JP6123001B2 - シリカガラスルツボの評価方法、シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
この方法が優れているのは、画像解析による方法に比べて、データのサンプリングレートが格段に大きいことであり、予備実験によると、直径1mのルツボで10万点の測定をする場合であっても、10分程度で内表面全体の三次元形状の測定を終えることができた。
本発明の方法が優れている点は、表面粗さの三次元分布が非破壊で決定できるため、実際の製品の表面粗さの三次元分布が分かることである。従来は、ルツボを切断してサンプルを作成し、このサンプルの表面粗さを測定していたが、この方法では、実際の製品のデータが取得できないこと、サンプル作成に時間とコストがかかるという問題があるので、本発明は、実際の製品の表面粗さを低コストで測定できる点で利点が大きい。また、本発明は、外径28インチ以上の大型ルツボや、40インチ以上の超大型ルツボにおいて特に利点がある。なぜなら、このようなルツボにおいては、サンプル作成にかかる時間とコストが小型ルツボに比べて非常に大きいからである。
好ましくは、前記シリカガラスルツボの外表面に沿って外部測距部を移動させ、移動経路上の複数の測定点において、外部測距部からシリカガラスルツボの外表面に対してレーザー光を照射し、前記外表面からの外表面反射光を検出することによって、前記外部測距部と前記外表面の間の外表面距離を測定し、各測定点の三次元座標と、前記外表面距離を関連付けることによって、前記シリカガラスルツボの外表面の三次元形状を求め、この三次元形状上の複数の測定点において前記外表面の表面粗さの三次元分布を決定する工程をさらに備える。
本実施形態で使用されるシリカガラスルツボ11は、一例では、回転モールドの内表面に平均粒径300μm程度のシリカ粉を堆積させてシリカ粉層を形成するシリカ粉層形成工程と、モールド側からシリカ粉層を減圧しながら、シリカ粉層をアーク熔融させることによってシリカガラス層を形成するアーク熔融工程を備える(この方法を「回転モールド法」と称する)方法によって製造される。
以下、図1〜図4を用いて、ルツボの内表面の三次元形状の測定方法について説明する。本実施形態では、レーザー変位計などからなる内部測距部17をルツボ内表面に沿って非接触で移動させ、移動経路上の複数の測定点において、ルツボ内表面に対してレーザー光を斜め方向に照射し、その反射光を検出することによって、ルツボの内表面の三次元形状を測定する。以下、詳細に説明する。また、内表面形状を測定する際に、透明層13と気泡含有層15の界面の三次元形状も同時に測定することができ、また、内部測距部19を用いることによってルツボの外表面の三次元形状も測定することができるので、これらの点についても合わせて説明する。
測定対象であるシリカガラスルツボ11は、開口部が下向きになるように回転可能な回転台9上に載置されている。ルツボ11に覆われる位置に設けられた基台1上には、内部ロボットアーム5が設置されている。内部ロボットアーム5は、複数のアーム5aと、これらのアーム5aを回転可能に支持する複数のジョイント5bと、本体部5cを備える。本体部5cには図示しない外部端子が設けられており、外部とのデータ交換が可能になっている。内部ロボットアーム5の先端にはルツボ11の内表面形状の測定を行う内部測距部17が設けられている。内部測距部17は、ルツボ11の内表面に対してレーザー光を照射し、内表面からの反射光を検出することによって内部測距部17からルツボ11の内表面までの距離を測定する。本体部5c内には、ジョイント5b及び内部測距部17の制御を行う制御部が設けられている。制御部は、本体部5c設けられたプログラム又は外部入力信号に基づいてジョイント5bを回転させてアーム5を動かすことによって、内部測距部17を任意の三次元位置に移動させる。具体的には、内部測距部17をルツボ内表面に沿って非接触で移動させる。従って、制御部には、ルツボ内表面の大まかな形状データを与え、そのデータに従って、内部測距部17の位置を移動させる。より具体的には、例えば、図1(a)に示すようなルツボ11の開口部近傍に近い位置から測定を開始し、図1(b)に示すように、ルツボ11の底部11cに向かって内部測距部17を移動させ、移動経路上の複数の測定点において測定を行う。測定間隔は、例えば、1〜5mmであり、例えば2mmである。測定は、予め内部測距部17内に記憶されたタイミングで行うか、又は外部トリガに従って行う。測定結果は、内部測距部17内の記憶部に格納されて、測定終了後にまとめて本体部5cに送られるか、又は測定の度に、逐次本体部5cに送られるようにする。内部測距部17は、本体部5cとは別に設けられた制御部によって制御するように構成してもよい。
