JP6140752B2 - 低α線ビスマス及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体の製造等に使用される、α線量を低減させたビスマス、及びその製造方法に関する。
最近の半導体装置等は、高密度化及び動作電圧やセルの容量が低下しているので、半導体チップ近傍の材料からのα線の影響により、ソフトエラーが発生する危険が多くなってきた。そのため、はんだ材料として使用されるビスマスについて、高純度化とともにα線の放射の少ない材料が求められている。
特許文献1は、ヘキサフルオロケイ酸や添加剤を用いない、酸(塩酸又は硫酸)のみの電解液において、pH、電解液中のビスマス濃度、電解液温度、電流密度を制御することで、鉛を1ppm以下、ウラン、トリウムをそれぞれ5ppb以下、α線量を0.01cph/cm2以下を達成できたことを開示している。
特開2013−185214号公報
本発明の目的は、はんだ材料としての要求に適応できるビスマスであって、従来よりもさらにα線量が低減されたビスマスを提供することにある。
本発明者は、ビスマスの低α線量化について、鋭意研究を行ってきたところ、ビスマスのα線量を低減するために、ポロニウムの含有量を低減させる着想に至った。そして、硝酸ビスマス溶液を陽イオン交換樹脂と接触させて、ポロニウムを吸着後、液と樹脂を分離して硝酸ビスマス溶液を得て、電解採取により金属ビスマスを得る工程を、少なくとも2回繰り返すことで、非常にα線量の低いビスマスを得られることを見いだして、本発明に到達した。
したがって、本発明は、次の(1)以下を含む。
(1)
α線量が0.0025cph/cm2以下である、低α線ビスマス。
(2)
α線量が0.0020cph/cm2以下である、(1)に記載の低α線ビスマス。
(3)
Pb含有量が0.1ppm以下である、(1)又は(2)に記載の低α線ビスマス。
(4)
U、Thの含有量が、それぞれ5ppb以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の低α線ビスマス。
(5)
α線量が2.0cph/cm2以下であるビスマスを原料として使用し、原料ビスマスを電気分解により硝酸溶液に溶解して、ビスマス濃度5〜50g/Lである、pH0.0〜0.4の硝酸ビスマス溶液を調整する工程、
硝酸ビスマス溶液を、イオン交換樹脂に接触させて、溶液中のポロニウムをイオン交換樹脂で交換除去したイオン交換ビスマス溶液を得る工程(1段目のイオン交換樹脂吸着工程)、
イオン交換ビスマス溶液から電解採取して、電解採取ビスマスを回収する工程、
電解採取ビスマスを、電気分解により硝酸溶液に溶解して、ビスマス濃度5〜50g/Lである、pH0.0〜0.4の硝酸ビスマス溶液(電解採取−硝酸ビスマス溶液)を調整する工程、
電解採取−硝酸ビスマス溶液を、イオン交換樹脂に接触させて、溶液中のポロニウムをイオン交換樹脂で交換除去したイオン交換ビスマス溶液(電解採取−硝酸−イオン交換ビスマス溶液)を得る工程(2段目のイオン交換樹脂吸着工程)、
電解採取−硝酸−イオン交換ビスマス溶液から、電解採取して、電解採取ビスマス(電解採取−硝酸−イオン交換−電解採取ビスマス)を回収する工程、
を含む、低α線ビスマスの製造方法。
(6)
前記1段目のイオン交換樹脂吸着工程での通液速度に対して、2段目のイオン交換樹脂吸着工程の通液速度を低くすることを特徴とする、(5)に記載の方法。
(7)
原料ビスマスのα線量が0.6cph/cm2以上、2.0cph/cm2以下である、(5)又は(6)に記載の方法。
本発明によれば、α線が最小化された低α線ビスマスを得ることができる。本発明の低α線ビスマスによれば、半導体装置のα線の影響によるソフトエラーの発生を著しく減少できる。
図1は、ウラン(U)が崩壊し、206Pbに至るまでの崩壊チェーン(ウラン・ラジウム崩壊系列)を示す図である。 図2は、ビスマスの溶解・鋳造後の時間経過によるα線量の推移を示す図である。
