以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
[第1の実施形態]
図1〜図8は、本発明の第1の実施形態を示す図である。
まず、本発明の第1の実施形態の内視鏡を含む内視鏡システム全体の構成について、主に図1を用いて以下に説明する。
本実施形態の内視鏡1を含む内視鏡システムは、内視鏡1と、制御装置15と、表示装置16と、光源装置17等によって主に構成される。
内視鏡1は、細長チューブ状の挿入部2と、挿入部2の基端側に連設される操作部3と、操作部3の側部から延出するユニバーサルコード4等によって構成されている。
挿入部2は、先端側から順に先端部2aと、例えば上下左右方向に湾曲可能に構成された湾曲部2bと、可撓性を有して長尺に形成された可撓管部2cとを連設して構成されている。先端部2aには撮像素子を有する撮像装置(不図示)が内蔵されている。
操作部3は、挿入部2に連設する把持部3aと、把持部3aに連設する操作部本体3bとを備えて構成されている。把持部3aの長手軸と挿入部2の挿入軸とは同軸若しくは平行な位置関係である。操作部本体3bの先端側の側部には、後述する牽引部材である牽引ワイヤー8(のうちの操作入力側ワイヤー8a;詳細後述)を牽引するための力量を入力し湾曲部2bを湾曲動作させるための操作を行うための操作入力部材である操作子5が設けられている。操作部本体3bの長手軸(即ち操作部3の長手軸)と把持部3aの長手軸とは同軸若しくは平行な位置関係である。
操作子5は、軸部5aと、軸部5aの先端に固設される球状の指当て部5bとからなるいわゆるジョイスティック形態に形成されている。この操作子5は、操作部本体3bの一側面に設けた開口部(不図示)から外部に向けて、操作部3の長手軸に対して直交する方向に突出するように設けられている。操作子5が突出する開口部(不図示)には、カバー部材7が設けられている。このカバー部材7は、上記開口部を水密に塞ぎながら、操作子5の軸部5aに密着して、操作子5の傾倒操作を可能に保持している。
そして、この操作子5の傾倒方向(図1の矢印Yu,Yd,Yl,Yr)及び傾倒角度を含めた傾倒操作に応じて、後述する牽引ワイヤー8(のうちの操作入力側ワイヤー8a)を牽引又は弛緩することで、湾曲部2bを上下左右方向の任意の方向へと湾曲させることができるように構成されている。
本実施形態において、湾曲部2bは、上下左右の四方向に湾曲する構成としている。しかし、湾曲部2bは、上下方向にのみ湾曲する構成であってもよい。上記符号u,d,l,rは、湾曲部2bの湾曲方向である上下左右方向を表す。例えば、以下の説明において、符号8uは上方向(u)用の牽引ワイヤー8を表し、符号9dは下方向(d)用のCリング用部材を表すものとする。なお、図面においては、小文字の「l(エル)」を筆記体で記載することによって、数字の「1(イチ)」と区別するようにしている。
操作部本体3bの外装には、操作子5の他に、例えば先端部2a内に設けられた撮像装置(不図示)の撮像動作等を指示するスイッチ6a,送気送水ボタン6b,吸引ボタン6c等が予め定めた位置に設けられている。また、把持部3aの外装には、把持部3a及び挿入部2の内部に挿通配置される処置具チャンネル(不図示)に連通するチャンネル挿入口6dが設けられている。
ユニバーサルコード4内には、上記不図示の撮像装置に接続される信号ケーブル,後述する駆動部であるモータ12(図2参照)に対して電力を供給する電力線,光源装置17の照明光を伝送するライトガイドケーブル,送気用チューブ,送水用チューブ,吸引用チューブ等が挿通している。そして、ユニバーサルコード4の先端には、コネクタ4aが設けられている。このコネクタ4aには、制御装置15,表示装置16,光源装置17がそれぞれ接続ケーブルを介して電気的に接続されている。なお、図示を省略しているが、上記送気用チューブ,送水用チューブ,吸引用チューブ等は、コネクタ4aを介して送気送水装置や吸引装置等に接続されている。
そして、操作者が操作部3の把持部3aを従来の内視鏡と同様に左手で把持した際、操作子5は、操作者の把持した手の親指で操作する位置に設けられ、送気送水ボタン6b及び吸引ボタン6cは操作者の把持した手の親指以外の指で操作する位置に設けられ、スイッチ6aは操作者の把持した手の親指または他の指で操作可能な位置に設けられている。
制御装置15は、本実施形態の内視鏡1及びこれを含む内視鏡システム全体を統括的に制御する制御回路等を有して構成される制御手段である。したがって、制御装置15は、駆動部であるモータ12の駆動制御を行う駆動制御部としても機能する。なお、これとは別の構成として、モータ制御部を内視鏡1の内部(例えば操作部3の内部)に配設するようにしてもよい。
表示装置16は、例えば液晶表示装置(LCD)モニタ等からなる表示用機器と、この表示用機器を駆動すると共に、内視鏡1の撮像装置(不図示)からの出力信号を受信して上記表示用機器を用いて映像を表示するための映像信号を生成する表示用プロセッサ等によって構成される。
光源装置17には、上記ライトガイドケーブル(不図示)がコネクタ4aを介して接続されている。ライトガイドケーブルは、上述したようにユニバーサルコード4内に挿通され、さらに操作部3,挿入部2内を挿通し、挿入部2の先端の照明光出射窓(不図示)まで到達している。したがって、この構成により、光源装置17からの照明光は、上記ライトガイドケーブルを介して挿入部2の先端の照明光出射窓より前方に向けて出射して、所望の被検体を照明し得るようになっている。
次に、操作部3の内部構成のうち本発明に関連する部分、即ち牽引部材操作装置の構成を、図2〜図5を用いて以下に説明する。
操作部3の内部には、操作子5を操作して牽引部材である牽引ワイヤー8を牽引することで湾曲部2bを湾曲させるための牽引部材操作装置10が設けられている。
牽引部材操作装置10は、牽引部材である4本の牽引ワイヤー8と、これらの牽引ワイヤー8の中途部分がそれぞれ巻回される4つのCリング状部材9と、これらCリング状部材9を回動自在に保持する円筒状のプーリー11と、プーリー11を所定の回転トルクで回転駆動することによって所定の条件下で4つのCリング状部材9を回転駆動させて牽引ワイヤー8を牽引し湾曲部2bを湾曲させるための駆動力を発生させる駆動部であるモータ12と、4本の牽引ワイヤー8の基端部がそれぞれ連結されるワイヤー取付部を有し略十字形状からなる吊り枠13と、吊り枠13に軸部5aが一体に連結された操作子5と、4本の牽引ワイヤー8の走行経路を操作部3内で変更するワイヤー走行経路変更部材であり複数のガイドローラーを備えたガイドローラー組21a,21b等によって主に構成されている。
なお、図4に示す符号51は信号ケーブルであり、符号52はライトガイドケーブルであり、符号53はコイルパイプ止めであり、符号59は仕切り板である。本実施形態においては、操作部3の重心が把持部3a内に位置するように構成されている。
4本の牽引ワイヤー8は、図4,図5に示すように、上下方向湾曲操作用の一対の牽引ワイヤー(上用牽引ワイヤー8u,下用牽引ワイヤー8d)と、左右方向湾曲操作用の一対の牽引ワイヤー(左用牽引ワイヤー8l,右用牽引ワイヤー8r)とによって構成される。
一方、本実施形態においては、図4に示すように、プーリー11の長手軸とモータ12の長手軸とは交差している。具体的には、モータ12の駆動軸12aは、把持部3aの長手軸と平行な位置関係になるように把持部3a内に配置されている。そして、モータ12の駆動軸12aを延長した仮想線12bと、プーリー11の回転軸であるプーリー軸11aを延長した仮想線11bとが直交するように、モータ12とプーリー11との位置関係が設定されている。そして、プーリー11とモータ12とは、操作部3内において内部固定部材である仕切板59によって仕切られた二つの空間のそれぞれに、仕切板59を挟んで配置されている。
モータ12の駆動力は、第1カサ歯車31,第2カサ歯車32からなる駆動力伝達機構部30を介してプーリー11へと伝達されるように構成されている。第1カサ歯車31は、モータ12の駆動軸12aの先端部に一体に固設されており、第2カサ歯車32はプーリー11のプーリー軸11aの先端部に一体に固設されている。つまり、モータ12の駆動軸12aとプーリー11のプーリー軸11aとは、駆動力伝達機構部30を介して連動している。したがって、プーリー11,プーリー軸11aもまた駆動部(モータ12)の駆動軸に含まれる。
この構成によって、モータ12の駆動力は、第1カサ歯車31,第2カサ歯車32を介してプーリー軸11aへと伝達される。そして、これによりプーリー11は、プーリー軸11a回りに回転するように構成されている。
そして、プーリー11の外周面上には、Cリング状部材9が摩擦係合可能に配設されている。このCリング状部材9は、弾性変形可能にかつ一部に切欠部9cを有し外径の異なる二つのCリング状部材によって形成されている。ここで、二つのCリング状部材とは、操作入力側ワイヤー8aが延出する操作ワイヤー延出部9aと、湾曲部側ワイヤー8bが延出する湾曲ワイヤー延出部9bとである(図3参照)。
湾曲ワイヤー延出部9bは、操作ワイヤー延出部9aの外周面上の所定の部位から外径の一部が徐々に大となるように形成され、外径方向に向けて突出した部位を有して形成されている。これにより、小径の操作ワイヤー延出部9aの外周面と、これよりも大径の湾曲ワイヤー延出部9bの外周面とは、連続した外周面で形成されていると共に、操作ワイヤー延出部9aの外周面と湾曲ワイヤー延出部9Dbの外周面との間に段差が形成されている。なお、図示を省略しているが、上記操作ワイヤー延出部9a及び湾曲ワイヤー延出部9bの外周面上には周溝状のワイヤー案内溝が設けられている。
このワイヤー案内溝を設けることによって、Cリング状部材9の外周面上に牽引ワイヤー8を巻回させたとき、牽引ワイヤー8は、Cリング状部材9の外周面上における巻き付き開始位置(図3の符号E)から巻き付き終了位置(図3の符号S)までスムースに巻回配置することができる。この場合において、牽引ワイヤー8は、上記ワイヤー案内溝に配置されて脱落しないようになる。
牽引ワイヤー8は、湾曲ワイヤー延出部9bの符号Sで示す部位から湾曲部2b側へと延出するように配置される。一方、同牽引ワイヤー8は、操作ワイヤー延出部9aの符号Eで示す部位から操作入力部側へと延出するように配置される。
なお、ここで、牽引ワイヤー8について、操作部側の部位を第1の牽引部材であり操作入力側牽引部材である操作入力側ワイヤー8aといい、湾曲部側の部位を第2の牽引部材であり湾曲部側牽引部材である湾曲部側ワイヤー8bというものとする。
即ち、牽引ワイヤー8はCリング状部材に巻回配置される。この場合において、牽引ワイヤー8のうち操作入力側ワイヤー8aは、Cリング状部材9から操作子5(操作入力部材)側に向けて延出する第1の牽引部材である。この操作入力側ワイヤー8aは、Cリング状部材9の外周面上における部位であって操作子5(操作入力部材)側への延出位置Eから切欠部9cを跨いだ所定部位までの間でCリング状部材9の外周面上に巻き付けて配置されている。そのCリング状部材9への巻き付き距離は、操作子5の操作量の増加に伴って、操作入力側ワイヤー8aが操作子5側へと引っ張られるので小となるように設定されている。操作入力側ワイヤー8aの端部は吊り枠13(操作入力部材)に連結されている。
一方、牽引ワイヤー8のうち湾曲部側ワイヤー8bは、Cリング状部材9から湾曲部2b側に向けて延出する第2の牽引部材であり湾曲部側牽引部材である湾曲部側ワイヤー8bは、Cリング状部材9上の湾曲部2b側への延出位置Sから切欠部9cを跨いでCリング状部材9の外周面上に巻き付かないように配設されている。湾曲部側ワイヤー8bの端部は湾曲部2bに連結されている。
このとき、湾曲ワイヤー延出部9bの符号Sで示す部位と、操作ワイヤー延出部9aの符号Eで示す部位との間には、Cリング状部材9の径方向において段差Dが生ずるようにCリング状部材9は形成されている。そして、上記段差Dが最大となる部位の近傍において、操作ワイヤー延出部9aから湾曲ワイヤー延出部9bに渡る幅方向に切り欠かれた切欠部9cを有して形成されている。
このような構成により、上記Cリング状部材9は、図3に示す状態、即ち外周面上に牽引ワイヤー8を巻回した状態とし、牽引ワイヤー8を操作部側に牽引すると、Cリング状部材9は、自身の弾性力に抗して切欠部9cが狭められて縮径するようになっている。
