JP6111747B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法に関する。詳しくは、白色系顔料を含有した水性インクを射出して画像記録を行うインクジェット記録方法に関する。
サイン用途などの表面が樹脂製の記録媒体やコート紙は、吸水性に乏しく、また記録媒体の表面エネルギーが低いため、水性のインクジェットインクで印字してもインクの吸収が起こらず、インクがはじいて画像が乱れ、記録媒体へのインクの定着性も低いため、画像耐久性に乏しいものである。そのため、インクに樹脂や界面活性剤等の添加剤を多く入れて基材への濡れや定着性を向上させる検討がされている(例えば特許文献1〜3参照)。
特開2000-103995号公報 特開昭63-254176号公報 特開2003-253170号公報 特開2012-224004号公報 特開2010-69818号公報
ところが、白色インクにおいては、特に色材成分が大きいほど隠蔽性が高まるが一方で、保存中に色材が凝集しやすくなる。これにより射出曲がりや不吐出等の射出不良が生じたり、記録媒体への密着性が劣化したりする問題があった。
一方、記録ヘッドの記録動作待機時に熱の発生を回避することで、乾燥増粘性の高いインクの場合でも優れた射出安定性を得ることができる液滴射出装置が提案されている(特許文献4)。また少ないパルス数で効率的にメニスカスを揺らす液滴射出装置が提案されている(特許文献5)。しかしながら、特許文献4,5のいずれの液滴射出装置によっても、上述の白色インク特有の凝集の問題を改善するには至っていなかった。
以上より、白色系インクでありながら、隠蔽性と、吐出安定性と、記録媒体への密着性が良好なインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1. (イ)白色インクを含むインクセットと、複数の圧力室、圧力室内の容積を変化させる圧力発生手段、圧力室に連通するノズルを備え、圧力室内の圧力を変化させて圧力室内の液体をノズルから吐出させる記録ヘッドを有するインクジェット記録装置とを用意し、圧力室の容積を膨張または収縮させノズルからインク滴を吐出させる工程と、(ロ)圧力発生手段に対してノズルからインクを吐出しない程度にノズル内のメニスカスを微振動させる工程と、を有し、白色インクは、色材、バインダーとしての水溶性樹脂、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤を含有し、他色インクの前記メニスカスの微振動のパルス間隔は下記式(1)で表され、白色インクの前記メニスカスの微振動のパルス間隔は下記式(2)で表されるインクジェット記録方法。
式(1): 微振動のパルス間隔=AL×(n+0.5)
式(2): 微振動のパルス間隔=AL×[n+(−0.5〜+0.5)]
(式(1)および(2)において、
ALは、微振動のパルス幅であり、
nは2以上の整数であり、式(1)および(2)において同一である。)
2. 水溶性樹脂は、アンモニアもしくはアミン類で中和されている上記1に記載のインクジェット記録方法。
3. 水溶性樹脂の酸価が50mgKOH/g以上、130mgKOH/g以下である上記1に記載のインクジェット記録方法。
4. 水溶性有機溶媒がグリコールエーテル類または炭素数が4以上の1,2ーアルカンジオール類からなる群から選択される水溶性有機溶剤を含む上記1に記載のインクジェット記録方法。
5. 界面活性剤がシリコン系またはフッ素系の界面活性剤である上記1に記載のインクジェット記録方法。
6. インクセットは、他色インクとして黒色インクおよび有彩色インクの少なくとも一方を含む上記1に記載のインクジェット記録方法。
7. 記録媒体の記録面と記録ヘッドのノズル面との隙間に風を送る工程をさらに有する上記1に記載のインクジェット記録方法。
8. 記録ヘッドの吐出口を洗浄する工程をさらに有する上記1に記載のインクジェット記録方法。
本発明によれば、白色系インクでありながら、隠蔽性と、吐出安定性と、記録媒体への密着性が良好なインクジェット記録方法が提供される。
白色インクを充填させた記録ヘッドの微振動のパルス間隔の一例を示す図である。 白色以外の他色インクを充填させた記録ヘッドの微振動のパルス間隔の一例を示す図である。 液滴射出装置の一例であるインクジェット記録装置の概略構成図である。 図4(a)はせん断モード方式の液体吐出ヘッドの概観斜視図である。図4(b)は図4(a)の断面図である。 図5(a)〜図5(b)はせん断モード方式の液体吐出ヘッドの液体吐出時の作動を示す図である。 駆動信号の一例を示す図である。 図7(a)〜図7(b)は3サイクル吐出動作について示す図である。 圧力室に印加される駆動パルスのタイミングチャート図である。 別態様のインクジェット記録装置の概略構成を示す側面図である。 図9のインクジェット記録装置が備えるインクジェットヘッド近傍を正面から見た図である。 インクを充填させた記録ヘッドの吐出のパルス間隔の一例を示す図である。
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。図中同一の機能又は類似の機能を有するものについては、同一又は類似の符号を付して説明を省略する。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
本発明者は、上述の課題を解決するべく鋭意検討した結果、インクに水溶性樹脂を添加することで、記録媒体への密着性が改善するだけでなく、インクの保存中に色材粒子同士が接近しづらくなることで凝集を防ぐと共に、インクの粘度の向上により沈殿が生じすらくなることを知見した。さらに印字する際にインクの非吐出時に記録ヘッドのノズル内のメニスカスに微振動を与えることで、ノズル近傍のインクを常に均一状態に保つことができることを知見した。これにより白色インクの射出特性が良好に保たれるため、白色インク印字部の色ムラが低減され、画像の光沢も良好になることとなり、本発明を完成した。
[インクジェット記録方法]
図1は、白色インクを充填させた記録ヘッドの微振動のパルス間隔の一例を示す図である。図2は、白色以外の他色のインク(以下「他色インク」ともいう)を充填させた記録ヘッドの微振動のパルス間隔の一例を示す図である。図11はインクを充填させた記録ヘッドの吐出のパルス間隔の一例を示す図である。
図1中の「AL(Acoustic Length)」とは、圧力室の音響的共振周期の1/2である。「パルス幅」とは、電圧の立ち上がり始めから10%と立ち下がり始めから10%との間の時間と定義する。このALは、電気・機械変換手段である隔壁に矩形波の駆動パルスを印加して吐出する液体の速度を測定し、矩形波の電圧値を一定にして矩形波のパルス幅を変化させたときに、液体の飛翔速度が最大になるパルス幅として求められる。「矩形波」とは、電圧の10%と90%との間の立ち上がり時間、立ち下がり時間のいずれもがALの1/2以内、好ましくは1/4以内であるような波形である。「微振動のパルス間隔」とは、第1の微振動シグナルの電圧の立ち下がり始めから10%と、第2の微振動シグナルの電圧の立ち上がり始めから10%との間の時間と定義する。「吐出のパルス間隔」とは、第1の吐出シグナルの電圧の立ち下がり始めから10%と、第2の吐出シグナルの電圧の立ち上がり始めから10%との間の時間と定義する。
上述のように微振動のパルス間隔は、吐出のパルス間隔と同じように規定できる。基本的には吐出されていないときに微振動のパルスを印加する。
実施形態に係るインクジェット記録方法について、図1を参照して工程毎に説明する。
(イ)まず白色インクを用意する。白色インクとしては、色材、バインダーとしての水溶性樹脂、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤を含有するものが好ましい。
(ロ)複数の圧力室、圧力室内の容積を変化させる圧力発生手段、圧力室に連通するノズルを備え、圧力室内の圧力を変化させて圧力室内の液体をノズルから吐出させる記録ヘッドを有するインクジェット記録装置を用意する。インクジェット記録装置としては、例えば吐出シグナルを与えることにより圧力室内の圧力を変化させて、圧力室内の液体をノズルから吐出させることができるものを用いることができる。具体的には後述の図3に示すような装置を用いることができる。
(ハ)白色インクを後述の図3に示すようなインクジェット記録装置1に装着する。そして1つの記録ヘッドの複数の圧力室を白色インクで充填する。
(ニ)複数の圧力室から吐出に使用する第1の圧力室を1つ選択し、第1の吐出シグナルを与えて、インクをノズルから吐出させて記録媒体上に着弾させる。第1の吐出シグナルとして、駆動信号生成手段100を作動させて、図11のA−cycleに示されるように、駆動電圧(波高値)Von、パルス幅1ALで正電圧の膨張パルスを与える。
(ホ)複数の圧力室から吐出に使用する第2の圧力室を1つ選択し、第2の吐出シグナルを与えて、インクをノズルから吐出させて記録媒体上に着弾させる。第2の吐出シグナルとして、駆動信号生成手段100を作動させて、図11のB−cycleに示されるように、駆動電圧(波高値)Von、パルス幅1ALで正電圧の膨張パルスを与える。
