JP6142898B2 - 測位システム - Google Patents
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Description
以下、本発明の第1実施形態に係る測位システムについて、図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る測位システムの構成の概要を説明するためのブロック図である。図1に示されている測位システム10は、空気調和装置50と兼用する部分を備えることで、低コストであるにもかかわらず高い性能を有している。そこで、以下の第1実施形態の説明では、空気調和装置50を簡単に説明した後に、測位システム10について説明する。
図1に示されている測位システム10は、例えばショッピングモール、アウトレットモール、高層ビル内のデパート又は地下街のように多数の店舗が入っている商業施設に設置される空気調和装置50を使って構成されている。複数台の室外機40のそれぞれに複数台の室内機30が接続されて、商業施設内の空気調和を行うための空気調和装置50が構成されている。図1の全ての室内機30と全ての室外機40は、空調制御装置51によって制御されている。室内機30と室外機40はデータ伝送ライン52で接続されている。また、空調制御装置51と室外機40及び室内機30との間は、データ伝送ライン52、ゲートウェイ53及びネットワーク伝送ライン54で繋がれている。また、室内機30を含む各空調室内ユニット20は、空調用電源線90に接続されている。空気調和装置50は、各室外機40に複数台の室内機30が並列に接続されているマルチタイプの空気調和装置である。
(2−1)
図1及び図2に示されているように、測位システム10は、データ伝送ライン52で接続されている管理コンピュータ60と複数台の無線受信機70とで構成されている。管理コンピュータ60と複数台の無線受信機70とを接続するデータ伝送ライン52は、空気調和装置50のデータ伝送ライン52と共通化されている。各無線受信機70は、商業施設の天井に設けられている各空調室内ユニット20に配置されている。1台の空調室内ユニット20には、1台の無線受信機70とともに1台の室内機30が設置されている。これら空調室内ユニット20は、空調用電源線90に接続されており、空調用電源線90から電力を供給される。また、空調用電源線90は、無線受信機70への電力の供給も行っており、測位システム10と空気調和装置50で共用されている。
管理コンピュータ60は、データ伝送ライン52を通じて、各無線受信機70との間でデータの送受信を行なう通信部61と、例えばキーボードの文字信号などの管理コンピュータ60の内部で処理可能な入力信号を管理コンピュータ60の外部から内部に入力するための入力部62と、管理コンピュータ60の外部に対して情報を出力するための出力部63と、管理コンピュータ60に対して例えばデータ伝送ライン52及び入力部62から与えられたデータを記憶する記憶部64と、例えばデータ伝送ライン52及び入力部62から与えられたデータ並びに記憶部64に記憶されているデータを処理する処理部65を備えている。
記憶部64は、複数の無線受信機70が配置されている屋内空間のマップデータを記憶するマップデータ記憶領域64aと、各無線受信機70から伝送されてくる受信データを記憶するための受信データ記憶領域64bと、基準強度を記憶する基準強度記憶領域64cと、基準強度の決定に用いられる基準強度決定用データを記憶する基準強度決定用データ記憶領域64dと、位置推定に用いる位置推定用データを記憶する位置推定用データ記憶領域64eと、位置データ記憶領域64fとを有する。
処理部65は、CPUを含んで構成されている。処理部65のCPUは、記憶部64に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、位置推定部66として機能する。位置推定部66には、判定期間・運用期間切換部66a、基準強度決定部66b及び位置推定用データ抽出部66cが含まれている。