そして、Cリング状部材9は、図4に示すように湾曲部2bを上下左右方向のそれぞれに湾曲させるための4本の牽引ワイヤー8(u,d,l,r)に対応させて4つ用意されている。即ち、4つのCリング状部材9u,9d,9l,9rは、プーリー11の外周面に対して予め定めた遊嵌状態で並べて配置されており、それぞれは独立して回転自在となっている。なお、4つのCリング状部材9(u,d,l,r)は、プーリー11に対して駆動力入力側、即ち第2カサ歯車32の側から符号9r,9d,9u,9lの順で配置されている。
吊り枠13は、図2に示すように操作部本体3bの内部空間に配置されている。図5に示すように吊り枠13は、中心Oから端部までが同じ長さの4つの枠13u,13d,13l,13rを備えて略十字形状に構成されている。一対の牽引ワイヤー8u,8dに対応する上用枠13uと下用枠13dとは、操作子5の軸部5aを挟んで一直線状に配置され、上用枠13uの端部には上用ワイヤー取付部13u2が設けられ、下用枠13dの端部には下用ワイヤー取付部13d2が設けられている。
上用枠13uの端部には上下用枠中心線13aに対して一方向に折曲した上用枠先端屈曲部13ubを設け、下用枠13dの端部には上下用枠中心線13aに対して他方向に折曲した下用枠先端屈曲部13dbを設けている。そして、上用枠先端屈曲部13ubに上用ワイヤー取付部13u2を設け、下用枠先端屈曲部13dbに下用ワイヤー取付部13d2を設けている。上用ワイヤー取付部13u2と下用ワイヤー取付部13d2との操作部3の長手軸に直交する方向の間隔w1は予め定められた寸法に設定されている。
一方、一対の牽引ワイヤー8l,8rに対応する左用枠13lと右用枠13rとは、上下用枠中心線13aに直交して軸部5aを挟んで一直線状に配置され、左用枠13lの端部には左用ワイヤー取付部13l2が設けられ、右用枠13rの端部には右用ワイヤー取付部13r2が設けられている。
上用枠13u及び上用ワイヤー取付部13u2等は、操作子5の傾倒方向と湾曲部2bの湾曲方向とを考慮した上で設定されるものである。即ち、本実施形態においては、操作子5が図1の矢印Yu方向に傾倒されると上用ワイヤー取付部13u2が揺動して図5の矢印Yu方向に傾けられて湾曲部2bが上方向に湾曲する構成になっている。一方、操作子5が同様に図1の矢印Yd方向に傾倒されると下用ワイヤー取付部13d2が揺動して図5の矢印Yd方向に傾けられて湾曲部2bが下方向に湾曲する。また、操作子5が図1の矢印Yl方向に傾倒されると左用ワイヤー取付部13l2が揺動して図5の矢印Yl方向に傾けられて湾曲部2bが左方向に湾曲する。他方、操作子5が図1の矢印Yr方向に傾倒されると右用ワイヤー取付部13r2が揺動して図5の矢印Yr方向に傾けられて湾曲部2bが右方向に湾曲する。本実施形態において、吊り枠13は、上下用枠中心線13aと把持部3aの長手軸とが平行になるように操作部3内に配置されている。
ガイドローラー組21a,21b(図2,図5参照;なお、図5においては一方の符号21aのみ図示)は、支持体であって、例えば円柱状のローラー軸21pと、ローラー軸21pに回動自在に配置される4つのガイドローラー21u,21d,21l,21rとを備えて構成されている。4つのガイドローラー21u,21d,21l,21rは、4本の牽引ワイヤー8u,8d,8l,8rに対応し、プーリー11及び吊り枠13から予め定めた距離だけ離間して設けられている。
4つのガイドローラー21u,21d,21l,21rは、4本の牽引ワイヤー8u,8d,8l,8rを吊り枠13のワイヤー取付部13u2,13d2,13l2,13r2に導く取付経路設定部材となっている。
ガイドローラー組21aのローラー軸21pは、把持部3aの長手軸と直交する位置関係で、軸部5aの直下に配置されている。そして、ローラー軸21pの中心は、直立状態の軸部5aの中心軸上に位置している。
また、本実施形態においては、吊り枠13から延出する牽引ワイヤー8の走行経路は、まず上記ガイドローラー組21aによって変更された後、さらにガイドローラー組21bによって変更される。この構成により、牽引ワイヤー8(u,d,l,r)は、Cリング状部材9(u,d,l,r)から吊り枠13の各ワイヤー取付部(13u2,13d2,13l2,13r2)へと至るように構成されている。
なお、図5においては、牽引ワイヤー8u,8d,8l,8rとワイヤー取付部13u2,13d2,13l2,13r2との位置関係を説明するために、吊り枠13の位置と上記ガイドローラー組21aのローラー軸21pの位置とを、図中においてずらして示している。
図5に示すように、ガイドローラー21u,21d,21l,21rは、ローラー軸21pに対して一端から符号21r,21d,21u,21lの順に配置されている。
ローラー軸21pの両端に配置されたガイドローラー21r,21lと、ローラー軸21pの中心を挟んで上記ガイドローラー21r,21lの内側に配置されたガイドローラー21u,21dとでは、径寸法または幅寸法を異ならせて構成している。本実施形態においては、ガイドローラー21l,21rの径寸法及び幅寸法は、ガイドローラー21u,21dの径寸法及び幅寸法より大となるように予め定めた寸法に設定されている。
ここで、図2,図4,図5を参照して牽引ワイヤー8u,8d,8l,8rの操作部3内における走行経路について説明する。図5に示すように、4本の牽引ワイヤー8u,8d,8l,8rの基端部は、吊り枠13に予め定められた位置、即ちワイヤー取付部13u2,13d2,13l2,13r2に固定されている。
一方、牽引ワイヤー8u,8d,8l,8rの先端部は、例えば金属製でワイヤーが進退自在に挿通可能な貫通孔を有するコイルパイプで形成されており、かつ各ワイヤーに対応して設けられる4本のガイド部材24(図4参照)内を挿通して湾曲部2bを構成する図示しない先端湾曲駒の上下左右に対応する位置に固定されている。先端湾曲駒は、湾曲部2bを構成する複数の図示しない湾曲駒を連接して上下左右方向に湾曲するように構成された湾曲部組の最先端を構成する湾曲駒である。
先端部が先端湾曲駒に固定された牽引ワイヤー8u,8d,8l,8rは、ガイド部材24を介して操作部3内に延出される。牽引ワイヤー8u,8d,8l,8rは、プーリー11に対し弛緩状態で配置されているCリング状部材9u,9d,9l,9rに巻回されている。
即ち、牽引ワイヤー8u,8d,8l,8rは、Cリング状部材9u,9d,9l,9rに対し、各所定の部位S(図3参照)から予め定めた弛緩状態となるように湾曲ワイヤー延出部9bから操作ワイヤー延出部9aにかけての外周面上に巻回され、所定の部位E(図3,図6等参照)から上記ガイドローラー組21bの各ガイドローラーに向けて導出されている。そして、上記ガイドローラー組21b,21aの各ガイドローラーによって走行経路が変更された後、吊り枠13の各ワイヤー取り付け部へと導かれる。
こうして、Cリング状部材9u,9d,9l,9rから導出された牽引ワイヤー8u,8d,8l,8rは、ガイドローラー組21b,21aに導かれてワイヤー走行経路が変更される。そして、牽引ワイヤー8u,8d,8l,8rの各基端部が吊り枠13の各対応するワイヤー取付部13u2,13d2,13l2,13r2に固定されている。
なお、操作子5の軸部5aと吊り枠13の中心軸である枠凸部13f(図2参照)とは、フレーム(不図示)に回動自在に配設されるユニバーサルジョイント14(図2参照)を介して同軸に取付け固定されている。そして、操作子5の軸部5aが直立状態(図2の状態)にあるとき、即ち牽引部材の無負荷状態にあるとき、ガイドローラー組21aのガイドローラー21u,21d,21l,21rから延出して吊り枠13に向かう牽引ワイヤー8u,8d,8l,8rは全て所定の弛緩状態になっている。
なお、本実施形態においては、牽引ワイヤー8は、吊り枠13の各ワイヤー取付部13u2,13d2,13l2,13r2における所定の固定位置から、湾曲部2bの先端湾曲駒の所定の固定位置まで間で連続した一本のワイヤーで構成するようにしている。
ここで、上記牽引ワイヤー8については、例えば、Cリング状部材9から操作入力側、即ち吊り枠13までの間の部位が操作入力側ワイヤー8aである。一方、Cリング状部材9から湾曲部側、即ち上記先端湾曲駒までの間の部位が湾曲部側ワイヤー8bである。
また、上述したように、牽引ワイヤー8は、Cリング状部材9に対して所定の巻き付き開始位置Eから巻き付き終了位置Sまでの間で巻回されるようになっている(図3参照)。この場合において、図3の符号Sは、牽引ワイヤー8における湾曲部側ワイヤー8bの延出位置を示し、同図3の符号Eは、同牽引ワイヤー8における操作入力側ワイヤー8aの延出位置をも示すことになる。
本実施形態の内視鏡1の構成は以上の通りである。なお、操作部3の内部には、上記牽引部材操作装置10,駆動部であるモータ12等の他にも内視鏡としての基本的な機能を成さしめるための各種の構成部材が設けられている。しかしながら、それら各種の構成部材は、本発明に直接関連しない部分である。したがって、本実施形態の内視鏡1においては、従来の内視鏡と同様の各種構成部材を有するものとし、その詳細な説明及び図示を省略する。
このように構成された本実施形態の内視鏡1の作用を、図6〜図8等を主に参照して、以下に説明する。なお、図6〜図8は、図面の複雑化を避けるために示す本発明の構成を概念的に示す概念図である。例えば、Cリング状部材9やプーリー11等は、実際には、上下左右への湾曲動作に対応させるために4セット分配設される。しかしながら、図面及び説明を単純化するために、Cリング状部材9やプーリー11等を1セットだけ図示し、対応する一方向への動作を説明するのに留める。他の方向への動作も同様である。
例えば、湾曲部2bを下方向に湾曲動作させる際の作用を以下に説明する。
まず、上記内視鏡システムに通電し起動状態とする。これにより、制御装置15若しくは操作部3内に設けられるモータ制御部(不図示)はモータ12を駆動させる。モータ12の駆動力は、駆動力伝達機構部30の第1カサ歯車31,第2カサ歯車32を介してプーリー11へと伝達される。これにより、プーリー11は常時回転している状態となる。 この状態においては、図2,図6に示すように、操作子5が直立状態の中立位置にあり牽引ワイヤー8は無負荷状態となっている。ここで、操作者は、左手で把持部3aを把持した状態で操作子5の指当て部5bに親指の腹を当接させて軸部5aを、図1の矢印Yu方向(図6,図7の矢印A方向)に傾倒操作する。すると、この操作子5の傾倒操作に伴って、吊り枠13が傾いて、下用牽引ワイヤー取付部13d2に固定されている上用牽引ワイヤー8dが弛んだ状態から徐々に、図7の矢印A2方向に引っ張られる。一方、その他の牽引ワイヤー8u,8l,8rはさらに弛んだ状態に変化する。
そして、プーリー11のCリング状部材9u,9d,9l,9rに弛緩状態で巻回されていた牽引ワイヤー8u,8d,8l,8rのうち、下用牽引ワイヤー8dだけが牽引される。すると、下用ワイヤー8dによって下用Cリング状部材9dの切欠部9cが弾性力に抗して狭められて縮径され、下用Cリング状部材9uとプーリー11とが密着状態になる。これにより、下用Cリング状部材9dとプーリー11との間に摩擦抵抗が発生して下用Cリング状部材9dがプーリー11と同じ方向、即ち図7の矢印A3方向に向けて、プーリー11に対して滑りながら回転される。これにより、下用牽引ワイヤー8dのうち下用Cリング状部材9dより挿入部2側(湾曲部2b側)に配置されている部位(即ち、湾曲部側ワイヤー8b)が図7の矢印A4方向に牽引移動される。これによって、湾曲部2bが図7の矢印A5方向(下方向という)に湾曲する動作を開始する。
ここで、操作者は引き続き下用Cリング状部材9dをプーリー11に密着させるように軸部5aを同方向に傾倒操作し続ける。これによって、密着状態の下用Cリング状部材9dはさらにプーリー11との摩擦力が増加して、この下用Cリング状部材9dより挿入部2側(湾曲部2b側)に配置されている下用牽引ワイヤー8d(湾曲部側ワイヤー8b)がさらに牽引移動されて湾曲部2bがさらに同方向(図7の矢印A5方向)に湾曲する。 操作者が、操作子5の傾倒位置を保持し続けると、下用Cリング状部材9dとプーリー11との密着力が維持される。そして、下用Cリング状部材9dより先端側に配置されていた下用牽引ワイヤー8dに引張力が生じた状態で下用牽引ワイヤー8dの牽引移動が停止状態となる。このとき、他の牽引ワイヤー8u,8l,8rは弛緩状態である。したがって、操作子5をこの傾倒操作状態に保持し続けることによって、下用牽引ワイヤー8dが引っ張られた状態及び牽引ワイヤー8u,8l,8rの弛緩状態が保持されて湾曲部2bの同方向(図7の矢印A5方向)への湾曲状態が保持される。
