JP6466016B1 - 耐津波建築物 - Google Patents

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Abstract

【課題】快適な居住性を備えた建物としての十分な機能と利便性を備えつつ、津波の発生時には津波に抵抗して建物の機能を最大限に維持しつつ、多数の周辺住民を受け入れ可能な大規模な避難施設としても利用可能な耐津波建築物を提供する。
【解決手段】RC造またはSRC造の建物1の1階部分にエントランス2を設け、各階に窓3を設ける。津波が到達する恐れがある地域に建設される建物であることから、最新の耐震基準を満たす建築物として設計する。その上で、建物1の用途や機能が制限されないように、エントランス2および窓3はあえて一般的な建物と同様に設置し、開口部に設けられたエントランス2および窓3には、津波の波圧や漂流物の衝突による衝撃力に耐え得るようにポリカーボネート樹脂など強度の高い透明部材を使用する。建物1の屋上にはヘリポート4を設け、地上の交通が遮断された場合の食料の補給や救助に利用できるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、津波の被害を受ける可能性がある地域に建設される耐津波建築物に関するものである。適用対象としては、ホテル、オフィスビル、集合住宅、学校建築物、病院建築物、その他公共建築物などが挙げられる。
2011年3月11日の東日本大震災では、津波による大きな被害が発生し、非常に多くの建築物が津波で押し流されたり、大破する被害を受けた。大破した建物では、津波そのものの力により被害を受けたもののほか、漂流物の衝突によって被害を受けたものがある。
そのような中で、木造家屋に比べ自重の大きいRC構造の建築物については、周辺が壊滅的な被害を受けている中で津波の力に耐えて原位置に残ったものもあり、注目を集めた。
そのような原位置にとどまることができた建築物についても、津波の影響をまともに受けた建築物では、1階部分あるいは3階部分程度まで、特に開口部から大きく損壊したものが多く(例えば、非特許文献1参照)、さらに人的被害も大きく、そのまま復旧できた建物は少ない。
そのため、大規模な津波が発生した場合の対策に関する多数の特許出願がなされている。
従来、開発されているこのような津波対策の発明に関しては、大きく分けて以下のようなものがある。
(1) 避難用シェルターまたは避難用構造物
特許文献3には、耐震性および耐津波性を維持しつつ、避難場所の面積や高さを簡単に変更することができる避難用建築物として、基礎部と、基礎部上に設置され、梁間方向および桁行方向に間隔を存して配置した複数の独立構造体と、複数の独立構造体上に設置され、避難場所を構成する屋上部と、基礎部と屋上部とを連絡する複数の階段とを備え、各独立構造体は、プレキャストコンクリート製の複数のプレキャストボックスを、鉛直方向に積み上げて構成されるプレキャスト構造物が開示されている。
特許文献7には、地中に設置される基礎部と基礎部に固定される本体部とから構成されており、耐震性と水密性を備えた避難空間を有するシェルターであって、本体部の上部が平面視楕円状のドーム形状又はレモン型形状に形成されており、シェルター全体の半分以上が地中に埋設され、本体部の上部の地上に露出している箇所に出入口用ハッチが取り付けられている小型のシェルターが開示されている。
特許文献9には、既設建築物の建物に隣接して設置可能な防災用避難用の地下式避難用シェルターとして、筒型鉄板と天井板と、内部空間を有するシェルター本体と、天井板に設けられる鉄板製の蓋と、内部空間を第1室と第2室に仕切る仕切壁とを備え、仕切壁の上端部が天井板と接続され、第1室と第2室の下部が連通空間で連通されており、第1室が蓋に隣接して設けられ、第1室の内部空間を上下2層に仕切る床が設けられ、床を上下に昇降する可動床とした地下式避難用シェルターが開示されている。
(2) 建物内に避難スペースを設けるもの
特許文献8には、屋根裏部屋を津波シェルターにして、斜めのケーブルを張り、ケーブルで衝突荷重を低減したり、シェルターの浮上、流失を防ぐ構造が開示されている。
(3) フロートによる漂流型の避難対策
特許文献4には、商業施設や居住施設等として利用可能な建物本体と、建物本体の屋上に設置された浮体と、建物本体から浮体に至る連結部とを備える避難用構造物であって、浮体は水に浮遊する密度を有した平板からなり、連結部は浮体が浮遊した際に、浮体を建物本体に係留できるようにした避難用構造物が開示されている。
