JP6057132B2 - 密閉型電池の製造方法 - Google Patents
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Description
このとき、密閉型電池の製造工程においては、予め電池容器内に検知ガス(例えば、ヘリウム等)を導入し、前記検知ガスが電池容器から漏れているかどうかを確認する。
検知ガスを導入するための技術としては、例えば、特許文献1に開示される技術等がある。
このとき、特許文献1に開示される技術では、予め電解液ポットに注液される電解液を注液ノズルより電池缶内に注液する。つまり、特許文献1に開示される技術では、電解液が電解液注液口からこぼれないような姿勢、すなわち、電解液注液口を上向きにした姿勢の電池缶に対して、ヘリウムの導入および電解液の注液を同時に行う。
つまり、この場合、密閉型電池の製造工程では、電解液注液口を仮封止してから初期充電し、その後、電解液注液口の仮封止を解除して初期充電時に発生するガスを抜く。そして、密閉型電池の製造工程では、電池缶内にヘリウムを導入し、電解液注液口を本封止する。
従って、特許文献1に開示される技術では、ヘリウムを導入してから注液孔を封止するまでに多くのヘリウムが漏出してしまい、ヘリウムを高濃度に封入できない可能性がある。
初期充電時に発生するガスの量がばらついた場合には、ヘリウムの電池缶への浸入度合い、つまり、ヘリウム漏出量等がばらついてしまい、その結果、密閉性を検査するときの電池缶内のヘリウム濃度がばらついてしまう。
つまり、特許文献1に開示される技術では、ガス抜きを行ってヘリウムを導入した場合に、電池缶の密閉性の検査における過判定率が悪化してしまう可能性があった。
注液孔33の下側の内側面には、後述する仮封止部材120(図2参照)と螺合するための雌ネジ部が形成される。
集電端子51・51は、発電要素20の正極板、負極板と接続されている。集電端子51・51の材料としては、例えば正極側にアルミニウム、負極側に銅を採用することができる。
締結固定する際、外部端子50・50には締結トルクがかかるとともに、ねじ締結によって軸方向へ外力が付与される。このため、外部端子50・50の材料としては、鉄等の高強度材料を採用することが好ましい。
次に、製造方法では、集電体の表面上の合剤に対してプレス加工を施すことで、集電体の表面に合剤層(正極合剤層および負極合剤層)を形成する。
このとき、製造方法は、例えば、外装30をチャンバー110内に収納するとともに、所定の注液ユニットを外装30にセットして、チャンバー110内を真空引きする。その後、製造方法では、チャンバー110内に大気を導入してチャンバー110内を大気圧に戻す。製造方法は、このときの差圧を利用して、電解液Eを外装30に注液する。
仮封止部材120は、上側が下側の小径部よりも大径の大径部に形成される段付きの軸状部材である。仮封止部材120の小径部の外周面には、雄ネジ部が形成される。
本実施形態の製造方法では、仮封止部材120の小径部を注液孔33に螺合することで、注液孔33を仮封止する。
このとき、製造方法では、外装30を拘束治具によって拘束し、外装30の厚み方向(図2における紙面奥側に向かう方向)に沿って、外装30に対して所定の大きさの荷重を付与する。そして、製造方法では、電源装置130の電極を外部端子50・50に接続し、電池10を初期充電する。
以下では、このようなガスGを、「初期充電時に発生するガスG」と表記する。
これにより、製造方法では、注液孔33の仮封止を解除して外装30の内圧を下げる(図3に白塗りで示す矢印および二点鎖線で示す外装30参照)。
本実施形態の製造方法では、電解液Eを注液したときとは反対の姿勢、すなわち、注液孔33が下向きとなる姿勢の外装30内にヘリウムHeを導入する。ヘリウムHeを導入する工程の具体的な手順については後で詳述する。
このとき、製造方法では、外装30の姿勢を元に戻し、つまり、注液孔33を上向きにして、キャップ40を注液孔33の前記段差部に載置する。
そして、製造方法では、レーザー溶接機によってキャップ40の外縁部に沿ってレーザーを照射し、注液孔33を封止する(図3に示す黒塗りの三角形参照)。
これにより、製造方法では、外装30内にヘリウムHeを封入する。
このとき、製造方法では、チャンバー150内に外装30を収納し、チャンバー150内を真空引きする。その後、製造方法では、単位時間当たりに外装30内から漏れるヘリウムHeの量を、市販のヘリウムリーク検査器を用いて確認する。
具体的には、製造方法では、ヘリウムリーク検査器の出力値が検査閾値よりも小さくなった場合に外装30に漏れがないと判断し、ヘリウムリーク検査器の出力値が検査閾値以上となった場合に外装30に漏れがあると判断する。
製造方法は、このようにして密閉型の電池10を製造する。
つまり、この場合には、初期充電時に発生するガスGによってヘリウムHeの外装30への浸入が抑制されてしまう。
このとき、製造方法では、例えば、把持装置によって外装30の左右両側面を挟持して所定の高さ位置まで持ち上げた外装30を回転させる。
従って、外装30を上下反転させるとき、収納部31の下面31aには、電極体に浸透しきれなかった電解液Eが僅かに残っている程度である。
このため、本実施形態の製造方法では、ヘリウムHeを導入するときに外装30を上下反転させても、注液孔33から電解液Eがこぼれない。