ルツボ11の外部に設けられた基台3上には、外部ロボットアーム7が設置されている。外部ロボットアーム7は、複数のアーム7aと、これらのアームを回転可能に支持する複数のジョイント7bと、本体部7cを備える。本体部7cには図示しない外部端子が設けられており、外部とのデータ交換が可能になっている。外部ロボットアーム7の先端にはルツボ11の外表面形状の測定を行う外部測距部19が設けられている。外部測距部19は、ルツボ11の外表面に対してレーザー光を照射し、外表面からの反射光を検出することによって外部測距部19からルツボ11の外表面までの距離を測定する。本体部7c内には、ジョイント7b及び外部測距部19の制御を行う制御部が設けられている。制御部は、本体部7c設けられたプログラム又は外部入力信号に基づいてジョイント7bを回転させてアーム7を動かすことによって、外部測距部19を任意の三次元位置に移動させる。具体的には、外部測距部19をルツボ外表面に沿って非接触で移動させる。従って、制御部には、ルツボ外表面の大まかな形状データを与え、そのデータに従って、外部測距部19の位置を移動させる。より具体的には、例えば、図1(a)に示すようなルツボ11の開口部近傍に近い位置から測定を開始し、図1(b)に示すように、ルツボ11の底部11cに向かって外部測距部19を移動させ、移動経路上の複数の測定点において測定を行う。測定間隔は、例えば、1〜5mmであり、例えば2mmである。測定は、予め外部測距部19内に記憶されたタイミングで行うか、又は外部トリガに従って行う。測定結果は、外部測距分19内の記憶部に格納されて、測定終了後にまとめて本体部7cに送られるか、又は測定の度に、逐次本体部7cに送られるようにする。外部測距部19は、本体部7cとは別に設けられた制御部によって制御するように構成してもよい。
以上より、ルツボの内表面及び外表面の三次元形状が既知になるので、ルツボの壁厚の三次元分布が求められる。
次に、図2を用いて、内部測距部17及び外部測距部19による距離測定の詳細を説明する。
図2に示すように、内部測距部17は、ルツボ11の内表面側(透明層13側)に配置され、外部測距部19は、ルツボ11の外表面側(気泡含有層15側)に配置される。内部測距部17は、出射部17a及び検出部17bを備える。外部測距部19は、出射部19a及び検出部19bを備える。また、内部測距部17及び外部測距部19は、図示しない制御部及び外部端子を備える。出射部17a及び19aは、レーザー光を出射するものであり、例えば、半導体レーザーを備えるものである。出射されるレーザー光の波長は、特に限定されないが、例えば、波長600〜700nmの赤色レーザー光である。検出部17b及び19bは、例えばCCDで構成され、光が当たった位置に基づいて三角測量法の原理に基づいてターゲットまでの距離が決定される。
また、透明層13中に独立した気泡が存在する場合、この気泡からの反射光を内部測距部17が検出してしまい、透明層13と気泡含有層15の界面を適切に検出できない場合がある。従って、ある測定点Aで測定された界面の位置が前後の測定点で測定された界面の位置から大きく(所定の基準値を超えて)ずれている場合には、測定点Aでのデータを除外してもよい。また、その場合、測定点Aからわずかにずれた位置で再度測定を行って、得られたデータを採用してもよい。
ルツボの内表面の三次元形状が求まった後は、この三次元形状上の複数の測定点において内表面の表面粗さを測定することによって、その三次元分布を決定する。
