JP6114006B2 - 容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法 - Google Patents

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Description

本発明は、容器詰め炭酸アルコール飲料を加熱殺菌する方法であって、加熱時間を従来よりも延長することなく、65℃未満という低温で充分な殺菌効果が得られる殺菌方法に関する。
容器詰め飲料を安定して保存するためには、飲料に混濁や異臭をもたらす微生物を殺菌しておく必要がある。清涼飲料には食品衛生法が適用されており、主に飲料のpHによって殺菌処理条件が決まっている。例えば、pHが4未満の場合には、65℃で10分間の加熱処理と同等以上の殺菌処理を、pHが4以上4.6未満の場合には、85℃で30分間の加熱処理と同等以上の殺菌処理を、それぞれ行うべきとされている。炭酸清涼飲料は、植物又は動物の組織成分を含まないものについては殺菌処理を行わなくてもよい場合があるが、植物又は動物の組織成分を含む場合には、飲料のpHに応じた殺菌処理を行う必要がある。炭酸アルコール飲料には食品衛生法における殺菌処理条件は直接的に適用されないが、植物又は動物の組織成分を含む場合には、食品衛生法の殺菌処理条件を参考にすることができる。
容器詰め炭酸アルコール飲料を加熱殺菌すると、容器の内圧が急激に増加し、容器が変形したり破損する場合がある。このため、容器詰め炭酸アルコール飲料を加熱殺菌処理する場合には、耐圧性が非常に高く比較的高価な容器を使用したり、容器詰め炭酸アルコール飲料に加圧環境下で加熱された液状熱媒(例えば、水等)を散布する加圧パストライザー装置を使用したり(例えば、特許文献1参照。)する必要がある。
加圧パストライザー装置等を使用して65℃以上の高温に加熱することにより、より低温で殺菌処理する場合よりもより短時間で充分な殺菌効果が得られる。しかしながら、飲料を高温処理することにより、香料由来の劣化臭が発生したり、味が劣化するという問題がある。これに対して、より低温で加熱殺菌することにより、香りや味の劣化を抑制できることに加えて、容器内圧の過剰な増加は抑えられる結果、高価な耐圧性容器や加圧パストライザー装置を使用せずに加熱殺菌することもできる。しかしながら、加熱温度が低い場合には、充分な殺菌効果を得るためにより長時間の加熱処理が必要となり、生産性が著しく低下するという問題がある。
また、容器詰め炭酸アルコール飲料の加熱殺菌においては、飲料中の炭酸ガス圧が殺菌効果に影響を与えることが知られている。例えば、非特許文献1には、飲料中の炭酸ガス圧が高いほうが、同じ殺菌温度での殺菌効果が高いことが報告されている。また、飲料中のアルコール濃度が殺菌効果に影響を与えることが知られており、非特許文献2には、飲料中のアルコール濃度が高いほうが、同じ殺菌温度での殺菌効果が高いことが報告されている。
特開平11−221062号公報
高橋登枝子、他2名、愛知県食品工業試験所年報、1975年、第15巻、第6〜15ページ。 スプリッツトーサー(SPLITTSTOESSER)、他2名、ジャーナル・オブ・フード・サイエンス(Journal of Food Science)、1986年、第51巻、第5号、第1265〜1267ページ。
本発明は、容器詰め炭酸アルコール飲料を、長時間の加熱を要することなく、65℃未満という低温で殺菌することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、容器詰め炭酸アルコール飲料中のアルコール濃度と炭酸ガス圧と、充分な殺菌効果を得るための殺菌温度との関係を調べ、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法、及び容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法、下記[1]〜[10]である。
[1] アルコール濃度が5容量%以上である容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法であって、
香料を含有する容器詰め炭酸アルコール飲料を、下記式(1)(式(1)中、Cは飲料中のアルコール濃度(容量%)、Gは飲料中のガスボリュームを表す。)
式(1)… 65> T ≧ −0.73C−0.38G+61.53
を満たし、かつ52〜57℃である殺菌温度T(℃)で10分間以上殺菌することを特徴とする、容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法。
] 前記殺菌温度T(℃)における殺菌時間が20分間以下である、前記[1]容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法。
] 前記容器詰め炭酸アルコール飲料中の炭酸ガス圧が2.3ガスボリューム以上である、前記[1]又は容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法。
