15a、第1絵柄領域21と第1背景領域22との間の境界線15b、および第2絵柄領域26と第2背景領域27との間の境界線15cは、便宜上描かれているものであり、常に視認されるとは限らない。また図2において、第1画像領域20と第2画像領域25とが互いに接している例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1画像領域20と第2画像領域25とは互いに離間していてもよい。
(絵柄領域および背景領域の構成)
次に、各領域21,22,26,27の具体的な構成について説明する。はじめに図3を参照して、第1絵柄領域21の構成について説明する。図3は、図2の画像12の第1絵柄領域21を拡大して示す平面図である。
図3に示すように、第1絵柄領域21は、規則的に並べられた複数の基本画素21aを含んでおり、各基本画素21aは、複数のサブ画素を含んでいる。例えば本実施の形態において、第1絵柄領域21の各基本画素21aは4つのサブ画素に区画されており、4つのサブ画素は、図3に示すように、符号Pで表される1つの第1サブ画素Pと、符号Yで表される3つの第2サブ画素Yと、から構成されている。後述するように、第1絵柄領域21に光を照射したときに第1絵柄領域21に現れる色相は、基本画素21aにおける各サブ画素の含有比率によって決定される。従って、基本画素21aは、第1絵柄領域21の色相を決定する上での基本単位であると言える。
図4乃至図6に示すように、第1背景領域22、第2絵柄領域26および第2背景領域27もそれぞれ、第1絵柄領域21と同様に、規則的に並べられた複数の基本画素22a,26a,27aを含んでおり、各基本画素22a,26a,27aはそれぞれ、4つのサブ画素を含んでいる。第1絵柄領域21の場合と同様に、第1背景領域22、第2絵柄領域26および第2背景領域27各々の色相も、各基本画素22a,26a,27aにおける各サブ画素の含有比率によって決定される。また本実施の形態において、各領域21,22,26,27は、各領域21,22,26,27における各サブ画素の含有比率が互いに異なるよう、構成されている。例えば、サブ画素として、上述の第1サブ画素Pおよび第2サブ画素Yに加えて第3サブ画素Mがさらに用いられる場合、各領域21,22,26,27における、第1サブ画素P、第2サブ画素Yおよび第3サブ画素Mの含有比率は、互いに異なっている。
例えば上述のように、第1絵柄領域21における各サブ画素P,Y,Mの含有比率は、1:3:0となっている。一方、図4に示すように、第1背景領域22における各サブ画素P,Y,Mの含有比率は、1:0:3となっている。また図5に示すように、第2絵柄領域26における各サブ画素P,Y,Mの含有比率は、0:2:2となっている。また図6に示すように、第2背景領域27における各サブ画素P,Y,Mの含有比率は、1:2:1となっている。
(各サブ画素の構成)
次に、各サブ画素P,Y,Mの具体的な構成について、図7(a)(b)(c)を参照して説明する。図7(a)に示すように、第1サブ画素Pは、基材11上に設けられた第1インク33を含む領域として定義される。また図7(b)に示すように、第2サブ画素Yは、基材11上に設けられた第2インク35を含む領域として定義される。また図7(c)に示すように、第3サブ画素Mは、基材11上に設けられた色相変化インク31を含む領域として定義される。なお図7(a)(b)(c)に示す例においては、各サブ画素P,Y,Mを構成する各インク33,35,31が互いに接しないよう設けられている例を示したが、これに限られることはなく、各サブ画素P,Y,Mを構成する各インク33,35,31が互いに接していてもよい。
なお後述するように、第1絵柄領域21および第1背景領域22は、特定の光が照射されたときに同色の領域として視認されるよう、構成されている。同様に、第2絵柄領域26および第2背景領域27も、特定の光が照射されたときに同色の領域として視認されるよう、構成されている。絵柄領域と背景領域とを同色の領域として視認させるためには、絵柄領域と背景領域との間の境界が気づかれにくくなっていることが好ましい。この観点からは、各サブ画素P,Y,Mを構成する各インク33,35,31が互いに接しないよう設けられていることが有利である。
各サブ画素P,Y,Mの寸法tは、例えば10μm〜300μmの範囲内になっており、好ましくは20μm〜150μmの範囲内になっている。これによって、各領域21,22,26,27が視認される際の色相を、各基本画素21a,22a,26a,27aにおける各サブ画素P,Y,Mの含有比率に応じた色相とすることができる。すなわち、各領域21,22,26,27が視認される際の色相を、各サブ画素P,Y,Mの色が混合された結果として得られる色相にすることができる。
各インク33,35,31を基材11に設ける方法が特に限られることはなく、公知の方法が適宜用いられる。例えば、スクリーン印刷法、オフセット印刷法やインクジェット印刷法を用いることができる。
基材11の材料が特に限られることはなく、媒体10により構成する有価証券の種類に応じて適宜選択される。例えば、基材11の材料として、優れた印刷適性および加工適性を有する白色のポリエチレンテレフタレートが用いられる。また、証券用紙や紙幣用紙を構成するための紙が基材11として用いられてもよい。基材11の厚みは、媒体10により構成される有価証券の種類に応じて適宜設定される。
[第1インク、第2インクおよび色相変化インク]
