JP6090282B2 - 円筒孔内周面の断熱層形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、円筒孔の内周面に断熱層を形成する断熱層形成方法、断熱層形成構造、及び該断熱層形成構造を備えたエンジンに関するものである。
エネルギーの供給を必要とする産業機器や民生機器では、エネルギー効率を高めるために、従来より各種の断熱材が使用され、また、断熱材の研究開発も行なわれている。例えば、自動車においては、エンジンの冷却損失を低減し、その熱効率を高めるために、燃焼室の壁面に設ける断熱層の研究開発が進められている。
そこで、このような断熱層として、例えば特許文献1には、スプレー塗布法により形成された、中空粒子がシリコーン樹脂層中に分散している構造のものが記載されている。また、特許文献2には、中空粒子が細密充填状態でZrO層内に配置されている構造が記載されている。
ところで、エンジンの冷却損失を低減するために断熱層を設ける箇所は、ピストン頂面、ピストンと対面するシリンダヘッド、吸排気バルブ、シリンダボア面等があるが、このうち、シリンダボア面への断熱層形成方法、及び断熱層構造については、前記両特許文献には具体的な記載がない。
この点、特許文献3には、シリンダライナにおいて、ピストン上死点位置のトップリングよりも燃焼室側の少なくとも一部分を円周方向全周にわたって内周から外周に連続する断熱材料の溶射部で形成した構造が記載されている。
特開2014−1718号公報 国際公開第2009/020206号パンフレット 特開2014−80903号公報
一般に、断熱層の断熱性能を考慮すると、断熱層の厚さはできる限り均一であることが望ましい。しかし、例えば溶射等の従来の方法により、円筒孔の内周面のみに均一な厚さの断熱層を形成することは極めて困難である。従って、前記特許文献3に記載のものでは、シリンダライナの外周面に環状溝を形成し、溶射により断熱材料をこの環状溝内に充填した後、内周面を研削して内周面側に断熱層を露出させている。この方法によれば均一な断熱層を形成することが可能である。
しかしながら、本方法では、シリンダライナ外周面と内周面の両面の研削が必要であり、労力を要すため現実的ではない。また、一般に、溶射部はポーラスであるため、シリンダブロックの熱変形に起因するクラックの発生や表面粗さの影響による燃焼ガス流れの乱れ等も問題となる。
そこで、特許文献1のような、中空粒子含有シリコーン系樹脂断熱層を円筒孔の内周面に形成することにより、シリンダブロックの熱変形を吸収することが有効であると考えられる。しかし、シリコーン系樹脂等の材料は溶射材と比べて硬度が低い。このため、断熱層を形成した後に、ピストンをシリンダブロック上部(シリンダヘッド側)から挿入すると、その挿入途中でピストンリングによってシリコーン樹脂断熱層表面に傷が発生することが懸念される。
従って、本発明は、エンジンのシリンダブロックのシリンダボア面等、円筒孔の内周面に断熱層を設ける際に、簡便に断熱層を形成する方法、そのような断熱層が形成された構造、及びそのような構造を有するエンジンを提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明では、金属製の薄板上に中空粒子含有シリコーン系樹脂等の断熱材を略均一に塗布して塗膜を形成し、その塗膜側が内周面となるように前記薄板とともに円筒状に丸める加工を行い、この塗膜付薄板を熱処理後、円筒孔の内周面に設置することにより、円筒孔の内周面に断熱層を形成するようにした。
すなわち、ここに開示する断熱層形成方法は、エンジンのシリンダブロックのシリンダボア面に断熱層を形成する断熱層形成方法であって、前記シリンダボア面のピストンの上死点におけるトップリングの位置よりもシリンダヘッド側に段状に拡径した拡径部を形成する拡径工程と、金属薄板の表面に前記薄板よりも熱伝導性の低い断熱材を略均一の厚さに塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜が形成された塗膜付薄板を、該薄板の塗膜が形成されていない裏面が前記シリンダボア面の拡径部に接触可能となるように円筒状に成形する成形工程と、前記成形された塗膜付薄板を熱処理して前記塗膜を断熱層に変える熱処理工程と、ピストン挿入用の治具を前記シリンダボア面の前記拡径部に配置し、該治具を通じて前記シリンダボアに前記ピストンを挿入するピストン挿入工程と、前記ピストン挿入工程後に、前記拡径部に前記熱処理された断熱層付薄板を設置する設置工程とを備えたことを特徴とする。
