JP6095947B2 - コンプレッション成形用ポリプロピレン系樹脂組成物および成形品 - Google Patents

コンプレッション成形用ポリプロピレン系樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Description

本発明は、コンプレッション成形に適したポリプロピレン系樹脂組成物、および該ポリプロピレン系樹脂組成物をコンプレッション成形して得た成形品に関する。
ポリプロピレンを主成分としたポリプロピレン系樹脂組成物は、安価である上に機械的物性に優れることから、様々な用途に使用され、飲料ボトル等の食品容器用の蓋類やコンテナ類などにも広く使用されている。ポリプロピレン系樹脂組成物の成形方法としては、射出成形法、コンプレッション成形法等が用いられている。たとえば飲料ボトル用蓋の場合、主にコンプレッション成形法により成形されている。
飲料ボトル用蓋に用いられるポリプロピレン系樹脂組成物には、輸送時や使用時の落下等による破損を防止するために、高い耐衝撃強度が求められる。特に、チルド流通に適した、低温での耐衝撃強度が求められる。また、成形後に離型する際の白色化や、蓋を締め付ける際の白色化を防止するために、高い耐白化性が求められる。ボトルに飲料を高温充填する場合には耐熱性が求められる。飲料充填後の内圧による蓋の膨張を防止するために、高い剛性が求められる。また、開封時の蓋の開けやすさ(開封性)のために、滑り性やブリッジ切れが求められる。さらに、製品外観の向上のため、コンプレッション成形時に糸引き等の不具合が生じないことも求められる。
一方、従来、食品容器などの、耐衝撃強度や耐熱性が求められる成形品においては、特許文献1に記載されているような、ブロックポリプロピレン(反応ブレンド型ポリプロピレン系樹脂)を主成分として含有する樹脂組成物が用いられていた。耐熱性を必要としない場合は、特許文献2に記載されているような、高密度ポリエチレンをコンプレッション成形することで得られる成形品が用いられていた。また、キャップにしたときのクロージング性、開栓性、ならびに低温耐衝撃性に優れる樹脂組成物として、特許文献3に記載されているようなプロピレン樹脂組成物が提供されている。
しかし、特許文献1に記載の樹脂組成物は、飲料ボトル用蓋に適用するには耐白化性が不十分で、コンプレッション成形後、離型する際や、蓋を締め付ける際に、白色化するという問題があった。特許文献2に記載の樹脂組成物は、耐白化性には優れているが、耐熱性、剛性が不十分であり、さらに、軽量化の設計が困難であった。特許文献3に記載の樹脂組成物は、耐衝撃性は十分であるが、耐白化性には問題があった。
特開平7−3087号 特開2002−249150号 特開2005−314474号 特表2009−516767号 特表2002−542347号 WO2009/069483号 WO2009/057747号 特開2005−306910号 特開2004−131537号
本発明は、コンプレッション成形法により、耐白化性、低温衝撃強度、耐熱性、剛性、開封性、製品外観のバランスに優れた成形品が得られる、コンプレッション成形用ポリプロピレン系樹脂組成物、および該樹脂組成物より得られた成形品を提供することを目的とする。
本発明は、
[1]プロピレン系樹脂および造核剤を含有する、コンプレッション成形用ポリプロピレン系樹脂組成物であって、
該プロピレン系樹脂が、プロピレンの単独重合体およびエチレン単位含有量が0.5重量%以下のプロピレン・エチレン共重合体から選択される、少なくとも1種のプロピレン系重合体と、エチレン単位含有量が68〜80重量%のエチレン・プロピレン共重合体との反応ブレンド樹脂であり;
該エチレン・プロピレン共重合体の含有量が、該プロピレン系樹脂の重量を基準として13〜20重量%であり;
該プロピレン系樹脂のキシレン可溶分の135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が、1.3〜1.9dl/gであり;
該プロピレン系樹脂のキシレン不溶分のMw/Mnが7〜15であり;
造核剤の含有量が、前記プロピレン系樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部であり;そして
JIS K 7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した該樹脂組成物のメルトフローレートが6〜14g/10分である、コンプレッション成形用ポリプロピレン系樹脂組成物である。
さらに本発明は、
[2]該プロピレン系樹脂が、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;
有機アルミニウム化合物;および
ケイ素化合物から選択される外部電子供与体化合物
を含む触媒を用いて製造されたものである、上記1に記載の樹脂組成物。
[3]該プロピレン系樹脂が、該プロピレン系樹脂を構成する重合体とは異なる他の重合体を追加で含む、上記1または2に記載の樹脂組成物。
[4]該ポリプロピレン系樹脂組成物を100重量%とした際の、追加で含む重合体の含有量が、15重量%以下である、上記3に記載の樹脂組成物。
[5]該追加で含む重合体が、エチレン単位を含有する重合体である、上記3または4に記載の樹脂組成物。
[6]JIS K 7210に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定した、追加で含む重合体のメルトフローレートが、0.15〜0.45g/10分である、上記3〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[7]上記1〜6のいずれか1項に記載のコンプレッション成形用ポリプロピレン系樹脂組成物をコンプレッション成形することにより得られた成形品
にかかる。
本発明のコンプレッション成形用ポリプロピレン樹脂組成物(以下、本明細書においては単に「樹脂組成物」と称することがある。)は、プロピレン系樹脂および造核剤を含有する。ここでプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、または、エチレン単位含有量が0.5重量%以下のプロピレン・エチレン共重合体から選択することができる少なくとも1種のプロピレン系重合体と、エチレン単位含有量が68〜80重量%のエチレン・プロピレン共重合体との反応ブレンド樹脂である。プロピレン系樹脂に含まれているエチレン単位含有量が68〜80重量%のエチレン・プロピレン共重合体は、プロピレン系樹脂の重量を基準として13〜20重量%、好ましくは14〜19重量%である。
本発明の樹脂組成物においては、プロピレン系樹脂のキシレン可溶分の135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が、1.3〜1.9dl/g、特に1.3〜1.8dl/gであることが好ましい。該極限粘度が上記範囲の下限値未満であると、低温耐衝撃強度が低下する傾向があり、樹脂組成物の滑り性やブリッジ切れが悪くなり、またキャップなどの成形品にした際の開封性が低下する傾向も見られる。一方、該極限粘度が上記範囲の上限値を超えると、耐白化性が低下する傾向がある。
なお、プロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度は、プロピレン系樹脂に含まれるエチレン・プロピレン共重合体の粘度に大きく依存する値である。
本発明の樹脂組成物において、プロピレン系樹脂のキシレン不溶分のMw/Mnは、7〜15、特に8〜14であることが好ましい。該Mw/Mnが上記範囲の下限値未満であると、成形品にした際の開封性や剛性が低下する傾向がある。一方、該Mw/Mnが上記範囲の上限値を超えると、プロピレン系樹脂自体の製造が複雑になり、樹脂組成物の外観も低下する。
ここで、上記Mw/Mnにおいて、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量を示し、Mw/Mnは分子量分布を示す。Mw、Mnはそれぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の値である。
プロピレン系樹脂のキシレン不溶分のMw/Mnは、プロピレン系樹脂に含まれるプロピレン系重合体(すなわち、プロピレンの単独重合体またはエチレン単位含有量が0.5重量%以下のプロピレン・エチレン共重合体)のMw/Mnとほぼ対応している。そのため、キシレン不溶分のMw/Mnによりプロピレン系重合体のMw/Mnを評価することができる。プロピレン系重合体のMw/Mnは、重合に用いる触媒の種類、重合温度、水素濃度等の重合条件によって調節することができる。