特許文献6には、津波が襲来した際に海岸近辺の人々が避難するための津波用避難施設において、地上に設置した基礎部と、基礎部に着脱自在に設置したフロートと、基礎部とフロートを連結する連結索とからなり、フロートに海面が到達した場合には、フロートが浮力を受けて基礎部から離脱して海面に浮遊するようにした津波用避難施設が開示されている。
(4) 建物自体を津波に耐える構造とするもの
特許文献1には、建物の外壁に通常の出入口用開口および窓用開口とは別個の開口を設け、常時はその開口を閉塞しておき、津波が押し寄せたときに閉塞を解除し、津波の一部を意図的に建物の内部に流入させることで、外壁が受ける津波荷重の負荷を軽減し、建物の躯体骨組も外壁を介しての津波荷重の負荷が軽減されることで、建物の崩壊や倒壊を抑制する構造が開示されている。
特許文献2には、地下の下層階と地上の上層階とが一体に構成された鉄筋コンクリート製基礎重量構造の構造躯体として、津波の圧力によって生ずる建物の浮き上がりを防止し、耐圧水密構造の扉体ないし窓部を備えることによって、津波の圧力に耐えられる耐圧性と、外部からの海水等の流入を防止し、また外壁部の海側の面と内陸側の面を津波の衝撃を和らげる緩衝波形状とした防災対応住宅が開示されている。
特許文献5には、津波などの水害を受けた場合であっても持続的に使用可能な水害対策用建物として、周方向全周にわたって延在するとともに、水害に対して予め設定された最大水位よりも高く、かつ水圧や流出物による衝撃に耐え得る耐圧性能を備えた外周防圧壁と、外周防圧壁の内側に一体に設けられ外周防圧壁の内部空間を中心部分の内側内部空間および外周防圧壁との間の外側内部空間に区画するコア隔壁と、外周防圧壁の内側内部空間内に設けられる複数階層の建物本体とを備え、建物本体の床スラブをコア隔壁及び外周防圧壁に剛接合して構築され、かつ、外周防圧壁には、外面から外側に突出し周方向の全周にわたって延在する波返し部が設けられるとともに、地表面から建物の複数階層にわたる高さで開口形成され、外部と建物の複数階層の内側内部空間を連通させる複数の開口部が設けられている水害対策用建物が開示されている。
特許文献10には、津波が来ても押し流されず、居住者が避難場所から帰ってきたときに、津波が来る前と同じ生活に戻ることのできる構造物として、基礎部と基礎部に固接された居住部とを一体として備えた構造物であって、居住部は、居住部内外の連通に用いられる開閉可能な開口部を備えていると共に開口部から居住部内への水の浸入を防止する水密構造を備え、基礎部は水没状態の構造物に作用する浮力よりも、構造物に作用する重力が大きくなるような重量を有し、居住部の開口部は開口を開閉する扉体を備えており、開口部に備えられた水密構造は開口部の外側に配置された昇降体を備えており、昇降体は扉体を外側から覆う閉位置と扉体が外界に晒される開位置との間で昇降可能であり、閉位置の昇降体は昇降体と扉体との間の空間である隙間領域を外界に対して水密にするようにした構造物が開示されている。
この他、特許文献11には、建物の開口部全体が水につかるような大量の水が押し寄せた場合でも、自動的に開口部からの水の浸入を食い止める防水構造技術として、水よりも軽い比重を有する昇降板と、昇降板を収納する収納部と、収納部の上方で昇降板を昇降自在に案内する枠部と、枠部と前記昇降板との接触面をシールするシール部とを備えたシャッターであって、昇降板が収納部に流入した水の水位変動に応じて上下動するようにしたシャッターが開示されている。
また、特許文献12にも、外部からの水の侵入を防ぐための水密性を備えた防水シャッターが開示されている。
特許第5956801号公報 特開2014−012966号公報 特許第6192286号公報 特許第6116870号公報 特許第6124073号公報 特許第6254396号公報 特許第6016869号公報 特許第6268403号公報 特許第6312939号公報 特許第4838395号公報 特許第4830054号公報 特開2016−138372号公報
国土交通省国土技術政策総合研究所、独立行政法人建築研究所、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)調査研究(速報)、平成23年5月、6-1−6-28頁
上述した(1)のタイプの避難用シェルターまたは避難用構造物は、基本的に津波が発生したときに使用するための施設であり、常時は有効利用が難しく、メンテナンス費用などを考慮すると経済性の面でも合理的とは言い難い。