封入ノズル140は、鉛直下向きにした注液孔33の下方、すなわち、上下反転させた外装30よりも低い位置に配置され、配管およびポンプ等を介して所定のヘリウム供給源と接続される。これにより、封入ノズル140は、ヘリウムHeを外装30の下側から噴射可能に構成される。
そして、製造方法では、噴射口が発電要素20および注液孔33の間に位置したときに封入ノズル140の上昇動作を停止し、封入ノズル140の噴射口より斜め上方向に向けて一定時間ヘリウムHeの噴射を行う(図7に示す矢印参照)。
これにより、製造方法は、外装30内に所定量のヘリウムHeを導入する。
このため、製造方法は、比重の重いガスによってヘリウムHeの浸入が抑制されることを防止できる。
従って、製造方法は、封入ノズル140より噴射したヘリウムHeを外装30に確実に浸入させることができる。
前述のように、本実施形態の製造方法では、注液孔33が下を向いた姿勢の外装30にヘリウムHeを導入する。言い換えれば、製造方法では、収納部31の下面31aが電池10の上側に位置した状態の外装30にヘリウムHeを導入する。
これによれば、製造方法は、ヘリウムHeよりも比重が重い空気および初期充電時に発生するガスGを、ヘリウム導入時に蓋部32に向けて押し出すことができる。
従って、製造方法は、外装30内の空気および初期充電時に発生するガスGを、ヘリウムHeによって注液孔33から排出できる。
従って、製造方法は、ヘリウムHeの浸入性を向上できるため、噴射したヘリウムHeが浮上して注液孔33から外装30の外部に漏出してしまうことを防止できる。
従って、製造方法は、ヘリウムHeを導入してから注液孔33を封止するまでの間に、外装30からヘリウムHeが漏出する量を低減できる。
従って、製造方法は、高いヘリウム濃度の外装30に対して、密閉性の検査を行うことができる。つまり、製造方法は、検査の感度を良好なものとすることができる。
従って、製造方法は、ヘリウムHeの使用量を低減できるため、電池10の製造に要するコストを低減できる。
つまり、初期充電時に発生するガスGの量は、電解液Eの注液量および電極体内の水分量等のばらつきによって大きくばらついてしまう。
また、この場合には、初期充電時に発生するガスGの量が少なければ、前記ガスGの量が多い場合と比較して、外装30にヘリウムHeが浸入しやすくなる。
つまり、製造方法は、外装30を上下反転させることで、初期充電時に発生するガスGの量に関わらず、常に(いずれの外装30に対しても)ヘリウムHeが浸入しやすい状態にした上で、ヘリウムHeを導入できる。
従って、製造方法は、外装30内のヘリウム濃度のばらつきを低減できる。
従って、製造方法は、外装30内のヘリウム濃度のばらつきを低減できることで、同じ大きさの孔から単位時間当たりに漏れるヘリウムHeの量、すなわち、ヘリウムリーク検査器の出力値を安定させることができる。このため、製造方法は、本来検査結果がOKとなる外装30に対して、NG判定してしまうことを抑制できる。
この場合、製造方法は、外装30を上下反転させるときよりも少ない(若しくは多い)量だけ外装30を回転させ、注液孔33の向きに沿って斜め下から注液孔33に挿入可能な封入ノズル240を用いて、ヘリウムHeを導入する。
測定では、ヘリウム導入後に外装30に孔を空けるとともに、当該孔にヘリウム濃度測定器のヘッドを速やかに押し付けて、本実施形態の外装30内のヘリウム濃度を測定した。
測定では、このようなヘリウム濃度の測定を複数個の外装30に対して行った。
測定では、比較例の外装30に孔を空け、本実施形態のヘリウム濃度の測定と同じ手順で比較例の外装30内のヘリウム濃度を測定した。
測定では、このようなヘリウム濃度の測定を複数個の外装30に対して行った。
つまり、測定では、初期充電時に発生するガスGの量が大きく異なる複数の外装30に、同じ量のヘリウムHeを導入した。
測定では、本実施形態および比較例のヘリウム濃度の測定結果の最大値と最小値との単純平均を、本実施形態および比較例のヘリウム濃度の平均値として算出した。
測定では、本実施形態および比較例のヘリウム濃度の測定結果およびヘリウム噴射量等に基づいて、本実施形態および比較例のヘリウム利用率を算出した。
従って、図8(b)に示すように、本実施形態のヘリウム利用率は、比較例のヘリウム利用率と比較して大きく向上した。
また、製造方法は、検知ガスとしてヘリウムを採用することで、注液孔より離れた位置まで確実にヘリウムを浮上させることができるだけでなく、電池性能に影響を与えることを防止できるとともに、微細な孔からの漏れを検出可能となる。
30 外装(電池容器)
33 注液孔(開口部)
E 電解液
He ヘリウム(検知ガス)
Claims (2)
- 外部に開口する開口部より電池容器内に電解液を注液する注液工程と、前記電解液が注液された製造途中の密閉型電池に対して初期充電を行う初期充電工程と、を行う密閉型電池の製造方法であって、
前記初期充電工程を行った前記密閉型電池の前記電池容器を、前記開口部が下向きとなる姿勢にして、前記下向きの開口部よりヘリウムを導入する導入工程、
を行う、
密閉型電池の製造方法。 - 前記導入工程では、
前記電池容器を前記開口部が鉛直下向きとなる姿勢にして、前記鉛直下向きの開口部より前記ヘリウムを導入する、
請求項1に記載の密閉型電池の製造方法。
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