JP2017215325A - シリカガラスルツボの測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリカガラスルツボの赤外吸収スペクトルの三次元分布を高精度に決定するシリカガラスルツボの測定方法を提供する。
【解決手段】円筒状の側壁部11aを備え、内表面側に透明シリカガラス層13、外表面側に気泡含有シリカガラス層15を有するシリカガラスルツボ11の内表面に沿って非接触で内部測距部17を移動させ、移動経路上の複数の測定点において内表面に対して斜め方向にレーザー光を照射し、内表面で反射される反射光によるピークおよび透明シリカガラス層13と気泡含有シリカガラス層15との界面で反射される反射光によるピークの2つのピークが観測されるように内部測距部17と内表面との距離やレーザー光の出射方向を変化させて、2つのピークの位置によって、内部測距部17と内表面との間の内表面距離および内部測距部17と界面との間の界面距離をそれぞれ決定し、内表面および界面の三次元形状をそれぞれ求める。
【選択図】図1
【解決手段】円筒状の側壁部11aを備え、内表面側に透明シリカガラス層13、外表面側に気泡含有シリカガラス層15を有するシリカガラスルツボ11の内表面に沿って非接触で内部測距部17を移動させ、移動経路上の複数の測定点において内表面に対して斜め方向にレーザー光を照射し、内表面で反射される反射光によるピークおよび透明シリカガラス層13と気泡含有シリカガラス層15との界面で反射される反射光によるピークの2つのピークが観測されるように内部測距部17と内表面との距離やレーザー光の出射方向を変化させて、2つのピークの位置によって、内部測距部17と内表面との間の内表面距離および内部測距部17と界面との間の界面距離をそれぞれ決定し、内表面および界面の三次元形状をそれぞれ求める。
【選択図】図1
Description
本発明は、シリカガラスルツボの測定方法に関する。
シリコン単結晶の製造にはシリカガラスルツボを用いたチョクラルスキー法(CZ法)が採用されている。具体的には、シリカガラスルツボの内部にシリコン多結晶原料を熔融したシリコン融液を貯留し、シリコン単結晶の種結晶を接触させ、回転させながら徐々に引き上げ、シリコン単結晶の種結晶を核として成長させてシリコン単結晶を製造する。
シリコン単結晶引き上げに用いるルツボは、一般に、回転モールドの内表面に平均粒径300μm程度のシリカ粉を堆積させてシリカ粉層を形成するシリカ粉層形成工程と、モールド側からシリカ粉層を減圧しながら、シリカ粉層をアーク熔融させることによってシリカガラス層を形成するアーク熔融工程を備える(この方法を「回転モールド法」と称する)。
アーク熔融工程の初期にはシリカ粉層を強く減圧することによって気泡を除去して透明シリカガラス層(以下、「透明層」と称する。)を形成し、その後、減圧を弱くすることによって気泡が残留した気泡含有シリカガラス層(以下、「気泡含有層」と称する。)を形成することによって、内表面側に透明層を有し、外表面側に気泡含有層を有する二層構造のシリカガラスルツボを形成することができる。
ルツボの製造に使用されるシリカ粉には、天然石英を粉砕して製造される天然シリカ粉や化学合成によって製造される合成シリカ粉があるが、特に天然シリカ粉は、天然物を原料としているので、物性・形状・サイズがばらつきやすい。物性・形状・サイズが変化すると、シリカ粉の溶融状態が変化するので、同じ条件でアーク熔融を行っても、製造されるルツボの内表面状態は、ルツボ毎に異なり、又は各ルツボにおいても部位毎に異なる場合がある。
ルツボ内表面は、シリコン融液と接触する部分であるので、ルツボの内表面状態は、製造されるシリコン単結晶の収率や特性に大きな影響を与える。
ルツボの内表面状態を反映するものの1つとして赤外吸収スペクトルがある。ルツボの内表面の赤外吸収スペクトルは、内表面のガラスの状態(例:OH基密度、内表面の結晶化状態等)によって影響を受けるためである。
特許文献1及び2では、シリカ粉の状態での赤外吸収スペクトルが測定されているが、ルツボの状態の赤外吸収スペクトルは測定されていないので、これらの文献の方法では、赤外吸収スペクトルによって内表面状態を評価することができない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、シリカガラスルツボの赤外吸収スペクトルの三次元分布を高精度に決定するシリカガラスルツボの測定方法を提供するものである。