] 前記容器詰め炭酸アルコール飲料が、さらに、果汁又は含有する、前記[1]〜[]のいずれかの容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法。
香料を含有する炭酸アルコール飲料を容器に充填密封した後に行う殺菌工程を、前記[1]〜[]のいずれかの容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法により行う、容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法。
前記炭酸アルコール飲料のアルコール濃度が5〜10%である、前記[5]の容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法
前記炭酸アルコール飲料の炭酸ガス圧が2.3〜3.4ガスボリュームである、前記[5]又は[6]の容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法
前記炭酸アルコール飲料が、果汁又は含有する、前記[5]〜[]のいずれかの容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法
前記香料が、香料レモン、香料グレープフルーツ、香料カシス、香料オレンジ、香料シイクワシャー、香料パインアップル、香料ライム、香料ワイン、香料ビール、香料みかん、香料りんご、香料もも、香料ぶどう、及び香料マンゴーからなる群より選択される1種以上の香料である、前記[5]〜[]のいずれかの容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法
10] ワイン又はビールを含有する、前記[]〜[]のいずれかの容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法
本発明に係る容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法は、容器詰め炭酸アルコール飲料を、65℃未満という低温で短時間に加熱殺菌する方法である。このため、容器詰め炭酸アルコール飲料の製造工程における加熱殺菌処理を当該殺菌方法により行うことによって、加熱殺菌による香味の劣化を抑え、官能性に優れた容器詰め炭酸アルコール飲料を製造することができる。
実施例1において、各容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌効果(Log10([初発菌数]/[生残菌数])を、加熱温度とガスボリュームごとにプロットした図である。 実施例2において、各容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌処理後のフレッシュ感の評価結果を示した図である。 実施例2において、各容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌処理後の総合評価の評価結果を示した図である。
特定の温度における加熱殺菌効果は、飲料中のアルコール濃度と炭酸ガス圧に影響を受ける。本発明者らは、後記実施例1に示すように、飲料中のアルコール濃度と炭酸ガス圧と殺菌効果との関係を調べ、殺菌温度が[−0.73C−0.38G+61.53]℃(Cは飲料中のアルコール濃度(容量%)、Gは飲料中のガスボリュームを表す。)以上であれば、10分間程度の短い加熱殺菌時間で飲料として充分な殺菌効果が得られることを見出した。さらに、加熱温度を65℃未満、好ましくは62℃以下とすることにより、香味成分等の加熱による劣化、特に劣化臭の発生を抑制できることを見出した。
すなわち、本発明に係る容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法(以下、「本発明に係る殺菌方法」ということがある。)は、容器詰め炭酸アルコール飲料を、下記式(1)(式(1)中、Cは飲料中のアルコール濃度(容量%)、Gは飲料中のガスボリュームを表す。)を満たす殺菌温度T(℃)で殺菌することを特徴とする。殺菌温度を下記式(1)を充足する温度にすることによって、加熱による香りや味の劣化を抑制しつつ、短時間で充分な殺菌効果を得ることができる。
式(1)… 65> T ≧ −0.73C−0.38G+61.53
本発明及び本願明細書において、「充分な殺菌効果」とは、殺菌指標菌に対し5D以上の殺菌効果(初発菌数の100000分の1以下に減少させる効果)が得られたことを意味する。
飲料中のアルコール濃度が高いほど、同一温度においてより高い殺菌効果が得られる。一方で、飲料における好ましいアルコール濃度は、飲料の種類によっておおよその範囲があるが、近年、健康への関心の高まりや飲みやすさの点から、あまりアルコール濃度が高くないものが好まれる傾向にある。本発明に係る殺菌方法に供される容器詰め炭酸アルコール飲料としては、アルコール濃度が5容量%以上であることが好ましく、5〜15容量%であることがより好ましく、5〜10容量%であることがさらに好ましい。