ここで、Cリング状部材9には段差Dが形成されているので、Cリング状部材9が回転して図6の状態から図7の状態となっても、符号Sで示す湾曲ワイヤー延出部9bの延出位置から延出される湾曲部側ワイヤー8bが操作ワイヤー延出部9aの外周面に干渉することがない。ただし、図7の状態から、さらにCリング状部材9が回転して、例えば図8に示す状態になると、湾曲部側ワイヤー8bは、操作ワイヤー延出部9aの外周面の部位S2にて接触する。この図8の状態になると、湾曲部側ワイヤー8bがCリング状部材9の縮径作用を阻害して、必要となる摩擦力を得ることができない可能性が生じる。また、同状態で操作子5へ加える力量を減じた時のCリング状部材9の縮径解除作用を阻害してしまい、同様に必要となる摩擦力を得られないという可能性もある。
したがって、本実施形態におけるCリング状部材9は、図6の状態から図7の状態の間で回動するようにその回動範囲が設定されている。即ち、図6の状態(操作子5が中立位置にあるとき)から操作子5が傾倒操作されて操作入力側ワイヤー8aが牽引されてCリング状部材9が回転するのに際し、湾曲部側ワイヤー8bがCリング状部材9上の湾曲部2b側への延出位置(符号S)から切欠部9cを跨いでCリング状部材9の外面上に巻き付かない範囲内(図8の状態)でCリング状部材9の回動範囲が設定されている。
一方、操作者が、操作子5の傾倒操作を解除すると、操作子5は、自身の復元力により軸部5aが直立状態となる中立位置に復帰する。これにより、引っ張られた状態にあった下用牽引ワイヤー8dは、他の牽引ワイヤー8u,8l,8rと同様の弛緩状態となり、湾曲部2bの湾曲状態も解除される。
以上の作用を簡略に説明すると、本実施形態の内視鏡1においては、上述したように、操作者が操作子5の傾倒操作を行うことによって湾曲部2bを所望の方向へと湾曲させることができるように構成されている。この場合において、操作子5の傾倒操作は、牽引ワイヤー8を牽引する。牽引ワイヤー8が牽引されると、牽引ワイヤー8はCリング状部材9を締め付ける作用をする。Cリング状部材9はプーリー11の外周面上に弛緩状態で配置されている。したがって、上記牽引ワイヤー8がCリング状部材9を締め付け方向に作用すると、Cリング状部材9のプーリー11に対する弛緩状態は、牽引ワイヤー8の牽引量、即ち操作子5の傾倒角度に応じて締付状態へと変位する。プーリー11は、上述したように常に回転状態にある。したがって、Cリング状部材9がプーリー11を締め付ける状態へと移行すると、Cリング状部材9とプーリー11との間に生じる摩擦力によってCリング状部材9が所定の回転量で回転する。これにより湾曲部2bが湾曲する。
Cリング状部材9は、駆動部であるモータ12と牽引部材である牽引ワイヤー8との間に設けられている。そして、牽引ワイヤー8の牽引動作に連動して牽引ワイヤー8に対して駆動力が伝達しない状態(Cリング状部材9とプーリー11との弛緩状態)から牽引ワイヤー8に対して駆動力が伝達する状態へと切り換えを可能とする構成部材である。
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、牽引部材操作装置10におけるCリング状部材9の形状について、外径の異なる操作ワイヤー延出部9aと湾曲ワイヤー延出部9bとによって形成し、小径の操作ワイヤー延出部9aに操作入力側ワイヤー8aを配置し、大径の湾曲ワイヤー延出部9bに湾曲部側ワイヤー8bを配置している。この構成によって、大径の湾曲ワイヤー延出部9bに配置される湾曲部側ワイヤー8bの牽引距離を長くすることができる。
また、Cリング状部材9は、操作入力側ワイヤー8a(操作入力側牽引部材)のCリング状部材9への巻き付き開始位置(符号E)と、湾曲部側ワイヤー8b(湾曲部側牽引部材)のCリング状部材9からの延出位置(符号S)との間に、外径差による段差部Dを形成している。そして、操作子5(操作入力部材)に連結される操作入力側ワイヤー8a(操作入力側牽引部材)は、Cリング状部材9上の操作入力部材側への延出部位(符号E)から切欠部9cを跨いでCリング状部材9の操作ワイヤー延出部9aに巻き付く巻き付き距離が操作子5(操作入力部材)の操作量の増加に伴って小となるように設定した。一方、湾曲部側ワイヤー8b(湾曲部側牽引部材)は、Cリング状部材9上の湾曲部2b側への延出部位(符号E)から切欠部9cを跨いでCリング状部材9に巻き付かないように湾曲部2bに連結している。換言すると、湾曲部側ワイヤー8b(湾曲部側牽引部材)は、Cリング状部材9の切欠部9cを跨がないように配置している。
したがって、このような構成によって、本実施形態の内視鏡1においては、湾曲部側ワイヤー8b(湾曲部側牽引部材)がCリング状部材9の縮径作用や縮径後の縮径解除作用を阻害することなく、湾曲部2bの確実な湾曲動作を行なうことができる。
[第2の実施形態]
図9〜図11は、本発明の第2の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様であり、該第1の実施形態に対しては、牽引部材操作装置におけるCリング状部材及び牽引部材の構成が異なるのみである。したがって、以下の説明においては、上述の第1の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1Aの牽引部材操作装置におけるCリング状部材9Aは、図9,図10に示すように、異なる外径を有し一部に切欠部9Acを有する二つのCリング状部材、即ち操作ワイヤー延出部9Aaと湾曲ワイヤー延出部9Abとを同軸上に重ねた形態で形成されている。このうち、操作ワイヤー延出部9Aaは小径に形成され、湾曲ワイヤー延出部9Abは大径に形成されている。したがって、Cリング状部材9Aにおいては、操作ワイヤー延出部9Aaの外周面と、湾曲ワイヤー延出部9Abの外周面との間には、全周にわたって外径差の分だけの段差を有して形成されている。
つまり、上記第1の実施形態のCリング状部材9においては、操作ワイヤー延出部9Aaの外周面と湾曲ワイヤー延出部9Abの外周面とは連続した外周面で形成されかつ段差を有して形成されている。これに対し、本実施形態のCリング状部材9Aは、操作ワイヤー延出部9Aaの外周面と湾曲ワイヤー延出部9Abの外周面とは、それぞれが独立して形成されており、両者間の間には全周に渡って段差が形成されている点が異なる。さらに、本実施形態の牽引部材は、操作入力側牽引部材である操作入力側ワイヤー8Aaと、湾曲部側牽引部材である湾曲部側ワイヤー8Abの二本のワイヤー部材で構成される。
操作入力側ワイヤー8Aaの一端は、操作子5(の吊り枠の牽引ワイヤー取付部)に連結され、他端はCリング状部材9Aの操作ワイヤー延出部9Aaの外周面上における所定の部位(符号9Ay)に固定配置されている。ここで、操作入力側ワイヤー8Aaの他端の固定配置部位(符号9Ay)は、図示のように、操作入力側ワイヤー8Aaの操作入力側への延出部位(符号E)から切欠部9Acを跨いで操作ワイヤー延出部9Aaの外周面上の部位である。本実施形態においては、操作入力側ワイヤー8Aaの他端の固定配置部位(符号9Ay)を、切欠部9Acを跨いで切欠部9Ecaを跨いで円周方向に巻き付けた先の部位であって、切欠部9Acの近傍としている。
一方、湾曲部側ワイヤー8Abの一端は、湾曲部2bに連結され、他端はCリング状部材9Aの湾曲ワイヤー延出部9Abの外周面上における所定の部位(符号9Ax)に固定配置されている。ここで、湾曲部側ワイヤー8Abの他端の固定配置部位(符号9Ax)は、図示のように、湾曲部側ワイヤー8Abの湾曲部側への延出部位(符号S)から切欠部9Acを跨いでCリング状部材9に巻き付かない部位である。その他の構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。
このような構成からなる本実施形態の内視鏡1Aにおいても、図9の中立状態にある操作子5を、例えば図11に示す矢印A方向に傾倒させると、上述の第1の実施形態と略同様に湾曲部2bが所定方向に湾曲する。
以上説明したように上記第2の実施形態によれば、上述の第1の実施形態と略同様の効果を得ることができる。
[第3の実施形態]
図12〜図14は、本発明の第3の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様であり、該第1の実施形態に対しては、牽引部材操作装置におけるCリング状部材の構成が異なるのみである。したがって、以下の説明においては、上述の第1の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1Bの牽引部材操作装置におけるCリング状部材9Bは、図12,図13に示すように、一部に切欠部9Bcを有する単一のCリング状部材からなる。したがって、本実施形態のCリング状部材9Bは、上述の第1,第2の実施形態におけるCリング状部材9,9Aとは異なり、操作ワイヤー延出部と湾曲ワイヤー延出部とが一体化した形態で形成されている。
つまり、Cリング状部材9Bにおいては、操作入力側ワイヤー8aが延出する操作ワイヤー延出部と、湾曲部側ワイヤー8bが延出する湾曲ワイヤー延出部とが一体化した形態で連続した単一の外周面が形成されている。そして、操作ワイヤー延出部と湾曲ワイヤー延出部との間に段差も存在しない。
また、本実施形態の牽引部材は、上述の第1の実施形態と同様に、一本の牽引ワイヤー8で構成している。そのうち、Cリング状部材9Bから操作入力側へと延出する部位(符号E)を操作入力側ワイヤー8aというものとする。同様に、Cリング状部材9Bから湾曲部側へと延出する部位(符号S)を湾曲部側ワイヤー8bというものとする。
そして、本実施形態においては、操作入力側ワイヤー8aの一端が操作子5(の吊り枠の牽引ワイヤー取付部)に連結され、Cリング状部材9Bへの巻き付き開始位置(符号E)までの部分が操作入力側ワイヤー8aに相当する。一方、湾曲部側ワイヤー8bの一端が湾曲部2bに連結され、Cリング状部材9Bへの巻き付き開始位置(符号S;巻き付き終了位置)までの部分が湾曲部側ワイヤー8bに相当する。
この場合において、Cリング状部材9Bは、図12に示す状態(操作子5の中立位置)から、図14に示す状態(操作子5の最大傾倒位置)までの間が回動範囲に設定されている。即ち、図14に示す状態とされた時、湾曲部2bは、最大湾曲角度となる。
例えば、図12の状態(操作子5が中立位置にあるとき)から操作子5が傾倒操作されて操作入力側ワイヤー8aが牽引されてCリング状部材9Bが回転するのに際し、湾曲部側ワイヤー8bは、Cリング状部材9B上の湾曲部2b側への延出位置(符号S)から切欠部9Bcを跨いでCリング状部材9B上に巻き付かない範囲内(図14の状態)でCリング状部材9Bの回動範囲が設定されている。その他の構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。
このような構成からなる本実施形態の内視鏡1Bにおいても、図12の中立状態にある操作子5を、例えば図14に示す矢印A方向に傾倒させると、上述の第1の実施形態と略同様に湾曲部2bが所定方向に湾曲する。
以上説明したように上記第3の実施形態によれば、上述の第1の実施形態と略同様の効果を得ることができる。ただし、本実施形態においては、Cリング状部材9Bは上述の第1の実施形態とは異なり段差を有していない。この点において牽引距離を長くするという効果に関しては上述の第1の実施形態とは異なる。
[第4の実施形態]
図15〜図18は、本発明の第4の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様であり、該第1の実施形態に対しては、牽引部材操作装置において牽引部材の所定の部位に、さらにコイルスプリングを配設した点が異なるのみである。したがって、以下の説明においては、上述の第1の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1Cの牽引部材操作装置におけるCリング状部材9と、牽引ワイヤー8の構成は、上述の第1の実施形態と全く同様である。
