JP6857453B2 - 銅微粒子の製造方法、銅微粒子、ペースト組成物、半導体装置及び電気・電子部品 - Google Patents
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[銅微粒子の製造方法]
本発明の銅微粒子の製造方法は、上記したように、クエン酸銅と、所定のアミン化合物と、還元性化合物と、を有機溶剤中で混合し、該混合により得られた混合物を前記クエン酸銅が熱分解する温度にまで加熱して、プレート状の銅微粒子を製造するものである。この製造方法により得られる銅微粒子は、クエン酸銅を分解することで生じたクエン酸イオンに由来するクエン酸とアミン化合物とが表面に付着したものとなり、これら成分が付着することで後述するように好ましい特性を有する銅微粒子が得られる。
ここで用いるクエン酸銅は、Cu2(C6H4O7)で表される化合物であって、金属銅を析出させ銅微粒子とするための材料である。クエン酸銅は、加熱により銅イオンとクエン酸イオンとに分解され、銅イオンは還元されて金属銅となる。この熱分解の際に生じるクエン酸イオンは、析出した金属銅の特定の結晶面に配位する作用を有し、これにより析出する金属銅の成長方向が制御され、プレート状という特徴的な形状の銅微粒子が得られると考えられる。したがって、クエン酸銅は、プレート状の銅微粒子の製造原料として好適である。
ここで用いるアミン化合物は、アルキルアミン、アミノアルコール及びアルコキシアミンから選ばれる少なくとも1種を含む化合物である。このアミン化合物は、クエン酸銅と錯体を形成するものであれば特に限定されない。このアミン化合物は、クエン酸銅とアルキルアミンとの錯体が加熱されクエン酸銅が分解する際に、クエン酸銅の分解反応の反応媒として機能するものである。さらに、このアミン化合物は、クエン酸銅を熱分解することで得られる銅微粒子の表面に付着し、酸化を抑制する機能を有する。
なお、アルキルアミンには、以下に説明するアミノアルコール及びアルコキシアミンは含まない。
ここで用いる還元性化合物は、クエン酸銅の分解により生じた銅イオンから金属銅を還元・遊離させる還元力を有するものであれば、特に限定されない。さらに、還元性化合物は、その沸点が70℃以上であることが好ましく、加熱工程における加熱温度以上であることがより好ましい。さらに、還元性化合物は、炭素、水素及び酸素から構成される有機溶剤に溶解する化合物であることが好ましい。
ここで用いられる有機溶剤は、上記混合物から生成する錯体等の性質を阻害しない反応溶媒として用いることができるものであれば、特に限定されずに使用できる。還元性化合物による銅イオンの還元反応は発熱反応であるため、還元反応中に揮発しない有機溶剤が好ましい。有機溶剤が揮発してしまうと、クエン酸銅−アミン化合物錯体の分解による銅イオンの生成及び生成した銅イオンの還元による金属銅の析出を制御しにくくなり、形状の安定性が劣るおそれがあり好ましくない。したがって、有機溶剤はその沸点が70℃以上であり、炭素、水素及び酸素から構成されることが好ましい。
なお、この有機溶剤には、上記したアミン化合物、還元性化合物は含まれない。
まず、反応容器中に有機溶剤を収容し、該有機溶剤中において、上記説明した原料化合物である、クエン酸銅、アミン化合物及び還元性化合物を混合する。この混合の順番は、上記化合物をどのような順番で混合しても構わない。
次に、上記で混合して得られた混合物を十分に加熱してクエン酸銅の熱分解反応を進行させる。この加熱により、錯体を形成しているクエン酸銅はクエン酸イオンと銅イオンとに分解され、銅イオンは還元性化合物により還元され、金属銅が析出、成長して銅微粒子となる。そして、このとき金属銅が析出すると同時に生成するクエン酸イオンは、析出した金属銅の特定の結晶面に配位する傾向がある。これにより、生成する銅微粒子の成長方向が制御でき、プレート状の銅微粒子が効率的に得られる。
上記の製造方法により得られる銅微粒子は、上記した各化合物の作用により、多数のプレート状の粒子を有するものである。この銅微粒子としては、例えば、長径が10〜1000nm、厚さが5〜100nmの平面形状が多角形のものが典型的な粒子として挙げられる。なお、このような大きさ及び形状は、走査電子顕微鏡により確認できる。
本発明の銅微粒子は、溶剤や樹脂等と混合し、さらにディスパース、ニーダー、3本ロールミル、プラネタリーミキサー等により混練処理を行い、次いで、脱泡することにより、ペースト組成物とすることができる。なお、本明細書において、ペースト組成物には、スラリーやインク等の粘度の低いものも包含される。
本発明の半導体装置は、上記したペースト組成物を用いて、半導体素子を素子支持部材となる基板上に接着してなるものである。すなわち、ここでペースト組成物はダイアタッチペーストとして使用される。