次に、各サブ画素P,Y,Mを構成するインク33,35,31について説明する。第1インク33および色相変化インク31は、上述の第1白色光が照射されたときには同色のものとして視認され、上述の第2白色光が照射されたときには異色のものとして視認されるよう、構成されている。すなわち第1インク33および色相変化インク31は、メタメリックペアインクの関係にある。また第2インク35および色相変化インク31は、上述の第1白色光が照射されたときには異色のものとして視認され、上述の第2白色光が照射されたときには同色のものとして視認されるよう、構成されている。すなわち第2インク35および色相変化インク31も、メタメリックペアインクの関係にある。
ここで「同色」とは、肉眼では色の違いを判別できない程度に2つの色の色相が近接していることを意味している。より具体的には、「同色」とは、2つの色の色差ΔE abが20以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは3以下であることを意味している。また「異色」とは、2つの色の色差ΔE abが20よりも大きいことを意味している。ここで色差ΔE abとは、L表色系におけるL、aおよびbに基づいて算出される値であり、肉眼で観察された場合の色の相違に関する指標となる値である。なお、L表色系におけるL、aおよびbや、XYZ表色系における三刺激値X、YおよびZは、光のスペクトルなどに基づいて算出される。またL、aおよびbと三刺激値X、Y、Zとの間には、周知の変換式に従う関係が成立している。
上記の三刺激値は、例えば分光光度計、色差計、測色計、色彩計、色度計等の計測器を用いることにより計測され得る。これらの計測器のうち分光光度計は、各波長の分光反射率を求めることができるので、三刺激値を精度良く計測することができ、このため色差の解析に適している。
色差ΔE abを算出するためには、例えば、はじめに、比較する2つのインクからの光を分光光度計によって計測し、その結果に基づいて、各インクの三刺激値X、Y、Z、またはL、a、bを算出する。次に、各インクにおけるL、a、bの差ΔL、Δa、Δbから、以下の式に基づいて色差を算出する。
Figure 0006146654
以下、各インク31,33,35の反射スペクトルについて説明する。図11は、色相変化インク31の反射スペクトルを示す図であり、図12は、第1インク33の反射スペクトルを示す図であり、図13は、第2インク35の反射スペクトルを示す図である。各反射スペクトルは、基準となる物体からの反射光と、各インク31,33,35からの反射光との強度比を、分光光度計を用いて測定することにより得られるものである。基準となる物体としては、通常、標準白色板が用いられる。図11乃至図13において、縦軸に示すRが、基準となる物体からの反射光と、インクからの反射光との強度比を意味している。なお各インク31,33,35からの反射光には、各インク31,33,35によって反射された光だけでなく、基材11によって反射された光や、必要に応じて設けられるその他の層によって反射された光も含まれている。従って、図11乃至図13に示す反射スペクトルは、各インク31,33,35および対応する基材11やその他の層を含む領域における反射スペクトルであると言える。
図11に示すように、色相変化インク31の反射スペクトル32は、緑色波長域に存在し、ベースライン32eから下方に凸となっている負のピーク32bを含んでいる。この負のピーク32bは、以下の特徴(1)および(2)を満たしている。
(1)ベースラインの高さhの0.5倍以上の深さdを有していること。
(2)50nm以下の半値幅wを有していること。
なお、負のピーク32bのベースライン32eを決定する方法が特に限られることはなく、スペクトル解析における一般的な手法が用いられる。例えば、負のピーク32bの波長よりも長波長側の波長域における反射の最大値、および、負のピーク32bの波長よりも短波長側の波長域における反射の最大値を結ぶ線がベースライン32eとして描かれる。また、ベースライン32eを決定する際に解析対象となる波長範囲が制限されてもよい。例えば、負のピーク32bの波長から長波長側にsnm広がる範囲内における反射の最大値、および、負のピーク32bの波長から短波長側snm広がる範囲内における反射の最大値を結ぶ線がベースライン32eとして描かれてもよい。sの値は、求められる色相変化の程度などに応じて適宜定められるが、例えば50となっている。
以下、上述の特徴(1)および(2)を満たす負のピーク32bの作用について説明する。
上述のように、第1白色光の第1発光スペクトル41は、緑色波長域に存在する急峻な第2ピーク41bを有している。従って、第1白色光が色相変化インク31に照射された場合、色相変化インク31によって反射される前後で、第1白色光に含まれる緑色成分の強度が大きく低下し、この結果、第1白色光の色相が大きく変化する。具体的には、反射の前後で第1白色光の色相が白色から桃色に変化する。以下の説明において、色相変化インク31を含む領域に対して第1白色光が照射されたときに現れる色相のことを桃色Pとも称する。
一方、第2白色光の第2発光スペクトル42の第2ピーク42bは、緑色波長域および赤色波長域にわたって連続的に広がっている。すなわち、第2発光スペクトル42の第2ピーク42bの幅は、色相変化インク31の負のピーク32bの幅よりも十分に広くなっている。このため、第2白色光が色相変化インク31に照射され、これによって色相変化インク31の負のピーク32bの分だけ第2白色光に含まれる緑色成分の強度が低下したとしても、色相変化インク31の負のピーク32bが第2白色光の色相に与える影響は、第1白色光の場合に比べて小さい。この結果、色相変化インク31による反射の前後で、第2白色光の色相は例えば白色から黄色に変化する。以下の説明において、色相変化インク31を含む領域に対して第2白色光が照射されたときに現れる色相のことを黄色Yとも称する。