本実施形態においては、Cリング状部材9のうち操作ワイヤー延出部9aの外周面上であって、切欠部9c近傍にコイル状の管状部材であるコイルパイプ部材20が、その一端を固設して配置されている。このコイルパイプ部材20には、牽引ワイヤー8が挿通される。コイルパイプ部材20は、操作入力側ワイヤー8AaのCリング状部材9への巻き付き開始位置(S)からCリング状部材9への巻き付き領域に対応する長さを有している。これにより、牽引ワイヤー8のうちの操作入力側ワイヤー8aは、Cリング状部材9からの延出位置近傍において、Cリング状部材9の外周面に直接接触することがないように構成されている。
なお、コイルパイプ部材20は、図15に示す操作子5の中立状態から、図17,図18に示す湾曲部2bの最大湾曲状態までの間において、Cリング状部材9の切欠部9cを跨いで巻き付かないように配設される。その他の構成及び作用は上述の第1の実施形態と略同様である。
以上説明したように、上記第4の実施形態によれば、牽引ワイヤー8の操作入力側ワイヤー8aの延出位置近傍において、Cリング状部材9の外周面上にワイヤー8aが直接接触するのを抑止したので、両者間の接触抵抗を低減させることができる。したがって、これにより操作力量を軽量化することができる。
なお、本実施形態では、操作入力側ワイヤー8aとCリング状部材9との直接接触を抑えるためにコイルパイプ部材20を配設しているが、この形態に限られることはない。例えば、コイルパイプ部材20を湾曲部側ワイヤー8bとCリング状部材9との直接接触を抑えるために設けるようにしてもよい。
(第4の実施形態の第1変形例)
また、図19は、上述の第4の実施形態についての第1変形例を示す図である。
この第1変形例においては、図19に示すように、上記コイルパイプ部材20に代えて、Cリング状部材9の外周面上にコロ部材20Aを配設している。
コロ部材20Aは、Cリング状部材9の外周面上であって、上記第4の実施形態におけるコイルパイプ部材20が配設されるべき部位、例えば切欠部9c近傍から操作入力側ワイヤー8aが巻き付く部位に複数配設されている。
このような構成によっても、湾曲部側ワイヤー8bとCリング状部材9との直接接触を抑えることができ、よって、操作力量の軽量化を実現できる。
(第4の実施形態の第2変形例)
図20,21は、上述の第4の実施形態についての第2変形例を示す図である。
この第2変形例は、上述の第4実施形態のコイルパイプ部材20を上述の第2の実施形態の内視鏡に適用した例示である。
即ち、Cリング状部材9Aの操作ワイヤー延出部9Aaに対し、操作入力側ワイヤー8Aaの延出位置近傍にコイルパイプ部材20を配設している。コイルパイプ部材20は、操作子5の中立状態から、湾曲部2bの最大湾曲状態までの間において、Cリング状部材9Aの切欠部9Acを跨いで巻き付かないように配設される。その他の構成及び作用は上述の第2の実施形態と略同様である。そして、この構成によれば、上記第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第4の実施形態の第3変形例)
図22,23は、上述の第4の実施形態についての第3変形例を示す図である。
この第3変形例は、上述の第4実施形態のコイルパイプ部材20を上述の第3の実施形態の内視鏡に適用した例示である。
即ち、Cリング状部材9Bに対し、操作入力側ワイヤー8aの延出位置近傍にコイルパイプ部材20を配設している。コイルパイプ部材20は、操作子5の中立状態から、湾曲部2bの最大湾曲状態までの間において、Cリング状部材9Bの切欠部9Bcを跨いで巻き付かないように配設される。その他の構成及び作用は上述の第3の実施形態と略同様である。そして、この構成によれば、上記第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第5の実施形態]
図24〜図28は、本発明の第5の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様であり、該第1の実施形態に対しては、牽引部材操作装置におけるCリング状部材の切欠部の形態が異なるのみである。したがって、以下の説明においては、上述の第1の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1Dの牽引部材操作装置におけるCリング状部材9Dは、図示のように、上記第1の実施形態と略同様の構成からなる。
即ち、プーリー11の外周面上において摩擦係合可能に配設されているCリング状部材9Dは、弾性変形可能にかつ一部に切欠部(9Dca,9Dcb,9Dcc)を有し外径の異なる二つのリング状部材によって形成されている。ここで、二つのリング状部材とは、小径のCリング状部材からなり外周面上に操作入力側ワイヤー8aが延出する操作ワイヤー延出部9Daと、大径のリング状部材であり湾曲部側ワイヤー8bが延出する湾曲ワイヤー延出部9Dbとである。
湾曲ワイヤー延出部9Dbは、操作ワイヤー延出部9Daの外周面上の所定の部位から外径の一部が徐々に大となるように形成され、外径方向に向けて突出した部位を有して形成されている。これにより、小径の操作ワイヤー延出部9Daの外周面と、これよりも大径の湾曲ワイヤー延出部9Dbの外周面とは、連続した外周面で形成されていると共に、操作ワイヤー延出部9Daの外周面と湾曲ワイヤー延出部9Dbの外周面との間に段差が形成されている。この点においては、上述の第1の実施形態と略同様である。
また、第1のCリング部である操作ワイヤー延出部9Daには第1の切欠部である切欠部9Dcaが形成されており、第2のCリング部である湾曲ワイヤー延出部9Dbには第2の切欠部である切欠部9Dcbが形成されている。切欠部9Dcaと切欠部9Dcbとは、Cリング状部材9Dの円周方向に所定の角度だけズラして離れた位置となるように形成されている。この場合において、切欠部9Dcbは、湾曲ワイヤー延出部9Dbの段差部近傍に形成されている。これに対し、切欠部9Dcaは、上記切欠部9Dcbの配設位置から円周方向であって、Cリング状部材9Dの回転方向(図24において時計方向;同図の符号A3方向)に所定の角度だけズラして離れた位置に形成されている。
また、切欠部9Dcaと切欠部9Dcbとは、操作ワイヤー延出部9Daと湾曲ワイヤー延出部9Dbとの間で周方向に延ばして形成される切欠部9Dccによって連設されている。この構成により、Cリング状部材9Dは、外周面上に巻回される牽引ワイヤー8によって縮径されるように形成されている。
上述したように、切欠部9Dcaと切欠部9Dcbとは、Cリング状部材9Dの円周方向においてズラした位置に形成されている。そして、切欠部9Dcbに対して切欠部9Dcaは、湾曲操作が行われてCリング状部材9Dが回動移動するときの回転方向(図24の符号A3)に所定の角度だけズラして離間した位置に形成されている。
即ち、図24に示す状態(操作子5が中立位置にある時)において、Cリング状部材9Dの操作ワイヤー延出部9Daの切欠部9Dcaは、操作入力側ワイヤー8aが操作子5側に延出する位置(図24の符号E)の近傍に配置される。このとき、操作入力側ワイヤー8aは切欠部9Dcaを跨いで牽引方向(即ち操作子5側)とは反対側に巻き付いている。
一方、図27に示す状態(最大湾曲時)に変位したときには、Cリング状部材9Dの湾曲ワイヤー延出部9Dbの切欠部9Dcbは、湾曲部側ワイヤー8bが湾曲部2b側に延出する位置(図27の符号S)の近傍、即ちCリング状部材9Dの段差部近傍に配置される。このとき、湾曲部側ワイヤー8bは、段差部の存在によって、切欠部9Dcbを跨いでCリング状部材9Dに巻き付かないようになっている。その他の構成は上述の第1の実施形態と略同様である。
このように構成された本実施形態の内視鏡1Dが図24の状態、即ち操作子5が中立位置にある状態において、操作者によって操作子5が図24の矢印A方向に傾倒操作されると、操作入力側ワイヤー8aが図24の矢印A2方向に牽引される。すると、Cリング状部材9Dは、自身の弾性力に抗して切欠部9Dcaが狭められて縮径する。これによって、Cリング状部材9Dとプーリー11とが密着状態になるので両者間には摩擦抵抗が発生し、よって、Cリング状部材9Dはプーリー11と同方向(図24,図27の矢印A3方向)にプーリー11に対して滑りながら回転する。したがって、湾曲部側ワイヤー8bが図27の矢印A4方向に牽引移動され、よって、湾曲部2bが図32の矢印A5方向に湾曲する。
操作子5の傾倒操作が継続されると、やがて図27に示す最大湾曲状態になる。この状態に変位すると、切欠部9Dcbは、図27の符号Sで示す部位近傍に配置される。したがって、湾曲部側ワイヤー8bは、段差部の存在によって切欠部9Dcbを跨いでCリング状部材9Dに巻き付かない状態にある。つまり、湾曲部側ワイヤー8bがCリング状部材9Dの縮径を阻害しないように、確実に湾曲操作が行われる。
一方、操作入力側ワイヤー8aは、図28に示すように、操作ワイヤー延出部9Daに巻き付いた状態にある。このとき、操作入力側ワイヤー8aは、切欠部9Dcaを跨いで巻き付いた状態になっておらず、切欠部9Dcaに対応する部位においては、湾曲ワイヤー延出部9Dbの側に巻き付いている状態になっている。しかしながら、操作入力側ワイヤー8aの操作子5側への延出部位(符号E)の近傍には、切欠部9Dcbが配置されており、操作入力側ワイヤー8aによる牽引力は、切欠部9Dcbを狭めるように作用して、引き続きCリング状部材9Dの縮径作用に寄与している。したがって、湾曲部2bの湾曲状態が解除されることなく継続される。
以上説明したように、上記第5の実施形態によれば、上述の第1の実施形態と略同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態においては、Cリング状部材9Dにおける切欠部は、操作ワイヤー延出部9Daの切欠部9Dcaと、湾曲ワイヤー延出部9Dbの切欠部9Dcbとを、円周方向にズラして離れた位置に形成し、かつ切欠部9Dcaと切欠部9Dcbとを切欠部9Dccで連設するように形成している。
このような構成によって、牽引ワイヤー8(操作入力側ワイヤー8a,湾曲部側ワイヤー8b)は、切欠部9Dca,9Dcbを挟んで牽引方向とは反対側のCリング状部材9Dに接触しないように構成することができる。したがって、牽引ワイヤー8の牽引力は、Cリング状部材9Dの縮径作用若しくは縮径解除作用を阻害することなく、同牽引力を湾曲部2bの湾曲作用に常に有効に寄与させることができる。
[第6の実施形態]
図29〜図33は、本発明の第6の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第2の実施形態と略同様であり、該第2の実施形態に対しては、牽引部材操作装置におけるCリング状部材の切欠部の形態が異なるのみである。したがって、以下の説明においては、上述の第1,第2の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1Eの牽引部材操作装置におけるCリング状部材9Eは、図示のように、上記第2の実施形態と略同様の構成からなる。
本実施形態の内視鏡1Eの牽引部材操作装置におけるCリング状部材9Eは、図示のように、異なる外径を有し一部に切欠部(9Eca,9Ecb,9Ecc)を有する二つのCリング状部材、即ち操作ワイヤー延出部9Eaと湾曲ワイヤー延出部9Ebとを同軸上に重ねた形態で形成されている。このうち、操作ワイヤー延出部9Eaは小径に形成され、湾曲ワイヤー延出部9Ebは大径に形成されている。これにより、Cリング状部材9Eは、操作ワイヤー延出部9Eaの外周面と、湾曲ワイヤー延出部9Ebの外周面との間に全周にわたって外径差の分だけの段差を有して形成されている。この点においては、上述の第2の実施形態と略同様である。
また、操作ワイヤー延出部9Eaには切欠部9Ecaが形成されており、湾曲ワイヤー延出部9Ebには切欠部9Ecbが形成されている。切欠部9Ecaと切欠部9Ecbとは、Cリング状部材9Eの円周方向に所定の角度だけズラして離れた位置となるように形成されている。なお、切欠部9Eca,9Ecbの位置関係は、上述の第5の実施形態と略同様である。
また、切欠部9Ecaと切欠部9Ecbとは、操作ワイヤー延出部9Eaと湾曲ワイヤー延出部9Ebとの間で周方向に形成される切欠部9Eccによって連設されている。この構成により、Cリング状部材9Eは、外周面上に巻回される牽引ワイヤー8Abによって縮径されるように形成されている。この構成においても、上述の第5の実施形態と略同様である。