(ト)選択されなかった複数の圧力室に対して、ノズルからインクを吐出させない程度にノズル内のメニスカスを微振動させる。例えば、図1に示すように、インクの吐出を行わない場合には、白色インクの微振動のパルス間隔は、図2の他色インクの微振動のパルス間隔と同一かそれよりも短くすることが好ましい。メニスカスに微振動を与え圧力室内のインクを撹拌することで、溶媒の蒸発が防止されるため、白色インクの状態を均一に保つことができるからである。具体的な微振動のパルス間隔は、他色インクの微振動のパルス間隔を、微振動のパルス幅(AL)×(n+0.5)と定義したときに、白色インクの微振動のパルス間隔は、微振動のパルス幅(AL)×[n+(−0.5〜+0.5)]が好ましい。上述の各式におけるnは2以上の整数を表す。nは2以上の整数であれば特に制限されないが、2〜7の整数を用いることができる。
例えば、図1の白色インクの微振動のパルス間隔は、次式より1.5(AL)である。
1(AL)×[2−0.5]=1.5
図2の他色インクの微振動のパルス間隔は、次式より2.5(AL)である。
1(AL)×[2+0.5]=2.5
なお、インクセットが白色インクのみからなる場合においては、他色インクがあると仮定して、白色インクのパルス間隔を調整することが好ましい。
「微振動」とは、吐出ヘッドのインクのメニスカスを、液滴が吐出しない程度に揺らすことである。一般に用いられる揺らしのための駆動波形を用いて良い。好ましくは揺らしの振幅がノズル径の半径以下である。微振動の付与手段は格別限定されないが、インク吐出手段であるピエゾ素子を好ましく兼用することができる。
ここでは、第1の圧力室から第3の圧力室のパルス制御を例に示したが、第4の圧力室、第5の圧力室…その他の圧力室についても上述と同様にパルス制御を行う。
白色インクを例に挙げて説明したが、他色インク、例えば黒色インクや有彩色インクについても、以上と同様にして、図2に示すような条件でパルス制御を行う。
上述の工程に加えて、適宜、(チ)記録媒体の記録面と記録ヘッドのノズル面との隙間に風を送る工程や、(リ)記録ヘッドの吐出口を洗浄する工程を設けてもよい。
(リ)記録ヘッドの吐出口を洗浄する工程としては、ノズル面を綺麗に保つために、洗浄用のローラーや布などで吐出口を洗浄する工程(ワイピング)が挙げられる。ワイピングの前後に、(ヌ)インクの吐き捨て工程を設けてもよい。「インクの吐き捨て」とは、非画像領域において、インクジェットヘッド2からインク滴を吐出させることである。インクの吐き捨ては、一定の間隔で行うことが好ましく、例えばインクジェットヘッド2の1スキャン(1往復)ごとに、1ノズルあたり200〜1000発のインク滴を吐き捨てることが好ましい。
実施形態に係るインクジェット記録方法において用いられるインクとインクジェット記録装置については、後述のものを用いることが好ましい。
[インク]
実施形態において用いられる「インク」としては、顔料、バインダーとしての水溶性樹脂(以下「バインダー樹脂」ともいう)、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤を含有するものが挙げられる。また「白色インク」としては、色材、バインダーとしての水溶性樹脂、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤を含有するものが挙げられる。色材として酸化チタンおよび中空微粒子のいずれか一方を用いることができる。インクセットを構成する他色インクとしては、有彩色インクもしくはブラックインクを使用することが好ましい。以下に、各成分について説明する。
バインダー樹脂は、着弾したインク滴を記録媒体に定着(接着)させる機能を有する。また、バインダー樹脂は、インク皮膜の耐擦性や耐水性を高めるだけでなく、光沢や光学濃度を高める機能を有することも求められている。そのため、バインダー樹脂は、水系溶媒に分散させやすいこと、透明性をある程度有すること、他のインク成分との相溶性を有していることがより好ましい。
バインダー樹脂は、水系溶媒に対して溶解または分散することができるものであれば特に制限はなく、水溶性樹脂や水系分散型ポリマー微粒子などであることが好ましく、特に、水系溶媒に対する溶解性や安定性が高く、且つ低温乾燥でも硬化後のインク皮膜の記録媒体に対する定着性を向上できることから、水溶性樹脂を用いることがより好ましい。
水溶性樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アクリロニトリル−アクリル系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。なかでも、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂がより好ましい。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体であっても、(メタ)ア
クリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体であってもよい。樹脂構造の設計自由度が高く、重合反応で合成しやすく、低コストであること等から、(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体が特に好ましい。共重合体における、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有割合は、共重合体を構成する全モノマーに対して60〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルの例には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが含まれる。なかでも、(メタ)アクリル酸のC1−C12アルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルは、一種類であっても、二種類以上であってもよい。二種類以上の(メタ)アクリル酸エステルの好ましい組み合わせの例には、メタアクリル酸メチル、アクリル酸C1−C12アルキルエステル、およびメタアクリル酸C2−C12アルキルエステルの組み合わせが含まれる。
(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体における他の共重合モノマーの例には、酸性基を有するモノマーが含まれる。酸性基を有するモノマーの例には、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸などが含まれる。なかでも、(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体は、主モノマーとしてのメタアクリル酸メチル、アクリル酸C1−C12アルキルエステルおよびメタアクリル酸C2−C12アルキルエステルと、他の共重合体モノマーとしての酸性基を有するモノマーと、を重合反応させて得られる共重合体であることが好ましい。共重合体に含まれる主モノマー(メタアクリル酸メチル、アクリル酸C1−C12アルキルエステルおよびメタアクリル酸C2−C12アルキルエステル)由来の構成単位の合計含有割合は、共重合体を構成する全モノマーに対して80〜95質量%であることが好ましい。
アクリル系樹脂に含まれる酸性基の少なくとも一部は、水系溶媒に対する溶解性を高める観点などから、塩基で中和されていることが好ましい。中和する塩基の例には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物(例えば、NaOH、KOH等)、アミン類(例えば、アルカノールアミン、アルキルアミン等)、アンモニアなどが含まれる。なかでも、アミン類で中和された樹脂は、記録媒体にインクが着弾した後、アミンとアンモニアが水系溶媒と共に蒸発するため、樹脂の溶解性が低下する。そのような樹脂を含むインクの乾燥後の皮膜は、耐水性を有し、更に光沢性にも優れるため、好ましい。具体的なアミンの例としては、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、2−アミノー2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノールなどが挙げられる。
水溶性樹脂の酸価は、50〜300mgKOH/gであることが好ましく、50〜130mgKOH/gであることがより好ましい。水溶性樹脂の酸価が50mgKOH/g未満であると、樹脂の水に対する溶解性が十分ではないため、水系溶媒に対して十分には溶解できないことがある。一方、水溶性樹脂の酸価が300mgKOH/g超であると、インク皮膜が柔らかくなり、耐擦性が低下する。
水溶性樹脂の酸価とは、水溶性樹脂1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数を指し、JISK 0070の酸価測定、加水分解酸価測定(全酸価測定)によって測定することができる。
中和塩基の含有量は、水溶性樹脂の酸価および含有量にもよるが、水溶性樹脂に含まれる酸性基の化学当量数に対して0.5〜5倍の化学当量数となるようにすることが好ましい。中和塩基の含有量が、水溶性樹脂に含まれる酸性基の化学当量数に対して0.5倍未満の化学当量数であると、アクリル系樹脂の分散性を高める効果が十分には得られないことがある。一方、中和塩基の含有量が水溶性樹脂に含まれる酸性基の化学当量数に対して5倍超の化学当量数であると、インク皮膜の耐水性が低下したり、変色、臭気などを生じたりすることがある。
水溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2.0×10〜8.0×10であることが好ましく、2.5×10〜7.0×10であることがより好ましい。重量平均分子量が2.0×10未満であると、インクの定着能力が小さいため、得られる画像の耐擦性が十分でないことがある。一方、重量平均分子量(Mw)が8.0×10超であると、インクの粘度が高すぎて、ノズルからの射出安定性が低下することがある。
バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)は、30〜100℃であることが好ましい。Tgが30℃未満であると、得られる画像の耐擦性が十分でなかったり、ブロッキングが発生したりすることがある。一方、Tgが100℃超であると、乾燥後のインク皮膜が硬すぎて脆くなり、耐擦性が低下することがあると考えられる。
バインダー樹脂の含有量は、インク全体に対して1〜15質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。バインダー樹脂の含有量が1質量%未満であると、顔料などの色材を記録媒体上に定着させる機能を十分には得られないことがある。一方、バインダー樹脂の含有量が15質量%超であると、インクの粘度が高くなり、射出安定性が低下することがある。
実施形態に係る(水性)インクは、インク膜の耐擦性をさらに高めるために、水系分散型ポリマー微粒子をさらに含んでもよい。
水系分散型ポリマー微粒子は、前述と同様の水溶性樹脂で構成されうる。水系分散型ポリマー微粒子の平均粒子径は、ヘッドのノズル詰まりがなく、良好な光沢を有する画像が得られる観点などから、300nm以下であることが好ましく、130nm以下であることがより好ましい。また、ポリマー微粒子の平均粒子径は、製造安定性の観点から、30nm以上であることが好ましい。
水系分散型ポリマー微粒子の含有量は、記録媒体への定着性とインクの長期保存安定性が得られやすい観点などから、インク全体に対して0.7質量〜6質量%が好ましく、1〜3質量%であることがより好ましい。
本実施形態においては、水溶性有機溶剤としてグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類を含有する態様が好ましい。グリコールエーテル類や1,2−アルカンジオール類は、顔料分散体や水溶性共重合物との疎水性相互作用により、インク着弾後、乾燥過程でグリコールエーテル類等の濃度が増すに従って、より強く作用しあうことによりインクの増粘をもたらす。従って、水溶性共重合物とグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類とを併用することによって、記録媒体上での弾きや滲み抑制効果が顕著に発揮されると考えられる。
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。また、1,2−アルカンジオール類としては、炭素数が4以上の1,2ーアルカンジオール類、例えば1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール等が挙げられる。
グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類は、インク総質量に対して1〜20質量%含有することが、本発明の効果を顕著に奏するという観点において特に好ましい。
白色インクの色材は、顔料(中空微粒子含む)を用いることができる。
他色インクの色材は、染料、顔料またはこれらの混合物であってもよい。染料の例には、酸性染料、直接染料、塩基性染料等の水溶性染料;着色ポリマーまたは着色ワックスを含む分散染料;油溶性染料などが含まれる。なかでも、得られる画像の耐久性や耐擦性の観点などから、顔料が好ましい。
顔料は、公知の有機顔料または無機顔料であってよい。有機顔料の例には、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、およびキノフタロニ顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ、および酸性染料型レーキ等の染料レーキ;ニトロ顔料;ニトロソ顔料;アニリンブラック;および昼光蛍光顔料等が含まれる。
以下に顔料の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物に限定されるものではない。
マゼンタまたはレッドおよびバイオレット用の有機顔料の好ましい例には、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド148、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド258、C.I.ピグメントレッド282、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23等が含まれる。
オレンジまたはイエローおよびブラウン用の有機顔料の好ましい例には、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー43、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー194、C.I.ピグメントイエロー199、C.I.ピグメントイエロー213、C.I.ピグメントブラウン22等が含まれる。
グリーンまたはシアン用の有機顔料の好ましい例には、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー29、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が含まれる。
ブラック用の有機顔料の例には、C.I.ピグメントブラック5、C.I.ピグメントブラック7等が含まれる。
白色用の色材の例としては、白色無機顔料、白色有機顔料、及び白色の中空樹脂粒子などの白色顔料がある。中空樹脂粒子や二酸化チタンが白色度や隠蔽性の点で好ましい。
白色無機顔料としては、例えば、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸や合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、及び酸化亜鉛等の金属化合物、並びにタルク及びクレイが挙げられる。
白色有機顔料の例には、C.I.ピグメントホワイト6、C.I.ピグメントホワイト18、C.I.ピグメントホワイト21が挙げられる。また、特開平11−129613号公報に示される有機化合物塩や特開平11−140365号公報、特開2001−234093号公報に示されるアルキレンビスメラミン誘導体を用いることもできる。白色有機顔料の市販品としては、ShigenoxOWP、ShigenoxOWPL、ShigenoxFWP、ShigenoxFWG、ShigenoxUL、ShigenoxU(以上、ハッコールケミカル社(Hakkol Chemical Co., Ltd.)製)が挙げられる。
白色の中空樹脂粒子は、例えば、米国特許第4,089,800号明細書に開示されている方法により得ることができる。この中空樹脂粒子は実質的に有機重合体で作られており、熱可塑性を示す。中空樹脂粒子の製造に使用される樹脂の種類としては、好ましくは、セルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン若しくは他のビニルモノマーの共重合体、ビニルアセテート、ビニルアルコール、塩化ビニルまたはビニルブチラールのホモ重合体あるいは共重合体のようなビニルポリマー、ジエンのホモ重合体及び共重合体等が挙げられる。中空樹脂粒子の市販品としては、ローム・アンド・ハース社から市販されているロペーグOP−62やJSR社から市販されているSXシリーズ等が挙げられる。
無機顔料の例には、カーボンブラック、および酸化チタン等が含まれる。
実施形態に用いられるインクは、顔料の分散性を高めるために、顔料分散剤をさらに含んでもよい。顔料分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩等が含まれる。
顔料は、安定に分散させるために、顔料分散体としてインクに添加されることが好ましい。顔料分散体は、水系溶媒中に安定に分散しうるものであればよく、顔料を分散樹脂で分散させた顔料分散体;顔料が水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料:表面修飾され、分散樹脂を含まなくても分散可能な自己分散顔料などが挙げられる。
顔料を分散樹脂で分散させた顔料分散体に用いられる分散樹脂は、水溶性樹脂であることが好ましい。そのような水溶性樹脂の好ましい例には、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等が含まれる。また顔料の分散樹脂として、バインダー樹脂として用いられうる水溶性樹脂を用いて分散しても良い。
顔料を水不溶性樹脂で被覆したカプセル顔料における、水不溶性樹脂は、弱酸性ないし弱塩基性の範囲の水に対して不溶な樹脂である。具体的には、pH4〜10の水溶液に対する溶解度が2%以下である樹脂が好ましい。水不溶性樹脂の例には、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アクリロニトリル−アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコンアクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などが含まれる。カプセル顔料の平均粒子径は、インクの保存安定性、発色性などの観点から、80〜200nm程度であることが好ましい。
