次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る画像形成装置10が示されている。図1に示されるように、画像形成装置10は画像形成装置本体12を有し、画像形成装置本体12内に像形成部100と、給紙装置300と、制御手段として用いられる制御装置400とが設けられている。また、画像形成装置本体12内には、記録媒体として用いられる用紙を搬送するために用いられる搬送路350が形成されている。また、画像形成装置本体12には、用紙を排出するために用いられる排出口14が形成されている。
像形成部100は、例えば単色の画像を形成するものであり、電子写真方式が採用されている。像形成部100は、感光体102と、感光体102を帯電する帯電装置200と、帯電装置200によって帯電された感光体102の表面に光を照射し、感光体102の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置110と、感光体102に形成された潜像を現像剤を用いて現像し、感光体102の表面に現像剤像を形成する現像装置114と、現像装置114によって感光体102の表面に形成された現像剤像を用紙に転写する転写装置116と、転写装置116によって現像剤像が用紙に転写された後に、感光体102を清掃する清掃装置120と、転写装置116によって用紙に転写された現像剤像を、その用紙に定着する定着装置126とを有する。
感光体102は、例えば円筒形状であって、帯電対象物として用いられているとともに、像を保持する像保持体として用いられている。また、感光体102は、例えばアルミニウムを材料とする例えば円筒形状の基体104を有し、基体104の外側の表面が膜部106で覆われている。膜部106は、外層として用いられているとともに、電荷を保持する電荷保持部として用いられていて、例えば有機感光層からなり、例えば、電荷を発生させる電荷発生材料を含み樹脂を結着剤とする電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送材料を含み樹脂を決着材料とする電荷輸送層とを有し、下引層や保護等を有するようにしても良い。
帯電装置200は帯電部材204を有する。帯電部材204は、感光体102に一部が接触し、他の一部が感光体102との間に下流側隙間S1(図2を参照)と上流側隙間S2(図2を参照)とを形成する。また、帯電部材204は、例えば直流の電圧が印加されて感光体102を帯電させる。帯電装置200の詳細は後述する。
現像装置114は現像装置本体136を有し、現像装置本体136に対して例えば円柱形状の現像剤搬送部材138が装着されている。また、現像装置本体136内には、トナーとキャリアとを含む現像剤が収納されていて、この現像剤中のトナーが現像剤搬送部材138によって感光体102に向けて搬送される。
転写装置116は、転写ロール118を有する。転写ロール118は、例えば感光体102に接触するように配置されていて、転写のための電圧が印加され、転写部材として用いられている。
清掃装置120は、清掃部材122を有する。清掃部材122は、一端部が感光体102に対して押し付けられ、押し付けられた端部で感光体102の表面からトナー等を除去し、感光体102を清掃する。このように清掃部材122が感光体102に押圧されているため、感光体102を用いて形成した画像の枚数が増加することに応じて、感光体102の膜部106が清掃部材122によって摩耗され、膜部106の厚さが薄くなる。尚、膜部106は、現像剤搬送部材138、転写ロール118、及び帯電部材204が膜部106に接触することによっても摩耗する。
定着装置126は、内部に熱源を有する加熱ロール128と、加熱ロール128に接触する加圧ロール130とを有し、加熱ロール128と加圧ロール130との接触部で用紙に転写されたトナーを加熱し、加圧して、用紙に像を定着させる。
給紙装置300は、像形成部100に向けて用紙を供給する。また、給紙装置300は、用紙が積層された状態で収納される用紙収納容器302と、用紙収納容器302から用紙を送り出す送り出しロール304とを有する。
搬送路350は、給紙装置300から転写装置116に向けて用紙を搬送し、転写装置116から定着装置126に向けて用紙を搬送し、排出口14を通過して画像形成装置本体12内から用紙を排出するように用紙を搬送する搬送路である。搬送路350に沿って、用紙の搬送方向における上流側から順に、先述の送り出しロール304、搬送ロール354、レジストロール356、先述の転写装置116、先述の定着装置126が配置されている。