このように本実施の形態によれば、色相変化インク31の反射スペクトル32が、上述の特徴(1)および(2)を満たす負のピーク32bを含んでいるので、色相変化インク31を含む領域の色相を、照射される光のスペクトルに応じて変化させることができる。以下の説明において、色相変化インク31を含む領域であって、その反射スペクトルが上述の特徴(1)および(2)を有する負のピークを備える領域のことを、色相変化領域とも称する。本実施の形態においては、色相変化インク31を含んでいる第3サブ画素Mが、色相変化領域となっている。
好ましくは、色相変化インク31は、第1白色光の第1発光スペクトル41に含まれるピーク41a,41b,41cのいずれかのピーク波長に一致または近接するピーク波長を有し、かつ上述の特徴(1)および(2)を満たす負のピークを含むよう、構成または選択される。これによって、第1白色光に対する色相変化インク31の色相変化効果をより大きくすることができる。なお図11に示すように、色相変化インク31は、緑色波長域に存在する負のピーク32b以外にも、青色波長域に存在する負のピーク32aや赤色波長域に存在する負のピーク32cなどのその他の負のピークを含んでいてもよい。これらの負のピーク32a,32cは、上述の特徴(1)および(2)を満たしていてもよく、若しくは満たしていなくてもよい。
色相変化インク31としては、公知の様々な色相変化インクを適宜用いることができる。例えば、照射される白色光のスペクトルに応じて桃色または黄色を示すことができる色相変化インクとしては、Stardust Materials LLC;の「CR8」というインクを挙げることができる。
次に第1インク33および第2インク35について説明する。図12に示すように、第1インク33の反射スペクトル34は、ベースライン34bから下方に凸となっている負のピーク34aを含んでいる。しかしながら、負のピーク34aの半値幅は明らかに50nmよりも大きくなっている。従って第1インク33の反射スペクトル34は、上述の特徴(1)および(2)を満たす負のピークを含んでいないと言える。従って、照射される光のスペクトルに応じた反射光の色相の差が生じにくい。例えば、第1インク33によって反射された第1白色光および第2白色光は、いずれも桃色Pおよび桃色Pとして視認される。また図13に示すように、第2インク35の反射スペクトル36は明らかに、上述の特徴(1)および(2)を満たす負のピークを含んでいない。従って、照射される光のスペクトルに応じた反射光の色相の差が生じにくい。例えば、第2インク35によって反射された第1白色光および第2白色光は、いずれも黄色Yおよび黄色Yとして視認される。以下の説明において、第1インク33や第2インク35のような、照射される光のスペクトルに応じた反射光の色相の差を生じさせにくいインクのことを、すなわち、その反射スペクトルが上述の特徴(1)を有する負のピークを含まない、または、その反射スペクトルが上述の特徴(2)を有する負のピークを含まない、インクのことを、非色相変化インクとも称する。また、非色相変化インクを含む領域のことを、非色相変化領域とも称する。本実施の形態においては、第1インク33を含んでいる第1サブ画素Pおよび第2インク35を含んでいる第2サブ画素Yが、非色相変化領域となっている。
第1インク33および第2インク35としては、色相変化インク31が示す2つの色のいずれか一方の色に対応する公知の様々なインクを用いることができる。
例えば、桃色を示すインクとしては、DICグラフィックス社製の「UV BF D―330 ピンクW」や、「NS D−330 ピンク」を挙げることができる。前者は、UV硬化タイプのインクであり、後者は、酸化重合タイプのインクである。その他にも、桃色を示すインクとして、同社製の「UV BF SG20 紅赤」や「NS AZ 20 紅赤」を用いることもできる。
また、黄色を示すインクとしては、DICグラフィックス社製の「UV BF AZ D−540 イエロー」や、「NS D−540 イエロー」を挙げることができる。前者は、UV硬化タイプのインクであり、後者は、酸化重合タイプのインクである。その他にも、黄色を示すインクとして、同社製の「UV BF SG 24 赤黄」を用いることもできる。
なお、黄色Y、黄色Yおよび黄色Yの色相は、互いにわずかに相違していることがある。同様に、桃色P、桃色Pおよび桃色Pの色相も、互いにわずかに相違していることがある。しかしながら、黄色Y、黄色Yおよび黄色Yの間における色差、並びに、桃色P、桃色Pおよび桃色Pの間における色差は、黄色と桃色との間の色差に比べれば十分に小さいものである。従って、ここでは、黄色Y、黄色Yおよび黄色Yをいずれも一律に黄色とみなし、桃色P、桃色Pおよび桃色Pをいずれも一律に桃色とみなす。
(各領域の色相)
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。はじめに図14乃至図16を参照して、第1白色光または第2白色光が照射されたときの各領域21,22,26,27の色相について説明する。図14は、各領域21,22,26,27の色相の色度座標を示すxy色度図である。
[第1白色光照射時]