本発明を具体的な実施の形態をあげて以下に詳細に説明する。本発明は以下に開示された具体的な実施の形態に限定されるものではない。
[低α線ビスマスの製造方法]
本発明によれば、α線量が2.0cph/cm2以下であるビスマスを原料として使用し、原料ビスマスを電気分解により硝酸溶液に溶解して、ビスマス濃度5〜50g/Lである、pH0.0〜0.4の硝酸ビスマス溶液を調整する工程、硝酸ビスマス溶液を、イオン交換樹脂に接触させて、溶液中のポロニウムをイオン交換樹脂で交換除去したイオン交換ビスマス溶液を得る工程、イオン交換ビスマス溶液から電解採取して、電解採取ビスマスを回収する工程、電解採取ビスマスを、電気分解により硝酸溶液に溶解して、ビスマス濃度5〜50g/Lである、pH0.0〜0.4の硝酸ビスマス溶液(電解採取−硝酸ビスマス溶液)を調整する工程、電解採取−硝酸ビスマス溶液を、イオン交換樹脂に接触させて、溶液中のポロニウムをイオン交換樹脂で交換除去したイオン交換ビスマス溶液(電解採取−硝酸−イオン交換ビスマス溶液)を得る工程、電解採取−硝酸−イオン交換ビスマス溶液から、電解採取して、電解採取ビスマス(電解採取−硝酸−イオン交換−電解採取ビスマス)を回収する工程、を含む方法によって、低α線ビスマスを製造することができる。
このように、原料ビスマスを出発材料として、電気分解による硝酸溶解の工程、イオン交換の工程、電解採取の工程を行って、これらの1回目の工程に続けて2回目の工程を再び行うこと、つまりこれらの1回目の工程に続けて、硝酸再溶解の工程、再イオン交換の工程、再電解採取の工程を行うことによって、低α線ビスマスを製造できる。本発明では、1回目の工程に続けて2回目の工程を行うことによって低α線化を実現しているが、2回目の工程と同じ工程のセットを、さらに繰り返して行うことによって、さらに低α線化を行うこともまた、本発明の範囲内である。
[ビスマスの低α線化の着想]
ビスマスは全て放射性同位体であり、α線放射に関与する核種は複数存在する。これらの放射性同位体のためにα線量が高いと考えられており、低α線化のためにはこれらα線放射に関与する同位体を分離・除去しなければならず、工業的にα線量の低いビスマスを製造することは無理だと考えられていた。このような技術常識に対して、本発明者は、ビスマスの低α線化への検討を、次のような着想に基づいて鋭意行った。
α線を発生する放射性元素は数多く存在するが、多くは半減期が非常に長いか非常に短いためにおそらくは問題にならず、実際に問題になるのはU崩壊チェーン(図1参照)における、ポロニウムの同位体210Poから鉛の同位体206Pbに壊変する時に発生するα線であろう。このうち、209Biは半減期が1.9×1019年と非常に長いのでおそらくは問題とならない。209Bi以外でα線放射に関与する同位体の中で最も半減期が長いのは、210Biであり半減期は5日である(図1参照)。他のα線放射に関与する同位体211Bi、212Bi、214Biは半減期がそれぞれ2分、61分、20分と非常に短く、これらの娘核種、孫核種も同様に半減期が非常に短いので、おそらくは問題とならない。図1に示すように、210Biは、210Bi→210Po→206Pbと壊変し、210Poが206Pbに壊変する時にα線が放射される。206Pbは安定同位体である。
ビスマスから放射されるα線量を調査した結果、他の金属では見られないビスマス特有のα線量変化をすることが分かった(図2参照)。通常、例えば錫の場合は溶解・鋳造直後はα線量が低く、時間の経過と共にα線量が増加する。しかし、ビスマスの場合は溶解・鋳造直後にα線量が高く、時間が経過するとα線量が低くなる。このビスマス特有のα線量変化を踏まえて鋭意検討した結果、α線放射に関与するビスマス中の放射性元素の大部分はポロニウムであることが分かった。しかし、210Poの半減期よりも充分に長い時間、すなわち210Poがほとんど崩壊してなくなるほどの長時間かけても、ビスマスのα線量はある一定以下には下がってこない。
