JP6064742B2 - 車両用駆動装置の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関と車輪とを結ぶ動力伝達経路に、前記内燃機関の側から順に、機関分離係合装置、回転電機、及び変速装置が設けられた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置に関する。
上記のような制御装置に関して、例えば下記の特許文献1に記載された技術が既に知られている。特許文献1に記載されている技術では、内燃機関の始動要求があった場合に、機関分離係合装置を滑り係合状態に制御すると共に、変速装置の変速段を形成している複数の係合装置の1つを滑り係合状態に制御して、内燃機関の始動制御を行うように構成されている。
特開2012−121568号公報
ところで、車両の燃費向上のために、変速段を形成する各係合装置に供給する油圧を、各係合装置の直結係合状態を維持できる範囲内で最大の油圧から低下させる制御が考えられる。
このように供給油圧が低下されているときに、内燃機関の始動制御が開始されると、変速段を形成している係合装置のうち、滑り係合状態に制御されていない係合装置が、始動制御により生じたトルク変動により、意図せず滑り係合状態になる恐れがあった。滑り係合状態に制御されていない係合装置が滑り係合状態になると、始動制御を計画的に実行できなかったり、滑り係合状態に制御される係合装置の状態を適切に観測できなかったりする。
特許文献1の技術では、内燃機関の始動制御が開始される前において、変速装置の変速段を形成している各係合装置に供給する油圧は、最大の油圧に設定されている。そして、特許文献1の技術では、内燃機関の始動制御の実行中に、滑り係合状態に制御する係合装置に供給する油圧を、最大の油圧から低下させている。よって、特許文献1には、内燃機関の始動制御を開始するよりも前に、変速段を形成する各係合装置に供給する油圧を最大の油圧から低下させる制御が行われている場合に対応できる技術が開示されていない。
そこで、内燃機関の始動制御が開始される前に、変速段を形成する各係合装置に供給する油圧が最大の油圧から低下されている場合でも、内燃機関の始動制御の実行中に、滑り係合状態に制御されていない係合装置が滑り係合状態になることを抑制できる制御装置が求められる。
本発明に係る、内燃機関と車輪とを結ぶ動力伝達経路に、前記内燃機関の側から順に、機関分離係合装置、回転電機、及び変速装置が設けられた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置の特徴構成は、前記変速装置は、複数の係合装置を備えると共に、当該複数の係合装置の係合の状態に応じて複数の変速段が選択的に形成され、目標とする前記変速段を形成する前記係合装置に、直結係合状態に維持できる最低の油圧以上であって直結係合状態で設定される最大の油圧未満である保持油圧を供給して、前記変速段を形成する変速制御部と、前記機関分離係合装置を解放状態から係合状態に移行させて前記内燃機関を始動させる場合に、前記変速制御部により形成されている前記変速段を形成する前記係合装置の一つである第一係合装置に供給する油圧を、当該第一係合装置が滑り係合状態になるように前記保持油圧から低下させ、前記変速段を形成する前記係合装置の内、前記第一係合装置以外の係合装置である第二係合装置に供給する油圧を、前記保持油圧から増加させる始動制御部と、を備える点にある。
なお、本願において「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
また、本願において、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いている。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。また、このような伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば摩擦係合装置や噛み合い式係合装置等が含まれていてもよい。
変速段を形成する各係合装置に供給する油圧が、保持油圧に制御されている状態で、内燃機関の始動制御が開始された場合に、上記の特徴構成と異なり、第二係合装置に供給する油圧を、保持油圧から増加させずに、保持油圧のままに維持する構成が考えられる。この構成の場合は、始動制御中に生じたトルク変動などにより、第二係合装置が意図せず滑り係合状態になる恐れがある。保持油圧は、油圧ポンプロスの低減による燃費向上などのために、直結係合状態に維持できる最低の油圧以上であって直結係合状態で設定される最大の油圧未満に設定されており、大きなトルク変動が生じると、係合装置が滑り係合状態になる可能性がある。始動制御中は、機関分離係合装置が解放状態から係合状態に移行され、内燃機関の燃焼が開始されるため、トルク変動が大きくなる場合があり、第二係合装置が滑り係合状態になる可能性が高くなる。特に、始動制御中において、第二係合装置が滑り係合状態になると、始動制御を計画的に実行できなかったり、第一係合装置の係合の状態を適切に観測できなかったりする。
上記の特徴構成によれば、変速段を形成する各係合装置に供給する油圧が、保持油圧に制御されている状態で、内燃機関の始動制御が開始された場合でも、内燃機関の始動制御の開始後、滑り係合状態に制御したい第一係合装置に供給する油圧が保持油圧から低下され、直結係合状態に維持したい第二係合装置に供給する油圧が保持油圧から増加される。そのため、始動制御中に生じたトルク変動などにより、第二係合装置が意図せず滑り係合状態になることを抑制できる。よって、第二係合装置が滑り係合状態になることにより、始動制御を計画的に実行できなくなることや、第一係合装置の係合の状態を適切に観測できなくなることなどを、効果的に抑制できる。
ここで、前記第一係合装置の故障を判定する故障判定部を更に備え、前記始動制御部は、前記第一係合装置の係合部材間の回転速度差が、予め定めた判定速度差以上になったと判定した後に、前記機関分離係合装置に供給する油圧を増加させて前記機関分離係合装置を解放状態から係合状態に移行させ、前記故障判定部は、前記始動制御部により前記第一係合装置への供給油圧の低下が開始された後、前記第一係合装置の係合部材間の回転速度差が前記判定速度差未満である状態が、予め定めた判定時間継続したと判定した場合に、前記回転電機の出力トルクを増加させ始め、前記回転電機の出力トルクの増加量が予め定めた故障判定値以上になっても、前記第一係合装置の係合部材間の回転速度差が、前記判定速度差未満のままであると判定した場合に、前記第一係合装置が故障していると判定し、前記始動制御部は、前記故障判定部により前記第一係合装置が故障していると判定された場合に、前記第一係合装置に代えて、前記第二係合装置が滑り係合状態になるように、当該第二係合装置に供給する油圧を前記保持油圧よりも低下させ、当該第二係合装置の係合部材間の回転速度差が、予め定めた前記判定速度差以上になったと判定した後に、前記機関分離係合装置に供給する油圧を増加させて前記機関分離係合装置を解放状態から係合状態に移行させると好適である。
この構成によれば、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が、判定速度差以上になったか否かを判定することで、第一係合装置が滑り係合状態になったか否かを精度よく判定することができる。この際、上記のように、第二係合装置に供給する油圧が保持油圧から増加されているので、第二係合装置が滑り係合状態になる可能性を低くでき、第二係合装置が滑り係合状態になったことを、第一係合装置が滑り係合状態になったと誤判定することを抑制できる。
第一係合装置の滑り係合状態を精度よく判定できるので、上記の構成のように、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が判定速度差以上になったと判定した後に、機関分離係合装置を係合状態に移行させて、内燃機関の始動を行っても、トルク変動が車輪側に伝達されることを抑制できる。
一方、上記の構成によれば、第一係合装置に供給する油圧を保持油圧から低下させ、回転電機の出力トルクを増加させて第一係合装置に伝達されるトルクを増加させても、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が増加しない場合には、第一係合装置に何らかの故障が生じたと判定できる。また、回転電機の出力トルクが増加されるので、第一係合装置の係合部材の引っ掛かりなどの一時的な要因で回転速度差が増加し難くなっている場合には、その状態を解消して回転速度差を増加させることができる場合があり、故障の判定精度を向上させることができる。
この際、第二係合装置に供給される油圧が、上記のように、保持油圧から増加されているので、回転電機の出力トルクを増加させても、第二係合装置が滑り係合状態になることを抑制でき、第二係合装置が滑り係合状態になることにより、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が増加したと誤判定されることを抑制できる。
上記の構成によれば、第一係合装置が故障している場合でも、第一係合装置に代えて、第二係合装置を滑り係合状態に移行させて、始動制御を計画的に実行することができる。具体的には、第二係合装置に供給する油圧を保持油圧よりも低下させ、当該第二係合装置の係合部材間の回転速度差が、判定速度差以上になったと判定した後に、機関分離係合装置に供給する油圧を増加させて機関分離係合装置を解放状態から係合状態に移行させることができる。これにより、第一係合装置が故障している場合にも、内燃機関の始動制御に伴うトルク変動を車輪側に伝達させず、内燃機関を始動させることができる。
ここで、前記故障判定部は、前記第一係合装置の係合部材間の回転速度差が予め定めた目標回転速度差に近づくように、前記回転電機の出力トルクを制御することによって、前記回転電機の出力トルクを増加させると好適である。