ここでは、屋内空間として、図5に示されているような書店内の空間を例に挙げて説明する。ここでは一つの店舗内についての例を説明するが、屋内空間がショッピングモールなどの施設のようなものであってもよい。図5に示されている書店200には、出入口201,202が2箇所設けられている。書店200の内部には、複数の書棚203と通路204が設けられており、種々のジャンルの書籍が展示されている。また、書店200には、精算のためのカウンター205が設けられている。そして、通路204の上の天井には配置位置P1〜P20に20台の無線受信機70が配置されている。この場合、書籍が商品の例であり、書棚203が商品棚の例になる。
図6は、第1基準強度及び第2基準強度を用いた運用期間のデータ伝送を説明するための概念図である。図6において、曲線Ln3は第1無線発信端末101が位置P3に在るときの距離と電波強度との関係を示している。また、曲線Ln4は第2無線発信端末102が位置P3に在るときの距離と電波強度との関係を示している。さらに、直線SH1は、全ての無線受信機70に設定された第1基準強度を示しており、直線SH2は、全ての無線受信機70に設定された第2基準強度を示している。なお、丸の中のアルファベットは、受信機IDである。
図7及び図8を用いて電波強度が突発的に変動した場合の対応について説明する。図7に示されている曲線Ln5は、例えば第1無線発信端末101が位置P12に在るときの時刻T10の電波強度を示している。曲線Ln5で示されている状態のときには、受信機IDがH,L,Pの無線受信機70から第1位置推定用データが伝送されてきている。この第1無線発信端末101が例えば端末保持者の鞄の中に入れられるなどに起因して急激に電波強度が低下する場合がある。図7に示されている曲線Ln6は、同じ位置P12に在りながら時刻T11に第1無線発信端末101の電波強度が低下した状態を示している。曲線Ln6で示されている電波強度に低下した場合、最初の判定期間(ステップST1)に設定された第1基準強度を示す直線SH3よりも曲線Ln6全体が下に位置するため、運用期間に入っている状態(ステップST3)にもかかわらず、受信機IDがD,H,L,P,Tのいずれの無線受信機70からも第1位置推定用データが伝送されなくなってしまう。
上述のようにして管理コンピュータ60で決定された第1基準強度及び第2基準強度の伝送の方法について図9乃至図11を用いて説明する。上述の説明は、図9に記載されているように、管理コンピュータ60で第1基準強度及び第2基準強度を決定した後は、図8の運用期間に移行する前(ステップST2からステップST3に進む前)に、管理コンピュータ60から全ての無線受信機70に第1基準強度及び第2基準強度が第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102の端末IDと共に伝送される場合を例に挙げている。図9に示されている基準強度データの伝送方法では、図5に示された書店200のように屋内空間が比較的小さい場合には、書店200内のいずれの無線受信機70も第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102の近傍に位置する可能性が高いことから適切なデータ伝送方法と考えられる。
(7)測位システムの概要
上記第1実施形態では、端末IDの異なる第1無線発信端末101と第2無線発信端末102に対してそれぞれ異なる第1基準強度と第2基準強度を複数の無線受信機70の基準強度記憶部71が記憶する場合について説明したが、第2実施形態では管理コンピュータ60が第1基準強度と第2基準強度を基準強度記憶領域64cに記憶し、無線受信機70の基準強度記憶部71は、第1基準強度と第2基準強度の間の閾値を共通基準強度として記憶している。そして、無線受信機70は、共通基準強度よりも高い電波強度を含む受信データしか伝送しないようにすることでデータのフィルタリングを行い、管理コンピュータ60は、第1基準強度及び第2基準強度よりもそれぞれ高い電波強度を含む第1位置推定用データ及び第2位置推定用データしか位置推定の計算に用いないようにすることで計算負荷の軽減を図っている。
(8)測位システムの概要
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102から受信した電波の電波強度が互いに異なるものであっても、それぞれの電波強度の大きさに適した第1基準強度及び第2基準強度を設定することで、位置推定のための計算負荷の軽減を図っている。言い換えれば、第1実施形態でも第2実施形態でも、全ての無線受信機70の受信データに対して、第1基準強度及び第2基準強度等閾値で選別して、第1位置推定用データ及び第2位置推定用データとして用いるものを一部の無線受信機70から得られる受信データだけを選別することが行なわれている。
