JP2020006782A - 車両用駆動装置の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】変速機が駆動力を伝達しないニュートラル状態で車両が走行中、変速用係合装置を係合させるために入力部材の回転速度を上昇させる場合に発生する振動を小さく抑えることができる車両用駆動装置の制御装置を提供する。【解決手段】車両用駆動装置の制御装置は、変速機が駆動力を伝達しないニュートラル状態で車両を走行させる第1モードと、第1駆動力源の駆動力を対象車輪に伝達して車両を走行させる第2モードと、を有し、第1モードから第2モードに移行するために変速用係合装置CLの一対の係合部材を係合させる場合に、入力部材Iの回転速度を同期回転速度に近づける同期制御を実行し、同期制御の開始前に、入力部材Iの回転速度を上昇させる方向の駆動力であって、ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかったギヤ機構のギヤ噛合い部に生じた隙間を無くす大きさの隙間詰め駆動力を、第1駆動力源に出力させる噛合い隙間詰め制御を実行する。【選択図】図8

Description

本発明は、第1駆動力源と、第1駆動力源に駆動連結された入力部材と、対象車輪に駆動連結された出力部材と、駆動力を伝達するギヤ機構及び当該ギヤ機構による駆動力の伝達状態を切り換える変速用係合装置を有し、変速用係合装置の係合状態に応じて入力部材の回転を変速して出力部材に伝達する変速機と、を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置に関する。
特許文献1には、駆動力を伝達するギヤ機構及び当該ギヤ機構による駆動力の伝達状態を切り換える変速用係合装置を有する変速機を備えた車両において、変速時のショックを低減する技術が開示されている。具体的には、特許文献1には、アップシフト時に解放状態から係合状態となる変速用係合装置の係合圧を漸増すると共に、トルク相中に駆動力源のトルクアップを行うトルクアップ制御を実行するステップと、変速用係合装置のトルク相中における係合圧が、イナーシャ相が開始することのない待機圧になるように制御するステップと、変速用係合装置の係合圧が待機圧になるような指令がなされてからの経過時間が待機時間以上になると、駆動力源のトルクを漸減するトルクダウン制御を実行するステップと、を行う制御装置が開示されている。
ところで、変速機が駆動力を伝達しないニュートラル状態で車両が走行中に、変速用係合装置を係合させるために入力部材の回転速度を上昇させる場合、ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかったギヤ機構における互いに噛み合うギヤ同士が衝突して振動が発生することがある。これは、ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかったギヤ機構のギヤ噛合い部に生じた隙間に起因するものである。しかしながら、特許文献1の技術では、このような現象については考慮されていなかった。
特開2008−45567号公報(図9)
そこで、変速機が駆動力を伝達しないニュートラル状態で車両が走行中、変速用係合装置を係合させるために入力部材の回転速度を上昇させる場合に発生する振動を小さく抑えることができる車両用駆動装置の制御装置の実現が望まれる。
上記に鑑みた、車両用駆動装置の制御装置の特徴構成は、
第1駆動力源と、前記第1駆動力源に駆動連結された入力部材と、対象車輪に駆動連結された出力部材と、駆動力を伝達するギヤ機構及び前記ギヤ機構による駆動力の伝達状態を切り換える変速用係合装置を有し、前記変速用係合装置の係合状態に応じて前記入力部材の回転を変速して前記出力部材に伝達する変速機と、を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置であって、
前記変速機が駆動力を伝達しないニュートラル状態で車両を走行させる第1モードと、前記変速機が駆動力を伝達する駆動伝達状態で、前記第1駆動力源の駆動力を前記対象車輪に伝達して前記車両を走行させる第2モードと、を有し、
前記第1モードから前記第2モードに移行するために前記変速用係合装置の一対の係合部材を係合させる場合に、前記入力部材の回転速度を上昇させて、一対の前記係合部材間の回転速度差が無くなる同期回転速度に近づける同期制御を実行し、更に、
前記同期制御の開始前に、前記入力部材の回転速度を上昇させる方向の駆動力であって、前記ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかった前記ギヤ機構のギヤ噛合い部に生じた隙間を無くす大きさの隙間詰め駆動力を、前記第1駆動力源に出力させる噛合い隙間詰め制御を実行する点にある。
この特徴構成によれば、同期制御の開始前に、隙間詰め駆動力が第1駆動力源によって出力されて、ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかったギヤ機構のギヤ噛合い部に生じた隙間が無くなった状態となる。そのため、同期制御の開始時に、ギヤ機構における互いに噛み合うギヤ同士が衝突することを回避できる。したがって、変速機が駆動力を伝達しないニュートラル状態で車両が走行中、変速用係合装置を係合させるために入力部材の回転速度を上昇させる場合に発生する振動を小さく抑えることができる。
実施形態に係る車両用駆動装置の概略構成を示す模式図 実施形態に係る車両用駆動装置の第1駆動部のスケルトン図 実施形態に係る変速機の作動表を示す図 実施形態に係る制御装置の概略構成を示すブロック図 同期制御の一例を示す速度線図 同期制御の一例を示す速度線図 第1モードから第2モードに移行する制御を示すフローチャート 第1モードから第2モードに移行する制御を示すタイムチャート 別の実施形態に係る車両用駆動装置の概略構成を示す模式図 更に別の実施形態に係る車両用駆動装置の概略構成を示す模式図
以下では、実施形態に係る車両用駆動装置1の制御装置10について図面を参照して説明する。制御装置10は、車両用駆動装置1を制御対象とする装置である。本実施形態では、制御装置10は、車両用駆動装置1と共に車両に搭載される。また、本実施形態では、制御装置10及び車両用駆動装置1が搭載される車両には、内燃機関ENGが備えられている。そのため、本実施形態では、内燃機関ENGを制御する内燃機関制御装置20も車両に搭載される。
1.車両用駆動装置の概略構成
まず、車両用駆動装置1について説明する。図1に示すように、本実施形態では、車両用駆動装置1は、第1駆動部1Aと、第2駆動部1Bと、を備えている。
第1駆動部1Aは、複数(本例では、2つ)の第1車輪W1を駆動するように構成されている。本実施形態では、第1車輪W1が「対象車輪」に相当する。
第1駆動部1Aは、第1回転電機MG1と、内燃機関ENG及び第1回転電機MG1に駆動連結された入力軸Iと、複数の第1車輪W1に駆動連結された出力軸Oと、入力軸Iの回転を変速して出力軸Oに伝達する変速機TMと、を備えている。なお、本実施形態では、内燃機関ENG及び第1回転電機MG1の少なくとも一方が「第1駆動力源」として機能する。また、本実施形態では、入力軸Iが「入力部材」に相当し、出力軸Oが「出力部材」に相当する。
なお、本願において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材(例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等)が含まれる。なお、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置(例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等)が含まれていても良い。
内燃機関ENGは、燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)である。内燃機関ENGのクランクシャフト等の内燃機関出力軸Eoは、分離係合装置SSCを介して入力軸Iと選択的に駆動連結される(図2参照)。本実施形態では、内燃機関出力軸Eoに、伝達されるトルクの変動を減衰するダンパDPが設けられている。