本構成によれば、平坦な金属薄板上に断熱材の塗膜を形成するため、略均一の厚さを有する良好な膜質の塗膜を容易に形成することができる。そして、塗膜付薄板をシリンダボアシリンダボア面に合わせて円筒状に加工し、塗膜を焼成して断熱層を形成し、この断熱層付薄板をシリンダボア内に設置するので、簡便にシリンダボア内に略均一の厚さを有する良好な膜質の断熱層を形成することができる。そして、拡径部を形成し、前記断熱層付薄板をこの拡径部に設置することにより、断熱層をより確実に固定することができる。また、所望の位置に拡径部を形成することにより、所望の位置に断熱層を形成することができる。また、シリンダブロックの下部は、オイルジェット装置等が配置されており、またコンロッドのメインジャーナル間隔がシリンダボアの径よりも狭いため、ピストンはシリンダブロックのシリンダヘッド側から挿入する以外に方法はない。しかし、上述のごとく、シリンダボアの内周面に断熱層を形成してからピストンを挿入すれば、溶射層よりも硬度の低い断熱層はピストンリングにより傷つく可能性がある。そこで、前記構成とすることにより、断熱層形成前にピストンを挿入することができ、ピストンリングが断熱層を傷つけることなく、ピストンを挿入することができる。また、断熱層付薄板はピストン上死点のトップリングの位置よりもシリンダヘッド側に設置されるため、ピストンの摺動時においてもピストンリングが断熱層表面に接触することがなく、断熱層の劣化を防止することができる。
ここで、前記塗膜を形成する方法としては、例えば、ドクターブレード法やスプレー塗布、刷毛塗り等の方法を使用することができ、特に好ましくは、ドクターブレード法を使用することができる。これにより、略均一の厚さの塗膜を効果的に形成することができる。なお、本発明において「略均一の厚さ」とは、塗膜焼成後の断熱層の表面粗さがRa10μm以下であることを意味する。
また、断熱材の塗膜は、多数の中空粒子と、該中空粒子間を埋めると共に前記中空粒子を前記薄板上に保持するバインダとを備えていることが好ましい。
中空粒子としては、例えば、アルミナバブル、フライアッシュバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、エアロゲルバルーン等のセラミック系中空粒子を採用することができる。
バインダとしては、例えば、メチルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジンに代表される、分岐度の高い3次元ポリマーからなるシリコーンレジンを用いることができる。シリコーンレジンの具体例としては、例えばポリアルキルフェニルシロキサンを挙げることができる。
熱伝導率の低いシリコーンレジン中に中空粒子を含むことで熱伝導性の低い空気が多く含まれることになり、前記塗膜はより低い熱伝導性を有するものとなる。
また、塗膜付薄板の成形工程では、薄板の両端は、例えば溶接、ロー付、接着剤等により接合され得る。
本発明は、エンジンのシリンダブロックにおけるシリンダボアに加え、例えばシリンダボアに接合されるシリンダライナ、吸気管、排気管、過給機の出入り口管等の円筒孔の内周面に適用することができる。
例えば、断熱層が形成された構造は、エンジンのシリンダブロックのシリンダボア面に断熱層が形成された断熱層形成構造であって、前記シリンダボア面のピストン上死点におけるトップリングの位置よりもシリンダヘッド側の部分に段状に拡径された拡径部が形成されており、前記断熱層は、金属薄板の表面に前記薄板よりも熱伝導性の低い断熱材を略均一の厚さに塗布してなる塗膜からなり、前記断熱層が形成された断熱層付薄板は、該薄板の裏面が前記シリンダボア面に形成された前記拡径部の内周面に接するように円筒状に成形されており、前記断熱層は、前記成形された断熱層付薄板が前記拡径部に嵌合されることにより、前記薄板を介して前記シリンダボア面上のピストン上死点におけるトップリングの位置よりもシリンダヘッド側に形成されており、前記断熱層付薄板の幅は、1.5cm以上3.0cm以下であり、前記断熱層付薄板の前記シリンダヘッド側の端面は、前記シリンダブロックのシリンダヘッド側の端面と面一になっており、前記断熱層付薄板の前記断熱層の表面は、前記シリンダボア面のうち前記拡径部以外のシリンダボア面と面一であり、前記断熱層付薄板は、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとの間に介在するガスケットにより押圧固定されている構造とすることができる