なお、本実施形態における牽引部材は、上述の第2の実施形態と同様に、操作入力側牽引部材である操作入力側ワイヤー8Aaと、湾曲部側牽引部材である湾曲部側ワイヤー8Abの二本のワイヤー部材で構成される。
操作入力側ワイヤー8Aaの一端は、操作子5(の吊り枠の牽引ワイヤー取付部)に連結され、他端はCリング状部材9Eの操作ワイヤー延出部9Eaの外周面上における所定の部位(符号9Ey)に固定配置されている。ここで、操作入力側ワイヤー8Aaの他端の固定配置部位(符号9Ey)は、図示のように、操作入力側ワイヤー8Aaの操作入力側への延出部位(符号E)から切欠部9Ecaを跨いで操作ワイヤー延出部9Eaの外周面上の部位である。本実施形態においては、操作入力側ワイヤー8Aaの他端の固定配置部位(符号9Ay)を、切欠部9Ecaを跨いで円周方向に巻き付けた先の部位であって、切欠部9Ecaに対して円周方向に角度略180度未満の略対向する部位の近傍としている。つまり、本実施形態においては、切欠部9Ecaを跨いでCリング状部材9Eに巻き付く巻き付き距離が、上述の第2の実施形態のケースに比べて長くなるように設定されている。
一方、湾曲部側ワイヤー8Abの一端は、湾曲部2bに連結され、他端はCリング状部材9Eの湾曲ワイヤー延出部9Ebの外周面上における所定の部位(符号9Ex)に固定配置されている。ここで、湾曲部側ワイヤー8Abの他端の固定配置部位(符号9Ex)は、図示のように、切欠部9Ecbに対して円周方向に角度略180度未満の略対向する部位の近傍としている。この場合において、湾曲部側ワイヤー8Abは、切欠部9Ecbを跨ぐ位置には配置されないように構成されている。
したがって、図29に示す状態(操作子5が中立位置にある時)において、Cリング状部材9Eの操作ワイヤー延出部9Eaの切欠部9Ecaは、操作入力側ワイヤー8Aaが操作子5側に延出する位置(図29の符号E)の近傍に配置される。このとき、操作入力側ワイヤー8Aaは切欠部9Ecaを跨いで牽引方向(即ち操作子5側)とは反対側に巻き付いている。
一方、図32に示す状態(最大湾曲時)に変位したときには、Cリング状部材9Eの湾曲ワイヤー延出部9Ebの切欠部9Ecbは、湾曲部側ワイヤー8Abが湾曲部2b側に延出する位置(図32の符号S)の近傍に配置される。このとき、湾曲部側ワイヤー8Abは、切欠部9Ecbを跨いでCリング状部材9Eに巻き付かないようになっている。その他の構成は上述の第2の実施形態と略同様である。
このように構成された本実施形態の内視鏡1Eが図29の状態(操作子5が中立位置にある状態)において、操作者によって操作子5が図29の矢印A方向に傾倒操作されると、操作入力側ワイヤー8Aaが牽引され、Cリング状部材9Eは、自身の弾性力に抗して切欠部9Ecaが狭められて縮径する。これによって、Cリング状部材9Eとプーリー11との間には摩擦抵抗が発生する。これにより、Cリング状部材9Eはプーリー11と同方向(図29の矢印A3方向)にプーリー11に対して滑りながら回転する。したがって、湾曲部側ワイヤー8Abが牽引移動され、よって湾曲部2bが所定方向に湾曲する。
操作子5の傾倒操作が継続されると、やがて図32に示す最大湾曲状態になる。この状態に変位すると、切欠部9Ecbは、図32の符号Sで示す部位近傍に配置される。このとき、湾曲部側ワイヤー8Abは、切欠部9Ecbを跨いでCリング状部材9Eに巻き付かない状態となっている。これにより、湾曲部側ワイヤー8AbがCリング状部材9Eの縮径を阻害しないように、確実に湾曲操作が行われる。
一方、操作入力側ワイヤー8Aaは、切欠部9Ecaから離間した位置でCリング状部材9Eの操作ワイヤー延出部9Eaに巻き付いた状態となっている。したがって、操作入力側ワイヤー8Aaの牽引力は切欠部9Ecaに対してあまり作用していない状態になっている。しかしながら、図32に示すように、操作入力側ワイヤー8Aaの操作子5側への延出部位(符号E)の近傍には、切欠部9Ecbが配置されている。したがって、操作入力側ワイヤー8Aaによる牽引力は、切欠部9Ecbを狭めるように作用して、引き続きCリング状部材9Eの縮径作用に寄与している。したがって、湾曲部2bの湾曲状態が解除されることなく継続される。
以上説明したように、上記第6の実施形態によれば、上述の第2の実施形態と略同様の効果を得ることができると共に、上述の第5の実施形態と略同様な切欠部(9Eca,9Ecb,9Ecc)を形成したことによって、本実施形態においても、上記第5の実施形態と略同様の効果をうることができる。
[第7の実施形態]
図34〜図38は、本発明の第7の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第3の実施形態と略同様であり、該第3の実施形態に対しては、牽引部材操作装置におけるCリング状部材の切欠部の形態が異なるのみである。したがって、以下の説明においては、上述の第1,第3の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1Fの牽引部材操作装置におけるCリング状部材9Fは、図示のように、上記第3の実施形態と略同様の構成からなるものでるが、切欠部(9Fca,9Fcb,9Fcc)の形態が異なる。
本実施形態におけるCリング状部材9Fにおいては、円周方向に所定の角度だけズラして離れた位置に形成され幅方向に切りかかれた二つの切欠部9Fca,9Fcbと、これら二つの切欠部を周方向で連接する切欠部9Fccとが形成されている。なお、切欠部9Fca,9Fcbの位置関係は、上述の第5の実施形態と略同様である。また、本実施形態における牽引部材は、上述の第1,第3の実施形態と同様に、操作入力側牽引部材である操作入力側ワイヤー8aと、湾曲部側牽引部材である湾曲部側ワイヤー8bとは、連続した一本のワイヤー部材で構成される。
このような構成からなる本実施形態の内視鏡1Fにおいても、図35の中立状態にある操作子5を、例えば同図に示す矢印A方向に傾倒させると、上述の第1,第3の実施形態と略同様に湾曲部2bが所定方向に湾曲する。
以上説明したように上記第7の実施形態によれば、上述の第1,第3の実施形態と略同様の効果を得ることができると共に、上記第5,第6の実施形態と略同様の効果を得ることができる。
[第8の実施形態]
図39,図40は、本発明の第8の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様であり、該第1の実施形態に対しては、牽引部材操作装置における牽引部材(牽引ワイヤー8)の形態が異なるのみである。したがって、以下の説明においては、上述の第1の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1Gにおいては、上記第1の実施形態の構成に対して、上記第2の実施形態と同様に、Cリング状部材9に巻回される牽引ワイヤー8を二本の牽引ワイヤーで構成している。ここで、二本の牽引ワイヤーは、第1の牽引部材であり操作入力側牽引部材である操作入力側ワイヤー8Aaと、第2の牽引部材であり湾曲部側牽引部材である湾曲部側ワイヤー8Abである。
そして、操作入力側ワイヤー8Aaは、一端が操作子5の吊り枠の牽引ワイヤー取付部に連結され、他端がCリング状部材9の外周面上の所定部位(9y)に固定配置されている。ここで、操作入力側ワイヤー8Aaの他端の固定部位(9y)は、Cリング状部材9の外周面上において、切欠部9cに対向する部位近傍であって、切欠部9cから円周方向に角度略180度未満の略対向する部位である。これにより、操作入力側ワイヤー8Aaは、Cリング状部材9の操作入力部材側への延出位置Eから切欠部9cを跨いでCリング状部材9の外周面上を固定部位9yまで巻き付けて配置されている。
また、湾曲部側ワイヤー8Abは、一端が湾曲部2bに連結され、他端がCリング状部材9の外周面上の所定部位(9x)に固定配置されている。ここで、湾曲部側ワイヤー8Abの他端の固定部位(9x)は、操作入力側ワイヤー8Aaの他端と同様に、Cリング状部材9の外周面上において、切欠部9cに対向する部位近傍であって、切欠部9cから円周方向に角度略180度未満の略対向する部位である。これにより、湾曲部側ワイヤー8Abは、Cリング状部材9の湾曲部側への延出位置Sから切欠部9cを跨がないようにCリング状部材9の外周面上を固定部位9xまで巻き付けて配置されている。
このような構成により、図39の状態(操作子5の中立状態)から、操作子5が傾倒操作されて操作入力側ワイヤー8Aaが牽引されると、Cリング状部材9は縮径される。このとき、操作入力側ワイヤー8Aaの他端が切欠部9cから円周方向に角度略180度未満の略対向する部位(9y)で固定するように構成したので、操作入力側ワイヤー8Aaの牽引力がCリング状部材9の縮径作用若しくは縮径解除作用を阻害することがない。
ここで、例えば、操作入力側ワイヤー8Aaの他端の固定部位9yが、切欠部9cから円周方向に角度略180度以上の部位であれば、操作入力側ワイヤー8Aaの牽引力は、切欠部9cの隙間を狭める方向ではなく、拡げる方向に作用してしまうことになる。つまり、操作入力側ワイヤー8Aaの牽引力がCリング状部材9の縮径作用若しくは縮径解除作用を阻害する可能性がある。しかしながら、本実施形態においては、操作入力側ワイヤー8Aaの他端が切欠部9cから円周方向に角度略180度未満の略対向する部位(9y)で固定するように構成することにより、この問題を解消している。
また、図40の状態(最大湾曲状態)においても、操作入力側ワイヤー8Aaの牽引力は、Cリング状部材9を縮径させる方向に働いている。そして、湾曲部側ワイヤー8Abは、段差部の存在によって、常に切欠部9cを跨がないように配置される。したがって、湾曲部側ワイヤー8AbがCリング状部材9の縮径作用若しくは縮径解除作用を阻害することがない。その他の構成及び作用は上述の第1の実施形態と略同様である。
以上説明したように、上記第8の実施形態によれば、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態においては、湾曲部側ワイヤー8Abが切欠部9cを跨ぐことなくCリング状部材9の外周面上に巻き付けることができると共に、湾曲部側ワイヤー8AbのCリング状部材9への巻き付き距離をより長く設定することができる。
(第8の実施形態の変形例)
図41は、上述の第8の実施形態におけるCリング状部材についての変形例を示す図である。
本変形例において、Cリング状部材9Gは、切欠部9cに対向する部位近傍、即ち切欠部9cから円周方向に角度略180度の対向する部位において、径方向の肉厚を薄肉化した薄肉部9Gzを設けている。この構成により、Cリング状部材9Gは、薄肉部9Gzにおいて、より弾性変形し易く形成されている。その他の構成及び作用は上述の第8の実施形態と略同様である。そして、この構成によれば、Cリング状部材9Gの弾性変形が容易となることから、Cリング状部材9Gの縮径作用をより容易に行うことができる。
[第9の実施形態]
図42,図43は、本発明の第9の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第2の実施形態と略同様であり、該第2の実施形態に対し、牽引部材操作装置における牽引部材(牽引ワイヤー8)の固定位置を変更したのみである。したがって、以下の説明においては、上述の第1,第2の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1Hにおいては、湾曲部側ワイヤー8Abは、一端が湾曲部2bに連結され、他端がCリング状部材9Aの湾曲ワイヤー延出部9Ab外周面上の所定部位(符号9Ax)に固定配置されている。ここで、湾曲部側ワイヤー8Abの他端の固定部位9Axは、Cリング状部材9Aの外周面上において、切欠部9Acから円周方向に角度略180度未満離れた部位である。これにより、湾曲部側ワイヤー8Abは、図42の中立状態から図43の最大湾曲状態までの可動範囲内において、常にCリング状部材9Aの湾曲部側への延出位置Sから切欠部9Acを跨がないようにCリング状部材9Aの外周面上を固定部位9Axまで巻き付けて配置されている。その他の構成及び作用は上述の第1の実施形態と略同様である。