(9−1)
以上説明したように、管理コンピュータ60,60Aの位置推定部66は、第1位置推定用データ及び第2位置推定用データを用いて複数の無線受信機70,70Aの配置位置に基づいて第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102の位置をそれぞれ推定するが、第1基準強度(直線SH1で示された値)又は第1エリアAr1で与えられる範囲が第1位置推定用データを取得するための第1設定領域であり、第2基準強度(直線SH2で示された値)又は第2エリアAr2で与えられる範囲が第2位置推定用データを取得するための第2設定領域である。このように、第1位置推定用データ及び第1位置推定用データを取得する範囲として第1無線発信端末101に適した第1設定領域と第2無線発信端末102に適した第2設定領域とが区別して設けられているので、第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102の測位精度が低下するのを抑制することができる。また、測位システム10,10Aの管理コンピュータ60,60A及び無線受信機70,70Aのうちの少なくとも一方は、第1設定領域と第2設定領域によって第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102のための第1位置推定用データ及び第2位置推定用データを、それぞれ適切に絞り込むことができる。その結果、無線発信端末数の増加にともなうデータ量の増加が抑制され、計算負荷が軽減される。
一般的には、第1無線発信端末101と第2無線発信端末102の電波強度が異なる場合に、電波強度が高い方に適する基準強度で共通に設定すると低い方の測位精度が悪くなり、低い方に適する基準強度で共通に設定すると高い方のデータ量の増加によって計算負荷が増加する傾向がある。それに対して、測位システム10では、第1設定領域を電波強度が第1基準強度以上である範囲に設定し、第2設定領域を電波強度が第2基準強度以上である範囲に設定し、第1無線発信端末101と第2無線発信端末102のそれぞれに適した第1基準強度及び第2基準強度を設定することで計算負荷の減少と測位精度の低下抑制を同時に達成することができる。
例えば図8を用いて説明したように、ステップST4のような突発的な変動の発生を考慮に入れ、第1基準強度及び第2基準強度を動的に変更するので、例えば第1無線発信端末101や第2無線発信端末102を鞄に入れたなどの状況の変化によって、第1無線発信端末101と第2無線発信端末102の電波強度の変化に対して適切に対応することができるようになる。その結果、測位精度が安定する。
管理コンピュータ60,60Aは判定期間・運用期間切換部66aを備えており、図8を用いて説明したように、運用期間の前に第1基準強度及び第2基準強度を設定するための判定期間が設定されている。その結果、第1基準強度及び第2基準強度を精度良く設定することが容易になる。そして、第1基準強度及び第2基準強度が精度良く設定されることにより、データ量の増加が抑制される。
測位システム10Aは、第1設定領域及び第2設定領域を複数の無線受信機70Aのうちの第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102より受信する電波の電波強度の最も強いものを中心とする地域、図13の例では第1エリアAr1及び第2エリアAr2でそれぞれ設定するので、これらの地域の外側エリアの無線受信機70Aのデータを捨てることになるが、遠距離の電波強度の弱い通信データを使わなくても測定精度の低下が少ない一方で、電波強度の弱い通信データを大幅に省いて計算負荷を軽減することができる。また、第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102の電波強度が変動したときに第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102を測位システム10Aが見失い難くなり、測位システム10Aは、電波強度の変動に対して高い適応性を持つことができる。