このような構造では、断熱層は平坦な金属薄板上に形成されており、シリンダボアのシリンダボア面に合わせて円筒状に加工した断熱層付薄板をシリンダボア内に設置するだけであるので、略均一の厚さを有する良好な膜質の断熱層が形成されたシリンダボア面を簡便に得ることができる。また、断熱層がピストン上死点におけるトップリングの位置よりもシリンダヘッド側に形成されているから、燃焼室を構成するシリンダブロックからの熱引けを抑える、即ち冷却損失を低減できとともに、シリンダボア内をピストンが往復動しても、ピストンリングが断熱層上を摺動することがなく、断熱層を傷つけることがないため、断熱層の劣化を防ぐことができる。さらに、前記断熱層は、前記断熱層付薄板が前記拡径部に設置されることにより、当該拡径部に形成されている。そうして、断熱層をシリンダボアの内周面上により確実に固定することができる。そして、前記断熱層付薄板は、前記シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介在するガスケットにより押圧固定されているから、より確実に断熱層をシリンダボア内周面上に固定することができる。
例えば、シリンダボアの内周面上部に高い断熱性能と耐久性を備えた断熱層を有するエンジンをもたらすことができる。
以上説明したように、本発明によれば、円筒状に成形された断熱層付薄板をシリンダボア内に設置するので、簡便にシリンダボア内に略均一の厚さを有する良好な膜質の断熱層を形成することができる。
図1は、第1実施形態に係るエンジンの構造を示す正面図である。 図2は、第1実施形態に係る断熱層形成構造を示す図である。 図3は、第1実施形態に係る断熱層形成方法を説明するための図である。 図4は、第1実施形態に係る断熱層形成方法において、ドクターブレード法による塗膜形成方法を説明するための図である。 図5は、第1実施形態に係る断熱層形成方法において、成形された塗膜付薄板の平面図である。 図6は、第1実施形態に係る断熱層形成方法において、シリンダボアにピストンを挿入する方法を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
[第1実施形態]
<エンジンについて>
図1は、本発明に係る断熱層形成構造を採用したエンジンの構造を示している。
図1に示すエンジンEにおいて、1はピストン、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はシリンダヘッド3の吸気ポート5を開閉する吸気バルブ、6は排気ポート7を開閉する排気バルブ、8は燃料噴射弁である。
エンジンEの燃焼室は、ピストン1の頂面、シリンダブロック2の内周面、シリンダヘッド3の下面、及び、吸排気バルブ4,6の傘部下面(燃焼室に臨む面)で形成される。
ピストン1には、その頂面にキャビティ9が形成されている一方、その上端部の外周面にトップリング10が設置されており、ピストン1はシリンダブロック2のシリンダボア11内を往復動する。なお、点火プラグの図示は省略している。
<断熱層形成構造について>
本実施形態に係る断熱層形成構造は、断熱層13が、シリンダブロック2の内周面、すなわちシリンダボア11のボア面(シリンダボア面)において、ピストン1の上死点におけるトップリング10の位置よりもシリンダヘッド3側に形成された構造である。
すなわち、図2に示すように、シリンダボア面のピストン1上死点におけるトップリング10の位置よりもシリンダヘッド3側の部分に、段状に拡径された拡径部14が形成されており、断熱層13は、当該断熱層13が形成された薄板12がこの拡径部14に設置されることにより、当該拡径部14に形成されている。