本発明の樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は6〜14g/10分、好ましくは6〜13g/10分であることが好ましい。該MFRが上記範囲の下限値未満であると、コンプレッション成形性が低下する傾向がある。一方、該MFRが上記範囲の上限値を超えると、低温衝撃強度が低下する傾向がある。また、成形時に糸引きが生じて製品外観が悪化する傾向がある。
ここで、MFRは、JIS K 7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した値である。
(プロピレン系樹脂の製造)
本発明に使用するプロピレン系樹脂は、まず重合反応器内でプロピレンの単独重合体およびエチレン単位含有量が0.5重量%以下のプロピレン・エチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種のプロピレン系重合体を重合し、次いで得られたプロピレン系重合体が存在する重合反応器内で、エチレン・プロピレン共重合体を重合させることにより得た、反応ブレンド型ポリプロピレンである。ここで、エチレン・プロピレン共重合体は、いわゆる「ゴム成分」と呼ばれる画分であり、上記の通りエチレン単位含有量が68〜80重量%と高いものである。
後段の重合反応器にプロピレン系重合体を存在させつつエチレン・プロピレン共重合体を重合させて反応ブレンド型ポリプロピレン系樹脂を得ると、プロピレン系樹脂の生産性が向上し、またゴム成分であるエチレン・プロピレン共重合体の、樹脂中での分散性が良好になり、樹脂の物性バランスが向上する。
上記プロピレン系樹脂は、好適には多段重合法により製造することができる。例えば、1段目の重合反応器にて、プロピレン系重合体を重合し、ここで得られたプロピレン系重合体を2段目の重合反応器に供給すると共に、2段目の重合反応器にてエチレン・プロピレン共重合体を重合させることで、プロピレン系樹脂を得ることができる。この方法では、2段目の重合反応器にて、プロピレン系重合体と、生成するエチレン・プロピレン共重合体とが混合(反応ブレンド)される。
重合の際には、必要に応じて水素を添加し、分子量、Mw/Mn、プロピレン系樹脂のMFR等を調整することができる。
多段重合は上記の方法に限らず、プロピレン系重合体を複数の重合反応器にて重合してもよいし、エチレン・プロピレン共重合体を複数の重合反応器にて重合してもよい。
プロピレン系樹脂の製造には、通常、触媒が用いられる。重合反応に使用する触媒としては、公知のオレフィン重合触媒を用いることができる。中でも、所望の物性が発現するプロピレン系樹脂を容易に製造できることから、チーグラー・ナッタ触媒が好ましい。さらに好ましいものとして、例えば特許文献4の段落[0014]〜[0022]に示されるような、塩化マグネシウム(MgCl)上に担持されている、少なくとも1つのチタン−ハロゲン結合を有する少なくとも1種のチタン化合物及び少なくとも1種の電子ドナー化合物(内部ドナー)を含む、固体触媒成分を含むものが挙げられる。内部ドナーとしては、たとえば、ジカルボン酸のジエステル化合物が挙げられる。前記チーグラー・ナッタ触媒は、更に、共触媒として有機アルミニウム化合物を含むことが好ましく、さらに、場合によっては、外部電子ドナー化合物を含むことが好ましい。すなわち、本発明の樹脂組成物に含まれるプロピレン系樹脂は、典型的には、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;有機アルミニウム化合物;およびケイ素化合物から選択される外部電子供与体化合物を含む触媒を用いて製造される。
本発明の樹脂組成物の製造において使用する固体触媒成分の調製に用いられるチタン化合物としては、一般式:
Figure 0006095947

(Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4)で表される4価のチタン化合物が好適である。より具体的には、TiCl4、TiBr4、TiI4などのテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3、Ti(On−C49)Cl3、Ti(OC25)Br3、Ti(OisoC49)Br3などのトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC25)2Cl2、Ti(On−C49)2Cl2、Ti(OC25)2Br2などのジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)3Cl、Ti(OC25)3Cl、Ti(On−C49)3Cl、Ti(OC25)3Brなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH3)4、Ti(OC25)4、Ti(On−C49)4などのテトラアルコキシチタンなどが挙げられ、これらの中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物、とくにテトラハロゲン化チタンであり、とくに好ましいものは、四塩化チタンである。
本発明の樹脂組成物の製造において使用する固体触媒成分の調製に用いられるマグネシウム化合物として、マグネシウム・炭素結合やマグネシウム・水素結合を有するマグネシウム化合物、例えばジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドなどが挙げられる。これらのマグネシウム化合物は、例えば有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いる事もでき、また、液状状態であっても固体状態であってもよい。さらに好適なマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、沃化マグネシウム、弗化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムのようなアルコキシマグネシウムハライド;フエノキシ塩化マグネシウム、メチルフエノキシ塩化マグネシウムのようなアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウムのようなアルコキシマグネシウム;フエノキシマグネシウム、ジメチルフエノキシマグネシウムのようなアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなマグネシウムのカルボン酸塩などを挙げることができる。
本発明においては、プロピレン系樹脂のキシレン不溶分のMw/Mnが7以上の樹脂組成物を得やすいという点から、内部ドナーとして、コハク酸ジエステル化合物を含む固体触媒成分を用いることが好ましい。用いる内部ドナーの種類は、得られる重合体のMw/Mnに大きく影響する。内部ドナーとしてコハク酸ジエステル化合物を用いると、たとえば代表的な内部ドナー化合物であるフタル酸ジエステル化合物を用いる場合に比べて、Mw/Mnの大きいプロピレン系重合体が得られる。
コハク酸ジエステル化合物としては、例えば特許文献4の段落[0014]〜[0019]に示されるものが挙げられる。具体的には、下記一般式(I)で表されるコハク酸ジエステル(スクシネート)構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 0006095947



(式中、R及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、またはアルキルアリール基であり;R〜Rは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基、または水素原子であり、RとRとが互いに結合して環を形成してもよく、RとRとが互いに結合して環を形成してもよい。)
及びRは、好ましくは、C〜Cのアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基である。R及びRが第1級アルキル、特に分岐第1級アルキルから選択される化合物が特に好ましい。好適なR及びR基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシルである。エチル、イソブチル、及びネオペンチルが特に好ましい。