カプセル顔料(水不溶性樹脂で被覆された顔料微粒子)は、公知の方法で製造することができる。例えば、水不溶性樹脂を有機溶剤(例えばメチルエチルケトンなど)に溶解し、さらに塩基成分を加えて、水不溶性樹脂に含まれる酸性基を部分的もしくは完全に中和する。得られた溶液に、顔料と、イオン交換水とを添加して、混合および分散させる。その後、得られた溶液から有機溶剤を除去して、必要に応じてイオン交換水をさらに加えて、カプセル顔料を調製する。または、顔料と、重合性界面活性剤とを分散させた溶液に、モノマーを添加し、重合反応させて顔料を樹脂で被覆する方法などもある。
前述の分散樹脂および水不溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3.0×10〜5.0×10であり、より好ましくは7.0×10〜2.0×10である。分散樹脂および水不溶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−30〜100℃程度であり、より好ましくは−10〜80℃程度である。
顔料と分散樹脂の質量比は、顔料/分散樹脂が100/150〜100/30であることが好ましい。画像の耐久性と、インクの射出安定性、保存安定性を高める観点などから、100/100〜100/40であることがより好ましい。
顔料の分散は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等により行うことができる。
顔料分散体の粗粒分を除去し、顔料微粒子の粒径分布を揃える観点などから、顔料分散体は、インクに添加される前に、遠心分離処理またはフィルターによるろ過処理などが施されていてもよい。
自己分散顔料は、市販品であってもよい。自己分散顔料の市販品の例には、CABO−JET200、CABO−JET300(キャボット社製)、ボンジェットCW1(オリエント化学工業(株)社製)等が含まれる。
(界面活性剤)
界面活性剤は、記録媒体上で水性インクを濡れ広がりやすくする機能を有する。本発明で用いることのできる界面活性剤に特に制限はなく、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩類、および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤;シリコン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤などを用いることができる。
上述した界面活性剤のなかでも、非吸水性の記録媒体(例えば塩化ビニルシートなど)や、低吸水性の記録媒体(例えば印刷本紙など)上でも、インクを濡れ広がりやすくできることから、シリコン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤が好ましい。本発明のインクにシリコン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤を含有させることで、着弾したインク滴のドット径を大きく広げることができ、高濃度でムラの無い高品位な画像を形成することができる。
これらの界面活性剤は、一種類で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの界面活性剤は、表面張力の低い水溶性有機溶剤と組み合わせて用いられることが好ましい。
シリコン系界面活性剤の好ましい例には、ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物が含まれ、その市販品の例には、信越化学工業社製のKF−351A、KF−642、ビッグケミー社製のBYK331、BYK333、BYK345、BYK347、BYK348などが含まれる。
フッ素系界面活性剤は、通常の界面活性剤において、疎水性基を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部が、フッ素原子で置換された化合物でありうる。なかでも、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品の例には、DIC社製 商品名:メガファック(Megafac)F、旭硝子社製 商品名:サーフロン(Surflon)、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社製 商品名:フルオラッド(Fluorad)FC、インペリアル・ケミカル・インダストリー社製 商品名:モンフロール(Monflor)、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社製 商品名:ゾニルス(Zonyls)、ファルベベルケ・ヘキスト社 商品名:リコベット(Licowet)VPF、ネオス社 商品名:フタージェント、ビックケミー社 商品名:BYK340(表面調整剤、フッ素変性ポリマー)等が含まれる。
界面活性剤の含有量は、表面エネルギーが通常の紙よりも低いコート紙や樹脂製の記録媒体上でも、インクが良好に濡れ広がるようにするために、インクの表面張力が、15mN/m以上35mN/m未満となるように調整されることが好ましい。具体的には、インク全体に対して0.01質量%以上2.0質量%未満であることが好ましい。
本実施形態における水系溶媒は、水と水溶性有機溶剤の混合物を示す。
本実施形態における水溶性有機溶剤は、インクの乾燥後期のように、インク皮膜に含まれる水溶性有機溶剤の割合が水に対して相対的に多くなる場合においても、水溶性樹脂や他のインク成分を均一に分散または溶解できるものを用いることが好ましい。本発明で用いることのできる水溶性有機溶剤の例には、(A)表面張力が低い水溶性有機溶剤や、(B)疎水性樹脂からなる記録媒体(塩化ビニルシートなど)を溶解、軟化または膨潤させる水溶性有機溶剤などが含まれる。
(A)表面張力が低い水溶性有機溶剤は、非吸水性の記録媒体(例えば塩化ビニルシートなど)や低吸水性の記録媒体(例えば印刷本紙など)上でも、インクを濡れ広がりやすくしうる。表面張力が低い水溶性有機溶剤は、具体的には25℃における表面張力が45mN/m以下である水溶性有機溶剤であることが好ましい。
そのような水溶性有機溶剤は、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類であることが好ましい。グリコールエーテル類の例には、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が含まれる。1,2−アルカンジオール類の例には、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、および1,2−ヘプタンジオール等が含まれる。
表面張力が低い水溶性有機溶剤の含有量は、インク全体に対して1〜30質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、記録媒体上での濡れ広がりが十分ではなく、30質量%超であると、乾燥性が悪く画像が滲むからである。
(B)疎水性樹脂からなる記録媒体(塩化ビニルシートなど)を溶解、軟化または膨潤させる水溶性有機溶剤は、インクの浸透性を付与して、インク皮膜の記録媒体との接着性や耐擦性をより高めうる。
そのような水溶性有機溶剤の例には、窒素原子または硫黄原子を含む環状溶剤、環状エステル溶剤、乳酸エステル、β−アルコキシプロピオンアミド、アルキレングリコールジエーテル、アルキレングリコールモノエーテルモノエステルおよびジメチルスルフォキシド等が含まれる。
窒素原子を含む環状溶剤の例には、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、メチルカプロラクタム、2−アザシクロオクタノン等の環状アミド化合物が含まれる。硫黄原子を含む環状溶剤の例には、5〜7員環の化合物が含まれ、好ましくはスルフォラン等である。
環状エステル溶剤の例には、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等が含まれる。乳酸エステルの例には、乳酸ブチル、乳酸エチル等が含まれる。
β−アルコキシプロピオンアミドの例には、下記式(1)で表される化合物が含まれる。
Figure 0006111747
式(1)のRは、炭素原子数が1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。炭素原子数が1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基は、好ましくはメチル基、エチル基またはn−ブチル基である。
式(1)のRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。RとRは、互いに同一であっても異なってもよい。炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基は、好ましくはメチル基またはエチル基である。
式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミドは、記録媒体への浸透性を有し、バインダ樹脂を溶解させやすく、かつ水溶媒との相溶性も高い。β−アルコキシプロピオンアミドの好ましい例には、特に制限されないが、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(BDMPA)、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(MDMPA)、3−エトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド(EDEPA)等が含まれる。
