JP6065832B2 - 塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤、塩素含有樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
本発明は、塩素含有樹脂の加工性を低下させることなく、優れた低温衝撃強度を付与する衝撃強度改質剤、この衝撃強度改質剤を配合した塩素含有樹脂組成物、及び、この塩素含有樹脂組成物の成形体に関する。
塩化含有樹脂は汎用性の高い樹脂であるが、耐衝撃性に劣るという欠点がある。特に、衝撃強度や他の機械特性と加工性の両立はこの樹脂の大きな課題である。そこで、耐衝撃性を改良するために多くの方法が提案されている。
例えば、塩素含有樹脂に数平均粒子径が400〜2000nmで且つ全粒子径中に占める粒子径300nm以下の粒子の割合が20体積%以下であるシリコンーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体粒子を配合することで、低温衝撃強度及び高温機械特性を保持し、良好な加工特性、成形物表面外観及び発色性が発現することが開示されている(特許文献1)。しかし、多価の金属塩を凝集剤として使用して凝固回収した粉体は、噴霧回収した粉と比較して塩素含有樹脂中での分散性が低く、通常の成形加工条件で十分に樹脂が溶融しないことがある。
この点を改善する為に、例えば、ポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレート成分から構成される複合ゴムを主成分とするゴム質重合体を噴霧回収して得たゴム質重合体含有材料が開示されている(特許文献2)。しかし、このゴム質重合体含有材料を塩素含有樹脂に配合すると、成形時に発生する乳化剤の分解物によって必要以上に滑性が付与され、通常の成形加工条件では十分に樹脂が溶融しなくなり、その結果実用上十分な強度が発現しない場合がある。
分解物による滑性の付与を抑制する手法として、例えば、アクリルゴム(A1)50〜99.9質量部の存在下で、単量体混合物(a2)0.1〜50質量部をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(A)[但し(A1)と(a2)の合計が100質量部]であって、単量体混合物(a2)が、イソブチルメタクリレート1〜99質量%を含有するグラフト共重合体(A)を塩化ビニル樹脂に配合することで、耐候性を損なうことなく、溶融成形時の加工性及び耐衝撃性を向上させることが開示されている(特許文献3)。しかし、この手法では成形時に発生する乳化剤(界面活性剤)由来の分解物によって付与される滑性を完全に改良することは難しい。また、通常の成形品に求められている低温衝撃強度も劣っている。
本発明の目的は、塩素含有樹脂の加工性を低下させることなく優れた低温衝撃強度を付与する衝撃強度改質剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討を行なった結果、特定の比表面積を有し、かつ特定条件で粉体の抽出を行なった抽出水のpHが特定範囲内にあるシリコーン系グラフト共重合体を塩素含有樹脂に配合すると、加工性を低下させることなく低温衝撃強度を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の各事項により特定される。
[1] ポリオルガノシロキサンゴム(A1)又はポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムを含む複合ゴム(A2)に、1種以上のビニル単量体(b1)をグラフト重合したグラフト共重合体(A)の粉体を含む衝撃強度改質剤であって、
グラフト共重合体(A)の粉体の窒素ガス吸着法で測定される比表面積が0.6〜30m2/gであり、
下記条件で抽出した水のpHが4〜11である塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
(1)グラフト共重合体(A)の粉体5.0gを180℃のオーブン内で15分間静置加熱し、
(2)上記加熱後、加熱純水100mlに分散して70℃で1時間、攪拌しながら抽出する。
グラフト共重合体(A)の粉体の窒素ガス吸着法で測定される比表面積が0.6〜30m2/gであり、
下記条件で抽出した水のpHが4〜11である塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
(1)グラフト共重合体(A)の粉体5.0gを180℃のオーブン内で15分間静置加熱し、
(2)上記加熱後、加熱純水100mlに分散して70℃で1時間、攪拌しながら抽出する。
[2] グラフト共重合体(A)の粉体が、グラフト共重合体(A)のラテックスを噴霧乾燥して得られるものである[1]に記載の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
[3] TG/DTA測定装置で測定される熱分解温度が200℃未満の乳化剤の含有量が、改質剤(α)100質量部に対して0.1質量部以下である[1]又は[2]に記載の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
[4] ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム及びポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を含有する[1]〜[3]の何れか一つに記載の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
[5] グラフト共重合体(A)の粉体中に含まれるオルガノシロキサンの量が0.4質量%以下である[1]〜[4]の何れか一つに記載の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
[6] ビニル単量体(b1)が、芳香族アルケニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル及びシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体である[1]〜[5]の何れか一つに記載の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
[7] グラフト重合体(A)の粉体の下記条件で測定したゲル化時間が、215秒以下である[1]〜[6]の何れか一つに記載の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
<配合物の作製>
(a)塩化ビニル樹脂[平均重合度 1050、平均粒径150μm]100質量部、
(b)グラフト共重合体(A)の粉体6.0質量部、
(c)CaZn系安定剤3.0質量部、
(d)炭酸カルシウム[一次粒子径 50nm、表面処理剤 脂肪酸]5.0質量部、
(e)二酸化チタン[TiO2 93%、平均粒子径 0.25μm、吸油量21]5.0質量部
を配合し、40℃に昇温した20LヘンシェルミキサーにZ羽根と平羽根を装着して、周波数65Hzで内温が110℃になるまでホットブレンドを行い配合物を得る。
(a)塩化ビニル樹脂[平均重合度 1050、平均粒径150μm]100質量部、
(b)グラフト共重合体(A)の粉体6.0質量部、
(c)CaZn系安定剤3.0質量部、
(d)炭酸カルシウム[一次粒子径 50nm、表面処理剤 脂肪酸]5.0質量部、
(e)二酸化チタン[TiO2 93%、平均粒子径 0.25μm、吸油量21]5.0質量部
を配合し、40℃に昇温した20LヘンシェルミキサーにZ羽根と平羽根を装着して、周波数65Hzで内温が110℃になるまでホットブレンドを行い配合物を得る。
<測定条件>
(1)測定装置内を180℃に加熱する。
(2)配合物77.55ccを前記測定装置に投入後5分間保持し、ローター回転数30rpmで混練する。
(3)混練開始から最大トルクを示す点までに要する時間をゲル化時間として測定する。
(1)測定装置内を180℃に加熱する。
(2)配合物77.55ccを前記測定装置に投入後5分間保持し、ローター回転数30rpmで混練する。
(3)混練開始から最大トルクを示す点までに要する時間をゲル化時間として測定する。
[8] [1]〜[7]の何れか一つに記載の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)及び塩素含有樹脂(β)を含有する塩素含有樹脂組成物。
[9] 塩素含有樹脂(β)100質量部に対して、塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)を0.1〜30質量部含有する[8]に記載の塩素含有樹脂組成物。
[10] [8]又は[9]に記載の塩素含有樹脂組成物を成形して得られる成形体。
本発明の衝撃強度改質剤は、塩素含有樹脂に配合・混練した場合、その加工性を低下させることなく低温衝撃強度を向上できる。
<塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)>
本発明の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)は、ポリオルガノシロキサンゴム(A1)又はポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムを含む複合ゴム(A2)に、1種以上のビニル単量体(b1)をグラフト重合したグラフト共重合体(A)の粉体を含む。
本発明の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)は、ポリオルガノシロキサンゴム(A1)又はポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムを含む複合ゴム(A2)に、1種以上のビニル単量体(b1)をグラフト重合したグラフト共重合体(A)の粉体を含む。
<ポリオルガノシロキサンゴム(A1)>
本発明に用いるポリオルガノシロキサンゴム(A1)は、オルガノシロキサン単位を構成単位として含有する重合体である。オルガノシロキサンと共に、必要に応じて、例えばシロキサン系架橋剤、シロキサン系グラフト交叉剤、末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマー等の任意成分も使用できる。そして、これら各成分を含むオルガノシロキサン混合物を重合することにより、ポリオルガノシロキサンゴム(A1)が得られる。
本発明に用いるポリオルガノシロキサンゴム(A1)は、オルガノシロキサン単位を構成単位として含有する重合体である。オルガノシロキサンと共に、必要に応じて、例えばシロキサン系架橋剤、シロキサン系グラフト交叉剤、末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマー等の任意成分も使用できる。そして、これら各成分を含むオルガノシロキサン混合物を重合することにより、ポリオルガノシロキサンゴム(A1)が得られる。
オルガノシロキサンとしては、鎖状オルガノシロキサン及び環状オルガノシロキサンの何れも使用できる。特に、環状オルガノシロキサンは重合安定性が高く、重合速度が早いので好ましい。中でも、3〜7員環の環状オルガノシロキサンが好ましい。その具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサンが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、粒子径分布を制御し易いことから、オクタメチルシクロテトラシロキサンを主成分として用いることが好ましい。