この導電パターンを有する基板で使用される基板は、公知の基板であればその種類は特に制限されず、例えば、有機基板、セラミック基板、ガラス基板などを使用することができる。なかでも、フレキシビリティの観点から、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)製のフィルムでもよい。
クエン酸銅(5mmol)とクエン酸(3.75mmol)、ブチルセロソルブ(3ml)を50mlのサンプルビンに入れ、アルミブロック式加熱撹拌機中、90℃で5分混合した。これにオクチルアミン(60mmol)を加え、さらに5分加熱し、銅前駆体溶液とした。この溶液を室温まで冷却した後、1−プロパノール 3mLに溶解させたヒドラジノエタノール(20mmol)を、サンプルビンの銅前駆体溶液に加え、5分撹拌した。
実施例1のオクチルアミンをヘキシルアミン 30mmolとドデシルアミン 30mmolにブチルセロソルブをブチルカルビトールに置き換えた以外は実施例1と同様の基質、操作で固体物を得た。その遠心分離した固体物を減圧乾燥すると、銅光沢をもつ銅微粒子粉体(収量 0.62g、収率 96%)が得られた。
実施例1のブチルセロソルブをブチルカルビトルアセテートに置き換えた以外は実施例1と同様の基質、操作で固体物を得た。その遠心分離した固体物を減圧乾燥すると、銅光沢をもつ銅微粒子粉体(収量 0.6g、収率 92%)が得られた。
実施例1のオクチルアミンを1−アミノ−2−プロパノール 60mmolに置き換えた以外は実施例1と同様の基質、操作で固体物を得た。その遠心分離した固体物を減圧乾燥すると、銅光沢をもつ銅微粒子粉体(収量 0.66g、収率 97.2%)が得られた。
実施例1のオクチルアミンをメトキシエチルアミン 60mmolに置き換えた以外は実施例1と同様の基質、操作で固体物を得た。その遠心分離した固体物を減圧乾燥すると、銅光沢をもつ銅微粒子粉体(収量 0.68g、収率 97.8%)が得られた。
室温でヒドラジン一水和物 13.2(mmol)と反応媒としてのメタノール5mlを予め混合した混合溶液に、シュウ酸銅 3.33(mmol)を投入して10分間撹拌し、シュウ酸銅・ヒドラジン錯体(複合化合物)を生成させた。
[粒子形状]:得られた固体生成物を走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM−7600F;SEM)で観察し、評価した。
[粒子径]:得られた固体生成物を、走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM−7600F;SEM)の観察画像に基づく個数基準の粒度分布n=10の平均値とした。このとき、長径、短径及び厚さも同様に算出できる。
次いで、実施例1及び比較例1で得られた銅微粒子を用いて銅ペーストを作製し、さらに該銅ペーストを用いて得られる硬化物について、体積抵抗、せん断強度、熱伝導率を測定した。
なお、銅ペーストは、得られた銅微粒子が85質量%となるようにターピネオールを加えて、溶液を調製し、遊星撹拌(2000rpm×2min)で混合して銅ペーストとした。
銅ペーストをガラス基板上にスクリーン印刷し、アルゴン雰囲気中で0.5h加熱して硬化(焼結)させ、5mm×20mm×20μm(厚さ)の硬化物を作製した。加熱硬化の温度は、175℃、200℃、220℃の温度でそれぞれ行った。この硬化物について、抵抗率計(三菱化学アナリテック株式会社製、商品名:ロレスター)により、体積抵抗を測定した。
2mm×2mmの接合面に金蒸着層を設けた裏面金チップを、上記銅ペーストを用いて、無垢の銅フレーム及びPPF(Ni−Pd/Auめっきした銅フレーム)にマウントし、Ar下、175℃、30分で硬化した。その後、マウント強度測定装置を用い、25℃でのせん断強度を測定した。
175℃×30分で硬化させた銅ペーストをJIS R 1611−1997に従い、レーザーフラッシュ法によりの熱伝導率を測定した。
Claims (4)
- クエン酸銅と、アルキルアミン、アミノアルコール及びアルコキシアミンから選ばれる少なくとも1種を含むアミン化合物と、還元性化合物と、を有機溶剤中で混合して混合物とし、
前記混合物を前記クエン酸銅が熱分解する温度に加熱する、
ことを特徴とするプレート状の銅微粒子の製造方法。 - 前記アミン化合物の沸点が70℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のプレート状の銅微粒子の製造方法。
- 前記加熱における温度が70〜150℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプレート状の銅微粒子の製造方法。
- 前記有機溶剤が、70℃以上の沸点を持ち、炭素、水素及び酸素から構成される溶剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレート状の銅微粒子の製造方法。
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