この構成によれば、回転速度制御により、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が増加するように、回転電機の出力トルクを適切に増加させることができる。また、回転速度制御の実行中に、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が増加した場合は、継続して回転速度制御を実行することで、第一係合装置をそのまま滑り係合状態に維持できる。
ここで、前記始動制御部は、前記第一係合装置又は前記第二係合装置の係合部材間の回転速度差が、前記判定速度差以上になったと判定した後、前記機関分離係合装置に供給する油圧を増加させて前記機関分離係合装置を解放状態から係合状態に移行させると共に、前記第一係合装置又は前記第二係合装置の係合部材間の回転速度差が目標回転速度差に近づくように、前記回転電機の出力トルクを制御すると好適である。
この構成によれば、機関分離係合装置を係合状態に移行させて、内燃機関の始動を行っている間、制御性のよい回転電機の出力トルクにより回転速度制御を行うことにより、第一係合装置又は第二係合装置の係合部材間の回転速度差を精度よく維持でき、第一係合装置又は第二係合装置をより確実に滑り係合状態に維持できる。よって、内燃機関の始動制御中に生じたトルク変動が車輪側に伝達されることをより確実に防止できる。
ここで、前記始動制御部は、前記内燃機関の始動が終了した後に、前記変速段を形成する前記第一係合装置及び前記第二係合装置に供給する油圧を、前記保持油圧に戻すと好適である。
この構成によれば、内燃機関の始動が終了し、始動制御によるトルク変動が生じる可能性が低下すると、変速段を形成する係合装置のうちで滑り係合状態に制御されている係合装置を滑り係合状態に維持する必要性が低下し、また、始動制御によるトルク変動により、直結係合状態に制御されている係合装置が滑り係合状態になる可能性が低下する。よって、上記の構成によれば、内燃機関の始動が終了した後に、前記変速段を形成する係合装置である第一係合装置及び第二係合装置に供給する油圧を保持油圧に戻すことにより、滑り係合状態に制御されている係合装置を直結係合状態に移行させて始動制御を終了すると共に、燃費向上を図ることができる。
本発明の実施形態に係る車両用駆動装置及び制御装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る制御装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る車両用駆動装置のスケルトン図である。 本発明の実施形態に係る変速装置の作動表である。 本発明の実施形態に係る油圧制御装置を説明する図である。 本発明の実施形態に係る正常時の始動制御のタイムチャートである。 本発明の実施形態に係る故障判定時の始動制御のタイムチャートである。 本発明の実施形態に係る、故障判定を実行したが、正常判定時の始動制御のタイムチャートである。 本発明の実施形態に係る始動制御及び故障判定のフローチャートである。 本発明の実施形態に係る始動制御及び故障判定のフローチャートである。 本発明のその他の実施形態に係る車両用駆動装置及び制御装置の概略構成を示す模式図である。 本発明のその他の実施形態に係る車両用駆動装置及び制御装置の概略構成を示す模式図である。
本発明に係る車両用駆動装置1の制御装置30(以下、単に制御装置30と称す)の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る車両用駆動装置1及び制御装置30の概略構成を示す模式図である。この図において、実線は駆動力の伝達経路を示し、破線は作動油の供給経路を示し、一点鎖線は信号の伝達経路を示している。この図に示すように、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、概略的には、内燃機関ENG及び回転電機MGを駆動力源として備え、これらの駆動力源の駆動力を、動力伝達機構を介して車輪Wへ伝達する構成となっている。車両用駆動装置1には、内燃機関ENGと車輪Wとを結ぶ動力伝達経路2に、内燃機関ENGの側から順に、機関分離クラッチSSC、回転電機MG、及び変速装置TMが設けられている。ここで、機関分離クラッチSSCは、その係合状態に応じて、内燃機関ENGと回転電機MGとの間を選択的に連結した状態又は分離した状態とする。なお、機関分離クラッチSSCが本発明における「機関分離係合装置」に相当する。
ハイブリッド車両には、車両用駆動装置1を制御対象とする制御装置30が備えられている。本実施形態に係わる制御装置30は、回転電機MGの制御を行う回転電機制御ユニット32と、変速装置TM、及び機関分離クラッチSSCの制御を行う動力伝達制御ユニット33と、これらの制御装置を統合して車両用駆動装置1の制御を行う車両制御ユニット34と、を有している。また、ハイブリッド車両には、内燃機関ENGの制御を行う内燃機関制御装置31も備えられている。
制御装置30は、図2に示すように、変速制御部43、始動制御部45、及び故障判定部46などの機能部を備えている。
変速装置TMは、図3、図4に例を示すように、複数の係合装置C1、B1・・・を備えると共に、当該複数の係合装置C1、B1・・・の係合の状態に応じて複数の変速段1st、2nd・・・が選択的に形成される。
変速制御部43は、目標とする変速段を形成する係合装置に、直結係合状態に維持できる最低の油圧以上であって直結係合状態で設定される最大の油圧未満である保持油圧を供給して、変速段を形成する。
始動制御部45は、機関分離クラッチSSCを解放状態から係合状態に移行させて内燃機関ENGを始動させる場合に、変速制御部43により形成されている変速段を形成する係合装置の一つである第一係合装置に供給する油圧を、当該第一係合装置が滑り係合状態になるように保持油圧から低下させ、変速段を形成する係合装置の内、第一係合装置以外の係合装置である第二係合装置に供給する油圧を、保持油圧から増加させる点に特徴を有している。
以下、本実施形態に係る車両用駆動装置1及び制御装置30について、詳細に説明する。
1.車両用駆動装置1の構成
まず、本実施形態に係るハイブリッド車両の車両用駆動装置1の構成について説明する。図1に示すように、ハイブリッド車両は、車両の駆動力源として内燃機関ENG及び回転電機MGを備え、これらの内燃機関ENGと回転電機MGとが直列に駆動連結されるパラレル方式のハイブリッド車両となっている。ハイブリッド車両は、変速装置TMを備えており、当該変速装置TMにより、入力軸Iに伝達された内燃機関ENG及び回転電機MGの回転速度を変速すると共にトルクを変換して出力軸Oに伝達する。
内燃機関ENGは、燃料の燃焼により駆動される熱機関であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの公知の各種内燃機関を用いることができる。本例では、内燃機関ENGのクランクシャフト等の内燃機関出力軸Eoが、機関分離クラッチSSCを介して、回転電機MGに駆動連結された入力軸Iと選択的に駆動連結される。すなわち、内燃機関ENGは、摩擦係合装置である機関分離クラッチSSCを介して回転電機MGに選択的に駆動連結される。また、内燃機関出力軸Eoには、図示しないダンパが備えられており、内燃機関ENGの間欠的な燃焼による出力トルク及び回転速度の変動を減衰して、車輪W側に伝達可能に構成されている。
回転電機MGは、車両用駆動装置1を収容するケースCSに固定されたステータStと、このステータと対応する位置で径方向内側に回転自在に支持されたロータRoと、を有している(図3参照)。この回転電機MGのロータRoは、入力軸Iと一体回転するように駆動連結されている。すなわち、本実施形態においては、入力軸Iに内燃機関ENG及び回転電機MGの双方が駆動連結される構成となっている。回転電機MGは、直流交流変換を行うインバータを介して蓄電装置としてのバッテリに電気的に接続されている。そして、回転電機MGは、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能と、を果たすことが可能とされている。すなわち、回転電機MGは、インバータを介してバッテリからの電力供給を受けて力行し、或いは内燃機関ENGや車輪Wから伝達される回転駆動力により発電し、発電された電力は、インバータを介してバッテリに蓄電される。
駆動力源が駆動連結される入力軸Iには、変速装置TMが駆動連結されている。本実施形態では、変速装置TMは、変速比の異なる複数の変速段を有する有段の自動変速装置である。変速装置TMは、これら複数の変速段を形成するため、遊星歯車機構等の歯車機構と複数の係合装置C1、B1・・・とを備えている。変速装置TMは、各変速段の変速比で、入力軸Iの回転速度を変速するとともにトルクを変換して、出力軸Oへ伝達する。変速装置TMから出力軸Oへ伝達されたトルクは、出力用差動歯車装置DFを介して左右二つの車軸AXに分配されて伝達され、各車軸AXに駆動連結された車輪Wに伝達される。ここで、変速比は、変速装置TMにおいて各変速段が形成された場合の、出力軸Oの回転速度に対する入力軸Iの回転速度の比であり、本願では入力軸Iの回転速度を出力軸Oの回転速度で除算した値である。すなわち、入力軸Iの回転速度を変速比で除算した回転速度が、出力軸Oの回転速度になる。また、入力軸Iから変速装置TMに伝達されるトルクに、変速比を乗算したトルクが、変速装置TMから出力軸Oに伝達されるトルクになる。
本実施形態では、図4の作動表に示すように、変速装置TMは変速比(減速比)の異なる6つの変速段(第一段1st、第二段2nd、第三段3rd、第四段4th、第五段5th、及び第六段6th)を前進段として備えている。これらの変速段を構成するため、変速装置TMは、第一遊星歯車機構PG1及び第二遊星歯車機構PG2を備えてなる歯車機構と、6つの係合装置C1、C2、C3、B1、B2、OWCと、を備えて構成されている。ワンウェイブレーキOWCを除くこれら複数の係合装置C1、B1・・・の係合及び解放を制御して、第一遊星歯車機構PG1及び第二遊星歯車機構PG2の各回転要素の回転状態を切り替え、複数の係合装置C1、B1・・・を選択的に係合することにより、6つの変速段が切り替えられる。なお、変速装置TMは、上記6つの変速段のほかに、一段の後進段Revも備えている。