測位システム10,10Aでは、第1設定領域及び第2設定領域が設定される時点が第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102が検出された後であるから、第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102の検出が第1設定領域及び第2設定領域の設定のために妨げられることがないので、第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102の検出の確実性が向上する。例えば、予め電波強度に対して閾値が設定された状態では、第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102のうちの少なくとも一方の電波強度が閾値以下である場合には、その電波強度が閾値以下のものが検出されなくなってしまうが、測位システム10,10Aの場合には、判定期間において閾値を設けないので、第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102が検出されないという事態を回避し易くなる。その結果、システムの安定性が向上する。
第2実施形態において説明したように、例えば無線受信機70の基準強度記憶部71には予め共通基準強度が設定されており、位置推定部66は、無線受信機70に閾値である第1基準強度及び第2基準強度を設定しなくてもよいので、無線受信機70に対する操作を簡素化し易くなる。
複数の無線受信機70,70Aのうちの限定されたものだけが第1位置推定用データ及び第2位置推定用データを位置推定部66,66Aに伝送するので、複数の無線受信機70,70Aから位置推定部66,66Aに位置推定に不要な受信データが伝送されるのを防ぐことができる。その結果、測位システム10,10Aの通信負荷が低減される。
位置推定部66,66Aは、複数の無線受信機70,70Aのうちの少なくとも二つの第1無線受信機と第2無線受信機から伝送されてくる複数時刻の第1位置推定用データ及び第2位置推定用データを用いて第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102の位置をそれぞれ推定するので、第1無線受信機と第2無線受信機を結ぶ直線に沿った動きの推定ができる。そのため、例えば通路のように直線上を第1無線発信端末101及び第2無線発信端末102が移動する場合には少ない計算負荷で十分な位置の推定が可能になる。
(10)測位システムの概要
本発明の第4実施形態に係る測位システムについて図16を用いて説明する。第4実施形態の測位システムの構成には、上述の測位システム10又は測位システム10Aの構成を用いることができる。第4実施形態において、複数の無線受信機70,70Aは、屋内空間に対して配置され、無線発信端末101から受信する電波の電波強度を検知し、電波強度に関する情報を含む受信データを生成する。位置推定部66,66Aは、複数の無線受信機70,70Aが生成可能な受信データの中の設定閾値以上の電波強度の受信データを位置推定用データとして用いて複数の無線受信機70,70Aの配置位置に基づいて無線発信端末101の位置を推定する。
(11−1)再設定の基本的な動作
次に、図17を用いて、測位システム10,10Aの動作のうち閾値の決定方法について説明する。以下の説明では、測位システム10を例に挙げて設定閾値の決定方法について説明する。図16を用いて設定閾値の決定方法の第1の例について説明する。
無線発信端末101が屋内に入って、無線発信端末101の電波強度が強くなるまでは、設定閾値がデフォルト値になっている。そのため、ステップST12での受信データ記憶領域64bへの受信データの新たな記憶が発生せず、ステップST13の「No」のルートを通って、ステップST15の「Yes」のルートをステップST19まで進んで再びステップST12に戻るか、またはステップST15の「No」のルートからステップST12に戻るようなループの動作を繰り返して無線発信端末101の電波強度が強くなるまで待機している。このような待機状態では、無線発信端末101の設置閾値がデフォルト値になっていることで、無線発信端末101に関して、無線受信機70,70Aから管理コンピュータ60,60Aへの不要な受信データの送信を防ぐことができる。