本発明者は、この原因がビスマス中に210Pbが存在し、210Pb→210Bi→210Po→206Pbの崩壊が起こることによるものと考えた。すなわち、材料中に鉛の同位体210Pb(半減期22.3年)が含有されていると、時間の経過とともに210Pb→210Bi(半減期5日)→210Po(半減期138日)の壊変(図1)が進み、崩壊チェーンが再構築されて210Poが生じるために、ポロニウムの同位体210Poから鉛の同位体206Pbへの壊変によるα線が発生し、これがビスマスのα線の主要な原因であるとの仮説に到達した。
この仮説によれば、ポロニウムの除去が、ビスマスの低α線化に有効であること、好ましくは鉛の除去もまた、ビスマスの低α線化に有効であることが導かれる。この着想に基づいて、本発明者は、工業的にα線量の低いビスマスを製造することを可能とする、本発明に到達した。尚、本発明で使用する「ppm」の単位表記は、「重量ppm(wtppm)」を意味する。金属ビスマスのα線カウント数は、Ordela社製のGas Flow Proportional Counterモデル8600A−LBを用いて測定した場合のα線量を示す。該装置においては、使用するガスを90%アルゴン−10%メタンとし、測定時間をバックグラウンド及び試料とも104時間とした。測定時間のうち最初の4時間は測定室パージに必要な時間とし、その後5時間から104時間後まではデータの測定に必要な時間とした。測定装置から微量のα線(バックグラウンド(BG)α線)が出るため、α線カウント数の測定データからバッググラウンドα線カウント数を差し引いた値を、金属ビスマスのα線カウント数として評価した。金属ビスマスのα線カウント数は電解採取から3ヶ月以内に測定した結果を意味する。
[原料ビスマス]
原料ビスマスとしてはα線量が低い金属ビスマスが望ましい。例えば、表面α線量が、2.0cph/cm2以下、好ましくは、0.6cph/cm2以上2.0cph/cm2以下であるものを使用できる。これらは、目標とするα線の低減値によって、適宜使用することができる。
[硝酸溶解]
電気分解によって原料ビスマスを硝酸溶解して、ビスマス濃度が5〜50g/L、pH0.0〜0.4の硝酸ビスマス溶液を調製する。この電気分解によって原料ビスマスを硝酸溶液に溶解し、ビスマスよりも電位的に貴な元素を除去することができる。硝酸溶液のビスマス濃度は、5〜50g/Lとすることが好ましく、5g/Lよりも低いと生産効率が悪く、50g/Lよりも多いとビスマス化合物の沈澱が生じ、歩留りが悪くなる。硝酸溶液のpHは0.0〜0.4が好ましく、pHが0.0よりも低いと多くの薬品量が必要となり、0.4よりも高いとビスマスの溶解度が下がって充分なビスマス濃度を得ることが難しくなる。
[イオン交換]
硝酸ビスマス溶液を、イオン交換樹脂に接触させて、溶液中のポロニウム(Po)をイオン交換樹脂で交換除去して、ビスマス溶液(イオン交換ビスマス溶液)を得る。イオン交換樹脂への接触は、公知の手段で行うことができ、例えば、イオン交換樹脂を充填したカラムに硝酸ビスマス溶液を通液して接触させてもよく、あるいは硝酸ビスマス溶液中へイオン交換樹脂を投入した後に、固液分離してもよい。
イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂を好適に使用できる。陽イオン交換樹脂の陽イオン交換基としては、例えば、−SO3H基、−COOH基を挙げることができる。好適な実施の態様において、−SO3H基を陽イオン交換基として有する樹脂が好ましい。イオン交換樹脂の樹脂としては、上記処理に耐えられる樹脂であれば特に制限はなく、例えば、スチレン系、ジビニルベンゼン系、アクリル系、メタクリル系等の樹脂を挙げることができる。好適な実施の態様において、スチレン系の樹脂が好ましい。
