JP6124072B2 - 水害対策用建物 - Google Patents

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本発明は、津波や河川の氾濫などの水害に対して優れた耐久性を備える水害対策用建物に関する。
例えば、地震時に発生した津波等に対し、安全性を確保するための各種施設として、鉄筋コンクリート造のビルや、やぐら状に構成した施設を避難施設とすることが提案、実施されている。また、大規模な津波発生時の沿岸部における緊急避難先として、国などで想定された最大津波高さよりも高く、高耐震性の鉄筋コンクリート造の中高層ビルを避難用施設として指定するケースが多くなっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−221792号公報
ここで、上記従来の避難施設は、一時的に避難するためのものであり、想定した津波等に対して十分に耐え得るように設計されているものではなく、必ずしも津波等に対して安全性が確認されているものではない。
このため、一時的に避難するためのものではなく、津波などの水害に対して優れた耐久性、安全性を備え、水害を受けた場合であっても持続的に使用可能な建物が強く望まれていた。
本発明は、上記事情に鑑み、津波などの水害に対して優れた耐久性(安全性)を備え、水害を受けた場合であっても持続的に使用可能な水害対策用建物を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の水害対策用建物は、水害対策用の建物であって、周方向全周にわたって延在するとともに、水害に対して予め設定された最大水位よりも高く、且つ水圧や流出物による衝撃に耐え得る耐圧性能を備えた外周防圧壁と、前記外周防圧壁の内側に一体に設けられ、前記外周防圧壁の内部空間を、中心部分の内側内部空間、及び前記外周防圧壁との間の外側内部空間に区画するコア隔壁と、前記外周防圧壁の前記内側内部空間内に設けられる複数階層の建物本体とを備え、前記外周防圧壁に、外面から外側に突出し前記周方向の全周にわたって延在する波返し部が設けられ、且つ前記建物本体の床スラブを前記コア隔壁及び/又は前記外周防圧壁に剛接合して構築されていることを特徴とする。
また、本発明の水害対策用建物においては、前記波返し部が高さ方向に所定の間隔をあけて複数設けられていることが望ましい。
さらに、本発明の水害対策用建物において、前記外周防圧壁には、地表面側に、外面から内面に貫通する複数の開口部が形成され、前記建物本体の最下部の床スラブが前記外周防圧壁の内側の前記開口部よりも上方に配設され、前記最下部の床スラブによって前記外周防圧壁の内側内部空間が前記開口部を介して外部と連通する下方空間と前記最下部の床スラブよりも上方の上方空間とに区画されていることがより望ましい。
また、本発明の水害対策用建物において、前記外周防圧壁は、少なくとも一部の外面が平面視で円弧状に形成されていることがさらに望ましい。
さらに、本発明の水害対策用建物においては、前記建物本体の最上部の床スラブが支持スラブとされ、前記支持スラブ上に設けられた免震装置によって前記支持スラブとの上下方向の間に免震層が形成され、該免震層を介して上部構造建物が前記支持スラブ上に構築されていてもよい。
本発明の水害対策用建物においては、外周防圧壁によって建物が全周にわたって囲まれているため、津波や洪水などの水害が発生した際に、外周防圧壁内に水が浸入して建物本体に浸水あるいは破壊といった被害が生じることを防止できる。
さらに、このとき、外周防圧壁に加え、コア隔壁、さらに建物本体の床スラブが外周防圧壁やコア隔壁に剛接合して設けられているため、外周防圧壁が床スラブやコア隔壁によって補強されることになり、建物に作用する津波や洪水などに伴って作用する外力に対して確実に且つ合理的に抵抗させることが可能になる。これにより、これらコア隔壁や床スラブを耐震要素として期待することが可能になる。
よって、本発明の水害対策用建物によれば、津波などの水害に対して優れた耐久性(安全性)を備え、水害を受けた場合であっても持続的に使用可能な信頼性の高い水害対策用建物を実現することが可能になる。さらに、免震構造を備えることなく、また、RC造のみで構築することも可能になり、この場合には、躯体コストの増加を抑え、低コストで信頼性の高い水害対策用建物を構築することが可能になる。
