JP6143430B2 - バイアス補正機能を備えた振動型ジャイロ - Google Patents

バイアス補正機能を備えた振動型ジャイロ Download PDF

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Description

本発明は、振動型ジャイロに関し、特には、MEMS技術によって製造され、バイアス補正機能を備えた振動型ジャイロに関する。
1990年代から急速に発展したいわゆるマイクロマシニング技術によって、例えば、絶縁膜を有するシリコン基板やガラス基板上に接合されたバルクシリコンウェハを、湿式エッチングやドライエッチング等の化学的なエッチングにより処理し、メカニカルなセンサ構造体を形成して、一度のプロセスで大量のセンサ構造を製造する手法が確立されている。このような微小電気機械システム(MEMS)技術によるセンサとしては、加速度センサ及び振動型ジャイロ等があり、例えば自動車、慣性ナビゲーション、デジタルカメラ、ゲーム機他、多くの分野において利用されている。
中でも振動型ジャイロは、一方向に振動する可動物体が回転運動を受けるときに発生するコリオリ加速度を利用している。振動する可動質量体が回転運動を伴うとき、該可動質量体は振動方向及び回転軸方向の双方に直交する方向に作用するコリオリ力を受け、この結果該可動質量体はコリオリ力の作用方向に変位する。該可動質量体は、この方向の変位を可能にするばねにより支持され、該可動質量体の変位量からコリオリ力及びそれを生じさせる角速度の値を検出することができる。可動質量体の変位は、例えば、一方が固定されかつ他方が可動質量体ともに変位可能な一対の平行平板構造又は櫛歯構造を備えた、平行平板型コンデンサ又は櫛歯型コンデンサを使用し、その容量変化から求めることができる。
振動型ジャイロの出力安定性を向上させるための1つの手段として、いわゆる漏れ出力(クワドラチャーエラー)を低減又は排除する手段を設けることが挙げられる。以下に示す先行技術文献には、バイアス安定性改善のために、クワドラチャーエラーを抑制する補正手段を備えた振動型ジャイロが開示されている。
特許文献1には、第1共振器(1)を有し、上記第1共振器(1)が第1および第2の線形発振器(3,4)からなる結合系として設計されており、上記第1発振器(3)が、第1バネ素子(5−5)によって上記コリオリの角速度計の角速度計フレームに取り付けられており、上記第2発振器(4)が、第2バネ素子(6,6)によって上記第1発振器(3)に取り付けられているコリオリの角速度計が開示されている。この角速度計は、上記双方の発振器(3,4)のアライメントを相互に変更することのできる静電場(11’,11’,10−10)を生成し、この静電場は、上記角速度計フレーム(7,7)に対する上記第1バネ素子(5−5)のアライメント角度、および/または、上記第1発振器(3)に対する上記第2バネ素子(6,6)のアライメント角度を変更する定荷重(Gleichkraft)を生成する装置と、コリオリの角速度計の直交バイアスを決定するための装置(45,47)と、上記決定された直交バイアスが最小になるように、上記静電場の強度を上記決定された直交バイアスに応じて制御する制御ループ(55,56,57)とを有する、とされている。
特表2007−513344号公報
特許文献1に記載の角速度計は、基板面に平行なX方向(X1方向)に変位可能となるように4本の折り曲げ梁(第1バネ素子)で第1共振器(第1振動体)を支持し、第1振動体の内側に、基板面に平行かつなX1方向に垂直なY方向(X2方向)に変位可能となるように2本の梁(第2バネ素子)で支持された第2共振器(第2振動体)を設けた構成である。ここで第1振動体がX方向に駆動変位振動されているときに、Z軸回りの角速度が入力されると、コリオリ力に起因して第2振動体にY方向の変位振動が生じ、このY方向の振動変位を検出することでZ軸回りの角速度を求めることができる。なお特許文献1では、その図3に示すように、第1及び第2の振動体を有する構造体が左右に配置され、第1振動体同士が連結バネで結合されており、逆相の駆動振動が行われる。ここで、角速度入力時に第2振動体の逆相変位を検出することにより、角速度に比例した誤差の少ない変位出力を得ることができると解される。
特許文献1に記載の角速度計では、第1振動体がX方向へ互いに逆位相で駆動されるとき、各構成要素の製造ばらつき等による構造的アンバランスにより、内部の第2振動体がコリオリ力の検出方向であるY方向に振動してしまう。この原因は、駆動方向(X方向)と検出方向(Y方向)との直交性が保たれていないこととされており、故に引用文献1では、第2振動体の中央付近に、上記直交性を維持できるように(すなわち振動方向のアライメントを調整するために)励起電極による補正構造を採用している。具体的には、センサ信号処理回路を経て得られるバイアス出力電圧に応じた補正用のDC電圧を励起電極に加えることで、静電力により上記アライメントが補正される。但し、引用文献1では、第1振動体の駆動振動によって、その振動体内部に懸架されている第2振動体も、第1振動体と同量だけX方向に励振されるため、製造ばらつきを伴う構造では、Y方向変位を検出するための検出用固定電極とのギャップすなわち形成容量が変化してしまう。従って引用文献1の構造は、アライメント誤差がなく直交性が維持されているという理想的状況でも、不安定なバイアス発生要因を内包するものとなっており、補正誤差の要因となっている。
さらに特許文献1には、直交バイアスを補償する方法が記載されており、具体的には、直交性が保持されていない場合に発生する直交バイアス成分をリファレンスとして、励起電極に加えるDC電圧を決定するクローズドループ方式が記載されている。しかしながら、入力角速度Ωが交流(AC)的である場合は、振動型ジャイロの原理として、直交性が保持されていても直交バイアスは発生するため、直交バイアス成分をリファレンスとしたクローズドループ方式では、適切な補償ができない可能性がある。
そこで本発明は、容量検出型の振動型ジャイロにおいて、検出質量体が駆動質量体と弾性的に分離されており、駆動質量体の駆動振動によって検出質量体が駆動変位相当の変位を伴わない構造を有し、かつ、角速度がゼロであるときに製造ばらつきに起因する構造的非対称性により発生する検出質量体の変位(クワドラチャーエラー)を相殺する構造を有し、さらにバイアス値の補正手段を有する振動型ジャイロを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本願第1の発明は、第2の支持梁により支持基板に固定され、角速度により発生するコリオリ力よって平面に直交する軸線回りに回転励振されるように構成された検出質量体と、前記平面内の一方向に駆動振動できるように、前記検出質量体の内側に第1の支持梁によって懸垂支持された左右の駆動質量体と、を備えた振動型ジャイロであって、前記左右の駆動質量体は、互いに逆相で振動する逆相振動モードを有するように、前記駆動振動の方向に弾性を有する連結ばねによって互いに連結され、前記検出質量体は、前記左右の駆動質量体の駆動振動によっては前記駆動振動の方向に励振されないように構成され、角速度が入力されていないときに、前記左右の駆動質量体の駆動振動により前記検出質量体に作用する回転トルクを打ち消すために、前記駆動振動のモニタ出力の位相に基づいて印加されたAC電圧によって静電力を生じさせる補正用電極を、前記検出質量体に隣接させて設けた、振動型ジャイロを提供する。