シロキサン系架橋剤は、シロキシ基を有するものが好ましい。シロキサン系架橋剤の使用により、架橋構造を有するポリオルガノシロキサンが得られる。シロキサン系架橋剤の具体例としては、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の3官能性又は4官能性のシラン系架橋剤が挙げられる。中でも、4官能性の架橋剤が好ましく、テトラエトキシシランがより好ましい。
シロキサン系架橋剤の含有率は、オルガノシロキサン混合物100質量%中、0.1〜30質量%が好ましい。
シロキサン系グラフト交叉剤は、シロキシ基を有する共にビニル単量体と重合可能な官能基も有する化合物である。シロキサン系グラフト交叉剤の使用により、ビニル単量体と重合可能な官能基を有するポリオルガノシロキサンゴムが得られる。このようなポリオルガノシロキサンゴムは、後述するアルキル(メタ)アクリレートゴム用成分やビニル単量体(b1)をラジカル重合によってグラフトさせることができる。シロキサン系グラフト交叉剤の具体例としては、下記式(I)で表されるシロキサン化合物が挙げられる。
RSiR1 n(OR2)(3−n) (I)
[式(I)中、R1はメチル基、エチル基、プロピル基又はフェニル基を示す。R2はアルコキシ基における有機基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基又はフェニル基)を示す。nは0、1又は2を示す。Rは下記式(I−1)〜(I−4)で表される何れかの官能基を示す。]
CH2=C(R3)−COO−(CH2)p− (I−1)
CH2=C(R4)−C6H4− (I−2)
CH2=CH− (I−3)
HS−(CH2)p− (I−4)
[式(I−1)〜(I−4)中、R3及びR4は各々独立して水素又はメチル基を示す。pは1〜6の整数を示す。]
式(I−1)で表される官能基としては、例えばメタクリロイルオキシアルキル基が挙げられる。Rが式(I−1)で表される官能基である場合、シロキサン系グラフト交叉剤の具体例としては、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシランが挙げられる。
[式(I)中、R1はメチル基、エチル基、プロピル基又はフェニル基を示す。R2はアルコキシ基における有機基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基又はフェニル基)を示す。nは0、1又は2を示す。Rは下記式(I−1)〜(I−4)で表される何れかの官能基を示す。]
CH2=C(R3)−COO−(CH2)p− (I−1)
CH2=C(R4)−C6H4− (I−2)
CH2=CH− (I−3)
HS−(CH2)p− (I−4)
[式(I−1)〜(I−4)中、R3及びR4は各々独立して水素又はメチル基を示す。pは1〜6の整数を示す。]
式(I−1)で表される官能基としては、例えばメタクリロイルオキシアルキル基が挙げられる。Rが式(I−1)で表される官能基である場合、シロキサン系グラフト交叉剤の具体例としては、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシランが挙げられる。
式(I−2)で表される官能基としては、例えばビニルフェニル基が挙げられる。Rが式(I−2)で表される官能基である場合、シロキサン系グラフト交叉剤の具体例としては、ビニルフェニルエチルジメトキシシランが挙げられる。
式(I−3)で表される官能基は、ビニル基である。Rが式(I−3)で表される官能基である場合、シロキサン系グラフト交叉剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが挙げられる。
式(I−4)で表される官能基としては、例えばメルカプトアルキル基が挙げられる。Rが式(I−4)で表される官能基である場合、シロキサン系グラフト交叉剤の具体例としては、γ−メルカプトプロピルジメトキメチルシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルエトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
これらシロキサン系グラフト交叉剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シロキサン系グラフト交叉剤の含有率は、オルガノシロキサン混合物100質量%中、0.05〜20質量%が好ましい。
末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーは、分子末端にアルキル基等の封鎖基を有するオルガノシロキサンオリゴマーである。この使用により、ポリオルガノシロキサンの重合度を所望に応じて調整できる。末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーの具体例としては、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、メトキシトリメチルシラン等のオリゴマーが挙げられる。末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーの含有率は特に制限されず、所望に応じて適宜使用すればよい。
ポリオルガノシロキサンゴム(A1)の製造方法は特に制限されない。例えば、以下の方法を採用できる。
まず、オルガノシロキサン及び必要に応じてシロキサン系架橋剤、シロキサン系グラフト交叉剤、末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマー等の任意成分を含むオルガノシロキサン混合物を、乳化剤(c)と水によって乳化させてエマルションを調製する。これを酸触媒を用いて高温下で重合させ、次いでアルカリ性物質により酸を中和してポリオルガノシロキサンラテックスを得る。
エマルションの調製方法としては、例えば、高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサーを用いる方法、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザーを使用して高速攪拌により混合する方法が挙げられる。特にホモジナイザーを使用する方法は、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径の分布が狭くなるので好ましい。
エマルションを調製する際に用いる乳化剤(c)としては、オルガノシロキサンを乳化できれば特に制限されず、公知の乳化剤を使用できるが、アニオン系乳化剤又はノニオン系乳化剤が好ましい。
乳化剤(c)としては、TG/DTA測定装置で測定される熱分解温度が200℃未満の乳化剤を多量に用いないことが好ましい。熱分解温度が200℃未満の乳化剤の量は、最終的に改質剤(α)100質量部に対して0.1質量部以下となることが好ましい。熱分解温度が200℃未満の乳化剤(c)を多量に用いないことで、乳化剤(c)を含有する衝撃強度改質剤(α)と塩素含有樹脂(β)の混練の際に、乳化剤(c)の熱分解物による加工性の低下を抑制することができる。
特に、乳化剤(c)としては、熱分解温度が200〜400℃である乳化剤を用いることが好ましい。熱分解温度が200℃以上の乳化剤(c)を使用することで、乳化剤(c)を含有する衝撃強度改質剤(α)と塩素含有樹脂(β)の混練の際に、乳化剤(c)の熱分解物による加工性の低下を抑制することができる。乳化剤(c)としては、熱分解温度が230℃以上の乳化剤を用いることがより好ましく、250℃以上の乳化剤を用いることが特に好ましい。乳化剤(c)の熱分解温度は、乳化剤の入手が容易な点で400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましい。
乳化剤(c)の熱分解温度は、TG/DTA測定装置を用いて質量減少率を測定した際に、3%質量減少した値を採用することができる。熱分解温度の測定方法として、70℃の蒸気乾燥機内で水分を除去し、水分含有率を1.0%以下にした乳化剤(c)を検体として、TG/DTA6200[セイコーインスツルメンツ(株)製測定装置]を用いて質量減少率の測定を行う。測定条件は、Air=200ml/min雰囲気下で120℃で5分間保持した後、120℃から550℃まで15℃/minの昇温速度にて測定を行い、測定前の乳化剤の質量を100%として、重量減少率が3%減少した際の温度を乳化剤(c)の熱分解温度として採用した。
乳化剤(c)としては、例えば、硫酸エステル塩を含まないアニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤が挙げられる。アニオン系乳化剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、アルキルスルフォ琥珀酸ナトリウムが挙げられる。ノニオン系乳化剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
特に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルは熱分解温度が200℃以上であることから、より好ましい。
乳化剤(c)の使用量は、オルガノシロキサン混合物100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。乳化剤(c)の使用量によって、所望の粒子径に調整することが可能である。その使用量が0.05質量部以上であればエマルションの乳化安定性が得られ、ポリオルガノシロキサンゴムの重合が容易になる。また、その使用量が10質量部以下であればグラフト共重合体(A)の粉体中に残存する乳化剤(c)の量が多過ぎることがないので、塩素含有樹脂(β)に配合した場合の加工性及び耐ブリードアウト性が向上する。
重合の際の酸触媒の混合方法は、特に制限されない。例えば、オルガノシロキサン混合物、乳化剤及び水と共に酸触媒水溶液を一括して添加し、混合する方法、オルガノシロキサン混合物のエマルション中に酸触媒水溶液を一括して添加する方法、オルガノシロキサン混合物のエマルションを高温の酸触媒水溶液中に一定速度で滴下して混合する方法が挙げられる。重合温度は好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上である。重合時間は、例えばオルガノシロキサン混合物のエマルション中に酸触媒水溶液を一括して添加して重合する場合は、通常2時間以上、好ましくは5時間以上である。
更に、30℃以下の温度においてシラノール間の架橋反応が進行するので、30℃以下の温度で5時間から100時間程度保持することにより、ポリオルガノシロキサンの架橋密度を上げることもできる。
ポリオルガノシロキサンゴムの重合反応は、ラテックスを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液等のアルカリ性物質でpH6〜8に中和して終了させることができる。