飲料中の炭酸ガス圧が高いほど、同一温度においてより高い殺菌効果が得られる。一方で、炭酸ガス圧が高すぎる場合には、炭酸感が強くなりすぎるおそれもある。例えば、炭酸ガス圧が4.8ガスボリュームであり、アルコール濃度が20容量%の炭酸アルコール飲料は、炭酸感とアルコール感が強すぎ、飲用にはあまり好ましくない。また、炭酸ガス圧が高いほど、同一温度において容器の内圧が高くなるため、より耐圧性の高い容器に充填されることが必要になる。そこで、本発明に係る殺菌方法に供される容器詰め炭酸アルコール飲料としては、炭酸ガス圧が2.3ガスボリューム以上であることが好ましく、2.3〜4.5ガスボリュームであることがより好ましく、2.3〜3.4ガスボリュームであることがさらに好ましい。なお、清涼飲料業界では、1気圧で15.6℃における溶解度が1に近いことから、飲料中の炭酸ガス含有量を表す単位として1ガス容(ガスボリューム)と呼んでいる(「果汁・果実飲料事典」、朝倉書店、1978年発行、第442ページ参照。)。
本発明及び本願明細書において、炭酸アルコール飲料とは、炭酸ガスによる発泡性を有し、かつアルコールを含有する飲料であればよく、発酵工程を経て製造される飲料であってもよく、発酵工程を経ずに製造される飲料であってもよい。すなわち、本発明における炭酸アルコール飲料には、ビール、発泡酒、新ジャンル等のビールテイストアルコール飲料(ビールと同等の又はそれと似た風味・味覚及びテクスチャーを有する炭酸アルコール飲料);発泡ワイン、シードル等のビールテイストアルコール飲料以外の発泡性のアルコール飲料;ウォッカ、ウイスキー、ブランデー、焼酎、ラム酒、ジン等の蒸留酒やリキュール等の非発泡性のアルコール飲料に、炭酸水を添加したり、炭酸ガスを圧入することによって得られる炭酸アルコール飲料;ジュース、清涼飲料等の非発泡性のノンアルコール飲料と、蒸留酒やリキュール等の非発泡性のアルコール飲料との混合液に、炭酸水を添加したり、炭酸ガスを圧入することによって得られる炭酸アルコール飲料;サイダー、ラムネ等の発泡性のノンアルコール飲料と、蒸留酒やリキュール等の非発泡性のアルコール飲料とを混合して得られる炭酸アルコール飲料;等が挙げられる。
本発明に係る殺菌方法では、加熱による香味成分の劣化が生じ難い。このため、本発明に係る殺菌方法は、特に、植物又は動物の組織成分を含む容器詰め炭酸アルコール飲料や、熱劣化しやすい香料を含む容器詰め炭酸アルコール飲料の加熱殺菌処理に好適である。植物又は動物の組織成分を含む容器詰め炭酸アルコール飲料としては、レモン、グレープフルーツ、カシス、オレンジ、シイクワシャー、パインアップル、ライム、みかん、りんご、もも、ぶどう、及びマンゴーからなる群より選択される1種以上の果肉又は果汁を含む容器詰め炭酸アルコール飲料や、生乳、脱脂粉乳、ホエー等の乳成分を含む容器詰め炭酸アルコール飲料、ワインやビール等の発酵性アルコール飲料を含む容器詰め炭酸アルコール飲料が好ましい。また、香料を含む容器詰め炭酸アルコール飲料としては、例えば、香料レモン、香料グレープフルーツ、香料カシス、香料オレンジ、香料シイクワシャー、香料パインアップル、香料ライム、香料ワイン、香料ビール、香料みかん、香料りんご、香料もも、香料ぶどう、及び香料マンゴーからなる群より選択される1種以上の香料を含む容器詰め炭酸アルコール飲料が好ましい。植物又は動物の組織成分と香料の両方を含む容器詰め炭酸アルコール飲料であってもよい。
容器詰め炭酸アルコール飲料とは、容器に充填されて密封された状態の炭酸アルコール飲料を意味する。本発明に係る殺菌方法に供される容器詰め炭酸アルコール飲料は、常法により製造された炭酸アルコール飲料を、常法により容器に充填し密封することによって得られる。
本発明に係る殺菌方法に供される容器詰め炭酸アルコール飲料の容器は、炭酸アルコール飲料が充填密封された状態で加熱殺菌した場合に、殺菌温度における容器内圧が当該容器を変形させない範囲であればよく、その材質や容量、形状は特に限定されない。当該容器としては、例えば、アルミニウム缶、スチール缶等の缶、ペットボトルやパウチ等の樹脂製容器、ガラス瓶等が挙げられる。
従来、容器に充填密封した後に加熱殺菌を要する炭酸アルコール飲料の容器としては、65℃における耐圧強度が高いものが使用されてきた。本発明に係る殺菌方法は、より低温で加熱殺菌処理が可能であるため、従来よりも耐圧性がさほど高くない容器を用いた場合でも、充分な加熱殺菌を行うことが可能である。
本発明に係る殺菌方法において、容器詰め炭酸アルコール飲料を加熱殺菌処理する方法としては、容器内の炭酸アルコール飲料の温度が前記式(1)を満たす温度範囲内にある状態で、所定時間保持可能な方法であればよい。例えば、容器詰め炭酸アルコール飲料を、前記式(1)を満たす温度範囲内の恒温槽に入れて所定時間保持することによって、当該容器詰め炭酸アルコール飲料は加熱殺菌処理される。なお、殺菌温度は、前記式(1)を満たす温度範囲内であればよく、加熱殺菌処理時間内で一定である必要はなく、変動していてもよい。