本発明によれば、円筒状の側壁部を備え、内表面側に透明シリカガラス層を有し、前記透明シリカガラス層よりも外表面側に気泡含有シリカガラス層を有するシリカガラスルツボの内表面に沿って非接触で内部測距部を移動させ、移動経路上の複数の測定点において、内部測距部から前記シリカガラスルツボの内表面に対して斜め方向にレーザー光を照射し、前記レーザー光の反射光をレーザー変位計で測定して、前記内表面で反射される反射光によるピークおよび前記透明シリカガラス層と前記気泡含有シリカガラス層との界面で反射される反射光によるピークの2つのピークが観測されるように前記内部測距部と前記内表面との距離や前記レーザー光の出射方向を変化させて、当該2つのピークの位置によって、前記内部測距部と前記内表面との間の内表面距離および前記内部測距部と前記界面との間の界面距離をそれぞれ決定し、前記シリカガラスルツボの前記内表面の三次元形状および前記界面の三次元形状をそれぞれ求める、シリカガラスルツボの測定方法が提供される。
上記の通り、ルツボ内表面状態を表す赤外吸収スペクトルは、シリコン単結晶引き上げ工程におけるパラメーターであるが、従来技術では、赤外吸収スペクトルの三次元分布について検討されたことはなかった。本発明では、以下の方法によって、この赤外吸収スペクトルの三次元分布を高精度に決定することを可能にしている。
本発明者らは、内表面の三次元形状を最初に特定して、その三次元形状上に複数の測定点において赤外吸収スペクトルを測定することによって赤外吸収スペクトルの三次元分布を決定しようとしたが、通常の三次元レーザースキャナを用いて、内表面の三次元形状を特定しようとしたところ、ルツボが透明体であるので、測定はうまくいかなかった。ルツボ内表面に光を照射して画像を取得し、その画像を解析する方法も試してみたが、この方法では、画像の解析に非常に長い時間がかかるため、ルツボの内表面全体の三次元形状の測定には到底使えるものではなかった。
このような状況において、本発明者らは、ルツボの内表面に対して斜め方向からレーザー光を照射したところ、ルツボ内表面からの反射光(内表面反射光)の検出が可能であり、この反射光に基づいて内部測距部と内表面の間の内表面距離が測定可能であることを見出した。
また、ルツボの内表面に沿った複数の測定点において測定が行われるが、各測定点での内部測距部の座標と内表面距離を関連付けることによって、各測定点に対応するルツボ内表面座標が得られる。
そして、ルツボの内表面に沿って、メッシュ状に多数の測定点を配置して測定を行うことによって、メッシュ状の内表面座標が得られ、これによって、ルツボの内表面の三次元形状を求めることができる。
この方法が優れているのは、画像解析による方法に比べて、データのサンプリングレートが格段に大きいことであり、予備実験によると、直径1mのルツボで10万点の測定をする場合であっても、10分程度で内表面全体の三次元形状の測定を終えることができた。
この方法が優れているのは、画像解析による方法に比べて、データのサンプリングレートが格段に大きいことであり、予備実験によると、直径1mのルツボで10万点の測定をする場合であっても、10分程度で内表面全体の三次元形状の測定を終えることができた。
ルツボの内表面の三次元形状が求まった後は、この三次元形状上の複数の測定点で内表面の赤外吸収スペクトルを測定することによって、内表面の赤外吸収スペクトルの三次元分布を決定する。このような方法で赤外吸収スペクトルの三次元分布を決定した場合、内表面の三次元形状が高精度に求まっているので、内表面の赤外吸収スペクトルの三次元分布も高精度に決定することができる。
本発明の方法が優れている点は、赤外吸収スペクトルの三次元分布が非破壊で決定できるため、実際の製品の赤外吸収スペクトルの三次元分布が分かることである。従来は、ルツボを切断してサンプルを作成し、このサンプルの赤外吸収スペクトルを測定していたが、この方法では、実際の製品のデータが取得できないこと、サンプル作成に時間とコストがかかるという問題があるので、本発明は、実際の製品の赤外吸収スペクトルを低コストで測定できる点で利点が大きい。また、本発明は、外径28インチ以上の大型ルツボや、40インチ以上の超大型ルツボにおいて特に利点がある。なぜなら、このようなルツボにおいては、サンプル作成にかかる時間とコストが小型ルツボに比べて非常に大きいからである。