(2)のタイプの建物内に避難スペースを設けるものは、人命を守るという点では意味があるが、建物の被害を防ぐことはできず、また避難施設としてのキャパシティーは建物の居住者に限られてしまう。
(3)のタイプのフロートによる漂流型の避難対策も、人命を守るという点で意味があるものの、それ以上の効果は期待できない。
(4)のタイプの建物自体を津波に耐える構造とするものは、基本的に津波が発生した後も建物がそのまま利用できるようにしたもので、本願発明もこのタイプに属する。
このうち、特許文献5に開示されている水害対策用建物は、外周防圧壁、波返し部、津波による外圧を低減するための開口部などを備え、大きな津波にも抵抗できるようにしたある意味要塞のような構造物であるが、居住性や利便性、デザイン性などを考慮した場合、ホテルやリゾート集合住宅、オフィスビルその他一般の公共建築物への適用には適さない。
また、特許文献2や特許文献10に開示されたものは、住宅について水密性、耐圧性を与え、浮力対策を施すなどして、津波がひいた後も使用できることを目的としたものであるが、避難施設としてのキャパシティーは建物の居住者に限られ、また個人用の住宅としてはコストが高く付き、メンテナンスの問題もある。
本発明は、常時は快適な居住性を備えたホテル、オフィスビル、公共建築物などとしての十分な機能と利便性を備えつつ、地震による津波の発生時には津波に抵抗して建物の居住性を含めその機能を最大限に維持することができ、かつ多数の周辺住民を受け入れ可能な大規模な避難施設としても利用可能な耐津波建築物を提供することを目的としたものである。
本発明の耐津波建築物は、津波が到達する恐れがある地域に建設されるRC造、SRC造またはS造の多層階の耐津波建築物であって、予想される津波の高さ以下の津波を直接受ける可能性がある低層階の建物本体の外壁にも複数のおよびドアを設置するための開口部を設け、少なくとも予想される津波の高さ以下の階の外壁については開口部内に設置される窓部材およびドア部材も含め予想される津波による外力に耐える強度の外壁および開口部とし、それより上部の外壁については開口部内に設置される複数の窓部材も含めより低い強度の外壁および開口部とすることを特徴とする。なお、本発明における「津波の高さ」は浸水深を言うものとする。
適用対象としては、例えばホテル、オフィスビル、集合住宅、学校建築物、病院建築物、その他公共建築物などが挙げられる。基本的にはこれらの建物の用途に関し、外観的なデザイン、玄関や窓といった開口部の数、配置などの制約がないようにして、建物の通常の用途に関し制約を受けないようにする。
ただし、津波が発生したときの津波進行方向からの津波荷重や引き波による荷重、漂流物の衝突荷重などを考慮して、抵抗の少ない例えば流線形状やカーブ形状を建物の外観デザインに取り入れた設計とすることはむしろ好ましい。
RC造、SRC造またはS造の多層階建物の場合、ある程度基礎がしっかりしていることで、津波時の浮力が問題となる恐れは少なく、新耐震基準を満たすあるいはそれ以上の十分な耐震設計を施した上で、予想される津波の高さ以下の階の外壁や玄関、窓など開口部について津波の荷重や漂流物などの衝突荷重に耐える構造とすることで、建物の健全性が維持されるようにすればよい。
外壁部分については高強度あるいは超高強度コンクリートを使用し、必要に応じて配筋量を増やしたり、断面内に鉄骨を組み込むなどすれば、十分な強度が確保でき、その分のコスト増があるとしても、損壊して建て直す費用や補修の費用に比べればわずかであり、かつ大規模の健全な避難施設を兼用できる点では非常に経済的であると考えられる。
ここで多層階は3階建て以上を想定しているが、上述したホテル、オフィスビル、集合住宅、学校建築物、病院建築物などを対象とし、かつ大規模な避難施設とすることを考慮した場合、5〜15階建て程度が望ましい。
本発明の基本的な考え方は、津波が到達する恐れがある地域に建設される通常の居住あるいは生活が可能な建築物について、予想される津波の高さ以下の低層階の外壁にも通常の生活に支障あるいは不便が生じないように、あえて窓またはドアを設置するための開口部を備えつつ、津波が発生した際に、建物外に避難するのではなく、開口部を含め建築物自体が津波に抵抗できる構造とすることで、建物外への避難を不要とし、緊急時には多数の周辺住民を受け入れ可能な避難施設として機能させることができるようにするというものである。