はじめに、第1発光スペクトル41を有する第1白色光が照射されたときの各領域21,22,26,27の色相について説明する。図15(a)(b)(c)(d)は、第1白色光が照射されたときの、各領域21,22,26,27の基本画素21a,22a,26a,27aを構成する各サブ画素の色相をそれぞれ示す図である。
上述のように、第1絵柄領域21の基本画素21aは、1つの第1サブ画素Pおよび3つの第2サブ画素Yから構成されている。このため図15(a)に示すように、第1白色光が照射されたとき、基本画素21aを構成する4つのサブ画素のうち、1つのサブ画素には桃色Pの色相が現れ、3つのサブ画素には黄色Yの色相が現れる。この結果、第1絵柄領域21は、各サブ画素の色が混合された結果として得られる橙色の領域として視認される。以下の説明において、桃色のサブ画素と黄色のサブ画素とを1:3の比率で含む領域のことを橙色領域P1Y3とも称する。また、第1白色光が照射されたときに第1絵柄領域21に現れる色相のことを第1色とも称する。
第1背景領域22の基本画素22aは、1つの第1サブ画素Pおよび3つの第3サブ画素Mから構成されている。このため図15(b)に示すように、第1白色光が照射されたとき、基本画素22aを構成する4つのサブ画素のうち、1つのサブ画素には桃色Pの色相が現れ、3つのサブ画素には桃色Pの色相が現れる。この結果、第1背景領域22は、各サブ画素の色が混合された結果として得られる桃色の領域として視認される。以下の説明において、桃色のサブ画素と黄色のサブ画素とを4:0の比率で含む領域のことを桃色領域P4Y0とも称する。また、第1白色光が照射されたときに第1背景領域22に現れる色相のことを第2色とも称する。
第2絵柄領域26の基本画素26aは、2つの第2サブ画素Yおよび2つの第3サブ画素Mから構成されている。このため図15(c)に示すように、第1白色光が照射されたとき、基本画素26aを構成する4つのサブ画素のうち、2つのサブ画素には黄色Yの色相が現れ、2つのサブ画素には桃色Pの色相が現れる。この結果、第2絵柄領域26は、各サブ画素の色が混合された結果として得られる鮭色の領域として視認される。以下の説明において、桃色のサブ画素と黄色のサブ画素とを2:2の比率で含む領域のことを鮭色領域P2Y2とも称する。
第2背景領域27の基本画素27aは、1つの第1サブ画素P、2つの第2サブ画素Yおよび1つの第3サブ画素Mから構成されている。このため図15(d)に示すように、第1白色光が照射されたとき、基本画素27aを構成する4つのサブ画素のうち、1つのサブ画素には桃色Pの色相が現れ、2つのサブ画素には黄色Yの色相が現れ、1つのサブ画素には桃色Pの色相が現れる。この結果、第2背景領域27は、各サブ画素の色が混合された結果として得られる鮭色領域P2Y2として視認される。
上述の桃色領域P4Y0、鮭色領域P2Y2および橙色領域P1Y3の色に対応する色度座標が、図14にそれぞれ符号P4Y0、P2Y2およびP1Y3で表されている。また、上述の第1色に対応する色度座標から上述の第2色に対応する色度座標に向かう第1ベクトル、すなわち符号P1Y3で表される色度座標から符号P4Y0で表される色度座標に向かう第1ベクトルが符号V1で表されている。なお符号P0Y4は、桃色のサブ画素と黄色のサブ画素とを0:4の比率で含む黄色領域の色に対応する色度座標を示している。
上述のように、鮭色領域P2Y2および橙色領域P1Y3はいずれも、桃色のサブ画素と黄色のサブ画素とを所定の比率で含むことにより得られる領域である。従って、xy色度図上において、鮭色領域P2Y2および橙色領域P1Y3の色に対応する色度座標はいずれも、桃色領域P4Y0に対応する色度座標と黄色領域P0Y4に対応する色度座標とを結ぶ直線上に位置している。また、第1ベクトルV1は、桃色領域P4Y0に対応する色度座標から黄色領域P0Y4に対応する色度座標に向かうベクトルと平行になっている。
[第2白色光照射時]
次に、第2発光スペクトル42を有する第2白色光が照射されたときの各領域21,22,26,27の色相について説明する。図16(a)(b)(c)(d)は、第2白色光が照射されたときの、各領域21,22,26,27の基本画素21a,22a,26a,27aを構成する各サブ画素の色相をそれぞれ示す図である。
図16(a)に示すように、第2白色光が照射されたとき、基本画素21aを構成する4つのサブ画素のうち、1つのサブ画素には桃色Pの色相が現れ、3つのサブ画素には黄色Yの色相が現れる。この結果、第1絵柄領域21は、桃色のサブ画素と黄色のサブ画素とを1:3の比率で含む橙色領域P1Y3として視認される。
図16(b)に示すように、第2白色光が照射されたとき、基本画素22aを構成する4つのサブ画素のうち、1つのサブ画素には桃色Pの色相が現れ、3つのサブ画素には黄色Yの色相が現れる。この結果、第1背景領域22は、桃色のサブ画素と黄色のサブ画素とを1:3の比率で含む橙色領域P1Y3として視認される。
図16(c)に示すように、第2白色光が照射されたとき、基本画素26aを構成する4つのサブ画素のうち、2つのサブ画素には黄色Yの色相が現れ、2つのサブ画素には黄色Yの色相が現れる。この結果、第2絵柄領域26は、桃色のサブ画素と黄色のサブ画素とを0:4の比率で含む黄色領域P0Y4として視認される。なお、第2白色光が照射されたときに第2絵柄領域26に現れる色相のことを第3色とも称する。