例えば、無線発信端末101を所持していた端末保持者が屋外に出て電波強度が弱くなったり、無線発信端末101の電源が切られたりして、無線発信端末101を位置推定する必要がなくなったり、無線発信端末101を位置推定できなくなったりした状況になると、ステップST12での受信データ記憶領域64bへの受信データの新たな記憶が発生しなくなる。そうすると、ステップSST12→ステップST13→ステップST15→ステップST16→ステップST17→ステップST19→ステップSST12のループを通って設定閾値がデフォルト値に変更される。無線発信端末101の設置閾値をデフォルト値に戻すことで、無線発信端末101に関して、無線受信機70,70Aから管理コンピュータ60,60Aへの不要な受信データの送信を防ぐことができる。なお、例えば、無線発信端末101を所持していた端末保持者が屋外に出たけれども再び屋内に戻ってきて無線発信端末101を位置推定する必要が生じたり、無線発信端末101の電源が再びオンされて位置推定できるような状況になったりしたときには、ステップST12からステップST18までのルートを繰り返して、再び無線発信端末101に関する設定閾値を適切に設定することが可能である。
次に、図18を用いて、再判定条件が電波強度差DFである場合について説明する。図18において図17と同一符号が付されているステップは図17で説明したステップと同様の操作が行なわれる。なお、図18のステップST22が図17のステップST15に対応し、図18のステップST24、ST25が図17のステップST16に対応する。
既に説明したように、無線受信機70,70Aが離散的に配置されているため、無線発信端末101が送信する電波の強度が一定であっても無線発信端末101の位置が変化することにより無線発信端末101と無線受信機70,70Aとの距離が変化して受信データの電波強度が変化する。このような無線発信端末101の端末保持者の移動にともなって変化する電波強度の変動幅を考慮して、判定値が設定される。例えば、位置推定を行うエリア内で送信出力一定の無線発信端末を移動させて、受信データの電波強度の変動幅を求めておき、その変動幅よりも大きな値に判定値を設定する。このように設定することにより、端末保持者が移動することに起因して頻繁に再設定が行われるのを防ぐことができる。
(12−1)4A
上記第4実施形態では、再判定条件が受信電波強度差の場合について説明したが、電波強度の変化率、つまり受信電波下落率及び/又は受信電波上昇率を再判定条件に用いることができる。図19には、電波強度の変化率を再判定条件に用いた場合の設定閾値の再設定の動作の一例が示されている。
上記第4実施形態では、電波強度差DFを直接電波強度の差を計算することによって求めたが、電波強度差を別の変数で代替することもできる。前回P回目と今回C回目の電波強度差が大きいということは、例えば、前回のアクセスポント数と今回のアクセスポイント数の差が大きいということに置き換えることができる。ここでアクセスポイントとは、受信データを送信してきた無線受信機70,70Aであり、アクセスポイント数とは受信データを送信してきた無線受信機70,70Aの台数である。図20には、アクセスポイント数を再判定条件に用いた場合の設定閾値の再設定の動作の一例が示されている。
上記第4実施形態では、電波強度差DFを直接電波強度の差を計算することによって求めたが、前回P回目と今回C回目の電波強度差が大きいということは、例えば、前回のアクセスポイントの配置領域の面積と今回のアクセスポイントの配置領域の面積との差が大きいということに置き換えることができる。ここでアクセスポイントの配置領域の面積とは、受信データを送信してきた無線受信機70,70Aを含む領域の面積のことである。例えば、3300平方メートルの屋内に200台の無線受信機70,70Aが配置されていると、受信データが20台の無線受信機70,70Aから送信されてきたとするとおよそ330平方メートルの範囲に配置されている無線受信機70,70から受信データが送られてきた計算になる。ただし、無線受信機70,70Aが均等に配置されているとは限らない。そこで、配置が密なところの無線受信機70,70Aには小さな面積を割り付け、配置が疎なところの無線受信機70,70Aには大きな面積を割り付けておいて、受信データを送信してきた無線受信機70,70Aに割り付けられている面積を合計して、その合計面積が今回C回目と前回P回目でどのように変化したかによって再設定を行うようにしてもよい。