レジストロール356は、感光体102と転写ロール118とが接触する接触位置N1に向けて搬送される用紙の先端部の接触位置N1に向けての移動を一時的に停止させ、感光体102に現像剤像が形成されるタイミングと合致するように、用紙の先端部の接触位置N1に向けての移動を再開させる。
図2には、帯電装置200が示されている。帯電装置200は、先述のように帯電部材204を有する。図2(a)は、帯電部材204が第1の位置にある状態の帯電装置200を示しており、図2(b)は、帯電部材204が第2の位置にある状態の帯電装置200を示している。
図2(a)及び図2(b)に示されているように、帯電部材204は湾曲した例えば板状の部材からなり、感光体102の膜部106に接触し、感光体102側に凸である曲面として用いられていて、感光体102との間に放電を発生させる面である放電面206を有する。また、帯電部材204は、感光体102に一部が接触し、感光体102との間に例えば楔形状の空間である下流側隙間S1及び上流側隙間S2の少なくともいずれか一方を形成するように配置されている。また、帯電部材204には、帯電部材204に例えば直流の電圧を印加するための電圧印加装置270が接続されている。このように、帯電部材204は、感光体102を帯電させる帯電用の電極として用いられている。帯電部材204として板状の部材を用いることに替えて、帯電部材204としてフィルム状の部材を用いても良い。
また、帯電部材204は支持手段210によって支持されている。支持手段210は、隙間(下流側隙間S1、上流側隙間S2)の位置及び隙間の大きさの少なくとも一方を変化させることができるように帯電部材204を支持する支持手段として用いられている。また、支持手段210は、帯電部材204が装着される部材である支持部材212と、帯電部材204と支持部材212とを一体として感光体102に対して移動させる移動機構として用いられている移動機構280とを有する。
移動機構280には、例えばモータ、ソレノイド等からなる駆動源282が連結されていて、駆動源282からの駆動を支持部材212に伝達し、支持部材212及び帯電部材204を一体として図2(a)に示す第1の位置から図2(b)に示す第2の位置へと移動させる。移動機構280としては、例えばカムを有する機構、クランクを有する機構、リンクを有する機構等を用いることができる。
帯電装置200においては、帯電部材204が図2(a)に示す第1の位置にある際には、図2(a)及び図2(b)に矢印aで示す感光体102の移動方向における帯電部材204と感光体102とが接触する接触位置N2よりも下流側に下流側隙間S1が形成された状態となる。このように帯電部材204が第1の位置にある状態においては、上流側隙間S2は形成されない。一方、図2(b)に示す第2の位置に帯電部材204が位置する際には、矢印aで示す感光体の移動方向における接触位置N2よりも下流側に下流側隙間S1が形成されるとともに、矢印aで示す感光体の移動方向における接触位置N2よりも上流側に上流側隙間S2が形成された状態となる。
図3は、制御装置400を示すブロック図である。制御装置400は、隙間(下流側隙間S1、上流側隙間S2)の位置及び隙間の大きさの少なくとも一方を変化させることができるように支持手段210を制御する制御手段として用いられている。また、制御装置400は、膜部106の厚さが予め定められた所定の値以上である場合は下流側隙間S1だけを形成させ、感光体102の膜部106の厚さが予め定められた所定の値よりも小さい場合は下流側隙間S1及び上流側隙間S2を形成させるように、支持手段210を制御する制御手段として用いられている。
図3に示すように、制御装置400は、例えばCPU等からなる制御回路402を有し、制御回路402に通信インターフェイス404を介して画像信号が入力される。また、制御回路402は、入力された画像信号から、感光体102の使用を開始してから感光体102を用いて形成した画像の数をカウントして、この値を画像枚数記憶部406に記憶させる。また、制御回路402からの出力により像形成部100と移動機構280とが制御される。
図4は、帯電部材204の位置と膜部106の厚さとに応じた感光体102が帯電される際に生じる現象を説明するものであり、図4(a)は、帯電部材204が第2の位置にあり膜部106の厚さが比較的に大きい場合に生じる現象を説明する図であり、図4(b)は、帯電部材204が第2位置にあり膜部106の厚さが比較的に小さい場合に生じる現象を説明する図であり、図4(c)は、帯電部材204が第1位置にあり膜部106の厚さが比較的に小さい場合に生じる現象を説明する図である。