式(I)によって示される化合物の好ましい群の1つは、R〜Rが水素であり、Rが、3〜10個の炭素原子を有する、分岐アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基であるものである。好適な単置換スクシネート化合物の具体例は、ジエチル−sec−ブチルスクシネート、ジエチルテキシルスクシネート、ジエチルシクロプロピルスクシネート、ジエチルノルボニルスクシネート、ジエチルペリヒドロスクシネート、ジエチルトリメチルシリルスクシネート、ジエチルメトキシスクシネート、ジエチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジエチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジエチルフェニルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルスクシネート、ジエチルベンジルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−t−ブチルスクシネート、ジエチルイソブチルスクシネート、ジエチルイソプロピルスクシネート、ジエチルネオペンチルスクシネート、ジエチルイソペンチルスクシネート、ジエチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチルフルオレニルスクシネート、1−(エトキシカルボジイソブチルフェニル)スクシネート、ジイソブチル−sec−ブチルスクシネート、ジイソブチルテキシルスクシネート、ジイソブチルシクロプロピルスクシネート、ジイソブチルノルボニルスクシネート、ジイソブチルペリヒドロスクシネート、ジイソブチルトリメチルシリルスクシネート、ジイソブチルメトキシスクシネート、ジイソブチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジイソブチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルスクシネート、ジイソブチルベンジルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−t−ブチルスクシネート、ジイソブチルイソブチルスクシネート、ジイソブチルイソプロピルスクシネート、ジイソブチルネオペンチルスクシネート、ジイソブチルイソペンチルスクシネート、ジイソブチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルフルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−sec−ブチルスクシネート、ジネオペンチルテキシルスクシネート、ジネオペンチルシクロプロピルスクシネート、ジネオペンチルノルボニルスクシネート、ジネオペンチルペリヒドロスクシネート、ジネオペンチルトリメチルシリルスクシネート、ジネオペンチルメトキシスクシネート、ジネオペンチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジネオペンチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジネオペンチルフェニルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチルベンジルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチルイソブチルスクシネート、ジネオペンチルイソプロピルスクシネート、ジネオペンチルネオペンチルスクシネート、ジネオペンチルイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチルフルオレニルスクシネートである。
式(I)の範囲内の化合物の他の好ましい群は、R〜Rからの少なくとも2つの基が、水素とは異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基から選択されるものである。水素とは異なる2つの基が同じ炭素原子に結合している化合物が特に好ましい。好適な二置換スクシネートの具体例は、ジエチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジエチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチルー2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジエチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジイソブチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネートである。
更に、水素とは異なる少なくとも2つの基、則ちR及びR、又はR及びRが異なる炭素原子に結合している化合物も特に好ましい。好適な化合物の具体例は、ジエチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジエチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジエチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジイソブチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジイソブチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−n−プロピル−3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−n−プロピル−3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−3―シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネートである。
式Iの化合物のうち、基R〜Rのうちのいくつかが一緒に結合して環を形成している化合物も好ましく用いることができる。このような化合物として特許文献5に挙げられている化合物、例えば、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,6−ジメチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,5−ジメチルシクロペンタン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチルメチル)−2−メチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシ(シクロヘキシル)アセチル)シクロヘキサンを挙げることができる。他には、例えば特許文献6に開示されているような環状スクシネート化合物も好適に用いることができる。他の環状スクシネート化合物の例としては、特許文献7に開示されている化合物も好ましい。また、式Iの化合物のうち、基R〜Rがヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子は窒素およびリン原子を含む第15族原子あるいは酸素およびイオウ原子を含む第16族原子であることが好ましい。基R〜Rが第15族原子を含む化合物としては、特許文献8に開示される化合物が挙げられる。一方、基R〜Rが第16族原子を含む化合物としては、特許文献9に開示される化合物が挙げられる。
本発明のプロピレン樹脂組成物の製造に使用する固体触媒成分を構成するハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはこれらの混合物をあげることができ、とくに塩素が好ましい。
本発明のプロピレン樹脂組成物の製造に使用する有機アルミニウム化合物は、例えば、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、トリイソプレニルアルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシドのほかに、R 2.5Al(OR0.5などの一般式で表わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミドのようなジアルキルアルミニウムハロゲニド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドのようなアルキルアルミニウムセスキハロゲニド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのようなアルキルアルミニウムジハロゲニドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム、エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム等から選択することができる。
