JP6111747B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
一方、記録ヘッドの記録動作待機時に熱の発生を回避することで、乾燥増粘性の高いインクの場合でも優れた射出安定性を得ることができる液滴射出装置が提案されている(特許文献4)。また少ないパルス数で効率的にメニスカスを揺らす液滴射出装置が提案されている(特許文献5)。しかしながら、特許文献4,5のいずれの液滴射出装置によっても、上述の白色インク特有の凝集の問題を改善するには至っていなかった。
式(1): 微振動のパルス間隔=AL×(n+0.5)
式(2): 微振動のパルス間隔=AL×[n+(−0.5〜+0.5)]
(式(1)および(2)において、
ALは、微振動のパルス幅であり、
nは2以上の整数であり、式(1)および(2)において同一である。)
2. 水溶性樹脂は、アンモニアもしくはアミン類で中和されている上記1に記載のインクジェット記録方法。
3. 水溶性樹脂の酸価が50mgKOH/g以上、130mgKOH/g以下である上記1に記載のインクジェット記録方法。
4. 水溶性有機溶媒がグリコールエーテル類または炭素数が4以上の1,2ーアルカンジオール類からなる群から選択される水溶性有機溶剤を含む上記1に記載のインクジェット記録方法。
5. 界面活性剤がシリコン系またはフッ素系の界面活性剤である上記1に記載のインクジェット記録方法。
6. インクセットは、他色インクとして黒色インクおよび有彩色インクの少なくとも一方を含む上記1に記載のインクジェット記録方法。
7. 記録媒体の記録面と記録ヘッドのノズル面との隙間に風を送る工程をさらに有する上記1に記載のインクジェット記録方法。
8. 記録ヘッドの吐出口を洗浄する工程をさらに有する上記1に記載のインクジェット記録方法。
図1は、白色インクを充填させた記録ヘッドの微振動のパルス間隔の一例を示す図である。図2は、白色以外の他色のインク(以下「他色インク」ともいう)を充填させた記録ヘッドの微振動のパルス間隔の一例を示す図である。図11はインクを充填させた記録ヘッドの吐出のパルス間隔の一例を示す図である。
図1中の「AL(Acoustic Length)」とは、圧力室の音響的共振周期の1/2である。「パルス幅」とは、電圧の立ち上がり始めから10%と立ち下がり始めから10%との間の時間と定義する。このALは、電気・機械変換手段である隔壁に矩形波の駆動パルスを印加して吐出する液体の速度を測定し、矩形波の電圧値を一定にして矩形波のパルス幅を変化させたときに、液体の飛翔速度が最大になるパルス幅として求められる。「矩形波」とは、電圧の10%と90%との間の立ち上がり時間、立ち下がり時間のいずれもがALの1/2以内、好ましくは1/4以内であるような波形である。「微振動のパルス間隔」とは、第1の微振動シグナルの電圧の立ち下がり始めから10%と、第2の微振動シグナルの電圧の立ち上がり始めから10%との間の時間と定義する。「吐出のパルス間隔」とは、第1の吐出シグナルの電圧の立ち下がり始めから10%と、第2の吐出シグナルの電圧の立ち上がり始めから10%との間の時間と定義する。
上述のように微振動のパルス間隔は、吐出のパルス間隔と同じように規定できる。基本的には吐出されていないときに微振動のパルスを印加する。
(イ)まず白色インクを用意する。白色インクとしては、色材、バインダーとしての水溶性樹脂、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤を含有するものが好ましい。
(ロ)複数の圧力室、圧力室内の容積を変化させる圧力発生手段、圧力室に連通するノズルを備え、圧力室内の圧力を変化させて圧力室内の液体をノズルから吐出させる記録ヘッドを有するインクジェット記録装置を用意する。インクジェット記録装置としては、例えば吐出シグナルを与えることにより圧力室内の圧力を変化させて、圧力室内の液体をノズルから吐出させることができるものを用いることができる。具体的には後述の図3に示すような装置を用いることができる。
(ハ)白色インクを後述の図3に示すようなインクジェット記録装置1に装着する。そして1つの記録ヘッドの複数の圧力室を白色インクで充填する。
(ホ)複数の圧力室から吐出に使用する第2の圧力室を1つ選択し、第2の吐出シグナルを与えて、インクをノズルから吐出させて記録媒体上に着弾させる。第2の吐出シグナルとして、駆動信号生成手段100を作動させて、図11のB−cycleに示されるように、駆動電圧(波高値)Von、パルス幅1ALで正電圧の膨張パルスを与える。
例えば、図1の白色インクの微振動のパルス間隔は、次式より1.5(AL)である。
1(AL)×[2−0.5]=1.5
図2の他色インクの微振動のパルス間隔は、次式より2.5(AL)である。
1(AL)×[2+0.5]=2.5
なお、インクセットが白色インクのみからなる場合においては、他色インクがあると仮定して、白色インクのパルス間隔を調整することが好ましい。