図16(d)に示すように、第2白色光が照射されたとき、基本画素27aを構成する4つのサブ画素のうち、1つのサブ画素には桃色Pの色相が現れ、2つのサブ画素には黄色Yの色相が現れ、1つのサブ画素には黄色Yの色相が現れる。この結果、第2背景領域27は、桃色のサブ画素と黄色のサブ画素とを1:3の比率で含む橙色領域P1Y3として視認される。なお、第2白色光が照射されたときに第2背景領域27に現れる色相のことを第4色とも称する。
図14において、上述の第3色に対応する色度座標から上述の第4色に対応する色度座標に向かう第2ベクトル、すなわち符号P0Y4で表される色度座標から符号P1Y3で表される色度座標に向かう第2ベクトルが符号V2で表されている。上述のように、色領域P1Y3の色に対応する色度座標は、桃色領域P4Y0に対応する色度座標と黄色領域P0Y4に対応する色度座標とを結ぶ直線上に位置している。従って、第2ベクトルV2は、上述の第1ベクトルV1と平行になっている。また第1ベクトルV1および第2ベクトルV2はいずれも、黄色領域P0Y4に対応する色度座標から桃色領域P4Y0に対応する色度座標に向かっている。すなわち、第1ベクトルV1および第2ベクトルV2は、互いに平行になっているだけでなく、その向きも一致している。
なお上述のように、黄色Y、黄色Yおよび黄色Yの間での色相は互いにわずかに相違していることがあり、また桃色P、桃色Pおよび桃色Pの間での色相も、互いにわずかに相違していることがある。従って、第1ベクトルV1および第2ベクトルV2は、厳密には平行になっていないことも考えられる。従って本実施の形態において、平行とは、黄色Y、黄色Yおよび黄色Yの色相の相違、並びに、桃色P、桃色Pおよび桃色Pの色相の相違に起因する微差の範囲内で、第1ベクトルV1および第2ベクトルV2が互いにほぼ平行に延びていることを意味している。
(確認方法)
次に図17および図18を参照して、媒体10から構成された有価証券が正規のものであるかどうかを確認する方法について説明する。図17は、第1白色光が照射されたときの画像12を示す平面図であり、図18は、第2白色光が照射されたときの画像12を示す平面図である。
[第1白色光照射時]
はじめに、第1発光スペクトル41を有する第1白色光を媒体10に照射する。この場合、複数の基本画素21aから構成された第1絵柄領域21は、第1色の領域として、ここでは橙色領域P1Y3として視認される。一方、第1絵柄領域21の周囲に配置され、複数の基本画素22aから構成された第1背景領域22は、第1色とは異なる第2色の領域として、ここでは桃色領域P4Y0として視認される。この結果、図17に示すように、第1絵柄領域21と第1背景領域22とが判別され、このため、第1画像領域20に「O」という画像が現れる。
複数の基本画素26aから構成された第2絵柄領域26は、鮭色領域P2Y2として視認される。また、第2絵柄領域26の周囲に配置され、複数の基本画素27aから構成された第2背景領域27も、鮭色領域P2Y2として視認される。このように、第1白色光が照射されたとき、第2絵柄領域26および第2背景領域27は同色の領域として視認される。この結果、図17に示すように、第2絵柄領域26と第2背景領域27とは判別されない。すなわち、第2画像領域25に「K」という画像は現れない。
[第2白色光照射時]
次に、第2発光スペクトル42を有する第2白色光を媒体10に照射する。この場合、第1絵柄領域21は、橙色領域P1Y3として視認される。また、第1絵柄領域21の周囲に配置された第1背景領域22も、橙色領域P1Y3として視認される。このように、第2白色光が照射されたとき、第1絵柄領域21および第1背景領域22は同色の領域として視認される。この結果、図18に示すように、第1絵柄領域21と第1背景領域22とは判別されない。すなわち、第1画像領域20に「O」という画像は現れない。
第2白色光が照射されたとき、第2絵柄領域26は、第3色の領域として、ここでは黄色領域P0Y4として視認される。一方、第2絵柄領域26の周囲に配置された第2背景領域27は、第3色とは異なる第4色の領域として、ここでは橙色領域P1Y3として視認される。この結果、図18に示すように、第2絵柄領域26と第2背景領域27とが判別され、このため、第2画像領域25に「K」という画像が現れる。
このように本実施の形態によれば、タイプの異なる2種類の白色光源のいずれが用いられる場合であっても、第1画像領域20および第2画像領域25のいずれか一方の画像を隠し、かつ、第1画像領域20および第2画像領域25のいずれか一方の画像を発現させることができる。このため、画像12のパターンの全容が解明されることを抑制することができる。これによって、媒体10から構成される有価証券が偽造されることを抑制することができる。
また本実施の形態によれば、一般的に用いられている2種類の白色光源を準備することにより、第1画像領域20および第2画像領域25に画像が現れるかどうかを検査することができる。このため、専用光源やフィルタなどの特殊な設備を用いることなく、媒体10が正規のものかどうかを簡易かつ迅速に判別することができる。
また本実施の形態によれば、第1白色光を媒体10に照射したときの、第1絵柄領域21の色に対応する色度座標から第1背景領域22の色に対応する色度座標に向かう、xy色度図上の第1ベクトルV1の向きと、第2白色光を媒体10に照射したときの、第2絵柄領域26の色に対応する色度座標から第2背景領域27の色に対応する色度座標に向かう、xy色度図上の第2ベクトルV2の向きと、が一致している。