図4(a)に示すように、膜部106の厚さが厚い場合、膜部106の厚さが薄い場合と比較して膜部106の静電容量が小さくなる。このため、膜部106の厚さが薄い場合と比較して帯電部材204と感光体102との間で異常放電が生じやすい。そして、帯電バイアスとして直流のバイアスを帯電部材204に印加する場合、下流側隙間S1においては異常放電は発生しにくいものの、上流側隙間S2においては異常放電が発生しやすいことが知られている。このため、図4(a)に示すように、膜部106がさほど摩耗していなくて、膜部106の厚さが比較的に厚いにもかかわらず、帯電部材204を第2の位置に配置すると、上流側隙間S2で異常放電が生じ、この異常放電を原因として形成される画像に微小黒線が生じるとの画像不良が生じる虞がある。
図4(b)に示すように、膜部106の厚さが薄い場合、膜部106の厚さが厚い場合と比較して膜部106の静電容量が大きくなる。このため、比較的に静電容量が大きい膜部106を十分に帯電させるために、帯電部材204と感光体102との間で放電が生じる領域を十分に確保することが望ましい。このため、膜部106が摩耗し、膜部106の厚さが比較的に薄くなった状態においては、図4(b)に示すように帯電部材204を第2の位置に配置して、放電が生じる領域として下流側隙間S1のみならず上流側隙間S2も形成することが望ましい。
したがって、図4(b)に示すように、膜部106の厚さが薄い場合は、膜部106の厚さが厚い場合と比較して膜部106の静電容量が大きくなるため、上流側隙間S2における異常放電が生じにくく、帯電部材204を第2の位置に配置しても、上流側隙間S2に異常放電が生じることを原因とする画質の低下は生じにくい。
図4(c)に示すように、膜部106の厚さが薄い場合、膜部106の厚さが厚い場合と比較して膜部106の静電容量が大きくなる。このため、膜部106の厚さが比較的に薄く、膜部106の静電容量が比較的に大きいにもかかわらず、帯電部材204を図4(c)に示すように第1の位置に配置し、放電が生じる領域として下流側隙間S1だけを形成した場合には、膜部106の帯電が不十分となることがある。そして、膜部106の帯電が不十分となると膜部106に帯電のむらが生じ、この帯電のむらを原因として形成される画像に不良が生じる虞がある。
図5は、制御装置400による制御を示すフローチャートである。一連の制御が開始される時点においては、帯電部材204は図2(a)に示されている第1の位置にある。このため、この制御が開始される時点においては、感光体102と帯電部材204との間には、下流側隙間S1だけが形成されていて、上流側隙間S2は形成されていない。
通信インターフェイス404から画像信号が入力されて一連の制御がスタートすると、ステップS10において、制御装置400は、使用を開始してからの感光体102を用いて形成した画像の枚数が、所定の枚数である枚数Nよりも大きいか否かを判別する。そして、感光体102を用いて形成した画像の枚数が枚数Nよりも大きくないとの判別がなされた場合には、すなわち感光体102を用いて形成した画像の枚数が枚数N以下であるとの判別がなされた場合には、ステップS30へと進む。一方、ステップS10において、感光体102を用いて形成した画像の枚数が枚数Nよりも大きいとの判別がなされた場合、ステップS20へと進む。
ここで、予め定められた枚数Nは、例えば100K枚である(Kは×1000)。枚数Nは、感光体102の膜部106の硬度、清掃装置120の清掃部材122の硬度、清掃部材122を感光体102に押し付ける力の大きさ等、感光体102の回転に伴う膜部106の摩耗のしやすさを考慮して定められていて、例えば、この実施形態においては、当初の厚さが26μmである膜部106の厚さが20μmとなる形成された画像の数が枚数Nとして定められている。
ステップS20において、制御装置400は、移動機構280を制御して、帯電部材204を図2(b)に示す第2の位置へと移動させる。これにより、感光体102と帯電部材204との間に、下流側隙間S1と上流側隙間S2との両方が形成された状態となる。
ステップS30において、制御装置400は、像形成部100を制御して像形成部100に像を形成させる。
ステップS40において、制御装置400は、通信インターフェイス404から入力された画像データ等からステップS30で形成された画像が一連の画像形成動作中における最後の画像であるかを判別し、最後の画像でないとの判別がなされた場合は、ステップS10に戻り、最後の画像であるとの判別がなされた場合は、制御装置400は一連の制御を終了させる。
以上のように、画像形成装置10においては、感光体102の膜部106の厚さの変化に応じて、感光体102と帯電部材204との間に形成される隙間の位置が変化するようになっている。