図4において、「○」は各係合装置が係合状態にあることを示しており、「無印」は、各係合装置が解放状態にあることを示している。「(○)」は、エンジンブレーキを行う場合などにおいて、係合装置が係合した状態にされることを示している。また、「△」は、一方向に回転する(キャリアCA2が正方向に回転する)場合には解放した状態となり、他方向に回転する(キャリアCA2が負方向に回転する)場合には係合した状態となることを示している。
本実施形態においては、図3に示すように、第一遊星歯車機構PG1は、入力軸Iと同軸上に配置されたシングルピニオン型の遊星歯車機構とされている。すなわち、第一遊星歯車機構PG1は、複数のピニオンギヤP1を支持するキャリアCA1と、前記ピニオンギヤP1にそれぞれ噛み合うサンギヤS1及びリングギヤR1と、の三つの回転要素を有して構成されている。また、第二遊星歯車機構PG2は、入力軸Iと同軸上に配置されたラビニヨ型の遊星歯車機構とされている。すなわち、第二遊星歯車機構PG2は、第一サンギヤS2及び第二サンギヤS3の二つのサンギヤと、リングギヤR2と、第一サンギヤS2及びリングギヤR2の双方に噛み合うロングピニオンギヤP2並びにこのロングピニオンギヤP2及び第二サンギヤS3に噛み合うショートピニオンギヤP3を支持する共通のキャリアCA2と、の四つの回転要素を有して構成されている。
第一遊星歯車機構PG1のサンギヤS1は、非回転部材としてのケースCSに固定されている。キャリアCA1は、第三クラッチC3により第二遊星歯車機構PG2の第二サンギヤS3と選択的に一体回転するように駆動連結されるとともに、第一クラッチC1により第二遊星歯車機構PG2の第一サンギヤS2と選択的に一体回転するように駆動連結され、第一ブレーキB1によりケースCSに選択的に固定される。リングギヤR1は、入力軸Iと一体回転するように駆動連結されている。
第二遊星歯車機構PG2の第一サンギヤS2は、第一クラッチC1により第一遊星歯車機構PG1のキャリアCA1と選択的に一体回転するように駆動連結される。キャリアCA2は、第二クラッチC2により入力軸Iと選択的に一体回転するように駆動連結されるとともに、第二ブレーキB2又はワンウェイブレーキOWCにより非回転部材としてのケースCSに選択的に固定される。ワンウェイブレーキOWCは、一方向の回転のみを阻止することによりキャリアCA2を選択的にケースCSに固定する。リングギヤR2は、出力軸Oと一体回転するように駆動連結されている。第二サンギヤS3は、第三クラッチC3により第一遊星歯車機構PG1のキャリアCA1と選択的に一体回転するように駆動連結されるとともに、第一ブレーキB1によりケースCSに選択的に固定される。
本実施形態では、変速装置TMが有するワンウェイブレーキOWCを除く複数の係合装置C1、C2、C3、B1、B2は、いずれも摩擦係合装置とされている。具体的には、これらは油圧により動作する多板式クラッチや多板式ブレーキにより構成されている。これらの係合装置C1、C2、C3、B1、B2は、油圧制御装置PCから供給される油圧により、係合の状態が制御される。なお、機関分離クラッチSSCも摩擦係合装置である。
摩擦係合装置は、その係合部材間の摩擦により、係合部材間でトルクを伝達する。摩擦係合装置の係合部材間に回転速度差(滑り)がある場合は、動摩擦により回転速度の大きい方の部材から小さい方の部材に伝達トルク容量の大きさのトルク(スリップトルク)が伝達される。摩擦係合装置の係合部材間に回転速度差(滑り)がない場合は、摩擦係合装置は、伝達トルク容量の大きさを上限として、静摩擦により摩擦係合装置の係合部材間に作用するトルクを伝達する。ここで、伝達トルク容量とは、摩擦係合装置が摩擦により伝達することができる最大のトルクの大きさである。伝達トルク容量の大きさは、摩擦係合装置の係合圧に比例して変化する。係合圧とは、入力側係合部材(摩擦板)と出力側係合部材(摩擦板)とを相互に押し付け合う圧力である。本実施形態では、係合圧は、供給されている油圧の大きさに比例して変化する。すなわち、本実施形態では、伝達トルク容量の大きさは、摩擦係合装置に供給されている油圧の大きさに比例して変化する。
各摩擦係合装置は、リターンばねを備えており、ばねの反力により解放側に付勢されている。そして、各摩擦係合装置の油圧シリンダに供給される油圧により生じる力がばねの反力を上回ると、各摩擦係合装置に伝達トルク容量が生じ始め、各摩擦係合装置は、解放状態から係合状態に変化する。この伝達トルク容量が生じ始めるときの油圧を、ストロークエンド圧と称す。各摩擦係合装置は、供給される油圧がストロークエンド圧を上回った後、油圧の増加に比例して、その伝達トルク容量が増加するように構成されている。なお、摩擦係合装置は、リターンばねを備えておらず、油圧シリンダのピストンの両側にかかる油圧の差圧によって制御させる構造でもよい。
本実施形態において、係合状態とは、係合装置に伝達トルク容量が生じている状態であり滑り係合状態と直結係合状態とが含まれる。解放状態とは、係合装置に伝達トルク容量が生じていない状態である。また、滑り係合状態とは、係合装置の係合部材間に回転速度差(滑り)がある係合状態であり、直結係合状態とは、係合装置の係合部材間に回転速度差(滑り)がない係合状態である。また、非直結係合状態とは、直結係合状態以外の係合状態であり、解放状態と滑り係合状態とが含まれる。
なお、摩擦係合装置には、制御装置30により伝達トルク容量を生じさせる指令が出されていない場合でも、係合部材(摩擦部材)同士の引き摺りによって伝達トルク容量が生じる場合がある。例えば、ピストンにより摩擦部材同士が押圧されていない場合でも、摩擦部材同士が接触し、摩擦部材同士の引き摺りによって伝達トルク容量が生じる場合がある。そこで、「解放状態」には、制御装置30が摩擦係合装置に伝達トルク容量を生じさせる指令を出していない場合に、摩擦部材同士の引き摺りにより、伝達トルク容量が生じている状態も含まれるものとする。
2.油圧制御系の構成
次に、車両用駆動装置1の油圧制御系について説明する。図5に示すように、油圧制御系は、オイルパンOPに蓄えられた作動油を吸引し、車両用駆動装置1の各部に作動油を供給するための油圧源として、本実施形態では、機械式ポンプMP及び電動ポンプEPの二種類のポンプを備えている。ここで、機械式ポンプMPは、駆動力源としての回転電機MG又は内燃機関ENGの回転駆動力により駆動されて作動油を吐出するオイルポンプである。このような機械式ポンプMPとしては、例えば、歯車ポンプやベーンポンプ等が好適に用いられる。本例では、機械式ポンプMPは、回転電機MG(入力軸I)と一体回転するように駆動連結されている。本実施形態では、機械式ポンプMPを補助するためのポンプとして、電動ポンプEPが備えられている。電動ポンプEPは、電動モータ23の回転駆動力により駆動されて作動油を吐出するオイルポンプである。この電動ポンプEPとしても、例えば、歯車ポンプやベーンポンプ等が好適に用いられる。電動ポンプEPを駆動する電動モータ23は、バッテリと電気的に接続され、バッテリからの電力の供給を受けて駆動力を発生する。
また、油圧制御系は、機械式ポンプMP及び電動ポンプEPから供給される作動油の油圧を所定圧に調整するための油圧制御装置PCを備えている。油圧制御装置PCは、図5に示すように、機械式ポンプMP及び電動ポンプEPから供給される作動油の油圧を所定圧に調整するための調整弁として、第一調整弁(プライマリ・レギュレータ・バルブ)PVと、第二調整弁(セカンダリ・レギュレータ・バルブ)SVとを備えている。第一調整弁PVは、機械式ポンプMP及び電動ポンプEPから供給される作動油の油圧を第一油圧PR1に調整する調整弁である。第二調整弁SVは、第一調整弁PVからの余剰油の油圧を第二油圧PR2に調整する調整弁である。したがって、第二油圧PR2は、第一油圧PR1よりも低い値に設定される。第一油圧PR1は、車両用駆動装置1の基準油圧となるライン圧に相当し、その値は、リニアソレノイド弁SLTから供給される信号圧に基づいて決定される。
図5に示すように、第一調整弁PV及び第二調整弁SVには、共通の油圧調整用のリニアソレノイド弁SLTからの信号圧が供給される。そして、第一調整弁PVは、供給される信号圧に応じて、機械式ポンプMP及び電動ポンプEPから供給される、第一調整弁PVより上流側(機械式ポンプMP及び電動ポンプEP側)の作動油の油圧を第一油圧PR1に調整する。第一調整弁PVは、リニアソレノイド弁SLTから供給される信号圧と、第一調整弁PVによる調整後の第一油圧PR1のフィードバック圧とのバランスに基づいて、機械式ポンプMP及び電動ポンプEPから供給された作動油を第二調整弁SV側へ排出する量を調整する。これにより、第一調整弁PVより上流側の作動油の油圧を、信号圧に応じた第一油圧PR1に調整する。
第二調整弁SVは、リニアソレノイド弁SLTから供給される信号圧に応じて、第一調整弁PVから排出される余剰油の油圧、すなわち、第一調整弁PVより下流側(第二調整弁SV側)であって第二調整弁SVより上流側(第一調整弁PV側)の油圧を所定の第二油圧PR2に調整する。第二調整弁SVは、リニアソレノイド弁SLTから供給される信号圧と、第二調整弁SVによる調整後の第二油圧PR2のフィードバック圧とのバランスに基づいて、第一調整弁PVから排出された余剰の作動油をオイルパンへ排出(ドレイン)する量を調整する。これにより、第二調整弁SVより上流側の作動油の油圧を、信号圧に応じた第二油圧PR2に調整する。
リニアソレノイド弁SLTは、第一調整弁PVによる調整後の第一油圧PR1の作動油の供給を受けるとともに、制御装置30から供給される信号値に応じて弁の開度を調整することにより、当該信号値に応じた信号圧の作動油を出力する。このリニアソレノイド弁SLTから出力される信号圧の作動油は、第一調整弁PV及び第二調整弁SVに供給される。制御装置30は、リニアソレノイド弁SLTに供給される信号値により、第一調整弁PV及び第二調整弁SVを制御し、第一油圧PR1及び第二油圧PR2に調整する構成となっている。