本発明の方法が優れている点は、赤外吸収スペクトルの三次元分布が非破壊で決定できるため、実際の製品の赤外吸収スペクトルの三次元分布が分かることである。従来は、ルツボを切断してサンプルを作成し、このサンプルの赤外吸収スペクトルを測定していたが、この方法では、実際の製品のデータが取得できないこと、サンプル作成に時間とコストがかかるという問題があるので、本発明は、実際の製品の赤外吸収スペクトルを低コストで測定できる点で利点が大きい。また、本発明は、外径28インチ以上の大型ルツボや、40インチ以上の超大型ルツボにおいて特に利点がある。なぜなら、このようなルツボにおいては、サンプル作成にかかる時間とコストが小型ルツボに比べて非常に大きいからである。
内表面の赤外吸収スペクトルの三次元分布が決定されれば、この分布に基づいてルツボの品質検査を行うことができる。例えば、各部位の赤外吸収スペクトルが規定の範囲内に入っているかどうかだけではなく、そのバラツキが規定の範囲内に入っているかどうかに従って品質検査を行うことができ、規定の範囲外である場合には内表面をファイアーポリッシュする等によって赤外吸収スペクトルを調節して規定範囲内に入るようにすることができる。
また、シリコン単結晶の引き上げ条件を設定する際に、内表面の赤外吸収スペクトルの三次元分布を考慮して条件設定を行うことができ、シリコン単結晶の引き上げを高精度に行うことができる。
さらに、ルツボの使用前に内表面の赤外吸収スペクトルの三次元分布を決定しておくことによって、万が一、シリコン単結晶の引き上げがうまく行かなかった場合、その原因追求を行うことが容易になる。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下の実施形態は、互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、内部測距部からのレーザー光は、前記内表面に対して30〜60度の入射角で照射される。
好ましくは、内部測距部は、内部測距部を三次元的に移動させることができるように構成された内部ロボットアームに固定され、前記シリカガラスルツボは、内部ロボットアームを覆うように配置される。
好ましくは、前記シリカガラスルツボ内に保持されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げる工程を備え、前記シリコン単結晶の引き上げ条件が、前記シリカガラスルツボの内表面の赤外吸収スペクトルの三次元分布に基づいて決定され、前記内表面の赤外吸収スペクトルの三次元分布は、上記方法によって決定される。
以下、図1〜図4を用いて、本発明の一実施形態のシリカガラスルツボの赤外吸収スペクトルの三次元分布の決定方法を説明する。
<1.シリカガラスルツボ>
本実施形態で使用されるシリカガラスルツボ11は、一例では、回転モールドの内表面に平均粒径300μm程度のシリカ粉を堆積させてシリカ粉層を形成するシリカ粉層形成工程と、モールド側からシリカ粉層を減圧しながら、シリカ粉層をアーク熔融させることによってシリカガラス層を形成するアーク熔融工程を備える(この方法を「回転モールド法」と称する)方法によって製造される。
本実施形態で使用されるシリカガラスルツボ11は、一例では、回転モールドの内表面に平均粒径300μm程度のシリカ粉を堆積させてシリカ粉層を形成するシリカ粉層形成工程と、モールド側からシリカ粉層を減圧しながら、シリカ粉層をアーク熔融させることによってシリカガラス層を形成するアーク熔融工程を備える(この方法を「回転モールド法」と称する)方法によって製造される。
アーク熔融工程の初期にはシリカ粉層を強く減圧することによって気泡を除去して透明シリカガラス層(以下、「透明層」と称する。)13を形成し、その後、減圧を弱くすることによって気泡が残留した気泡含有シリカガラス層(以下、「気泡含有層」と称する。)15を形成することによって、内表面側に透明層13を有し、外表面側に気泡含有層15を有する二層構造のシリカガラスルツボを形成することができる。
ルツボの製造に使用されるシリカ粉には、天然石英を粉砕して製造される天然シリカ粉や化学合成によって製造される合成シリカ粉があるが、特に天然シリカ粉は、天然物を原料としているので、物性・形状・サイズがばらつきやすい。物性・形状・サイズが変化すると、シリカ粉の溶融状態が変化するので、同じ条件でアーク熔融を行っても、製造されるルツボの内表面の赤外吸収スペクトルは、ルツボ毎にばらついてしまい、また同じルツボ内においても部位毎にばらついてしまう。従って、製造したルツボの一つ一つについて、内表面の赤外吸収スペクトルの三次元分布を決定する必要がある。