ポリオルガノシロキサンゴムの重合に用いられる酸触媒の具体例としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類;硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸類が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましい。
ポリオルガノシロキサンゴムの重合に用いられる酸触媒の具体例としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類;硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸類が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましい。
<複合ゴム(A2)>
本発明に用いる複合ゴム(A2)は、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムを含み、これらを複合化したゴムである。
本発明に用いる複合ゴム(A2)は、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムを含み、これらを複合化したゴムである。
複合ゴム(A2)を構成するポリオルガノシロキサンゴムは、先に説明したポリオルガノシロキサンゴム(A1)と同様のものが好ましい。
複合ゴム(A2)を構成するポリアルキル(メタ)アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレート成分(以下、「複合ゴム用(メタ)アクリレート成分」と略す)を重合して得られる。複合ゴム用(メタ)アクリレート成分は、通常、アルキル(メタ)アクリレートと架橋性単量体を含有する。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性の点から、n−ブチルアクリレートが好ましい。
架橋性単量体の具体例としては、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸プロピレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコールジエステル、1,6−ヘキサンジオールジアクリル酸エステル、トリメリト酸トリアリル等の多官能性単量体が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
複合ゴム(A2)中のポリオルガノシロキサンゴムの含有量は、複合ゴム(A2)100質量%中、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは3〜15質量%である。この含有量が1質量%以上であれば、十分な耐衝撃性が得られる。また、この含有量が30質量%以下であれば、加工性も含めた優れた各種特性を維持できる。
複合ゴム(A2)の製造方法は、特に制限されない。例えば、乳化重合法、懸濁重合法、微細懸濁重合法により製造できる。中でも、乳化重合法が好ましい。乳化重合法による複合ゴム(A2)の製造方法としては、特に、ポリオルガノシロキサンゴムのラテックスの存在下に、複合ゴム用(メタ)アクリレート成分を乳化重合して、複合ゴム(A2)のラテックスを得る方法が好ましい。
ポリオルガノシロキサンゴムのラテックスに複合ゴム用(メタ)アクリレート成分を添加する方法としては、例えば、まずポリオルガノシロキサンゴムのラテックス中に、複合ゴム用(メタ)アクリレート成分を添加し、ポリオルガノシロキサンゴム中に含浸させた後、公知のラジカル重合開始剤を作用させて重合する方法がある。複合ゴム用(メタ)アクリレート成分を添加する際は、例えば全量を一括して添加してもよいし、一定速度で滴下しもよい。
複合ゴム(A2)のラテックスを製造する際には、ラテックスを安定化させ、複合ゴムの粒子径を制御する為に、乳化剤(c)を添加することができる。この乳化剤(c)は特に制限されず、公知の乳化剤を使用できるが、先に説明したポリオルガノシロキサンゴム(A1)の製造の為の乳化剤(c)として例示したものと同じ種類及び使用量が好ましい。
複合ゴム用(メタ)アクリレート成分の重合には、通常、ラジカル重合開始剤を使用する。ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物、過酸化物と酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、レドックス系開始剤が好ましい。
アゾ系開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等の油溶性アゾ系開始剤;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシメチル)−2−メチルプロピオナミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス−(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩等の水溶性アゾ系開始剤;が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
過酸化物の具体例としては、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機化酸化物;が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、有機過酸化物が好ましい。
レドックス系開始剤としては、例えば、過酸化物を還元剤と組み合わせた開始剤が挙げられる。特に、以上に列挙した過酸化物と、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、L−アスコルビン酸、フルクトース、デキストロース、ソルボース、イノシトール等の還元剤と、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩とを組み合わせたレドックス系開始剤が好ましい。中でも、ナトリウムホルムアルデヒヂスルホキレート・硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩の組み合わせがより好ましい。
グラフト重合体(A)中のポリオルガノシロキサンゴム(A1)(複合ゴム(A2)を用いた場合は、複合ゴム(A2)中のポリオルガノシロキサンゴム(A1))の含有量は、残存オルガノシロキサンを減らし、ゲル化時間を早めるために、グラフト共重合体(A)100質量%中、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜35質量%、さらに好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは5〜25質量%である。
グラフト重合体(A)中の複合ゴム(A2)の含有量は、グラフト共重合体(A)100質量%中、好ましくは40〜99質量%、より好ましくは60〜95質量%である。この含有量が40質量%以上であれば、耐低温衝撃性が良好となる。また、この含有量が99質量%以下であれば、加工性も含めた優れた各種特性を維持できる。
<ビニル単量体(b1)>
本発明に用いるビニル単量体(b1)は、ポリオルガノシロキサンゴム(A1)又は複合ゴム(A2)にグラフト重合させる単量体である。ビニル単量体(b1)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いるビニル単量体(b1)は、ポリオルガノシロキサンゴム(A1)又は複合ゴム(A2)にグラフト重合させる単量体である。ビニル単量体(b1)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<グラフト重合体(A)の粉体>
本発明に用いるグラフト重合体(A)の粉体は、以上説明したポリオルガノシロキサンゴム(A1)又は複合ゴム(A2)に1種以上のビニル単量体(b1)をグラフト重合したグラフト共重合体の粉体である。
本発明に用いるグラフト重合体(A)の粉体は、以上説明したポリオルガノシロキサンゴム(A1)又は複合ゴム(A2)に1種以上のビニル単量体(b1)をグラフト重合したグラフト共重合体の粉体である。
例えば、ポリオルガノシロキサンゴム(A1)又は複合ゴム(A2)のラテックスにビニル単量体(b1)を加え、ラジカル重合法により一段又は多段で行うことにより、グラフト重合体(A)のラテックスが得られる。
グラフト重合に用いるラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ系開始剤、酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が挙げられる。中でも、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせたレドックス系開始剤が好ましい。
ビニル単量体(b1)には、グラフトポリマーの分子量やグラフト率を調整するために各種連鎖移動剤やグラフト交叉剤を添加できる。
グラフト重合の際には、ラテックスの安定化又は粒子の平均粒子径の制御の為に、乳化剤(c)を更に追加添加できる。この乳化剤(c)は特に制限されず、公知の乳化剤を使用できるが、先に説明したポリオルガノシロキサンゴム(A1)の製造の為の乳化剤(c)として例示したものと同じ種類が好ましい。
このようにして得られるグラフト共重合体(A)の質量平均粒子径は、成形体の低温衝撃強度及び表面外観が良好となる点から、好ましくは50nm〜2000nmである。この質量平均粒子径が50nm以上であれば成形体の低温衝撃強度が良好となり、2000nm以上であれば成形体の耐衝撃性及び表面外観が良好となる。グラフト共重合体(A)の質量平均粒子径の範囲は、100nm〜1000nmがより好ましく、低温衝撃強度と表面外観のバランスに優れることから150nm〜800nmが特に好ましい。
グラフト重合の終了後、ラテックスからグラフト重合体(A)を回収する方法は、特に限定されない。例えば、噴霧回収法、凝析法、遠心分離法、凍結乾燥法等の公知の方法を使用できる。特に、グラフト共重合体(A)の粉体が高い比表面積を有することから、凝析法、噴霧回収法が好ましく、噴霧回収法がより好ましい。
グラフト共重合体(A)の粉体の窒素ガス吸着法で測定される比表面積は、0.6〜30m2/gである。この比表面積が0.6m2/g以上であれば、塩素含有樹脂(β)との混練時に優れた分散性を示すので、優れた加工性が発現する。また、比表面積が30m2/g以下であれば、塩素含有樹脂(β)との混練時の凝集による加工性低下が抑制される。グラフト共重合体(A)の粉体の比表面積は、1.0〜25m2/gが好ましく、2.0〜20m2/gがより好ましい範囲である。
この比表面積の値は、比表面積・細孔分布測定装置[日本ベル(株)製、製品名Belsorp]を用いて、グラフト共重合体(A)の粉体(体積:0.6cm3)を測定用サンプル管に入れ、70℃で12時間真空乾燥し、その後測定した。この測定においては、下記式(II)のBET法により算出した比表面積の値を採用できる。
P/[V(P0−P)]=[1/(VmC)]+[(C−1)/(VmC)][P/P0] (II)
P:吸着平衡圧
P0:飽和蒸気圧
V:吸着量
Vm:単分子層吸着量、気体分子が固定表面で単分子層を形成した時の吸着量
C:吸着熱のパラメーター>0