図1及び図2に示すように、第1回転電機MG1は、第1回転電機MG1及び変速機TM等を収容するケースCSに連結された第1ステータSt1と、第1ステータSt1に対して回転自在に支持された第1ロータRo1と、を有している。第1ロータRo1は、入力軸Iと一体回転するように、入力軸Iに駆動連結されている。つまり、本実施形態では、内燃機関ENG及び第1回転電機MG1の双方が、入力軸Iに駆動連結される構成となっている。第1回転電機MG1は、直流交流変換を行うインバータを介して蓄電装置としてのバッテリ(蓄電装置の一例、以下同じ)に電気的に接続されている。そして、第1回転電機MG1は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを果たすことが可能とされている。つまり、第1回転電機MG1は、インバータを介してバッテリからの電力供給を受けて力行し、或いは、内燃機関ENGのトルクや車両の慣性力により発電した電力を、インバータを介してバッテリに蓄電させる。
図2に示すように、変速機TMは、駆動力を伝達するギヤ機構Gと、ギヤ機構Gによる駆動力の伝達状態を切り換える変速用係合装置CLと、を有している。変速機TMは、変速用係合装置CLの係合状態に応じて入力軸Iの回転を変速して出力軸Oに伝達する。変速機TMから出力軸Oへ伝達されたトルクは、第1差動歯車装置DF1を介して複数(本例では、2つ)の第1車軸AX1に分配され、各第1車軸AX1に駆動連結された第1車輪W1に伝達される。
図1に示すように、第2駆動部1Bは、複数(本例では、2つ)の第2車輪W2を駆動するように構成されている。本実施形態では、第2車輪W2が、対象車輪とは異なる「別車輪」に相当する。
第2駆動部2Bは、第2回転電機MG2と、第2回転電機MG2に駆動連結された軸部材Sと、を備えている。なお、本実施形態では、第2回転電機MG2が「第2駆動力源」として機能する。
第2回転電機MG2は、第2回転電機MG2等を収容するケースに連結された第2ステータSt2と、第2ステータSt2に対して回転自在に支持された第2ロータRo2と、を有している。第2ロータRo2は、軸部材Sと一体回転するように、軸部材Sに駆動連結されている。第2回転電機MG2は、直流交流変換を行うインバータを介して蓄電装置としてのバッテリに電気的に接続されている。そして、第2回転電機MG2は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを果たすことが可能とされている。つまり、第2回転電機MG2は、インバータを介してバッテリからの電力供給を受けて力行し、或いは、車両の慣性力により発電した電力を、インバータを介してバッテリに蓄電させる。
第2回転電機MG2から軸部材Sへ伝達されたトルクは、第2差動歯車装置DF2を介して複数(本例では、2つ)の第2車軸AX2に分配され、各第2車軸AX2に駆動連結された第2車輪W2に伝達される。
2.変速機の構成
変速機TMの構成について詳細に説明する。本実施形態では、変速機TMは、変速比の異なる複数の変速段を有する有段の自動変速機である。図2に示すように、これら複数の変速段を形成するため、本実施形態では、変速機TMが、ギヤ機構Gとして、第1遊星歯車機構PG1及び第2遊星歯車機構PG2と、を備えている。更に、変速用係合装置CLが、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及び一方向係合装置OWCを含んでいる。変速機TMは、各変速段の変速比で、入力軸Iの回転速度を変速すると共にトルクを変換して、出力軸Oへ伝達する。
ここで、変速比は、変速機TMにおいて各変速段が形成された場合における、出力軸Oの回転速度に対する入力軸Iの回転速度の比であり、本願では入力軸Iの回転速度を出力軸Oの回転速度で除算した値である。つまり、入力軸Iの回転速度を変速比で除算した回転速度が、出力軸Oの回転速度になる。また、入力軸Iから変速機TMに伝達されるトルクに、変速比を乗算したトルクが、変速機TMから出力軸Oに伝達されるトルクになる。
図2に示すように、第1遊星歯車機構PG1は、第1ピニオンギヤP1及び第2ピニオンギヤP2を支持する第1キャリヤCA1と、第1ピニオンギヤP1に噛み合う第1サンギヤS1と、第2ピニオンギヤP2に噛み合う第1リングギヤR1と、を有するダブルピニオン型の遊星歯車機構である。
第2遊星歯車機構PG2は、第2サンギヤS2及び第3サンギヤS3と、第2リングギヤR2と、第2サンギヤS2及び第2リングギヤR2の双方に噛み合う第3ピニオンギヤP3並びにこの第3ピニオンギヤP3及び第3サンギヤS3に噛み合う第4ピニオンギヤP4を支持する第2キャリヤCA2と、を有するラビニヨ型の遊星歯車機構である。
第1サンギヤS1は、ケースCSに連結されている。第1キャリヤCA1は、入力軸Iと一体回転するように、入力軸Iに駆動連結されており、第1駆動力源(内燃機関ENG、第1回転電機MG1)から入力軸Iに伝達された駆動力が第1キャリヤCA1に伝達される。また、第1キャリヤCA1は、第4クラッチC4を介して、第2遊星歯車機構PG2の第2サンギヤS2と選択的に一体回転するように、第2サンギヤS2に駆動連結される。第1リングギヤR1は、第1クラッチC1を介して、第2遊星歯車機構PG2の第3サンギヤS3と選択的に一体回転するように、第3サンギヤS3に駆動連結される。更に、第1リングギヤR1は、第3クラッチC3を介して、第2遊星歯車機構PG2の第2サンギヤS2と選択的に一体回転するように、第2サンギヤS2に駆動連結される。
第2サンギヤS2には、第3クラッチC3の係合により、入力軸Iから第1遊星歯車機構PG1の第1キャリヤCA1を介して第1リングギヤR1に伝達されたトルクが入力される。更に、第2サンギヤS2には、第4クラッチC4の係合により、入力軸Iから第1遊星歯車機構PG1の第1キャリヤCA1に伝達されたトルクが入力される。また、第2サンギヤS2は、第1ブレーキB1を介して、ケースCSに選択的に固定される。
第2キャリヤCA2には、第2クラッチC2の係合により、入力軸Iから伝達されたトルクが入力される。また、第2キャリヤCA2は、第2ブレーキB2又は一方向係合装置OWCを介して、ケースCSに選択的に固定される。第2リングギヤR2は、出力軸Oに駆動連結されている。第3サンギヤS3には、第1クラッチC1の係合により、入力軸Iから第1遊星歯車機構PG1の第1キャリヤCA1を介して第1リングギヤR12に伝達されたトルクが入力される。
本実施形態の変速機TMにおいては、上記複数の係合装置C1,C2,C3,C4,B1,B2の係合及び解放が制御されて、ギヤ機構Gとしての第1遊星歯車機構PG1及び第2遊星歯車機構PG2による駆動力の伝達状態が切り替えられる。具体的には、複数の係合装置C1,C2,C3,C4,B1,B2のいずれか2つが選択的に係合されて、複数の変速段のいずれか1つが形成される。
図3に示すように、本実施形態では、変速機TMは、変速比の異なる8つの変速段である、第1変速段1st、第2変速段2nd、第3変速段3rd、第4変速段4th、第5変速段5th、第6変速段6th、第7変速段7th、及び第8変速段8thを前進段として有している。更に、変速機TMは、これら8つの前進段のほかに、2つの後進段(第1後進段Rev1、及び第2後進段Rev2)も有している。
なお、図3は、各変速段での複数の係合装置C1,C2,C3,C4,B1,B2の作動状態を示す作動表である。図3において、「○」は各係合装置が係合状態にあることを示しており、「無印」は、各係合装置が解放状態にあることを示している。「(○)」は、エンジンブレーキを行う場合等において、係合装置が係合状態にされることを示している。また、「△」は、係合装置の一対の係合部材間の相対回転の方向が第1方向の場合(第2キャリヤCA2が正方向に回転する場合)には解放状態となり、相対回転の方向が第1方向とは反対の第2方向の場合(第2キャリヤCA2が負方向に回転する場合)には直結係合状態になることを示している。