第2の発明は、第1の発明において、前記振動型ジャイロのクワドラチャーエラー又は直交バイアス値を抑制するためのAC電圧振幅と位相値データを、前記振動型ジャイロの使用温度と関連付けて格納するメモリと、前記振動型ジャイロの温度を測定する温度センサと、を設け、前記温度センサの測定値と前記メモリに格納されたAC電圧振幅と位相値データとに基づいて、前記補正用電極に印加するAC制御電圧の振幅を調整するための補正信号を作成する補正信号調整部を設けた、振動型ジャイロを提供する。
第3の発明は、第2の支持梁により支持基板に固定され、角速度により発生するコリオリ力よって平面に直交する軸線回りに回転励振されるように構成された検出質量体と、前記平面内の一方向に駆動振動できるように、前記検出質量体の内側に第1の支持梁によって懸垂支持された左右の駆動質量体と、を備えた振動型ジャイロであって、前記左右の駆動質量体は、互いに逆相で振動する逆相振動モードを有するように、前記駆動振動の方向に弾性を有する連結ばねによって互いに連結され、前記検出質量体は、前記左右の駆動質量体の駆動振動によっては前記駆動振動の方向に励振されないように構成され、角速度が入力されていないときに、前記左右の駆動質量体の駆動振動により前記検出質量体に作用する回転トルクを打ち消すために、印加されたDC電圧によって静電力を前記駆動質量体に対して作用させるように構成された補正用電極を、前記駆動質量体に隣接させて設けた、振動型ジャイロを提供する。
第4の発明は、第3の発明において、前記補正用電極は、前記左右の駆動質量体の駆動振動の方向について互いに反対方向に延びる対の櫛歯を備え、前記左右の駆動質量体は、前記補正用電極の対の櫛歯にそれぞれ対向するように構成された櫛歯構造を有する、振動型ジャイロを提供する。
第5の発明は、第4の発明において、前記補正用電極は、前記左右の駆動質量体の各々の内側であって、前記検出質量体の回転中心から最も離れた前記左右の駆動質量体の各々の部位に近接して固定配置される、振動型ジャイロを提供する。
第6の発明は、第3〜第5のいずれか1つの発明において、前記振動型ジャイロのクワドラチャーエラー又は直交バイアス値を抑制するためのDC電圧データを、前記振動型ジャイロの使用温度と関連付けて格納するメモリと、前記振動型ジャイロの温度を測定する温度センサと、を設け、前記温度センサの測定値と前記メモリに格納されたDC電圧データとに基づいて、前記補正用電極に印加するDC制御電圧の振幅を調整するための補正信号を作成する補正信号調整部を設けた、振動型ジャイロを提供する。
本発明によれば、左右の駆動質量体の駆動振動により検出質量体が直接駆動されない構造において、構造的アンバランスによる検出質量体の検出方向の回転変位を相殺する補正用電極を設けることにより、製造ばらつき等に起因する構造的非対称性により発生する漏れ出力(クワドラチャーエラー)を排除又は抑制することができる。より具体的には、駆動質量体の構造的・力学的非対称性に起因する回転変位振動を、検出質量体に隣接配置した補正用電極に適切な位相のAC電圧を印加するか、駆動質量体に隣接配置した補正用電極にDC電圧を印加することにより生じる静電力により、角速度入力がゼロのときのバイアス出力を低減でき、ジャイロとしての安定性を飛躍的に向上させることができる。
補正用電極を、駆動振動方向について互いに反対側に延びる櫛歯電極を有した構造とすることにより、対向する櫛歯間のオーバーラップ長の影響を受けずに的確な補正用静電力を生じさせることができる。さらに、補正用電極を駆動質量体の内側でかつ、検出質量体の回転中心から比較的離れた領域に配置することにより、少ない数の櫛歯であっても高い補正量静電力を得ることができる。
ジャイロの使用温度に応じた最適な補正信号を送るためのデータを予めメモリに記憶しておき、さらにジャイロの使用温度を測定する温度センサを用いて得られた測定温度とメモリ内のデータとに基づいて補正用電極に印加するAC電圧又はDC電圧の調整を行うことにより、使用温度に応じてクワドラチャーエラー又は直交バイアス値をより適切に抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係る振動型ジャイロを示す平面図である。 図1のジャイロのII−II線に沿う断面図である。 図1のジャイロのIII−III線に沿う断面図である。 検出変位と、検出変位に直交する位相で検波された変位と、それらの比とを任意単位で縦軸に示し、入力角速度を横軸に示すグラフである。 図1に示したジャイロにおける、駆動変位により生じるクワドラチャーエラーの位相の周波数特性の測定結果と、検出用電極に静電力を直接印加したときの検出変位の位相の周波数特性の測定結果とを示すグラフである。 図5を補足的に説明する図であり、駆動速度位相に対する検出変位の位相遅れを示すグラフある。 図1のジャイロにおいて使用される、検出系回転振動を抑制するためのフィードバック系回路を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る振動型ジャイロを示す平面図である。 図8のジャイロの左側の駆動質量体内部の補正用電極の詳細を示す平面図である。 図8のジャイロにおいて使用される、検出系回転振動を抑制するためのフィードバック系回路を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る振動型ジャイロの、左側の駆動質量体内部の補正用電極の詳細を示す平面図である。 図11のジャイロにおいて使用される、検出系回転振動を抑制するためのフィードバック系回路を示すブロック図である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る振動型ジャイロ1の基本構造を示す平面図であり、図2及び図3はそれぞれ、図1のII−II線及びIII−III線に沿った切断面を示す断面図である。
各図において、参照符号2はガラス等の絶縁材料からなる支持基板を示しており、振動型ジャイロ1の他の構造部材はシリコンの単結晶から作製される。図1に示す振動型ジャイロにおいて、支持基板2の上に、シリコンの単結晶からなる左右の駆動質量体4及び6(左側を4とする)の各々が、Y方向に延びる少なくとも1つ(図示例では4つ)の駆動支持梁8及び10に支持される。駆動支持梁8及び10は、駆動質量体4及び6が基板2の面内方向かつ左右方向である駆動方向(X方向)に可動となるように、その剛性が他方向の剛性に比べ低くなるように構成されている。また左右の駆動質量体4及び6は、弾性結合要素である中央連結ばね12により互いに結合されている。