式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミドは、例えば、特開2009−184079号公報やWO2008−102615号明細書に記載の方法で製造することができる。また、式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミドの市販品としては、出光興産社製 商品名:エクアミド等がある。
アルキレングリコールジエーテルの例には、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が含まれる。アルキレングリコールモノエーテルモノエステルの例には、ジエチレングリコールモノエチルモノアセテート等が含まれる。
なかでも、非吸水性の記録媒体上でも濡れやすく、かつ浸透しやすいなどの観点から、β−アルコキシプロピオンアミドが好ましく、式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミドがより好ましい。β−アルコキシプロピオンアミドは、さらに水溶性樹脂をインク中に安定に溶解させうるので、記録媒体との良好な接着性が得られ、光沢性、耐擦性およびハジキ耐性を有する高品位の画像が得られやすい。また、組み合わせられる水溶性有機溶剤の種類や使用量の自由度も大きい。さらに、記録媒体への浸透性を有することから、インクも乾燥しやすくなる。それにより、インク滴を、記録媒体上の着弾位置に留まらせることができ、弾きやカラーブリードを抑制できる。
疎水性樹脂からなる記録媒体を溶解、軟化または膨潤させる水溶性有機溶剤の含有量は、インク全体に対して0.1質量%以上40質量%未満であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。0.1質量%未満であると、記録媒体を軟化または膨潤させる効果が十分には得られないことがあり、40質量%以上であると、プリンター部材を膨潤、劣化させることがある。
本実施形態に用いることができる水系溶媒は、必要に応じて、他の水溶性有機溶剤をさらに含んでもよい。他の水溶性有機溶剤の例には、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)等が含まれる。
水系溶媒の合計量は、インクの粘度が1mPa・s以上、50mPa・s未満の範囲となるように調整されることが好ましく、例えばインク全体に対して1〜85質量%程度であることが好ましい。
実施形態に用いられるインクにおける水性有機溶剤の含有量は、水が全て蒸発した後のインク皮膜においても、バインダー樹脂を溶解または分散できる程度に水性有機溶剤が含有されている程度であることが好ましい。
実施形態に用いられるインクは、必要に応じてその他の成分をさらに含んでもよい。その他の成分の例には、防腐剤、防黴剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、浸透剤、pH調整剤、乾燥防止剤(例えば尿素、チオ尿素、エチレン尿素など)等が含まれる。
防腐剤および防黴剤は、長期にわたってインクの保存安定性を保つ機能を有する。防腐剤および防黴剤は、特に制限されないが、例えば芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL)などであってよい。
実施形態に係るインクジェット記録方法においては、以上に説明したインクを用い、インク射出時において、記録媒体の画像記録面を特定範囲の温度に加熱すると共に、記録媒体の画像記録面に特定範囲の風速で送風を行い、更に、インク非射出時において、ノズル孔のインクのメニスカスに微振動を与える。これにより、画像品質に係るインクの液寄り耐性、光沢性、滲み防止性等に際立って優れると共に、長期に亘って優れた射出安定性や着弾位置精度を確保することが可能となる。
上述のインクは、塩化ビニルシート等の非吸収性記録媒体や低吸収性記録媒体に記録する際に、顕著に本発明の効果を奏する。また、他にも普通紙、コート紙、インクジェット専用紙等に印字するのに適している。
非吸収性記録媒体としては、高分子シート、ボード(軟質塩化ビニル、硬質塩化ビニル、アクリル板、ポリオレフィン系等)、ガラス、タイル、ゴム、合成紙等が挙げられる。
低吸収もしくは吸収性記録媒体としては、普通紙(コピー紙、印刷用普通紙)、コート紙、アート紙、インクジェット専用紙、インクジェット光沢紙、ダンボール、木材などが挙げられる。
特に、本発明に係る効果を顕著に発揮するのは、記録面側に少なくともポリ塩化ビニルを有する記録媒体である。例えば、ポリ塩化ビニルを有する記録媒体の具体例としては、SOL−371G、SOL−373Mm、SOL−4701(以上、ビッグテクノス社)、光沢塩化ビニル(ステムグラフィ社製)などである。
[インクジェット記録装置]
実施形態に係るインクジェット記録方法を実施するために用いられるインクジェット記録装置について説明する。
図3は、液滴射出装置の一例であるインクジェット記録装置1の概略構成図である。
インクジェット記録装置1は、搬送ローラ対32と、搬送ローラ対32から離間して搬送ローラ対32に対向して配置された搬送ローラ31と、搬送ローラ31を軸回転させる搬送モータ33と、を備える搬送機構3を有する。記録媒体Pは、その長手方向の一端が搬送ローラ対32の間に挟持された状態で、搬送ローラ対32と搬送ローラ31の間に渡すように配置されている。記録媒体Pは、搬送モータ33を回転駆動させることで搬送ローラ31により、図示Y方向に搬送される。
インクジェット記録装置1は、搬送ローラ31と搬送ローラ対32の間に記録媒体Pの幅方向に亘って掛け渡されたガイドレール4と、駆動手段(図示せず)によって、記録媒体Pの搬送方向(副走査方向)と略直交する図示X1−X2方向(主走査方向)に沿って往復移動可能に、ガイドレール4上に設けられたキャリッジ5と、記録媒体Pの記録面PSと対向するようにキャリッジ5上に搭載された記録ヘッド2とをさらに有する。
記録ヘッド2は、フレキシブルケーブル6を介して、後述の射出パルスや微振動パルスを生成するための回路が設けられる駆動信号発生部100(図3参照)に電気的に接続されている。
かかる記録ヘッド2は、キャリッジ5の主走査方向の移動に伴って記録媒体Pの記録面PSを図示X1−X2方向に走査移動し、この走査移動の過程でノズルからインク滴を射出することによって所望のインクジェット画像を記録する。
なお、このインクジェット記録装置1は、後述するように、記録ヘッド2が画像記録待機位置にある時、ノズル開口で増粘したインクを微振動させるようになっている。記録ヘッド2がこの画像記録待機位置において長期間作動停止している時は、図示しないが、記録ヘッド2のノズル面にキャップを被せることにより保護するようになっている。
また、記録動作待機時とは、記録ヘッドの全てのノズルが画像データ等の液滴射出用データに基づく液滴射出を休止している状態下にあることをいう。例えば本実施形態のように記録媒体Pの幅方向に亘って走査移動する過程で液滴を射出することにより画像記録を行うシャトル型の記録ヘッド2の場合、記録ヘッド2が記録媒体P上に位置せず、記録媒体Pの幅方向の外側であって、記録ヘッド2の走査移動が停止している時ある。具体的には記録ヘッド2がホームポジションまたはメンテナンスポジションに停止している時が例示できる。
図示しないが、本実施形態は、記録ヘッドが記録媒体の幅方向に亘って長尺に架け渡され、一定方向に搬送される記録媒体に向けて液滴を射出することにより1パスで記録動作を行うライン型の記録ヘッドを有する液滴射出装置にも適用できる。このようなライン型の記録ヘッドの場合、記録動作待機時とは、記録媒体の搬送が停止している時である。具体的には記録ヘッドや搬送機構が作動停止したメンテナンス状態にある時が例示できる。
図4(a)はせん断モード方式の記録ヘッド(液体吐出ヘッド)2の概観斜視図である。図4(b)は図4(a)の断面図である。図5はせん断モード方式の記録ヘッド2の液体吐出時の作動を示す図である。
図4(a)に示すように、記録ヘッド2は、内部に複数の隔壁27で仕切られた複数の圧力室28を備える基板26と、各圧力室28の一端に対応する部分に各ノズル23が形成されたノズル形成部材22と、基板26の上部に配置されたカバープレート24とを有する。
図4(b)に示すように、圧力室28の一端(以下、「ノズル端」ともいう)はノズル形成部材22に形成されたノズル23につながり、他端(以下、「マニホールド端」ともいう)は、流路77およびインク供給口25を経て、インク供給チューブ21によって図示されていない液体タンクに接続されている。また、圧力室28は、圧力室28の出口側(図4(b)の左側)の深溝部28aと、深溝部28aから圧力室28の入口側(図4(b)の右側)に行くに従って徐々に浅くなる浅溝部28bとを有している。ここでLは圧力室の長さ、Dは圧力室の深さ、Wは圧力室の幅である。各隔壁27は、互いに分極方向が異なる2枚の圧電材料27a、27bにより構成されている。なお、後述する各電極29A、29B、29Cと駆動信号生成手段100は、異方導電性フィルム78およびフレキシブルケーブル6を介して、電気的に接続されている。