具体的には、上記の式(II)で得られる単分子層吸着量Vmと窒素ガスの既知の分子占有断面積から、グラフト共重合体(A)の粉体の比表面積を計算できる。
P/[V(P0−P)]=[1/(VmC)]+[(C−1)/(VmC)][P/P0] (II)
P:吸着平衡圧
P0:飽和蒸気圧
V:吸着量
Vm:単分子層吸着量、気体分子が固定表面で単分子層を形成した時の吸着量
C:吸着熱のパラメーター>0
具体的には、上記の式(II)で得られる単分子層吸着量Vmと窒素ガスの既知の分子占有断面積から、グラフト共重合体(A)の粉体の比表面積を計算できる。
比表面積を上記の範囲に制御するためには、質量平均粒子径50〜100nmのラテックスを凝固剤を用いて凝固する方法や、質量平均粒子径が50〜800nmのラテックスを噴霧回収する方法が挙げられる。
噴霧回収においては、必要であれば得られたラテックスに更に乳化剤(c)を追加添加し、噴霧乾燥してグラフト共重合体粒子(A)の粉体を回収できる。この乳化剤(c)は特に制限されず、公知の乳化剤を使用できるが、先に説明したポリオルガノシロキサンゴム(A1)の製造の為の乳化剤(c)として例示したものと同じ種類が好ましい。
噴霧乾燥の温度条件は特に制限されないが、粉体取扱性や粉体中の残存水分率を考慮すると、グラフト共重合体(A)のガラス転移温度をTgとしたとき、噴霧乾燥機の出口温度は、粉体を充分に乾燥する点から[Tg−5℃]又は[60℃]の何れか高い方の温度以上であることが好ましい。また、その出口温度は、粉体が装置内に融着して回収率が低下することを抑制する点から[Tg+20℃]以下であることが好ましい。
グラフト共重合体(A)の粉体の体積平均粒子径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは190μm以下、特に好ましくは100μm以下である。この体積平均粒子径が200μm以下であれば、塩素含有樹脂(β)との混練の際に優れた分散性を有するので、優れた加工性を発現する。
グラフト共重合体(A)の粉体は、下記条件で抽出した水のpHが4〜11である。
(1)グラフト共重合体(A)の粉体5.0gを180℃のオーブン内で15分間静置加熱し、
(2)上記加熱後、加熱純水100mlに分散して70℃で1時間、攪拌しながら抽出する。
(1)グラフト共重合体(A)の粉体5.0gを180℃のオーブン内で15分間静置加熱し、
(2)上記加熱後、加熱純水100mlに分散して70℃で1時間、攪拌しながら抽出する。
抽出した水のpHが4〜11であれば、グラフト共重合体(A)中のポリオルガノシロキサンゴムの加水分解を抑制でき、塩素含有樹脂の加工性及び低温衝撃強度の低下を抑制できる。抽出した水のpHは4〜9がより好ましく、pH4〜7が特に好ましい。
pH測定方法として、グラフト共重合体(A)の粉体5.0gを、180℃の熱風循環式乾燥機にて15分間静置加熱後、純水100mlに分散して70℃で1時間、攪拌しながら抽出した水を0.2μmセルロース混合エステル製メンブランフィルターで濾過する。これを検体として、以下の測定装置を用いて測定した値を採用する。
・装置:pHメーター 型式F−52[堀場製作所(株)]
・電極:型式 9611[堀場製作所(株)]
・比較電極内部液:3.33mol/l−KC溶液[堀場製作所(株)]
・pH標準液:pH 4.00、pH 6.88、pH 9.18(25℃)
抽出した水のpHを上記の範囲に制御するためには、TG/DTA測定装置で測定される熱分解温度が200℃未満の乳化剤の使用量を改質剤(α)100質量部に対し0.1質量部以下にすることや、pHを低下させる凝固剤の使用量を低減すること等が挙げられる。pHを低下させる凝固剤の使用量を低減する方法としては、グラフト共重合体(A)の回収を噴霧回収法により行うことや、凝析法により行う場合であっても、硫酸アルミニウム等の硫酸塩系の凝固剤ではなく、酢酸塩系、リン酸塩系の凝固剤を用いること等が挙げられる。
・装置:pHメーター 型式F−52[堀場製作所(株)]
・電極:型式 9611[堀場製作所(株)]
・比較電極内部液:3.33mol/l−KC溶液[堀場製作所(株)]
・pH標準液:pH 4.00、pH 6.88、pH 9.18(25℃)
抽出した水のpHを上記の範囲に制御するためには、TG/DTA測定装置で測定される熱分解温度が200℃未満の乳化剤の使用量を改質剤(α)100質量部に対し0.1質量部以下にすることや、pHを低下させる凝固剤の使用量を低減すること等が挙げられる。pHを低下させる凝固剤の使用量を低減する方法としては、グラフト共重合体(A)の回収を噴霧回収法により行うことや、凝析法により行う場合であっても、硫酸アルミニウム等の硫酸塩系の凝固剤ではなく、酢酸塩系、リン酸塩系の凝固剤を用いること等が挙げられる。
グラフト共重合体(A)に含まれるオルガノシロキサンは、塩素含有樹脂(β)との混練の際に滑剤のような作用を示す。したがって、グラフト共重合体(A)に含まれるオルガノシロキサン含有量は、グラフト共重合体(A)100質量%中、好ましくは0.4質量%以下、より好ましくは0.2質量以下である。このようにオルガノシロキサン含有量を低減すれば、加工性の低下を抑制できる。
オルガノシロキサン含有量の測定方法としては、グラフト共重合体(A)の粉体を0.3g、50mlのサンプル管にはかり取り、アセトン20ml、酢酸ブチルを5μlはかり取りサンプル管に注入する。これを検体として測定する以下の測定装置を用いて測定した値を採用する。
・装置:ガスクロマトグラフ(GC)[Aqilent製 HP6890]
・キャピラリーカラム:DB−WAX
・カラムオーブン:40℃/5min、10℃/min昇温、140℃/0min、20℃/min昇温、220℃/lmin、ポストラン=230℃/2min、カラム流量(He)=2.3ml/min、平均線速度=36cm/sec
・注入口:温度=200℃
・検出器:温度=200℃、水素流量=40ml/min、エアー流量=450ml/min、メークアップ流量(He)=45ml/min
・注入量:1μl
オルガノシロキサンの量を上記の範囲に制御するためには、グラフト重合体(A)中のポリオルガノシロキサンゴム(A1)(複合ゴム(A2)を用いた場合は、複合ゴム(A2)中のポリオルガノシロキサンゴム(A1))の含有量を、グラフト共重合体(A)100質量%中、25質量%以下とする方法等が挙げられる。
・装置:ガスクロマトグラフ(GC)[Aqilent製 HP6890]
・キャピラリーカラム:DB−WAX
・カラムオーブン:40℃/5min、10℃/min昇温、140℃/0min、20℃/min昇温、220℃/lmin、ポストラン=230℃/2min、カラム流量(He)=2.3ml/min、平均線速度=36cm/sec
・注入口:温度=200℃
・検出器:温度=200℃、水素流量=40ml/min、エアー流量=450ml/min、メークアップ流量(He)=45ml/min
・注入量:1μl
オルガノシロキサンの量を上記の範囲に制御するためには、グラフト重合体(A)中のポリオルガノシロキサンゴム(A1)(複合ゴム(A2)を用いた場合は、複合ゴム(A2)中のポリオルガノシロキサンゴム(A1))の含有量を、グラフト共重合体(A)100質量%中、25質量%以下とする方法等が挙げられる。
グラフト重合体(A)の粉体の下記条件で測定したゲル化時間は、好ましくは215秒以下、より好ましくは210秒以下である。
<配合物の作製>
(a)塩化ビニル樹脂[平均重合度 1050、平均粒径150μm]100質量部、
(b)グラフト共重合体(A)の粉体6.0質量部、
(c)CaZn系安定剤3.0質量部、
(d)炭酸カルシウム[一次粒子径 50nm、表面処理剤 脂肪酸]5.0質量部、
(e)二酸化チタン[TiO2 93%、平均粒子径 0.25μm、吸油量21]5.0質量部
を配合し、40℃に昇温した20LヘンシェルミキサーにZ羽根と平羽根を装着して、周波数65Hzで内温が110℃になるまでホットブレンドを行い配合物を得る。
(a)塩化ビニル樹脂[平均重合度 1050、平均粒径150μm]100質量部、
(b)グラフト共重合体(A)の粉体6.0質量部、
(c)CaZn系安定剤3.0質量部、
(d)炭酸カルシウム[一次粒子径 50nm、表面処理剤 脂肪酸]5.0質量部、
(e)二酸化チタン[TiO2 93%、平均粒子径 0.25μm、吸油量21]5.0質量部
を配合し、40℃に昇温した20LヘンシェルミキサーにZ羽根と平羽根を装着して、周波数65Hzで内温が110℃になるまでホットブレンドを行い配合物を得る。
<測定条件>
(1)測定装置内を180℃に加熱する。
(2)配合物77.55ccを前記測定装置に投入後5分間保持し、ローター回転数30rpmで混練する。
(3)混練開始から最大トルクを示す点までに要する時間をゲル化時間として測定する。
(1)測定装置内を180℃に加熱する。
(2)配合物77.55ccを前記測定装置に投入後5分間保持し、ローター回転数30rpmで混練する。
(3)混練開始から最大トルクを示す点までに要する時間をゲル化時間として測定する。
グラフト重合体(A)は、1種を単独で使用してもよく、また異なる2種以上の粉体(例えば粒子径、組成又は比表面積が異なる粉体)を併用してもよい。
<塩素含有樹脂(β)>
本発明に用いる塩素含有樹脂(β)は特に限定されず、公知の樹脂を使用できる。塩素含有樹脂(β)の製造方法も特に限定されず、例えば塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法が用いられる。
本発明に用いる塩素含有樹脂(β)は特に限定されず、公知の樹脂を使用できる。塩素含有樹脂(β)の製造方法も特に限定されず、例えば塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法が用いられる。
塩素含有樹脂(β)は、代表的には塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂である。塩化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂や、塩化ビニル樹脂を塩素化させた樹脂((塩素化塩化ビニル樹脂)が挙げられる。中でも、塩化ビニル樹脂を80質量%以上含む場合に、本発明はとりわけ効果を発揮する。
塩素含有樹脂(β)の具体例としては、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニリトル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ビニルエーテル共重合体等の塩化ビニル系樹脂が挙げられる。また、2種以上の塩化ビニル系樹脂のブレンド品であってもよい。さらに、塩化ビニル系樹脂と他の塩素を含まない合成樹脂(例えばアクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリエステル等)とのブレンド品であってもよい。また、そのブロック共重合体、グラフト共重合体であってもよい。
塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、好ましくは600〜1500、より好ましくは800〜1300である。この平均重合度が600以上であれば十分な機械的強度が得られ、1500以下であれば樹脂組成物の加工が容易である。