この結果、第1画像領域20に画像「O」が現れる際の、第1絵柄領域21の色相と第1背景領域22の色相との間の関係が、第2画像領域25に画像「K」が現れる際の、第2絵柄領域26の色相と第2背景領域27の色相との間の関係に類似したものとなる。すなわち、第1画像領域20に現れる画像「O」が媒体10の利用者に与える色の印象と、第2画像領域25に現れる画像「K」が媒体10の利用者に与える色の印象とは、類似したものとなっている。これによって、画像が現れる領域や画像の色相が白色光源の切替に応じて切り替わることを、媒体10の利用者に気付かれにくくすることができる。このことによっても、画像12のパターンの全容が解明されることを抑制することができる。これによって、媒体10により構成される有価証券が偽造されることをさらに抑制することができる。
また、第1画像領域20および第2画像領域25に現れる画像を確認するだけでなく、第1ベクトルV1の向きと第2ベクトルV2の向きとが一致していることをさらに確認することにより、媒体10から構成される有価証券が正規のものであるかどうかの検査の信頼性をより高くすることができる。
また本実施の形態によれば、各領域21,22,26,27はいずれも、第1インク33を含む第1サブ画素P、第2インク35を含む第2サブ画素Yおよび色相変化インク31を含む第3サブ画素Mを組み合わせることによって構成されている。すなわち本実施の形態によれば、高い偽造防止性を備えた画像12を、1種類の色相変化インクおよび2種類の非色相変化インクを組み合わせることによって構成することができる。このため、高い偽造防止性を備えた媒体10を安価に提供することができる。
(変形例)
なお本実施の形態において、第1白色光を発光する第1白色光源として、三波長形蛍光灯が用いられ、第2白色光を発光する第2白色光源として、白色LEDが用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1白色光源または第2白色光源として、普通形蛍光灯などのその他の白色光源を用いてもよい。参考までに、普通形蛍光灯から発光された白色光の発光スペクトルの例を図10に示す。
また本実施の形態において、媒体10を観察するために用いられる光として、互いに異なる発光スペクトルを有する2種類の白色光が用いられる例を示した。しかしながら、第1光が照射されたときに、第1絵柄領域21および第1背景領域22が異色の領域として視認され、かつ第2絵柄領域26および第2背景領域27が同色の領域として視認され、一方、第2光が照射されたときに、第1絵柄領域21および第1背景領域22が同色の領域として視認され、かつ第2絵柄領域26および第2背景領域27が異色の領域として視認される限りにおいて、第1光および第2光のタイプやスペクトルが特に限られることはない。
また本実施の形態において、各領域21,22,26,27を構成する各サブ画素の色相が、各サブ画素に含まれるインクの反射スペクトルに応じて決定される例を示した。すなわち、各サブ画素に含まれるインクとして、その反射スペクトルに特徴を有するインクが用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、各サブ画素に含まれるインクとして、その蛍光スペクトルに特徴を有するインクが用いられてもよい。
また、各領域21,22,26,27の各基本画素21a,22a,26a,27aに含まれる各サブ画素の数や種類が、上述の例に限られることはない。第1光が照射されたときに、第1絵柄領域21および第1背景領域22が異色の領域として視認され、かつ第2絵柄領域26および第2背景領域27が同色の領域として視認され、一方、第2光が照射されたときに、第1絵柄領域21および第1背景領域22が同色の領域として視認され、かつ第2絵柄領域26および第2背景領域27が異色の領域として視認され、さらに、第1ベクトルV1の向きと第2ベクトルV2の向きとが一致する限りにおいて、各基本画素21a,22a,26a,27aを構成するサブ画素の数や種類を様々に設定することができる。
また本実施の形態において、各領域21,22,26,27がそれぞれ、規則的に並べられた複数の基本画素21a,22a,26a,27aを含む例を示した。しかしながら、各領域21,22,26,27の色相の相を各領域の全域にわたってほぼ均一にすることができ、かつ、各領域間での色相の差を適切に実現することができる限りにおいて、各領域21,22,26,27におけるサブ画素の配置方法が特に限られることはない。例えば、まず、各領域21,22,26,27における各サブ画素の含有比率に応じて、各領域に配置される各サブ画素の数を決め、次に、決められた数の各サブ画素を各領域にランダムに配置してもよい。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
10 媒体
11 基材
12 画像
20 第1画像領域
21 第1絵柄領域
22 第1背景領域
25 第2画像領域
26 第2絵柄領域
27 第2背景領域
31 色相変化インク
33 第1インク
35 第2インク
41 第1発光スペクトル
42 第2発光スペクトル
P 第1サブ画素
Y 第2サブ画素
M 第3サブ画素
V1 第1ベクトル
V2 第2ベクトル

Claims (9)

  1. 基材上に画像が形成された媒体であって、
    前記画像は、第1画像領域および第2画像領域を有し、
    前記第1画像領域は、第1絵柄領域と、前記第1絵柄領域の周囲に配置された第1背景領域と、を含み、
    前記第2画像領域は、第2絵柄領域と、前記第2絵柄領域の周囲に配置された第2背景領域と、を含み、