駆動質量体4及び6に接続されていない駆動支持梁8及び10の他端は、駆動質量体4及び6を囲繞するように設けられた略リング形状の検出質量体14に接続されている。検出質量体14は、少なくとも1つ(図示例では4つ)の検出支持梁16に支持され、各支持梁16の他端は基板2に接合された周辺部アンカー18に接続されている。なお図中において、黒く塗り潰した部分は基板2に固定されている部分を示し、他の部分(白抜き等)は基板に固定されていない又は可動部分を示す。
検出質量体14を支持する検出支持梁16は、基板2の面に垂直なZ方向回りに回転振動が可能となるように、その回転方向の剛性が他方向の剛性に比べ低くなるように構成されている。なおこの場合、図示例の中央連結ばね12は上下各3つの梁からなり、上下それぞれにおける3つの梁のうちの中央の梁が、基板2の中央部に固定された中央アンカー20に接続されている。このように中央連結梁12の中央部の梁を中央アンカー20に固定することにより、Z方向の共振モード周波数を向上させることができ、外力による不要なZ方向変位を抑制できる。なお、断面図2及び断面図3に示すように、駆動質量体4及び6、駆動支持梁8及び10、中央連結梁12、検出質量体14、並びに検出支持梁16は、基板2と所定の間隔を有して対向配置されている。
図1に示すように、左側の駆動質量体4は、略矩形の枠状部材であり、その外側寄りの側(中央に遠い側)から中央側に向けて延びる櫛歯状の電極22を有し、これに対向する左側駆動用櫛歯固定電極24が基板2に固定配置されており、これにより左側の質量駆動体4を左右方向(X方向)に駆動振動させることができる。同様に、右側の駆動質量体6は、略矩形の枠状部材であり、その外側寄りの側(中央に遠い側)から中央側に向けて延びる櫛歯状の電極26を有し、これに対向する右側駆動用櫛歯固定電極28が基板2に固定配置されており、これにより右側の質量駆動体6を左右方向(X方向)に駆動振動させることができる。
左側の駆動質量体4は、その中央寄りの側から反中央側に向けて延びる櫛歯状の電極30を有し、これに対向する左側駆動モニタ用櫛歯固定電極32が基板2に固定配置されており、これにより左側の駆動質量体4の変位量を測定できる。また右側の駆動質量体4は、その中央寄りの側に設けられたフレーム34の反中央側から中央側に向けて延びる櫛歯状の電極36を有し、これに対向する右側駆動モニタ用櫛歯固定電極38が基板2に固定配置されており、これにより右側の駆動質量体6の変位量を測定できる。
ここで、振動型ジャイロ1にZ軸回りの角速度が入力された場合、検出質量体14とともに左右の駆動質量体も回転振動するため、左右の駆動質量体に設けた櫛歯電極30及び36も回転変位し、駆動モニタ用櫛歯電極32及び38との位置関係が変化し、それに伴い対向する櫛歯間の容量も変化してモニタ出力に影響する。従って上述の左右駆動質量体のモニタ機構(すなわち櫛歯電極30、32、36及び38)は、検出質量体14の中央に可能な限り近い位置に設けることが好ましい。
また図1からわかるように、左側の駆動質量体4におけるモニタ機構すなわち櫛歯電極30及び32と、右側の駆動質量体6におけるモニタ機構すなわち櫛歯電極36及び38とは、左右対称(Y軸に関して対称)とはなっていない。これは、左右のモニタ機構をいわゆる差動式とするためであり、具体的に言えば、左右の駆動質量体が中央側に移動したときは左側のモニタ機構では対向する櫛歯間の距離が拡大し、逆に右側のモニタ機構では対向する櫛歯間の距離が縮小する。駆動用櫛歯固定電極24及び28に駆動AC電圧が印加されると、周囲に存在する浮遊容量によってカップリング電流としてモニタ用櫛歯電極に流れ、不要なモニタ出力として現れることがあるが、このような影響を上記差動式の構成によって排除又は抑制することができる。
また上述のように左右のモニタ電極を左右対称の構造としなかったことにより、左右の駆動質量体のモーメントに差異が生じるので、図1に示すように、左側の質量駆動体4にもフレーム34と左右対称となるフレーム40を設け、さらに左右の駆動質量体が左右対称構造となるように、電圧印加されないダミー櫛歯電極42を設けることが好ましい。
図1に示すように、検出質量体14は径方向外側に延びる櫛歯状の電極44を有し、これに対向する検出モニタ用櫛歯固定電極46及び48が基板2に固定配置されている。詳細には、X−Y平面の第1象限(図1の右上部)の領域に、該第1象限内の櫛歯電極44に対向する検出モニタ用櫛歯固定電極46が固定配置され、X−Y平面の第2象限(図1の左上部)の領域に、該第2象限内の櫛歯電極44に対向する検出モニタ用櫛歯固定電極48が固定配置される。さらに、検出モニタ用櫛歯固定電極46及び48は、差動式モニタ機構を構成しており、具体的に言えば、検出質量体14がZ軸回りに時計方向に回転したときは、第1象限内では対向する櫛歯間の距離が拡大し、逆に第2象限内では対向する櫛歯間の距離が縮小する。このような構成により、検出質量体の回転駆動に起因するノイズを相殺することができ、より高精度の測定を行うことができる。
またX−Y平面の第3象限(図1の左下部)内及び第4象限(図1の右下部)内には、それぞれ、検出質量体14の櫛歯電極44に対向する第1の補正用櫛歯電極50及び第2の補正用櫛歯電極52が基板2に固定配置される。該補正用櫛歯電極の形状自体は上述の検出モニタ用櫛歯固定電極と同等でよいが、その機能はクワドラチャーエラー(クワドラチャー変位)の相殺である。これについては後述する。
本発明に係る振動型ジャイロは、以下のようなマイクロマシニングプロセスを適用して作製することができる。
先ず、ガラス支持基板2とジャイロの可動部材との間に所定の間隙(図2、図3参照)が形成されるように、RIE(反応性イオンエッチング)装置等を利用したドライエッチング処理をシリコン基板に施す。但し、ドライエッチングされてはいけない領域として、間隙を形成する部分以外については、半導体フォトリソグラフィ技術等を適用して、例えばレジストマスクを予め形成しておく。
次に、ガラス支持基板とシリコン基板とを陽極接合手法等により接合する。この段階で、シリコン基板側から研磨を行い、該シリコン基板を所定の厚さにするとともに、ボンディング用パッドとして必要とされる領域に、Cr&Au等の導電性メタルの選択的スパッタリングを行い、電極パッド(図示せず)を形成する。
さらに、接合されたシリコン基板の表面側(研磨側)に、フォトレジスト等のマスク材料を利用して、図1の平面図で示されるレジストパターンを、フォトリソグラフィ技術を利用して作製する。この場合も、エッチングされてはいけない領域がレジストマスクにより保護される。
次に、RIE装置等を利用したドライエッチングにより、シリコン基板の厚さ方向に貫通エッチングを行う。以上のようなマイクロマシニング技術を適用した製造プロセスにより、振動型ジャイロの基本構造を作製することができる。