本発明の耐津波建築物は、発生確率の極めて低い大きな津波においても建物の健全性を可能な限り維持し、人的な被害を最小限に抑えることを目的としたものであることから、躯体および外壁の強度をレベル2地震動、すなわち過去、将来にわたって最強と考えられる地震動および予想される津波による外力に耐える強度で設計することが望ましい。
上述した非特許文献1に記載される東日本大震災の調査結果からも明らかなように、倒壊を免れた建物についても建物の開口部からの被害が大きい。津波の波圧に耐える開口部の構造としては、例えば開口部の窓部材としてポリカーボネート樹脂製の窓部材を用いることが考えられる。
例えば、帝人化成株式会社製のポリカーボネート樹脂「パンライト」(パンライトは帝人株式会社の登録商標)は、ガラスの約200倍以上というプラスチック中最大の耐衝撃性を持ちながら、重さはガラスの約半分という軽さと高い透明性を持ち、新型新幹線車両「N700系」の窓に用いられている。
あるいは窓部材として、高級車両に用いられているような強化ガラス間に樹脂膜を挟んだ合わせガラスを用いることもできる。
これら強度、耐衝撃性を備えた窓部材は、予想される津波の高さ以下の階に設置される窓部材に用い、それより上階については通常の強化ガラスなどを用いてもよいが、より安全性を高めるため、さらに上階の開口部まで強度、耐衝撃性の高い窓部材を用いてもよい。
また、このような窓部材が設置される開口部を円形または楕円形とすれば、窓部材の角部などでの応力集中を防ぐことができ、また開口部を区画する形で複数の補強桟を入れれば窓部材に生じる応力を緩和することができる。
開口部への窓部材の取り付けにサッシュを用いる場合、近年多用されているアルミサッシュの場合、大きな外力に対する強度が十分とは言えないため、本発明にサッシュを用いる場合は、鋼または鋼と同等以上の強度を有するサッシュを用いることが望ましい。
本発明においては、開口部を含め建築物自体が津波に抵抗できる構造とした上で、建物内部への浸水を極力防止し、非常時においても建物を快適に使用できることが望ましい。そのため、開口部についても防水性を高めることが望ましく、さらに予想される津波の高さ以下の階の開口部の室内側には防水シャッターを設けることで完全な防水を図ることも考えられる。
本発明の耐津波建築物は、非常時には周辺住民の避難施設として利用することが可能であり、例えば屋上部にヘリポートまたは避難用スペースを設けてもよい。
屋上にヘリポートを設けることで、地上の交通が遮断された場合の食料の補給や救助に利用することができる。
本発明の耐津波建築物は、津波が到達する恐れがある地域に建設される通常の居住あるいは生活が可能な建築物について、予想される津波の高さ以下の低層階の外壁にも通常の生活に支障あるいは不便が生じないように、あえて窓またはドアを設置するための開口部を備えつつ、津波が発生した際に、建物外に避難するのではなく、開口部を含め建築物自体が津波に抵抗できる構造とすることで、建物外への避難を不要とし、緊急時には多数の周辺住民を受け入れ可能な避難施設として機能させることができる。
すなわち、常時は通常の生活の場として使用される建物が、大地震や津波に対しても建物の健全性を維持することで、周辺住民の緊急の避難施設として利用することができる。避難施設として利用する場合、常時の収容人数の数倍から十数倍程度の人数の収容が可能であり、大規模な避難施設として利用することができる。
避難用シェルターのように、緊急時のみ使用されるものではなく、常時は通常の生活の場として使用される建築物であるため、本発明の耐津波建築物を緊急時の避難施設として利用すれば、別途、避難用シェルターを建設する場合に比べ、経済的である。
従来のRC造などの建物では、周辺が壊滅的な被害を受けた中で、構造的には建物として原位置にとどまることができたものがあるが、破壊された開口部から流入した津波により低層階が被害を受け、生活可能な建物としては復旧が困難であったり、復旧のために多大な費用がかかっている。
これに対し、本発明の耐津波建築物の場合、開口部を含めて津波に耐え得る構造としているため、津波の際の建物内への水流の浸入を防止または抑制し、津波の被害を受けた後の復旧が必要ないかまたは容易となるため、経済的な損失を最小限にとどめることができる。
津波の被害により、周辺の交通が遮断された場合でも、復旧活動の期間、快適な生活空間あるいは避難空間を維持することができる。また、屋上にヘリポートを設けておけば、食料の補給や救助に利用することができる。