本発明のプロピレン樹脂組成物の製造に使用する電子供与体化合物は、一般に「外部電子供与体」と称される。このような電子供与体化合物として、有機ケイ素化合物を用いるのが好ましい。好ましい有機ケイ素化合物として、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビス−o−トリルジメトキシシラン、ビス−m−トリルジメトキシシラン、ビス−p−トリルジメトキシシラン、ビス−p−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサンなどが挙げられ、とりわけエチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、p−トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、2−ノネボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ケイ酸エチルなどが好ましい。
プロピレン系樹脂のキシレン不溶分のMw/Mnが7以上である樹脂組成物を得る他の方法として、プロピレン系重合体の重合を、2つ以上の重合反応器を用いて、それぞれの重合反応器で重合する際の水素濃度を変える方法が挙げられる。重合時の重合反応器内の水素濃度を変えると、得られるプロピレン系重合体の分子量が変化する。たとえば2つの重合反応器を用いる場合を例に挙げると、1段目の重合反応器の水素供給量よりも2段目の重合反応器への水素供給量を多くすることで、2段目の重合反応器で生成するポリプロピレン系重合体の分子量は小さくなる。そのため、複数の重合反応器間の水素濃度の差が大きいほど、得られるプロピレン系重合体のMw/Mnが大きくなり、樹脂組成物のキシレン不溶分のMw/Mnが大きくなる。この方法は、キシレン不溶分のMw/Mnの微調整ができる点でも好ましい。
プロピレン系樹脂のキシレン不溶分のMw/Mnが7以上である樹脂組成物を得るさらに別の方法として、モノマー濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いて行う方法が挙げられる。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接続されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、ポリマー生成物を回収する。この方法では、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的または部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体および/または液体混合物を下降管中に導入する。
上記の重合方法は、例えば、特表2002−520426号公報に記載された方法を適用することができる。
樹脂組成物中のプロピレン系重合体におけるエチレン単位含有量は、0〜0.5重量%、特に0〜0.3重量%であることが好ましい。プロピレン系重合体におけるエチレン単位含有量が上記範囲の上限値を超えると、剛性が低下する傾向がある。なお、エチレン単位含有量が0重量%の場合は、プロピレン系重合体がプロピレンの単独重合体であることを意味し、エチレン単位含有量が0重量%超の場合は、プロピレン系重合体がプロピレン・エチレン共重合体であることを意味する。
エチレン・プロピレン共重合体におけるエチレン単位含有量は68〜80重量%であり、特に70〜78重量%であることが好ましい。エチレン・プロピレン共重合体におけるエチレン単位含有量が上記範囲の上限値を超えると、樹脂組成物の低温衝撃強度が低下する傾向があり、上記範囲の下限値未満であると、樹脂組成物の耐白化性が低下する傾向がある。
本発明の樹脂組成物中のプロピレン系樹脂は、ゴム成分であるエチレン・プロピレン共重合体を含有する。エチレン・プロピレン共重合体の含有量は、樹脂組成物を100重量%とした際に、13〜20重量%、特に14〜19重量%であることが好ましい。ゴム成分であるエチレン・プロピレン共重合体の含有量が上記範囲の上限値を超えると、樹脂組成物から得られる成形品の剛性が低下する傾向があり、上記範囲の下限値未満であると、樹脂組成物から得られる成形品の低温衝撃強度が低下する傾向がある。
(造核剤)
造核剤は、ポリプロピレン結晶核の形成を促進させて、得られる樹脂組成物の結晶化度を向上させるものである。造核剤を含有することによって、樹脂組成物から得られる成形品の剛性が向上する。造核剤の具体例としては、ソルビトール化合物、カルボン酸の金属塩、芳香族リン酸エステル系化合物、シリカ、タルク、マイカなどが挙げられる。臭気が少ない点では、芳香族リン酸エステル系化合物が好ましい。
ソルビトール化合物としては、例えば、ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−(エチルベンジリテン)ソルビトール、1,3,2,4−(メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−(エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,2,3−トリデオキシ−4,6−5,7−ビス−o−[(4−プロピルフェニル)メチレン]ノニトールなどが挙げられる。
カルボン酸の金属塩としては、例えば、アジピン酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、アジピン酸アルミニウム、セバシン酸ナトリウム、セバシン酸カリウム、セバシン酸アルミニウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸チタン、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸クロム、ヒドロキシ−ジ−t−ブチル安息香酸アルミニウムなどが挙げられる。
芳香族リン酸エステル系化合物としては、例えば、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、アルミニウム−ビス(4,4’,6,6’−テトラ−tert−ブチル−2,2’−メチレンジフェニル−フォスファート)−ヒドロキシドなどが挙げられる。また、造核剤として、トリアミノベンゼン誘導体を用いることができる。
造核剤の含有量は、プロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜2重量部であることが好ましい。造核剤の含有量が上記範囲の下限値以上であれば、該樹脂組成物から得られる成形品の剛性をより高くでき、上限値以下であれば、造核剤に起因する臭気を抑制することができる。造核剤としてトリアミノベンゼン誘導体を用いる場合は、プロピレン系樹脂100重量部に対して0.01〜0.02重量部を混合することが好ましい。造核剤としてタルクを用いる場合は、プロピレン系樹脂100重量部に対して0.3〜2重量部を混合することがより好ましい。トリアミノベンゼン誘導体およびタルク以外の造核剤を用いる場合は、プロピレン系樹脂100重量部に対して0.1〜0.4重量部の造核剤を混合することができる。造核剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせることもできる。
(他の重合体)