シリカガラスルツボ11は、円筒状の側壁部11aと、湾曲した底部11cと、側壁部11aと底部11cを連結し且つ底部11cよりも曲率が大きいコーナー部11bを備える。本発明において、コーナー部11bとは、側壁部11aと底部11cを連接する部分で、コーナー部の曲線の接線がシリカガラスルツボの側壁部11aと重なる点から、底部11cと共通接線を有する点までの部分のことを意味する。言い換えると、シリカガラスルツボ11の側壁部11aが曲がり始める点が側壁部11aとコーナー部11bの境界である。さらに、ルツボの底の曲率が一定の部分が底部11cであり、ルツボの底の中心からの距離が増したときに曲率が変化し始める点が底部11cとコーナー部11bとの境界である。
<2.ルツボの内表面の三次元形状の測定方法>
以下、図1〜図4を用いて、ルツボの内表面の三次元形状の測定方法について説明する。本実施形態では、レーザー変位計などからなる内部測距部17をルツボ内表面に沿って非接触で移動させ、移動経路上の複数の測定点において、ルツボ内表面に対してレーザー光を斜め方向に照射し、その反射光を検出することによって、ルツボの内表面の三次元形状を測定する。以下、詳細に説明する。また、内表面形状を測定する際に、透明層13と気泡含有層15の界面の三次元形状も同時に測定することができ、また、内部測距部19を用いることによってルツボの外表面の三次元形状も測定することができるので、これらの点についても合わせて説明する。
以下、図1〜図4を用いて、ルツボの内表面の三次元形状の測定方法について説明する。本実施形態では、レーザー変位計などからなる内部測距部17をルツボ内表面に沿って非接触で移動させ、移動経路上の複数の測定点において、ルツボ内表面に対してレーザー光を斜め方向に照射し、その反射光を検出することによって、ルツボの内表面の三次元形状を測定する。以下、詳細に説明する。また、内表面形状を測定する際に、透明層13と気泡含有層15の界面の三次元形状も同時に測定することができ、また、内部測距部19を用いることによってルツボの外表面の三次元形状も測定することができるので、これらの点についても合わせて説明する。
<2−1.シリカガラスルツボの設置、内部ロボットアーム、内部測距部>
測定対象であるシリカガラスルツボ11は、開口部が下向きになるように回転可能な回転台9上に載置されている。ルツボ11に覆われる位置に設けられた基台1上には、内部ロボットアーム5が設置されている。内部ロボットアーム5は、複数のアーム5aと、これらのアーム5aを回転可能に支持する複数のジョイント5bと、本体部5cを備える。本体部5cには図示しない外部端子が設けられており、外部とのデータ交換が可能になっている。内部ロボットアーム5の先端にはルツボ11の内表面形状の測定を行う内部測距部17が設けられている。内部測距部17は、ルツボ11の内表面に対してレーザー光を照射し、内表面からの反射光を検出することによって内部測距部17からルツボ11の内表面までの距離を測定する。本体部5c内には、ジョイント5b及び内部測距部17の制御を行う制御部が設けられている。制御部は、本体部5c設けられたプログラム又は外部入力信号に基づいてジョイント5bを回転させてアーム5を動かすことによって、内部測距部17を任意の三次元位置に移動させる。具体的には、内部測距部17をルツボ内表面に沿って非接触で移動させる。従って、制御部には、ルツボ内表面の大まかな形状データを与え、そのデータに従って、内部測距部17の位置を移動させる。より具体的には、例えば、図1(a)に示すようなルツボ11の開口部近傍に近い位置から測定を開始し、図1(b)に示すように、ルツボ11の底部11cに向かって内部測距部17を移動させ、移動経路上の複数の測定点において測定を行う。測定間隔は、例えば、1〜5mmであり、例えば2mmである。測定は、予め内部測距部17内に記憶されたタイミングで行うか、又は外部トリガに従って行う。測定結果は、内部測距部17内の記憶部に格納されて、測定終了後にまとめて本体部5cに送られるか、又は測定の度に、逐次本体部5cに送られるようにする。内部測距部17は、本体部5cとは別に設けられた制御部によって制御するように構成してもよい。