加熱殺菌時間は、充分な殺菌効果が得られる時間であればよく、炭酸アルコール飲料の種類や容量、容器の材質や形状、殺菌温度等を考慮して適宜決定することができる。後記実施例1において示すように、殺菌温度が[−0.73C−0.38G+61.53]℃の場合でも殺菌時間が10分間程度で充分な殺菌効果が得られるため、本発明における殺菌時間としては、10分間以上であることが好ましく、生産性の向上と香味劣化のより充分な抑制の点から10〜20分間であることがより好ましい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[調製例1]Saccharomyces cerevisiaeの子嚢胞子液の作製
殺菌効果の指標として、酵母Saccharomyces cerevisiaeのAGYC152株の子嚢胞子液を用いた。AGYC152株は、発明者らが入手したSaccharomyces cerevisiaeのうち、子嚢胞子の耐熱性が最も優れていた株である。
当該菌株を、オートクレーブ滅菌(121℃、15分間)したMcClary液体培地(0.82質量% 酢酸ナトリウム、0.1質量% グルコース、0.25質量% 酵母エキス、及び0.18質量% 塩化カリウム)で振とう培養した。20℃で10日間培養した培養液を、顕微鏡観察によって胞子形成を確認した後、50mLをチューブに移し、3000rpm、常温、5分間の条件で遠心分離処理を行い、菌体を沈殿させた。上清を廃棄した後、菌体に1/15M リン酸バッファー(PBS)(pH7.0、滅菌済)を加えて懸濁し、チューブ1本当たりの最終液量が1mLになるように懸濁液を調製し、これを子嚢胞子液とした。
当該子嚢胞子液の一部を分取し、PBSを用いて適当に希釈し、菌濃度を測定した。次に、当該子嚢胞子液中の栄養細胞を死滅させるため、当該子嚢胞子液を15mL容チューブに移し、58℃の恒温漕で3分間の加熱処理を行った。
当該子嚢胞子液中の子嚢胞子の基礎耐熱性(D60℃)を測定するため、60℃の恒温水槽で予め60℃に調温した9.9mLのPBSに当該子嚢胞子液100μLを加えて子嚢胞子希釈液を調製し、当該子嚢胞子希釈液をそのまま60℃の恒温水槽で保持し、子嚢胞子液添加時点から1、3、5、10、20分後にその一部を1.5mL容チューブに分取し、直ちに氷冷した。氷冷後の子嚢胞子希釈液について、PBSを用いて3段階の希釈系列を作製し、これらをPDA培地に塗抹し、1週間培養後にCFUを測定した。加熱時間を横軸にとり、測定された菌数の対数をプロットした近似曲線の傾きの逆数をD60℃とした。
独立した2回の試行の結果、AGYC152株のD60℃は、10.7分及び11.7分であった。一般的に知られている酵母子嚢胞子のD60℃=5〜22分と同等であった。調製された子嚢胞子液を、以降の殺菌効果の測定試験に供試することとした。
[実施例1]
容器詰め炭酸アルコール飲料中のアルコール濃度と炭酸ガス圧の殺菌効果に対する影響を調べた。
まず、表1に示す組成であって、アルコール濃度が0容量%、5容量%又は9容量%である3種類のモデル炭酸アルコール飲料を調合し、ガスボリュームが2.3、2.7、又は3.0に調整した後、350mL容のアルミニウム缶に分注した。その後、缶中のモデル炭酸アルコール飲料に、調製例1で作製した酵母子嚢胞子液を、菌濃度が約10個/mL以上となるように接種した後、当該缶の巻き締めを行って密封し、容器詰め炭酸アルコール飲料を製造した。
Figure 0006114006
製造された容器詰め炭酸アルコール飲料を、47、50、52、54、55、57、又は60℃に調温した恒温槽に入れ、各温度に達してから10分間保持した後、急冷した。温度履歴は、缶口部から温度計を直接中身液に挿入しリアルタイムで確認した。加熱処理した各モデル炭酸アルコール飲料について、適当な希釈系列を作製してPDA培地に塗抹することによって、菌濃度を測定した。加熱処理前の菌濃度(初発菌数)を加熱処理後の液の菌濃度(生残菌数)で除し、その商の対数を殺菌効果として表した。
図1は、各容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌効果(Log10([初発菌数]/[生残菌数])を、加熱温度とガスボリュームごとにプロットした図である。なお、アルコール濃度が5容量%又は9容量%であって、ガスボリュームが2.3又は3.4であり、60℃で加熱殺菌した容器詰め炭酸アルコール飲料では、加熱処理後のサンプルで菌が検出できなかったため、生残菌濃度を検出限界である1CFU/10mLとして便宜上プロットした(図1中、米印)。この結果、アルコール濃度と殺菌温度が同じ場合には炭酸ガス圧が高くなるほど殺菌効果が高くなり、炭酸ガス圧と殺菌温度が同じ場合にはアルコール濃度が高くなるほど殺菌効果が高くなることがわかった。
殺菌効果が5D以上([Log10([初発菌数]/[生残菌数])が5以上)であった容器詰め炭酸アルコール飲料における、アルコール濃度(C:容量%)とガスボリューム(G)と殺菌温度(T)との関係を応答局面法により求めたところ、下記式(2)が求められた。つまり、殺菌温度が少なくとも[−0.73C−0.38G+61.53]℃であれば、10分間の加熱殺菌時間で充分な殺菌効果が得られることがわかった。