以上説明したように、上記第9の実施形態によれば、上述の第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態においては、湾曲部側ワイヤー8Abが切欠部9Acを常に跨ぐことなくCリング状部材9Aの外周面上に巻き付けることができる。
(第9の実施形態の変形例)
図44は、上述の第9の実施形態におけるCリング状部材についての変形例を示す図である。
本変形例において、Cリング状部材9AAは、切欠部9Acに対向する部位近傍、即ち切欠部9Acから円周方向に角度略180度の対向する部位において、径方向の肉厚を薄肉化した薄肉部9Azを設けている。この構成により、Cリング状部材9AAは、薄肉部9Azにおいて、より弾性変形し易く形成されている。その他の構成及び作用は上述の第9の実施形態と略同様である。そして、この構成によれば、Cリング状部材9AAの弾性変形が容易となることから、Cリング状部材9AAの縮径作用をより容易に行うことができる。
[第10の実施形態]
図45,図46は、本発明の第10の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第3の実施形態と略同様であり、該第3の実施形態に対しては、牽引部材操作装置における牽引部材(牽引ワイヤー8)の形態が異なるのみである。したがって、以下の説明においては、上述の第1,第3の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態においては、上記第3の実施形態の構成に対して、上記第8の実施形態と同様の構成を適用したものである。
即ち、本実施形態の内視鏡1Jにおいては、Cリング状部材9Bに巻回される牽引ワイヤー8を二本の牽引ワイヤー、即ち操作入力側ワイヤー8Aaと湾曲部側ワイヤー8Abとで構成している。そして、操作入力側ワイヤー8Aa及び湾曲部側ワイヤー8Abの配置は、上述の第8の実施形態と同様である。
つまり、湾曲部側ワイヤー8Abの他端は、Cリング状部材9Bの外周面上の所定部位9xに固定配置されている。この固定部位9xは、Cリング状部材9Bの外周面上において、切欠部9Bcに対向する部位近傍であって、切欠部9Bcから円周方向に角度略180度未満の略対向する部位である。これにより、湾曲部側ワイヤー8Abは、Cリング状部材9Bの湾曲部側への延出位置Sから切欠部9Bcを跨がないようにCリング状部材9Bの外周面上を固定部位9xまで巻き付けて配置されている。その他の構成及び作用は上述の第3の実施形態と略同様である。
以上説明したように、上記第10の実施形態によれば、上述の第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態においても上述の第8の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第10の実施形態の変形例)
図47は、上述の第10の実施形態におけるCリング状部材についての変形例を示す図である。
本変形例において、Cリング状部材9BBは、切欠部9Bcに対向する部位近傍、即ち切欠部9Bcから円周方向に角度略180度の対向する部位において、径方向の肉厚を薄肉化した薄肉部9Bzを設けている。この構成により、Cリング状部材9BBは、薄肉部9Bzにおいて、より弾性変形し易く形成されている。その他の構成及び作用は上述の第10の実施形態と略同様である。そして、この構成によれば、Cリング状部材9BBの弾性変形が容易となることから、Cリング状部材9BBの縮径作用をより容易に行うことができる。
[第11の実施形態]
図48〜図50は、本発明の第11の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第8の実施形態と略同様であり、該第8の実施形態に対して、牽引部材操作装置における牽引部材(牽引ワイヤー8)の固定位置を変更している。したがって、以下の説明においては、上述の第1,第8の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1Kにおける操作入力側ワイヤー8Aaは、一端が操作子5の吊り枠の牽引ワイヤー取付部に連結され、他端がCリング状部材9の外周面上の所定部位(9y)に固定配置されている。ここで、操作入力側ワイヤー8Aaの他端の固定部位は、Cリング状部材9の外周面上において、操作子5側への延出部位Eから切欠部9cを跨いで円周方向に角度略360度以上巻き付けた部位である。
一方、湾曲部側ワイヤー8Abは、一端が湾曲部2bに連結され、他端がCリング状部材9の湾曲ワイヤー延出部9b外周面上の所定部位(符号9x)に固定配置されている。ここで、湾曲部側ワイヤー8Abの他端の固定部位9xは、Cリング状部材9の外周面上において、湾曲部2b側への延出部位Sから円周方向に角度略180度以上巻き付けた部位であって、切欠部9cを跨がないように設定されている。
上述の第8の実施形態において説明したように、
例えば、操作入力側ワイヤー8Aaの他端の固定部位9yが、切欠部9cから円周方向に角度略180度以上の部位に設定した時、操作入力側ワイヤー8Aaの牽引力がCリング状部材9の縮径作用若しくは縮径解除作用を阻害する可能性がある。
しかしながら、本実施形態においては、操作入力側ワイヤー8Aaの他端の固定部位9yを操作子5側への延出部位Eから切欠部9cを跨いで円周方向に角度略360度巻き付けた部位とすることにより、充分に長い巻き付き距離を確保している。これにより、Cリング状部材9からプーリー11に対する充分な垂直効力増加量を得ている。
つまり、操作入力側ワイヤー8AaのCリング状部材9への巻き付き距離の増大によるCリング状部材9からプーリー11に対する垂直効力増加量が、操作入力側ワイヤー8Aaの牽引力によるCリング状部材9の縮径作用若しくは縮径解除作用を阻害する力量よりも大となれば、このような構成としても問題はない。その他の構成及び作用は上述の第8の実施形態と略同様である。
以上説明した上記第11の実施形態によれば、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態においては、操作入力側ワイヤー8Aa,湾曲部側ワイヤー8Abのより長い巻き付け距離を得ることができると同時に、操作入力側ワイヤー8Aaの牽引力がCリング状部材9の縮径作用若しくは縮径解除作用を阻害することがない。
[第12の実施形態]
図51〜図53は、本発明の第12の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第9の実施形態と略同様であり、該第9の実施形態に対して、牽引部材操作装置における牽引部材(牽引ワイヤー8)の固定位置を変更している。したがって、以下の説明においては、上述の第1,第9の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1Lにおいては、操作入力側ワイヤー8Aaの他端のCリング状部材9Aに対する固定部位9Ayは、Cリング状部材9Aの外周面上において、操作子5側への延出部位Eから図51の反時計回りに巻き付いて切欠部9Acを跨いで円周方向に角度略360度巻き付けた部位としている。また、湾曲部側ワイヤー8Abの他端のCリング状部材9Aに対する固定部位9Axは、上記第9の実施形態と同様である。その他の構成及び作用は上述の第9の実施形態と略同様である。
以上説明した上記第12の実施形態によれば、上述の第1,第11の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第13の実施形態]
図54〜図56は、本発明の第13の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第10の実施形態と略同様であり、該第10の実施形態に対して、牽引部材操作装置における牽引部材(牽引ワイヤー8)の固定位置を変更している。したがって、以下の説明においては、上述の第1,第10の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1Mにおいては、操作入力側ワイヤー8Aaの他端のCリング状部材9Bに対する固定部位9Byは、Cリング状部材9Bの外周面上において、操作子5側への延出部位Eから図54の反時計回りに巻き付いて切欠部9Bcを跨いで円周方向に角度略360度巻き付けた部位としている。
また、湾曲部側ワイヤー8Abの他端のCリング状部材9Bに対する固定部位9Bxは、Cリング状部材9Bの外周面上において、湾曲部2b側への延出部位Sから図54の時計回りに巻き付いて延出部位Sから円周方向に角度略180度未満の略対向する部位である。その他の構成及び作用は上述の第10の実施形態と略同様である。
以上説明した上記第13の実施形態によれば、上述の第1,第11の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第14の実施形態]
図57〜図61は、本発明の第14の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様であり、該第1の実施形態に対して、牽引部材操作装置におけるCリング状部材の形状が若干異なるのみである。したがって、以下の説明においては、上述の第1の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1NにおけるCリング状部材9Nにおいては、二つのCリング状部材(9Na,9Nb)のうち操作入力側ワイヤー8aが延出する操作ワイヤー延出部9Naの外周面上の所定の部位に、Cリング状部材9Nの外周面上における操作入力側ワイヤー8aの幅方向への移動を規制し所定の移動方向にガイドするガイド溝9Ndが形成されている。
このガイド溝9Ndは、操作ワイヤー延出部9Naの切欠部9Ncを跨ぐ部位であって、Cリング状部材9Nが回動する際に、操作入力側ワイヤー8aが巻き付く範囲内に形成されている。
なお、上述の第1の実施形態において詳述しているように、Cリング状部材の操作ワイヤー延出部及び湾曲ワイヤー延出部の外周面上には周溝状のワイヤー案内溝が設けられている。上記ガイド溝9Ndは、そのワイヤー案内溝に連設され、かつ上記ワイヤー案内溝よりも明確に形成するようにしている。
図61に示すように、ガイド溝9Ndの幅寸法W2は、操作入力側ワイヤー8aの直径よりも若干大となるように設定されている。また、ガイド溝9Ndの深さ寸法は、操作入力側ワイヤー8aの直径と略同等か若しくは若干大とするのが望ましい。その他の構成は上述の第1の実施形態と略同様である。
本実施形態においては、Cリング状部材9Nの操作ワイヤー延出部9Naの切欠部9Ncを跨ぐ部位にガイド溝9Ndを形成したので、操作子5が傾倒操作された時に操作入力側ワイヤー8aがC移動するのをガイドし、Cリング状部材9Nの外周面上から脱落することが抑止される。
以上説明上記第14の実施形態によれば、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態によれば、操作入力側ワイヤー8aの確実な移動を確保することができ、よって精度の高い湾曲操作性を実現し得る。
[第15の実施形態]
図62〜図65は、本発明の第15の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第2の実施形態と略同様であり、該第2の実施形態に対して、上記第14の実施形態のように、牽引部材操作装置におけるCリング状部材の形状が若干異なるのみである。したがって、以下の説明においては、上述の第1,第2の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1PにおけるCリング状部材9Pにおいては、上記第14の実施形態と略同様に、二つのCリング状部材(9Pa,9Pb)のうち操作入力側ワイヤー8Aaが延出する操作ワイヤー延出部9Paの外周面上の所定の部位に、Cリング状部材9Pの外周面上における操作入力側ワイヤー8Aaの幅方向への移動を規制し所定の移動方向にガイドするガイド溝9Pdを形成している。本実施形態におけるガイド溝9Pdは、操作ワイヤー延出部9Paの外周面上の略全周にわたって形成している。
なお、上述の第1の実施形態において詳述しているように、Cリング状部材の操作ワイヤー延出部及び湾曲ワイヤー延出部の外周面上には周溝状のワイヤー案内溝が設けられている。上記ガイド溝9Pdは、そのワイヤー案内溝に連設され、かつ上記ワイヤー案内溝よりも明確に形成するようにしている。