このようにジャイロを構成する材料として必要なものはシリコン基板及びガラス基板のみであり、シリコン基板とほぼ同一の線膨張係数を有するガラス材料を使用することで、温度変化に対して構造的ひずみ(熱ひずみ)や応力(熱応力)が発生しにくくなり、構造的に安定かつ特性的にも優れた振動型ジャイロが提供可能となる。
次に、振動型ジャイロの動作について説明する。例えば、X軸方向に速度Vxで振動する質量Mの検出質量体にZ軸回りの回転(回転角速度Ωz)が加わった場合に生じるY軸方向のコリオリ力Fyの絶対量は、
Fy=2ΩzMVx
で表される。このため、コリオリ力Fyによる該検出質量体の変位を検出することで角速度を検出する振動型ジャイロでは、駆動質量体を速度Vxで励振させる必要がある。このための方式として、例えば静電力によるコームドライブ方式が利用される。
左側駆動質量体4と左側駆動用櫛歯電極24との間、及び右側駆動質量体6と右側駆動用櫛歯電極28との間に、DC電圧VDCとAC電圧VACとの和を印加すると、VACの電圧周期と等しい駆動力が発生する。一方、左右の駆動質量体4及び6は弾性の中央連結ばね12により互いに連結されているので、互いにX方向に近づき又は離れる、いわゆる逆相振動の共振モードを有する。従って、VACの周波数をこの逆相振動モードの共振周波数と一致させて振動させることで、駆動質量体4及び6は、互いに接離する逆相振動を呈する。この振動の速度Vxは、左右の駆動モニタ用櫛歯電極32及び38により、静電容量変化として電気回路を通じて検出され、駆動振動振幅を一定にするためのAGC制御(Auto Gain Control)に利用される。
左右の駆動質量体4及び6が上記のようにX方向に逆相振動する場合、角速度Ωzが図1の紙面に垂直な方向(Z方向)に作用すると、左右の駆動質量体には逆相のコリオリ力FyがY方向に生じる。このコリオリ力によって検出質量体14にはZ軸回りの回転トルクが作用し、検出質量体14はZ軸回りに回転変位振動する。この結果、検出質量体14に設けた櫛歯電極44と第1及び第2の検出モニタ用固定櫛歯電極46及び48との間の静電容量が差動で変化し、その差動容量変化を電気的に読み出し、後述する位相検波回路で処理を行うことで、角速度Ωzを検出することができる。
図1に示す振動型ジャイロは、特許文献1に示したような構造のものとは異なり、左右の駆動質量体の駆動振動によって検出質量体が類似の振幅で振動(励振)するものではない。詳細には、特許文献1では、第1発振器(駆動質量体)の駆動振動により第2発振器(検出質量体)が駆動質量体と同程度に変位し、さらに検出質量体は固定電極と挟ギャップを形成して対向配置され、検出用の静電容量を形成している。このような構造では、ジャイロの製造プロセス、特にシリコンエッチングの誤差等により、上記狭ギャップにばらつきが生じ、左右検出質量体の共振周波数が異なることからも、駆動振動による容量変化によってクワドラチャーエラー(漏れ出力)が発生する。これに対し本実施形態では、駆動振動と検出振動とは実質的に分離されているため、角速度入力がないときの漏れ出力を大きく低減することができ、漏れ出力によるバイアス値やその変動を抑制することができる。
本実施形態では、従来技術に関して述べたような要因に基づくクワドラチャーエラーは大きく抑制されるが、それでも尚、各構成要素の製造ばらつき等により、左右の駆動質量体4及び6の振動方向や駆動力の発生方向が、X方向から僅かにずれる場合がある。X−Y平面内でこのずれが生じると、検出質量体14を回転振動させようとするトルクが生じ、結果として(角速度が与えられていないときに)クワドラチャーエラーが発生する。そこで本願発明では、この回転トルクを相殺する逆トルクを検出質量体14に与えるために、検出質量体14に隣接させて設けた第1の補正用櫛歯電極50及び第2の補正用櫛歯電極52を利用する。
詳細には、第1の補正用櫛歯電極50及び第2の補正用櫛歯電極52にAC電圧を印加して静電力(静電引力)を発生させることにより、角速度入力がゼロのときに発生する検出質量体14の漏れ回転変位を相殺することができる。なお図1に示すように、本実施形態では第3象限(左下)及び第4象限(右下)にそれぞれ補正用櫛歯電極を設けているが、該補正用櫛歯電極にAC電圧を印加したときに、第3象限内では反時計回り、逆に第4象限内では時計回りのトルクが発生するように補正用櫛歯と検出質量体の櫛歯との位置関係が規定されており、これにより検出質量体の両方向の回転変位振動を効率よく抑制できるようになっている。
図4は、駆動系の逆相の振動周波数fxと検出系の共振周波数frとの差Δfが75Hzであり、検出方向振動のQ値(共振特性の鋭さを示すクオリティファクター)が60であるときの、検出変位Upと、Upに直交する位相で検波された変位Uq(直交バイアス成分)と、それらの比Uq/Upとを任意単位(a.u.)で縦軸に示し、入力角速度Ωを横軸に示すグラフであり、要するにUp、Uq及びUq/Upの周波数依存性をシミュレーションした例を示している。図4に示すように、角速度周波数がゼロ以外のときはUq、Uq/Upはゼロとはならないことから、故に特許文献1に記載のBQ値(直交バイアス成分)をリファレンスとして補正量を求める方式は補正誤差を生じることがわかる。このため、実使用時の直交バイアスをリファレンスとするクワドラチャー補正は不適切であり、角速度Ωがゼロであるときの直交バイアス成分を最小化することが適切である。
一方で、補正用電極50及び52に印加するAC制御電圧に関して、発生しているクワドラチャーエラー(変位振動)を相殺するためには、発生しているトルクに対して、同じ振幅かつ逆相のトルクを与える必要がある。
図5は、図1に示した構造のMEMSジャイロにおける、駆動変位により生じるクワドラチャーエラー(検出方向の変位振動)の位相の周波数特性(駆動変位基準)の測定結果54(四角のプロット点で図示)と、検出用電極に静電力を直接印加したときの検出変位の位相の周波数特性(駆動静電力基準)の測定結果56(三角のプロット点で図示)とを示すグラフである。図5からわかるように、駆動変位に対する検出系の応答変位の位相遅れ(グラフ54)と、検出振動の直接励起による検出系の応答変位の位相遅れ(グラフ56)とはほぼ一致しており、すなわち駆動変位振動と同位相のトルクで検出系の励起振動(クワドラチャーエラー)が生じていることがわかる。
なお図5は、駆動系の逆相共振周波数fxと検出系の共振周波数frとの差が数Hz以内(fx≒fr)であり、位相遅れΦが90度に近い例を示しているが、発明者らは両周波数が比較的乖離している場合にも同様の結果が得られることを確認しており、発生しているトルクは、駆動振動変位の最大点で最大となる。従ってクワドラチャーエラーを適切に補正するためには、駆動変位のモニタ信号位相を用いて補正することが好ましい。