図6は、以上で説明をした本実施形態に係る画像形成装置10における膜部106の厚さと、感光体102と帯電部材204とで形成される隙間の位置と、帯電装置200で感光体102を帯電した際に画像形成装置10で形成される画像に微小黒線が生じるか否かと、感光体102に電位むらが生じるか否かとを感光体102の使用を開始してからの画像の形成枚数毎に示す図表である。
図6の1列目は、感光体102の使用を開始してからの感光体102を用いて形成した画像の枚数を示している。また、図6の2列目は、膜部106の膜厚を示している。ここで、膜部106の膜厚は、先述のように感光体102に清掃部材122等が接触しているため、感光体102の使用に伴って膜部106が摩耗することにより、形成した画像の数が増加するにつれて薄くなる。また、図6の3列目は、感光体102と帯電部材204とによって形成される隙間の位置を示しており、より具体的には、下流側隙間S1が形成されるか否かと上流側隙間S2が形成されるか否かとが示されている。
また、図6の4列目は、形成される画像に微小黒線が生じるか否かを示しており、第4列中における「○」は、微小黒線が未発生であり、画質上の問題がないことを示している。また、図6の第5列目は、感光体102を帯電させた際に感光体102に電位むらが生じる程度を示しており、第5列中における「○」は、感光体102の電位むらが10V以下であり、形成される画像に画質上の問題が生じないことを示している。
図6に示されているように、画像形成装置10においては、感光体102を用いて形成された画像の枚数が100K以下において微小黒線が発生しない。感光体102を用いて形成した画像の枚数が100K以下である場合、膜部106の摩耗が進んでおらず、膜部106の厚さが比較的に厚く膜部106の静電容量が比較的に小さい。このため、膜部106の厚さが比較的に薄く膜部106の静電容量が大きい場合と比較して帯電部材204と感光体102との間に異常放電が生じやすく、この異常放電を原因とする微小黒線が形成される画像に生じやすい。そして、帯電バイアスとして直流のバイアスを帯電部材204に印加する場合、接触位置N2よりも上流側の領域、すなわち上流側隙間S2の位置で異常放電が生じやすい。
この画像形成装置10においては、感光体102を用いて形成された画像の枚数が100K以下の場合は、帯電部材204を図2(a)に示されている第1の位置に配置するようにして、下流側隙間S1のみを形成させ、異常放電が特に発生しやすい領域である上流側隙間S2を形成させないようにして、異常放電と異常放電に起因する微小黒線の発生とを抑制している。
また、画像形成装置10においては、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100K以下において、感光体102の電位むらが画像に画質上の問題が生じない範囲となっている。これは、膜部106の摩耗が進んでおらず、膜部106の厚さが比較的に厚く、膜部106の静電容量が比較的に小さいため、たとえ接触位置N2の上流側に上流側隙間S2を形成しなくても、感光体102を電位むらなく帯電させるために十分な帯電領域が確保されるためである。
また、画像形成装置10においては、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100Kから200Kまでにおいて、異常放電が発生しやすい領域である上流側隙間S2を形成するにもかかわらず微小黒線が未発生である。これは、膜部106の摩耗が進み、膜部106の厚さが比較的に薄くなり、膜部106の静電容量が比較的に大きくなるため、帯電部材204を図2(b)に示されている第2の位置へと移動させることで上流側隙間S2が形成されるようにしても、上流側隙間S2において異常放電が発生しないためである。
また、画像形成装置10においては、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100Kから200Kまでにおいて、感光体102の電位むらが画像に画質上の問題が生じない範囲となっている。感光体102を用いて形成した画像の枚数が100Kから200Kまでにおいては、膜部106の摩耗が進み、膜部106の厚さが比較的に薄くなり、膜部106の静電容量が比較的に大きくなるので、感光体102に電位むらが生じやすい。
このため、画像形成装置10では、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100Kから200Kまでにおいて、下流側隙間S1と併せて上流側隙間S2も形成させて、感光体102の移動方向における感光体102を帯電させる帯電領域を大きくすることで感光体102の電位ムラの発生を防止している。