薄板12は、金属製であり、例えばアルミニウム、鋳鉄合金等を使用することができる。薄板12の厚さは0.30mm〜5.0mm、より好ましくは0.50mm〜3.0mm、特に好ましくは0.70mm〜1.5mmである。また、薄板12の幅は、拡径部14におけるシリンダボア11の軸方向の拡径加工量に対応していることが好ましく、具体的には例えば、シリンダボア11の端部から1.0cm〜3.5cm、好ましくは1.5cm〜3.0cm、特に好ましくは2.0cm〜2.5cmである。
断熱層13は、薄板12よりも熱伝導性の低い断熱材からなり、無機酸化物よりなる多数の中空粒子と、この中空粒子間を埋めて当該断熱層13の母材(マトリックス)を形成すると共に中空粒子を薄板12上に保持するシリコーン樹脂系のバインダとを備えてなる。
中空粒子としては、例えば、アルミナバブル、フライアッシュバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、エアロゲルバルーン等のセラミック系中空粒子を採用することができる。
バインダとしては、例えば、メチルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジンに代表される、分岐度の高い3次元ポリマーからなるシリコーンレジンを用いることができる。シリコーンレジンの具体例としては、例えばポリアルキルフェニルシロキサンを挙げることができる。
また、断熱層13が形成された薄板12は、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との間に介在するガスケット15により押圧固定されている。
<断熱層形成方法について>
本実施形態に係る断熱層形成構造は、図3に示す方法により形成することができる。
(断熱層付薄板の形成)
まず、薄板12の表面に、薄板12よりも熱伝導性の低い断熱材13aを略均一の厚さに塗布して塗膜13bを形成する(A1)。
薄板12と、断熱材13aを準備する。脱脂処理により、薄板12に付着している油脂や指紋等の汚れを除去する。また、中空粒子とバインダを攪拌・混合した断熱材13aを準備する。必要に応じて、増粘剤や希釈溶剤を添加して断熱材13aの粘度を調整する。薄板12と断熱材13a、特にバインダとの付着力を高めるべく、薄板12に粗面化処理を施すことが好ましい。粗面化処理としては、例えばサンドブラスト等のブラスト処理を行うことが好ましい。例えば、ブラスト処理は、エアーブラスト装置を使用し、研削材として粒度#30のアルミナを用い、圧力0.39MPa、時間45秒、距離100mmの処理条件で行うことができる。なお、これに限らず、薄板12がアルミニウム合金からなる場合、アルマイト処理によってピストン1の頂面に微小凹凸を形成するようにしてもよい。例えば、アルマイト処理は、シュウ酸浴を用い、浴温20℃、電流密度2A/dm、時間20分の処理条件で行うことができる。
この塗膜形成工程A1において、塗膜を形成する方法としては、例えば、ドクターブレード法、スプレー塗布、刷毛塗り等を使用することができる。本実施形態においては、ドクターブレード法を使用する。
図4に示すように、ドクターブレード法によれば、薄板12をコンベアT上に配置し、その薄板12上に断熱材13aを載せる。そして、コンベアTを図4中の矢印方向に移動させる。このとき、薄板12上方に薄板12表面から所定距離だけ離間して配置されたブレードBにより断熱材13aが引き延ばされ、前記所定距離に相当する厚さの塗膜13bが薄板12表面上に形成される。また、必要に応じて、当該ドクターブレード法による塗布を繰り返し(重ね塗り)、所望の厚さとすることができる。これにより、薄板12上に略均一の厚さに塗膜13bを形成することができる。
続いて、熱風乾燥、赤外線ヒータ等により、塗膜13bの予備乾燥を行う。なお、塗膜13bの厚さは、例えば40μm以上200μm以下となるようにする。
次に、塗膜13bが形成された塗膜付薄板12を、円筒状に成形する(A2)。
このとき、図5に示すように、塗膜付薄板12は、塗膜付薄板12の裏面がシリンダボア面に形成された拡径部14の内周面に接触可能となるように円筒状に成形される。換言すると、成形された塗膜付薄板12の外径は、拡径部14の内径に一致することになる。