一方向係合装置OWCは、一対の係合部材間の相対回転の方向が第1方向の場合に一対の係合部材同士を係合し、相対回転の方向が第1方向とは反対の第2方向の場合に一対の係合部材同士の係合を解除する係合装置である。本実施形態では、一方向係合装置OWCは、第2遊星歯車機構PG2の第2キャリヤCA2に連結された入力側の係合部材が、ケースCSに連結されて回転速度が零である出力側の係合部材に対して正方向に回転する場合に解放状態となり、負方向に回転する場合に直結係合状態となるように構成されている。つまり、一方向係合装置OWCは、第2遊星歯車機構PG2の第2キャリヤCA2が正方向に回転する(回転速度が零より大きくなる)場合に解放状態となり、第2キャリヤCA2が負方向に回転する(回転速度が零未満となる)場合に直結係合状態となるように構成されている。したがって、第2キャリヤCA2の回転速度は、零未満に低下することはない。
本実施形態では、分離係合装置SSC、及び複数の係合装置C1,C2,C3,C4,B1,B2のそれぞれは、一対の係合部材間の相対回転の方向に関わらず、係合又は解放を制御可能な係合装置である。本実施形態では、これらの係合装置は、いずれも摩擦係合装置であり、これらの係合装置に供給される油圧に基づいて、係合の状態が制御される。このような摩擦係合装置としては、例えば湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキ等が好適に用いられる。
摩擦係合装置は、当該摩擦係合装置が有する一対の係合部材間の摩擦により、当該一対の係合部材間でトルクを伝達する。摩擦係合装置の一対の係合部材間に回転速度差(滑り)がある場合、動摩擦により回転速度の大きい方の部材から小さい方の部材に伝達トルク容量の大きさのトルク(スリップトルク)が伝達される。摩擦係合装置の一対の係合部材間に回転速度差(滑り)がない場合、摩擦係合装置は、伝達トルク容量の大きさを上限として、静摩擦により一対の係合部材間に作用するトルクを伝達する。ここで、伝達トルク容量とは、摩擦係合装置が摩擦により伝達することができる最大のトルクの大きさである。伝達トルク容量の大きさは、摩擦係合装置の係合圧に比例して変化する。係合圧とは、入力側の係合部材(摩擦板)と出力側の係合部材(摩擦板)とを相互に押し付け合う圧力である。本実施形態では、係合圧は、供給される油圧の大きさに比例して変化する。つまり、本実施形態では、伝達トルク容量の大きさは、摩擦係合装置に供給される油圧の大きさに比例して変化する。
摩擦係合装置は、戻しばねを備えており、当該戻しばねの反力により係合部材が解放側に付勢されている。そして、摩擦係合装置の油圧シリンダに供給される油圧により生じる力が戻しばねの反力を上回ると、摩擦係合装置に伝達トルク容量が生じ始め、摩擦係合装置が解放状態から係合状態に変化する。この伝達トルク容量が生じ始めるときの油圧を、ストロークエンド圧と記す。摩擦係合装置は、供給される油圧がストロークエンド圧を上回った後、油圧の増加に比例して、その伝達トルク容量が増加するように構成されている。なお、摩擦係合装置は、戻しばねを備えず、油圧シリンダのピストンの両側にかかる油圧の差圧によって制御される構造であってもよい。
なお、本願において、「係合状態」とは、摩擦係合装置に伝達トルク容量が生じている状態であり、滑り係合状態と直結係合状態とを含む。「滑り係合状態」とは、摩擦係合装置の一対の係合部材間に回転速度差(滑り)がある係合状態である。そして、「直結係合状態」とは、摩擦係合装置の一対の係合部材間に回転速度差(滑り)がない係合状態である。また、「解放状態」とは、摩擦係合装置に伝達トルク容量が生じていない状態である。
なお、摩擦係合装置には、制御装置10により伝達トルク容量を生じさせる指令が出されていない場合でも、一対の係合部材(摩擦板)同士の引き摺りによって伝達トルク容量が生じる場合がある。例えば、ピストンにより一対の係合部材同士が押圧されていない場合でも、一対の係合部材同士が接触し、一対の係合部材同士の引き摺りによって伝達トルク容量が生じる場合がある。そこで、「解放状態」には、制御装置10が摩擦係合装置に伝達トルク容量を生じさせる指令を出していない場合に、一対の係合部材同士の引き摺りにより、伝達トルク容量が生じている状態も含まれるものとする。
3.油圧制御系の構成
図4に示すように、車両用駆動装置1の油圧制御系は、車両の駆動力源や専用のモータによって駆動される油圧ポンプから供給される作動油の油圧を所定圧に調整するための油圧制御装置PCを備えている。ここでは詳しい説明を省略するが、油圧制御装置PCは、油圧調整用のリニアソレノイド弁等の油圧制御弁からの信号圧に基づいて、1つ又は2つ以上の調整弁の開度を調整することにより、当該調整弁からドレインする作動油の量を調整して作動油の油圧を一又は二以上の所定圧に調整する。所定圧に調整された作動油は、それぞれ必要とされるレベルの油圧で、第1クラッチC1等の変速用係合装置CL、及び分離係合装置SSC等に供給される。
4.制御装置の構成
以下では、車両用駆動装置1の制御を行う制御装置10、及び内燃機関ENGの制御を行う内燃機関制御装置20の構成について説明する。
図4に示すように、制御装置10は、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2の制御を行う回転電機制御ユニット11と、変速用係合装置CL、及び分離係合装置SSCの制御を行う動力伝達制御ユニット12と、これらを統合して車両用駆動装置1の制御を行う車両制御ユニット13と、を有している。
制御装置10の制御ユニット11,12,13、及び内燃機関制御装置20のそれぞれは、CPU等の演算処理装置を中核部材として備えると共に、当該演算処理装置からのデータの読み出し及びデータの書き込みが可能なRAM(ランダム・アクセス・メモリ)や、演算処理装置からのデータの読み出しが可能なROM(リード・オンリ・メモリ)等の記憶装置を有している。更に、制御装置10の制御ユニット11,12,13、及び内燃機関制御装置20のそれぞれは、記憶装置に記憶されたソフトウェア(プログラム)又は別途設けられた演算回路等のハードウェア、或いはそれらの両方を有している。また、制御装置10の制御ユニット11,12,13、及び内燃機関制御装置20は、互いに通信を行うように構成されており、センサの検出情報及び制御パラメータ等の各種情報を共有するとともに協調制御を行う。
車両や車両用駆動装置1には、入力回転速度センサSe1、出力回転速度センサSe2、内燃機関回転速度センサSe3、シフト位置センサSe4、アクセル開度センサSe5、及び軸部材回転速度センサSe6が設けられている。これらのセンサから出力される電気信号は、制御装置10及び内燃機関制御装置20に入力される。制御装置10及び内燃機関制御装置20は、入力された電気信号に基づいて、各センサの検出情報を算出する。
入力回転速度センサSe1は、入力軸Iの回転速度を検出するためのセンサである。回転電機制御ユニット11は、入力回転速度センサSe1の入力信号に基づいて、入力軸Iの回転速度(角速度)を算出する。前述のように、入力軸Iには第1回転電機MG1の第1ロータRo1が一体的に駆動連結されているため、入力軸Iの回転速度が第1回転電機MG1の回転速度に相当する。
出力回転速度センサSe2は、出力軸Oの回転速度を検出するためのセンサである。動力伝達制御ユニット12は、出力回転速度センサSe2の入力信号に基づいて、出力軸Oの回転速度(角速度)を算出する。また、出力軸Oの回転速度は車速に比例するため、動力伝達制御ユニット12は、出力回転速度センサSe2の入力信号に基づいて車速を算出する。
内燃機関回転速度センサSe3は、内燃機関出力軸Eo(内燃機関ENG)の回転速度を検出するためのセンサである。内燃機関制御装置20は、内燃機関回転速度センサSe3の入力信号に基づいて、内燃機関ENGの回転速度(角速度)を算出する。
シフト位置センサSe4は、運転者により操作されるシフトレバーの選択位置(シフト位置)を検出するためのセンサである。車両制御ユニット13は、シフト位置センサSe4の入力信号に基づいてシフト位置を検出する。シフトレバーは、パーキングレンジ(Pレンジ)、後進走行レンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、前進走行レンジ(Dレンジ)等に選択可能に構成されている。