また、外周防圧壁に環状の波返し部が設けられていることにより、津波などが発生し、水害対策用建物に水が押し寄せた際に、この波返し部によって津波などの圧力に効率的に抵抗することができるとともに、外周防圧壁に衝突して上方に競り上がろうとする水を波返し部で抑えることができる。
さらに、波返し部が高さ方向に複数設けられていることにより、水害の発生時に押し寄せる水の水位、すなわち、津波の規模などが違っても、その水位に応じた位置の波返し部によって水の競り上がりを効果的に抑えることが可能になる。
これにより、津波などの水害の発生時に、外周防圧壁内に水が浸入し、建物本体に浸水あるいは破壊といった被害が生じることをより確実に防止できる。さらに、水害の発生時に、外部から建物上部への避難用の外部廊下として波返し部を利用することも可能にある。よって、水害が発生した際に、建物本体を緊急避難先として使用することもできる。
また、外周防圧壁の地表面側に開口部が設けられ、建物本体の最下部の床スラブによって下方空間と上部空間に区画されていると、水害の発生時に、水害対策用建物に押し寄せた水や瓦礫などの流出物の一部を、開口部から最下部の床スラブよりも下方のピロティー空間に通し、さらに他の開口部から外部に流通させることができる。これにより、水の流れに対する抵抗を少なくし、水害対策用建物に押し寄せた水や流出物による外周防圧壁への衝撃を軽減させることができ、外周防圧壁が破損し、外周防圧壁内に水が浸入することをより確実に防止することが可能になる。
さらに、外周防圧壁が例えば平面視略楕円の筒状に形成され、少なくとも一部の外面が平面視で円弧状に形成されていることによって、水害の発生時に、水害対策用建物に押し寄せた水の抵抗を受けにくくすることができる。すなわち、水の流れに対する抵抗を少なくし、水害対策用建物に押し寄せた水や流出物による外周防圧壁への衝撃を軽減させることができ、外周防圧壁が破損し、外周防圧壁内に水が浸入することをさらに確実に防止することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る水害対策用建物が沿岸部に設定されている状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る水害対策用建物を示す斜視図である。 図2のX1−X1線矢視図である。 図2のX2−X2線矢視図であり、本発明の一実施形態に係る水害対策用建物を示す断面図である。 図2のX3−X3線矢視図であり、本発明の一実施形態に係る水害対策用建物を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る水害対策用建物の変更例を示す斜視図である。 図6の断面図である。
以下、図1から図5を参照し、本発明の一実施形態に係る水害対策用建物について説明する。
本実施形態の水害対策用建物Aは、図1に示すように、例えば、沿岸部に設けられ、地震に伴って津波が発生した場合においても、この津波による水害に対して優れた耐久性(安全性)を備え、持続的・継続的に使用できるように構築された建物である。また、津波などの水害が発生した際に緊急避難先として使用可能な建物である。
具体的に、本実施形態の水害対策用建物Aは、図1から図5に示すように、周方向全周にわたって延在して平面視略楕円の筒状に形成された外周防圧壁(少なくとも一部の外面が平面視で円弧状に形成された外周防圧壁)1と、外周防圧壁1の内部空間P内に設けられたコア隔壁3及び建物本体2とを備えて構成されている。
外周防圧壁1は、地上に立設されており、津波(あるいは洪水)によって想定される最大津波高さ(予め設定される最大水位)よりも高い高さ寸法を有し、且つ水圧や瓦礫などの流出物による衝撃に耐え得る耐圧性能を備えて形成されている。例えば、想定最大津波高さが15mの場合には、外周防圧壁1の高さ寸法が20m以上などとして設定される。また、本実施形態の外周防圧壁1は、鉄筋コンクリート造(RC造)で構築されている。
ここで、外周防圧壁1の厚さ寸法は、想定される津波により受ける水圧と、津波によって流されてくる瓦礫などの流出物の衝撃とに耐えることができる強度によって決定される。そのため、厚さ寸法が上下方向T1で一定である必要はなく、例えば下方に向かうに従い漸次厚くなるようにして外周防圧壁1が構成されていてもよい。
さらに、本実施形態の水害対策用建物Aは、図2、図4及び図5に示すように、楕円形を呈する外周防圧壁1の内部(内部空間P)に、外周防圧壁1の長径方向S1の両端側の空間(吹抜け空間:外側内部空間P1)をそれぞれ区画するように短径方向S2に沿って、一対のコア隔壁3が下端から上端まで立設されている。