「微振動」とは、吐出ヘッドのインクのメニスカスを、液滴が吐出しない程度に揺らすことである。一般に用いられる揺らしのための駆動波形を用いて良い。好ましくは揺らしの振幅がノズル径の半径以下である。微振動の付与手段は格別限定されないが、インク吐出手段であるピエゾ素子を好ましく兼用することができる。
白色インクを例に挙げて説明したが、他色インク、例えば黒色インクや有彩色インクについても、以上と同様にして、図2に示すような条件でパルス制御を行う。
(リ)記録ヘッドの吐出口を洗浄する工程としては、ノズル面を綺麗に保つために、洗浄用のローラーや布などで吐出口を洗浄する工程(ワイピング)が挙げられる。ワイピングの前後に、(ヌ)インクの吐き捨て工程を設けてもよい。「インクの吐き捨て」とは、非画像領域において、インクジェットヘッド2からインク滴を吐出させることである。インクの吐き捨ては、一定の間隔で行うことが好ましく、例えばインクジェットヘッド2の1スキャン(1往復)ごとに、1ノズルあたり200〜1000発のインク滴を吐き捨てることが好ましい。
実施形態に係るインクジェット記録方法において用いられるインクとインクジェット記録装置については、後述のものを用いることが好ましい。
実施形態において用いられる「インク」としては、顔料、バインダーとしての水溶性樹脂(以下「バインダー樹脂」ともいう)、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤を含有するものが挙げられる。また「白色インク」としては、色材、バインダーとしての水溶性樹脂、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤を含有するものが挙げられる。色材として酸化チタンおよび中空微粒子のいずれか一方を用いることができる。インクセットを構成する他色インクとしては、有彩色インクもしくはブラックインクを使用することが好ましい。以下に、各成分について説明する。
バインダー樹脂は、着弾したインク滴を記録媒体に定着(接着)させる機能を有する。また、バインダー樹脂は、インク皮膜の耐擦性や耐水性を高めるだけでなく、光沢や光学濃度を高める機能を有することも求められている。そのため、バインダー樹脂は、水系溶媒に分散させやすいこと、透明性をある程度有すること、他のインク成分との相溶性を有していることがより好ましい。
クリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体であってもよい。樹脂構造の設計自由度が高く、重合反応で合成しやすく、低コストであること等から、(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体が特に好ましい。共重合体における、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有割合は、共重合体を構成する全モノマーに対して60〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましい。
他色インクの色材は、染料、顔料またはこれらの混合物であってもよい。染料の例には、酸性染料、直接染料、塩基性染料等の水溶性染料;着色ポリマーまたは着色ワックスを含む分散染料;油溶性染料などが含まれる。なかでも、得られる画像の耐久性や耐擦性の観点などから、顔料が好ましい。
白色用の色材の例としては、白色無機顔料、白色有機顔料、及び白色の中空樹脂粒子などの白色顔料がある。中空樹脂粒子や二酸化チタンが白色度や隠蔽性の点で好ましい。
白色無機顔料としては、例えば、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸や合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、及び酸化亜鉛等の金属化合物、並びにタルク及びクレイが挙げられる。
白色有機顔料の例には、C.I.ピグメントホワイト6、C.I.ピグメントホワイト18、C.I.ピグメントホワイト21が挙げられる。また、特開平11−129613号公報に示される有機化合物塩や特開平11−140365号公報、特開2001−234093号公報に示されるアルキレンビスメラミン誘導体を用いることもできる。白色有機顔料の市販品としては、ShigenoxOWP、ShigenoxOWPL、ShigenoxFWP、ShigenoxFWG、ShigenoxUL、ShigenoxU(以上、ハッコールケミカル社(Hakkol Chemical Co., Ltd.)製)が挙げられる。
白色の中空樹脂粒子は、例えば、米国特許第4,089,800号明細書に開示されている方法により得ることができる。この中空樹脂粒子は実質的に有機重合体で作られており、熱可塑性を示す。中空樹脂粒子の製造に使用される樹脂の種類としては、好ましくは、セルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン若しくは他のビニルモノマーの共重合体、ビニルアセテート、ビニルアルコール、塩化ビニルまたはビニルブチラールのホモ重合体あるいは共重合体のようなビニルポリマー、ジエンのホモ重合体及び共重合体等が挙げられる。中空樹脂粒子の市販品としては、ローム・アンド・ハース社から市販されているロペーグOP−62やJSR社から市販されているSXシリーズ等が挙げられる。