図5(a)に示すように、せん断モード方式の記録ヘッド2は、カバープレート24と基板26の間に、電気・機械変換手段であるPZT等の圧電材料からなる複数の隔壁27A、27B、27C…で隔てられた、複数の圧力室28A,28B,28C…が並設されている。図5(a)〜図5(c)には多数の圧力室28の一部である3本(28A、28B、28C)が示されている。そして、各圧力室28内の隔壁27表面には両隔壁27の上方から基板26の底面に亘って繋がる電極29A、29B、29Cが密着形成されている。各電極29A、29B、29Cは、図4(b)の異方導電性フィルム78とフレキシブルケーブル6を介して、駆動信号生成手段100に接続されている。
記録ヘッド2の圧力室28の数(ノズル23の数)は、記録ヘッド2の液体吐出幅に応じて適宜、10個〜1000個程度に設定される。
本実施形態において示したように、せん断モードで変形する圧電材料により構成される場合には、後述する矩形波をより効果的に利用することができ、駆動電圧を低下させ、より効率的な駆動が可能となる。
駆動信号生成手段100は、複数の駆動パルスを含む一連の駆動信号を各画素周期毎に発生する駆動信号発生回路と、各圧力室毎に駆動信号発生回路から供給された駆動信号の中から各画素のデータや圧力室の選択パターンデータに応じて駆動パルスを選択して各圧力室に供給する駆動パルス選択回路と、からなる。駆動信号生成手段100は、各画素のデータや圧力室の選択パターンデータに応じて電気・機械変換手段としての隔壁27を駆動するための駆動パルスを供給する。本実施形態においては、駆動パルスは、吐出パルスとしての、圧力室の容積を膨張させた後に元の容積に戻す矩形波からなる膨張パルスと圧力室の容積を収縮させた後に元の容積に戻す矩形波からなる収縮パルスとを含んでいる。
各隔壁27は、図5(a)〜図5(c)に矢印で示すように互いに分極方向が異なる2枚の圧電材料27a、27bによって構成されているが、圧電材料は例えば符号27aの部分のみであってもよく、隔壁27の少なくとも一部にあればよい。
図6は、駆動信号の一例を示している。この例では、駆動信号は膨張パルスと収縮パルス各1種の駆動パルスで構成されたものを例に説明する。
図5(a)の電極29A、29B、29Cを駆動信号生成手段100を用いて制御する。
すると図6に示すような、駆動電圧(波高値)Von、パルス幅1ALで正電圧の膨張パルスと、膨張パルスに引き続いて印加され駆動電圧(波高値)Voff、パルス幅2ALで負電圧の収縮パルスと、からなる吐出パルスを印加する。
そして、以下に例示する動作によって液体がノズル23から吐出される。ここで、膨張パルス、収縮パルスはいずれも矩形波である。
図5(a)に示すように、電極29A、29B、29Cのいずれにも駆動パルスが印加されない時は、隔壁27A、27B、27Cのいずれも変形しない。ところが、電極29A及び29Cを接地すると共に電極29Bに膨張パルスを印加すると、隔壁27B、27Cを構成する圧電材料の分極方向に直角な方向の電界が生じ、各隔壁27B、27C共に、それぞれ隔壁27A、27Bの接合面にズリ変形が生じる。そして図5(b)に示すように、隔壁27B、27Cは互いに外側に向けて変形し、圧力室28Bの容積を拡大して圧力室28B内に負の圧力が生じて液体が流れ込む。
その後、電位を0に戻すと、隔壁27B、27Cは、図5(b)の膨張位置から図5(a)の中立位置に戻り、圧力室28B内の液体に高い圧力が掛かる。さらに図5(c)に示すように、隔壁27B、27Cを互いに逆方向に変形するように収縮パルスを印加して、圧力室28Bの容積を収縮させると、圧力室28B内に正の圧力が生じる。
これにより圧力室28Bを満たしている液体の一部によるノズル内のメニスカスがノズルから押し出される方向に変化する。この正の圧力が液体をノズルから吐出する程に大きくなると、液体はノズルから吐出する。その後、電位を0に戻し、隔壁27B、27Cを収縮位置から中立位置に戻すと、残留する圧力波の一部がキャンセルされる。他の各圧力室も吐出パルスの印加によって上記と同様に動作する。
図6に示す例では、膨張パルスの駆動電圧Vonと収縮パルスの駆動電圧Voffは、|Von|>|Voff|とすることが好ましい。|Von|>|Voff|の関係とすると、特に吐出する液体の粘度が高い場合において吐出後のノズル内のメニスカスの定常位置への復帰を促進する効果があり、高速安定出射が可能となり、好ましい態様である。
なお、この電圧Vonと電圧Voffの基準電圧は0とは限らない。この電圧Vonと電圧Voffは、それぞれ基準電圧からの差分の電圧である。
このように少なくとも一部が圧電材料で構成された隔壁27によって隔てられた複数の圧力室28を有する記録ヘッド2を駆動する場合、一つの圧力室の隔壁が吐出の動作をすると、隣の圧力室が影響を受ける。そのため、通常、複数の圧力室28のうち、互いに2本以上の圧力室28を挟んで離れている圧力室28をまとめて1つの組となすようにして、3つ以上の組に分割し、各組毎に液体吐出動作を時分割で順次行うように駆動制御する。例えば、全圧力室28を駆動してベタ画像を出力する場合には、圧力室28を2本おきに選んで3相に分けて吐出する、いわゆる3サイクル吐出法が行われる。
かかる3サイクル吐出動作について、吐出ノズルの間引き無しの比較例について図7を用いて更に説明する。図7に示す例では、液体吐出ヘッドは圧力室がA1、B1、C1、A2、B2、C2、A3、B3、C3、A4、B4、C4の12本の圧力室28で構成されているとして説明する。
また、このときのA、B、Cの各組の圧力室28に印加される駆動パルスのタイミングチャートを図8に示す。図8は縦軸には圧力室A1〜C4を、また、横軸には時間をとってある。図8のDはエンコーダーのパルス信号であり、図8では、2回分の3サイクル駆動のタイミングチャートが示されているが、以降同様に3サイクル駆動が繰り返される。
液体吐出時には、まず第1周期t1では、B組、C組の圧力室の電極を接地してから吐出パルスPaをA組(A1、A2、A3、A4)の各圧力室の電極に電圧を印加する。A組の圧力室に膨張パルスと収縮パルスからなる吐出パルスPaを印加すると、A組の圧力室から液体が吐出される。
図9は別態様のインクジェット記録装置1Aの概略構成を示す側面図である。図10は、図9のインクジェット記録装置1Aが備えるインクジェットヘッド近傍を正面から見た図である。インクジェット記録装置としては、上述のインクジェット記録装置1に限定されることはなく、例えば図9に示すようなインクジェット記録装置1Aを用いてもよい。
インクジェット記録装置1Aは、内部に加熱手段としてヒーター30が組み込まれたプラテン52と、ガイドレール(図示せず)に沿って、記録媒体Pの搬送方向(図9中X方向)に直交する方向(図10中Y方向)に往復移動が可能に構成されたキャリッジ5と、ノズル形成部材22を記録媒体Pの画像記録面に対向させた状態で、キャリッジ5に搭載されたインクジェットヘッド2と、キャリッジ5の側方から上方にかけてキャリッジ5を覆うカバー10と、記録媒体Pの画像記録面上に送風を行う送風手段55a〜55fと、を有する。
カバー10は、記録媒体Pの搬送方向下流側に配された前面カバー11、記録媒体Pの搬送方向上流側に配された背面カバー12、および天板13から構成されている。
プラテン52は、上面に載置された記録媒体Pを所定方向(図9中X方向)に搬送する。ヒーター21は、温度制御機能を備えており、記録媒体Pの画像記録面の裏面側から記録媒体Pを加熱することによって、記録媒体Pの画像記録面を所定の温度範囲に保持することが可能とされている。
送風手段55aは、前面カバー11に設けられたファンからなり、カバー10の外部から内部に向けて空気を吸引又は排気する際の気流によって記録媒体Pの画像記録面上に送風を行うように構成されている。
送風手段55bは、背面カバー12に設けられたファンからなり、カバー10の外部から内部に向けて空気を排気又は吸引する際の気流によって記録媒体Pの画像記録面上に送風を行うように構成されている。
図10に示す、送風手段55c及び55dは、それぞれキャリッジ5に設けられたファンからなり、空気を吸引又は排気する際の気流によって記録媒体Pの画像記録面上に送風を行うように構成されている。
また、送風手段55e及び55fは、それぞれキャリッジ5に設けられたブロワーからなり、空気を吸引又は排気する際の気流によって記録媒体Pの画像記録面上に送風を行うように構成されている。送風手段55e及び55fは、それぞれキャリッジ5の往路側及び復路側に設けられている。
送風手段55a〜55fは、それぞれ独立して送風方向が変更できるように構成されており、図示の例では、送風手段55a〜55dの送風方向が記録媒体Pの画像記録面に対して略平行方向に配向され、送風手段55e、55fの送風方向が記録媒体Pの画像記録面に対して略垂直方向に配向されている。
インクジェット記録装置1Aは、図9中X方向に搬送される記録媒体Pの画像記録面上に、図10中Y方向に往復移動するインクジェットヘッド2のノズルからインクを射出して、画像記録面上に画像を記録する。
本実施形態において、送風手段55a〜55fの送風方向は、格別限定されるものではないが、送風手段55a〜55dの送風方向は、記録媒体Pの画像記録面に対して平行方向、ないし平行方向に対して30°以内の傾斜方向であることが好ましい。一方、送風手段55e、55fの送風方向は、記録媒体Pの画像記録面に対して垂直方向、ないし垂直方向に対して30°以内の傾斜方向であることが好ましい。
以上の説明では、前面カバー11及び背面カバー12にそれぞれ1つずつ送風手段55a及び55bが設けられている場合について説明したが、これに限定されず、前面カバー11及び背面カバー12にそれぞれ2以上の送風手段を設けてもよい。