    第1発光スペクトルを有する第1光が照射されたとき、前記第1絵柄領域は、第1色の領域として視認され、前記第1背景領域は、前記第1色とは異なる第2色の領域として視認され、かつ、前記第2絵柄領域および前記第2背景領域は、同色の領域として視認され、
    前記第1発光スペクトルとは異なる第2発光スペクトルを有する第2光が照射されたとき、前記第1絵柄領域および前記第1背景領域は、同色の領域として視認され、前記第2絵柄領域は、第3色の領域として視認され、かつ、前記第2背景領域は、前記第3色とは異なる第4色の領域として視認され、
    前記第1色、前記第2色、前記第3色および前記第4色をxy色度図において表した場合、前記第1色に対応する色度座標から前記第2色に対応する色度座標に向かう第1ベクトルの向きと、前記第3色に対応する色度座標から前記第4色に対応する色度座標に向かう第2ベクトルの向きとが一致している、媒体。
  2. 前記第1絵柄領域、前記第1背景領域、前記第2絵柄領域および前記第2背景領域はそれぞれ、前記基材上に設けられた第1インク、第2インクまたは色相変化インクの少なくともいずれか1つを含み、
    前記第1インクおよび前記色相変化インクは、前記第1光が照射されたときには同色のものとして視認され、前記第2光が照射されたときには異色のものとして視認される、メタメリックペアインクの関係にあり、
    前記第2インクおよび前記色相変化インクは、前記第1光が照射されたときには異色のものとして視認され、前記第2光が照射されたときには同色のものとして視認される、メタメリックペアインクの関係にある、請求項1に記載の媒体。
  3. 前記色相変化インクは、その反射スペクトルが、ベースラインから下方に凸となっている負のピークであって、ベースラインの高さhの0.5倍以上の深さを有するとともに50nm以下の半値幅を有する負のピークを含むよう、構成されている、請求項2に記載の媒体。
  4. 前記第1インクおよび前記第2インクはいずれも、その反射スペクトルがベースラインの高さhの0.5倍以上の深さを有する負のピークを含まないよう、または、その反射スペクトルが50nm以下の半値幅を有する負のピークを含まないよう、構成されている、請求項3に記載の媒体。
  5. 前記基材上に設けられた前記第1インクを含む領域を第1サブ画素と定義し、前記基材上に設けられた前記第2インクを含む領域を第2サブ画素と定義し、前記基材上に設けられた色相変化インクを含む領域を第3サブ画素と定義する場合、前記第1絵柄領域、前記第1背景領域、前記第2絵柄領域および前記第2背景領域における、前記第1サブ画素、前記第2サブ画素および前記第3サブ画素の含有比率が、互いに異なっている、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の媒体。
  6. 前記第1サブ画素、前記第2サブ画素および前記第3サブ画素の寸法はいずれも、10μm〜300μmの範囲内となっている、請求項5に記載の媒体。
  7. 前記第1光は、第1白色光源から発光された第1白色光であり、
    前記第2光は、第2白色光源から発光された第2白色光である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の媒体。
  8. 前記第1白色光源および前記第2白色光源のうちの少なくともいずれか一方は、三波長形蛍光灯または白色LEDから構成されている、請求項7に記載の媒体。
  9. 基材上に画像が形成された媒体の確認方法において、
    前記媒体の前記画像は、第1画像領域および第2画像領域を有し、
    前記第1画像領域は、第1絵柄領域と、前記第1絵柄領域の周囲に配置された第1背景領域と、を含み、
    前記第2画像領域は、第2絵柄領域と、前記第2絵柄領域の周囲に配置された第2背景領域と、を含み、
    第1発光スペクトルを有する第1光が照射されたとき、前記第1絵柄領域は、第1色の領域として視認され、前記第1背景領域は、前記第1色とは異なる第2色の領域として視認され、かつ、前記第2絵柄領域および前記第2背景領域は、同色の領域として視認され、
    前記第1発光スペクトルとは異なる第2発光スペクトルを有する第2光が照射されたとき、前記第1絵柄領域および前記第1背景領域は、同色の領域として視認され、前記第2絵柄領域は、第3色の領域として視認され、かつ、前記第2背景領域は、前記第3色とは異なる第4色の領域として視認され、
    前記第1色、前記第2色、前記第3色および前記第4色をxy色度図において表した場合、前記第1色に対応する色度座標から前記第2色に対応する色度座標に向かう第1ベクトルの向きと、前記第3色に対応する色度座標から前記第4色に対応する色度座標に向かう第2ベクトルの向きとが一致しており、
    前記媒体の確認方法は、
    前記媒体を準備する工程と、
    第1発光スペクトルを有する第1光を前記媒体に照射して、前記第1画像領域の前記第1絵柄領域と前記第1背景領域とが判別され、かつ、前記第2画像領域の前記第2絵柄領域と前記第2背景領域とが判別されないことを確認する工程と、
    第2発光スペクトルを有する第2光を前記媒体に照射して、前記第1画像領域の前記第1絵柄領域と前記第1背景領域とが判別されず、かつ、前記第2画像領域の前記第2絵柄領域と前記第2背景領域とが判別されることを確認する工程と、を備え、