測定対象であるシリカガラスルツボ11は、開口部が下向きになるように回転可能な回転台9上に載置されている。ルツボ11に覆われる位置に設けられた基台1上には、内部ロボットアーム5が設置されている。内部ロボットアーム5は、複数のアーム5aと、これらのアーム5aを回転可能に支持する複数のジョイント5bと、本体部5cを備える。本体部5cには図示しない外部端子が設けられており、外部とのデータ交換が可能になっている。内部ロボットアーム5の先端にはルツボ11の内表面形状の測定を行う内部測距部17が設けられている。内部測距部17は、ルツボ11の内表面に対してレーザー光を照射し、内表面からの反射光を検出することによって内部測距部17からルツボ11の内表面までの距離を測定する。本体部5c内には、ジョイント5b及び内部測距部17の制御を行う制御部が設けられている。制御部は、本体部5c設けられたプログラム又は外部入力信号に基づいてジョイント5bを回転させてアーム5を動かすことによって、内部測距部17を任意の三次元位置に移動させる。具体的には、内部測距部17をルツボ内表面に沿って非接触で移動させる。従って、制御部には、ルツボ内表面の大まかな形状データを与え、そのデータに従って、内部測距部17の位置を移動させる。より具体的には、例えば、図1(a)に示すようなルツボ11の開口部近傍に近い位置から測定を開始し、図1(b)に示すように、ルツボ11の底部11cに向かって内部測距部17を移動させ、移動経路上の複数の測定点において測定を行う。測定間隔は、例えば、1〜5mmであり、例えば2mmである。測定は、予め内部測距部17内に記憶されたタイミングで行うか、又は外部トリガに従って行う。測定結果は、内部測距部17内の記憶部に格納されて、測定終了後にまとめて本体部5cに送られるか、又は測定の度に、逐次本体部5cに送られるようにする。内部測距部17は、本体部5cとは別に設けられた制御部によって制御するように構成してもよい。
ルツボの開口部から底部11cまでの測定が終わると、回転台9を少し回転させ、同様の測定行う。この測定は、底部11cから開口部に向かって行ってもよい。回転台9の回転角は、精度と測定時間との考慮して決定されるが、例えば、2〜10度である。回転角が大きすぎると測定精度が十分でなく、小さすぎると測定時間が掛かりすぎる。回転台9の回転は、内蔵プログラム又は外部入力信号に基づいて制御される。回転台9の回転角は、ロータリーエンコーダ等によって検出可能である。回転台9の回転は、内部測距部17及び後述する外部測距部19の移動と連動してすることが好ましく、これによって、内部測距部17及び外部測距部19の3次元座標の算出が容易になる。
後述するが、内部測距部17は、内部測距部17から内表面までの距離(内表面距離)、及び内部測距部17から透明層13と気泡含有層15の界面までの距離(界面距離)の両方を測定することができる。ジョイント5bの角度はジョイント5bに設けられたロータリーエンコーダ等によって既知であるので、各測定点での内部測距部17の位置の三次元座標及び方向が既知になるので、内表面距離及び界面距離が求まれば、内表面での三次元座標、及び界面での三次元座標が既知となる。そして、ルツボ11の開口部から底部11cまでの測定が、ルツボ11の全周に渡って行われるので、ルツボ11の内表面の三次元形状、及び界面の三次元形状が既知になる。また、内表面と界面の間の距離が既知になるので、透明層13の厚さも既知になり、透明層の厚さの三次元分布が求められる。
<2−2.外部ロボットアーム、外部測距部>
ルツボ11の外部に設けられた基台3上には、外部ロボットアーム7が設置されている。外部ロボットアーム7は、複数のアーム7aと、これらのアームを回転可能に支持する複数のジョイント7bと、本体部7cを備える。本体部7cには図示しない外部端子が設けられており、外部とのデータ交換が可能になっている。外部ロボットアーム7の先端にはルツボ11の外表面形状の測定を行う外部測距部19が設けられている。外部測距部19は、ルツボ11の外表面に対してレーザー光を照射し、外表面からの反射光を検出することによって外部測距部19からルツボ11の外表面までの距離を測定する。本体部7c内には、ジョイント7b及び外部測距部19の制御を行う制御部が設けられている。制御部は、本体部7c設けられたプログラム又は外部入力信号に基づいてジョイント7bを回転させてアーム7を動かすことによって、外部測距部19を任意の三次元位置に移動させる。具体的には、外部測距部19をルツボ外表面に沿って非接触で移動させる。従って、制御部には、ルツボ外表面の大まかな形状データを与え、そのデータに従って、外部測距部19の位置を移動させる。より具体的には、例えば、図1(a)に示すようなルツボ11の開口部近傍に近い位置から測定を開始し、図1(b)に示すように、ルツボ11の底部11cに向かって外部測距部19を移動させ、移動経路上の複数の測定点において測定を行う。測定間隔は、例えば、1〜5mmであり、例えば2mmである。測定は、予め外部測距部19内に記憶されたタイミングで行うか、又は外部トリガに従って行う。測定結果は、外部測距分19内の記憶部に格納されて、測定終了後にまとめて本体部7cに送られるか、又は測定の度に、逐次本体部7cに送られるようにする。外部測距部19は、本体部7cとは別に設けられた制御部によって制御するように構成してもよい。