油圧制御装置PCは、変速装置TMが備えた各係合装置C1、B1、・・・に対して供給される油圧を調整するためのリニアソレノイド弁SLC1、SLC2、・・・を備えている。本実施形態では、第一クラッチC1、第二クラッチC2、第三クラッチC3、第一ブレーキB1、及び第二ブレーキB2のそれぞれに対して、第一リニアソレノイド弁SLC1、第二リニアソレノイド弁SLC2、第三リニアソレノイド弁SLC3、第四リニアソレノイド弁SLC4、第五リニアソレノイド弁SLC5が備えられている。各リニアソレノイド弁SLC1、SLC2、・・・は、第一調整弁PVによる調整後の第一油圧PR1の作動油の供給を受けるとともに、制御装置30から各リニアソレノイド弁SLC1、SLC2、・・・に対して供給される信号値に応じて弁の開度を調整することにより、当該各信号値に応じた油圧の作動油を各係合装置C1、B1、・・・に供給する。
油圧制御装置PCは、機関分離クラッチSSCに対して供給される油圧を調整するためのリニアソレノイド弁SLVを備えている。リニアソレノイド弁SLVは、第一油圧PR1の作動油の供給を受けるとともに、制御装置30から供給される信号値に応じて弁の開度を調整することにより、当該信号値に応じた油圧の作動油を機関分離クラッチSSCに供給する。
本実施形態では、制御装置30から各リニアソレノイド弁SLT、SLC1、SLC2、・・・、SLVに供給される信号値は、電流値とされている。そして、リニアソレノイド弁SLT、SLC1、SLC2、・・・、SLVから出力される油圧は、基本的に制御装置30から供給される電流値に比例する。
第二調整弁SVによる調整後の第二油圧PR2の作動油は、変速装置TMの各ギヤ等の潤滑や冷却のために供給される。
3.制御装置の構成
次に、車両用駆動装置1の制御を行う制御装置30及び内燃機関制御装置31の構成について、図2を参照して説明する。
制御装置30の制御ユニット32〜34及び内燃機関制御装置31は、CPU等の演算処理装置を中核部材として備えるとともに、当該演算処理装置からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(ランダム・アクセス・メモリ)や、演算処理装置からデータを読み出し可能に構成されたROM(リード・オンリ・メモリ)等の記憶装置等を有して構成されている。そして、制御装置のROM等に記憶されたソフトウェア(プログラム)又は別途設けられた演算回路等のハードウェア、或いはそれらの両方により、制御装置30の各機能部41〜46などが構成されている。また、制御装置30の制御ユニット32〜34及び内燃機関制御装置31は、互いに通信を行うように構成されており、センサの検出情報及び制御パラメータ等の各種情報を共有するとともに協調制御を行い、各機能部41〜46の機能が実現される。
また、車両用駆動装置1は、センサSe1〜Se3を備えており、各センサから出力される電気信号は制御装置30及び内燃機関制御装置31に入力される。制御装置30及び内燃機関制御装置31は、入力された電気信号に基づき各センサの検出情報を算出する。
入力回転速度センサSe1は、入力軸Iの回転速度を検出するためのセンサである。入力軸Iには回転電機MGのロータが一体的に駆動連結されているので、回転電機制御ユニット32は、入力回転速度センサSe1の入力信号に基づいて回転電機MGの回転速度(角速度)、並びに入力軸Iの回転速度を検出する。出力回転速度センサSe2は、出力軸Oの回転速度を検出するためのセンサである。動力伝達制御ユニット33は、出力回転速度センサSe2の入力信号に基づいて出力軸Oの回転速度(角速度)を検出する。また、出力軸Oの回転速度は車速に比例するため、動力伝達制御ユニット33は、出力回転速度センサSe2の入力信号に基づいて車速を算出する。機関回転速度センサSe3は、内燃機関出力軸Eo(内燃機関ENG)の回転速度を検出するためのセンサである。内燃機関制御装置31は、機関回転速度センサSe3の入力信号に基づいて内燃機関ENGの回転速度(角速度)を検出する。
3−1.内燃機関制御装置31
内燃機関制御装置31は、内燃機関ENGの動作制御を行う内燃機関制御部41を備えている。本実施形態では、内燃機関制御部41は、車両制御ユニット34から内燃機関要求トルクが指令されている場合は、車両制御ユニット34から指令された内燃機関要求トルクを出力トルク指令値に設定し、内燃機関ENGが出力トルク指令値のトルクを出力するように制御するトルク制御を行う。また、内燃機関制御部41は、内燃機関の燃焼開始要求があった場合は、内燃機関ENGの燃焼開始が指令されたと判定して、内燃機関ENGへの燃料供給及び点火を開始するなどして、内燃機関ENGの燃焼を開始する制御を行う。
3−2.動力伝達制御ユニット33
動力伝達制御ユニット33は、変速装置TMの制御を行う変速制御部43と、機関分離クラッチSSCの制御を行う機関分離係合装置制御部44と、を備えている。
3−2−1.変速制御部43
変速制御部43は、変速装置TMを制御する機能部である。変速制御部43は、車速、アクセル開度、及びシフト位置などのセンサ検出情報に基づいて変速装置TMに形成させる目標変速段を決定する。そして、変速制御部43は、油圧制御装置PCを介して変速装置TMに備えられた複数の係合装置C1、B1・・・に供給される油圧を制御することにより、各係合装置C1、B1・・・を係合又は解放して目標とされた変速段を変速装置TMに形成させる。具体的には、変速制御部43は、油圧制御装置PCに各係合装置の目標油圧(油圧指令)を指令し、油圧制御装置PCは、指令された目標油圧(油圧指令)の油圧を各係合装置に供給する。本実施形態では、変速制御部43は、油圧制御装置PCが備えた各リニアソレノイド弁SLT、SLC1、SLC2、・・・に供給される信号値を制御することにより、各係合装置に供給される油圧を制御するように構成されている。
変速制御部43は、変速段の切り替え制御(変速制御)を行なう場合は、各係合装置C1、B1・・・の油圧指令を制御して、各係合装置C1、B1・・・の係合又は解放を行い、変速装置TMに形成させる変速段を目標変速段に切り替える。この際、変速制御部43は、予め計画された変速制御のシーケンスに従い、変速前において係合している係合装置のうちの一つを解放させると共に、変速前において解放されている係合装置のうちの一つを係合させる、いわゆるつなぎ替え変速を行う。
<保持油圧>
変速制御部43は、変速段の切り替えを行っていない定常状態では、目標変速段を形成する係合装置に、直結係合状態に維持できる最低の油圧以上であって直結係合状態で設定される最大の油圧未満である保持油圧を供給して、変速段を形成するように構成されている。
本実施形態では、変速制御部43は、変速段の切り替えを行っていない定常状態では、第一油圧PR1(ライン圧)を、リニアソレノイド弁SLTを制御することにより、変速段の切り替え中などにおいて設定される最大の油圧から低下させ、第一油圧PR1(ライン圧)を減圧させず或いは減圧させて、変速段を形成する各係合装置に供給される保持油圧を生成するように構成されている。第一油圧PR1(ライン圧)は、変速段を形成する各係合装置のための保持油圧の中で、最も高い油圧に合わせて設定される。なお、変速制御部43は、変速段の切り替え中は、第一油圧PR1(ライン圧)を、設定される最大の油圧に増加させるように構成されている。
本実施形態では、変速制御部43は、後述する始動制御中は、変速装置TMの各係合装置に供給される油圧が、車両制御ユニット34から指令された各係合装置の油圧指令に一致するように、油圧制御装置PCに備えられた各リニアソレノイド弁SLT、SLC1、SLC2、・・・に供給される信号値を制御する。
3−2−2.機関分離係合装置制御部44
機関分離係合装置制御部44は、機関分離クラッチSSCの係合状態を制御する。本実施形態では、機関分離係合装置制御部44は、機関分離クラッチSSCに供給される油圧が、車両制御ユニット34から指令された機関分離クラッチSSCの油圧指令に一致するように、油圧制御装置PCに備えられた各リニアソレノイド弁SLT、SLVに供給される信号値を制御する。
3−3.回転電機制御ユニット32
回転電機制御ユニット32は、回転電機MGの動作制御を行う回転電機制御部42を備えている。本実施形態では、回転電機制御部42は、車両制御ユニット34から回転電機要求トルクが指令されている場合は、車両制御ユニット34から指令された回転電機要求トルクを出力トルク指令値に設定し、回転電機MGが出力トルク指令値のトルクを出力するように制御する。具体的には、回転電機制御部42は、インバータが備える複数のスイッチング素子をオンオフ制御することにより、回転電機MGの出力トルクを制御する。
3−4.車両制御ユニット34
車両制御ユニット34は、内燃機関ENG、回転電機MG、変速装置TM、及び機関分離クラッチSSC等に対して行われる各種トルク制御、及び各係合装置の係合制御等を車両全体として統合する制御を行う機能部を備えている。
車両制御ユニット34は、アクセル開度、車速、及びバッテリの充電量等に応じて、車輪Wの駆動のために要求されているトルクであって、入力軸I側から出力軸O側に伝達される目標駆動力である車両要求トルクを算出するとともに、内燃機関ENG及び回転電機MGの運転モードを決定する。運転モードとして、回転電機MGのみを駆動力源として走行する電動モードと、少なくとも内燃機関ENGを駆動力源として走行するパラレルモードと、を有する。例えば、アクセル開度が小さく、バッテリの充電量が大きい場合に、運転モードとして電動モードが決定され、それ以外の場合、すなわちアクセル開度が大きい、もしくはバッテリの充電量が小さい場合に、運転モードとしてパラレルモードが決定される。