また、図5に示すように、成形された塗膜付薄板12は接合部Wを有する。すなわち、塗膜付薄板12の両端は、例えば溶接、ロー付、接着剤等により接合されて、接合部Wを形成する。
そして、成形された塗膜付薄板12を熱処理して塗膜13bを焼成し、断熱層13を得る(A3)。
成形された塗膜付薄板12に対し、熱処理として、例えば180℃前後の温度で数時間ないし数十時間の焼成処理を行う。これにより、バインダが硬化して、多数の中空粒子が密に充填され、それら粒子間がバインダで埋まった断熱層13が得られる。なお、塗膜焼成後の断熱層13の表面粗さがRa10μm以下であることが好ましい。
以上の工程A1〜A3により、断熱層13が形成され、拡径部14の内径に適合する外径を有した断熱層付薄板12を形成することができる。本方法によれば、平坦な薄板12上に断熱材の塗膜13bを形成するため、略均一の厚さを有する良好な膜質の断熱層13を容易に形成することができる。
(シリンダボア面の拡径加工)
まず、図2に示すように、シリンダボア面における、ピストン1の上死点におけるトップリング10位置よりもシリンダヘッド3側の端部に、段状に拡径した拡径部14を形成する(図3、B1)。
この拡径部14は、シリンダボア面をボーリング加工することにより形成する。ボーリング加工により拡径部14を形成した後、仕上げのホーニング加工を行う。
ボア面の径方向の拡径加工量は、断熱層付薄板12の厚さに対応していることが好ましく、具体的には例えば、0.34mm〜5.1mm、より好ましくは0.54mm〜3.1mm、特に好ましくは0.74mm〜1.6mmである。特に好ましくは、断熱層付薄板12を設置したときに、断熱層13の表面が拡径部14以外の内周面と面一となるように拡径加工量を設定することである。
また、ボア面の軸方向の拡径加工量は、ピストン1上死点におけるトップリング10よりもシリンダヘッド側にのみ拡径部14を形成するため、シリンダボア11の端部から1.0cm〜3.5cm、好ましくは1.5cm〜3.0cm、特に好ましくは2.0cm〜2.5cmである。
次に、図6に示すように、ピストン1挿入用の治具16をシリンダヘッド3側からシリンダボア11に設置し、この治具16を通じてピストン1をシリンダボア11内に挿入する(図3、B2)。なお、本実施形態において、治具16は拡径部14に嵌合するように形成されている。
このように、断熱層付薄板12を拡径部に挿入する前にピストン1をシリンダボア11に挿入することにより、ピストンリングが断熱層を傷つけることなく、ピストン1を挿入することができる。
(断熱層付薄板の拡径部への挿入)
図2に示すように、拡径部14が形成され、ピストン1が挿入されたシリンダブロック2に対し、シリンダヘッド3側に設けられた拡径部14に、前記断熱層付薄板12を挿入する(図3、S1)。
拡径部14は段状に形成されているため、断熱層付薄板12は拡径部14に嵌合され、拡径部14よりもシリンダボア11内部に設置されることはなく、断熱層13をシリンダボア面上により確実に固定することができる。
そして、図2に示すように、断熱層付薄板12は、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との間に介在するガスケットにより押圧固定する(図3、S2)。これにより、より確実に断熱層をシリンダボア面上に固定することができる。
以上述べたように、本実施形態に係る断熱層形成方法によれば、塗膜付薄板12をシリンダボア面に合わせて円筒状に加工し、塗膜13bを焼成して断熱層13を形成し、この断熱層付薄板12をシリンダボア11内に形成された拡径部14に設置するので、簡便にシリンダボア11内に略均一の厚さを有する良好な膜質の断熱層13を形成することができる。また、断熱層13は、シリンダボア11内にピストン1が挿入された後に形成されるため、ピストン1挿入時に傷つけられることがない。また、断熱層13は、ピストン上死点のトップリングの位置よりもシリンダヘッド3側に形成されるため、ピストン1の摺動時においてもピストンリングが断熱層表面に接触することがなく、断熱層の劣化を防止することができる。
また、このような断熱層形成構造を備えたエンジンは、シリンダボア面上部に高い断熱性能と耐久性を有する断熱層が形成されたものとすることができる。