イオン交換樹脂の容量は、硝酸ビスマス溶液の体積と濃度に応じて、適宜選択して使用することができるが、好ましくは硝酸ビスマス溶液100Lあたり500mL以上2L以下とすることができ、500mLより低容量ではポロニウムの樹脂吸着性が下がり、ポロニウム除去効率が下がり、2Lより高容量では、樹脂の使用量が増加して処理コストが高くなり、さらに樹脂に吸着されるビスマスの量が増えて歩留りが低下する。
イオン交換樹脂カラムを使用する場合に、硝酸ビスマス溶液のカラムへの通液速度は、好ましくは、8L/h以上15L/h以下であり、8L/hより低速度では処理時間がかかり、15L/hを超えると通液速度が速すぎて、吸着されずに通過するポロニウムが増加し、後述の再イオン交換時に取り除ききれなくなる恐れがある。
[電解採取]
イオン交換後に固液分離した溶液(イオン交換ビスマス溶液)から電解採取して、ビスマス(電解採取ビスマス)を回収する。この電解採取により、ビスマスよりも電位的に卑な元素を除去することができる。これにより、効果的にビスマスを高純度化できる。電解採取の条件としては、公知の条件を使用することができる。
[硝酸再溶解]
電解採取ビスマスを、電気分解により硝酸溶液に溶解(再溶解)して、ビスマス濃度5〜50g/Lである、pH0.0〜0.4の硝酸ビスマス溶液(電解採取−硝酸ビスマス溶液)を調整する。この硝酸再溶解は、上述の硝酸溶解と同様の手順で行うことができる。
[再イオン交換]
電解採取−硝酸ビスマス溶液を、イオン交換樹脂に接触させて、溶液中のポロニウムをイオン交換樹脂で交換除去したイオン交換ビスマス溶液(電解採取−硝酸−イオン交換ビスマス溶液)を得る。イオン交換樹脂の容量は、前述のイオン交換と同様に、硝酸ビスマス溶液の体積と濃度に応じて、適宜選択して使用することができるが、好ましくは硝酸ビスマス溶液100Lあたり500mL以上2L以下である。イオン交換樹脂カラムを使用する場合、通液速度は好ましくは4L/h以上8L/h以下であり、4L/hより低速度では処理時間がかかり、8L/hを超えると通液速度が速すぎて、吸着されずに通過するポロニウムが増加する。1回目のイオン交換時よりも2回目の方が液中のポロニウムの濃度が薄いため、通液速度を遅くする必要がある。
[再電解採取]
電解採取−硝酸−イオン交換ビスマス溶液から、電解採取して、電解採取ビスマス(電解採取−硝酸−イオン交換−電解採取ビスマス)を回収する。この再電解採取は、上述の電解採取と同様の手順で行うことができる。
[低α線ビスマス]
本発明による低α線ビスマスは、表面α線量が0.0025cph/cm2以下、好ましくは0.0020cph/cm2以下、さらに好ましくは0.0018cph/cm2以下である。このような低α線量の金属ビスマスは、これまで製造されていない。本発明による低α線ビスマスは、好ましくはPb含有量が0.1ppm以下である。本発明による低α線ビスマスは、好ましくはU、Thの含有量が、それぞれ5ppb以下である。このような含有量とすることで、経時的に到達するであろう表面α線量を含めて、極めて低減された低α線ビスマスとすることができる。
本発明の低α線ビスマスは、これを合金とした場合にも、ビスマス由来のα線に関し、同様に優れた低α線化を実現できる。本発明の低α線ビスマスを含有する合金もまた本発明の範囲内である。
以下に、実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下に例示する実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
[ビスマスの精製]
α線量が1.81cph/cm2である原料ビスマスを電気分解により硝酸溶液に溶解し、ビスマスよりも電位的に貴な元素を除去した。この硝酸ビスマス溶液は、Bi濃度40.0g/L、pH=0.3、100Lを用いた。