インクジェット記録装置1Aが備える送風手段の態様は、以上に説明したものに限定されず、ファン又はブロワー等、記録媒体の画像記録面上に送風を行うことができるものを少なくとも1以上備えていればよい。
インクの射出時における上記送風は、具体的には、図9、図10のインクジェット記録装置1Aを用いて、下記条件(A)又は(B)を満たすように行うことが好ましい。なお、以下の記載において、送風口における風速、及び、ノズル形成部材22と記録媒体Pの画像記録面との間の間隙Cにおける風速は、一般的な風速計にて測定できる。
条件(A):送風手段55a〜55fのうちの少なくとも1つ以上の送風手段の送風口における風速とキャリッジ5の移動速度の比(送風口風速/キャリッジ移動速度)が5以上10以下の範囲であること。
条件(B):ノズル形成部材22と記録媒体Pの画像記録面との間の間隙Cにおける風速とキャリッジ5の移動速度の比(間隙風速/キャリッジ移動速度)が1以上2以下の範囲であること。
上記条件(A)は、記録媒体Pの画像記録面上に送風を行うすべての送風手段55a〜55fのうちの少なくとも1つ以上の送風手段において満たされていればよく、好ましくは、前面カバー11に設けられ送風手段55a及び又は背面カバー12に設けられた送風手段55bにおいて満たされていることが好ましい。かかる「送風口における風速」をもたらす風の風向は、格別限定されない。つまり、送風手段の送風口が、空気を吸引する場合、又は空気を排出する場合の何れであってもよい。
上記条件(B)において、「間隙風速」は、記録媒体Pの画像記録面上に送風を行うすべての送風手段55a〜55fによる送風の影響を反映し得るものであり、中でも、キャリッジ5に設けられた送風手段55e及び55fによる送風の影響が強く反映され易い。かかる間隙風速をもたらす風の風向は、格別限定されない。
なお、上記条件(A)及び(B)において、「キャリッジ5の移動速度」は、往復移動するキャリッジ5の往路又は復路における移動速度であり、格別限定されるものではないが、0.1〜3(m/s)の範囲であることが好ましい。
記録媒体の画像記録面に特定範囲の風速で送風を行うと共に、記録媒体Pの画像記録面を特定範囲の温度に加熱することが好ましい。
インクの射出時における加熱は、具体的には、記録媒体Pの画像記録面の裏面側からの加熱により、少なくとも吐出されたインクを着弾させる際における画像記録面の温度を30℃以上70℃以下の範囲に保持するように行うことが好ましい。例えば図8の温度制御機能を備えるヒーター21によって、画像記録面の温度保持を行うことができる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、実施形態に係るインクジェット記録方法においては、微振動させる工程において、第1の圧力室、第2の圧力室、第3の圧力室における、それぞれの微振動のタイミングは同じであった。しかし、図11に示すように、第1の圧力室、第2の圧力室、第3の圧力室のそれぞれの微振動のタイミングは異なったものとしてもよい。但し、第1の圧力室、第2の圧力室、第3の圧力室のそれぞれの微振動のパルス間隔は同一であることが好ましい。
また実施形態に係るインクジェット記録方法においては白色インクを中心に説明した。しかし、実施形態の変形例として、(イ)白色インクを含むインクセットを用意する工程を、(イの2)白色インクと、黒色インクとを含むインクセットを用意する工程に置き換えたインクジェット記録方法が提供される。黒色インクを用いた場合にも、上述の実施形態に係るインクジェット記録方法と同様に、吐出安定性と記録媒体への良好な密着性が得られるからである。白色以外の記録媒体、例えば透明の記録媒体等に印字する際に白色インクを印字したあとに黒色インクを印字することで、視認性や発色性が高まるからである。また同様の理由により、上述の(イ)工程を、(イの3)白色インクと、有彩色インクとを含むインクセットを用意する工程に置き換えたインクジェット記録方法も提供される。
但し、白色以外の記録媒体において隠蔽性が得られる観点からは、白色インクを含むインクセットを用いたインクジェット記録方法として用いることが好ましい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
(実施例1)
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
(試料1〜10の調製)
(黒色顔料分散体の調製)
顔料分散剤としてefka4585(固形分50質量%、BASF社製)20質量部を、イオン交換水65質量部に加えた。この溶液に、カーボンブラック顔料を15質量部添加して、プレミックスした後、0.5mmジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーにより分散させた。それにより、顔料固形分が15質量%であるブラック顔料分散体を得た。
(水溶性樹脂の調製)
水溶性樹脂Aの合成例
滴下ロート、還流管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えたフラスコに2−プロパノールを186部入れて窒素バブリングしながら加熱還流した。得られた2−プロパノールに、メタクリル酸メチルを50質量部、アクリル酸2−エチルヘキシルを25質量部、およびメタクリル酸を25質量部添加して混合溶液を調製した。得られた混合溶液に、開始剤(AIBN)0.5質量部を溶解させたモノマー溶液を、滴下ロートで2時間かけて滴下した。滴下後、さらに5時間加熱還流を続けた後、放冷し、減圧下で2−プロパノールを留去した。それにより、(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体(アクリル系共重合樹脂)を得た。
得られたアクリル系共重合樹脂20質量部に、イオン交換水67.8質量部と、中和塩基として水酸化ナトリウム水溶液とを加えて、70℃で加熱攪拌して樹脂を溶解させた。それにより、樹脂固形分20質量%の水溶性アクリル樹脂の水溶液を得た。なお、水酸化ナトリウム水溶液の添加量は、アクリル系共重合樹脂の酸性基の化学当量数に対して1.05倍の化学当量数となるようにした。
水溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)はGPCで測定した。測定条件を以下に示す。
カラム:東ソー製TSKgel G40000+2500+2000HXL、40℃
溶離液:THF 1.0(ml/min)
注入量:100μl
検出:RI
較正曲線:標準ポリスチレン。
酸価(mgKOH/g)は、JISのK0070に規定された方法で測定した。
その結果、樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は37000、酸価は164であった。
樹脂C〜Eも同様の方法で、表1のモノマー組成と中和塩基で水溶性樹脂の水溶液を得た。樹脂Bのみ市販品であるJONDRYL 62J(固形分濃度34質量%、BASF社製)を使用した。
なお、表1中のモノマーの略語は以下の内容を示す。
MMA:メタクリル酸メチル
BA:アクリル酸n−ブチル
EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
BMA:メタクリル酸n−ブチル
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
St:スチレン
Figure 0006111747
(白色インク1の調製)
前記水溶性アクリル樹脂の水溶液を30質量部、イオン交換水5.2部1,2−ヘキサンジオールを5質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを10質量部、界面活性剤としてメガファックF−444(DIC株式会社製)を0.1質量部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)を1質量部加えて攪拌した。ついでここへ色材として市販品の中空樹脂粒子SX8782(D)(固形分濃度20.5質量%、JSR株式会社製)の48.7質量部を加えて攪拌した。得られた溶液を、3μmのフィルターでろ過して、白色インク1を得た。なお、水溶性樹脂はインク全体の質量に対して6質量%含有され、顔料はインク全体の質量に対して10質量%含有される。
(黒色インク1の調製)
白色インク1の色材を前記の黒色顔料分散体を20質量部に置き換え、残りをイオン交換水の量を調整して100質量部に仕上げたことを除いて、白色インクと同様にして黒色インクを調製した。
上記白色インク1と黒色インク1とからなるインクセットを試料1とした。
表2に示す成分に置き換えたことを除き、試料1と同様にして白色インクと黒色インクからなるインクセットを試料2〜10として調製した。
なお、表1,2中の樹脂Bとして、「JONDRYL 62J(固形分34質量%、BASF社製)」を用いた。
(試料1〜10の評価)
得られた試料1〜10について、白色インク、黒色インクの微振動のパルス間隔を表2に示す条件で以下の画像形成方法に従い吐出実験を行った。そして、後述の基準に基づいて、射出安定性、耐水性、密着性の各項目について評価を行った。得られた結果を表2にまとめて示す。
Figure 0006111747
<画像形成方法>