本発明の耐津波建築物の一実施形態を示したもので、(a)は平面図、(b)は立面図である。 図1の実施形態における津波浸水深hと耐津波建築物に作用する津波波圧分布の関係を示す説明図である。 図1の耐津波建築物を海岸線近傍に建設した場合の津波方向との関係を示す平面図である。 本発明の耐津波建築物の他の実施形態として、建物の2階部分に津波の水流の一部を通過させるための通水路を形成した場合の立面図である。 耐津波建築物の平面形状のバリエーションを示す平面図である。 本発明の耐津波建築物のさらに他の実施形態として、地盤の嵩上げにより建物における浸水深の到達階数を抑えるようにした場合の立面図である。
以下、本発明を添付した図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明の耐津波建築物の一実施形態を示したものである。
図1はホテルあるいは病院などの公共建築物として適用可能なRC造またはSRC造の7階建ての建物1を想定しており、一般的な建物と同様に1階部分にエントランス2を有し、1階から7階まで各階に窓3を設けている。窓3から採光でき、窓からの眺望を楽しむことができる。
津波が到達する恐れがある地域に建設される建物であることから、最新の耐震基準を満たす建築物(より好ましくはレベル2地震動に耐え得る建物)として設計する。
建物1の用途や機能が制限されないように、エントランス2および窓3を設けるための開口部はあえて一般的な建物と同様に設置し、津波に対しては、これらの開口部に設けられたエントランス2および窓3が津波の波圧や漂流物の衝突による衝撃力に耐え得る強度となるようにする。
建物1の屋上にはヘリポート4を設け、地上の交通が遮断された場合の食料の補給や救助に利用できるようにしている。ヘリポート4は災害時以外にも使用可能である。
図2は津波浸水深hと耐津波建築物に作用する津波波圧分布の関係を示したもので、エントランス2や窓3の開口部が維持され、建物1内への津波の水流の浸入がない前提であるため、津波進行方向の津波波圧による波力は図に示すような台形の分布となる。内閣府のガイドラインでは設計に用いる津波波圧分布は設計用浸水深の3倍の高さに達する静水圧分布が採用されている。
また、引き波により建物1の津波進行方向と反対側の面に作用する津波荷重は進行方向の津波荷重と同程度とされ、直交方向に津波荷重は0.5倍以上とされている。
エントランス2のドアや窓3が津波荷重に耐えるようにするため、具体的には透明なドア部材や窓部材として、ポリカーボネート樹脂や高強度の強化ガラスなどを用い、これらを開口部に取り付けるためのサッシュなどにも鋼あるいは高張力鋼のサッシュなどを用い、かつ水密性が維持されるようにする。
この場合、当然、一般的な建物に比べ、特に開口部のコストが大幅に増すことになるが、本発明の耐津波建築物は、開口部を含めて津波に耐え得る構造としているため、津波の際の建物1内への水流の浸入を防止または抑制し、津波の被害を受けた後の復旧が必要ないかまたは容易となるため、津波が発生した場合を想定すれば、より経済的な建物と考えることができる。
特に、常時は通常の生活の場として使用される建物が、大地震や津波に対しても建物の健全性を維持することで、周辺住民の緊急の避難施設として利用することができ、避難施設として利用する場合、常時の収容人数の数倍から十数倍程度の人数の収容が可能であることから、大規模な避難施設として有用な構造物であり、別途、津波専用の避難施設を建設する場合に比べ経済的である。
図3は、図1の耐津波建築物を海岸線近傍に建設した場合の津波方向との関係を示したもので、この例では周辺の海底の地形や海岸線との関係で、津波が南東方向から来ることが予想され、それに対し建物1の南東の角が対向するため、津波の進行方向が建物1の正面となる場合(図の南から来る場合)に比べ、津波荷重の影響が低減される。
また、図3の例では建物1津波の進行方向手前の位置と建物1に引き波が作用する側に波力低減用の工作物5を設け、建物1に作用する津波荷重の低減を図っている。工作物5の材料や形態、幅、高さなどは、建物1の敷地の条件、予想される津波の高さ、海岸線6からの距離などに応じて、種々の設計が考えられる。
工作物5自体に造形美を与えることも可能であり、また逆に周辺に植樹を行うなどして隠すこともできる。
図4は本発明の耐津波建築物の他の実施形態として、建物1の2階部分に津波の水流の一部を通過させるための通水路7を形成した場合を示したものである。