[第2実施形態]
以下、本発明に係る第2実施形態について述べる。なお、第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
前記第1実施形態は、シリンダブロック2のシリンダボア面に直接断熱層13を形成した構成であったが、シリンダボア11にシリンダライナを設置し、このシリンダライナの内周面に断熱層13を形成する構成とすることもできる。
この場合には、図3のB1において、シリンダライナの内周面に拡径加工を施して拡径部14を形成した後、このシリンダライナをシリンダボア11に接合してから、図3のB2に示す、ピストン1の挿入を行う。
本発明は、簡便に円筒孔内に略均一の厚さを有する良好な膜質の断熱層を形成することができるので、極めて有用である。
1 ピストン
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
10 トップリング
11 シリンダボア(円筒孔)
12 薄板
13 断熱層
13a 断熱材
13b 塗膜
14 拡径部
15 ガスケット

Claims (7)

  1. エンジンのシリンダブロックのシリンダボア面に断熱層を形成する断熱層形成方法であって、
    前記シリンダボア面のピストンの上死点におけるトップリングの位置よりもシリンダヘッド側に段状に拡径した拡径部を形成する拡径工程と、
    金属薄板の表面に前記薄板よりも熱伝導性の低い断熱材を略均一の厚さに塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、
    前記塗膜が形成された塗膜付薄板を、該薄板の塗膜が形成されていない裏面が前記シリンダボア面の拡径部に接触可能となるように円筒状に成形する成形工程と、
    前記成形された塗膜付薄板を熱処理して前記塗膜を断熱層に変える熱処理工程と、
    ピストン挿入用の治具を前記シリンダボア面の前記拡径部に配置し、該治具を通じて前記シリンダボアに前記ピストンを挿入するピストン挿入工程と、
    前記ピストン挿入工程後に、前記拡径部に前記熱処理された断熱層付薄板を設置する設置工程とを備えたことを特徴とする断熱層形成方法。
  2. 請求項1において、
    前記治具は、前記シリンダボア面の前記拡径部に嵌合されるように形成されており、
    前記治具を前記拡径部に嵌合させたときに、前記治具の内周面と前記シリンダボア面の前記拡径部以外の内周面とは面一となる
    ことを特徴とする断熱層形成方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記拡径工程は、前記シリンダボア面についてボーリング加工を行った後に仕上げのホーニング加工を行うことにより、前記拡径部を形成する工程である
    ことを特徴とする断熱層形成方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    前記拡径工程で、前記拡径部における軸方向の拡径加工量は、前記シリンダボアの拡径方向に向かって漸次大きくなっている
    ことを特徴とする断熱層形成方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    前記設置工程後に、前記拡径部に設置された前記断熱層付薄板を、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとの間に介在するガスケットにより押圧固定する押圧固定工程を備えたことを特徴とする断熱層形成方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
    前記塗膜形成工程は、前記塗膜をドクターブレード法により形成することを特徴とする断熱層形成方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
    前記塗膜は、多数の中空粒子と、該中空粒子間を埋めると共に前記中空粒子を前記薄板上に保持するバインダとを備えていることを特徴とする断熱層形成方法。
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