第4実施形態では、設定閾値を再設定した後すぐであっても再設定条件が満たされれば再設定されるように構成されているが、再設定のための判定を行なわない猶予期間を、設定閾値を再設定した後に設けるように構成することもできる。例えば、図17のステップST15の再設定条件に前回P回目と今回C回目の間のサンプリング回数がm回以上であるという条件を追加することで、猶予期間を設けることができる。あるいは、前回P回目と今回C回目の受信データの送信時刻を記憶しておいて受信データの送信時刻を比較するように構成することもできる。そのように構成する場合には、たとえば猶予期間がTB時間とすると、今回C回目の受信データの送信時刻TCから前回P回目の受信データの送信時刻TPを差し引いてそれをTBと比較するようにすればよい。このように構成された場合には、TC−TP≧TBの条件が満たされれば再設定が行われ、TC−TP<TBであれば常にステップST15の「No」のルートに進み、受信データのサンプリング間隔が一様でない場合であっても適用することができる。
第4実施形態の測位システム10,10Aについて、位置推定部66,66Aが、設定閾値を再設定するときに、再判定期間を設定して再判定期間の前に無線発信端末101が存在していた位置を含む所定範囲の無線受信機70,70Aについて設定閾値を引き下げるか又は設定閾値の設定を解除するように構成してもよい。
上記第4実施形態では、今回C回目と前回P回目とを比較したが、例えば今回の電波強度と設定閾値とを比較して再設定を行うか否かを決定してもよい。
上記第4実施形態及びその変形例では、位置推定部が再設定を行なう場合について説明したが、複数の無線受信機70,70Aを相互に接続してネットワーク化して、複数の無線受信機70,70Aが相互にデータの送受信が行える場合には、位置推定部66,66Aに代わって複数の無線受信機70,70Aが再設定を行うように構成することもできる。
(13−1)
第4実施形態及びその変形例4A〜4Fの位置推定部66,66Aは、複数の無線受信機70,70Aが生成可能な受信データの中の設定閾値以上の電波強度の受信データを位置推定用データとして用いる。そのため、位置推定部66,66Aが設定閾値より小さい電波強度の受信データを位置推定に用いなくなるので、位置推定に用いられる受信データが減少して位置推定部66,66Aが処理するデータ量の増加が抑制されて位置推定部66,66Aの計算負荷が軽減される。再判定条件を満たすような状態に受信データの電波強度が変わったときに、位置推定部66,66Aは、設定閾値を再設定することで、位置推定用データの位置推定に用いるのに適した設定閾値に変更する。このように位置推定部66,66Aは、受信データの電波強度が変わっても、設定閾値を位置推定にとって良好な値に維持することができる。設定閾値が位置推定にとって良好な値に維持されるので、電波強度が低下して無線発信端末101を測位システム10,10Aが見失うことを防止することができ、また電波強度が高くなったことによって測位システムの負荷が増大するのを抑制することができる。設定閾値が適正な値に保たれることで、データ量の増加が抑制されて計算負荷が軽減される。なお、変形例4Gで説明したように、位置推定部66,66Aに代えて複数の無線受信機70,70Aが再設定を行なうように構成しても同様の効果を奏する。
位置推定のために無線受信機70,70Aから管理コンピュータ60,60Aに送られる受信データつまり位置推定用データのうちの最も高い電波強度と設定閾値との差が判定値以上となることを再判定条件とするように構成すると、電波強度が変わって負荷低減と推定精度との両立についての適性を設定閾値が欠くときには、設定閾値の再設定の判定を確実に行なって設定閾値を適正な値に保つことができる。電波強度の方が大きくなる場合と設定閾値の方が大きくなる場合があるので、ここでいう差とは、電波強度差の絶対値|電波強度差DF|と考えてもよい。なお、変形例4Gで説明したように、位置推定部66,66Aに代えて複数の無線受信機70,70Aが再設定を行なうように構成しても同様の効果を奏する。