また、外周防圧壁1とコア隔壁3の間の外側内部空間P1には、例えば、建物Aの各階に相当する位置に外周リブ4が設けられている。各外周リブ4は、RC造であり、外周防圧壁1とコア隔壁3の内面にそれぞれ剛接合して水平に配設されている。
また、一対のコア隔壁3の間の内側内部空間P2に、例えば、各階に相当する位置に床スラブ2aが設けられるとともに梁2bや柱2cが設けられ、これら床スラブ2aと梁2bと柱2cを備えてなる建物本体2が配設されている。そして、建物本体2の各床スラブ2aや梁2b、柱2cは、RC造であり、このうち床スラブ2aと梁2bが一対のコア隔壁3、外周防圧壁1にそれぞれ剛接合して水平に配設されている。
ここで、本実施形態では、内側内部空間P2に配された2階部分の床スラブ2aによって内側内部空間P2が上方空間R1と下方空間R2とに区画されている。
また、図1から図5に示すように、外周防圧壁1の下側(本実施形態では1階部分)に、内側内部空間P2の下方空間R2を外部と連通させるように外周防圧壁1の外面から内面に貫通する複数の開口部5が形成されている。これにより、下方空間R2は、この開口部5を通じて外部と連通し、ピロティー空間を形成している。なお、この開口部5、ピロティー空間R2は、通常時、例えば建物のエントランス、エントランスホールなどとして利用される。
そして、上記のように、外周防圧壁1と、一対のコア隔壁3と、外周防圧壁1や一対のコア隔壁3に剛接合して配設された外周リブ4、床スラブ2aとを備えてなる本実施形態の水害対策用建物Aにおいては、主に、一対のコア隔壁3、且つ床スラブ2a(及び外周リブ4)を耐震要素として期待した耐震構造で構築されている。すなわち、アーチ状の外周防圧壁1は、床スラブ2a、コア隔壁3、外周リブ4によって補強され、建物Aに作用する津波などの外力に確実に且つ合理的に抵抗する。
さらに、本実施形態の水害対策用建物Aは、外周防圧壁1の外面から外側に突出し周方向の全周にわたって延在する楕円環状の波返し部6が具備されている。本実施形態において、この波返し部6はRC造で3m程度の幅寸法(突出寸法)をもって形成されている。また、本実施形態の波返し部6は建物の各階の位置に、上下方向T1の高さ方向に所定の間隔をあけて複数配設されている。
また、外周防圧壁1は、上下に隣り合う波返し部6の間に、外面から内面に貫通して形成される採光部7が周方向に所定の間隔をあけて複数配設されている。この採光部7には、外周防圧壁1の内側に外の光を導入するための補強ガラスブロック壁などの光を通す材料が設けられ、他のコンクリート壁部分と同様に津波などに対する耐圧性能を有している。採光部7の補強ガラスブロックなどとコンクリート壁部分とは、十分な水密性が確保された状態で接合されている。また、適宜、外周防圧壁1に耐圧扉を設けるようにしてもよく、この耐圧扉は、津波などが発生した際に水密に閉じることが可能であり、通常時は開放した状態にすることができる。
さらに、本実施形態の水害対策用建物Aは、図2に示すように、最上階位置(最上部)に設けられた床スラブ2aによって屋上が形成され、この屋上部分に屋上避難部が設けられている。また、一対のコア隔壁3と外周防圧壁1の間の外側内部空間P1には、各コア隔壁3に沿って上下方向T1に延在し建物本体2の上層階に向けて延びる避難階段8とエレベータ9が設けられている。例えば、避難階段8は、コア隔壁3毎に2箇所ずつ設けられ、エレベータ9は、一方の壁面のみに設けられている。そして、建物の各階毎に避難階段8に連絡可能な耐水扉が設けられ、また、コア隔壁3には、適宜な箇所に採光窓(図示省略)が設けられている。
さらに、本実施形態では、例えば、外周防圧壁1(波返し部6を含む)と床スラブ2aの全表面、あるいは、津波が発生した際に大きな衝撃や水圧を受ける外周防圧壁1や床スラブ2aの局部(例えば、外周防圧壁1の下側、外周防圧壁1の外面、波返し部6、2階の床スラブ2aの下面など)の表面を、補強塗膜で被覆している。
そして、上記構成からなる本実施形態の水害対策用建物Aにおいては、まず、所定の耐圧性能を備えた外周防圧壁1によって建物が全周にわたって囲まれているため、津波などの水害が発生した際に、外周防圧壁1内に水が浸入して建物に浸水あるいは破壊といった被害が生じることを防止できる。
さらに、このとき、外周防圧壁1と、一対のコア隔壁3と、外周防圧壁1や一対のコア隔壁3に剛接合して床スラブ2aや外周リブ4が配設されているため、これら一対のコア隔壁3、且つ床スラブ2a(及び外周リブ4)を耐震要素として期待することが可能になる。これにより、アーチ状の外周防圧壁1が外周リブ4や床スラブ2a、コア隔壁3によって補強されることになり、建物に作用する津波などの外力に対して確実に且つ合理的に抵抗させることが可能になる。