アクセル開度センサSe5は、運転者により操作されるアクセルペダルの操作量を検出するためのセンサである。車両制御ユニット13は、アクセル開度センサSe5の入力信号に基づいてアクセル開度を検出する。
軸部材回転速度センサSe6は、軸部材Sの回転速度を検出するためのセンサである。回転電機制御ユニット11は、軸部材回転速度センサSe6の入力信号に基づいて、軸部材Sの回転速度(角速度)を算出する。前述のように、軸部材Sには第2回転電機MG2の第2ロータRo2が一体的に駆動連結されているため、軸部材Sの回転速度が第2回転電機MG2の回転速度に相当する。
本実施形態では、回転電機制御ユニット11は、第1回転電機MG1に対して要求する出力トルクである第1回転電機要求トルクが車両制御ユニット13から指令されている場合、第1回転電機MG1が第1回転電機要求トルクを出力するように制御する。また、回転電機制御ユニット11は、第1回転電機MG1に対して要求される目標回転速度が車両制御ユニット13から指令されている場合、第1回転電機MG1が当該目標回転速度となるように制御する。更に、回転電機制御ユニット11は、第2回転電機MG2に対して要求する出力トルクである第2回転電機要求トルクが車両制御ユニット13から指令されている場合、第2回転電機MG2が第2回転電機要求トルクを出力するように制御する。具体的には、回転電機制御ユニット11は、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2のそれぞれを駆動するインバータを制御することにより、回転電機MG1,MG2の出力トルクを制御する。
動力伝達制御ユニット12は、変速機TMの変速用係合装置CLの係合の状態を制御して、変速機TMの状態を制御する。本実施形態では、動力伝達制御ユニット12は、油圧制御装置PCを介して、複数の係合装置C1,C2,C3,C4,B1,B2に供給される油圧を制御することにより、車両制御ユニット13から指令された目標変速段を変速機TMに形成させる。具体的には、動力伝達制御ユニット12は、油圧制御装置PCに各係合装置の目標油圧(油圧指令)を指令し、油圧制御装置PCは、指令された目標油圧(油圧指令)に応じた油圧を各係合装置に供給する。本実施形態では、動力伝達制御ユニット12は、油圧制御装置PCに備えられた各油圧制御弁に供給される信号値を制御することにより、各係合装置に供給される油圧を制御する。
また、動力伝達制御ユニット12は、分離係合装置SSCの係合の状態を制御する。本実施形態では、動力伝達制御ユニット12は、分離係合装置SSCに供給される油圧が、車両制御ユニット13から指令された分離係合装置SSCの目標油圧(油圧指令)に一致するように、油圧制御装置PCに備えられた各油圧制御弁に供給される信号値を制御する。
内燃機関制御装置20は、内燃機関ENGの燃焼開始要求があった場合は、内燃機関ENGへの燃料供給及び点火を開始する等して、内燃機関ENGの燃焼を開始する制御を行う。また、内燃機関制御装置20は、車両制御ユニット13から内燃機関ENGの燃焼停止指令があった場合には、内燃機関ENGへの燃料供給や点火等を停止して、内燃機関ENGを燃焼停止状態にする。また、内燃機関制御装置20は、車両制御ユニット13から指令された目標トルクを出力し、或いは車両制御ユニット13から指令された目標回転速度となるように内燃機関ENGを制御する。
車両制御ユニット13は、内燃機関ENG、回転電機MG1,MG2、及び変速機TM等に対して行われる各種トルク制御、並びに各係合装置の係合制御等を車両全体として統合する制御を行う。車両制御ユニット13は、アクセル開度及び車速等に応じて、車両の走行のために要求されているトルクである車両要求トルクを算出する。そして、車両制御ユニット13は、車両要求トルク、車速、及びバッテリの充電量等に基づいて、第1回転電機要求トルク、第2回転電機要求トルク、内燃機関ENGに対して要求する出力トルクである内燃機関要求トルク、変速用係合装置CLや分離係合装置SSCに対して要求する伝達トルク容量である目標トルク容量を算出し、それらを他の制御ユニット11,12及び内燃機関制御装置20に指令して統合制御を行う。
制御装置10は、変速機TMが駆動力を伝達しないニュートラル状態で車両を走行させる第1モードと、変速機TMが駆動力を伝達する駆動伝達状態で、第1駆動力源(内燃機関ENG、第1回転電機MG1)の駆動力を第1車輪W1に伝達して車両を走行させる第2モードと、を制御モードとして有している。
第1モードは、例えば、車両を惰性により走行(コースト走行)させるモードである。本実施形態では、これに加えて、第1モードは、内燃機関ENG及び第1回転電機MG1が第1車輪W1に駆動力を伝達せず、第2回転電機MG2が第2車輪W2に駆動力を伝達して車両を走行させるモードも含んでいる。
また、本実施形態では、第2モードは、第2回転電機MG2が第2車輪W2に駆動力を伝達せず、内燃機関ENG及び第1回転電機MG1の少なくとも一方が第1車輪W1に駆動力を伝達して車両を走行させるモードと、内燃機関ENG及び第1回転電機MG1の少なくとも一方が第1車輪W1に駆動力を伝達し、且つ、第2回転電機MG2が第2車輪W2に駆動力を伝達して車両を走行させるモードと、を含んでいる。
変速機TMが駆動力を伝達しない「ニュートラル状態」は、複数の係合装置C1,C2,C3,C4,B1,B2の全てが解放された状態と、複数の係合装置C1,C2,C3,C4,B1,B2の少なくとも1つが係合された状態とを含む。変速機TMが駆動力を伝達する「駆動伝達状態」は、変速機TMにいずれかの変速段が形成された状態である。
制御装置10は、第1モードから第2モードに移行する場合、入力軸Iの回転速度を上昇させて、変速用係合装置CLの一対の係合部材間の回転速度差が無くなる同期回転速度に近づける同期制御を実行する。
図5及び図6に、同期制御の一例を示す。図5及び図6は、それぞれ、変速機TMの速度線図である。図5及び図6の各速度線図において、縦軸は、各回転要素の回転速度に対応している。また、並列配置された複数本の縦線のそれぞれが、第1遊星歯車機構PG1の各回転要素及び第二遊星歯車機構PG2の各回転要素に対応している。並列配置された複数本の縦線間の間隔は、各遊星歯車機構のギヤ比(サンギヤとリングギヤとの歯数比=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)に基づいて定まっている。
また、図5及び図6の各速度線図において、「●」は、各回転要素に連結された係合装置が、直結係合状態にあることを示している。「○」は、各回転要素に連結された係合装置が、解放状態にあることを示している。「●」、「○」のそれぞれに隣接して記された「C1」等は、対応する係合装置を示している。「×」は、第1ブレーキB1又は第2ブレーキB2を介するか否かを問わず、回転要素がケースCSに対して回転不能に固定された状態を示している。「△」は、入力軸Iに連結された回転要素(第1遊星歯車機構PG1の第1キャリヤCA1)の回転速度を示している。「☆」は、出力軸Oに連結された回転要素(第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2)の回転速度を示している。なお、「☆」に隣接して記された「2nd」等は、変速機TMに形成された変速段を示している。
図5及び図6に示す例では、制御装置10は、第1モードから第2モードに移行する場合において、変速機TMに第2変速段2ndを形成するための同期制御を実行している。まず、図5に示す状態から、図6に示すように、回転電機制御ユニット11が、第1回転電機MG1の回転速度制御を行い、第1遊星歯車機構PG1の第1リングギヤR1の回転速度が目標変速段(第2変速段2nd)での第2遊星歯車機構PG2の第3サンギヤS3の回転速度に一致、つまり、第1クラッチC1の一対の係合部材間の回転速度差が無くなる同期回転速度まで、入力軸Iの回転速度を上昇させる。次に、動力伝達制御ユニット12が第1ブレーキB1を係合させる。これに伴い、第2遊星歯車機構PG2の第2サンギヤS2の回転速度が零となる(第2サンギヤS2がケースCSに対して回転不能に固定される)と共に、第2遊星歯車機構PG2の第3サンギヤS3の回転速度が上昇する。最後に、図6に示すように、動力伝達制御ユニット12が、第1クラッチC1を係合させる。これにより、変速機TMに第2変速段2ndが形成される。