式(2)… T = −0.73C−0.38G+61.53
[実施例2]
容器詰め炭酸アルコール飲料の香味に対する殺菌温度の影響を調べた。
酵母子嚢胞子液を摂取しなかった点以外は実施例1と同様にして、アルコール濃度が0容量%、5容量%又は9容量%であり、ガスボリュームが2.3又は3.0である6種類のモデル炭酸アルコール飲料を調合し、それぞれ350mL容缶に分注し、巻き締めを行って密封した。製造された容器詰め炭酸アルコール飲料を、52、55、57、又は65℃に調温した恒温槽に入れ、各温度に達してから10分間保持した後、急冷した。
加熱後の容器詰め炭酸アルコール飲料について、3人のパネリストによって官能評価を行った。具体的には、フレッシュ感と、香味と美味しさに関する総合評価について、加熱温度が65℃のものをコントロールとし、それぞれ表2に示す基準に従って、5段階評価を行った。
Figure 0006114006
フレッシュ感の評価結果を図2に、総合評価の評価結果を図3に、それぞれ示す。この結果、殺菌温度が低いほど、レモン香のフレッシュ感が高く感じられ、総合評価も高くなる傾向にあった。特に、殺菌温度が52〜57℃の場合には、65℃での加熱殺菌処理を行った場合よりも、香味に優れた嗜好性の高い容器詰め炭酸アルコール飲料が製造可能であることがわかった。
本発明に係る殺菌方法により、容器詰め炭酸アルコール飲料を、長時間の加熱を要することなく、65℃未満という低温で殺菌することができる。このため、当該殺菌方法は、容器詰め炭酸アルコール飲料の製造分野で、特に香料レモン等の加熱により劣化を生じやすい香料や、果汁、乳等を含む容器詰め炭酸アルコール飲料の製造分野で好適に利用できる。

Claims (10)

  1. アルコール濃度が5容量%以上である容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法であって、
    香料を含有する容器詰め炭酸アルコール飲料を、下記式(1)(式(1)中、Cは飲料中のアルコール濃度(容量%)、Gは飲料中のガスボリュームを表す。)
    式(1)… 65> T ≧ −0.73C−0.38G+61.53
    を満たし、かつ52〜57℃である殺菌温度T(℃)で10分間以上殺菌することを特徴とする、容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法。
  2. 前記殺菌温度T(℃)における殺菌時間が20分間以下である、請求項1記載の容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法。
  3. 前記容器詰め炭酸アルコール飲料中の炭酸ガス圧が2.3ガスボリューム以上である、請求項1又は2に記載の容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法。
  4. 前記容器詰め炭酸アルコール飲料が、さらに、果汁又は含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法。
  5. 香料を含有する炭酸アルコール飲料を容器に充填密封した後に行う殺菌工程を、請求項1〜のいずれか一項に記載の容器詰め炭酸アルコール飲料の殺菌方法により行う、容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法。
  6. 前記炭酸アルコール飲料のアルコール濃度が5〜10%である、請求項5に記載の容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法
  7. 前記炭酸アルコール飲料の炭酸ガス圧が2.3〜3.4ガスボリュームである、請求項5又は6に記載の容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法
  8. 前記炭酸アルコール飲料が、果汁又は含有する、請求項のいずれか一項に記載の容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法
  9. 前記香料が、香料レモン、香料グレープフルーツ、香料カシス、香料オレンジ、香料シイクワシャー、香料パインアップル、香料ライム、香料ワイン、香料ビール、香料みかん、香料りんご、香料もも、香料ぶどう、及び香料マンゴーからなる群より選択される1種以上である、請求項のいずれか一項に記載の容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法
  10. 前記炭酸アルコール飲料が、ワイン又はビールを含有する、請求項のいずれか一項に記載の容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法
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