位置推定のために無線受信機70,70Aから管理コンピュータ60,60Aに送られる受信データつまり位置推定用データのうちの最も高い電波強度が変化する変化率が判定用変化率以上となることを再判定条件とするように構成すると、電波強度が変わって負荷低減と推定精度との両立についての適性を欠くようになるときにその兆候も考慮しながら設定閾値の再設定の判定を行なうことができる。その結果、設定閾値の再設定を早く行って設定閾値を適正な値に保つことができるようになる。なお、変形例4Gで説明したように、位置推定部66,66Aに代えて複数の無線受信機70,70Aが再設定を行なうように構成しても同様の効果を奏する。
位置推定部66,66A及び複数の無線受信機70,70Aのうちの少なくとも一方が、設定閾値を再設定した後、所定の猶予期間内には設定閾値の再設定のための判定を行なわないように構成されている場合、頻繁に再判定が行われる事態を回避して、頻繁に再判定をすることによるシステム負荷の増加を防止することができる。その結果、再判定を行なうことにともなうシステム負荷の増加を抑制することができる。
位置推定部66,66A及び複数の無線受信機70,70Aのうちの少なくとも一方が、一定期間内に所定回数以上設定閾値を再設定した場合に猶予期間を設定するように構成されている場合、一定期間内に所定回数以上設定閾値を再設定したときに猶予期間が設定されるということは、言い換えると頻繁に再判定が行われる事態が生じていないときには猶予期間が設けられないということである。このように猶予期間を設けたことで長期間設置閾値が再設定をされないという事態を回避することができるから、猶予期間を設けたことによって長期間再設定がされなくなることによる不具合の発生を抑制できる。
位置推定部66,66Aが、設定閾値を再設定するときに、再判定期間を設定して再判定期間の前に無線発信端末が存在していた位置を含む所定範囲の無線受信機70,70Aについて設定閾値を引き下げるか又は設定閾値の設定を解除するように構成されていると、無線発信端末101が端末保持者の移動に伴って移動するものであっても再判定期間に入ったときに無線発信端末101が存在する位置を、再判定期間の前の無線発信端末101の存在位置から想定される所定範囲に含められる。このことは、再判定時に所定範囲外の無線受信機70,70Aからの受信データを管理コンピュータ60,60Aが受信せずに済むことを意味しており、再判定のためのデータから省くことができるということになる。その結果、再判定時の計算負荷を軽減することができる。
位置推定部66,66Aが、複数の無線受信機70,70Aの配置位置のうちの外周部を除いて所定範囲を設定するように構成されていると、再判に有効活用される可能性の小さい外周部の受信データが無線受信機70,70Aから管理コンピュータ60,60Aに送られてこなくなる。つまり、再判に有効活用される可能性の小さい外周部の受信データを再判定時に省くことができることから、有効な再判定を行ないながら再判定時の計算負荷を軽減することができる。
60,60A 管理コンピュータ
66,66A 位置推定部
70,70A 無線受信機
101 第1無線発信端末
102 第2無線発信端末
Claims (5)
- 所定の屋内空間を移動可能な第1無線発信端末(101)から受信する電波の電波強度を使って前記第1無線発信端末の位置を推測し、前記屋内空間を移動可能な第2無線発信端末(102)から受信する電波の電波強度を使って前記第2無線発信端末の位置を推測する測位システムであって、
前記屋内空間に対して配置され、前記第1無線発信端末の電波強度に基づいて決定され且つ前記第1無線発信端末の端末識別データに対応した第1基準強度と前記第2無線発信端末の電波強度に基づいて決定され且つ前記第2無線発信端末の端末識別データに対応した第2基準強度とを記憶する基準強度記憶部(71)を有し、前記第1無線発信端末及び前記第2無線発信端末から受信する電波の電波強度を検知し、電波強度に関する情報を含む受信データを生成可能な複数の無線受信機(70,70A)と、
前記第1基準強度及び前記第2基準強度を決定して前記基準強度記憶部に伝送する基準強度決定部(66b)を有し、複数の前記無線受信機が生成可能な前記受信データの中の限られた範囲の第1位置推定用データ及び第2位置推定用データを用いて複数の前記無線受信機の配置位置に基づいて前記第1無線発信端末及び前記第2無線発信端末の位置をそれぞれ推定する位置推定部(66,66A)と
を備え、