図7は、第1の比較例に係る画像形成装置10(不図示)における膜部106の厚さと、感光体102と帯電部材204とで形成される隙間の位置と、帯電装置200で感光体102を帯電した際に画像形成装置10で形成される画像に微小黒線が生じるか否かと、感光体102に電位むらが生じるか否かとを感光体102を用いて画像を形成した枚数毎に示す図表である。
先述の本発明の実施形態に係る画像形成装置10においては、感光体102を用いて画像を形成した枚数が100K以下までは下流側隙間S1だけが形成され、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100Kから200Kまでは下流側隙間S1と上流側隙間S2との両方が形成された。これに対して、この第1の比較例に係る画像形成装置10においては、図7の第3列に示すように、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100K以下においても、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100Kから200Kまでにおいても下流側隙間S1だけが形成され、上流側隙間S2は形成されない。以上の点を除き、この第1の比較例に係る画像形成装置10は、先述の本発明の実施形態に係る画像形成装置10と同一である。
図7における第1列から第5列に示す事項は、図6と同じである。また、図7の第5列における「×」は、感光体102の電位むらが10Vよりも大きく、形成される画像に画質上の問題が生じる虞があることを示している。
第1の比較例に係る画像形成装置10においては、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100Kまでにおいては、先述の本発明の実施形態に係る画像形成装置10と同様に、微小黒線は未発生であり、感光体102の電位むらが画像に画質上の問題が生じない範囲となっている。
これに対して、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100Kから200Kまでにおいては、微小黒線は先述の第1の実施形態に係る画像形成装置10と同様に生じないものの、感光体102の電位むらが10Vよりも大きくなっている。これは、膜部106の摩耗が進み、膜部106の厚さが比較的に薄くなり、膜部106の静電容量が比較的に大きくなったにもかかわらず、上流側隙間S2が形成されないために、感光体102の移動方向における感光体102を帯電させる帯電領域が不十分になり、感光体102が十分に帯電されないことが原因となっている。
図8は、第2の比較例に係る画像形成装置10(不図示)における膜部106の厚さと、感光体102と帯電部材204とで形成される隙間の位置と、帯電装置200で感光体102を帯電した際に画像形成装置10で形成される画像に微小黒線が生じるか否かと、感光体102に電位むらが生じるか否かとを感光体102を用いて形成した画像の枚数毎に示す図表である。
先述の本発明の実施形態に係る画像形成装置10においては、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100K以下までは下流側隙間S1だけが形成され、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100Kから200Kまでは下流側隙間S1と上流側隙間S2との両方が形成された。これに対して、この第2の比較例に係る画像形成装置10においては、図8の第3列に示すように、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100K以下においても、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100Kから200Kまでにおいても下流側隙間S1と上流側隙間S2との両方が形成される。以上の点を除き、この第2の比較例に係る画像形成装置10は、先述の本発明の実施形態に係る画像形成装置10と同一である。
図8における第1列から第5列に示す事項は、図6、図7と同じである。また、図8の第4列における「×」は、形成される画像に微小黒線が形成されることを示している。
第2の比較例に係る画像形成装置10においては、感光体102を用いて形成された画像の枚数が100K〜200Kにおいては、先述の本発明の実施形態に係る画像形成装置10と同様に、微小黒線は未発生であり、感光体102の電位むらが画像に画質上の問題が生じない範囲となっている。