図6は、このことを補足的に説明する図であり、駆動速度位相(コリオリ力の位相)に対する検出変位の位相遅れΦ(つまり駆動速度位相をゼロとしたときの検出変位の位相)を示すグラフである。図6からわかるように、駆動振動周波数fxと検出系共振周波数frとの大小関係によって、位相遅れΦが異なる。詳細には、fx<frのときはΦ=Φ1<90°であり、fx>frのときはΦ=Φ2>90°となる。なお駆動変位のモニタ信号の位相と駆動速度位相とは90°のずれがあるため、fxとfrとが異なる場合であっても、クワドラチャーエラーは、コリオリ力に依存した検出変位と90°の位相差を有することになる。
図7は、図1に示した振動型ジャイロに適用可能な、検出系回転振動を抑制するためのフィードバック系回路を示すブロック図である。デジタル制御系に入る信号はADC(アナログ/デジタル変換器(図示省略)を通じて入力される。駆動系制御部(図示例では駆動系制御回路)60(PLL(Phase Locked Loop)&AGC)が駆動用櫛歯電極24及び28に関連付けられており、第1CV変換器62がモニタ用櫛歯固定電極32及び38に関連付けられている。駆動系制御回路60及び第1CV変換器62により、駆動質量体4及び6が、規定された逆相周波数及び振幅で駆動制御される。検出質量体14の回転変位に伴う櫛歯電極44と検出モニタ用櫛歯固定電極46及び48との間の容量変化は、第2CV変換器64によって電圧に変換され、位相検波部(図示例では位相検波回路)66において検出系応答の駆動振動周波数での位相で位相検波(位相調整)される。この検波後の出力はローパスフィルタ(LPF)68によって帯域周波数制限がなされ、角速度信号(レート)として出力される。このようにして、角速度Ωに対応した出力が得られる。
モニタ用櫛歯固定電極32及び38から駆動系制御回路60に送られた情報は、駆動変位信号として補正信号調整部70に送られる。補正信号調整部70は駆動振動のモニタ出力の位相に基づいて該駆動変位信号を調整し、調整された駆動変位信号(補正信号)により、補正用電極50及び52に印加されるAC制御電圧が決定される。ジャイロの構造的な製造ばらつきや駆動力のアンバランス等の要因により、角速度Ωがゼロの場合であっても第2CV変換器64に出力が生じ、レート出力としてバイアス値が出力されることがあり、これが上述のクワドラチャーエラーに相当するが、補正信号調整部70からの補正信号によってAC制御電圧の振幅が適切に調整され、クワドラチャーエラーが抑制される。なお駆動系制御回路60、位相検波回路66、LPF66、補正信号調整部(調整回路)70及び後述するメモリ72は、デジタル制御回路74として構築することができる。
なおクワドラチャーエラー又は直交バイアス値には温度依存性があり、故に上述の補正信号調整部70がジャイロの使用温度に応じた補正信号を出力することがより有効である。以下、そのための具体例について説明する。
先ず各設定温度において、角速度Ωがゼロの状態で駆動変位信号の位相を用いて補正用電極50及び52に印加すべきAC制御電圧を決定する。このとき、第2CV変換器64の出力(バイアス値)を最小化するための、該AC制御電圧の振幅を決定する。なお設定温度とは、例えば、ジャイロの使用温度範囲内の代表的な温度のいくつか(例えば−45℃〜85℃の範囲で5℃刻み)を意味する。このようにして決定されたAC電圧振幅値データを、データマップやデータテーブル等の適切な形式でメモリ(記憶媒体)72に格納しておく。なおデータの決定は実験又は計算から行うことができる。
一方、ジャイロ1には実際のジャイロの温度すなわち使用温度を測定する温度センサ76を設けておく。そして温度センサ76の出力(測定温度)と、該測定温度に対応するメモリ72に格納されたデータとに基づいて、補正用電極に印加するAC制御電圧の振幅調整に必要な補正信号を補正信号調整部70が生成し、該補正信号に基づいて補正用電極50及び52に印加されるAC制御電圧の振幅が調整される。
なお温度センサ76としては、振動型ジャイロの温度を直接測定できるものが好ましく、例えば基板2に接着固定されるサーミスタ素子や熱電対が挙げられる。この場合、サーミスタ素子の抵抗値を電圧に変換するアンプや、該電圧又は熱電対の電圧をAD変換するADコンバータ(図示せず)を用いて、デジタル制御回路74(メモリ72)に温度情報が入力され、該温度情報はジャイロの使用温度範囲内でクワドラチャーエラーを補正するための情報として利用される。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る振動型ジャイロ101の基本構造を示す平面図であり、図9は、ジャイロ101の左側の駆動質量体104内部の補正用電極の詳細を示す平面図である。第2の実施形態は左右の駆動質量体の内部構造を除けば第1の実施形態と同様である。故に第2の実施形態では、第1の実施形態と同等の構成要素についてはその参照符号に100を付加した参照符号で表示し、詳細な説明は省略する。
なお、参照符号150及び152で示す櫛歯電極は、図1の実施形態の補正用櫛歯電極50及び52に構造的には同等のものであるが、第2の実施形態では補正用電極として後述する櫛歯電極151a、151b、155a及び155bを使用するので、櫛歯電極150及び152はなくともよい。但し、櫛歯電極150及び152はそれぞれ、検出モニタ用櫛歯固定電極146及び148と同等の機能を担うことができ、すなわち検出モニタ用櫛歯固定電極として利用することができる。その場合は、検出モニタ用櫛歯固定電極146及び148と合わせて検出モニタ初期容量を倍増できるので、感出感度を2倍にすることができる。
第2の実施形態におけるクワドラチャーエラーの発生原因は第1の実施形態と同様である。つまり、製造ばらつきにより、左右の駆動質量体の振動方向や駆動力発生方向がX方向から僅かにずれる場合が考えられ、X−Y平面内でこのずれが生じると、角速度が入力されていないときでも検出質量体を回転振動させるトルクが発生し、これがクワドラチャーエラーとなる。
そこで第2の実施形態では、この発生トルクを相殺する逆トルクを検出質量体に与えるために、左側補正用櫛歯電極151a及び151bを左側の駆動質量体104に隣接させて(図示例では枠状の駆動質量体104の内周部近傍に)基板102に固定配置し、これらにそれぞれ対向する櫛歯電極153a及び153bを左側の駆動質量体104を構成する枠状部材の内周部に設けている。同様に、右側補正用櫛歯電極155a及び155bを右側の駆動質量体106に隣接させて(図示例では枠状の駆動質量体106の内周部近傍に)基板102に固定配置し、これらにそれぞれ対向する櫛歯電極157a及び157bを右側の駆動質量体106を構成する枠状部材の内周部に設けている。また第2の実施形態では、角速度入力がゼロのときに発生する検出質量体の漏れ回転変位を相殺するための静電力(静電引力)を、補正用電極にDC電圧を印加することで生じさせている。以下、その詳細について説明する。