よって、本実施形態の水害対策用建物Aによれば、津波などの水害に対して優れた耐久性(安全性)を備え、水害を受けた場合であっても持続的に使用可能な信頼性の高い水害対策用建物を実現することが可能になる。さらに、免震構造を備えることなく、また、RC造のみで構築することができるため、躯体コストの増加を抑えることができ。低コストで信頼性の高い水害対策用建物を構築することが可能になる。
また、本実施形態の水害対策用建物Aにおいては、外周防圧壁1が楕円状であり円弧面を備えているため、津波の流れに対する抵抗を少なくすることができる。さらに、外周防圧壁1に環状の波返し部6が設けられているため、津波が発生し、水害対策用建物Aに水が押し寄せた際に、この波返し部6によって津波などの圧力に効率的に抵抗することができるとともに、外周防圧壁1に衝突して上方に競り上がろうとする水を波返し部6で抑えることができる。
これにより、津波の発生時に、外周防圧壁1内に水が浸入し、建物に浸水あるいは破壊といった被害が生じることをより確実に防止できる。さらに、津波の発生時に、外部から建物上部への避難用の外部廊下として波返し部6を利用することも可能にある。よって、津波が発生した際に、建物本体2を緊急避難先として使用することもできる。
また、津波の発生時に、外周防圧壁1内に水が浸入し、建物本体2に浸水あるいは破壊といった被害が生じることを抑えることができるため、被害を抑えた状態で建物本体2が残り、建物本体2のライフライン機能を保持することができる。これにより、津波等によって被災した後、周囲のライフラインの復旧に伴って建物本体2の機能を速やかに回復させることができ、被災後に残った建物本体2を拠点として好適に利用し、復興事業等を行うことも可能になる。
また、外周防圧壁1の地表面側に開口部5が設けられ、さらに外周防圧壁1の内部に床スラブ2aが設けられているため、津波の発生時に、水害対策用建物Aに押し寄せた水や瓦礫などの流出物の一部を、開口部5から外周防圧壁1の床スラブ2aよりも下方のピロティー空間P2に通し、さらに他の開口部5から外部に流通させることができる。これにより、水の流れに対する抵抗を少なくし、水害対策用建物Aに押し寄せた水や流出物による外周防圧壁1への衝撃を軽減させることができ、外周防圧壁1が破損し、外周防圧壁1内に水が浸入することをより確実に防止することが可能になる。
さらに、波返し部6が高さ方向に複数設けられていることにより、津波の発生時に押し寄せる水の水位、すなわち、津波の規模が違っても、その水位に応じた位置の波返し部6によって水の競り上がりを効果的に抑えることが可能になる。
また、本実施形態では、外周防圧壁1が平面視略楕円の筒状に形成され、少なくとも一部の外面が平面視で円弧状に形成されていることによって、津波の発生時に、水害対策用建物Aに押し寄せた水の抵抗を受けにくくすることができる。すなわち、水の流れに対する抵抗を少なくし、水害対策用建物Aに押し寄せた水や流出物による外周防圧壁1への衝撃を軽減させることができ、外周防圧壁1が破損し、外周防圧壁1内に水が浸入することをさらに確実に防止することが可能になる。
以上、本発明による水害対策用建物の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本発明の水害対策用建物は、新設であることに制限されず、既設の建物に対しても適用可能である。例えば、既設の高層ビル(建物)の周囲に設定される最大水位高さおよび水圧に対応する外周防圧壁等を構築して本発明の水害対策用建物にすることも可能である。
また、外周防圧壁1の形状は、平面視で楕円形状であることに限定されることはなく、津波や洪水時に水圧を受けにくい形状であればよく、例えば円形などであってもかまわない。また、建物本体2の床スラブ2aが外周防圧壁1に直接あるいは間接的に剛接合されていれば、特に建物本体2の構成を限定しなくてもよい。
さらに、本実施形態では、外周防圧壁1の一部分に採光部7を設けているが、この採光部7の形状、大きさ、位置、部材等の構成は適宜設定することができ、また省略することも可能である。例えば、建物本体2の構造、例えば開口窓の位置に合わせて配置することができる。
また、本実施形態では津波を水害対策用建物Aの適用対象として説明を行ったが、津波だけではなく、豪雨に伴う河川などの氾濫による洪水の場合に適用する水害対策用建物としても勿論採用可能である。