この硝酸ビスマス溶液を陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、ダイヤイオンSK−1B、陽イオン交換基:スルホン酸基(−SO3H))2Lを充填したカラムに15L/hで通液した。
次に、上記通液後の液1を用いて、25A、0.48A/cm2で電解採取してビスマスよりも電位的に卑な元素を除去し、金属ビスマスを得た。
上記得られたビスマスを電気分解により硝酸溶液に溶解し、ビスマスよりも電位的に貴な元素を除去した。この硝酸ビスマス溶液は、Bi濃度39.2g/L、pH=0.3、100Lを用いた。
この硝酸ビスマス溶液を陽イオン交換樹脂2Lを充填したカラムに8L/hで通液した。
次に、上記通液後の液2を用いて、25A、0.48A/cm2で電解採取してビスマスよりも電位的に卑な元素を除去し、金属ビスマスを得た。
[α線測定]
得られた金属ビスマスをα線測定装置でα線量を測定した。金属ビスマスのα線カウント数は、Ordela社製のGas Flow Proportional Counterモデル8600A−LBを用いて測定した場合のα線量を示す。該装置においては、使用するガスを90%アルゴン−10%メタンとし、測定時間をバックグラウンド及び試料とも104時間とした。測定時間のうち最初の4時間は測定室パージに必要な時間とし、その後5時間から104時間後まではデータの測定に必要な時間とした。測定装置から微量のα線(バックグラウンド(BG)α線)が出るため、α線カウント数の測定データからバッググラウンドα線カウント数を差し引いた値を、金属ビスマスのα線カウント数として評価した。その結果、原料ビスマスのα線量と精製して得られたビスマスのα線量を表1に示す。表1に示すように、原料の表面α線量は1.81cph/cm2であったが、1回目の精製後は0.52cph/cm2、2回目の精製後は0.0018cph/cm2となり、α線量の低下は顕著であった。また、GDMS(グロー放電質量分析法)により得られたビスマスを分析したところ、Pbの含有量は0.1ppm以下、U、Thの含有量はそれぞれ5ppb以下であった。
[実施例2]
[ビスマスの精製]
α線量が1.95cph/cm2である原料ビスマスを電気分解により硝酸溶液に溶解し、ビスマスよりも電位的に貴な元素を除去した。この硝酸ビスマス溶液は、Bi濃度42.6g/L、pH=0.3、100Lを用いた。
この硝酸ビスマス溶液を陽イオン交換樹脂500mLを充填したカラムに8L/hで通液した。
次に、上記通液後の液3を用いて、50A、0.95A/cm2で電解採取してビスマスよりも電位的に卑な元素を除去し、金属ビスマスを得た。
上記得られたビスマスを電気分解により硝酸溶液に溶解し、ビスマスよりも電位的に貴な元素を除去した。この硝酸ビスマス溶液は、Bi濃度41.3g/L、pH=0.3、100Lを用いた。
この硝酸ビスマス溶液を陽イオン交換樹脂500mLを充填したカラムに4L/hで通液した。
次に、上記通液後の液4を用いて、50A、0.95A/cm2で電解採取してビスマスよりも電位的に卑な元素を除去し、金属ビスマスを得た。
[α線測定]
得られた金属ビスマスをα線測定装置でα線量を実施例1と同様の方法で測定した。原料ビスマスのα線量と精製して得られたビスマスのα線量を表2に示す。表2に示すように、原料の表面α線量は1.95cph/cm2であったが、1回目の精製後は0.33cph/cm2、2回目の精製後は0.0005cph/cm2となり、α線量の低下は顕著であった。また、GDMS(グロー放電質量分析法)により得られたビスマスを分析したところ、Pbの含有量は0.1ppm以下であった。U、Thの含有量はそれぞれ5ppb以下であった。
[比較例1]
[ビスマスの精製]
α線量が2.25cph/cm2である原料ビスマスを電気分解により硝酸溶液に溶解し、ビスマスよりも電位的に貴な元素を除去した。この硝酸ビスマス溶液は、Bi濃度42.6g/L、pH=0.3、100Lを用いた。