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、該プロピレン系樹脂を構成する重合体とは異なる他の重合体が追加で含まれてもよい。他の重合体としては、公知の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン又は炭素数4〜10のα−オレフィン単独重合体、エチレンまたは炭素数3〜10のα−オレフィンの共重合体(ジエンを含んでもよい)、これらの混合物、ナイロン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、石油樹脂などが挙げられる。エチレン又は炭素数4〜10のα−オレフィン単独重合体としては、具体的に、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ(3−メチル−1−ペンテン)、ポリ(3−メチル−1−ブテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−へプテン、ポリ−1−オクテン、ポリ−1−デセン、ポリスチレン及びこれらの組み合わせが挙げられる。エチレン系ランダム共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、エチレン・(1−)ブテン共重合体、エチレン・(1−)ペンテン共重合体、エチレン・(1−)ヘキセン共重合体、エチレン・(1−)オクテン共重合体、エチレン・(1−)デセン共重合体およびこれらの組合せが挙げられる。ブロック共重合体としては、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、エチレン・エチレン・ブチレン・エチレンブロック共重合体およびこれらの組合せが挙げられる。また、2種以上の重合体の混合物の場合、ランダム共重合体とブロック共重合体等、異なるタイプの重合体を組み合わせても良い。これらの中でも、エチレン単位を含有する重合体を用いることが非常に好ましい。追加で含まれる他の重合体は、JIS K 7210に従う温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトフローレートの値が0.15〜0.45g/10分のものである。この際、追加で含まれる重合体が2種以上の重合体の混合物の場合は、混合物のメルトフローレートの値が上記範囲にあるものである。また、追加で含まれる他の重合体の含有量は、プロピレン系樹脂に対して、0〜15重量%、好ましくは1〜15重量%である。
(添加剤)
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤が含まれてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、顔料等が挙げられる。顔料としては、着色顔料(酸化チタン、ベンガラ、黄鉛、群青、紺青、カーボンブラック等の無機顔料や、アゾレーキ不溶性アゾ、縮合アゾ、アントラキノン、キナクリドン、フタロシアニン等の有機顔料、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク等のフレーク顔料)、体質顔料(カオリン、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等)、機能性顔料(防錆顔料、蛍光顔料、示温顔料、光触媒顔料、潤滑性顔料等)等が含まれても良い。
本発明の樹脂組成物は、プロピレン系樹脂と、造核剤と、必要に応じて、他の重合体、添加剤とを配合した後、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等公知の混練機を用いて溶融混練することにより製造することができる。
(成形品)
本発明の樹脂組成物は、コンプレッション成形により成形品に加工される。コンプレッション成形の際の条件は特に制限されず、ポリプロピレン系樹脂組成物の成形に従来用いられている条件と同様であってよく、目的の成形品の形状や大きさ、使用するコンプレッション成形機の種類や規模に応じて適宜選択される。
本発明のコンプレッション成形用ポリプロピレン樹脂組成物は、コンプレッション成形に適したものであり、該コンプレッション成形用ポリプロピレン樹脂組成物をコンプレッション成形して得られる成形品は、耐白化性、低温衝撃強度、耐熱性、剛性、開封性、製品外観のバランスに優れたものである。本発明の成形品は、食品容器、その蓋類、コンテナ類などに利用でき、特に飲料ボトル用蓋に好適に利用できる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、従来法を適宜組み合わせて製造することができる。本発明のプロピレン系樹脂組成物を構成するプロピレン系樹脂は、好適には多段重合法により製造することができる。例えば、以下の方法により製造することができる:
まず、上記の適切な固体触媒、有機アルミニウム化合物(例えばトリエチルアルミニウム)、および外部ドナー(例えばジシクロペンチルジメトキシシラン等のシラン化合物)を好適な割合で接触させる。この際、トリエチルアルミニウム(以下、「TEAL」と称することがある。)とジシクロペンチルジメトキシシラン(以下、「DCPMS」と称することがある。)との重量比(TEAL/DCPMS)は、好ましくは0.5〜40、さらに好ましくは1.0〜20である。次いで得られた固体触媒系を、液体プロピレン中に懸濁させ、予備重合を行う。得られた予備重合物を直列に配置された重合反応器の第一段目(前段)に導入し、さらにプロピレン(およびエチレン)を導入してプロピレン系重合体(プロピレン単独重合体またはプロピレン・エチレン共重合体)を重合させる。ここでプロピレン・エチレン共重合体を製造する場合、重合反応器に導入するエチレンの濃度は0.01〜0.12mol%、好ましくは0.02〜0.10mol%である。得られたプロピレン系重合体を第2段目(後段)の重合反応器に供給し、ここにエチレンおよびプロピレンを導入して、エチレン・プロピレン共重合体を重合させる。第2段目の重合反応器に導入するエチレンのモル量の、プロピレンとエチレンとの総モル量に対する割合は、52〜78%、好ましくは54〜76%である。こうして、多段重合法により、反応ブレンド型の本発明のプロピレン系樹脂を得ることができる。直列に配置された多段重合反応器を用いなくても、複数の重合反応器を用意して、順次重合反応を行うこともできる。また、第一段目および第二段目の重合反応を、それぞれ複数回行ってもよい。各重合反応工程において、分子量、Mw/Mn、あるいはプロピレン系樹脂のMFRを調整する目的で、水素を導入しても良い。
続いて、得られたプロピレン系樹脂に、好適な造核剤を混練する。プロピレン系樹脂と造核剤、必要に応じて、他の重合体、添加剤とを適切な割合で配合し、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等公知の混練機を用いて、溶融混練することができる。プロピレン系樹脂100重量部に対する造核剤の配合比は、0.01〜2重量部、好ましくは0.1〜1.5重量部である。
さらに、得られたプロピレン系樹脂に、好適な他の重合体を、上記の重合反応工程および/または溶融混練により追加してもよい。プロピレン系樹脂に対する他の重合体の配合比は、15重量%以下が好ましい。
以下に、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
重合に用いる固体触媒を、特許文献4(特表2009−516767号)の実施例1に記載された方法により調製した。具体的な製造方法は以下の通りである:窒素でパージした500mLの四つ口丸底フラスコ中に、250mLのTiClを0℃において導入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl・1.8COH(USP4,399,054の実施例2に記載された方法によるが、10000rpmの代わりに3000rpmで操作して調製した)、及び9.1ミリモルのジエチル2,3−(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。温度を100℃に昇温し、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、以下の操作を2回繰り返した:250mLの新鮮なTiClを加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。固体を、60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄した。このようにして、MgCl上にTiと内部ドナーとしてのジエチル2,3−(ジイソプロピル)サクシネートを担持させた固体触媒を得た。
上記固体触媒と、トリエチルアルミニウム(TEAL)およびジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を、固体触媒に対するTEALの重量比が11であり、TEAL/DCPMSの重量比が3となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。