通常、図9においてギャップg3及びg4で示すように、駆動用櫛歯固定電極124と駆動質量体に設けた櫛歯電極122との間のギャップは均等(g3=g4)となるように設計される。しかし、製造ばらつきによりg3とg4との間に有意差が生じると、ギャップの小さい側のY方向(図9では上下方向)についての静電力が大きくなり、X方向だけでなくY方向にも駆動力が生じてしまう。このY方向に生じる駆動力の方向(符号)が左右の駆動質量体において逆であったり、同符号であっても大きさが異なったりすると、検出質量体114を回転させるトルクが生じる。
そこで、図9においてギャップg1及びg2で示すように、左側補正用櫛歯電極151a及び151bと、これらに対向する櫛歯電極153a及び153bとのギャップが不均等となる(図示例ではg1<g2)となるようにこれらの櫛歯電極が構成される。このようにすると、左側の補正用櫛歯電極151a及び駆動質量体104にそれぞれ電圧V1及びVmが印加されている場合、DC電圧差(V1−Vm)によって左側の駆動質量体104には−Y方向の力が作用する。一方、補正用櫛歯電極151aより−Y方向側に配置された左側の補正用櫛歯電極151b及び駆動質量体104にそれぞれ電圧V2及びVmが印加されている場合、DC電圧差(V2−Vm)によって左側の駆動質量体104には+Y方向の力が作用する。
ここで、クワドラチャー変位の方向に応じて両DC電圧差(すなわちV1及びV2)を調整することにより、クワドラチャー変位の原因となっている駆動用櫛歯電極124で発生するY方向静電力による回転トルクを打ち消す補正トルクを発生させることができる。また右側補正用櫛歯電極155a及び155bについても同様のことができ、故に4つの補正用電極において各補正用電極と駆動質量体とのDC電圧差を調整することにより、効率的なクワドラチャーエラーの補償が可能となる。また補正トルクの位相に関しては、駆動質量体の駆動変位により、補正用櫛歯電極とこれらに対向する駆動質量体の櫛歯電極とのオーバーラップ面積が同相で増減するため、その面積に応じた静電力は駆動周波数にて発生する。従って第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なり、補正トルクの位相調整が不必要となる利点がある。
なお駆動用櫛歯電極124及び126により発生するY方向の力は駆動質量体に回転トルクを与えるが、駆動用櫛歯電極124及び126の位置(すなわちY方向力の発生位置)と回転中心との距離が大きいとトルクも大きくなり、クワドラチャー回転変位も大きくなる。つまり、駆動用櫛歯電極124及び126は回転中心に近い方が好ましく、図8及び図9に示すように駆動質量体内部の中心寄りに設けられている。一方、補正用櫛歯固定電極151a、151b、155a及び155bは、なるべく低いDC電圧で高い補正トルクを生じさせる方が好ましいので、駆動質量体内部の回転中心からなるべく離れた位置に設けられている。
図10は、図8に示した振動型ジャイロに適用可能な、検出系回転振動を抑制するためのフィードバック系回路を示すブロック図である。デジタル制御系に入る信号はADC(アナログ/デジタル変換器(図示省略)を通じて入力される。駆動系制御部(図示例では駆動系制御回路)160(PLL(Phase Locked Loop)&AGC)が駆動用櫛歯電極151a、151b、155a及び155bに関連付けられており、第1CV変換器162がモニタ用櫛歯固定電極132及び138に関連付けられている。駆動系制御回路160及び第1CV変換器162により、駆動質量体104及び106が、規定された逆相周波数及び振幅で駆動制御される。検出質量体114の回転変位に伴う櫛歯電極144と検出モニタ用櫛歯固定電極146及び148との間の容量変化は、第2CV変換器164によって電圧に変換され、位相検波部(図示例では位相検波回路)166において検出系応答の駆動振動周波数での位相で位相検波(位相調整)される。この検波後の出力はローパスフィルタ(LPF)168によって帯域周波数制限がなされ、角速度信号(レート)として出力される。このようにして、角速度Ωに対応した出力が得られる。
モニタ用櫛歯固定電極132及び138から駆動系制御回路160に送られた情報は、駆動変位信号として補正信号調整部170に送られる。補正信号調整部170は駆動振動のモニタ出力の位相に基づいて該駆動変位信号を調整する。調整された駆動変位信号(補正信号)により、補正用電極151a、151b、155a及び155bに印加されるDC制御電圧が決定される。ジャイロの構造的な製造ばらつきや駆動力のアンバランス等の要因により、角速度Ωがゼロの場合であっても第2CV変換器164に出力が生じ、レート出力としてバイアス値が出力されることがあり、これが上述のクワドラチャーエラーに相当するが、補正信号調整部170からの補正信号によってDC制御電圧が適切に調整され、クワドラチャーエラーが抑制される。なお駆動系制御回路160、位相検波回路166、LPF166、補正信号調整部(調整回路)170及び後述するメモリ172は、デジタル制御回路174として構築することができる。
なおクワドラチャーエラー又は直交バイアス値には温度依存性があり、故に上述の補正信号調整部170がジャイロの使用温度に応じた補正信号を出力することがより有効である。以下、そのための具体例について説明する。
先ず各設定温度において、角速度Ωがゼロの状態で補正用電極151a、151b、155a及び155bに印加すべきDC制御電圧を決定する。このとき、第2CV変換器164の出力(バイアス値)を最小化するための、該DC制御電圧を決定する。なお設定温度とは、例えば、ジャイロの使用温度範囲内の代表的な温度のいくつか(例えば10℃〜30℃の範囲で5℃刻み)を意味する。このようにして決定されたDC電圧データをデータマップやデータテーブル等の適切な形式でメモリ(記憶媒体)172に格納しておく。なおデータの決定は実験又は計算から行うことができる。
一方、ジャイロ101には実際のジャイロの温度すなわち使用温度を測定する温度センサ176を設けておく。そして温度センサ176の出力(測定温度)と、該測定温度に対応するメモリ172に格納されたデータとに基づいて、補正用電極に印加するDC制御電圧の調整に必要な補正信号を補正信号調整部170が作成し、該補正信号に基づいて補正用電極151a、151b、155a及び155bに印加されるDC制御電圧が調整される。
なお温度センサ176としては、振動型ジャイロの温度を直接測定できるものが好ましく、例えば基板102に接着固定されるサーミスタ素子や熱電対が挙げられる。この場合、サーミスタ素子の抵抗値を電圧に変換するアンプや、該電圧又は熱電対の電圧をAD変換するADコンバータ(図示せず)を用いて、デジタル制御回路174(メモリ172)に温度情報が入力され、該温度情報はジャイロの使用温度範囲内でクワドラチャーエラーを補正するための情報として利用される。