本実施形態におけるガイド溝9Pdの幅寸法は、操作入力側ワイヤー8Aaの直径よりも若干大となるように設定されている。また、ガイド溝9Pdの深さ寸法は、操作入力側ワイヤー8Aaの直径と略同等か若しくは若干大とするのが望ましい。その他の構成は上述の第2の実施形態と略同様である。また、作用については上述の第14の実施形態と略同様である。
以上説明上記第15の実施形態によれば、上述の第2,第14の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第16の実施形態]
図66〜図70は、本発明の第16の実施形態を示す図である。
本実施形態の基本的な構成は、上述の第3の実施形態と略同様であり、該第3の実施形態に対して、上記第14の実施形態のように、牽引部材操作装置におけるCリング状部材の形状が若干異なるのみである。したがって、以下の説明においては、上述の第1,第3の実施形態と同様の構成は同じ符号を附して、その説明は省略し、異なる構成のみについて詳述する。
本実施形態の内視鏡1QにおけるCリング状部材9Qにおいては、Cリング状部材9Qの操作入力側ワイヤー8aが延出する部位に、Cリング状部材9Qの外周面上における操作入力側ワイヤー8aの幅方向への移動を規制し所定の移動方向にガイドするガイド溝9Qdが形成されている。このガイド溝9Qdは、切欠部9Qcを跨ぐ部位であって、Cリング状部材9Qが回動する際に、操作入力側ワイヤー8aが巻き付く範囲内に形成されている。
なお、上述の第1の実施形態において詳述しているように、Cリング状部材の操作ワイヤー延出部及び湾曲ワイヤー延出部の外周面上には周溝状のワイヤー案内溝が設けられている。上記ガイド溝9Qdは、そのワイヤー案内溝に連設され、かつ上記ワイヤー案内溝よりも明確に形成するようにしている。
本実施形態におけるガイド溝9Qdの幅寸法は、操作入力側ワイヤー8aの直径よりも若干大となるように設定されている。また、ガイド溝9Qdの深さ寸法は、操作入力側ワイヤー8aの直径と略同等か若しくは若干大とするのが望ましい。その他の構成は上述の第3の実施形態と略同様である。また、作用については上述の第14の実施形態と略同様である。
以上説明上記第16の実施形態によれば、上述の第3,第14の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上述の各実施形態において、Cリング状部材は、弾性変形可能に形成され、かつ一部に切欠部を有して形成するようにしている。また、Cリング状部材の外周面上には牽引ワイヤーを巻回して構成している。そして、牽引ワイヤーを牽引することによって、Cリング状部材は自身の弾性力に抗して切欠部が狭められて縮径するように構成されている。また、牽引ワイヤーによる牽引力が解除された時には、Cリング状部材は自身の弾性力によって切欠部を拡げられて縮径状態を解除するように構成されている。
そこで、縮径状態を解除する際に切欠部を拡げる方向の力量を補助するために、例えば切欠部の対向面の間にできる隙間に伸縮性の付勢部材、例えばコイルバネや板バネ等を配設する構成も考えられる。このような構成とすれば、縮径状態を解除する際に、例えば牽引ワイヤー等がCリング状部材に接触する等に起因して、縮径解除作用に影響を及ぼすような場合にも、Cリング状部材に対する縮径作用の力量が解除された時には、上記付勢部材が縮径解除作用を補助し、速やかにかつ円滑に縮径解除作用を行うことができるという効果を得られる。
[第17の実施形態]
図71〜図77を参照して本発明の第17の実施形態を説明する。
図71に示すように本実施形態の内視鏡101は、細長な挿入部102と、挿入部102の基端に連設する操作部103と、操作部103の側部から延出するユニバーサルコード104とを備えて構成されている。
挿入部102は、先端側から順に、先端部102aと、例えば上下左右方向に湾曲可能に構成された湾曲部102bと、可撓性を有して長尺に形成された可撓管部102cとを連設して構成されている。
図71、図72に示すように操作部103は、挿入部102に連設する把持部103aと、把持部103aに連設する操作部本体103bとを備えて構成されている。操作部本体103bには、湾曲部102bを湾曲動作させる操作指示を行うための操作子105が設けられている。
操作子105は、湾曲操作装置であって操作部本体103bの一面に設けた開口である操作子突出口(不図示)から操作部103の長手軸に例えば直交して設けられている。
操作子105は、図71の矢印Yu方向、矢印Yd方向、矢印Yl方向、矢印Yr方向に傾倒可能である。湾曲部102bは、操作子105傾倒方向及び傾倒角度を含めた傾倒操に応じて、後述する湾曲操作ワイヤー(以下、湾曲ワイヤーと略記する)を牽引弛緩させて、上方向、右方向、下方向、左方向、上方向と右方向との間の方向等に湾曲する構成になっている。
本実施形態において、湾曲部102bは、上下左右の四方向に湾曲する構成である。しかし、湾曲部102bは、上下方向に湾曲する構成等であってもよい。上記u、d、l、rは、湾曲部102bの湾曲方向である上下左右方向を表す。以下の説明において、例えば、符号108uは上湾曲ワイヤーを表し、符号108dは下湾曲ワイヤーを表す。なお、小文字の「l」は、図面中において筆記体で表し、数字の「1」と区別している。
操作部本体103bの外装には、操作子105の他に、例えば先端部102a内に設けられた撮像装置(不図示)の各種撮像動作を指示するスイッチ106a、送気送水ボタン106b、吸引ボタン106c等が予め定めた位置に設けられている。また、把持部103aの外装には処置具チャンネル(不図示)に連通するチャンネル挿入口106dが設けられている。符号107はカバー部材であり、カバー部材107は、操作子突出口を水密に塞ぎ、且つ軸部105aに密着して操作子105の傾倒操作を可能に保持する。
図72、図73に示すように操作部103内には、4本の湾曲ワイヤー108と、4つの回転体109と、湾曲駆動部110と、略十字形状な吊り枠120と、操作子105の軸部105aと、複数のガイドローラー115とが配設されている。
4本の湾曲ワイヤー108は、牽引部材であり、上湾曲ワイヤー108u、下湾曲ワイヤー108d、左湾曲ワイヤー108l及び右湾曲ワイヤー108rである。各湾曲ワイヤー108u、108d、108l、108rの一端は、それぞれ湾曲部102bを構成する図示しない先端湾曲駒の予め定めた位置に固定されている。
4つの回転体109は、弾性変形可能な駆動力伝達部であり、リング形状で切り欠き109cを有する。4つの回転体109は、上回転体109u、下回転体109d、左回転体109l及び右回転体109rである。上回転体109uには上湾曲ワイヤー108uが巻回され、下回転体109dには下湾曲ワイヤー108dが巻回され、左回転体109lには左湾曲ワイヤー108lが巻回され、右回転体109rには右湾曲ワイヤー108rが巻回される。
吊り枠120は、湾曲操作装置であって、略十字形状に構成されている。吊り枠120は、上枠121、下枠122、左枠123、右枠124を備え、吊り枠120の中央部から枠中心軸としての枠凸部120cが突出している。枠凸部120cには、図示しないフレームに回動自在に配設されたユニバーサルジョイント118を介して操作子105の軸部105aが同軸に取付け固定されている。
吊り枠120において、上枠121と下枠122と枠凸部120cを挟んで一直線上に配置されている。上枠121の端部には上用ワイヤー取付部121aが設けられ、下枠122の端部には下用ワイヤー取付部122aが設けられている。また、上枠121は、上枠先端屈曲部121bを備え、下枠122は下枠先端屈曲部122bを備えている。上枠先端屈曲部121bと下枠先端屈曲部122bとは、上下枠中心線125を挟んで異なる方向に折曲して構成されている。
一方、左枠123と右枠124とは上下枠中心線125に直交して枠凸部120cを挟んで一直線上に配置されている。左枠123の端部には左用ワイヤー取付部123aが設けられ、右枠124の端部には右用ワイヤー取付部124aが設けられている。
そして、回転体109u、109d、109l、109rに略一周巻回され、その後、該回転体109u、109d、109l、109rから延出される湾曲ワイヤー108u、108d、108l、108rは、例えば複数のガイドローラー115によって走行経路を変更されて、吊り枠120の上用ワイヤー取付部121a、下用ワイヤー取付部122a、左用ワイヤー取付部123a、右用ワイヤー取付部124aに至る。そして、各湾曲ワイヤー108u、108d、108l、108rの他端は、それぞれワイヤー取付部121a、122a、123a、124aに固定されている。
湾曲駆動部110は、プーリー111とモーター112とを備えて構成されている。プーリー111には各回転体109u、109d、109l、109rが予め定めた位置に遊嵌配置されている。なお、各回転体109u、109d、109l、109rの内周面とプーリー111の外周面とは予め定めた摩擦抵抗で摩擦係合可能に構成される。
本実施形態において、プーリー111の長手軸とモーター112の長手軸とは交差している。
具体的に、モーター112の長手軸は、把持部103aの長手軸と平行な位置関係になるように把持部103a内に配置されている。即ち、モーター112のモーター軸112aとプーリー111の回転軸であるプーリー軸111aとは直交した位置関係に設定されている。
そして、モーター軸112aには第1笠歯車113が配設されプーリー軸111aには第2笠歯車114が配設されている。この結果、モーター軸112aの回転は、第1笠歯車113及び第2笠歯車114を介してプーリー軸111aに伝達されて、プーリー111が軸回りに回転される。
符号119は、コイルパイプである。コイルパイプ119は、各湾曲ワイヤー108u、108d、108l、108rに対応して備えられている。そして、各コイルパイプ119内には対応する湾曲ワイヤー108u、108d、108l、108rが挿通されている。
図74〜図76を参照して切り欠き109cを有する回転体109及び回転体109に巻回される湾曲ワイヤー108の構成について説明する。
図74〜図76に示すように回転体109は、プーリー111が挿通して配置される貫通孔109hを有する。また、回転体109は、予め定めた位置に湾曲ワイヤー108が挿通されるワイヤー挿通孔109eを有する。
ワイヤー挿通孔109eは、牽引部材導出部であって、第1開口109e1及び第2開口109e2を備えるストレート孔である。第1開口109e1は、切り欠き109cを挟んで一方側の回転体外周面に形成されている。第2開口109e2は、切り欠き109cを挟んで他方側の回転体外周面に形成されている。この構成によれば、ワイヤー挿通孔109eに挿通された湾曲ワイヤー108は、切り欠き109cを通過する。したがって、切り欠き109cの端面には、ワイヤー挿通孔109eによる第3開口109f、第4開口109kが形成されている。
また、第1開口109e1側の回転体外周面には、周方向に沿って溝109gが形成されている。溝109gは、後述する湾曲ワイヤー108を構成するワイヤー逃がし部材108cを配置するためのものであり、該部材108cが自在に摺動するように構成されている。そして、上述した第1開口109e1、第2開口109e2及び溝109gは、回転体109の外周面上において、同一周上に配置されるようにその形成位置が設定されている。
本実施形態において、湾曲ワイヤー108は、第1ワイヤー108aと、第2ワイヤー108bと、ワイヤー逃がし部材108cとを備えて構成されている。ワイヤー逃がし部材108cの一端側には、第1ワイヤー108aの他端が半田、或いは溶接等の接合、または接着によって一体に固定されている。一方、ワイヤー逃がし部材108cの他端側には、第2ワイヤー108bの一端が半田、或いは溶接等の接合、または接着によって一体に固定されている。
ワイヤー逃がし部材108cは、予め定めた弾発性を有する例えば金属性部材である。ワイヤー逃がし部材108cには長孔108hが設けられている。長孔108hの幅寸法は、第2ワイヤー108bの径寸法より予め定めたクリアランス分大きく設定してある。長孔108hの長さ寸法は、回転体109の回転移動量を考慮して設定してある。