得られた予備重合物を、2段の重合反応器を直列に備える重合装置の前段の重合反応器に導入してプロピレン系重合体(プロピレン単独重合体)を重合させた。得られたプロピレン単独重合体を後段の重合反応器に供給し、後段の重合反応器にて、エチレン・プロピレン共重合体を重合させた。その際、表1に記載した各重合反応器への水素供給量(分子量、MFR調整の目的で使用)、および後段の重合反応器へのエチレンの供給量、また、重合温度、重合圧力、前段と後段の滞留時間を調整することによって、表に示す実施例1のプロピレン系樹脂を得た。
得られたプロピレン系樹脂に、造核剤として芳香族リン酸エステル系化合物(ADEKA社製NA−18)とタルク(ネオライト興産社製ネオタルクUNI05)を上記プロピレン系樹脂に配合し、押出機を用いて230℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。造核剤は、樹脂組成物100重量部に対し、NA−18が0.2重量部、タルクが1.0重量部となるように配合した。
[実施例2〜7]
実施例2は、前段および後段の重合反応器の水素濃度を表1に示す様に変更した以外は、実施例1と同様にして表に示すプロピレン系樹脂を得た。
実施例3は、前段および後段の重合反応器の水素濃度を表1に示す様に変更した以外は、実施例1と同様にして表に示すプロピレン系樹脂を得た。
実施例4は、前段の重合反応器の水素濃度を表1に示すように変更するとともに、後段の重合反応器の滞留時間を前段の重合反応器の滞留時間に比較して相対的に増加させた以外は、実施例1と同様にして表に示すプロピレン系樹脂を得た。
実施例5は、前段および後段の重合反応器の水素濃度と、後段の重合反応器のエチレン濃度を表1に示す様に変更した以外は、実施例1と同様にして表に示すプロピレン系樹脂を得た。
実施例6は、前段の重合反応器の水素濃度を表1に示すように変更するとともに、後段の重合反応器の滞留時間を前段の重合反応器の滞留時間に比較して相対的に増加させ得た以外は、実施例1と同様にして表に示すプロピレン系樹脂を得た。そしてその後、さらに追加の重合体として、高分子量高密度ポリエチレン(HDPE)(商品名:ノバテックHB130R(日本ポリエチレン株式会社製))と水添スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、SEBS)(商品名:タフテックH1062(旭化成ケミカルズ株式会社製)とを、各々上記プロピレン系樹脂に対して7重量%および3重量%を配合した。
実施例7は、実施例6のプロピレン系樹脂にさらに追加の重合体として、エチレン・1−ブテン共重合体(EBR)(商品名:エンゲージHM7487(ダウ・ケミカル日本株式会社製)を、各々上記プロピレン系樹脂に対して10重量%を配合した。
得られたプロピレン系樹脂に、実施例1と同様に造核剤として芳香族リン酸エステル系化合物(ADEKA社製NA−18)とタルク(ネオライト興産社製ネオタルクUNI05)を上記プロピレン系樹脂に配合し、押出機を用いて230℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。造核剤は、樹脂組成物100重量部に対し、NA−18が0.2重量部、タルクが1.0重量部となるように配合した。
[比較例1〜2]
フタレート系の固体触媒を使用して、実施例1と概ね同様方法により予備重合を行なった。フタレート系の固体触媒の製造方法は、欧州特許第674991号公報に記載された方法により調製した。具体的には以下の通り製造した:無水塩化マグネシウム48g、無水エチルアルコール77gおよび灯油830mLをタービン攪拌機と引抜管とを備えた2リットルのオートクレーブに不活性ガス下に室温で導入した。オートクレーブの内容物を攪拌下に120℃に加熱して、このようにしてMgCl2 とアルコールとの間の付加物を生成し、この付加物は溶融し且つ灯油に分散したままであった。15気圧の窒素圧力をオートクレーブ内で維持する。オートクレーブ引抜管を加熱ジャケットによって120℃に外部的に加熱したが、加熱ジャケットは内径1mmを有し且つ加熱ジャケットの一端から他端まで3mであった。次いで、分散液を管に約7m/秒の速度で流した。管の出口において、分散液を5リットルのフラスコに攪拌下に捕集した(前記フラスコは灯油2.5リットルを含有し且つ−40℃の初温に維持されたジャケットで外部的に冷却した)。分散液の最終温度は、0℃である。分散液の分散相を構成する球状固体生成物を沈降させ、次いで、濾過し、固体をヘキサンのアリコートで洗浄し、次いで、乾燥することによって分離した。これらの全ての工程は窒素ガス雰囲気中で行った。最大直径50μm未満の固形球状粒子の形のMgCl2 ・3C2 5 OH付加物130gが得られた。固体付加物を真空下で2時間乾燥し、乾燥完了後に105gであった。固体生成物を窒素流中で約60℃の温度に加熱して、アルコールを付加物から部分的に除去し、それによって MgCl2 ・2.1C2 5 OH付加物を得た。次いで、この付加物を使用して、次の通り固体触媒成分を調製する。冷却器、機械的攪拌機および温度計を備えた1リットルのガラスフラスコにTiCl4 625mL、次いで、MgCl2 ・2.1C2 5 OH付加物25gを攪拌下に0℃で無水窒素雰囲気中で導入した。フラスコの内容物を1時間で100℃に昇温した。温度が40℃に達する時に、フタル酸ジイソブチル9ミリモルをフラスコに導入した。温度を100℃に2時間維持した後、内容物を沈降させ、次いで、液体をサイフォンで移した。TiCl4 550mLを加え、120℃に1時間加熱した。次いで、内容物を沈降させ、液体をサイフォンで移した。次いで、固体残渣を60℃の無水ヘキサン200ccで6回洗浄し、室温で3回洗浄して、固体触媒成分を得た。上記固体触媒と、TEAL及びDCPMSを、固体触媒に対するTEALの重量比が18であり、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、室温において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。
得られた予備重合物を、2段の重合反応器を直列に備える重合装置の前段の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体を重合させた。該プロピレン系重合体を後段の重合反応器に供給し、後段の重合反応器にて、エチレン・プロピレン共重合体を重合させた。その際、表2に示した各重合反応器へのエチレン供給量および水素供給量(分子量、MFR調整の目的で使用)、また、重合温度、重合圧力、前段と後段の滞留時間を調整することによって、表に示すプロピレン系樹脂を得た。比較例1ならびに2は、エチレン・プロピレン共重合体中のエチレン濃度、キシレン可溶分の極限粘度、キシレン不溶分の分子量分布が本発明の範囲を満たさないものを得た。
得られたプロピレン系樹脂に、造核剤として芳香族リン酸エステル系化合物(ADEKA社製NA−18)とタルク(ネオライト興産社製ネオタルクUNI05)をさらに配合し、押出機を用いて230℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。造核剤は、樹脂組成物100重量部に対し、NA−18が0.2重量部、タルクが1.0重量部となるように配合した。
[比較例3〜4]
実施例1と同様の固体触媒を用い、実施例1と同様の方法で予備重合を行った。2段の重合反応器を直列に備える重合装置の前段の重合反応器に導入してプロピレン系重合体(プロピレン単独重合体)を重合させた。得られたプロピレン単独重合体を後段の重合反応器に供給し、後段の重合反応器にて、エチレン・プロピレン共重合体を重合させた。その際、表2に示した各重合反応器へのエチレン供給量および水素供給量(分子量、MFR調整の目的で使用)、また、重合温度、重合圧力、前段と後段の滞留時間を調整することによって、表に示すプロピレン系樹脂を得た。
得られたプロピレン系樹脂に、造核剤として芳香族リン酸エステル系化合物(ADEKA社製NA−18)とタルク(ネオライト興産社製ネオタルクUNI05)をさらに配合し、押出機を用いて230℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。造核剤は、樹脂組成物100重量部に対し、NA−18が0.2重量部、タルクが1.0重量部となるように配合した。
比較例3は、前段および後段の重合反応器の水素濃度と、後段の重合反応器のエチレン濃度を実施例1から表2に示した様に変更し、さらに後段の重合反応器の滞留時間を前段の重合反応器の滞留時間に比較して相対的に増加させ、エチレン・プロピレン共重合体中のエチレン濃度、エチレン・プロピレン共重合体の含有量、組成物のMFRが、本発明の範囲に入らないものを製造した。比較例4は、重合条件(特に後段の重合反応器の水素濃度)を実施例1から表2に示した様に変更し、プロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度が本発明の範囲に入らないものを製造した。