塩化ビニル系樹脂の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製のTK−800、TK−1000、TK−1300、太陽塩ビ(株)製のTH−800、TH−1000、TH−1300、カネカ(株)製のS−1008、S−1001、S−1003(何れも商品名)がある。
塩素化塩化ビニル樹脂を使用する場合、その塩素化度は好ましくは50〜70質量%、より好ましくは60〜70質量%、特に好ましくは65〜70質量%である。この塩素化度が50質量%以上であると十分な耐熱性を有する樹脂組成物が得られる。また70質量%以下であると、樹脂組成物の加工に必要な溶融粘度が維持できる。塩素化塩化ビニル樹脂の原料である塩化ビニル樹脂としては、先に例示列挙したものが好ましい。
塩化ビニル樹脂を塩素化させた樹脂(塩素化塩化ビニル系樹脂)を使用する場合、その塩素化度は好ましくは50〜70質量%、より好ましくは60〜70質量%、特に好ましくは65〜70質量%である。この塩素化度が50質量%以上であると十分な耐熱性を有する樹脂組成物が得られる。また、この塩素化度が70質量%以下であると、樹脂組成物の加工に必要な溶融粘度が維持できる。塩素化塩化ビニル系樹脂の原料である塩化ビニル樹脂としては、先に例示列挙したものが好ましい。
塩素化塩化ビニル系樹脂の市販品としては、例えば、積水化学(株)製のHA−05K、HA−24F、HA−22H、HA−53K、HA−27F、カネカ(株)製のH−516A、H−527、H−627、H−827、H−829(何れも商品名)がある。
<塩素含有樹脂組成物>
本発明の塩素含有樹脂組成物は、以上説明した衝撃強度改質剤(α)及び塩素含有樹脂(β)を含有する組成物である。塩素含有樹脂(β)に対して衝撃強度改質剤(α)を配合することにより、その衝撃強度が向上する。
本発明の塩素含有樹脂組成物は、以上説明した衝撃強度改質剤(α)及び塩素含有樹脂(β)を含有する組成物である。塩素含有樹脂(β)に対して衝撃強度改質剤(α)を配合することにより、その衝撃強度が向上する。
この塩素含有樹脂組成物において、衝撃強度改質剤(α)を構成するグラフト共重合体(A)の含有量は特に限定されず、所望の衝撃強度に応じて決定すればよい。特に、グラフト共重合体(A)の含有量は、塩素含有樹脂(β)100質量部に対して好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部、最も好ましくは3〜10質量部である。この含有量が0.1質量部以上であれば低温衝撃強度の発現性が良好であり、30質量部以下であれば加工性も含めた優れた各種特性を維持できる。
本発明の塩素含有樹脂組成物には、物性を損なわない限りにおいて、その目的に応じて安定剤、滑剤、充填剤、難燃剤、離型剤、流動性改良剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、防曇剤、抗菌剤等の各種添加剤を添加できる
安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛系安定剤;カリウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛等の金属と、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘニン酸等の脂肪酸とから誘導される金属石けん系安定剤;アルキル基、エステル基、脂肪酸基、マレイン酸基、含硫化物基等を有する有機スズ系安定剤;Ba−Zn系、Ca−Zn系、Ba−Ca−Sn系、Ca−Mg−Sn系、Ca−Zn−Sn系、Pb−Sn系、Pb−Ba−Ca系等の複合金属石けん系安定剤;バリウム、亜鉛等の金属基と、2−エチルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸等の分岐脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、ナフテン酸等の脂環族酸、石炭酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体等の芳香族酸といった有機酸の通常二種以上から誘導される金属塩系安定剤;これら安定剤を石油系炭化水素、アルコール、グリセリン誘導体等の有機溶剤に溶解し、さらに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、透明性改良剤、光安定剤、酸化防止剤、ブリードアウト防止剤、滑剤等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤等の金属系安定剤;エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等のエポキシ化合物、有機亜リン酸エステル等の非金属系安定剤が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛系安定剤;カリウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛等の金属と、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘニン酸等の脂肪酸とから誘導される金属石けん系安定剤;アルキル基、エステル基、脂肪酸基、マレイン酸基、含硫化物基等を有する有機スズ系安定剤;Ba−Zn系、Ca−Zn系、Ba−Ca−Sn系、Ca−Mg−Sn系、Ca−Zn−Sn系、Pb−Sn系、Pb−Ba−Ca系等の複合金属石けん系安定剤;バリウム、亜鉛等の金属基と、2−エチルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸等の分岐脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、ナフテン酸等の脂環族酸、石炭酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体等の芳香族酸といった有機酸の通常二種以上から誘導される金属塩系安定剤;これら安定剤を石油系炭化水素、アルコール、グリセリン誘導体等の有機溶剤に溶解し、さらに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、透明性改良剤、光安定剤、酸化防止剤、ブリードアウト防止剤、滑剤等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤等の金属系安定剤;エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等のエポキシ化合物、有機亜リン酸エステル等の非金属系安定剤が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン等の純炭化水素系滑剤;ハロゲン化炭化水素系滑剤;高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤;脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系滑剤;その他、金属石けん、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステルが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、クレー、マイカ、タルク、ウォラストナイト、ゼオライト、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、カーボンブラック、グラファイト、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の無機質系充填剤;その他、ポリアミド等の有機繊維が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、例えば、塩素化パラフィン、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、ハロゲン化合物が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
難燃剤としては、例えば、塩素化パラフィン、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、ハロゲン化合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の塩素含有樹脂組成物を製造する為に、例えば溶融混練法を用いることができる。具体的には、例えば、所定量の熱可塑性樹脂と加工性改良剤をヘンシェルミキサ、バンバリーミキサ、V型ミキサ、リボンブレンダ等で混合し、その混合物を単軸押出機、二軸押出機等の混練押出機により溶融混練する方法がある。溶融混練して得た樹脂組成物は、通常、ペレット状にする。また必要に応じて少量の溶剤を使用して混練しても良い。
本発明の塩素含有樹脂組成物を加工する方法は特に制限されず、公知の加工方法を用いることができる。例えば、カレンダー加工、ロール加工、押し出し成形加工、溶融圧延法、射出成形加工、加圧成形加工、ペースト加工、粉体成形加工、発泡成形加工により好適に加工、成形できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。以下の記載において「部」及び「%」は特に断らない限り、各々「質量部」及び「質量%」を表すものとする。各項目の測定基準、判断は以下のように行った。
(1)乳化剤(c)の熱分解温度
70℃の蒸気乾燥機内で水分を除去し、水分含有率を1.0%以下にした乳化剤を検体として、TG/DTA6200[セイコーインスツルメンツ(株)製測定装置]を用いて質量減少率の測定を行った。測定条件は、Air=200ml/min雰囲気下で120℃で5分間保持した後、120℃から550℃まで15℃/minの昇温速度にて測定を行った。得られた測定結果より、測定前の乳化剤の質量を100%として、重量減少率が3%減少した際の温度を、乳化剤の熱分解温度とした。
70℃の蒸気乾燥機内で水分を除去し、水分含有率を1.0%以下にした乳化剤を検体として、TG/DTA6200[セイコーインスツルメンツ(株)製測定装置]を用いて質量減少率の測定を行った。測定条件は、Air=200ml/min雰囲気下で120℃で5分間保持した後、120℃から550℃まで15℃/minの昇温速度にて測定を行った。得られた測定結果より、測定前の乳化剤の質量を100%として、重量減少率が3%減少した際の温度を、乳化剤の熱分解温度とした。
(2)グラフト共重合体(A)の質量平均粒子径
グラフト共重合体ラテックスを脱イオン水で濃度約3%に希釈したものを検体として、CHDF2000型粒度分布計[米国MATEC社製]を用いて質量平均粒子径を測定した。測定はMATEC社が推奨する下記の標準条件で行なった。
カートリッジ:専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ[商品名:C−202]
キャリア液:専用キャリア液[商品名:2XGR500]
キャリア液の液性:中性
キャリア液の流速:1.4ml/分
キャリア液の圧力:約4,000psi[2,600kPa]
測定温度:35℃
試料使用量:0.1ml
標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンで、40〜800nmの粒子径の範囲で合計12点の粒子径のものを用いた。