前記位置推定部及び複数の前記無線受信機のうちの少なくとも一方は、前記第1無線発信端末について受信可能な前記受信データの中から第1設定領域に限定して前記第1位置推定用データを取得し得るように構成され、前記第2無線発信端末について受信可能な前記受信データの中から第2設定領域に限定して前記第2位置推定用データを取得し得るように構成され、複数の前記無線受信機が前記第1基準強度よりも低い電波強度の前記受信データの前記位置推定部への送信を中止することで前記第1基準強度以上の電波強度の前記受信データを前記第1位置推定用データとして用いることにより前記第1設定領域を設定し、複数の前記無線受信機が前記第2基準強度よりも低い電波強度の前記受信データの前記位置推定部への送信を中止することで前記第2基準強度以上の電波強度の前記受信データを前記第2位置推定用データとして用いることにより前記第2設定領域を設定する、測位システム。 - 前記位置推定部及び複数の前記無線受信機のうちの少なくとも一方は、前記位置推定部が前記第1無線発信端末及び前記第2無線発信端末の位置を推定する運用期間の前に判定期間を設定し、前記判定期間において前記第1無線発信端末及び前記第2無線発信端末から受信する電波の電波強度を判定して前記第1基準強度及び前記第2基準強度を設定する、
請求項1に記載の測位システム。 - 所定の屋内空間を移動可能な第1無線発信端末(101)から受信する電波の電波強度を使って前記第1無線発信端末の位置を推測し、前記屋内空間を移動可能な第2無線発信端末(102)から受信する電波の電波強度を使って前記第2無線発信端末の位置を推測する測位システムであって、
前記屋内空間に対して配置され、前記第1無線発信端末についての第1ピーク強度と前記第2無線発信端末についての第2ピーク強度とを記憶するピーク強度記憶部(72)を有し、前記第1無線発信端末及び前記第2無線発信端末から受信する電波の電波強度を検知し、電波強度に関する情報を含む受信データを生成可能な複数の無線受信機(70,70A)と、
前記第1ピーク強度及び前記第2ピーク強度を決定して前記ピーク強度記憶部に伝送するピーク強度決定部(66d)を有し、複数の前記無線受信機が生成可能な前記受信データの中の限られた範囲の第1位置推定用データ及び第2位置推定用データを用いて複数の前記無線受信機の配置位置に基づいて前記第1無線発信端末及び前記第2無線発信端末の位置をそれぞれ推定する位置推定部(66,66A)と
を備え、
前記位置推定部及び複数の前記無線受信機のうちの少なくとも一方は、前記第1無線発信端末について受信可能な前記受信データの中から第1設定領域に限定して前記第1位置推定用データを取得し得るように構成され、前記第2無線発信端末について受信可能な前記受信データの中から第2設定領域に限定して前記第2位置推定用データを取得し得るように構成され、前記第1無線発信端末の電波強度に基づいて決定される第1基準強度以上の電波強度の前記受信データを前記第1位置推定用データとして用いるために前記第1設定領域を複数の前記無線受信機のうちの前記第1無線発信端末より受信する電波が前記第1ピーク強度より強いものを中心とする地域以外からの前記位置推定部への送信を中止することで設定し、前記第2無線発信端末の電波強度に基づいて決定される第2基準強度以上の電波強度の前記受信データを前記第2位置推定用データとして用いるために前記第2設定領域を複数の前記無線受信機のうちの前記第2無線発信端末より受信する電波が前記第2ピーク強度よりも強いものを中心とする地域以外からの前記位置推定部への送信を中止することで設定する、測位システム。 - 前記位置推定部及び複数の前記無線受信機のうちの少なくとも一方は、前記位置推定部が前記第1無線発信端末及び前記第2無線発信端末の位置を推定する運用期間の前に判定期間を設定し、前記判定期間において前記第1無線発信端末及び前記第2無線発信端末から受信する電波の電波強度を判定して前記第1ピーク強度及び前記第2ピーク強度を設定する、
請求項3に記載の測位システム。 - 前記位置推定部及び複数の前記無線受信機のうちの少なくとも一方は、前記第1無線発信端末及び前記第2無線発信端末が検出された後に前記第1設定領域及び前記第2設定領域をそれぞれ設定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の測位システム。
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