そして、車両制御ユニット34は、内燃機関ENGに対して要求する出力トルクである内燃機関要求トルク、回転電機MGに対して要求する出力トルクである回転電機要求トルク、機関分離クラッチSSCに供給する油圧の目標である油圧指令、及び変速装置TMの各係合装置C1、B1・・・に供給する油圧の目標である油圧指令を算出し、それらを他の制御ユニット32、33及び内燃機関制御装置31に指令して統合制御を行う。
本実施形態では、始動制御部45、及び故障判定部46などを備えている。以下、各制御部について詳細に説明する。
3−4−1.正常時の始動制御
始動制御部45は、機関分離クラッチSSCを解放状態から係合状態に移行させて内燃機関ENGを始動させる始動制御を行う機能部である。
機関分離クラッチSSCを解放状態から係合状態に移行させると、回転電機MG側の回転駆動力が機関分離クラッチSSCを介して内燃機関ENG側に伝達されて、内燃機関ENGの回転速度を上昇させ、内燃機関ENGの始動を行うことができる。
始動制御の実行による、機関分離クラッチSSCの係合の状態の変化や、内燃機関ENGの燃焼開始などにより生じたトルク変動が、変速装置TMを介して車輪W側に伝達されないように、変速装置TMの変速段を形成する係合装置の一つが滑り係合状態に制御されるように構成されている。これにより、滑り係合状態に制御された係合装置の伝達トルク容量に応じたトルクが、変速装置TMから車輪W側に伝達されるため、駆動力源側で生じたトルク変動が車輪W側に伝達されないようにできる。
具体的には、図6に示すタイムチャートの例のように、始動制御部45は、始動制御を行う場合に、変速制御部43により形成されている変速段を形成する係合装置の一つである第一係合装置に供給する油圧(油圧指令)を、当該第一係合装置が滑り係合状態になるように保持油圧から低下させる(時刻T01以降)。
また、始動制御部45は、始動制御を行う場合に、変速段を形成する係合装置の内、第一係合装置以外の係合装置である第二係合装置に供給する油圧(油圧指令)を、保持油圧から増加させる増圧制御を行う(時刻T01以降)。これにより、始動制御中に生じたトルク変動などにより、第一係合装置以外の係合装置である第二係合装置が意図せず滑り係合状態になることを抑制できる。また、後述する、第一係合装置の故障判定を行う際に、判定対象でない第二係合装置が滑り係合状態になることを抑制し、故障判定を正しく実行できる。
図6に示す例では、時刻T01まで、変速装置TMに変速段が係合装置の直結係合状態で形成された状態で、車両が走行しており、回転電機MGが回転している。運転モードとして電動モードが決定されており、機関分離クラッチSSCが解放状態に制御されて、内燃機関ENGの回転が停止している。車両要求トルクに応じたトルクを回転電機MGに出力させている。時刻T01まで、変速段を形成する係合装置に供給される油圧は、変速段が直結係合状態で形成されている定常状態であるため、保持油圧とされている。
図6に示す例では、時刻T01において、バッテリの充電量が低下し、内燃機関ENGの駆動力で回転電機MGに発電させるため、運転モードが電動モードからパラレルモードに変更されている。そして、内燃機関ENGを始動させる判定がされ、内燃機関ENGの始動制御が開始されている。
本実施形態では、始動制御部45は、現在の変速段を形成する複数の係合装置と、現在の変速段に変速比が近い変速段(近接変速段とも称す)を形成する複数の係合装置と、の間で共通していない係合装置(非共通の係合装置とも称す)を第一係合装置に設定し、共通している係合装置(共通の係合装置とも称す)を第二係合装置に設定するように構成されている。これは、第一係合装置が滑り係合状態に制御されている間に、目標変速段が現在の変速段から近接変速段に変更されたときに、滑り係合状態に制御されている非共通の係合装置を解放させ、近接変速段を形成する非共通の係合装置を係合させるだけで変速段の変更ができるからである。
例えば、図4に示すように、現在の変速段が第二段2ndである場合は、近接変速段は第一段1st及び第三段3rdであり、非共通の係合装置である第一ブレーキB1が第一係合装置に設定され、共通の係合装置である第一クラッチC1が第二係合装置に設定される。
図6に示すように、本実施形態では、始動制御部45は、第一係合装置に供給する油圧を、保持油圧から次第に低下させるように構成されている(時刻T01から時刻T02)。第一係合装置の伝達トルク容量が、車両要求トルクに応じて第一係合装置に伝達されているトルクを下回ると、第一係合装置の係合部材間が滑り始める。
また、始動制御部45は、第二係合装置に供給する油圧を、保持油圧からステップ的に増加油圧まで増加させるように構成されている(時刻T01)。
増加油圧は、後述する故障判定部46により回転電機MGの出力トルクが、故障判定値分だけ増加され、第二係合装置に作用するトルクが増加されても、第二係合装置が滑り係合状態にならないような油圧である。例えば、増加油圧は、車両要求トルクに故障判定値を加算したトルクに、所定の安全率(例えば、2.0)を乗算したトルクを、第二係合装置が伝達できる最低限の油圧に設定される。或いは、増加油圧は、直結係合状態で設定される最大の油圧である完全係合圧に設定されてもよい。ここで、完全係合圧とは、駆動力源から各係合装置に伝達されるトルクが変動しても滑りのない係合状態を維持するために設定される最大限の油圧である。
保持油圧は、上記のように、直結係合状態に維持できる最低の油圧以上であって直結係合状態で設定される最大の油圧未満の油圧である。保持油圧は、車両要求トルクに所定の安全率(例えば、1.5)を乗算したトルクを、係合装置が伝達できる最低限の油圧に設定される。より具体的には、車両要求トルクに、係合装置に作用する変速装置TMのギヤ比を乗算して、変速装置に伝達されるトルクを算出し、伝達されるトルクに所定の安全率(例えば、1.5)を乗算したトルクの大きさの伝達トルク容量を発生させる油圧を、保持油圧に設定する。
本実施形態では、定常状態で設定される保持油圧は、上記のように、第一油圧PR1(ライン圧)を、最大の油圧未満に低下させることで実現される。第一油圧PR1(ライン圧)は、変速段を形成する各係合装置のための保持油圧の中で、最も高い油圧に合わせて設定される。第一油圧PR1(ライン圧)が減圧されず或いは減圧されて、変速段を形成する各係合装置に供給される。
始動制御部45は、始動制御の開始後、第二係合装置に供給する油圧を保持油圧から増加させるために、変速制御部43に指令して、第一油圧PR1(ライン圧)を保持油圧に対応する油圧から増加させる増圧制御を行うように構成されている。始動制御部45は、第一油圧PR1(ライン圧)を、第二係合装置の増加油圧に対応する油圧まで増加させてもよいし、変速段の切り替え中に設定される最大の油圧まで増加させてもよい。
始動制御部45は、第一油圧PR1(ライン圧)からの減圧量を調整することで、第一係合装置に供給する油圧を保持油圧から低下させる。
<第一係合装置の滑り判定>
始動制御部45は、第一係合装置への供給油圧を保持油圧から低下させた後、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が、予め定めた判定速度差以上になったと判定した場合(時刻T02)に、第一係合装置が滑り係合状態になったと判定するように構成されている。
本実施形態では、始動制御部45は、第一係合装置の係合部材間の回転速度差として、回転電機MGの回転速度と出力回転速度との回転速度差ΔWを観測するように構成されている。出力回転速度は、出力軸Oの回転速度に、変速装置TMに形成されている変速段の変速比を乗算した回転速度であり、変速段を形成している各係合装置が直結係合状態である場合は、回転電機MGの回転速度(入力軸Iの回転速度)に一致する。始動制御部45は、回転電機MGの回転速度と出力回転速度との回転速度差ΔWが、判定速度差以上になった場合に、第一係合装置が滑り係合状態になったと判定するように構成されている。
なお、第二係合装置が滑り係合状態になった場合も、回転電機MGの回転速度と出力回転速度との回転速度差ΔWが増加するが、上記のように、第二係合装置に供給する油圧が保持油圧から増加されているので、第二係合装置が滑り係合状態になることを抑制し、回転速度差ΔWを観測することで第一係合装置が滑り係合状態になったか否かを精度よく判定できる。
始動制御部45は、第一係合装置が滑り係合状態になったと判定した場合に、第一係合装置に供給する油圧を、保持油圧から低下させる制御を終了する。そして、始動制御部45は、滑り係合状態になった第一係合装置が、当該第一係合装置に作用している車両要求トルクに応じたトルクを車輪W側に伝達できるように、車両要求トルクに応じた油圧を、第一係合装置に供給させるように構成されている。より具体的には、始動制御部45は、車両要求トルクに、第一係合装置に作用する変速装置TMのギヤ比を乗算して、滑り変速装置に伝達されるトルクを算出し、伝達されるトルクの大きさの伝達トルク容量を発生させる油圧を、供給油圧に設定する。
<機関分離クラッチSSCの係合>
本実施形態では、始動制御部45は、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が、予め定めた判定速度差以上になったと判定した後(時刻T02後)に、機関分離クラッチSSCに供給する油圧(油圧指令)を増加させて機関分離クラッチSSCを解放状態から係合状態に移行させるように構成されている。第一係合装置が滑り係合状態になると、機関分離クラッチSSCを係合状態に移行させて、内燃機関ENGの始動を行っても、トルク変動が車輪W側に伝達される恐れがない。
また、本実施形態では、始動制御部45は、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が判定速度差以上になったと判定した後(時刻T02後)、機関分離クラッチSSCを解放状態から滑り係合状態に移行させる。始動制御部45は、滑り係合状態の機関分離クラッチSSCを回転電機MG側から内燃機関ENG側に伝達する伝達トルクが、所定の始動トルクになるような油圧まで、機関分離クラッチSSCに供給する油圧を増加させる。始動トルクは、内燃機関ENGの回転速度を上昇できるように、内燃機関ENGのフリクショントルクなど、内燃機関ENGの負トルクの絶対値より大きいトルクに設定される。なお、図6に示す例では、始動制御部45は、機関分離クラッチSSCの供給油圧の増加の開始直後、実際の油圧の増加を速めるため、油圧指令を、始動トルクに応じた油圧指令より一時的に増加させている。