この硝酸ビスマス溶液を陽イオン交換樹脂300mLを充填したカラムに17L/hで通液した。
次に、上記通液後の液5を用いて、50A、0.95A/cm2で電解採取してビスマスよりも電位的に卑な元素を除去し、金属ビスマスを得た。
上記得られたビスマスを電気分解により硝酸溶液に溶解し、ビスマスよりも電位的に貴な元素を除去した。この硝酸ビスマス溶液は、Bi濃度40.3g/L、pH=0.3、100Lを用いた。
この硝酸ビスマス溶液を陽イオン交換樹脂300mLを充填したカラムに10L/hで通液した。
次に、上記通液後の液6を用いて、50A、0.95A/cm2で電解採取してビスマスよりも電位的に卑な元素を除去し、金属ビスマスを得た。
[α線測定]
得られた金属ビスマスをα線測定装置でα線量を測定した。原料ビスマスのα線量と精製して得られたビスマスのα線量を表3に示す。表3に示すように、原料の表面α線量は2.25cph/cm2であったが、1回目の精製後は0.78cph/cm2、2回目の精製後は0.0042cph/cm2となり、α線量は低下したが、実施例と対比すれば充分ではなかった。
本発明によれば、α線が最小化された低α線ビスマスを得ることができる。本発明は産業上有用な発明である。

Claims (7)

  1. α線量が0.0025cph/cm2以下である(ただし、α線測定装置におけるα線測定時間をバックグラウンド及び試料とも104時間とし、この104時間のうち最初の4時間をα線測定室のパージに必要な時間とし、その後5時間から104時間後までをα線測定時間とし、このα線測定装置で得られたα線カウント数から、このα線測定装置のバックグラウンドα線カウント数を差し引き、このようにして得られた値を低α線ビスマスのα線量とする)、低α線ビスマス。
  2. α線量が0.0020cph/cm2以下である、請求項1に記載の低α線ビスマス。
  3. Pb含有量が0.1ppm以下である、請求項1又は2に記載の低α線ビスマス。
  4. U、Thの含有量が、それぞれ5ppb以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の低α線ビスマス。
  5. α線量が2.0cph/cm2以下であるビスマスを原料として使用し、原料ビスマスを電気分解により硝酸溶液に溶解して、ビスマス濃度5〜50g/Lである、pH0.0〜0.4の硝酸ビスマス溶液を調整する工程、
    硝酸ビスマス溶液を、イオン交換樹脂に接触させて、溶液中のポロニウムをイオン交換樹脂で交換除去したイオン交換ビスマス溶液を得る工程(1段目のイオン交換樹脂吸着工程)、
    イオン交換ビスマス溶液から電解採取して、電解採取ビスマスを回収する工程、
    電解採取ビスマスを、電気分解により硝酸溶液に溶解して、ビスマス濃度5〜50g/Lである、pH0.0〜0.4の硝酸ビスマス溶液(電解採取−硝酸ビスマス溶液)を調整する工程、
    電解採取−硝酸ビスマス溶液を、イオン交換樹脂に接触させて、溶液中のポロニウムをイオン交換樹脂で交換除去したイオン交換ビスマス溶液(電解採取−硝酸−イオン交換ビスマス溶液)を得る工程(2段目のイオン交換樹脂吸着工程)、
    電解採取−硝酸−イオン交換ビスマス溶液から、電解採取して、電解採取ビスマス(電解採取−硝酸−イオン交換−電解採取ビスマス)を回収する工程、
    を含む、低α線ビスマスの製造方法。
  6. 前記1段目のイオン交換樹脂吸着工程での通液速度に対して、2段目のイオン交換樹脂吸着工程の通液速度を低くすることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 原料ビスマスのα線量が0.6cph/cm2以上、2.0cph/cm2以下である、請求項5又は6に記載の方法。
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