グラフト共重合体ラテックスを脱イオン水で濃度約3%に希釈したものを検体として、CHDF2000型粒度分布計[米国MATEC社製]を用いて質量平均粒子径を測定した。測定はMATEC社が推奨する下記の標準条件で行なった。
カートリッジ:専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ[商品名:C−202]
キャリア液:専用キャリア液[商品名:2XGR500]
キャリア液の液性:中性
キャリア液の流速:1.4ml/分
キャリア液の圧力:約4,000psi[2,600kPa]
測定温度:35℃
試料使用量:0.1ml
標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンで、40〜800nmの粒子径の範囲で合計12点の粒子径のものを用いた。
(3)グラフト共重合体(A)粉体の体積平均粒子径
グラフト共重合体(A)の粉体を少量の乳化剤を添加した脱イオン水で希釈し、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置SALD−7100[島津製作所社(株)製測定装置]を用いて、15分間超音波処理をした後に体積平均粒子径を測定した。屈折率は仕込みモノマー組成から算出される屈折率を用い、いずれも平均径としてはメジアン径を用いた。試料濃度は、装置に付属の散乱光強度モニターにおいて適正範囲となるよう適宜調整した。
グラフト共重合体(A)の粉体を少量の乳化剤を添加した脱イオン水で希釈し、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置SALD−7100[島津製作所社(株)製測定装置]を用いて、15分間超音波処理をした後に体積平均粒子径を測定した。屈折率は仕込みモノマー組成から算出される屈折率を用い、いずれも平均径としてはメジアン径を用いた。試料濃度は、装置に付属の散乱光強度モニターにおいて適正範囲となるよう適宜調整した。
(4)グラフト共重合体(A)粉体の比表面積
比表面積の値は、比表面積・細孔分布測定装置[日本ベル(株)製、製品名Belsorp]を用いて、グラフト共重合体(A)の粉体(体積:0.6cm3)を測定用サンプル管に入れ、70℃で12時間真空乾燥し、その後測定した。この測定においては、下記式(II)のBET法により算出した比表面積の値を採用できる。
P/[V(P0−P)]=[1/(VmC)]+[(C−1)/(VmC)][P/P0] (II)
P:吸着平衡圧
P0:飽和蒸気圧
V:吸着量
Vm:単分子層吸着量、気体分子が固定表面で単分子層を形成した時の吸着量
C:吸着熱のパラメーター>0
(5)グラフト共重合体(A)粉体の抽出水のpH
pH測定方法としては、グラフト共重合体(A)の粉体5.0gを、180℃の熱風循環式乾燥機にて15分間静置加熱後、純水100mlに分散して70℃で1時間、攪拌しながら抽出した水を0.2μmセルロース混合エステル製メンブランフィルターで濾過した。これを検体として、以下の測定装置を用いて測定した値を採用した。
・装置:pHメーター 型式F−52[堀場製作所(株)]
・電極:型式 9611[堀場製作所(株)]
・比較電極内部液:3.33mol/l−KC溶液[堀場製作所(株)]
・pH標準液:pH 4.00、pH 6.88、pH 9.18(25℃)
(6)グラフト共重合体(A)粉体に含まれるオルガノシロキサン量
オルガノシロキサン含有量の測定方法としては、グラフト共重合体(A)の粉体を0.3g、50mlのサンプル管にはかり取り、アセトン20ml、酢酸ブチルを5μlはかり取りサンプル管に注入した。これを検体として測定する以下の測定装置を用いて測定した値を採用した。
・装置:ガスクロマトグラフ(GC)[Aqilent製 HP6890]
・キャピラリーカラム:DB−WAX
・カラムオーブン:40℃/5min、10℃/min昇温、140℃/0min、20℃/min昇温、220℃/lmin、ポストラン=230℃/2min、カラム流量(He)=2.3ml/min、平均線速度=36cm/sec
・注入口:温度=200℃
・検出器:温度=200℃、水素流量=40ml/min、エアー流量=450ml/min、メークアップ流量(He)=45ml/min
・注入量:1μl
(7)シャルピー衝撃強度
JIS K 7111に準じて、−10℃の温度条件下でシャルピー衝撃強度を測定した。試験片は表3と表4に示した配合にて、180℃に昇温した誘電加熱式8インチテストロール[関西ロール(株)製混練機]で3分間混練した後に、180℃に設定したプレス成形機にて10分間加熱、5分間冷却して成形されたプレス板を以下のサイズになるように切断し、ノッチを入れて作製した。
試験片:縦80.0mm×横10.0mm×厚み4.0mm、ノッチ深さ:2.0mm
試験片は、測定開始の48時間以上前から−10℃の低温恒温器にて調整した。
比表面積の値は、比表面積・細孔分布測定装置[日本ベル(株)製、製品名Belsorp]を用いて、グラフト共重合体(A)の粉体(体積:0.6cm3)を測定用サンプル管に入れ、70℃で12時間真空乾燥し、その後測定した。この測定においては、下記式(II)のBET法により算出した比表面積の値を採用できる。
P/[V(P0−P)]=[1/(VmC)]+[(C−1)/(VmC)][P/P0] (II)
P:吸着平衡圧
P0:飽和蒸気圧
V:吸着量
Vm:単分子層吸着量、気体分子が固定表面で単分子層を形成した時の吸着量
C:吸着熱のパラメーター>0
(5)グラフト共重合体(A)粉体の抽出水のpH
pH測定方法としては、グラフト共重合体(A)の粉体5.0gを、180℃の熱風循環式乾燥機にて15分間静置加熱後、純水100mlに分散して70℃で1時間、攪拌しながら抽出した水を0.2μmセルロース混合エステル製メンブランフィルターで濾過した。これを検体として、以下の測定装置を用いて測定した値を採用した。
・装置:pHメーター 型式F−52[堀場製作所(株)]
・電極:型式 9611[堀場製作所(株)]
・比較電極内部液:3.33mol/l−KC溶液[堀場製作所(株)]
・pH標準液:pH 4.00、pH 6.88、pH 9.18(25℃)
(6)グラフト共重合体(A)粉体に含まれるオルガノシロキサン量
オルガノシロキサン含有量の測定方法としては、グラフト共重合体(A)の粉体を0.3g、50mlのサンプル管にはかり取り、アセトン20ml、酢酸ブチルを5μlはかり取りサンプル管に注入した。これを検体として測定する以下の測定装置を用いて測定した値を採用した。
・装置:ガスクロマトグラフ(GC)[Aqilent製 HP6890]
・キャピラリーカラム:DB−WAX
・カラムオーブン:40℃/5min、10℃/min昇温、140℃/0min、20℃/min昇温、220℃/lmin、ポストラン=230℃/2min、カラム流量(He)=2.3ml/min、平均線速度=36cm/sec
・注入口:温度=200℃
・検出器:温度=200℃、水素流量=40ml/min、エアー流量=450ml/min、メークアップ流量(He)=45ml/min
・注入量:1μl
(7)シャルピー衝撃強度
JIS K 7111に準じて、−10℃の温度条件下でシャルピー衝撃強度を測定した。試験片は表3と表4に示した配合にて、180℃に昇温した誘電加熱式8インチテストロール[関西ロール(株)製混練機]で3分間混練した後に、180℃に設定したプレス成形機にて10分間加熱、5分間冷却して成形されたプレス板を以下のサイズになるように切断し、ノッチを入れて作製した。
試験片:縦80.0mm×横10.0mm×厚み4.0mm、ノッチ深さ:2.0mm
試験片は、測定開始の48時間以上前から−10℃の低温恒温器にて調整した。
(8)ゲル化時間
配合物のゲル化時間の測定は、以下の条件に従って測定を行った。
配合物のゲル化時間の測定は、以下の条件に従って測定を行った。
<配合物作製条件>
(a)グラフト共重合体(A)を6.0部、
(b)塩化ビニル樹脂 TK−1000[信越化学工業(株)製 商品名、平均重合度 1050、平均粒径 150μm]を100部、
(c)CaZn系安定剤[品川化工(株)製]を3.0部、
(d)炭酸カルシウムとしてCCR白艶華[白石カルシウム(株)製 商品名、一次粒子径 50nm、表面処理剤 脂肪酸]を5.0部、
(e)二酸化チタンとして、R−830[石原産業(株)製 商品名、TiO2 93%、平均粒子径 0.25μm、吸油量 21]を5.0部。
(a)グラフト共重合体(A)を6.0部、
(b)塩化ビニル樹脂 TK−1000[信越化学工業(株)製 商品名、平均重合度 1050、平均粒径 150μm]を100部、
(c)CaZn系安定剤[品川化工(株)製]を3.0部、
(d)炭酸カルシウムとしてCCR白艶華[白石カルシウム(株)製 商品名、一次粒子径 50nm、表面処理剤 脂肪酸]を5.0部、
(e)二酸化チタンとして、R−830[石原産業(株)製 商品名、TiO2 93%、平均粒子径 0.25μm、吸油量 21]を5.0部。
上記の(a)〜(e)の材料を配合し、40℃に昇温した20Lヘンシェルミキサー FM20C/I[三井鉱山(株)製 製品番号]にZ羽根と平羽根を装着して、周波数65Hzで内温が110℃になるまでホットブレンドを行い、配合物を得た。
<ゲル化時間測定条件>
ブラベンダープラスチコーダー[ブラベンダー(株)製測定装置]にバッチ式ミキサーアタッチメント[加熱方式 電気ヒーター、使用温度範囲 0〜350℃]を装着して180℃に加熱し、上記条件で作製した配合物77.55ccを投入した後5分間保持し、ローター回転数30rpmで、混練から最大トルクを示す点までに要する時間をゲル化時間とした。
ブラベンダープラスチコーダー[ブラベンダー(株)製測定装置]にバッチ式ミキサーアタッチメント[加熱方式 電気ヒーター、使用温度範囲 0〜350℃]を装着して180℃に加熱し、上記条件で作製した配合物77.55ccを投入した後5分間保持し、ローター回転数30rpmで、混練から最大トルクを示す点までに要する時間をゲル化時間とした。
(9)耐ブリードアウト性
誘電加熱式8インチテストロール[関西ロール(株)製混練機]を用いて、配合物50gをロールバンク部に投入後、180℃で30分間混練した際のロールの汚れを、以下の基準に従って目視により判断した。
○:30分混練後のロールに汚れが無い。
×:30分混練後のロールに汚れが付着している。
誘電加熱式8インチテストロール[関西ロール(株)製混練機]を用いて、配合物50gをロールバンク部に投入後、180℃で30分間混練した際のロールの汚れを、以下の基準に従って目視により判断した。
○:30分混練後のロールに汚れが無い。
×:30分混練後のロールに汚れが付着している。
(10)巻き付きまでの時間
誘電加熱式8インチテストロール[関西ロール(株)製混練機]を用いて、配合物50gをロールバンク部に投入し終わった時点を開始時間として混練を行い、配合物が溶融してロールに巻き付くまでの時間を測定した。前後のロールの温度は190℃に設定し、ロールの回転速度は前ロールが14rpm、後ろロールが16rpm、前後ロール間隔0.3mmで混練を行い測定した。
誘電加熱式8インチテストロール[関西ロール(株)製混練機]を用いて、配合物50gをロールバンク部に投入し終わった時点を開始時間として混練を行い、配合物が溶融してロールに巻き付くまでの時間を測定した。前後のロールの温度は190℃に設定し、ロールの回転速度は前ロールが14rpm、後ろロールが16rpm、前後ロール間隔0.3mmで混練を行い測定した。
