JP6140500B2 - ガスセンサ - Google Patents
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Description
そして、上記ガス検出素子はMEMSの技術を用いて作製されており、基板上にダイヤフラムを形成する絶縁層を設け、この絶縁層に発熱抵抗体を配置させる構成を採っている。これにより、発熱抵抗体から基板への熱逃げがダイヤフラム部分で少なくなるので、発熱抵抗体の熱が被検出ガスへ伝わり易くなる。
又、ガス検出素子の表面側から基板内部へスリットを介してエッチング液を流してエッチングを進行させ、発熱抵抗体の下方に空洞を設けてダイヤフラムを形成したマイクロヒータが開発されている(例えば、特許文献2参照)。このマイクロヒータでは、スリット(貫通孔)がダイヤフラムを貫通して空洞へ向かって形成されるので、スリットに隣接する発熱部では被検出ガスとの接触面積が増え、被検出ガスへ熱が伝わり易くなる。
すなわち、本発明は、熱伝導式ガスセンサにおける発熱抵抗体から被検出ガスへの熱伝達率を高め、被検出ガスの検出精度を向上させたガスセンサの提供を目的とする。
このガスセンサによれば、貫通孔の内側面がテーパ状であるため、内側面が垂直な場合に比べ、内側面を介した内部のヒータと被検出ガスとの接触面積が増え、貫通孔に隣接する発熱抵抗体では熱がさらに被検出ガスへ伝わり易くなる。このため、発熱抵抗体から被検出ガスへの熱伝達率が高くなり、被検出ガスの検出精度を向上させることができる。
このガスセンサによれば、貫通孔をレジスト法によって容易に形成することができる。
変曲点付近ではヒータパターンが入り組んでおり、ヒータによる発熱量も高いため、線を挟んで複数の貫通孔が形成されていると、ヒータの熱がさらに被検出ガスへ伝わり易くなる。
このガスセンサによれば、凹部は底面を有しているため、底面部分が補強部となって基板の強度低下を抑制できるので、ガス検出素子の寸法が小さい(基板の厚みが薄い)場合であっても強度が確保される。
図1は、本発明が適用されたガスセンサ1の全体構成図である。
ガスセンサ1は、熱伝導式のガス検出素子11を用いて、可燃性ガスの濃度を検出するものであり、例えば、燃料電池自動車の客室内に設置され、水素の漏れを検出する目的等に用いられる。
ガス検出回路91は、ガス検出素子11に備えられた発熱抵抗体15と、固定抵抗95,96,97とによって構成されるホイートストーンブリッジ911、及び、ホイートストーンブリッジ911から得られる電位差を増幅するオペアンプ912を備えている。
発熱抵抗体15として、自身の温度の上昇に伴い抵抗値が上昇する抵抗体を用いた場合、このオペアンプ912は、発熱抵抗体15の温度が所定の温度に保たれるように、発熱抵抗体15の温度が上昇した場合には出力する電圧を低くし、発熱抵抗体15の温度が下降した場合には出力する電圧を高くするように作動する。
温度測定回路93は、ガス検出素子11に備えられた測温抵抗体80(後述する)と、固定抵抗101,102,103によって構成されるホイートストーンブリッジ931と、ホイートストーンブリッジ931から得られる電位差を増幅するオペアンプ933とを備えている。このオペアンプ933の出力はマイコン94により検出され、マイコン94により検出された出力値は、被検出ガスの温度を測定するのに用いられ、さらに、被検出ガスに含まれ可燃性ガスを検出するための演算処理に供される。
次に、ガス検出素子11の構成について説明する。図2はガス検出素子11の平面図を示し、図3は図2のA−A線切断部およびB−B線切断部におけるそれぞれの端面図を示す。尚、図2において、紙面の左右方向をその平面図の左右方向とする。また、図3において、紙面の上下方向をその断面図の上下方向とする。
図2に示すように、ガス検出素子11は、平板形状(平面視四角形状)をなし、その表面の四隅にそれぞれ電極21、23、88、89が形成され、他方の面(裏面)の中心付近に、詳しくは後述する平面視矩形のダイヤフラムDが形成されている。
又、図3に示すように、ガス検出素子11は、シリコン半導体からなる基板13を備えるとともに、基板13の上下両側に絶縁層(上側絶縁層45、下側絶縁層47)を備えている。上側絶縁層45は、基板13の表面に形成されており、一方、下側絶縁層47は、基板13の裏面に形成されている。尚、上側絶縁層45は、基板13の表面に形成される複数の絶縁層33〜39から構成される。
なお、凹部13Cは底面を有しているため、底面部分が補強部となって基板13の強度低下を抑制できるので、ガス検出素子11の寸法が小さい(基板13の厚みが薄い)場合であっても強度が確保される。もちろん、凹部13Cが底面を有さず、基板13の底面側からダイヤフラムDに向かってピラミッド形状(四角錐形状)に除去された形態であってもよい。