ルツボ11の外部に設けられた基台3上には、外部ロボットアーム7が設置されている。外部ロボットアーム7は、複数のアーム7aと、これらのアームを回転可能に支持する複数のジョイント7bと、本体部7cを備える。本体部7cには図示しない外部端子が設けられており、外部とのデータ交換が可能になっている。外部ロボットアーム7の先端にはルツボ11の外表面形状の測定を行う外部測距部19が設けられている。外部測距部19は、ルツボ11の外表面に対してレーザー光を照射し、外表面からの反射光を検出することによって外部測距部19からルツボ11の外表面までの距離を測定する。本体部7c内には、ジョイント7b及び外部測距部19の制御を行う制御部が設けられている。制御部は、本体部7c設けられたプログラム又は外部入力信号に基づいてジョイント7bを回転させてアーム7を動かすことによって、外部測距部19を任意の三次元位置に移動させる。具体的には、外部測距部19をルツボ外表面に沿って非接触で移動させる。従って、制御部には、ルツボ外表面の大まかな形状データを与え、そのデータに従って、外部測距部19の位置を移動させる。より具体的には、例えば、図1(a)に示すようなルツボ11の開口部近傍に近い位置から測定を開始し、図1(b)に示すように、ルツボ11の底部11cに向かって外部測距部19を移動させ、移動経路上の複数の測定点において測定を行う。測定間隔は、例えば、1〜5mmであり、例えば2mmである。測定は、予め外部測距部19内に記憶されたタイミングで行うか、又は外部トリガに従って行う。測定結果は、外部測距分19内の記憶部に格納されて、測定終了後にまとめて本体部7cに送られるか、又は測定の度に、逐次本体部7cに送られるようにする。外部測距部19は、本体部7cとは別に設けられた制御部によって制御するように構成してもよい。
内部測距部17と外部測距部19は、同期させて移動させてもよいが、内表面形状の測定と外表面形状の測定は独立して行われるので、必ずしも同期させる必要はない。
外部測距部19は、外部測距部19から外表面までの距離(外表面距離)を測定することができる。ジョイント7bの角度はジョイント7bに設けられたロータリーエンコーダ等によって既知であるので、外部測距部19の位置の三次元座標及び方向が既知になるので、外表面距離が求まれば、外表面での三次元座標が既知となる。そして、ルツボ11の開口部から底部11cまでの測定が、ルツボ11の全周に渡って行われるので、ルツボ11の外表面の三次元形状が既知になる。
以上より、ルツボの内表面及び外表面の三次元形状が既知になるので、ルツボの壁厚の三次元分布が求められる。
以上より、ルツボの内表面及び外表面の三次元形状が既知になるので、ルツボの壁厚の三次元分布が求められる。
<2−3.距離測定の詳細>
次に、図2を用いて、内部測距部17及び外部測距部19による距離測定の詳細を説明する。
図2に示すように、内部測距部17は、ルツボ11の内表面側(透明層13側)に配置され、外部測距部19は、ルツボ11の外表面側(気泡含有層15側)に配置される。内部測距部17は、出射部17a及び検出部17bを備える。外部測距部19は、出射部19a及び検出部19bを備える。また、内部測距部17及び外部測距部19は、図示しない制御部及び外部端子を備える。出射部17a及び19aは、レーザー光を出射するものであり、例えば、半導体レーザーを備えるものである。出射されるレーザー光の波長は、特に限定されないが、例えば、波長600〜700nmの赤色レーザー光である。検出部17b及び19bは、例えばCCDで構成され、光が当たった位置に基づいて三角測量法の原理に基づいてターゲットまでの距離が決定される。
次に、図2を用いて、内部測距部17及び外部測距部19による距離測定の詳細を説明する。