    前記第1光を前記媒体に照射したときの、前記第1絵柄領域の色に対応する色度座標から前記第1背景領域の色に対応する色度座標に向かう、xy色度図上の第1ベクトルの向きと、前記第2光を前記媒体に照射したときの、前記第2絵柄領域の色に対応する色度座標から前記第2背景領域の色に対応する色度座標に向かう、xy色度図上の第2ベクトルの向きと、が一致していることを確認する工程をさらに含む、媒体の確認方法。
JP2013026939A 2013-02-14 2013-02-14 画像が形成された媒体および媒体の確認方法 Active JP6146654B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013026939A JP6146654B2 (ja) 2013-02-14 2013-02-14 画像が形成された媒体および媒体の確認方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013026939A JP6146654B2 (ja) 2013-02-14 2013-02-14 画像が形成された媒体および媒体の確認方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014156025A JP2014156025A (ja) 2014-08-28
JP6146654B2 true JP6146654B2 (ja) 2017-06-14

Family

ID=51577259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013026939A Active JP6146654B2 (ja) 2013-02-14 2013-02-14 画像が形成された媒体および媒体の確認方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6146654B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10278460A (ja) * 1997-04-09 1998-10-20 Toppan Printing Co Ltd 複製防止物品、物品の真偽判別方法および物品の真偽判別装置
JP3656539B2 (ja) * 2000-09-27 2005-06-08 セイコーエプソン株式会社 ダークイエローインク組成物およびそれを含んでなるインクセット
JP2002046339A (ja) * 2000-08-01 2002-02-12 Toppan Printing Co Ltd Ovd形成体、それを用いた真偽判定方法、及びovd転写箔
JP2009149789A (ja) * 2007-12-21 2009-07-09 National Printing Bureau 変色効果を有するインキ及びその印刷物
JP2012000779A (ja) * 2010-06-14 2012-01-05 Toppan Printing Co Ltd 偽造防止印刷物とその真偽判定方法および偽造防止インキ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014156025A (ja) 2014-08-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8523238B2 (en) Light-emitting medium and method of confirming light-emitting medium
US9452631B2 (en) Light-emitting medium
US9028929B2 (en) Light-emitting medium
US11014390B2 (en) Luminescent medium and method for reading luminescent medium
JP4552052B2 (ja) 多色発光混合物及び多色発光インキ組成物、並びに画像形成物
JP2011178009A (ja) 偽造防止印刷物及び真偽判別方法
JP6146654B2 (ja) 画像が形成された媒体および媒体の確認方法
WO2012018085A1 (ja) 発光媒体および発光媒体の確認方法
JP2016147392A (ja) 偽造防止印刷物及び真偽判別方法
JP2014156024A (ja) 画像が形成された媒体および媒体の確認方法
JP5573469B2 (ja) 発光媒体および発光媒体の確認方法
JP2012037328A (ja) 紫外線照射装置及び検査システム
JP5545545B2 (ja) 発光媒体の真偽判定システムおよび真偽判定方法
JP2012061776A (ja) 潜像画像を有する印刷物
RU2703795C1 (ru) Защитный элемент на основе люминесцентного материала
JP2022108415A (ja) 偽造防止媒体
JP2023178857A (ja) 偽造防止媒体およびその検証方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170421

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170504

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6146654

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150