インクジェットヘッド2として、KM512MN(コニカミノルタIJ社製)駆動周波数13kHz、最小液滴量14plのものを用いた。そして、キャリッジに吐出ヘッドを4列搭載したオンデマンド型のインクジェットプリンターのインクジェットヘッドの1つに、得られた白色インク、もう1つに黒色インクを装填した。インクジェットヘッドの電極に、インク液滴の飛翔速度が6m/secとなるように調整した電圧を印加して駆動させた。また、メニスカスの微振動のパルス幅は1ALとし、微振動のパルス間隔は表2に示す通りに設定して後述の画像を印画した。
記録媒体Pとしての溶剤インクジェットプリンター用の軟質塩化ビニルシートIJ180−10(住友スリーエム株式会社製)上に、解像度720dpi×720dpi、10cm×10cmの印字率100%および50%の白色および黒色のベタ画像を形成し、記録画像とした。
尚、記録媒体Pの記録面とインクジェットヘッドのノズル面との隙間に図10の55d、eのような送風ファンを用いて、画像形成中にわたって常時送風を行った。
A.射出安定性の評価
画像記録時におけるインクの射出安定性を、以下の基準に基づいて評価した。
◎:画像欠陥(スジ故障)は全く認められず、均一な画像である
○:画像の書き出し部(書き出し部から2mm以下の範囲)に、ごくわずかにかすれの発生が認められる
△:インクの射出不良に起因する画像欠陥(スジ故障)の発生がわずかに認められる
×:インクの射出不良に起因する画像欠陥(スジ故障)の発生が認められる
上記評価基準において、◎〜△が実用上好ましいと判断した。
B.耐水性の評価
上記作製した各ベタ画像を、木綿(カナキン3号)に水を含ませて10回こすり画像濃度低下の程度を目視観察し、下記の基準に従って耐水性の評価を行った。
◎:色落ちの発生が全く認められない
○:若干の色落ちが見られるが、画像としては気にならない
△:色落ちがやや確認でき、画質の低下も僅かに認められる
×:色落ちが大きく、画質への影響が大きい
C.画像定着性(密着性)の評価
JIS K 5400の碁盤目試験により、上記作製した各ベタ画像に粘着テープ(スコッチ#250、住友スリーエム製)を張り合わせて2kgのローラーで1往復圧着した後、一気に剥がし、残留している碁盤目状の試料の数を調べ、密着性を評価した。
◎:付着残留率100%
○:付着残留率80%以上100%未満
△:付着残留率50%以上80%未満
×:付着残留率50%未満
試料1〜8と、試料9,10の結果より、インクセットに所定の微振動のパルス間隔で振動を与えることで、射出安定性が向上することが分かった。
試料1,2と、試料3〜8の結果より、水溶性樹脂がアンモニアもしくはアミン類で中和されていることで、耐水性が向上することが分かった。
試料1〜4と、試料5〜8の結果より、水溶性樹脂が所定の酸化を有することにより、耐水性が向上することが分かった。
(実施例2)
(試料11〜19の調製)
試料11を、以下の手順で調製した。
白色インクの白色顔料を市販品の二酸化チタンである「NanoTek(R) Slurry(固形分濃度15質量%、シーアイ化成株式会社製)」に変更し、水溶性樹脂Cを使用して、その他を表3に示す成分に置き換えて実施例1同様にして、白色インク11と黒色インク11を得た。
また試料12〜19について、表3に示す成分に置き換えたことを除き、試料11と同様にして調製した。
(試料11〜19の評価)
得られた試料11〜19について、実施例1と同様の吐出条件で、軟質塩化ビニルシート IJ180−10(住友スリーエム株式会社製)上に、解像度720dpi×720dpi、10cm×10cmの印字率100%および50%の白色および黒色のベタ画像を作成した。なお、印画中のメニスカスの微振動のあるなしは表3に示す通りで、パルス間隔はすべて6.5AL、パルス幅1ALの条件で吐出した。そして、後述の基準に基づいて、画質、光沢の各項目について評価を行った。得られた結果を表3にまとめて示す。
なお、表3中の略語は以下の内容を示す。
2)水溶性溶剤:
1,3−BDO:1,3−ブタンジオール
1,2−HDO:1,2−ヘキサンジオール
DPGPE:ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル
DPG:ジプロピレングリコール
DPGME:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
B100:エクアミドB100(β−アルコキシプロピオンアミド類、出光興産株式会社製)
3)界面活性剤
オルフィンE1010:アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学工業株式会社製)
F−444:フッ素系界面活性剤(メガファックF−444,DIC株式会社製)
KF−351:シリコン系界面活性剤(信越化学社製)
Figure 0006111747
A.画質の評価(液寄り耐性(白スジ))
記録画像の印字率50%画像部分をマイクロスコープで観察し、隣接するドットの形状を観察した。液寄り耐性の評価は、以下の基準に基づいて行った。
○:隣接するドットはそれぞれが完全に真円を形成して接している
△:ドットが接する部分が僅かに膨らんでいるが、それぞれが円形を保っている
×:ドットが合一して楕円のようになっている
B.光沢性の評価
作成した各ベタ画像について、印字部分の光沢感を目視観察し、下記の基準に従って評価を行った。
◎:印字部と未印字部との光沢差が全くなく、光沢性に優れる
○:印字部と未印字部との光沢差が若干みられるが、画像品質に問題はない
△:印字部と未印字部との光沢差が認識でき、画像品質は許容できない
×:印字部と未印字部との光沢差が大きく、著しい画質低下がみられる
試料11と、試料12の結果より、インクセットに所定の微振動のパルス間隔で振動を与えることで、画質や光沢性が向上することが分かった。
また試料11〜19の結果より、所定の水溶性溶剤や界面活性剤を用いることで、画質や光沢性が向上することが分かった。
1 インクジェット記録装置
2 記録ヘッド
21 インクチューブ
22 ノズル形成部材
23 ノズル
24 カバープレート
25 インク供給口
26 基板
27、27A、27B、27C 隔壁
27a、27b 圧電材料
28、28A、28B、28C 圧力室
29A、29B、29C 電極
3 搬送機構
31 搬送ローラ
32 搬送ローラ対
33 搬送モータ
4 ガイドレール
5 キャリッジ
6 フレキシケーブル
100 駆動信号発生部
P 記録媒体
PS 記録面
1A インクジェット記録装置
10 カバー
11 前面カバー
12 背面カバー
13 天板
52 プラテン
30 ヒーター
55a〜55f 送風手段

Claims (9)

  1. 白色インクを含むインクセットと、複数の圧力室、前記圧力室内の容積を変化させる圧力発生手段、前記圧力室に連通するノズルを備え、前記圧力室内の圧力を変化させて前記圧力室内の液体をノズルから吐出させる記録ヘッドを有するインクジェット記録装置とを用意し、前記圧力室の容積を膨張または収縮させ前記ノズルからインク滴を吐出させる工程と、
    前記圧力発生手段に対してノズルからインクを吐出しない程度にノズル内のメニスカスを微振動させる工程と、を有し、
    前記白色インクは、色材、バインダーとしての水溶性樹脂、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤を含有し、 他色インクの前記メニスカスの微振動のパルス間隔は下記式(1)で表され、白色インクの前記メニスカスの微振動のパルス間隔は下記式(2)で表されることを特徴とするインクジェット記録方法。
    式(1): 微振動のパルス間隔=AL×(n+0.5)
    式(2): 微振動のパルス間隔=AL×[n+(−0.5〜+0.5)]
    (式(1)および(2)において、
    ALは、微振動のパルス幅であり、
    nは2以上の整数であり、式(1)および(2)において同一である。)
  2. 前記水溶性樹脂は、アンモニアもしくはアミン類で中和されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記水溶性樹脂の酸価が50mgKOH/g以上、130mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記水溶性有機溶媒がグリコールエーテル類または炭素数が4以上の1,2ーアルカンジオール類からなる群から選択される水溶性有機溶剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記界面活性剤がシリコン系またはフッ素系の界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記インクセットは、他色インクとして黒色インクおよび有彩色インクの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記記録媒体の記録面と前記記録ヘッドのノズル面との隙間に風を送る工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記記録ヘッドの吐出口を洗浄する工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記白色インクの前記メニスカスの微振動のパルス間隔は、前記他色インクの前記メニスカスの微振動のパルス間隔よりも短い間隔であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
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