第1モードにおいては、変速機TMがニュートラル状態であるため、当該変速機TMのギヤ機構G(第1遊星歯車機構PG1及び第2遊星歯車機構PG2)における、駆動力が伝達されていなかったギヤ噛合い部に隙間が生じている場合がある。このような隙間が生じた状態で上記の同期制御を行うと、当該ギヤ噛合い部においてギヤ同士が衝突して振動が発生することがある。そのため、制御装置10は、同期制御の開始前に、そのようなギヤ噛合い部の隙間を無くす噛合い隙間詰め制御を実行する。
本実施形態では、第1モードでの車両の走行中は、第2遊星歯車機構PG2の各回転要素は出力軸Oと共に回転しているため、第2遊星歯車機構PG2の各ギヤ噛合い部に隙間は生じていないが、第1遊星歯車機構PG1には回転及び駆動力が伝達されないため、当該第1遊星歯車機構PG1の各ギヤ噛合い部には隙間が生じ得る。つまり、第1サンギヤS1と第1ピニオンギヤP1との噛合い部、第1リングギヤR1と第2ピニオンギヤP2との噛合い部、及び第1ピニオンギヤP1と第2ピニオンギヤP2との噛合い部のそれぞれが、ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかったギヤ噛合い部に相当する。
本実施形態では、前述のように、第1サンギヤS1は、ケースCSに連結されており、回転不能に固定された状態となっている。そのため、第1サンギヤS1と第1ピニオンギヤP1との噛合い部においてギヤ同士が衝突して振動が発生した場合、当該振動がケースCSに直接的に伝達され易く、更には、当該振動や当該振動に伴う音がケースCSの外部にまで伝達され易い。このような振動や音は、車両の運転者に違和感として感知されることになる場合がある。そこで、本実施形態では、特に、第1モードにおいて第1サンギヤS1と第1ピニオンギヤP1との噛合い部に生じる隙間を無くすように、制御装置10が噛合い隙間詰め制御を実行する。以下では、第1サンギヤS1と第1ピニオンギヤP1との噛合い部を単に「ギヤ噛合い部Ga」(図2参照)と称する。
このように、制御装置10は、同期制御の開始前に、入力軸Iの回転速度を上昇させる方向の駆動力であって、ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかったギヤ噛合い部Gaに生じた隙間を無くす大きさの隙間詰め駆動力を、第1駆動力源(本実施形態では、内燃機関ENG及び第1回転電機MG1の少なくとも一方)に出力させる噛合い隙間詰め制御を実行する。
図7に、第1モードから第2モードに移行する制御についてのフローチャートを示す。図7に示すように、まず、制御装置10は、制御モードが第1モードである状態で(STEP1)、第2モードに移行するか否かの判定を行う(STEP2)。この判定は、第2モードに移行するための条件である第2モード移行条件に基づいて行われる。第2モード移行条件は、少なくともアクセル開度についての条件を含む。例えば、第2モード移行条件として、アクセル開度、車速、バッテリの状態、ケースCS内の潤滑油の温度のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせとすることができる。
本実施形態においては、アクセル開度に基づいて算出された車両要求トルクが、第2回転電機MG2の最大出力トルクを超えた場合に、第2モードに移行すると判定する。また、第2回転電機MG2による車両の走行が継続困難となった場合に、第2モードに移行すると判定する。第2回転電機MG2による車両の走行が継続困難となる条件としては、例えば、バッテリの充電量が規定値以下になったこと、バッテリの温度が規定値以上になったこと、バッテリの電圧が規定値以上又は未満になったこと、第2回転電機MG2の温度が規定値以上になったこと、第2回転電機MG2を駆動するインバータの温度が規定値以上になったこと、ケースCS内の潤滑油の温度が規定値以上又は未満になったこと、潤滑油を循環させるための電動ポンプの温度が規定値以上又は未満になったこと等が挙げられる。
制御装置10は、第2モード移行条件が成立した場合には、制御モードを第1モードから遷移モードに変更する(STEP3)。遷移モードは、第1モードから第2モードに移行する途中で実行されるモードである。制御装置10は、この遷移モードにおいて、上述した噛合い隙間詰め制御及び同期制御を実行する。
続いて、制御装置10は、噛合い隙間詰め制御を開始する(STEP4)。前述のように、噛合い隙間詰め制御は、入力軸Iの回転速度を上昇させる方向の駆動力であって、ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかったギヤ機構Gのギヤ噛合い部Gaに生じた隙間を無くす大きさの隙間詰め駆動力を、第1駆動力源(内燃機関ENG及び第1回転電機MG1の少なくとも一方)に出力させる制御である。なお、制御装置10は、噛合い隙間詰め制御の実行中、隙間詰め駆動力の出力が継続されるように第1駆動力源を制御する。
本実施形態では、前述のように、内燃機関ENG(内燃機関出力軸Eo)は、分離係合装置SSCを介して第1回転電機MG1(入力軸I)と選択的に駆動連結される。そのため、分離係合装置SSCが解放状態の場合は、噛合い隙間詰め制御において、回転電機制御ユニット11が第1回転電機MG1に隙間詰め駆動力を出力させる。一方、分離係合装置SSCが係合状態の場合は、噛合い隙間詰め制御において、回転電機制御ユニット11が第1回転電機MG1を制御すると共に、車両制御ユニット13が内燃機関制御装置20を介して内燃機関ENGを制御することで、第1回転電機MG1及び内燃機関ENGの双方に隙間詰め駆動力を出力させる。なお、分離係合装置SSCが係合状態の場合において、第1回転電機MG1に駆動力を出力させず、内燃機関ENGのみに隙間詰め駆動力を出力させてもよい。
本実施形態では、隙間詰め駆動力は、変速用係合装置CLの一対の係合部材が係合されていない状態での、第1駆動力源からギヤ噛合い部Gaまでの動力伝達経路の摩擦トルクよりも大きい値に設定される。つまり、分離係合装置SSCが解放状態の場合は、隙間詰め駆動力は、第1回転電機MG1からギヤ噛合い部Gaまでの動力伝達経路の摩擦トルクよりも大きい値に設定される。一方、分離係合装置SSCが係合状態の場合は、隙間詰め駆動力は、内燃機関ENGからギヤ噛合い部Gaまでの動力伝達経路の摩擦トルクよりも大きい値に設定される。なお、第1駆動力源からギヤ噛合い部Gaまでの動力伝達経路の摩擦トルクには、例えば、互いに噛み合うギヤ同士の摩擦、各回転部材を支持する軸受の摩擦、各摩擦係合装置の引き摺り(摩擦板間の油の粘性摩擦等)、各回転部材による油の撹拌抵抗等が含まれている。
本実施形態では、隙間詰め駆動力は、当該隙間詰め駆動力によって上昇する入力軸Iの回転速度が、同期回転速度よりも小さくなるように設定される。つまり、隙間詰め駆動力が伝達されたことによる入力軸Iの回転速度の零からの上昇量が、同期回転速度未満となるように、隙間詰め駆動力の大きさが設定されている。このような隙間詰め駆動力は、第1駆動力源からギヤ噛合い部Gaまでの動力伝達経路を構成する回転部材のイナーシャ、及び第1駆動力源からギヤ噛合い部Gaまでの動力伝達経路の摩擦トルクに基づいて決定されると好適である。
また、本実施形態では、隙間詰め駆動力は、同期制御の開始時に第1駆動力源(内燃機関ENG及び第1回転電機MG1の少なくとも一方)に要求される駆動力未満に設定される。つまり、分離係合装置SSCが解放状態の場合は、隙間詰め駆動力は、同期制御の開始時に第1回転電機MG1に要求される駆動力未満に設定される。一方、分離係合装置SSCが係合状態の場合は、隙間詰め駆動力は、同期制御の開始時に第1回転電機MG1及び内燃機関ENGに要求される駆動力未満に設定される。
好ましくは、隙間詰め駆動力は、第1駆動力源からギヤ噛合い部Gaまでの動力伝達経路の摩擦トルクより僅かに大きいトルクであって、当該隙間詰め駆動力によって、入力軸Iが僅かに回転する程度の大きさに設定されると好適である。ただし、各部の油の粘性(温度)等によって第1駆動力源からギヤ噛合い部Gaまでの動力伝達経路の摩擦トルクが変動する場合には、隙間詰め駆動力が、当該変動範囲の中の最大摩擦トルクより僅かに大きいトルクに設定されると好適である。