[比較例5]
実施例1と同様の固体触媒を用い、実施例1と同様の方法で予備重合を行った。2段の重合反応器を直列に備える重合装置の前段の重合反応器に導入してプロピレン系重合体(プロピレン単独重合体)を重合させた。得られたプロピレン単独重合体を後段の重合反応器に供給し、後段の重合反応器にて、エチレン・プロピレン共重合体を重合させた。その際、表2に示した各重合反応器へのエチレン供給量および水素供給量(分子量、MFR調整の目的で使用)、重合温度、重合圧力、前段と後段の滞留時間を調整することによって、表に示すプロピレン系樹脂を得た。
比較例5は、造核剤を含まない樹脂組成物である。
[比較例6]
実施例1と同様の固体触媒を用い、実施例1と同様の方法で予備重合を行った。2段の重合反応器を直列に備える重合装置の前段の重合反応器に導入してプロピレン系重合体(プロピレン単独重合体)を重合させた。得られたプロピレン単独重合体を後段の重合反応器に供給し、後段の重合反応器にて、エチレン・プロピレン共重合体を重合させた。その際、表2に示した各重合反応器へのエチレン供給量および水素供給量(分子量、MFR調整の目的で使用)、後段の重合反応器の滞留時間を前段の重合反応器の滞留時間の割合、重合温度、重合圧力を調整することによって、表に示すプロピレン系樹脂を得た。
比較例6は、特に前段の重合反応器の水素濃度を実施例1から表2に示した様に減少させ、樹脂組成物のMFRが本発明の範囲に入らないものを製造した。
[比較例7]
実施例1と同様の固体触媒を用い、実施例1と同様の方法で予備重合を行った。2段の重合反応器を直列に備える重合装置の前段の重合反応器にプロピレンとともに0.17mol%のエチレンを導入してプロピレン系重合体(プロピレン・エチレン共重合体)を重合させた。得られたプロピレン・エチレン共重合体を後段の重合反応器に供給し、後段の重合反応器にて、エチレン・プロピレン共重合体を重合させた。その際、表2に示した後段の重合反応器の水素濃度を変更した以外は、実施例1と同様にして、表に示すプロピレン系樹脂を得た。
得られたプロピレン系樹脂に、造核剤として芳香族リン酸エステル系化合物(ADEKA社製NA−18)とタルク(ネオライト興産社製ネオタルクUNI05)をさらに配合し、押出機を用いて230℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。造核剤は、樹脂組成物100重量部に対し、NA−18が0.2重量部、タルクが1.0重量部となるように配合した。
比較例7は、プロピレン系重合体中のエチレン濃度が本発明の範囲に入らないものを製造した。
[比較例8〜9]
実施例1と同様の固体触媒を用い、実施例1と同様の方法で予備重合を行った。2段の重合反応器を直列に備える重合装置の前段の重合反応器に導入してプロピレン系重合体(プロピレン単独重合体)を重合させた。得られたプロピレン単独重合体を後段の重合反応器に供給し、後段の重合反応器にて、エチレン・プロピレン共重合体を重合させた。その際、表3に示した各重合反応器へのエチレン供給量および水素供給量(分子量、MFR調整の目的で使用)、重合温度、重合圧力を調整することによって、表に示すプロピレン系樹脂を得た。
得られたプロピレン系樹脂に、造核剤として芳香族リン酸エステル系化合物(ADEKA社製NA−18)とタルク(ネオライト興産社製ネオタルクUNI05)をさらに配合し、押出機を用いて230℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。造核剤は、樹脂組成物100重量部に対し、NA−18が0.2重量部、タルクが1.0重量部となるように配合した。
比較例8および9は、特にそれぞれ後段の重合反応器のエチレンの濃度を実施例1から表3に示した様に減少および増加させ、エチレン・プロピレン系共重合体中のエチレン濃度が本発明の範囲に入らないものを製造した。
[比較例10]
実施例1と同様の固体触媒を用い、実施例1と同様の方法で予備重合を行った。2段の重合反応器を直列に備える重合装置の前段の重合反応器に導入してプロピレン系重合体(プロピレン単独重合体)を重合させた。得られたプロピレン単独重合体を後段の重合反応器に供給し、後段の重合反応器にて、エチレン・プロピレン共重合体を重合させた。その際、表3に示した各重合反応器へのエチレン供給量および水素供給量(分子量、MFR調整の目的で使用)、重合温度、重合圧力を調整することによって、表に示すプロピレン系樹脂を得た。
比較例10は、特に前段の重合反応器の水素の濃度を実施例1から表2に示した様に増加させ、樹脂組成物のMFRが本発明の範囲に入らないものを製造した。
[比較例11〜13]
比較例11は、まず、実施例1の前段の重合反応器の水素濃度を表3に示すように変更するとともに、後段の重合反応器の滞留時間を前段の重合反応器の滞留時間に対して増加させてプロピレン系樹脂を得た。そして、さらに追加の重合体として、エチレン・1−ブテン共重合体(EBR、商品名:エンゲージENG7380(ダウ・ケミカル日本株式会社製)を、上記プロピレン系樹脂に対して10重量%を配合した。
比較例12は、まず、実施例1の前段の重合反応器の水素濃度を表3に示すように変更するとともに、後段の重合反応器の滞留時間を前段の重合反応器の滞留時間に対して増加させてプロピレン系樹脂を得た。そして、さらに追加の重合体として、エチレン・1−オクテン共重合体(EOR、商品名:エンゲージENG8445(ダウ・ケミカル日本株式会社製)を、上記プロピレン系樹脂に対して10重量%を配合した。
比較例13は、まず、実施例1の前段の重合反応器の水素濃度を表3に示すように変更するとともに、後段の重合反応器の滞留時間を前段の重合反応器の滞留時間に対して増加させてプロピレン系樹脂を得た。そして、さらに追加の重合体として、高密度ポリエチレン(HDPE、商品名:ノバテックHF313(日本ポリエチレン株式会社製)を、上記プロピレン系樹脂に対して10重量%を配合した。
得られたプロピレン系樹脂に、造核剤として芳香族リン酸エステル系化合物(ADEKA社製NA−18)とタルク(ネオライト興産社製ネオタルクUNI05)をさらに配合し、押出機を用いて230℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。造核剤は、樹脂組成物100重量部に対して、NA−18が0.2重量部、タルクが1.0重量部となるように配合した。
なお、比較例11〜13は、追加の重合体の190℃でのMFRが本発明の範囲に入らないものを製造したものである。
実施例、比較例にて製造したプロピレン系樹脂組成物と、その性能を表1〜3に記載する。
Figure 0006095947
Figure 0006095947
Figure 0006095947
プロピレン系重合体中またはエチレン・プロピレン共重合体中のエチレン濃度、プロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度(以下、「XSIV」と称する。)、プロピレン系樹脂のキシレン不溶分の分子量分布Mw/Mn、プロピレン系樹脂組成物のMFR、追加の重合体のMFRの測定方法を以下に示す。
また、各樹脂組成物について、耐衝撃性、剛性、耐白化性、ブリッジ切れ(ブリッジ部破断伸び)を以下のように評価した。なお、各樹脂組成物について、当該物性の評価結果がコンプレッション成形での評価結果と同様となる傾向がある、別の成形法(射出成形、またはプレス成形)により成形した試料を用いて評価したものである。
[重合体中のエチレン濃度]
1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子社製 JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定を行った。
[キシレン不溶分]
樹脂組成物2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250mL入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間、攪拌し、樹脂組成物を完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却を行った。得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。このとき濾紙上に残った残留物(キシレン不溶成分と溶媒の混合物)にアセトンを加えて濾過した後、濾過されなかった成分を、80℃設定の真空乾燥オーブンにて、蒸発乾固させ、キシレン不溶分を得た。