界面活性剤は、記録媒体上で水性インクを濡れ広がりやすくする機能を有する。本発明で用いることのできる界面活性剤に特に制限はなく、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩類、および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤;シリコン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤などを用いることができる。
実施形態に係るインクジェット記録方法を実施するために用いられるインクジェット記録装置について説明する。
図3は、液滴射出装置の一例であるインクジェット記録装置1の概略構成図である。
インクジェット記録装置1は、搬送ローラ対32と、搬送ローラ対32から離間して搬送ローラ対32に対向して配置された搬送ローラ31と、搬送ローラ31を軸回転させる搬送モータ33と、を備える搬送機構3を有する。記録媒体Pは、その長手方向の一端が搬送ローラ対32の間に挟持された状態で、搬送ローラ対32と搬送ローラ31の間に渡すように配置されている。記録媒体Pは、搬送モータ33を回転駆動させることで搬送ローラ31により、図示Y方向に搬送される。
記録ヘッド2は、フレキシブルケーブル6を介して、後述の射出パルスや微振動パルスを生成するための回路が設けられる駆動信号発生部100(図3参照)に電気的に接続されている。
図4(a)に示すように、記録ヘッド2は、内部に複数の隔壁27で仕切られた複数の圧力室28を備える基板26と、各圧力室28の一端に対応する部分に各ノズル23が形成されたノズル形成部材22と、基板26の上部に配置されたカバープレート24とを有する。
図4(b)に示すように、圧力室28の一端(以下、「ノズル端」ともいう)はノズル形成部材22に形成されたノズル23につながり、他端(以下、「マニホールド端」ともいう)は、流路77およびインク供給口25を経て、インク供給チューブ21によって図示されていない液体タンクに接続されている。また、圧力室28は、圧力室28の出口側(図4(b)の左側)の深溝部28aと、深溝部28aから圧力室28の入口側(図4(b)の右側)に行くに従って徐々に浅くなる浅溝部28bとを有している。ここでLは圧力室の長さ、Dは圧力室の深さ、Wは圧力室の幅である。各隔壁27は、互いに分極方向が異なる2枚の圧電材料27a、27bにより構成されている。なお、後述する各電極29A、29B、29Cと駆動信号生成手段100は、異方導電性フィルム78およびフレキシブルケーブル6を介して、電気的に接続されている。
すると図6に示すような、駆動電圧(波高値)Von、パルス幅1ALで正電圧の膨張パルスと、膨張パルスに引き続いて印加され駆動電圧(波高値)Voff、パルス幅2ALで負電圧の収縮パルスと、からなる吐出パルスを印加する。
そして、以下に例示する動作によって液体がノズル23から吐出される。ここで、膨張パルス、収縮パルスはいずれも矩形波である。
これにより圧力室28Bを満たしている液体の一部によるノズル内のメニスカスがノズルから押し出される方向に変化する。この正の圧力が液体をノズルから吐出する程に大きくなると、液体はノズルから吐出する。その後、電位を0に戻し、隔壁27B、27Cを収縮位置から中立位置に戻すと、残留する圧力波の一部がキャンセルされる。他の各圧力室も吐出パルスの印加によって上記と同様に動作する。
また、このときのA、B、Cの各組の圧力室28に印加される駆動パルスのタイミングチャートを図8に示す。図8は縦軸には圧力室A1〜C4を、また、横軸には時間をとってある。図8のDはエンコーダーのパルス信号であり、図8では、2回分の3サイクル駆動のタイミングチャートが示されているが、以降同様に3サイクル駆動が繰り返される。
インクジェット記録装置1Aは、内部に加熱手段としてヒーター30が組み込まれたプラテン52と、ガイドレール(図示せず)に沿って、記録媒体Pの搬送方向(図9中X方向)に直交する方向(図10中Y方向)に往復移動が可能に構成されたキャリッジ5と、ノズル形成部材22を記録媒体Pの画像記録面に対向させた状態で、キャリッジ5に搭載されたインクジェットヘッド2と、キャリッジ5の側方から上方にかけてキャリッジ5を覆うカバー10と、記録媒体Pの画像記録面上に送風を行う送風手段55a〜55fと、を有する。
プラテン52は、上面に載置された記録媒体Pを所定方向(図9中X方向)に搬送する。ヒーター21は、温度制御機能を備えており、記録媒体Pの画像記録面の裏面側から記録媒体Pを加熱することによって、記録媒体Pの画像記録面を所定の温度範囲に保持することが可能とされている。