なお、図76に示されている符号109aは、ワイヤー巻取開始位置であり、切り欠き109cと第1開口109e1との間に位置する。符号109bは、ワイヤー巻取終了位置であり、本実施形態において第1開口109e1である。
湾曲ワイヤー108u、108d、108l、108rは、上述した第1ワイヤー108a、第2ワイヤー108b及びワイヤー逃がし部材108cを備えて構成されている。操作部103内に導出された湾曲ワイヤー108u、108d、108l、108rは、その後、操作部103の基端側に向かって走行する。そして、各湾曲ワイヤー108u、108d、108l、108rは、プーリー111に配置された回転体109u、109d、109l、109rの巻取開始位置109aから巻き付けられ、第2開口109e2からワイヤー挿通孔109e内に挿通され、巻取終了位置を構成する第1開口109e1から導出され、その後、ワイヤー逃がし部材108cの長孔108hを通過して外部に導出される。このことによって、湾曲ワイヤー108u、108d、108l、108rが、回転体109u、109d、109l、109rの外周面上に1周して巻回される。
この導出状態において、各湾曲ワイヤー108u、108d、108l、108rは、図73、図77に示すようにワイヤー108a、108b同士が互いに干渉することなく、且つ、回転体外周面の幅方向(スラスト方向)に位置ずれすることなく操作部103内を直線状に走行している。
長孔108hを通過した各湾曲ワイヤー108u、108d、108l、108rは、複数のガイドローラー115によって走行経路を変更されて吊り枠120のワイヤー取付部121a、122a、123a、124aに導かれる。そして、各第2ワイヤー108bの他端がワイヤー取付部121a、122a、123a、124aに固定される。
このとき、湾曲ワイヤー108のワイヤー逃がし部材108cの中途部が巻取開始位置109aに配置される。また、ワイヤー逃がし部材108cの中途部から基端側は、溝109g内に摺動自在に収容される。この収容状態において、ワイヤー逃がし部材108cの他端は、第1開口109e1近傍に配置されている。
上述のように構成した内視鏡101の作用を説明する。
操作者は、内視鏡101の挿入部102を例えば体内に挿入するにあたって、モーター112を駆動させてプーリー111を回転させた状態にする。このとき、操作子105の軸部105aが直立状態であるとき、プーリー111に配置されている回転体109u、109d、109l、109rにそれぞれ巻回されている湾曲ワイヤー108u、108d、108l、108rが全て所定の弛緩状態になる。この結果、全ての回転体109u、109d、109l、109rがプーリー111に対して滑り状態なって、湾曲部102bは直線状態に保持される。
操作者が、湾曲部102bを例えば上方向に湾曲動作させるため、図71の矢印Yu方向に操作子105を傾倒操作すると、吊り枠120が傾く。すると、上用ワイヤー取付部121aに固定されている上湾曲ワイヤー108uは、弛んだ状態から徐々に引っ張られた状態に変化する。一方、その他の湾曲ワイヤー108d、108l、108rはさらに弛んだ状態に変化する。
この結果、プーリー111に配置された回転体109u、109d、109l、109rに弛緩状態で巻回されていた湾曲ワイヤー108u、108d、108l、108rのうち、上用湾曲ワイヤー108uだけが牽引される。つまり、第2ワイヤー108bが牽引されて、上回転体109uの切り欠き109cが弾性力に抗して狭められて縮径されていく。
本実施形態において上回転体109uに巻回されている上湾曲ワイヤー108uは、上回転体109uの外周面上においてスラスト方向に位置ずれすることなく同一周上に配置されている。したがって、上回転体109uは、スラスト方向に変形することなく縮径されていく。
この結果、上回転体109uの摩擦係合面である内周面がプーリー111の外周面に均一に密着した摩擦係合状態になり、上回転体109uとプーリー111との密着面全体に摩擦抵抗が発生する。すると、上回転体109uがプーリー111と同じ方向に、プーリー111に対して滑りながら回転されていく。
この結果、上回転体109uの溝109g内に収容されている上用湾曲ワイヤー108uのワイヤー逃がし部材108c及び挿入部102側に配置されている上用湾曲ワイヤー108uの第1ワイヤー108aが移動されて湾曲部102bが上方向に湾曲する動作を開始する。
ここで、操作者が、引き続き、上回転体109uをプーリー111に密着させるように操作子105を同方向に傾倒操作し続けることによって、密着状態の上回転体109uとプーリー111との摩擦力がさらに増加する。このため、上湾曲ワイヤー108uの第1ワイヤー108aは、上回転体109uの回転に伴ってさらに牽引されて、湾曲部102bがさらに上方向に湾曲する。
このように、湾曲ワイヤー108を第1ワイヤー108aと、第2ワイヤー108bと、長孔108hを有するワイヤー逃がし部材108cとで構成し、回転体109に湾曲ワイヤー108の第2ワイヤー108bが挿通されるワイヤー挿通孔109eを設けると共に、ワイヤー逃がし部材108cが摺動自在に収容される溝109gを設ける。そして、第1開口109e1、第2開口109e2及び溝109gを同一周上に設定する。この結果、湾曲ワイヤー108をスラスト方向に位置ずれさせることなく回転体109の外周面上に容易に同一周上に一巻き分、配置することができる。
[第17の実施形態の第1変形例]
なお、上述した第17の実施形態においては、湾曲ワイヤー108を第1ワイヤー108aと、第2ワイヤー108bと、長孔108hを有するワイヤー逃がし部材108cとで構成している。しかし、図78及び図79に示すようにワイヤー逃がし部材108cを設けることなく、第1ワイヤー108aの他端を巻取開始位置109aに固定する一方、第2ワイヤー108bの一端を第1開口109e1を挟んで巻取開始位置109aとは反対側の第1開口109e1近傍に固定するようにしてもよい。
この構成において、溝109gは、不要であり、本実施形態においては、第1開口109e1、第2開口109e2、第1ワイヤー108aの固定位置及び第2ワイヤー108bの固定位置が回転体109の外周面上において、同一周上に配置されるようにその位置が設定されている。その他の構成は上述した第17の実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。この構成によれば、上述した第17の実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
[第17の実施形態の第2変形例]
また、上述した第17の実施形態においては、回転体109をリング形状としている。しかし、回転体109は、リング形状に限定されるものではなく図80に示すように構成した回転体130であってもよい。
回転体130は、環状部131と、回転量調整凸部132とを備え、環状部131に切り欠き133を備え、回転量調整凸部132にストレートのワイヤー挿通孔134を備える構成であってもよい。
この構成においては、ワイヤー挿通孔134の第1開口134a及び第2開口134bを回転体130の外周面上において、同一周上に配置されるようにその形成位置が設定される。
この構成によれば、上述した第17の実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
[第17の実施形態の第3変形例]
なお、図80においては、湾曲ワイヤー108を第1ワイヤー108aと、第2ワイヤー108bと、長孔108hを有するワイヤー逃がし部材108cとしている。しかし、湾曲ワイヤー108は、第1ワイヤー108aの他端を巻取開始位置に固定し、第2ワイヤー108bの一端を、第1開口134aを挟んで巻取開始位置とは反対側の第1開口134a近傍に固定する湾曲ワイヤー108であってもよい。
[第17の実施形態の第4変形例]
また、回転体130においては、上述したワイヤー挿通孔134を形成する代わりに、図81、図82に示すようにワイヤー挿通孔136を備える切欠溝137を回転量調整凸部132の例えば一方の側面132s側から形成するようにしてもよい。符号135は、巻取開始溝135であり、湾曲ワイヤー108の巻取開始位置を規定する。
この構成においては、ワイヤー挿通孔136は、中途部において折曲部136cを有する屈曲孔である。このため、ワイヤー挿通孔136の第1開口136aは、後述する回転体外周面上の同一周に対して位置ずれしてワイヤー同士の干渉を防止する位置に設けられている。そして、ワイヤー挿通孔136の第2開口136bと巻取開始溝135とは回転体130の外周面上において、同一周上に配置されるようにその形成位置が設定されている。
この構成によれば、1本の湾曲ワイヤー108の中途部を回転体130の外周面上においてスラスト方向に位置ずれさせることなく1周分巻回配置して上述した第17の実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
加えて、第1ワイヤー108a、第2ワイヤー108b及びワイヤー逃がし部材108cで湾曲ワイヤー108を構成する作業を不要にすることができるとともに、湾曲ワイヤー108を構成する第1ワイヤー108aの他端を巻取開始位置に固定すること及び湾曲ワイヤー108の第2ワイヤー108bの一端を巻取終了位置109b近傍に固定する作業を不要にすることができる。
[第17の実施形態の第5変形例]
また、図83に示すように湾曲ワイヤー108の中途部を回転体109に一周未満巻回させる構成においては、吊り枠120と回転体109との間に長孔108hを有するワイヤー逃がし部材108cを配置した湾曲ワイヤー108を使用する。本実施形態において、湾曲部102bが直線状態において、言い換えれば、操作子105か直立状態において、ワイヤー逃がし部材108cの長孔108hの一端部は長孔108h内を通過する第1ワイヤー108a近傍に配置されている。
この構成によれば、上述した第17の実施形態と同様に湾曲ワイヤー108を構成する第1ワイヤー108aの中途部を回転体109の外周面上において略スラスト方向に位置ずれさせることなく巻回配置することができる。
なお、本実施形態の内視鏡は、
(1) 挿入部に設けられた湾曲部に一端が固定された牽引部材と、
前記湾曲部を湾曲動作させる駆動力を出力する湾曲駆動部と、
前記牽引部材が外周面に巻回されて配置される、前記湾曲駆動部に摩擦係合可能な摩擦係合内周面を備える、切り欠きを有して縮径可能な駆動力伝達部と、
前記駆動力伝達部に巻回された牽引部材を牽引して、該駆動力伝達部を縮径させて前記湾曲部を湾曲動作させる操作指示を行うための湾曲操作装置と、
を備え、
前記駆動力伝達部は、前記湾曲部から延出されて該駆動力伝達部の外周面の巻取開始位置に配置された後、該外周面に巻回され、前記切り欠きを越えて巻取終了位置から外部に向けて延出される牽引部材を当該外周面の同一周上に配置させる牽引部材導出部を備えてなる。
また、前記(1)の内視鏡において、
(2) 前記牽引部材導出部は、前記巻取終了位置を構成する第1開口と、前記切り欠きを挟んで対向する第2開口とを連通する孔である。
そして、前記(1)の内視鏡において、
(3) 前記牽引部材導出部は、前記巻取終了位置に形成される第1開口と、前記切り欠きを挟んで対向する第2開口とを連通する孔を有する切り欠き溝である。
さらに、前記(3)の内視鏡において、
(4) 前記切り欠き溝は、中途部に切曲部を有して、前記第1開口と前記第2開口が位置ずれした屈曲孔である。
本実施形態によれば、操作レバーの操作によって環状部材を歪ませること無く縮径させて、環状部材の内面をプーリーの外周面に均一に密着させて十分な抗力を得て牽引部材を牽引して湾曲部の湾曲操作を行える内視鏡を実現できる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。本発明は、添付のクレームによって限定される以外には特定の実施態様によって制約されない。
本出願は、
2012年2月8日に日本国に出願された特願2012−025357号と、
2012年1月16日に日本国に出願された特願2012−006302号と、
を優先権主張の基礎として出願するものである。
上記各号の基礎出願により開示された内容は、本願の明細書と請求の範囲と図面に引用されているものである。