[キシレン可溶分]
上記のキシレン不溶分を得た際の、濾過後の濾液を100mL採取し、アルミカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置し、キシレン可溶分を得た。
[XSIV]
上記のキシレン可溶分を試料とし、ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラヒドロナフタレン中で極限粘度の測定を行った。
[プロピレン系樹脂のキシレン不溶分の分子量分布(Mw/Mn)]
上記のキシレン不溶分を試料とし、以下の様に分子量分布(Mw/Mn)の測定を行った。
装置としてポリマーラボラトリーズ社製PL GPC220を使用し、酸化防止剤を含む1,2,4−トリクロロベンゼンを移動相とし、カラムとして昭和電工社製UT−G(1本)、UT−807(1本)、UT−806M(2本)を直列に接続したものを使用し、検出器として示差屈折率計を使用した。また、キシレン不溶分の試料溶液の溶媒としては移動相と同じものを使用し、1mg/mLの試料濃度で、150℃の温度で振とうさせながら2時間溶解して測定試料を調整した。これにより得た試料溶液500μLをカラムに注入し、流速1.0mL/分、温度145℃、データ取り込み間隔1秒で測定した。カラムの較正には、分子量580〜745万のポリスチレン標準試料(shodex STANDARD、昭和電工株式会社製)を使用し、三次式近似で行った。Mark−Houkinsの係数は、ポリスチレン標準試料に関しては、K=1.21×10−4、α=0.707、ポリプロピレン系重合体に関しては、K=1.37×10−4、α=0.75を使用した。
[樹脂組成物のMFR]
樹脂組成物のMFRは、JIS K 7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
[追加の重合体のMFR]
JIS K 7210に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
[耐衝撃性]
各樹脂組成物を、成形機としてFANUC社製α100Cを用い、成形温度230℃、成形圧力50MPaで射出成形して、130×130×2mm板状の成形品を作製した。
この成形品について、0℃の環境下の面衝撃強度(J)を、面衝撃強度測定装置(島津製作所社製ハイドロショット)により測定し、以下の基準で耐衝撃性を評価した。
◎:衝撃吸収エネルギーが20J以上
○:衝撃吸収エネルギーが10J以上
×:衝撃吸収エネルギーが10J未満
[剛性]
JIS K6921−2に準拠し、各樹脂組成物の曲げ弾性率を測定した。
[耐白化性]
各樹脂組成物を、成形機としてFANUC社製α100Cを用い、成形温度230℃、成形圧力50MPaで射出成形して、130×130×2mm板状の成形品を作製した。
この成形品を、島津製作所社製ハイドロショットを用いて、成形品を破壊しない程度の衝撃を加えたときの白色化の有無を目視で観察し、以下の基準で耐白化性を評価した。
◎:白化が見られなかった。
○:僅かに白化が見られた。
×:白化が見られた。
[ブリッジ部破断伸び]
各樹脂組成物を、成形機として株式会社ショージ社製50トンプレス成形機を用い、溶融温度230℃で樹脂を溶融した後、10℃で冷却したプレス盤にて成形圧力100MPaでプレス成形して、中央に直径2mmの半円柱状のブリッジ部を4本持つ110×25×2mm板状の成形品を作製した。成形後24時間以上経過後に、ブリッジ部4箇所のみが残るように、ナイフでスリットを入れた後に、この成形品のブリッジ部の破断伸び(mm)を東洋ボールドウィン株式会社製TENSILON UTM−III−500を用いて、2mm/分の引張速度で測定し、以下の基準でブリッジ切れを評価した。
◎:ブリッジ部の伸びが小さく、切れが良い
○:ブリッジ部の伸びが中程度で、切れが良い
×:ブリッジ部の伸びが大きく、切れが悪い
上記結果に示すように、実施例1〜7の樹脂組成物をコンプレッション成形での評価結果と同様となる傾向がある別の成形法によって得られた成形品は、耐衝撃性、剛性、耐白化性、ブリッジ切れ特性のバランスが良好であった。
一方、フタレート系触媒を用いて重合させた比較例1は、耐白化性、ブリッジ切れ特性が劣っており、比較例2は、耐白化性が劣っていた。
エチレン・プロピレン共重合体の含有量が多く、エチレン・プロピレン共重合体中のエチレン濃度が少ない比較例3は、剛性が低く、耐白化性が劣っていた。また、MFRの値がコンプレッション成形には適さないため、ブリッジ切れ特性の評価は実施しなかった。
プロピレン系樹脂のキシレン可溶分のXSIVが低い比較例4は、ブリッジ切れ特性に劣っていた。
造核剤を含まない比較例5は、ブリッジ切れ特性に劣っていた。
樹脂組成物のMFRが低い比較例6は、MFRの値がコンプレッション成形には適さないため、ブリッジ切れ特性の評価は実施しなかった。
プロピレン系重合体中にエチレン濃度を含有する比較例7は、ブリッジ切れ特性が劣っていた。
エチレン・プロピレン共重合体中のエチレン濃度が少ない比較例8は、耐白化性およびブリッジ切れ特性が劣っていた。
エチレン・プロピレン共重合体中のエチレン濃度が多い比較例9は、ブリッジ切れ特性が劣っていた。
樹脂組成物のMFRが高い比較例10は、耐衝撃性に劣り、また、MFRがコンプレッション成形に適さないため、ブリッジ切れ特性の評価は実施しなかった。
追加の重合体のMFR(190℃)が高い比較例11および比較例12は、ブリッジ切れ特性が劣っていた。さらに、追加の重合体のMFR(190℃)が低い比較例13は、耐衝撃性、耐白化性が劣っていた。
本発明の樹脂組成物およびその成形品は、食品容器の蓋類、コンテナ類などに利用でき、特に飲料ボトル用蓋に好適に利用できる。

Claims (4)

  1. プロピレン系樹脂および造核剤を含有する、コンプレッション成形用ポリプロピレン系樹脂組成物であって、
    該プロピレン系樹脂が、プロピレンの単独重合体およびエチレン単位含有量が0.5重量%以下のプロピレン・エチレン共重合体から選択される、少なくとも1種のプロピレン系重合体と、エチレン単位含有量が68〜80重量%のエチレン・プロピレン共重合体との反応ブレンド樹脂であり;
    該エチレン・プロピレン共重合体の含有量が、該プロピレン系樹脂の重量を基準として13〜20重量%であり;
    該プロピレン系樹脂を構成する重合体とは異なる追加重合体を、含まないか、あるいは該ポリプロピレン系樹脂組成物中15重量%以下の量で含有し;
    該プロピレン系樹脂のキシレン可溶分の135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が、1.3〜1.9dl/gであり;
    該プロピレン系樹脂のキシレン不溶分のMw/Mnが7〜15であり;
    造核剤の含有量が、前記プロピレン系樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部であり;
    該追加重合体を含む場合は、該追加重合体のJIS K 7210に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定した、メルトフローレートが、0.15〜0.45g/10分であり;そして
    JIS K 7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した該樹脂組成物のメルトフローレートが6〜14g/10分である、コンプレッション成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 該プロピレン系樹脂が、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;
    有機アルミニウム化合物;および
    ケイ素化合物から選択される外部電子供与体化合物
    を含む触媒を用いて製造されたものである、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 該追加重合体が、エチレン単位を含有する重合体である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンプレッション成形用ポリプロピレン系樹脂組成物をコンプレッション成形することにより得られた成形品。
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