条件(B):ノズル形成部材22と記録媒体Pの画像記録面との間の間隙Cにおける風速とキャリッジ5の移動速度の比(間隙風速/キャリッジ移動速度)が1以上2以下の範囲であること。
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、実施形態に係るインクジェット記録方法においては、微振動させる工程において、第1の圧力室、第2の圧力室、第3の圧力室における、それぞれの微振動のタイミングは同じであった。しかし、図11に示すように、第1の圧力室、第2の圧力室、第3の圧力室のそれぞれの微振動のタイミングは異なったものとしてもよい。但し、第1の圧力室、第2の圧力室、第3の圧力室のそれぞれの微振動のパルス間隔は同一であることが好ましい。
また実施形態に係るインクジェット記録方法においては白色インクを中心に説明した。しかし、実施形態の変形例として、(イ)白色インクを含むインクセットを用意する工程を、(イの2)白色インクと、黒色インクとを含むインクセットを用意する工程に置き換えたインクジェット記録方法が提供される。黒色インクを用いた場合にも、上述の実施形態に係るインクジェット記録方法と同様に、吐出安定性と記録媒体への良好な密着性が得られるからである。白色以外の記録媒体、例えば透明の記録媒体等に印字する際に白色インクを印字したあとに黒色インクを印字することで、視認性や発色性が高まるからである。また同様の理由により、上述の(イ)工程を、(イの3)白色インクと、有彩色インクとを含むインクセットを用意する工程に置き換えたインクジェット記録方法も提供される。
但し、白色以外の記録媒体において隠蔽性が得られる観点からは、白色インクを含むインクセットを用いたインクジェット記録方法として用いることが好ましい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
(試料1〜10の調製)
(黒色顔料分散体の調製)
顔料分散剤としてefka4585(固形分50質量%、BASF社製)20質量部を、イオン交換水65質量部に加えた。この溶液に、カーボンブラック顔料を15質量部添加して、プレミックスした後、0.5mmジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーにより分散させた。それにより、顔料固形分が15質量%であるブラック顔料分散体を得た。
水溶性樹脂Aの合成例
滴下ロート、還流管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えたフラスコに2−プロパノールを186部入れて窒素バブリングしながら加熱還流した。得られた2−プロパノールに、メタクリル酸メチルを50質量部、アクリル酸2−エチルヘキシルを25質量部、およびメタクリル酸を25質量部添加して混合溶液を調製した。得られた混合溶液に、開始剤(AIBN)0.5質量部を溶解させたモノマー溶液を、滴下ロートで2時間かけて滴下した。滴下後、さらに5時間加熱還流を続けた後、放冷し、減圧下で2−プロパノールを留去した。それにより、(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体(アクリル系共重合樹脂)を得た。
得られたアクリル系共重合樹脂20質量部に、イオン交換水67.8質量部と、中和塩基として水酸化ナトリウム水溶液とを加えて、70℃で加熱攪拌して樹脂を溶解させた。それにより、樹脂固形分20質量%の水溶性アクリル樹脂の水溶液を得た。なお、水酸化ナトリウム水溶液の添加量は、アクリル系共重合樹脂の酸性基の化学当量数に対して1.05倍の化学当量数となるようにした。
水溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)はGPCで測定した。測定条件を以下に示す。
カラム:東ソー製TSKgel G40000+2500+2000HXL、40℃
溶離液:THF 1.0(ml/min)
注入量:100μl
検出:RI
較正曲線:標準ポリスチレン。
酸価(mgKOH/g)は、JISのK0070に規定された方法で測定した。
その結果、樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は37000、酸価は164であった。
樹脂C〜Eも同様の方法で、表1のモノマー組成と中和塩基で水溶性樹脂の水溶液を得た。樹脂Bのみ市販品であるJONDRYL 62J(固形分濃度34質量%、BASF社製)を使用した。
なお、表1中のモノマーの略語は以下の内容を示す。
MMA:メタクリル酸メチル
BA:アクリル酸n−ブチル
EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
BMA:メタクリル酸n−ブチル
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
St:スチレン