始動制御部45は、内燃機関ENGの回転速度が上昇し、機関分離クラッチSSCの係合部材間の回転速度差が、予め定めた直結速度差以下になった場合(時刻T03)に、機関分離クラッチSSCを滑り係合状態から直結係合状態に移行させるために、機関分離クラッチSSCに供給する油圧を完全係合圧まで増加させる。始動制御部45は、機関分離クラッチSSCの係合部材間の回転速度差として、回転電機MGの回転速度と内燃機関ENGとの回転速度差を観測するように構成されている。なお、始動制御部45は、内燃機関ENGの回転速度が回転電機MGの回転速度を上回った後、機関分離クラッチSSCの係合部材間の回転速度差が直結速度差以下になった場合に、機関分離クラッチSSCに供給する油圧を完全係合圧まで増加させるように構成されてもよい。
<回転速度制御>
始動制御部45は、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が判定速度差以上になったと判定した後(時刻T02後)、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が予め定めた目標回転速度差に近づくように、回転電機MGの出力トルクを制御する回転速度制御を開始するように構成されている。
回転速度制御を行うことにより、機関分離クラッチSSCを係合状態に移行させて、内燃機関ENGの始動を行っている間、第一係合装置の係合部材間の回転速度差を維持でき、第一係合装置を滑り係合状態に維持できる。
本実施形態では、始動制御部45は、回転電機MGの回転速度と出力回転速度との回転速度差ΔWが目標回転速度差に近づくように、回転速度制御を行うように構成されている。具体的には、始動制御部45は、回転電機MGの回転速度に目標回転速度差を加算した回転速度を、目標回転速度に設定し、回転電機MGの回転速度が目標回転速度に近づくように、回転電機MGの出力トルクを制御する回転速度制御を実行するように構成されている。回転速度制御として、回転電機MGの回転速度と目標回転速度との偏差に基づく、PI制御などのフィードバック制御が用いられる。
図6に示す例では、回転電機MGの回転速度を目標回転速度まで上昇させるために、回転電機MGの出力トルクがイナーシャトルク分だけ増加している(時刻T02後)。また、機関分離クラッチSSCが滑り係合状態になると、回転電機MG側から内燃機関ENG側に伝達トルク容量に応じたスリップトルクが伝達されるため、回転電機MGの回転速度が低下するように作用する。回転速度制御により回転電機MGの回転速度が低下しないように、スリップトルク分だけ回転電機MGの出力トルクが増加されている(時刻T02から時刻T03)。機関分離クラッチSSCが直結係合状態になると、内燃機関ENGの出力トルクが回転電機MG側に伝達されるようになる(時刻T03以降)。
<内燃機関ENGの燃焼開始>
始動制御部45は、内燃機関ENGの回転速度が所定の回転速度以上になった場合に、内燃機関ENGの燃焼開始要求を内燃機関制御装置31に指令して、内燃機関ENGの燃焼を開始させる(時刻T03前後)。
内燃機関ENGの燃焼が開始したと判定した後、内燃機関ENGに内燃機関要求トルクに応じたトルクを出力させるトルク制御を開始する。内燃機関ENGの出力トルクは、トルク制御の開始後、内燃機関要求トルクまで遅れを持って増加していく。内燃機関ENGの出力トルクの増加により、回転電機MGの回転速度が上昇するように作用する。回転速度制御により回転電機MGの回転速度が上昇しないように、内燃機関ENGの出力トルクの増加分だけ回転電機MGの出力トルクが減少する(時刻T03から時刻T04)。本実施形態では、始動制御部45は、回転電機MGの出力トルクが、内燃機関要求トルク分だけ減少したと判定した場合に、内燃機関ENGの始動が終了したと判定するように構成されている(時刻T04)。なお、始動制御部45は、燃焼が開始した後の経過時間などにより、内燃機関ENGの始動が終了したと判定するように構成されてもよい。
<始動制御の終了>
始動制御部45は、内燃機関ENGの始動が終了した後(時刻T04後)に、変速段を形成する各係合装置に供給する油圧(油圧指令)を、保持油圧に戻して始動制御を終了するように構成されている。
本実施形態では、始動制御部45は、内燃機関ENGの始動が終了したと判定した後に(時刻T04後)、回転電機MGの回転速度制御を終了し(時刻T04)、第一係合装置に供給する油圧を保持油圧まで次第に増加させ(時刻T04から時刻T05)、第二係合装置に供給する油圧を保持油圧まで低下させる(時刻T05)ように構成されている。第一係合装置の供給油圧が増加されるので、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が減少し、直結係合状態に移行する(時刻T04から時刻T05)。
本実施形態では、始動制御部45は、内燃機関ENGの始動が終了した後、第一油圧PR1(ライン圧)を保持油圧に対応する油圧まで減少させるように構成されている(時刻T05)。第一油圧PR1(ライン圧)は、変速段を形成する各係合装置のための保持油圧、及び機関分離クラッチSSCのための保持油圧の中で、最も高い油圧に合わせて設定される。
3−4−2.故障判定時の始動制御
故障判定部46は、第一係合装置の故障を判定する機能部である。
故障判定部46は、図7に示すタイムチャートの例のように、始動制御部45により第一係合装置への供給油圧の低下が開始された後(時刻T11後)、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が判定速度差未満である状態が、予め定めた判定時間継続したと判定した場合(時刻T12)に、回転電機MGの出力トルクを増加させ始め、回転電機MGの出力トルクの増加量が予め定めた故障判定値以上になっても、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が、判定速度差未満のままであると判定した場合(時刻T13)に、第一係合装置が故障していると判定するように構成されている。
判定時間は、正常時に第一係合装置が滑り係合状態になったと判定される平均的な時間より長く(例えば、正常時の1.5倍)設定される。
第一係合装置の係合部材間の回転速度差が増加しない要因として、係合部材の溶着や、供給油圧の制御性の悪化などが挙げられる。
第一係合装置に供給する油圧を十分低下させ、回転電機MGの出力トルクを増加させて第一係合装置に伝達されるトルクを増加させても、係合部材間の回転速度差が増加しない場合は、何らかの故障が生じたと判定できる。回転電機MGの出力トルクを増加させているので、係合部材の引っ掛かりなどの一時的な要因で回転速度差が増加し難くなっている場合にも、回転速度差を増加させることができ、判定精度を向上させることができる。
この際、第二係合装置に供給される油圧が、上記のように、保持油圧から増圧されているので、回転電機MGの出力トルクを増加させても、第二係合装置が滑り係合状態になることを防止でき、第二係合装置が滑り係合状態になることにより、第一係合装置が直結係合状態のままであるにも関わらず、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が増加したと誤判定されることを抑制できる。
本実施形態では、故障判定部46は、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が目標回転速度差に近づくように、回転電機MGの出力トルクを制御する回転速度制御を実行することにより、回転電機MGの出力トルクを増加させるように構成されている。故障判定中は、回転電機MGの出力トルクが急増しないように、PI制御の制御ゲインなどの回転速度制御の制御ゲインを低下させてもよい。或いは、故障判定部46は、回転電機MGの出力トルクを次第に増加させるように構成されてもよい。
故障判定部46は、回転電機MGの出力トルクの増加中は、第一係合装置への供給油圧(油圧指令)を、当該出力トルクの増加開始直前の油圧に保持するように構成されている。なお、回転電機MGの出力トルクの増加中も、第一係合装置への供給油圧を、引き続き次第に低下させるように構成されてもよい。
<係合装置の代替>
始動制御部45は、故障判定部46により第一係合装置が故障していると判定された場合に、第一係合装置に代えて、第二係合装置が滑り係合状態になるように、当該第二係合装置に供給する油圧(油圧指令)を保持油圧よりも低下させ、当該第二係合装置の係合部材間の回転速度差が、予め定めた判定速度差以上になったと判定した後(時刻T14後)に、機関分離クラッチSSCに供給する油圧(油圧指令)を増加させて機関分離クラッチSSCを解放状態から係合状態に移行させるように構成されている。
例えば、図4に示すように、現在の変速段が第二段2ndである場合は、第二係合装置が第一クラッチC1のみであるので、第一クラッチC1が第二係合装置に設定される。なお、第二係合装置に該当する係合装置が複数ある変速装置TMが用いられる場合は、複数の第二係合装置の一つが、第一係合装置に代替して、実際に滑り係合状態に制御される係合装置とされる。
始動制御部45は、第一係合装置が故障していると判定された場合に、上記の正常時における第一係合装置に対する油圧制御と同様の油圧制御を、故障判定時における第二係合装置に対して行い、上記の正常時における第二係合装置に対する油圧制御と同様の油圧制御を、故障判定時における第一係合装置及び第二係合装置以外の第二係合装置に対して行うように構成されている。すなわち、始動制御部45は、故障判定時は、第一係合装置と第二係合装置とを入れ替えて油圧制御を行う。