さらに、例えば、図6及び図7に示すように、図1から図5に示した水害対策用建物を商業施設等として使用される下部構造(アーチシェルター部)A1とし、この下部構造A1の上方に高層住宅等として使用される上部構造A2を上載した形で構築して、水害対策用建物Aを構成するようにしてもよい。また、このとき、上部構造A2は、RC造やSRC造の柱や梁を備えて構築され、平面視で内側内部空間P2内に配されるように構築される。さらに、上部構造A2は、積層ゴムなどの免震装置10を介設して、すなわち、下部構造A1との間に免震層11を設けて、下部構造A1上に構築することが好ましい。そして、このように構築した水害対策用建物Aにおいても、図1から図5に示した水害対策用建物Aと同様の作用効果を奏功する。
また、図1から図5に示した水害対策用建物(下部構造A1)単独の場合は、津波などが襲来した際に建物重量に比べて建物に相対的に大きな浮力が作用するおそれがあるため、基礎の設計が非常に重要で厳しい条件で行われることになり、結果として建物の規模に対して基礎構造12が大きなものになるおそれが高い。
これに対し、上部構造A2を備えて水害対策用建物Aを構成した場合には、建物重量が大きく、地震時の水平力も大きくなるため、結果として、津波などの外力ではなく地震時の水平力に基づいて基礎構造12を設計することになり、それに応じた大きな基礎構造12が必然的に具備されることになる。逆に言えば、上部構造A2を備えた場合であっても、下部構造A1単独の場合と同程度の規模の基礎構造12を備えて構築でき、高層住宅等として使用される上部構造A2を備え、コスト増を抑えつつ水害対策用建物Aの機能、付加価値の増大を図ることが可能になる。
1 外周防圧壁
2 建物本体
2a 床スラブ
2b 梁
2c 柱
3 コア隔壁
4 外周リブ
5 開口部
6 波返し部
7 採光部
8 避難階段
9 エレベータ
10 免震装置
11 免震層
A 水害対策用建物
A1 下部構造
A2 上部構造
P 内部空間
P1 外側内部空間
P2 内側内部空間
R1 上方空間
R2 下方空間(ピロティー空間)
T1 上下方向

Claims (5)

  1. 水害対策用の建物であって、
    周方向全周にわたって延在するとともに、水害に対して予め設定された最大水位よりも高く、且つ水圧や流出物による衝撃に耐え得る耐圧性能を備えた外周防圧壁と、
    前記外周防圧壁の内側に一体に設けられ、前記外周防圧壁の内部空間を、中心部分の内側内部空間、及び前記外周防圧壁との間の外側内部空間に区画するコア隔壁と、
    前記外周防圧壁の前記内側内部空間内に設けられる複数階層の建物本体とを備え、
    前記外周防圧壁に、外面から外側に突出し前記周方向の全周にわたって延在する波返し部が設けられ、
    且つ前記建物本体の床スラブを前記コア隔壁及び/又は前記外周防圧壁に剛接合して構築されていることを特徴とする水害対策用建物。
  2. 請求項1記載の水害対策用建物において、
    前記波返し部が高さ方向に所定の間隔をあけて複数設けられていることを特徴とする水害対策用建物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の水害対策用建物において、
    前記外周防圧壁には、地表面側に、外面から内面に貫通する複数の開口部が形成され、
    前記建物本体の最下部の床スラブが前記外周防圧壁の内側の前記開口部よりも上方に配設され、
    前記最下部の床スラブによって前記外周防圧壁の内側内部空間が前記開口部を介して外部と連通する下方空間と前記最下部の床スラブよりも上方の上方空間とに区画されていることを特徴とする水害対策用建物。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水害対策用建物において、
    前記外周防圧壁は、少なくとも一部の外面が平面視で円弧状に形成されていることを特徴とする水害対策用建物。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の水害対策用建物において、
    前記建物本体の最上部の床スラブが支持スラブとされ、
    前記支持スラブ上に設けられた免震装置によって前記支持スラブとの上下方向の間に免震層が形成され、該免震層を介して上部構造建物が前記支持スラブ上に構築されていることを特徴とする水害対策用建物。
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