JP6099160B2 - 複合化合物、及び懸濁液 - Google Patents
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本発明においては、そのような問題点を解決するために、アルキルアミン中において自己分解が可能な銅化合物を提供すると共に、当該銅化合物をアルキルアミン中で自己分解させて原子状銅を生成させることで、アルキルアミンからなる保護膜を有する被覆銅微粒子を製造する方法を提供することを課題とする。同時に、粒径分布が狭く微細であり、保存性に優れると共に低温での焼結が可能な被覆銅微粒子を提供することを課題とする。
また、前記銅微粒子を生成する工程は、220℃以下の温度で行われることを特徴としている。
また、前記還元性化合物は、ヒドラジン、ヒドロキシアミン、またはその誘導体を含むことを特徴としている。
また、前記銅を含む化合物は、酸素系の配位子により銅が結合している化合物であることにより、良好に被覆銅微粒子を製造することを特徴としている。
また、前記酸素系の配位子により銅が結合している化合物は、シュウ酸銅であることを特徴としている。
また、前記アルキルアミンには、炭素数が12以上の長鎖のアルキルアミンを含むことを特徴としている。
また、前記還元性化合物は、ヒドラジン、ヒドロキシアミン、またはその誘導体を含むことを特徴としている。
また、前記銅を含む化合物は、酸素系の配位子により銅が結合している化合物であることを特徴としている。
また、前記酸素系の配位子により銅が結合している化合物は、シュウ酸銅であることを特徴としている。
<銅原子の供給源である銅化合物について>
本発明に係る被覆銅微粒子の製造方法においては、銅とその他の原子(又は、原子群)が結合して構成される含銅化合物を銅原子の供給源として被覆銅微粒子を製造する。本発明において使用される含銅化合物としては、後述する還元性化合物との間で錯体等の複合化合物を生成可能な化合物であれば被覆銅微粒子の金属源として使用することができる。本発明においては、使用する還元性化合物の還元力等を勘案して、当該含銅化合物から銅原子を還元分離するために必要なエネルギーが小さい化合物を適宜選択して用いることが、被覆銅微粒子を製造する際の温度を低下し、製造のための時間を短縮できる点で望ましい。また、製造する被覆銅微粒子に含まれる不純物を軽減するために、銅以外の金属元素を含有しない含銅化合物を用いることが望ましい。
本発明に係る被覆銅微粒子の製造方法においては、まず上記含銅化合物に対して、還元作用を有する還元性化合物を混合して、金属化合物と還元性化合物との複合化合物を生成させる。このような複合化合物においては、還元性化合物が含銅化合物中の銅イオンに対する電子のドナーとなり銅イオンの還元を生じ易いため、使用した含銅化合物と比較して自発的な熱分解による銅原子の遊離を生じ易い。このため、このような複合化合物を銅原子の供給のための直接の原料とすることで、反応に関与する物質の供給に律速されることがなく、温度や圧力などの条件の設定により複合化合物の自発的な分解反応を生じさせることで銅原子が供給され、銅微粒子を製造することが可能となる。
次に、本発明に係る被覆銅微粒子の製造方法においては、上記で生成した複合化合物を過剰量の還元性化合物から分離した後、十分な量のアルキルアミンの存在下で加熱して複合化合物の自発的分解反応により銅原子が生成して凝集することで、使用したアルキルアミンからなる保護膜で被覆された銅微粒子を得ることができる。
複合化合物の熱分解の際に複合化合物と混合されるアルキルアミンは、上記のように、主に複合化合物の分解反応の反応媒として機能すると共に、製造される銅微粒子表面に主にアルキルアミンから構成される保護膜を形成するために使用される。このため、本発明において使用されるアルキルアミンは、使用する複合化合物の熱分解の条件、製造される被覆銅微粒子に期待される特性等に応じて、公知のアルキルアミンから適宜選択して用いることができる。
本発明に係る被覆銅微粒子は、平均粒径が50nm以下であり、さらには平均粒径が20nm以下であるため、その表面に設けられた保護膜が脱離することで、通常の銅粉末と比較して極めて低い温度においても焼結して銅皮膜を形成することが可能である。特に、複合化合物の熱分解の際に蒸気圧の高いアルキルアミンを使用することで脱離が容易な保護膜が形成され、より低温での焼結が可能になる。また、比較的分子量の大きなアルキルアミンを使用した場合には、強固な保護膜が形成されることによって製造した被覆銅微粒子の酸化が防止されて、大気中においても長期間の保存が可能となる。
室温において、過剰量のヒドラジン一水和物(液体)に対して、青白色のシュウ酸銅粉末を混合して撹拌することにより、両化合物が錯体を形成して紫色のシュウ酸銅・ヒドラジン錯体(複合化合物)が得られる。これは、ヒドラジンを構成する窒素が、その非共有電子対を介してシュウ酸銅に含まれる銅原子に配位結合をして生じた錯体であると考えられる。