更に、本実施形態では、制御装置10は、噛合い隙間詰め制御の実行中、入力軸Iの回転速度が同期回転速度未満に設定された制限回転速度を超えないように、第1駆動力源(内燃機関ENG及び第1回転電機MG1の少なくとも一方)を制御する回転速度制限制御を実行する。分離係合装置SSCが解放状態の場合は、入力軸Iの回転速度が制限回転速度を超えないように、回転電機制御ユニット11が第1回転電機MG1を制御する。一方、分離係合装置SSCが係合状態の場合は、入力軸Iの回転速度が制限回転速度を超えないように、回転電機制御ユニット11が第1回転電機MG1を制御すると共に、車両制御ユニット13が内燃機関制御装置20を介して内燃機関ENGを制御する。ここで、制限回転速度は、同期回転速度より小さい任意の回転速度とすることができるが、第1駆動力源におけるエネルギ損失を少なくするためには、回転センサ等によって検出できる最小の回転速度、或いは、第1駆動力源の回転速度制御が可能な最小の回転速度に設定すると好適である。噛合い隙間詰め制御では、入力軸Iが少しでも回転してギヤ噛合い部Gaの隙間が無くなれば十分だからである。
続いて、制御装置10は、噛合い隙間詰め制御を終了させるか否かの判定を行う(STEP5)。この判定は、噛合い隙間詰め制御を終了させるための条件である制御終了条件に基づいて行われる。制御終了条件としては、例えば、入力軸Iの回転速度が零よりも大きくなったこと、噛合い隙間詰め制御の実行時間が規定時間を超えたこと、或いはこれらのいずれか1つの条件が満たされたこと等が挙げられる。本実施形態では、入力軸Iの回転速度が零よりも大きくなった場合に、噛合い隙間詰め制御を終了する。ただし、入力軸Iの回転速度が零よりも大きくなったことが規定時間を超えるまで検出されなかった場合には、当該規定時間を超えたことを条件として噛合い隙間詰め制御を終了する。
制御装置10は、上記の制御終了条件が成立した場合には、噛合い隙間詰め制御を終了させる(STEP6)。そして、制御装置10は、図5及び図6を参照して説明した通り、同期制御を開始し(STEP7)、同期制御が完了(STEP8)した後に、変速機TMに変速段を形成する(STEP9)。そして最後に、制御装置10は、制御モードを遷移モードから第2モードに変更する(STEP10)。
図8に、第1モードから第2モードに移行する制御の一例についてのタイムチャートを示す。図8には、分離係合装置SSCが解放状態であって、第1モードから第2モードに移行する場合に、噛合い隙間詰め制御及び同期制御を、第1回転電機MG1を制御することで行う例を示している。
また、図8では、第2モードへ移行後の目標変速段が第2変速段2ndである場合を例としている。この場合、動力伝達制御ユニット12は、同期制御の完了後に、第1ブレーキB1と第1クラッチC1とを係合する。
図8に示すように、制御装置10は、同期制御を開始する(時刻t2)前に、第1駆動力源(ここでは、第1回転電機MG1)に隙間詰め駆動力を出力させる噛合い隙間詰め制御を実行している。具体的には、第2モード移行条件が成立して(時刻t1)第2モードに移行することが決定した後、同期制御を開始する(時刻t2)までの間、噛合い隙間詰め制御を実行している。噛合い隙間詰め制御においては、第1駆動力源(内燃機関ENG、第1回転電機MG1)が隙間詰め駆動力を出力し、入力軸Iの回転速度が僅かに上昇している。これにより、ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかったギヤ噛合い部Gaに生じた隙間を無くすことができる。よって、同期制御のために入力軸Iの回転速度を上昇させる際に、ギヤ噛合い部Gaにおいてギヤ同士が衝突して振動が発生することを抑制できる。つまり、同期制御の開始直後にギヤ噛合い部Gaに発生する振動を小さく抑えることができる。
その後、噛合い隙間詰め制御を終了し、入力軸Iの回転速度を同期回転速度に近づけるように上昇させる同期制御を開始する(時刻t2)。この同期制御では、同期回転速度を目標回転速度として第1回転電機MG1の回転速度制御を実行する。具体的には、まず、入力軸Iの回転速度を同期回転速度まで上昇させるために、第1回転電機MG1が正トルクを出力して入力軸Iの回転速度を増加させる。そして、入力軸Iの回転速度を同期回転速度に接近した後は、入力軸Iの回転速度を減少させて同期回転速度に漸近させるために、第1回転電機MG1が負トルクを出力する。入力軸Iの回転速度が同期回転速度に沿う状態となった後は、当該状態を維持するためのトルクを第1回転電機MG1が出力する。
また、この同期制御と平行して、目標変速段(第2変速段2nd)を形成するための変速用係合装置CL(第1ブレーキB1及び第1クラッチC1)の係合動作を行う。具体的には、図8に示すように、同期制御の開始後に、第1ブレーキB1の係合圧をストロークエンド圧付近まで増加させる予備充填を行っている。より詳しくは、動力伝達制御ユニット12は、予備充填の開始直後、第1ブレーキB1の油圧指令を、ストロークエンド圧よりも高い圧に一時的に増加させるファストフィル(fast fill)を行い、実圧の立ち上がりを速めている。その後、第1ブレーキB1の油圧指令をストロークエンド圧から増加させて、第1ブレーキB1を係合状態に移行させている。
また、動力伝達制御ユニット12は、第1ブレーキB1の係合のための制御に対して少し後にずれたタイミングで、第1クラッチC1についても同様の制御を行っている。このように、本例では、第1クラッチC1の係合完了によって目標変速段(第2変速段2nd)が形成されるため、当該第1クラッチC1が第1モードから第2モードに移行するために係合される変速用係合装置CLとなる。目標変速段(第2変速段2nd)が形成されると、入力軸Iは出力軸Oと同期して回転する状態となるため、入力軸Iの回転速度は同期回転速度に一致する。そのため、制御装置10は、目標変速段(第2変速段2nd)が形成されたら同期制御を終了する(t3)。その後、制御装置10は、第1回転電機要求トルクに応じたトルクを第1回転電機MG1に出力させるトルク制御を実行する。図示の例では、第1回転電機MG1のトルクが上昇して車両が加速している。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、車両用駆動装置1が、第2車輪W2を駆動する第2回転電機MG2が設けられた第2駆動部1Bを備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図9に示すように、車両用駆動装置1が第2駆動部1Bを備えておらず、第1駆動力源(内燃機関ENG、第1回転電機MG1)と第1車輪W1とを結ぶ動力伝達経路における、変速機TMと第1車輪W1との間に第2回転電機MG2が設けられた構成としても良い。図9に示す例でも、第1モードは、車両を惰性により走行(コースト走行)させるモードに加えて、変速機TMがニュートラル状態であって内燃機関ENG及び第1回転電機MG1が第1車輪W1に駆動力を伝達せず、第2回転電機MG2が第1車輪W1に駆動力を伝達して車両を走行させるモードを含んでいる。また、図9に示す例では、第2モードは、内燃機関ENG及び第1回転電機MG1の少なくとも一方と、第2回転電機MG2との双方が第1車輪W1に駆動力を伝達して車両を走行させるモードと、第2回転電機MG2が第1車輪W1に駆動力を伝達せず、内燃機関ENG及び第1回転電機MG1の少なくとも一方が第1車輪W1に駆動力を伝達して車両を走行させるモードと、を含んでいる。
(2)上記の実施形態では、車両用駆動装置1が、車輪W1,W2の駆動力源として内燃機関ENGと2つの回転電機MG1,MG2とを備えたハイブリッド車両用の駆動装置である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図10に示すように、車両用駆動装置1が車輪W1、W2の駆動力源として内燃機関ENGのみを備えた従来型の車両用の駆動装置として構成されていてもよい。この場合、第1モードは、車両を惰性により走行(コースト走行)させるモードとなり、第2モードは、内燃機関ENGが変速機TMを介して車輪W1に駆動力を伝達して車両を走行させるモードとなる。