前記水溶性アクリル樹脂の水溶液を30質量部、イオン交換水5.2部1,2−ヘキサンジオールを5質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを10質量部、界面活性剤としてメガファックF−444(DIC株式会社製)を0.1質量部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)を1質量部加えて攪拌した。ついでここへ色材として市販品の中空樹脂粒子SX8782(D)(固形分濃度20.5質量%、JSR株式会社製)の48.7質量部を加えて攪拌した。得られた溶液を、3μmのフィルターでろ過して、白色インク1を得た。なお、水溶性樹脂はインク全体の質量に対して6質量%含有され、顔料はインク全体の質量に対して10質量%含有される。
白色インク1の色材を前記の黒色顔料分散体を20質量部に置き換え、残りをイオン交換水の量を調整して100質量部に仕上げたことを除いて、白色インクと同様にして黒色インクを調製した。
上記白色インク1と黒色インク1とからなるインクセットを試料1とした。
なお、表1,2中の樹脂Bとして、「JONDRYL 62J(固形分34質量%、BASF社製)」を用いた。
得られた試料1〜10について、白色インク、黒色インクの微振動のパルス間隔を表2に示す条件で以下の画像形成方法に従い吐出実験を行った。そして、後述の基準に基づいて、射出安定性、耐水性、密着性の各項目について評価を行った。得られた結果を表2にまとめて示す。
インクジェットヘッド2として、KM512MN(コニカミノルタIJ社製)駆動周波数13kHz、最小液滴量14plのものを用いた。そして、キャリッジに吐出ヘッドを4列搭載したオンデマンド型のインクジェットプリンターのインクジェットヘッドの1つに、得られた白色インク、もう1つに黒色インクを装填した。インクジェットヘッドの電極に、インク液滴の飛翔速度が6m/secとなるように調整した電圧を印加して駆動させた。また、メニスカスの微振動のパルス幅は1ALとし、微振動のパルス間隔は表2に示す通りに設定して後述の画像を印画した。
尚、記録媒体Pの記録面とインクジェットヘッドのノズル面との隙間に図10の55d、eのような送風ファンを用いて、画像形成中にわたって常時送風を行った。
画像記録時におけるインクの射出安定性を、以下の基準に基づいて評価した。
◎:画像欠陥(スジ故障)は全く認められず、均一な画像である
○:画像の書き出し部(書き出し部から2mm以下の範囲)に、ごくわずかにかすれの発生が認められる
△:インクの射出不良に起因する画像欠陥(スジ故障)の発生がわずかに認められる
×:インクの射出不良に起因する画像欠陥(スジ故障)の発生が認められる
上記評価基準において、◎〜△が実用上好ましいと判断した。
上記作製した各ベタ画像を、木綿(カナキン3号)に水を含ませて10回こすり画像濃度低下の程度を目視観察し、下記の基準に従って耐水性の評価を行った。
◎:色落ちの発生が全く認められない
○:若干の色落ちが見られるが、画像としては気にならない
△:色落ちがやや確認でき、画質の低下も僅かに認められる
×:色落ちが大きく、画質への影響が大きい
JIS K 5400の碁盤目試験により、上記作製した各ベタ画像に粘着テープ(スコッチ#250、住友スリーエム製)を張り合わせて2kgのローラーで1往復圧着した後、一気に剥がし、残留している碁盤目状の試料の数を調べ、密着性を評価した。
◎:付着残留率100%
○:付着残留率80%以上100%未満
△:付着残留率50%以上80%未満
×:付着残留率50%未満
試料1,2と、試料3〜8の結果より、水溶性樹脂がアンモニアもしくはアミン類で中和されていることで、耐水性が向上することが分かった。
試料1〜4と、試料5〜8の結果より、水溶性樹脂が所定の酸化を有することにより、耐水性が向上することが分かった。
(試料11〜19の調製)
試料11を、以下の手順で調製した。
白色インクの白色顔料を市販品の二酸化チタンである「NanoTek(R) Slurry(固形分濃度15質量%、シーアイ化成株式会社製)」に変更し、水溶性樹脂Cを使用して、その他を表3に示す成分に置き換えて実施例1同様にして、白色インク11と黒色インク11を得た。
また試料12〜19について、表3に示す成分に置き換えたことを除き、試料11と同様にして調製した。
得られた試料11〜19について、実施例1と同様の吐出条件で、軟質塩化ビニルシート IJ180−10(住友スリーエム株式会社製)上に、解像度720dpi×720dpi、10cm×10cmの印字率100%および50%の白色および黒色のベタ画像を作成した。なお、印画中のメニスカスの微振動のあるなしは表3に示す通りで、パルス間隔はすべて6.5AL、パルス幅1ALの条件で吐出した。そして、後述の基準に基づいて、画質、光沢の各項目について評価を行った。得られた結果を表3にまとめて示す。
なお、表3中の略語は以下の内容を示す。
2)水溶性溶剤:
1,3−BDO:1,3−ブタンジオール
1,2−HDO:1,2−ヘキサンジオール
DPGPE:ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル
DPG:ジプロピレングリコール