以上のように、本実施形態に係る振動型ジャイロは、駆動質量体の振動と検出質量体の振動とを分離できる構成であるとともに、さらに構造的アンバランスにより発生するクワドラチャーエラーを、入力角速度がゼロのときに、適切な位相のAC制御電圧、又はDC制御電圧を補正用電極に印加することによって相殺する調整手段を具備する。従って本発明によれば、クワドラチャーエラーを的確に抑制でき、実使用でのバイアス安定性に優れた振動型ジャイロが提供される。
さて上述した第2の実施形態では、左右の駆動質量体への駆動力として、駆動用櫛歯固定電極と駆動質量体に設けた櫛歯電極との間で発生するX方向の駆動力を利用しているが、製造ばらつき等による構造的なアンバランスとして、駆動質量体を支持する駆動支持梁の形状ばらつきや、櫛歯電極の形状ばらつきにより、左右の駆動質量体にはY方向の力が発生し、このY方向の力が検出質量体の回転変位振動を誘起するトルクを発生させる。その結果、左右の駆動質量体で発生するトルクが相殺されず、回転振動によってジャイロの漏れ出力(クワドラチャーエラー)が発生することがある。
ここで、図8及び図9に示した第2の実施形態では、補正用櫛歯固定電極151a及び151bを設け、補正用櫛歯固定電極151aと左側の駆動質量体104との間のDC電圧差(V1−Vm)によって−Y方向の力を生じさせ、さらに補正用櫛歯固定電極151bと左側の駆動質量体104との間のDC電圧差(V2−Vm)によって+Y方向の力を生じさせている。そしてこれらのDC電圧差を調整することにより、Y方向の静電力によってクワドラチャーエラー(回転変位)の原因となっている回転トルクを打ち消すトルクを発生させることができる。右側の駆動質量体106についても同様のことができる。
しかし図8及び図9の実施形態では、補正用電極として櫛歯電極を用いているため、Y方向の静電力Fは、櫛歯固定電極151aと駆動質量体の櫛歯電極153aとのオーバーラップ長L(図9参照)に依存する。ここで駆動質量体104はX方向に変位するので、その変位量をXとした場合、静電力FはXにも依存する。具体的には、図9において、上側の固定電極151aのDC電位をV1、下側の固定電極151bのDC電位をV2とし、可動電極(駆動質量体104)のDC電位をVmとした場合、発生する静電力Fは以下の式(1)で近似される。但し、εは真空の誘電率、Hは構造体の厚さ(紙面方向長さ)、Xは駆動変位、gは櫛歯間のギャップの狭い方(g1)とする。
Figure 0006143430
式(1)からわかるように、図9の実施形態では、静電力Fは櫛歯のオーバーラップ長さLと駆動変位Xの双方の影響を受け、特に式(1)の右辺第一項(Lに係る部分)は検出系の共振周波数に大きく影響する。
そこで、図11及び図12に示す第3の実施形態では、左右の駆動質量体の内側に設けられる補正用固定電極が、上記オーバーラップ長Lの影響を排除し、所望の補正用静電力のみを各駆動質量体に作用させるように構成されている。第3の実施形態は左右の駆動質量体の内部構造を除けば第2の実施形態と同様である。故に第3の実施形態では、第2の実施形態と同等の構成要素についてはその参照符号に100を付加した参照符号で表示し、詳細な説明は省略する。
図11は、第3の実施形態に係る振動型ジャイロ201において、左側の駆動質量体204の詳細を示す図である。駆動質量体204は、第2の実施形態と同様に、Y方向に並列配置された2つの補正用櫛歯固定電極251a及び251bを有するが、補正用櫛歯固定電極251a及び251bの各々が、駆動質量体204がX方向に変位した際に、駆動質量体に設けた櫛歯電極とのオーバーラップ長Lが増加する部分と減少する部分の双方を具備している。
具体的には、図11において上側の補正用櫛歯固定電極251aは、駆動質量体204の内側であって、検出質量体の回転中心から最も離れた駆動質量体204の部位(ここでは枠状の駆動質量体204を構成する4辺のうち検出質量体の回転中心Cから最も離れた辺204aの+Y方向寄りの部位)から回転中心側に向けて延びる櫛歯電極253aと対向するように構成された固定櫛歯電極254aと、枠状の駆動質量体204を構成する4辺のうちX方向に延びる、上側の辺204bから−Y方向に延びる部材204cから、反中央側に向けて延びる櫛歯電極256aと対向するように構成された固定櫛歯電極258aとを有する。
同様に、図11において下側の補正用櫛歯固定電極251bは、駆動質量体204の内側であって、検出質量体の回転中心から最も離れた駆動質量体204の部位(ここでは枠状の駆動質量体204を構成する4辺のうち検出質量体の回転中心Cから最も離れた辺204aの−方向寄りの部位)から回転中心側に向けて延びる櫛歯電極253bと対向するように構成された固定櫛歯電極254bと、枠状の駆動質量体204を構成する4辺のうちX方向に延びる、下側の辺204dから+Y方向に延びる部材204eから、反中央側に向けて延びる櫛歯電極256bと対向するように構成された固定櫛歯電極258bとを有する。すなわち補正用櫛歯固定電極251a及び251bの各々は、左右の駆動質量体の駆動振動方向であるX方向について、互いに反対方向に延びる対の櫛歯構造を有する。右側の駆動質量体についても同様である。
以下に示す式(2)は、補正用櫛歯固定電極251a及び251bにそれぞれDC電圧V+及びV-を印加し、駆動質量体204のDC電位をVmとした場合に、Y方向に発生する静電力Fを示す近似式である。他のパラメータは式(1)と同様である。
Figure 0006143430
式(2)からわかるように、第3の実施形態では櫛歯電極のオーバーラップ長Lに依存する項が相殺されている。さらに、式(2)と上記式(1)の右辺第二項とを比較すると、第3の実施形態の方が同一のXに対してより大きな静電力が得られることがわかる。
第3の実施形態において、左側の駆動質量体204に対してDC電圧を印加すると、駆動変位Xと同等の静電力が、左側の駆動質量体204に対して−Y方向に作用し、反時計回りのトルクTCCWを発生させることができる。左側の駆動質量体204と図11のY軸(B−B線)について対称に構成された右側の駆動質量体についても、同じDC電圧を印加すると、時計回りのトルクTCWを発生させることができる。すなわち、左右の駆動質量体に設けた補正用櫛歯固定電極に印加するDC電圧を適宜調整することにより、(検出質量体の回転方向の)クワドラチャーエラーを相殺するための補正トルク量(TCCW−TCW)を得ることができる。なお補正用櫛歯固定電極における、互いに反対方向に延びる櫛歯の対数(図11の例では上下の固定電極の各々において2対)に応じ、補正トルク量を増加することができる(対数がNならトルクもN倍)。
また図11に示すように、左側の駆動質量体204の補正量櫛歯固定電極251a及び251bは、駆動質量体204の内部の最も左側(反回転中心側)の領域に、かつY方向に(A−A線に沿って)整列配置される。この理由は、補正用トルクTは静電力Fと回転中心Cまでの距離Laとの積となる(T=F×La)ので、Laをなるべく大きくすれば少ない対数の補正用電極でも大きなトルクが得られるからである。右側の駆動質量体についても同様である。