発熱抵抗体15は、被検出ガスの温度(詳細には、可燃性ガスへの熱伝導)により自身の温度変化により抵抗値が変化する抵抗体である。発熱抵抗体15は、温度抵抗係数が大きい導電性材料で構成され、本実施形態では白金(Pt)で形成されている。可燃性ガスとしての水素ガスを検出する場合、水素ガスへの熱伝導によって発熱抵抗体15から奪われる熱量の大きさは、水素ガス濃度に応じた大きさとなる。このことから、発熱抵抗体15における電気抵抗値の変化に基づいて、水素ガス濃度を検出することが可能となる。
そして、ダイヤフラムD内に発熱抵抗体15を設けることにより、発熱抵抗体15が周囲から断熱されるため、短時間にて昇温又は降温する。このため、ガス検出素子11の熱容量を小さくすることができる。
又、上側絶縁層45及び下側絶縁層47は、単一の材料で形成されてもよいし、異なる材料を用いて複数層を成すように形成されてもよい。本実施形態では上側絶縁層45を構成する複数層は、表面側から基板13側へ向かって順に、窒化珪素層(Si3N4層)からなる保護層39、酸化ケイ素(SiO2)からなる上側絶縁保護層37、酸化ケイ素(SiO2)からなる下側絶縁保護層35、窒化珪素層(Si3N4層)からなる絶縁層33を積層してなる。上側絶縁保護層37と下側絶縁保護層35とは同一組成からなり、全体として絶縁保護層43として機能しており、発熱抵抗体15は絶縁保護層43内に埋設されている。
なお、最表層をなす保護層39は、発熱抵抗体15、測温抵抗体80、配線膜16の汚染や損傷を防止すべくそれらを覆うように設けられている。
一方、下側絶縁層47は、窒化珪素層(Si3N4層)からなる絶縁層34で形成されている。
又、ガス検出素子11は、縦横ともに数mm(例えば3mm×3mm)程度の大きさであり、例えば、シリコン半導体基板を用いたマイクロマシニング技術(マイクロマシニング加工)により製造される。
測温抵抗体80は、測温抵抗体80が形成された平面と同じ平面に埋設された配線膜(図示せず)を介して電極88及びグランド電極89に接続されている。電極88及びグランド電極89は、コンタクトホール(図示せず)を介して露出し、例えば、アルミニウム(Al)又は金(Au)で形成されている。
又、図3に示すように、貫通孔19(ダイヤフラムD)の内側面19eは、テーパ状をなしていて、表面側の開口のほうが反対側の開口よりも広くなっている。このように、貫通孔19の内側面19eがテーパ状であると、内側面19eが垂直な場合に比べ、内側面19eを介した内部の発熱抵抗体15と被検出ガスとの接触面積が増え、貫通孔19に隣接する発熱抵抗体15では熱がさらに被検出ガスへ伝わり易くなる。このため、発熱抵抗体15から被検出ガスへの熱伝達率が高くなり、被検出ガスの検出精度を向上させることができる。
又、向かい合うヒータパターン15a、15Bがそれぞれ向かい合う変曲点15ap、15bpを持ち、各変曲点15ap、15bpを結ぶ線Lを挟んだ位置にそれぞれ貫通孔19が形成されていると好ましい。変曲点15ap、15bp付近ではヒータパターン15a、15Bが入り組んでおり、発熱抵抗体(ヒータ)15による発熱量も高いため、線Lを挟んで複数の貫通孔19が形成されていると、発熱抵抗体15の熱がさらに被検出ガスへ伝わり易くなる。なお、変曲点は、ヒータパターンの輪郭を表す曲線(直線を含む)上で曲率の符号が変化する点である。
まず、シリコン半導体からなる基板13を準備し、この基板13を洗浄した上で基板13の上面及び下面に、それぞれPoly−Si膜からなる犠牲層31、32をLP−CVD法により成膜する。そして、シリコン基板13の上面側の犠牲層31を、ダイヤフラムDの形成領域に一致するように、必要領域を残しつつ不要領域を除去する(パターニングする)(図4(A))。この際、下面側の犠牲層32も除去する。
次に、減圧CVD法により、引張応力膜となる窒化珪素膜(Si3N4膜)からなる絶縁層33を基板13の上面(犠牲層31を含め)に形成し、同様に窒化珪素膜(Si3N4膜)からなる絶縁層34を基板13の下面に形成する。さらに、絶縁層33の表面に、圧縮応力膜である酸化珪素層(SiO2層)からなる下側絶縁保護層35をプラズマCVD法により形成する(図4(B))。