これに対して、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100K以下においては、感光体102の電位むらは先述の第1の実施形態に係る画像形成装置10と同様に生じないものの、画像に微小黒線が発生してしまう。これは、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100K以下であり、膜部106の摩耗が進んでおらず、膜部106の厚さが比較的に厚く膜部106の静電容量が比較的に小さいため帯電部材204と感光体102との間に異常放電が生じやすいにもかかわらず、異常放電が特に発生しやすい領域である上流側隙間S2を形成させているためである。
図9には、第3の比較例に係る画像形成装置10が有する帯電装置200が示されている。先述の本発明の実施形態に係る画像形成装置10においては、支持部材212が感光体102の移動方向において接触位置N2よりも下流側に位置するように帯電部材204が配置されていた。これに対して、この第3の比較例に係る画像形成装置10においては、支持部材212が感光体102の移動方向において接触位置N2よりも上流側に位置するように帯電部材204が配置されている。また、この第3の比較例に係る画像形成装置10においては、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100K以下である場合も、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100Kから200Kまでである場合も、感光体102と帯電部材204との間には上流側隙間S2だけが形成され、下流側隙間S1は形成されない。以上の点を除き、この第3の比較例に係る画像形成装置10は、先述の本発明の実施形態に係る画像形成装置10と同一である。
図10は、第3の比較例に係る画像形成装置10における膜部106の厚さと、感光体102と帯電部材204とで形成される隙間の位置と、帯電装置200で感光体102を帯電した際に画像形成装置10で形成される画像に微小黒線が生じるか否かと、感光体102に電位むらが生じるか否かとを感光体102を用いて形成した画像の枚数毎に示す図表である。図10における第1列から第5列に示す事項は、図6、図7及び図8と同じである。
第3の比較例に係る画像形成装置10では、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100K以下において、先述の本発明の実施形態に係る画像形成装置10と同様に電位むらは発生しない。しかしながら、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100K以下において、先述の本発明の実施形態に係る画像形成装置10では発生しなかった微小黒線が発生する。これは、感光体を用いて形成した画像の枚数が100K以下であり、膜部106の摩耗が進んでおらず、膜部106の厚さが比較的に厚く膜部106の静電容量が比較的に小さいため帯電部材204と感光体102との間に異常放電が生じやすいにもかかわらず、異常放電が特に発生しやすい領域である上流側隙間S2を形成させているためである。
また、第3の比較例に係る画像形成装置10では、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100K〜200Kにおいて、先述の本発明の実施形態に係る画像形成装置10と同様に微小黒線は発生しない。しかしながら、感光体102を用いて形成した画像の枚数が100K〜200Kにおいて、先述の本発明の実施形態に係る画像形成装置10では発生しなかった電位むらが発生する。これは、膜部106の摩耗が進み、膜部106の厚さが比較的に薄くなり、膜部106の静電容量が比較的に大きくなったにもかかわらず、下流側隙間S1が形成されないために、感光体102の移動方向における感光体102を帯電させる帯電領域が不十分になり、感光体102が十分に帯電されないことが原因となっている。
以上で説明をした実施形態においては、膜部106の厚さの変化に応じて感光体102と帯電部材204との間の位置における隙間が形成される位置を変化させるものを例として説明したが、膜部106の厚さの変化に応じて感光体102と帯電部材204との間の位置における隙間の大きさを変化させるようにしても良い。また、膜部106の厚さの変化に応じて感光体102と帯電部材204との間の位置における隙間が形成される位置と、感光体102と帯電部材204との間の位置における隙間の大きさとの両方を変化させるようにしても良い。
また、以上で説明をした実施形態においては、像形成部100として単色の画像を形成するものを例として示したが、像形成部100として多色の画像形成する装置に対しても本発明を適用することができる。