具体的には、始動制御部45は、第一係合装置が故障していると判定された後(時刻T13後)、第二係合装置に供給する油圧(油圧指令)を、第二係合装置が滑り係合状態になるように保持油圧に対応する油圧よりも低下させる。本実施形態では、始動制御部45は、第二係合装置の油圧を、増圧されている油圧からステップ的に低下させた後、次第に低下させるように構成されている(時刻T13から時刻T14)。
本実施形態では、始動制御部45は、第一係合装置が故障していると判定された後(時刻T13後)、第一係合装置に供給する油圧(油圧指令)を、正常時の第二係合装置と同様に、保持油圧に対応する油圧よりも増加させる増圧制御を行うように構成されている。このように構成することで、第二係合装置を滑り係合状態に制御している間に、何らかの要因により、第一係合装置が滑り係合状態になることを抑制できる。
始動制御部45は、第二係合装置の係合部材間の回転速度差が、予め定めた判定速度差以上になったと判定した場合(時刻T14)に、第二係合装置が滑り係合状態になったと判定するように構成されている。始動制御部45は、第二係合装置の係合部材間の回転速度差として、正常時の第一係合装置と同様に、回転電機MGの回転速度と出力回転速度との回転速度差ΔWを観測するように構成されている。
始動制御部45は、第二係合装置が滑り係合状態になったと判定した場合に、正常時の第一係合装置と同様に、第二係合装置に供給する油圧を、保持油圧から低下させる制御を終了し、車両要求トルクに応じた油圧を、第二係合装置に供給させるように構成されている(時刻T14以降)。
始動制御部45は、第二係合装置の係合部材間の回転速度差が、判定速度差以上になったと判定した後(時刻T14後)、上記の正常時と同様に、第二係合装置の係合部材間の回転速度差が目標回転速度差に近づくように、回転電機MGの出力トルクを制御する回転速度制御を開始すると共に、機関分離クラッチSSCに供給する油圧を増加させて機関分離クラッチSSCを解放状態から係合状態に移行させるように構成されている。また、始動制御部45は、上記の正常時と同様に、内燃機関ENGの燃焼を開始し(時刻T15前後)、内燃機関ENGの始動の終了を判定する。
始動制御部45は、内燃機関ENGの始動が終了した後(時刻T16後)に、上記の正常時と同様に、変速段を形成する各係合装置に供給する油圧(油圧指令)を、保持油圧に戻して始動制御を終了するように構成されている。
本実施形態では、始動制御部45は、内燃機関ENGの始動が終了したと判定した後に(時刻T16後)、回転電機MGの回転速度制御を終了し(時刻T16)、第二係合装置に供給する油圧を保持油圧まで次第に増加させ(時刻T16から時刻T17)、第一係合装置に供給する油圧を保持油圧まで低下させる(時刻T17)ように構成されている。第二係合装置の供給油圧が増加されるので、第二係合装置の係合部材間の回転速度差が減少し、直結係合状態に移行する(時刻T16から時刻T17)。
3−4−3.故障判定を実行したが、正常判定時の始動制御
故障判定部46は、図8に示すタイムチャートの例のように、故障判定のために回転電機MGの出力トルクの増加を開始したが(時刻T22)、回転電機MGの出力トルクの増加量が予め定めた故障判定値以上になる前に、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が、判定速度差以上になったと判定した場合(時刻T23)に、第一係合装置が故障していない(正常である)と判定するように構成されている。この場合は、回転速度差を増加させ難くしている、係合部材の引っ掛かりなどの一時的な要因が、回転電機MGの出力トルクの増加により解消することなどにより発生する。
本実施形態では、始動制御部45は、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が判定速度差以上になったと判定した後(時刻T23後)に、上記の故障判定を行わない正常時の場合と同様の始動制御を行うように構成されている。
すなわち、始動制御部45は、判定速度差以上になったと判定した後、機関分離クラッチSSCに供給する油圧を増加させて機関分離クラッチSSCを解放状態から係合状態に移行させると共に、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が目標回転速度差に近づくように、回転電機MGの出力トルクを制御する回転速度制御を開始する。本実施形態では、上記のように、故障判定のための回転電機MGの出力トルクの増加は、回転電機MGの回転速度制御により行われているので、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が判定速度差以上になったと判定された後(時刻T23後)も、継続して回転速度制御が行われるように構成されている。
そして、始動制御部45は、内燃機関ENGの始動が終了した後(時刻T25後)に、変速段を形成する各係合装置に供給する油圧を、保持油圧に戻す(時刻T25から時刻T26)と共に、回転電機MGの回転速度制御を終了する(時刻T25)。
3−4−4.フローチャート
以上で説明した本実施形態に係る始動制御及び故障判定などを図9及び図10に示すフローチャートの例に示すように構成することができる。
図9に示すように、始動制御部45は、内燃機関ENGの始動要求があった場合(ステップ♯01:Yes)に、一連の内燃機関ENGの始動制御を開始する。
始動制御部45は、変速段を形成する係合装置の一つである第一係合装置に供給する油圧を、当該第一係合装置が滑り係合状態になるように保持油圧から低下させる制御を開始する(ステップ♯02)。
始動制御部45は、変速段を形成する係合装置の内、第一係合装置以外の係合装置である第二係合装置に供給する油圧を、保持油圧から増加させる増圧制御を行う(ステップ♯03)。
<正常時の始動制御>
始動制御部45は、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が、予め定めた判定速度差以上になったと判定した場合(ステップ♯04:Yes)に、正常時の始動制御を開始する。
始動制御部45は、第一係合装置が滑り係合状態になったと判定した場合(ステップ♯04:Yes)に、第一係合装置に供給する油圧を、保持油圧から低下させる制御を終了する(ステップ♯05)。そして、本実施形態では、始動制御部45は、車両要求トルクに応じた油圧を、第一係合装置に供給する制御を開始するように構成されている。また、始動制御部45は、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が予め定めた目標回転速度差に近づくように、回転電機MGの出力トルクを制御する回転速度制御を開始する(ステップ♯06)。
始動制御部45は、機関分離クラッチSSCに供給する油圧を増加させて機関分離クラッチSSCを解放状態から係合状態に移行させる移行制御を開始する(ステップ♯07)。また、始動制御部45は、内燃機関ENGの燃焼を開始させる燃焼開始制御を開始する。
始動制御部45は、内燃機関ENGの始動が終了したと判定した場合(ステップ♯08:Yes)に、回転電機MGの回転速度制御を終了する(ステップ♯09)。そして、始動制御部45は、第一係合装置に供給する油圧を保持油圧まで増加させる(ステップ♯10)。また、始動制御部45は、第二係合装置に供給する油圧を保持油圧まで低下させて(ステップ♯11)、一連の始動制御を終了する。
<故障判定>
故障判定部46は、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が判定速度差未満であると判定されている(ステップ♯04:No)期間が、判定時間継続した場合(ステップ♯20:Yes)に、回転電機MGの出力トルクを増加させ始め、故障判定を開始する(ステップ♯21)。本実施形態では、故障判定部46は、回転電機MGの回転速度制御を実行することにより、回転電機MGの出力トルクを増加させるように構成されている。
故障判定部46は、回転電機MGの出力トルクの増加量が予め定めた故障判定値以上になる(ステップ♯23:Yes)前に、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が、判定速度差以上になったと判定した場合(ステップ♯22:Yes)に、第一係合装置が故障していないと判定する。そして、始動制御部45は、ステップ♯05に進み、上記の正常時と同様の始動制御を開始する。
<故障判定時の始動制御>
故障判定部46は、回転電機MGの出力トルクの増加量が予め定めた故障判定値以上になっても(ステップ♯23:Yes)、第一係合装置の係合部材間の回転速度差が、判定速度差未満のままであると判定した場合(ステップ♯22:No)に、第一係合装置が故障していると判定し、ステップ♯24に進み、故障判定時の始動制御を開始する。
図10に示すように、故障判定部46は、回転電機MGの出力トルクの増加を終了する(ステップ♯24)。始動制御部45は、第一係合装置に代えて、第二係合装置の一つである第二係合装置が滑り係合状態になるように、当該第二係合装置に供給する油圧を保持油圧よりも低下させる制御を開始する(ステップ♯25)。始動制御部45は、第一係合装置に供給する油圧を、保持油圧に対応する油圧よりも増加させる(ステップ♯26)。
始動制御部45は、第二係合装置の係合部材間の回転速度差が、予め定めた判定速度差以上になったと判定した場合(ステップ♯27:Yes)に、第二係合装置に供給する油圧を、保持油圧から低下させる制御を終了する(ステップ♯28)。そして、本実施形態では、始動制御部45は、車両要求トルクに応じた油圧を、第二係合装置に供給させる制御を開始するように構成されている。また、始動制御部45は、第二係合装置の係合部材間の回転速度差が予め定めた目標回転速度差に近づくように、回転電機MGの出力トルクを制御する回転速度制御を開始する(ステップ♯29)。