一般に建物で津波により開口部の窓が消失した場合、津波の波圧分布が開口部で小さくなることが、非特許文献1などでも説明されているが、図4のように建物の前面から後面かけて貫通する通水路7を設けておくことで、建物1に作用する津波荷重を低減させることができ、また建物1の外周面での水流の速度の増加を抑制することができる。
図5(a)〜(d)は耐津波建築物の平面形状のバリエーションを示したものである。図5(a)は建物1の平断面を円形としたものであり、図中矢印で示した津波の進行方向に対し、津波を平面で受ける場合に比べ抵抗を小さくすることができる。
図5(b)は建物1の平断面を菱形とし、波の進行方向に対し、津波を鋭角で受けることで抵抗を小さくすることができる。
図5(c)は建物1の平断面を扇形とし、波の進行方向に対し、津波を曲面で受けることで抵抗を小さくすることができる。
図5(d)は建物1の平断面を扇形とし、さらに通水路7を設けることで、津波に対する抵抗を低減し、建物1が受ける津波荷重を低減するようにしたものである。
図6は本発明の耐津波建築物のさらに他の実施形態として、地盤の嵩上げにより建物における浸水深の到達階数を抑えるようにした場合を示したものである。
嵩上げ地盤8の上に建物1を構築することで、図2では建物1の3階の天井高さ付近に位置する同じ浸水深hに対し、図6では浸水深hの高さが2階の天井高さ付近となり、建物1が受ける津波荷重が大幅に低減され、建物1自体の設計条件が軽減される。
1…建物、2…エントランス、3…窓、4…ヘリポート、5…波力低減用工作物、6…海岸線、7…通水路、8…嵩上げ地盤

Claims (9)

  1. 津波が到達する恐れがある地域に建設されるRC造、SRC造またはS造の多層階の耐津波建築物であって、予想される津波の高さ以下の津波を直接受ける可能性がある低層階の建物本体の外壁にも複数のおよびドアを設置するための開口部を設け、少なくとも予想される津波の高さ以下の階の外壁については前記開口部内に設置される窓部材およびドア部材も含め予想される津波による外力に耐える強度の外壁および開口部とし、それより上部の外壁については開口部内に設置される複数の窓部材も含めより低い強度の外壁および開口部とすることを特徴とする耐津波建築物。
  2. 請求項1記載の耐津波建築物において、躯体および外壁の強度をレベル2地震動および予想される津波による外力に耐える強度で設計してあることを特徴とする耐津波建築物。
  3. 請求項1または2記載の耐津波建築物において、予想される津波の高さ以下の階に設置される前記窓部材としてポリカーボネート樹脂製の窓部材を用いることを特徴とする耐津波建築物。
  4. 請求項1または2記載の耐津波建築物において、予想される津波の高さ以下の階に設置される前記窓部材として強化ガラス間に樹脂膜を挟んだ合わせガラスを用いることを特徴とする耐津波建築物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐津波建築物において、予想される津波の高さ以下の階の前記窓部材が設置される開口部を円形または楕円形とすることを特徴とする耐津波建築物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の耐津波建築物において、予想される津波の高さ以下の階の前記窓部材が設置される開口部には開口部を区画する形で複数の補強桟が設けられていることを特徴とする耐津波建築物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の耐津波建築物において、予想される津波の高さ以下の階の前記開口部に前記窓部材を取り付けるために鋼または鋼と同等以上の強度を有するサッシュを用いることを特徴とする耐津波建築物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の耐津波建築物において、予想される津波の高さ以下の階の前記開口部の室内側には防水シャッターが設けられていることを特徴とする耐津波建築物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の耐津波建築物において、屋上部にヘリポートまたは避難用スペースが設けられていることを特徴とする耐津波構造物。
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