(3)また、例えば、車両用駆動装置1が、図1又は図9に示す車両用駆動装置1において第1回転電機MG1を無くした構成であっても良い。つまり、車両用駆動装置1が、第1車輪W1を駆動するための第1駆動力源として内燃機関ENGのみを備え、第1車輪W1とは別の第2車輪W2を駆動するための第2駆動力源として第2回転電機MG2を備える構成、或いは、内燃機関ENGと第1車輪W1とを結ぶ動力伝達経路における、変速機TMと第1車輪W1との間に第2回転電機MG2が設けられた構成であっても良い。この場合、第1モードは、車両を惰性により走行(コースト走行)させるモードに加えて、変速機TMがニュートラル状態であって内燃機関ENGが車輪に駆動力を伝達せず、第2回転電機MG2が車輪に駆動力を伝達して車両を走行させるモードを含んでいる。また、第2モードは、内燃機関ENGと第2回転電機MG2との双方が車輪に駆動力を伝達して車両を走行させるモードと、第2回転電機MG2が車輪に駆動力を伝達せず、内燃機関ENGが第1車輪W1に駆動力を伝達して車両を走行させるモードと、を含んでいる。
(4)上記の実施形態では、隙間詰め駆動力によって上昇する入力軸Iの回転速度が同期回転速度よりも小さくなるように、隙間詰め駆動力が設定される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、隙間詰め駆動力によって上昇する入力軸Iの回転速度が同期回転速度以上となるように、隙間詰め駆動力が設定される構成としても良い。
(5)上記の実施形態では、隙間詰め駆動力が、同期制御の開始時に第1駆動力源(内燃機関ENG、第1回転電機MG1)に要求される駆動力未満に設定される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、隙間詰め駆動力が、同期制御の開始時に第1駆動力源(内燃機関ENG、第1回転電機MG1)に要求される駆動力以上に設定される構成としても良い。
(6)上記の実施形態では、制御装置10が、噛合い隙間詰め制御の実行中、入力軸Iの回転速度が同期回転速度未満に設定された制限回転速度を超えないように、第1駆動力源(内燃機関ENG、第1回転電機MG1)を制御する回転速度制限制御を実行する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、制御装置10が、噛合い隙間詰め制御の実行中、回転速度制限制御を実行しない構成としても良い。
(7)上記の実施形態では、変速機TMが、8つの前進変速段が形成されるように、2つの遊星歯車機構及び6つの係合装置を有し、各変速段は2つの係合装置が係合されることにより形成される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、変速機TMは、少なくともニュートラル状態と駆動伝達状態とを実現できる構成であれば良く、例えば、形成可能な変速段が1つだけである構成であっても良く、形成可能な変速段の数は任意の数とすることができる。また、各変速段が、1つの係合装置が係合されることにより形成される構成であっても良く、或いは3つ以上の係合装置が係合されることにより形成される構成であっても良い。
(8)上記の実施形態では、変速用係合装置CL及び分離係合装置SSCが油圧により制御される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、変速用係合装置CL及び分離係合装置SSCの少なくとも一部が、例えば、電磁石の駆動力や、サーボモータの駆動力等により制御される構成としても良い。
(9)上記の実施形態では、制御装置10が複数の制御ユニット11,12,13を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、制御装置10において、複数の制御ユニット11,12,13が任意の組み合わせで統合された構成、又は更に細かく分離された構成としても良い。
(10)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した車両用駆動装置(1)の制御装置(10)の概要について説明する。
車両用駆動装置(1)の制御装置(10)は、
第1駆動力源(ENG,MG1)と、前記第1駆動力源(ENG,MG1)に駆動連結された入力部材(I)と、対象車輪(W1)に駆動連結された出力部材(O)と、駆動力を伝達するギヤ機構(G)及び前記ギヤ機構(G)による駆動力の伝達状態を切り換える変速用係合装置(CL)を有し、前記変速用係合装置(CL)の係合状態に応じて前記入力部材(I)の回転を変速して前記出力部材(O)に伝達する変速機(TM)と、を備えた車両用駆動装置(1)を制御対象とする制御装置(10)であって、
前記変速機(TM)が駆動力を伝達しないニュートラル状態で車両を走行させる第1モードと、前記変速機(TM)が駆動力を伝達する駆動伝達状態で、前記第1駆動力源(ENG,MG1)の駆動力を前記対象車輪(W1)に伝達して前記車両を走行させる第2モードと、を有し、
前記第1モードから前記第2モードに移行するために前記変速用係合装置(CL)の一対の係合部材を係合させる場合に、前記入力部材(I)の回転速度を上昇させて、一対の前記係合部材間の回転速度差が無くなる同期回転速度に近づける同期制御を実行し、更に、
前記同期制御の開始前に、前記入力部材(I)の回転速度を上昇させる方向の駆動力であって、前記ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかった前記ギヤ機構(G)のギヤ噛合い部(Ga)に生じた隙間を無くす大きさの隙間詰め駆動力を、前記第1駆動力源(ENG,MG1)に出力させる噛合い隙間詰め制御を実行する。
この構成によれば、同期制御の開始前に、隙間詰め駆動力が第1駆動力源(ENG,MG1)によって出力されて、ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかったギヤ機構(G)のギヤ噛合い部(Ga)に生じた隙間が無くなった状態となる。そのため、同期制御の開始時に、ギヤ機構(G)における互いに噛み合うギヤ同士が衝突することを回避できる。したがって、変速機(TM)が駆動力を伝達しないニュートラル状態で車両が走行中、変速用係合装置(CL)を係合させるために入力部材(I)の回転速度を上昇させる場合に発生する振動を小さく抑えることができる。
ここで、前記隙間詰め駆動力は、前記変速用係合装置(CL)の一対の前記係合部材が係合されていない状態での、前記第1駆動力源(ENG,MG1)から前記ギヤ噛合い部(Ga)までの動力伝達経路の摩擦トルクよりも大きい値に設定されると好適である。
ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかったギヤ機構(G)を動かすためには、第1駆動力源(ENG,MG1)からそのギヤ機構(G)のギヤ噛合い部(Ga)までの動力伝達経路の摩擦トルクよりも大きいトルクを、第1駆動力源(ENG,MG1)が出力する必要がある。
この構成によれば、ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかったギヤ機構(G)を適切に動かして、当該ギヤ機構(G)のギヤ噛合い部(Ga)に生じた隙間を無くすことができる。
また、前記隙間詰め駆動力は、当該隙間詰め駆動力によって上昇する前記入力部材(I)の前記回転速度が、前記同期回転速度よりも小さくなるように設定されると好適である。
この構成によれば、第1駆動力源(ENG,MG1)が隙間詰め駆動力を出力した場合に、入力部材(I)の回転速度が同期回転速度以上になることはない。したがって、意図せず同期制御が開始されることが回避できると共に、第1駆動力源(ENG,MG1)が無駄に大きい駆動力を出力することを抑制して車両用駆動装置(1)のエネルギ効率を向上させることができる。
また、前記隙間詰め駆動力は、前記同期制御の開始時に前記第1駆動力源(ENG,MG1)に要求される駆動力未満に設定されると好適である。