始動制御部45は、機関分離クラッチSSCに供給する油圧を増加させて機関分離クラッチSSCを解放状態から係合状態に移行させる移行制御を開始する(ステップ♯30)。また、始動制御部45は、内燃機関ENGの燃焼を開始させる燃焼開始制御を開始する。
始動制御部45は、内燃機関ENGの始動が終了したと判定した場合(ステップ♯31:Yes)に、回転電機MGの回転速度制御を終了する(ステップ♯32)。そして、始動制御部45は、第二係合装置に供給する油圧を保持油圧まで増加させる(ステップ♯33)。また、始動制御部45は、第一係合装置に供給する油圧を保持油圧まで低下させて(ステップ♯34)、一連の始動制御を終了する。
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態においては、回転電機MGと変速装置TMとの間の動力伝達経路2に係合装置が備えられていない場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、車両用駆動装置1は、図11に示すように、回転電機MGと変速装置TMと間の動力伝達経路2に更に係合装置SSC2を備えるように構成されてもよい。
或いは、車両用駆動装置1は、図12に示すように、回転電機MGと変速装置TMと間の動力伝達経路2に更にトルクコンバータTCを備え、トルクコンバータTCの入出力部材間を直結係合状態にするロックアップクラッチSSC2を備えるように構成されてもよい。
(2)上記の実施形態においては、変速装置TMの複数の係合装置C1、B1・・・及び機関分離クラッチSSCに供給する油圧が、図5に示すように、共通の油圧源(第一油圧PR1)から生成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、変速装置TMの複数の係合装置C1、B1・・・に供給する油圧の油圧源と、機関分離クラッチSSCに供給する油圧の油圧源と、が異なる油圧源とされてもよい。例えば、機関分離クラッチSSCに供給する油圧の油圧源が、図5に示されている機械式ポンプMP及び電動ポンプEPとは別に設けられた油圧ポンプにより生成された油圧されてもよい。
(3)上記の実施形態においては、機関分離クラッチSSCが油圧により制御される係合装置である場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、機関分離クラッチSSCは、油圧以外の駆動力、例えば、電磁石の駆動力、サーボモータの駆動力など、により制御される係合装置であってもよい。
(4)上記の実施形態において、制御装置30は、複数の制御ユニット32〜34を備え、これら複数の制御ユニット32〜34が分担して複数の機能部41〜46を備える場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、制御装置30は、上述した複数の制御ユニット32〜34を任意の組み合わせで統合又は分離した制御装置として備えるようにしてもよく、複数の機能部41〜46の分担も任意に設定することができる。
(5)上記の実施形態においては、変速装置TMは、2つの遊星歯車機構を有し、6つの係合装置を有し、6つの前進変速段を有し、各変速段は2つの係合装置が係合されることにより形成される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、変速装置TMは、少なくとも2つ以上の係合装置の係合で形成される変速段を1つ以上有していれば、どのような構成であってもよい。すなわち、変速装置TMは、2つ以上又は1つの遊星歯車機構を有してもよく、2つ以上の係合装置を有してもよく、2つ以上の前進変速段を有してもよく、各変速段は2つ以上の係合装置が係合されることにより形成されてもよい。
(6)上記の実施形態においては、図6から図8のタイムチャートの例において、バッテリの充電量の低下により、内燃機関ENGの始動要求が判定された場合に、始動制御及び故障判定が実行される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、アクセル開度の増加などにより、内燃機関ENGの始動要求が判定された場合に、始動制御及び故障判定が実行されるように構成されてもよい。
(7)上記の実施形態においては、第一油圧PR1(ライン圧)が低下されることにより、保持油圧が、直結係合状態で設定される最大の油圧から低下されて生成されるように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、第一油圧PR1(ライン圧)は直結係合状態で設定される最大の油圧のままで、第一油圧PR1(ライン圧)が、リニアソレノイド弁SLC1、SLC2、・・・により減圧されて、保持油圧が生成されるように構成されてもよい。この場合は、第一油圧PR1(ライン圧)の減圧量が調整されて、係合装置に供給される油圧が、保持油圧よりも低下されたり、増加されたりする。
(8)上記の実施形態においては、始動制御部45は、変速装置TMの各係合装置C1、B1・・・及び機関分離クラッチSSCに供給される油圧の目標である油圧指令を算出するように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、始動制御部45は、変速装置TMの各係合装置C1、B1・・・及び機関分離クラッチSSCに対して要求する伝達トルク容量である目標トルク容量を算出し、変速制御部43及び機関分離係合装置制御部44が、目標トルク容量に基づいて、変速装置TMの各係合装置C1、B1・・・及び機関分離クラッチSSCに供給される油圧を制御するように構成されてもよい。
本発明は、内燃機関と車輪とを結ぶ動力伝達経路に、前記内燃機関の側から順に、機関分離係合装置、回転電機、及び変速装置が設けられた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置に好適に利用することができる。
1 :車両用駆動装置
2 :動力伝達経路
30 :車両用駆動装置の制御装置(制御装置)
43 :変速制御部
45 :始動制御部
46 :故障判定部
ENG :内燃機関
MG :回転電機
PC :油圧制御装置
PR1 :第一油圧
PR2 :第二油圧
C1、B1・・・ :変速装置TMの係合装置
SSC :機関分離クラッチ(機関分離係合装置)
TM :変速装置
W :車輪

Claims (5)

  1. 内燃機関と車輪とを結ぶ動力伝達経路に、前記内燃機関の側から順に、機関分離係合装置、回転電機、及び変速装置が設けられた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置であって、
    前記変速装置は、複数の係合装置を備えると共に、当該複数の係合装置の係合の状態に応じて複数の変速段が選択的に形成され、
    目標とする前記変速段を形成する前記係合装置に、直結係合状態に維持できる最低の油圧以上であって直結係合状態で設定される最大の油圧未満である保持油圧を供給して、前記変速段を形成する変速制御部と、
    前記機関分離係合装置を解放状態から係合状態に移行させて前記内燃機関を始動させる場合に、前記変速制御部により形成されている前記変速段を形成する前記係合装置の一つである第一係合装置に供給する油圧を、当該第一係合装置が滑り係合状態になるように前記保持油圧から低下させ、前記変速段を形成する前記係合装置の内、前記第一係合装置以外の係合装置である第二係合装置に供給する油圧を、前記保持油圧から増加させる始動制御部と、
    を備える車両用駆動装置の制御装置。
  2. 前記第一係合装置の故障を判定する故障判定部を更に備え、
    前記始動制御部は、前記第一係合装置の係合部材間の回転速度差が、予め定めた判定速度差以上になったと判定した後に、前記機関分離係合装置に供給する油圧を増加させて前記機関分離係合装置を解放状態から係合状態に移行させ、
    前記故障判定部は、前記始動制御部により前記第一係合装置への供給油圧の低下が開始された後、前記第一係合装置の係合部材間の回転速度差が前記判定速度差未満である状態が、予め定めた判定時間継続したと判定した場合に、前記回転電機の出力トルクを増加させ始め、前記回転電機の出力トルクの増加量が予め定めた故障判定値以上になっても、前記第一係合装置の係合部材間の回転速度差が、前記判定速度差未満のままであると判定した場合に、前記第一係合装置が故障していると判定し、
    前記始動制御部は、前記故障判定部により前記第一係合装置が故障していると判定された場合に、前記第一係合装置に代えて、前記第二係合装置が滑り係合状態になるように、当該第二係合装置に供給する油圧を前記保持油圧よりも低下させ、当該第二係合装置の係合部材間の回転速度差が、予め定めた前記判定速度差以上になったと判定した後に、前記機関分離係合装置に供給する油圧を増加させて前記機関分離係合装置を解放状態から係合状態に移行させる請求項1に記載の車両用駆動装置の制御装置。
  3. 前記故障判定部は、前記第一係合装置の係合部材間の回転速度差が予め定めた目標回転速度差に近づくように、前記回転電機の出力トルクを制御することによって、前記回転電機の出力トルクを増加させる請求項2に記載の車両用駆動装置の制御装置。
  4. 前記始動制御部は、前記第一係合装置又は前記第二係合装置の係合部材間の回転速度差が、前記判定速度差以上になったと判定した後、前記機関分離係合装置に供給する油圧を増加させて前記機関分離係合装置を解放状態から係合状態に移行させると共に、前記第一係合装置又は前記第二係合装置の係合部材間の回転速度差が目標回転速度差に近づくように、前記回転電機の出力トルクを制御する請求項2又は3に記載の車両用駆動装置の制御装置。
  5. 前記始動制御部は、前記内燃機関の始動が終了した後に、前記変速段を形成する前記第一係合装置及び前記第二係合装置に供給する油圧を、前記保持油圧に戻す請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用駆動装置の制御装置。
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