(製造例1)ポリオルガノシロキサンゴムラテックス(S−1)の製造
テトラエトキシシラン2部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン97.5部を混合して、シロキサン系混合物100部を得た。これに、脱イオン水233部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部とドデシルベンゼンスルホン酸0.67部を溶解した溶液を添加し、ホモミキサーにて10000rpmで5分間攪拌した。次いで、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンエマルションを得た。
テトラエトキシシラン2部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン97.5部を混合して、シロキサン系混合物100部を得た。これに、脱イオン水233部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部とドデシルベンゼンスルホン酸0.67部を溶解した溶液を添加し、ホモミキサーにて10000rpmで5分間攪拌した。次いで、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンエマルションを得た。
このエマルションを、冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら80℃で5時間加熱した。その後、冷却して50℃で6時間保持してオルガノシロキサンを重合した。次いで5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=7.0に中和し、ポリオルガノシロキサンゴムラテックス(S−1)を得た。
このポリオルガノシロキサンゴムラテックス(S−1)を180℃で30分間乾燥し、その固形分を求めたところ、29.8%であった。
(製造例2)ポリアルキル(メタ)アクリレートゴムラテックス(A−1)の製造
ブチルアクリレート4.95部、アリルメタクリレート0.025部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.025部、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム0.2部及び脱イオン水107.5部を、冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下で2時間攪拌し、その後内温を70℃に昇温させた。次いで、過硫酸カリウム0.01部、脱イオン水2.5部を添加し、重合を開始した。内温を70℃で90分間保持して、重合を完了し、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴムラテックス(A−1)を得た。
ブチルアクリレート4.95部、アリルメタクリレート0.025部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.025部、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム0.2部及び脱イオン水107.5部を、冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下で2時間攪拌し、その後内温を70℃に昇温させた。次いで、過硫酸カリウム0.01部、脱イオン水2.5部を添加し、重合を開始した。内温を70℃で90分間保持して、重合を完了し、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴムラテックス(A−1)を得た。
このポリアルキル(メタ)アクリレートゴムムラテックス(A−1)を180℃で30分間乾燥し、その固形分を求めたところ、4.3%であった。
(製造例3)グラフト共重合体(G−1)の製造
製造例1で得たポリオルガノシロキサンゴムラテックス(S−1)33.22部(固形分として9.9部)をセパラブルフラスコに入れ、蒸留水200部を添加混合した。その後、ブチルアクリレート77.5部、アリルメタクリレート1.6部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.3部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部の混合物を添加した。
製造例1で得たポリオルガノシロキサンゴムラテックス(S−1)33.22部(固形分として9.9部)をセパラブルフラスコに入れ、蒸留水200部を添加混合した。その後、ブチルアクリレート77.5部、アリルメタクリレート1.6部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.3部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部の混合物を添加した。
次いで、このセパラブルフラスコに窒素気流を通じてフラスコ内雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。液温が60℃となった時点で、硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部及びロンガリット0.24部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を実施した。重合を完結させる為に更に1時間この状態を維持し、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムを含む複合ゴムのラテックスを得た。
このラテックスの液温が65℃に低下した後、メチルメタクリレート10部、ブチルアクリレート1部及びキュメンヒドロパーオキサイド0.06部の混合液を30分間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃以上の状態を1時間保ち、その後冷却し、複合ゴムにメチルメタクリレート・ブチルアクリレート共重合体がグラフト結合されたグラフト共重合体(G−1)のラテックスを得た。このグラフト共重合体(G−1)の質量平均粒子径を表1に示す。
(製造例4〜6)グラフト共重合体(G−2)〜(G−4)の製造
表1に示すように、追加乳化剤の種類を変更したこと以外は、製造例3と同様してグラフト重合体を得た。このグラフト共重合体(G−2)〜(G−4)の質量平均粒子径を表1に示す。
表1に示すように、追加乳化剤の種類を変更したこと以外は、製造例3と同様してグラフト重合体を得た。このグラフト共重合体(G−2)〜(G−4)の質量平均粒子径を表1に示す。
(製造例7)グラフト共重合体(G−5)の製造
製造例2で得たポリアルキル(メタ)アクリレートゴムラテックス(A−1)ラテックスに、硫酸第一鉄0.0003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0009部及びロンガリット0.03部を脱イオン水2.5部に溶解させた水溶液を添加した。
製造例2で得たポリアルキル(メタ)アクリレートゴムラテックス(A−1)ラテックスに、硫酸第一鉄0.0003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0009部及びロンガリット0.03部を脱イオン水2.5部に溶解させた水溶液を添加した。
次いで、ブチルアクリレート69.3部、アリルメタクリレート0.7部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.35部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.35部、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム0.6部及び脱イオン水35部の混合液を2時間かけて滴下し、内温を70℃で90分間保持して、重合を完了し、アクリルゴムのラテックスを得た。このアクリルゴムのラテックス固形分は33.5%であった。
このアクリルゴムラテックスに、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム0.1部、ロンガリット0.03部、脱イオン水2.5部を添加した。次いで、メチルメタクリレート20部、イソブチルメタクリレート5部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.25部を1時間かけて滴下し、内温を70℃で90分間保持して重合を完了し、グラフト共重合体(G−5)のラテックス(固形分39.8%)を得た。このグラフト共重合体(G−5)の質量平均粒子径を表1に示す。
・「ネオぺレックスG15」:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、商品名ネオぺレックスG15)
・「ぺレックスSSL」:アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、商品名ぺレックスSSL)
・「エマルゲンA90」:ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(花王(株)製、商品名エマルゲンA90)
・「エマール20C」:ポリオキシエチレアルキルエーテル硫酸ナトリウム(花王(株)製、商品名エマール20C)
・「ペレックスOTP」:ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(花王(株)製、商品名ペレックスOTP)
・「BA」:アクリル酸n−ブチル
・「MMA」:メタクリル酸メチル
・「AMA」:メタクリル酸アリル
・「i−BMA」:メタクリル酸イソブチル
(製造例8)グラフト共重合体の粉体(B−1)の製造
製造例3で得たグラフト共重合体(G−1)のラテックスを、アトマイザー式噴霧乾燥機(大川原化工機(株)製、L8スプレードライヤー)を用いて、下記条件で噴霧乾燥処理してグラフト共重合体の粉体(B−1)を得た。
<噴霧乾燥処理条件>
噴霧方式:回転ディスク式
ディスク回転数:25000rpm
熱風温度 入口温度:150℃、出口温度:65℃
得られたグラフト共重合体の粉体(B−1)の体積平均粒子径、比表面積、抽出水のpH、含まれるオルガノシロキサン量を表2に示す。
噴霧方式:回転ディスク式
ディスク回転数:25000rpm
熱風温度 入口温度:150℃、出口温度:65℃
得られたグラフト共重合体の粉体(B−1)の体積平均粒子径、比表面積、抽出水のpH、含まれるオルガノシロキサン量を表2に示す。
(製造例9、10、11及び13)グラフト共重合体の粉体(B−2)、(B−3)、(B−4)及び(B−6)の製造
表2に示すようにグラフト共重合体の種類を変更したこと以外は、製造例8と同様の噴霧乾燥処理を行い、グラフト重合体の粉体(B−2)、(B−3)、(B−4)及び(B−6)を得た。それらの体積平均粒子径、比表面積、抽出水のpH、含まれるオルガノシロキサン量を表2に示す。
表2に示すようにグラフト共重合体の種類を変更したこと以外は、製造例8と同様の噴霧乾燥処理を行い、グラフト重合体の粉体(B−2)、(B−3)、(B−4)及び(B−6)を得た。それらの体積平均粒子径、比表面積、抽出水のpH、含まれるオルガノシロキサン量を表2に示す。