十分に撹拌してシュウ酸銅・ヒドラジン錯体を生成させた後、遠心分離等により、未反応のヒドラジンや希釈溶媒を除去することで、粉末状のシュウ酸銅・ヒドラジン錯体が得られる。
上記シュウ酸銅・ヒドラジン錯体を過剰量のアルキルアミンと混合して加熱することで、アルキルアミン中でシュウ酸銅・ヒドラジン錯体が分解反応を生じて、窒素ガスを放出すると共に、アルキルアミン中に銅光沢を示す被覆銅微粒子とシュウ酸(或いは、アルキルアミンシュウ酸塩)が生成する。
図1には、上記のようにして、アルキルアミンとしてオレイルアミンを用いて製造された被覆銅微粒子の透過電子顕微鏡像(日本電子JEM−4000EX)を示す。図1に示される被覆銅微粒子では、平均粒子径が15.8nmであると共に、ほぼ均一な粒子径を有していた。また、図1から明らかなように、本発明により製造された銅微粒子は、その保護皮膜により相互に分離して存在するため、適宜の溶媒に容易にナノスケールで分散させることが可能である。
含銅化合物としてシュウ酸銅と、還元性化合物としてヒドラジン一水和物を使用し、表1に示す割合(実施例1〜4)で、室温でヒドラジン一水和物と反応媒としてのメタノールを予め混合した混合溶液にシュウ酸銅を投入して10分間の撹拌することで、シュウ酸銅・ヒドラジン錯体(複合化合物)を生成させた。ヒドラジンと混合することで、シュウ酸銅は速やかに青白色から紫色に変色した。その後、遠心分離により未反応のヒドラジンとメタノールを分離し、乾燥させることで紫色の粉体を得た。
各実施例で得られたシュウ酸銅・ヒドラジン錯体の全量に対し、表1に示す混合比率・量のアルキルアミンを加え、室温で10分間撹拌し、懸濁液とした。撹拌後、混合液の入った容器を150℃のオイルバス中で加熱を行った。加熱に伴い混合液から発泡を生じて赤化し、その後1時間加熱撹拌することで銅光沢のある懸濁液を得た。
その結果、オレイルアミン中でシュウ酸銅を150℃に加熱することで、シュウ酸銅が緑色に変色を呈して錯化合物を形成することが観察されたが、当該錯化合物をオレイルアミンの沸点である350℃程度まで加熱しても金属銅粒子は生成しなかった。
各実施例において使用したシュウ酸銅中の銅に対して、被覆銅微粒子として得られた銅の収率(表1)を示す。被覆銅微粒子を得るための複合化合物としてシュウ酸銅・ヒドラジン錯体を用いる場合には、アルキルアミンの種類によらず、大気中でも概ね60〜65%程度の銅の収率が得られた。尚、上記銅の収率は、得られた被覆銅微粒子の質量から保護膜として被着しているアルキルアミンの質量を差し引いて得た銅の質量を基準として求めたものである。
図4には、得られた被覆銅微粒子(実施例1〜4)についての粉末X線回折パターン(理学MiniFlex II)を示す。粉末X線回折パターンから、被覆銅微粒子は平均の単結晶子サイズが5〜7nm程度の金属銅から構成されることが示される。
以下に説明する方法で、実施例2〜4で得られた被覆銅微粒子をそれぞれ銅インクとして用いてガラス基板上に銅薄膜を形成させた。上記で作製された各被覆銅微粒子0.15gに対して、分散媒としてのトルエン173μLを加えて、被覆銅微粒子の50wt%の分散液を調製して、これを銅インクとした。各銅インクの100μLをスピンコートによりガラス板に塗布した。その後、アルゴン雰囲気中で60℃/minで300℃まで加熱して30分間保持し、銅薄膜を得た。
以下に説明する方法で、実施例1で得られた被覆銅微粒子を用いて銅ペーストを作製し、ガラス基板上に銅薄膜を形成させた。被覆銅微粒子を含むペーストを作製するために、実施例1で得られた被覆銅微粒子0.40gに対してテルピネオール0.30gとオクチルアミン0.30gを加えて、一晩撹拌してペーストとした。図6には、作製したペースト(被覆銅微粒子含有率:40wt%)の写真を示す。
得られた銅薄膜は銅光沢を示し、抵抗値が27.7Ω/□程度であり、十分に導体膜として機能するものであった。
以下に説明する方法で、実施例1で得られた被覆銅微粒子を室温で圧縮してペレットを作製した。実施例1で得られた被覆銅微粒子0.18gを、室温で錠剤成形器(8mmφ)に充填し、減圧した状態で40kNの力で10分間加圧して銅薄膜(ペレット)を作製した。作製したペレットは銅光沢を示し、13.2Ω/□のシート抵抗を示した。
Claims (4)
- シュウ酸銅の1分子に対してヒドラジンの2分子が配位結合してなる複合化合物であって、アルキルアミン中において220℃以下の温度で熱分解して銅を生成可能であることを特徴とする複合化合物。
- 請求項1に記載の複合化合物をアルキルアミン中に懸濁させたことを特徴とする懸濁液。
- 前記アルキルアミンには、炭素数が12以上の長鎖のアルキルアミンを含むことを特徴とする請求項2に記載の懸濁液。
- 前記アルキルアミンには、一級又は二級のアミノ基を含むアルキルアミンを含むことを特徴とする請求項2または3に記載の懸濁液。
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