図2に示すように、内部測距部17は、ルツボ11の内表面側(透明層13側)に配置され、外部測距部19は、ルツボ11の外表面側(気泡含有層15側)に配置される。内部測距部17は、出射部17a及び検出部17bを備える。外部測距部19は、出射部19a及び検出部19bを備える。また、内部測距部17及び外部測距部19は、図示しない制御部及び外部端子を備える。出射部17a及び19aは、レーザー光を出射するものであり、例えば、半導体レーザーを備えるものである。出射されるレーザー光の波長は、特に限定されないが、例えば、波長600〜700nmの赤色レーザー光である。検出部17b及び19bは、例えばCCDで構成され、光が当たった位置に基づいて三角測量法の原理に基づいてターゲットまでの距離が決定される。
内部測距部17の出射部17aから出射されたレーザー光は、一部が内表面(透明層13の表面)で反射し、一部が透明層13と気泡含有層15の界面で反射し、これらの反射光(内表面反射光、界面反射光)が検出部17bに当たって検出される。図2から明らかなように、内表面反射光と界面反射光は、検出部17bの異なる位置に当たっており、この位置の違いによって、内部測距部17から内表面までの距離(内表面距離)及び界面までの距離(界面距離)がそれぞれ決定される。好適な入射角θは、内表面の状態、透明層13の厚さ、気泡含有層15の状態等によって、変化しうるが例えば30〜60度である。
図3は、市販のレーザー変位計を用いて測定された実際の測定結果を示す。図3に示すように、2つのピークが観察されており、内表面側のピークが内表面反射光によるピークであり、外表面側のピークが界面反射光によるピークに対応する。このように、透明層13と気泡含有層15の界面からの反射光によるピークもクリアに検出されている。従来は、このような方法で界面の特定がなされたことがなく、この結果は非常に斬新である。
内部測距部17から内表面までの距離が遠すぎる場合や、内表面又は界面が局所的に傾いている場合には、2つのピークが観測されない場合がある。その場合には、内部測距部17を内表面に近づけたり、内部測距部17の傾けてレーザー光の出射方向を変化させて、2つのピークが観測される位置及び角度を探索することが好ましい。また、2つのピークが同時に観測されなくても、ある位置及び角度において内表面反射光によるピークを観測し、別の位置及び角度において界面反射光によるピークを観測するようにしてもよい。また、内部測距部17が内表面に接触することを避けるために、最大近接位置を設定しておいて、ピークが観測されない場合でも、その位置よりも内表面に近づけないようにすることが好ましい。
また、透明層13中に独立した気泡が存在する場合、この気泡からの反射光を内部測距部17が検出してしまい、透明層13と気泡含有層15の界面を適切に検出できない場合がある。従って、ある測定点Aで測定された界面の位置が前後の測定点で測定された界面の位置から大きく(所定の基準値を超えて)ずれている場合には、測定点Aでのデータを除外してもよい。また、その場合、測定点Aからわずかにずれた位置で再度測定を行って、得られたデータを採用してもよい。
また、透明層13中に独立した気泡が存在する場合、この気泡からの反射光を内部測距部17が検出してしまい、透明層13と気泡含有層15の界面を適切に検出できない場合がある。従って、ある測定点Aで測定された界面の位置が前後の測定点で測定された界面の位置から大きく(所定の基準値を超えて)ずれている場合には、測定点Aでのデータを除外してもよい。また、その場合、測定点Aからわずかにずれた位置で再度測定を行って、得られたデータを採用してもよい。
また、外部測距部19の出射部19aから出射されたレーザー光は、外表面(気泡含有層15)の表面で反射し、その反射光(外表面反射光)が検出部19bに当たって検出され、検出部19b上での検出位置に基づいて外部測距部19と外表面の間の距離が決定される。図4は、市販のレーザー変位計を用いて測定された実際の測定結果を示す。図4に示すように、1つのピークのみが観察される。ピークが観測されない場合には、外部測距部19を内表面に近づけたり、外部測距部19の傾けてレーザー光の出射方向を変化させて、ピークが観測される位置及び角度を探索することが好ましい。
<3.ルツボの内表面の赤外吸収スペクトルの三次元分布の決定方法>
ルツボの内表面の三次元形状が求まった後は、この三次元形状上の複数の測定点において内表面の赤外吸収スペクトルを測定することによって、その三次元分布を決定する。