(製造例12)グラフト共重合体の粉体(B−5)の製造
製造例3で得たグラフト共重合体のラテックス(G−1)を、硫酸アルミニウムを2.5%の割合で溶解した水溶液500部を35℃に加熱した状態で徐々に滴下して凝固した。滴下終了後、80℃まで更に加熱して完全に固化させた。これを分離、水洗したのち乾燥し、グラフト共重合体の粉体(B−5)を得た。
製造例3で得たグラフト共重合体のラテックス(G−1)を、硫酸アルミニウムを2.5%の割合で溶解した水溶液500部を35℃に加熱した状態で徐々に滴下して凝固した。滴下終了後、80℃まで更に加熱して完全に固化させた。これを分離、水洗したのち乾燥し、グラフト共重合体の粉体(B−5)を得た。
得られたグラフト共重合体の粉体(B−5)の体積平均粒子径、比表面積、抽出水のpH、含まれるオルガノシロキサン量を表2に示す。なお、これらの各測定方法は、先に説明した通りである。
・「SD」:スプレードライ(噴霧乾燥法)
・「凝固」:凝固法
(実施例1〜3及び比較例1〜3)
製造例8〜13で得たグラフト共重合体の粉体粒子(B−1)〜(B−6)を使用し、表3に示す配合にて、下記条件で配合物1〜6を製造した。
<配合物1〜6の作製条件>
(a)グラフト共重合体(A)を6.0部、
(b)塩化ビニル樹脂 TK−1000[信越化学工業(株)製商品名、平均重合度 1050、平均粒径150 μm]を100部、
(c)CaZn系安定剤[品川化工(株)製]を3.0部、
(d)炭酸カルシウムとしてCCR白艶華[白石カルシウム(株)製商品名、一次粒子径 50nm、表面処理剤 脂肪酸]を5.0部、
(e)二酸化チタンとして、R−830[石原産業(株)製商品名、TiO2 93%、平均粒子径 0.25μm、吸油量 21]を5.0部。
(a)グラフト共重合体(A)を6.0部、
(b)塩化ビニル樹脂 TK−1000[信越化学工業(株)製商品名、平均重合度 1050、平均粒径150 μm]を100部、
(c)CaZn系安定剤[品川化工(株)製]を3.0部、
(d)炭酸カルシウムとしてCCR白艶華[白石カルシウム(株)製商品名、一次粒子径 50nm、表面処理剤 脂肪酸]を5.0部、
(e)二酸化チタンとして、R−830[石原産業(株)製商品名、TiO2 93%、平均粒子径 0.25μm、吸油量 21]を5.0部。
上記の(a)〜(e)の材料を配合し、40℃に昇温した20Lヘンシェルミキサー FM20C/I[三井鉱山(株)製品番号]にZ羽根と平羽根を装着して、周波数65Hzで内温が110℃になるまでホットブレンドを行い、配合物1〜7を得た。
これらを、180℃に昇温した誘電加熱式8インチテストロール[関西ロール(株)製混練機]で3分間混練した後に、180℃に設定したプレス成形機にて10分間加熱、5分間冷却して、縦200mm×横200mm×厚さ4mmの板状試験片を得た。この試片を評価法に応じて切断して評価を実施した。結果を表3示す。
<配合物7〜12作成条件>
(a)グラフト共重合体(A)を6.0部、
(b)塩素化塩化ビニル樹脂 HA−17F[積水化学(株)製商品名、塩素含有率 64wt%]を100部、
(c)ジブチル錫ビスチオグリコレート[日東化成(株)製]を4.0部、
(d)部分酸化ポリエチレンワックスとしてPE−220[三井化学(株)製商品名]を1.5部、
(e)二酸化チタンとして、R−830[石原産業(株)製商品名、TiO2 93%、平均粒子径 0.25μm、吸油量 21]を5.0部。
(a)グラフト共重合体(A)を6.0部、
(b)塩素化塩化ビニル樹脂 HA−17F[積水化学(株)製商品名、塩素含有率 64wt%]を100部、
(c)ジブチル錫ビスチオグリコレート[日東化成(株)製]を4.0部、
(d)部分酸化ポリエチレンワックスとしてPE−220[三井化学(株)製商品名]を1.5部、
(e)二酸化チタンとして、R−830[石原産業(株)製商品名、TiO2 93%、平均粒子径 0.25μm、吸油量 21]を5.0部。
上記の(a)〜(e)の材料を配合し、40℃に昇温した20Lヘンシェルミキサー FM20C/I[三井鉱山(株)製品番号]にZ羽根と平羽根を装着して、周波数65Hzで内温が110℃になるまでホットブレンドを行い、配合物7〜12を得た。
これらを、190℃に昇温した誘電加熱式8インチテストロール[関西ロール(株)製混練機]で3分間混練した後に、190℃に設定したプレス成形機にて10分間加熱、5分間冷却して、縦200mm×横200mm×厚さ4mmの板状試験片を得た。この試片を評価法に応じて切断して評価を実施した。結果を表4示す。
表3の結果から明らかなように、塩化ビニル樹脂にグラフト共重合体(B−1)〜(B−3)を配合した実施例1〜3は、実用上十分な低温衝撃強度を保ち、ゲル化時間が短い、すなわち優れた加工性を有しており、耐ブリードアウト性を有していることが確認された。
一方、抽出水のpHが4未満であったグラフト共重合体(B−4)を配合した比較例1は、実施例と比較して、低温衝撃強度が低下し、ゲル化時間が長い、すなわち加工性が低下し、耐ブリードアウト性も低下することが確認された。また、比表面積が0.6m2/g未満であり抽出水のpHが4未満であったグラフト共重合体(B−5)を配合した比較例2は、実用上十分な低温衝撃強度を示したがゲル化時間が長い、すなわち加工性は低下した。ポリオルガノシロキサンゴム又はその複合ゴムを含まないグラフト共重合体(B−6)を配合した比較例3は、ゲル化時間が短い、すなわち加工性は良いものの低温衝撃強度は不十分であった。
さらに表4の結果から明らかなように、塩素化塩化ビニル樹脂にグラフト共重合体(B−1)〜(B−3)を配合した実施例4〜6でも、実用上十分な低温衝撃強度を保ち、巻き付きまでの時間が短い、すなわち優れた加工性を有していることが確認された。
一方、抽出水のpHが4以下であったグラフト共重合体(B−4)を配合した比較例4は、実施例と比較して、低温衝撃強度が低下し、巻き付きまでの時間が長い、すなわち加工性が低下することが確認された。また、比表面積が0.6m2/g未満であり抽出水のpHが4未満であったグラフト共重合体(B−5)を配合した比較例5は、実用上十分な低温衝撃強度を示したが巻き付きまでの時間が長い、すなわち加工性は低下した。ポリオルガノシロキサンゴム又はその複合ゴムを含まないグラフト共重合体(B−6)を配合した比較例6は、巻き付きまでの時間が短い、すなわち加工性は良いものの低温衝撃強度は不十分であった。
以上のことから、本発明の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤は、塩素含有樹脂に配合、混練した場合、加工性を低下させることなく、低温衝撃強度を向上させることができることが確認された。
本発明の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)を塩素含有樹脂(β)に配合、混練すれば、加工性を低下させることなく低温衝撃強度を向上できる。したがって、本発明の塩素含有樹脂組成物は、各種工業材料として種々の成形品に有用である。例えば、フィルム、ボトル、トレー、プレート、パッケージ、パイプ、シート等の用途に好適に使用できる。その他、例えば壁材、床材、窓枠、壁材、波板、雨樋等の建材;自動車用内外装材;魚食品包装材;パッキン、ガスケット、ホース、継ぎ手、玩具等の雑貨にも使用できる。
Claims (9)
- ポリオルガノシロキサンゴム(A1)又はポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムを含む複合ゴム(A2)に、1種以上のビニル単量体(b1)をグラフト重合したグラフト共重合体(A)の粉体を含む衝撃強度改質剤であって、
ビニル単量体(b1)が、芳香族アルケニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル及びシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体であり、
グラフト共重合体(A)の粉体の窒素ガス吸着法で測定される比表面積が0.6〜30m2/gであり、
下記条件で抽出した水のpHが4〜11である塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
(1)グラフト共重合体(A)の粉体5.0gを180℃のオーブン内で15分間静置加熱し、
(2)上記加熱後、加熱純水100mlに分散して70℃で1時間、攪拌しながら抽出する。 - グラフト共重合体(A)の粉体が、グラフト共重合体(A)のラテックスを噴霧乾燥して得られるものである請求項1記載の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
- TG/DTA測定装置で測定される熱分解温度が200℃未満の乳化剤の含有量が、改質剤(α)100質量部に対して0.1質量部以下である請求項1又は2に記載の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
- ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム及びポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を含有する請求項1から3のいずれか一項に記載の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
- グラフト共重合体(A)の粉体中に含まれるオルガノシロキサンの量が0.4質量%以下である請求項1から4のいずれか一項に記載の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
- グラフト重合体(A)の粉体の下記条件で測定したゲル化時間が、215秒以下である請求項1から5のいずれか一項に記載の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)。
<配合物の作製>
(a)塩化ビニル樹脂[平均重合度 1050、平均粒径150μm]100質量部、
(b)グラフト共重合体(A)の粉体6.0質量部、
(c)CaZn系安定剤3.0質量部、
(d)炭酸カルシウム[一次粒子径 50nm、表面処理剤 脂肪酸]5.0質量部、
(e)二酸化チタン[TiO2 93%、平均粒子径 0.25μm、吸油量21]5.0質量部
を配合し、40℃に昇温した20LヘンシェルミキサーにZ羽根と平羽根を装着して、周波数65Hzで内温が110℃になるまでホットブレンドを行い配合物を得る。
<測定条件>
(1)測定装置内を180℃に加熱する。
(2)配合物77.55ccを前記測定装置に投入後5分間保持し、ローター回転数30rpmで混練する。
(3)混練開始から最大トルクを示す点までに要する時間をゲル化時間として測定する。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載の塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)及び塩素含有樹脂(β)を含有する塩素含有樹脂組成物。
- 塩素含有樹脂(β)100質量部に対して、塩素含有樹脂用衝撃強度改質剤(α)を0.1〜30質量部含有する請求項7記載の塩素含有樹脂組成物。
- 請求項7又は8記載の塩素含有樹脂組成物を成形して得られる成形体。
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