続いて、ヒータ配線部15を中心として上下方向(積層方向)の膜構成が対称となるように、プラズマCVD法により酸化ケイ素(SiO2)からなる上側絶縁保護層37を下側絶縁保護層35上に形成した後、LP−CVD法により窒化珪素層(Si3N4層)からなる保護層39を上側絶縁保護層37上に形成する。さらに、RIE(リアクティブイオンエッチング)の手法により、上側絶縁保護層37及び保護層39に対して、ヒータリード部16に通じるコンタクトホール41を形成する(図4(D))。なお、この工程において、測温抵抗体80についても、発熱抵抗体15と同様の手法により、上側絶縁保護層37と保護層39の間にパターニング形成する。
次に、RIE(リアクティブイオンエッチング)の手法により、保護層39、上側絶縁保護層37、下側絶縁保護層35、絶縁層33の積層体(ダイヤフラムDを形成する薄膜部)に対して、犠牲層31に通じるスリットをなす貫通孔19を複数箇所に形成する(図5(G))。
ここで、RIEによるエッチングでは、保護層39だけでなく、保護層39の上層のレジスト孔51周囲のレジスト膜50も同時にエッチングされる。そのため、エッチングの進行とともに、レジスト孔51のサイズが大きくなっていき、保護層39の表面側が下側よりも大きい開口を形成しながらエッチングされる。このようにして、貫通孔19の内側面19eもテーパ状(この例では表面側の開口のほうが反対側の開口よりも広いテーパ状)になる。その後、レジスト50を除去する。
なお貫通孔形成工程においては、犠牲層31の全体に分散した状態となるように、かつ図3に示すようにヒータパターンが向かい合う部位の少なくとも一部に、複数の貫通孔19を形成する。
これにより、シリコン基板13に凹部(空洞)13Cを形成することができる。このとき、薄膜部に分散して配置された複数の貫通孔19から異方性エッチング溶液が注入されるため、犠牲層31のエッチングは、犠牲層31の全体においてほぼ均等に進行することになる。このため、犠牲層31がエッチングされてエッチング液がシリコン基板13に達するときには、シリコン基板13のうち犠牲層31が積層された部分に対して、ほぼ均等にエッチング液が接触する状態となる。これにより、シリコン基板13のうち犠牲層31が積層された部分についても、この部分の全体においてほぼ均等にエッチングが進行することになる。
厳密に言うと、犠牲層31のエッチングが終了した際には、シリコン基板13の表面は多少エッチングされており、凹凸状になっている。しかし、凹部の深さが浅く、凸部のエッチングレートが凹部に比べて早いため、直ちに、シリコン基板13の表面(凹部13Cの底面)の凹凸は平らになる。
このようにシリコン基板13のエッチングが進むことで、エッチングにより形成される凹部13Cの形状を、底面が平らな形状にすることができる。そして、底面が平らな形状の凹部13Cは、ピラミッド形状(四角錐形状)のキャビティに比べて、深さ寸法が小さくなる。
なお、犠牲層31を構成する材料は、等方性エッチングが可能である材料が好ましい。さらに、犠牲層31を構成する材料は、半導体基板13をエッチングする際に用いるエッチング液でエッチング可能である材料が好ましい。上記2つの条件を満たす材料としては、本実施形態のようにポリシリコン(Poly−Si)が挙げられる。
又、上記したガス検出素子11の製造工程において、絶縁層33、34の密着性向上のため、絶縁層33、34を形成する下地側の層上に熱酸化膜を成膜しても良い。又、図4(D)のコンタクトホールの形成と、図5(G)の貫通孔の形成を同時に行っても良い。
13 基板
13C 基板の凹部
15 ヒータ(発熱抵抗体)
15a、15b ヒータパターン
15ap、15bp ヒータパターンの変曲点
19 貫通孔
19e 貫通孔(ダイヤフラム)の内側面
D ダイヤフラム(薄膜部)
L 変曲点を結ぶ線
Claims (5)
- 基板上に設けられてダイヤフラムを形成する薄膜部と、
前記薄膜部に設けられ、自身の温度変化により抵抗値が変化するヒータと、を備えた熱伝導式のガスセンサであって、
前記ダイヤフラムのうち、前記ヒータのヒータパターンが向かい合う部位の少なくとも一部にガスが流通する貫通孔が形成され、
前記貫通孔を形成する前記ダイヤフラムの内側面は、テーパ状をなしているガスセンサ。 - 前記貫通孔は、表面側の開口のほうが反対側の開口よりも広い請求項1記載のガスセンサ。
- 向かい合う前記ヒータパターンがそれぞれ向かい合う変曲点を持ち、各変曲点を結ぶ線を挟んだ位置にそれぞれ前記貫通孔が形成されている請求項1又は2記載のガスセンサ。
- 前記基板は底面を有する凹部を備え、前記ダイヤフラムは前記凹部の表面に形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載のセンサ。
- 前記ガスセンサは水素ガスを検出対象とする請求項1ないし4のいずれかに記載のガスセンサ。
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