DPGME:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
B100:エクアミドB100(β−アルコキシプロピオンアミド類、出光興産株式会社製)
オルフィンE1010:アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学工業株式会社製)
F−444:フッ素系界面活性剤(メガファックF−444,DIC株式会社製)
KF−351:シリコン系界面活性剤(信越化学社製)
記録画像の印字率50%画像部分をマイクロスコープで観察し、隣接するドットの形状を観察した。液寄り耐性の評価は、以下の基準に基づいて行った。
○:隣接するドットはそれぞれが完全に真円を形成して接している
△:ドットが接する部分が僅かに膨らんでいるが、それぞれが円形を保っている
×:ドットが合一して楕円のようになっている
作成した各ベタ画像について、印字部分の光沢感を目視観察し、下記の基準に従って評価を行った。
◎:印字部と未印字部との光沢差が全くなく、光沢性に優れる
○:印字部と未印字部との光沢差が若干みられるが、画像品質に問題はない
△:印字部と未印字部との光沢差が認識でき、画像品質は許容できない
×:印字部と未印字部との光沢差が大きく、著しい画質低下がみられる
また試料11〜19の結果より、所定の水溶性溶剤や界面活性剤を用いることで、画質や光沢性が向上することが分かった。
2 記録ヘッド
21 インクチューブ
22 ノズル形成部材
23 ノズル
24 カバープレート
25 インク供給口
26 基板
27、27A、27B、27C 隔壁
27a、27b 圧電材料
28、28A、28B、28C 圧力室
29A、29B、29C 電極
3 搬送機構
31 搬送ローラ
32 搬送ローラ対
33 搬送モータ
4 ガイドレール
5 キャリッジ
6 フレキシケーブル
100 駆動信号発生部
P 記録媒体
PS 記録面
1A インクジェット記録装置
10 カバー
11 前面カバー
12 背面カバー
13 天板
52 プラテン
30 ヒーター
55a〜55f 送風手段
Claims (9)
- 白色インクを含むインクセットと、複数の圧力室、前記圧力室内の容積を変化させる圧力発生手段、前記圧力室に連通するノズルを備え、前記圧力室内の圧力を変化させて前記圧力室内の液体をノズルから吐出させる記録ヘッドを有するインクジェット記録装置とを用意し、前記圧力室の容積を膨張または収縮させ前記ノズルからインク滴を吐出させる工程と、
前記圧力発生手段に対してノズルからインクを吐出しない程度にノズル内のメニスカスを微振動させる工程と、を有し、
前記白色インクは、色材、バインダーとしての水溶性樹脂、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤を含有し、 他色インクの前記メニスカスの微振動のパルス間隔は下記式(1)で表され、白色インクの前記メニスカスの微振動のパルス間隔は下記式(2)で表されることを特徴とするインクジェット記録方法。
式(1): 微振動のパルス間隔=AL×(n+0.5)
式(2): 微振動のパルス間隔=AL×[n+(−0.5〜+0.5)]
(式(1)および(2)において、
ALは、微振動のパルス幅であり、
nは2以上の整数であり、式(1)および(2)において同一である。) - 前記水溶性樹脂は、アンモニアもしくはアミン類で中和されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記水溶性樹脂の酸価が50mgKOH/g以上、130mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記水溶性有機溶媒がグリコールエーテル類または炭素数が4以上の1,2ーアルカンジオール類からなる群から選択される水溶性有機溶剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記界面活性剤がシリコン系またはフッ素系の界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクセットは、他色インクとして黒色インクおよび有彩色インクの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体の記録面と前記記録ヘッドのノズル面との隙間に風を送る工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録ヘッドの吐出口を洗浄する工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記白色インクの前記メニスカスの微振動のパルス間隔は、前記他色インクの前記メニスカスの微振動のパルス間隔よりも短い間隔であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
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