各測定点での表面粗さの測定方法は、非接触式であれば特に限定されないが、焦点が合った面からの情報を選択的に取得することができる共焦点顕微鏡を用いれば、高精度な測定が可能である。また、共焦点顕微鏡を用いれば、図5に示すような表面の詳細な三次元構造の情報を取得することができるので、この情報を用いて表面粗さを求めることができる。表面粗さには、中心線平均粗さRa、最大高さRmax、十点平均高さRzがあり、これらの何れを採用してもよく、表面の粗さを反映する別のパラメーターを採用してもよい。
測定点の配置は、特に限定されないが、例えば、ルツボの開口部から底部に向かう方向には5〜20mm間隔で配置し、円周方向には例えば10〜60度間隔である。
具体的な測定は、例えば、共焦点顕微鏡用プローブを内部ロボットアーム5の先端に取り付け、内部測距部17と同様の方法で、非接触で内表面に沿って移動させる。内部測距部17を移動させる際には、内表面の大雑把な三次元形状が分かっているだけで内表面の正確な三次元形状は分かっていなかったので、その大雑把な三次元形状に基づいて内部測距部17を移動させていたが、表面粗さの測定時には、内表面の正確な三次元形状が分かっているので、共焦点顕微鏡用プローブを移動させる際に、内表面とプローブとの距離を高精度に制御することが可能である。
共焦点顕微鏡用プローブをルツボの開口部から底部まで移動させ、その移動経路上の複数点で表面粗さを測定した後は、回転台9を回転させて、ルツボ11の別の部位の表面粗さの測定を行う。
このような方法でルツボの内表面全体に渡って表面粗さを測定することができ、その測定結果により、ルツボの内表面の表面粗さの三次元分布を決定することができる。
また、ルツボの外表面についても外表面の三次元形状上の複数の測定点において、内表面と同様の方法で表面粗さを測定することによって外表面の表面粗さの三次元分布を決定することができる。
Claims (5)
- シリカガラスルツボの内表面に沿って非接触で内部測距部を移動させ、
移動経路上の複数の測定点において、内部測距部から前記シリカガラスルツボの内表面に対して斜め方向にレーザー光を照射し、前記レーザー光の反射光をレーザー変位計で測定して2つのピークが観測されるように前記内部測距部と前記内表面との距離や前記レーザー光の出射方向を変化させて、前記2つのピークのうちの前記内表面側のピークの位置によって前記内部測距部と前記内表面との間の内表面距離を測定し、
各測定点の三次元座標と、前記内表面距離を関連付けることによって、前記シリカガラスルツボの内表面の三次元形状を求め、
この三次元形状上の複数の測定点において前記内表面の表面粗さを測定することによって、前記内表面の表面粗さの三次元分布を決定し、
前記内表面の表面粗さが規定の範囲内に入っているか否かによって前記シリカガラスルツボの品質を検査する工程を備えるシリカガラスルツボの評価方法。 - 中心線平均粗さRa、最大高さRmax、または十点平均高さRzを前記内表面の表面粗さとする、請求項1記載の方法。
- 前記三次元形状上の複数の測定点での表面粗さの測定方法は、
共焦点顕微鏡を用いて、
前記共焦点顕微鏡用のプローブは、前記内部測距部を三次元的に移動させることができるように構成された内部ロボットアームに取り付けられ、前記内部ロボットアームによって前記プローブを前記シリカガラスルツボの内表面に沿って移動させる、請求項1または2に記載の方法。 - 28インチ以上の前記シリカガラスルツボを測定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のシリカガラスルツボの評価方法。
- 前記シリカガラスルツボ内に保持されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げる工程を備え、
前記シリコン単結晶の引き上げに用いられる前記シリカガラスルツボが請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法によって評価される、シリコン単結晶の製造方法。
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