この構成によれば、第1駆動力源(ENG,MG1)が出力する隙間詰め駆動力が、同期制御の開始時に前記第1駆動力源(ENG,MG1)に要求される駆動力以上となることはない。そのため、意図せず同期制御が開始されることが回避できると共に、第1駆動力源(ENG,MG1)が無駄に大きい駆動力を出力することを抑制して車両用駆動装置(1)のエネルギ効率を向上させることができる。
また、前記噛合い隙間詰め制御の実行中、前記入力部材(I)の前記回転速度が前記同期回転速度未満に設定された制限回転速度を超えないように、前記第1駆動力源(ENG,MG1)を制御する回転速度制限制御を実行すると好適である。
この構成によれば、噛合い隙間詰め制御の実行中、入力部材(I)の回転速度が、同期回転速度より小さい制限回転速度以下となるように、第1駆動力源(ENG,MG1)が制御される。したがって、意図せず同期制御が開始されることが回避できると共に、第1駆動力源(ENG,MG1)が無駄に大きい駆動力を出力することを抑制して車両用駆動装置(1)のエネルギ効率を向上させることができる。
また、前記噛合い隙間詰め制御の実行中、前記入力部材(I)の前記回転速度が零よりも大きくなった場合に、前記噛合い隙間詰め制御を終了し、前記同期制御を開始すると好適である。
噛合い隙間詰め制御の実行によって入力部材(I)の回転速度が零よりも大きくなった場合、ギヤ機構(G)のギヤの回転によりギヤ噛合い部(Ga)に生じた隙間が無くなったと判断することが可能である。
この構成によれば、噛合い隙間詰め制御の実行中、入力部材(I)の回転速度が零よりも大きくなった時点で同期制御を開始するため、噛合い隙間詰め制御の完了を早期に判断でき、当該噛合い隙間詰め制御の実行時間を短縮することができる。したがって、同期制御の開始を早めることができ、車両用駆動装置(1)による対象車輪(W1)への駆動力の伝達を早期に開始することが可能となる。
また、前記第1モードにおいて、少なくともアクセル開度に基づいて、前記第2モードに移行するか否かの判定を行い、
前記第2モードに移行すると判定した場合に、前記噛合い隙間詰め制御を開始すると好適である。
この構成によれば、第2モードに移行しない場合にまで無駄に噛合い隙間詰め制御が実行されることを抑制できる。また、第2モードに移行すると判定した場合に迅速に噛合い隙間詰め制御を開始することができる。したがって、噛合い隙間詰め制御を早期に完了して同期制御の開始を早めることができるため、車両用駆動装置(1)による対象車輪(W1)への駆動力の伝達を早期に開始することが可能となる。
また、前記車両用駆動装置(1)は、前記第1駆動力源(ENG,MG1)と前記対象車輪(W1)とを結ぶ動力伝達経路における、前記変速機(TM)と前記対象車輪(W1)との間に設けられ、又は、前記対象車輪(W1)とは異なる別車輪(W2)に駆動連結された第2駆動力源(MG2)を備え、
前記第1モードでは、前記第2駆動力源(MG2)が前記対象車輪(W1)又は前記別車輪(W2)に駆動力を伝達すると好適である。
このような構成では、第2駆動力源(MG2)を備えない車両用駆動装置(1)に比べて、変速機(TM)がニュートラル状態で車両を走行させる第1モードとなる割合が高くなり易い。そのため、第1モードから第2モードに移行する頻度も高くなり易い。したがって、このような構成においては、特に、上記のような噛合い隙間詰め制御を実行することが有効となる。
本開示に係る技術は、第1駆動力源と、第1駆動力源に駆動連結された入力部材と、対象車輪に駆動連結された出力部材と、駆動力を伝達するギヤ機構及び当該ギヤ機構による駆動力の伝達状態を切り換える変速用係合装置を有し、変速用係合装置の係合状態に応じて入力部材の回転を変速して出力部材に伝達する変速機と、を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置に利用することができる。
1 :車両用駆動装置
10 :制御装置
20 :内燃機関制御装置
ENG :内燃機関(第1駆動力源)
MG1 :第1回転電機(第1駆動力源)
MG2 :第2回転電機(第2駆動力源)
I :入力軸(入力部材)
O :出力軸(出力部材)
TM :変速機
G :ギヤ機構
Ga :ギヤ噛合い部
CL :変速用係合装置
W1 :第1車輪
W2 :第2車輪

Claims (8)

  1. 第1駆動力源と、前記第1駆動力源に駆動連結された入力部材と、対象車輪に駆動連結された出力部材と、駆動力を伝達するギヤ機構及び前記ギヤ機構による駆動力の伝達状態を切り換える変速用係合装置を有し、前記変速用係合装置の係合状態に応じて前記入力部材の回転を変速して前記出力部材に伝達する変速機と、を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置であって、
    前記変速機が駆動力を伝達しないニュートラル状態で車両を走行させる第1モードと、前記変速機が駆動力を伝達する駆動伝達状態で、前記第1駆動力源の駆動力を前記対象車輪に伝達して前記車両を走行させる第2モードと、を有し、
    前記第1モードから前記第2モードに移行するために前記変速用係合装置の一対の係合部材を係合させる場合に、前記入力部材の回転速度を上昇させて、一対の前記係合部材間の回転速度差が無くなる同期回転速度に近づける同期制御を実行し、更に、
    前記同期制御の開始前に、前記入力部材の回転速度を上昇させる方向の駆動力であって、前記ニュートラル状態で駆動力が伝達されていなかった前記ギヤ機構のギヤ噛合い部に生じた隙間を無くす大きさの隙間詰め駆動力を、前記第1駆動力源に出力させる噛合い隙間詰め制御を実行する、車両用駆動装置の制御装置。
  2. 前記隙間詰め駆動力は、前記変速用係合装置の一対の前記係合部材が係合されていない状態での、前記第1駆動力源から前記ギヤ噛合い部までの動力伝達経路の摩擦トルクよりも大きい値に設定される、請求項1に記載の車両用駆動装置の制御装置。
  3. 前記隙間詰め駆動力は、当該隙間詰め駆動力によって上昇する前記入力部材の前記回転速度が、前記同期回転速度よりも小さくなるように設定される、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置の制御装置。
  4. 前記隙間詰め駆動力は、前記同期制御の開始時に前記第1駆動力源に要求される駆動力未満に設定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用駆動装置の制御装置。
  5. 前記噛合い隙間詰め制御の実行中、前記入力部材の前記回転速度が前記同期回転速度未満に設定された制限回転速度を超えないように、前記第1駆動力源を制御する回転速度制限制御を実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用駆動装置の制御装置。
  6. 前記噛合い隙間詰め制御の実行中、前記入力部材の前記回転速度が零よりも大きくなった場合に、前記噛合い隙間詰め制御を終了し、前記同期制御を開始する、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用駆動装置の制御装置。
  7. 前記第1モードにおいて、少なくともアクセル開度に基づいて、前記第2モードに移行するか否かの判定を行い、
    前記第2モードに移行すると判定した場合に、前記噛合い隙間詰め制御を開始する、請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用駆動装置の制御装置。
  8. 前記車両用駆動装置は、前記第1駆動力源と前記対象車輪とを結ぶ動力伝達経路における、前記変速機と前記対象車輪との間に設けられ、又は、前記対象車輪とは異なる別車輪に駆動連結された第2駆動力源を備え、
    前記第1モードでは、前記第2駆動力源が前記対象車輪又は前記別車輪に駆動力を伝達する、請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用駆動装置の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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