各測定点での赤外吸収スペクトルの測定方法は、非接触式であれば特に限定されないが、内表面に向けて赤外線を照射してその反射光を検出し、照射光のスペクトルと反射光のスペクトルの差分を求めることによって測定することができる。
測定点の配置は、特に限定されないが、例えば、ルツボの開口部から底部に向かう方向には5〜20mm間隔で配置し、円周方向には例えば10〜60度間隔である。
具体的な測定は、例えば、赤外吸収スペクトル測定用プローブを内部ロボットアーム5の先端に取り付け、内部測距部17と同様の方法で、非接触で内表面に沿って移動させる。内部測距部17を移動させる際には、内表面の大雑把な三次元形状が分かっているだけで内表面の正確な三次元形状は分かっていなかったので、その大雑把な三次元形状に基づいて内部測距部17を移動させていたが、赤外吸収スペクトルの測定時には、内表面の正確な三次元形状が分かっているので、赤外吸収スペクトル測定用プローブを移動させる際に、内表面とプローブとの距離を高精度に制御することが可能である。
赤外吸収スペクトル測定用プローブをルツボの開口部から底部まで移動させ、その移動経路上の複数点で赤外吸収スペクトルを測定した後は、回転台9を回転させて、ルツボ11の別の部位の赤外吸収スペクトルの測定を行う。
このような方法でルツボの内表面全体に渡って赤外吸収スペクトルを測定することができ、その測定結果により、ルツボの内表面の赤外吸収スペクトルの三次元分布を決定することができる。
ルツボの内表面の三次元形状が求まった後は、この三次元形状上の複数の測定点において内表面の赤外吸収スペクトルを測定することによって、その三次元分布を決定する。
各測定点での赤外吸収スペクトルの測定方法は、非接触式であれば特に限定されないが、内表面に向けて赤外線を照射してその反射光を検出し、照射光のスペクトルと反射光のスペクトルの差分を求めることによって測定することができる。
測定点の配置は、特に限定されないが、例えば、ルツボの開口部から底部に向かう方向には5〜20mm間隔で配置し、円周方向には例えば10〜60度間隔である。
具体的な測定は、例えば、赤外吸収スペクトル測定用プローブを内部ロボットアーム5の先端に取り付け、内部測距部17と同様の方法で、非接触で内表面に沿って移動させる。内部測距部17を移動させる際には、内表面の大雑把な三次元形状が分かっているだけで内表面の正確な三次元形状は分かっていなかったので、その大雑把な三次元形状に基づいて内部測距部17を移動させていたが、赤外吸収スペクトルの測定時には、内表面の正確な三次元形状が分かっているので、赤外吸収スペクトル測定用プローブを移動させる際に、内表面とプローブとの距離を高精度に制御することが可能である。
赤外吸収スペクトル測定用プローブをルツボの開口部から底部まで移動させ、その移動経路上の複数点で赤外吸収スペクトルを測定した後は、回転台9を回転させて、ルツボ11の別の部位の赤外吸収スペクトルの測定を行う。
このような方法でルツボの内表面全体に渡って赤外吸収スペクトルを測定することができ、その測定結果により、ルツボの内表面の赤外吸収スペクトルの三次元分布を決定することができる。
Claims (1)
- 円筒状の側壁部を備え、内表面側に透明シリカガラス層を有し、前記透明シリカガラス層よりも外表面側に気泡含有シリカガラス層を有するシリカガラスルツボの内表面に沿って非接触で内部測距部を移動させ、
移動経路上の複数の測定点において、内部測距部から前記シリカガラスルツボの内表面に対して斜め方向にレーザー光を照射し、前記レーザー光の反射光をレーザー変位計で測定して、前記内表面で反射される反射光によるピークおよび前記透明シリカガラス層と前記気泡含有シリカガラス層との界面で反射される反射光によるピークの2つのピークが観測されるように前記内部測距部と前記内表面との距離や前記レーザー光の出射方向を変化させて、当該2つのピークの位置によって、前記内部測距部と前記内表面との間の内表面距離および前記内部測距部と前記界面との間の界面距離をそれぞれ決定し、前記シリカガラスルツボの前記内表面の三次元形状および前記界面の三次元形状をそれぞれ求める、シリカガラスルツボの測定方法。
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- 2017-06-15 JP JP2017117366A patent/JP2017215325A/ja not_active Withdrawn
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