図12は、図11に示した振動型ジャイロに適用可能な、検出系回転振動を抑制するためのフィードバック系回路を示すブロック図である。デジタル制御系に入る信号はADC(アナログ/デジタル変換器(図示省略)を通じて入力される。駆動系制御部(図示例では駆動系制御回路)260(PLL(Phase Locked Loop)&AGC)が左側の駆動用櫛歯電極224及び右側の駆動用櫛歯電極228に関連付けられており、第1CV変換器262が左側のモニタ用櫛歯固定電極232及び右側のモニタ用櫛歯固定電極238に関連付けられている。駆動系制御回路260及び第1CV変換器262により、左右の駆動質量体が、規定された逆相周波数及び振幅で駆動制御される。検出質量体の回転変位に伴う櫛歯電極と検出モニタ用櫛歯固定電極246及び248との間の容量変化は、第2CV変換器264によって電圧に変換され、位相検波部(図示例では位相検波回路)266において検出系応答の駆動振動周波数での位相で位相検波(位相調整)される。この検波後の出力はローパスフィルタ(LPF)268によって帯域周波数制限がなされ、角速度信号(レート)として出力される。このようにして、角速度Ωに対応した出力が得られる。
モニタ用櫛歯固定電極232及び238から駆動系制御回路260に送られた情報は、駆動変位信号として補正信号調整部270に送られる。補正信号調整部270は駆動振動のモニタ出力の位相に基づいて該駆動変位信号を調整する。調整された駆動変位信号(補正信号)により、左側の補正用櫛歯電極251a、251b及び左側の補正用櫛歯電極と対称に構成された右側の補正用電極255a、255bに印加されるDC制御電圧が決定される。ジャイロの構造的な製造ばらつきや駆動力のアンバランス等の要因により、角速度Ωがゼロの場合であっても第2CV変換器264に出力が生じ、レート出力としてバイアス値が出力されることがあり、これが上述のクワドラチャーエラーに相当するが、補正信号調整部270からの補正信号によってDC制御電圧が適切に調整され、クワドラチャーエラーが抑制される。なお駆動系制御回路260、位相検波回路266、LPF266、補正信号調整部(調整回路)270及び後述するメモリ272は、デジタル制御回路274として構築することができる。
なおクワドラチャーエラー又は直交バイアス値には温度依存性があり、故に上述の補正信号調整部270がジャイロの使用温度に応じた補正信号を出力することがより有効である。以下、そのための具体例について説明する。
先ず各設定温度において、角速度Ωがゼロの状態で補正用電極251a、251b、255a及び255bに印加すべきDC制御電圧を決定する。このとき、第2CV変換器264の出力(バイアス値)を最小化するための、該DC制御電圧を決定する。なお設定温度とは、例えば、ジャイロの使用温度範囲内の代表的な温度のいくつか(例えば10℃〜30℃の範囲で5℃刻み)を意味する。このようにして決定されたDC電圧データをデータマップやデータテーブル等の適切な形式でメモリ(記憶媒体)272に格納しておく。なおデータの決定は実験又は計算から行うことができる。
一方、ジャイロ201には実際のジャイロの温度すなわち使用温度を測定する温度センサ276を設けておく。そして温度センサ276の出力(測定温度)と、該測定温度に対応するメモリ272に格納されたデータとに基づいて、補正用電極に印加するDC制御電圧の調整に必要な補正信号を補正信号調整部270が作成し、該補正信号に基づいて補正用電極251a、251b、255a及び255bに印加されるDC制御電圧が調整される。
なお温度センサ276としては、振動型ジャイロの温度を直接測定できるものが好ましく、例えば基板に接着固定されるサーミスタ素子や熱電対が挙げられる。この場合、サーミスタ素子の抵抗値を電圧に変換するアンプや、該電圧又は熱電対の電圧をAD変換するADコンバータ(図示せず)を用いて、デジタル制御回路274(メモリ272)に温度情報が入力され、該温度情報はジャイロの使用温度範囲内でクワドラチャーエラーを補正するための情報として利用される。
このように第3の実施形態は、構造的アンバランスにより発生するクワドラチャーエラーを、入力角速度がゼロのときに、DC制御電圧を補正用電極に印加することによって相殺する調整手段を具備するとともに、櫛歯電極のオーバーラップ長の変化による影響を相殺する構造を具備しているため、クワドラチャーエラーを極めて的確に抑制でき、実使用でのバイアス安定性に特に優れた振動型ジャイロが提供される。
2、102 基板
4、6、104、106、204 駆動質量体
12、112、212 中央連結ばね
14、114 検出質量体
24、28、124、128、224 駆動用櫛歯固定電極
32、38、132、138、232 駆動モニタ用櫛歯固定電極
42、142、242 ダミー電極
46、48、146、148 検出モニタ用櫛歯固定電極
50、52、151a、151b、155a、155b、251a、251b 補正用櫛歯固定電極
60、160、260 駆動系制御回路
62、64、162、164、262、264 CV変換器
66、166、266 位相検波回路
68、168、268 ローパスフィルタ
70、170、270 補正信号調整部
72、172、272 メモリ
74、174、274 デジタル制御回路
76、176、276 温度センサ

Claims (1)

  1. 第2の支持梁により支持基板に固定され、角速度により発生するコリオリ力よって平面に直交する軸線回りに回転励振されるように構成された検出質量体と、
    前記平面内の一方向に駆動振動できるように、前記検出質量体の内側に第1の支持梁によって懸垂支持された左右の駆動質量体と、を備えた振動型ジャイロであって、
    前記左右の駆動質量体は、互いに逆相で振動する逆相振動モードを有するように、前記駆動振動の方向に弾性を有する連結ばねによって互いに連結され、
    前記検出質量体は、前記左右の駆動質量体の駆動振動によっては前記駆動振動の方向に励振されないように構成され、
    角速度が入力されていないときに、前記左右の駆動質量体の駆動振動により前記検出質量体に作用する回転トルクを打ち消すために、印加されたDC電圧によって静電力を前記駆動質量体に対して作用させるように構成された補正用電極を、前記駆動質量体に隣接させて設け、
    前記補正用電極は、該補正用電極の櫛歯と前記駆動質量体の櫛歯構造とのギャップが不均等となるように構成され
    前記補正用電極は、前記左右の駆動質量体の駆動振動の方向について互いに反対方向に延びる対の櫛歯を備え、前記左右の駆動質量体は、前記補正用電極の対の櫛歯にそれぞれ対向するように構成された櫛歯構造を有し、
    前記補正用電極は、前記左右の駆動質量体の各々の内側であって、前記検出質量体の回転中心から最も離れた前記左右の駆動質量体の各々の部位に近接して固定配置される、振動型ジャイロ。
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