JP6049832B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
したがって、上記のように、衝撃荷重が加わった際にシートバックフレーム(シート)が撓み変形して後傾する車両用シートにおいて、撓み量を規制し、シートバックフレーム(シート)の変形量(後傾する角度)を制御することが可能な技術が求められていた。
また、本発明の他の目的は、衝突時、特に後面衝突時の衝撃エネルギーが加わった際、シートが撓み変形することにより衝撃エネルギーを吸収する車両用シートにおいて、シートの変形量(後傾する角度)を規制することにより、乗員の着座姿勢に与える影響が軽減される車両用シートを提供することにある。
また、左右方向とは、車両前方を向いた状態での左右方向を意味し、後述するシートバックフレーム1の幅方向(シート幅方向)と一致する方向である。また、前後方向とは、乗員が着座した状態での前後方向を意味するものである。
図1乃至図7を参照して、本実施形態に係る車両用シートSについて説明する。
車両用シートSは、図1で示すように、シートバックS1(背部)、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されており、シートバックS1(背部)及び着座部S2は本発明の「フレーム」としてのシートフレームFにクッションパッド1a,2aを載置して、表皮材1b,2bで被覆されている。なお、ヘッドレストS3は、頭部の芯材(不図示)にパッド材3aを配して、表皮材3bで被覆して形成される。また符号19は、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラーである。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部(不図示)で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
そして、本実施形態のサイドフレーム本体部15には、後述の移動部材30が係止されている。なお、移動部材30の構成、作用は後述する。
シートバックフレーム1の下部フレームは、フレーム基礎部17及び下部フレーム架設部18によって構成されている。
フレーム基礎部17は、上下方向(前後方向)に延びる側方板17aと、側方板17aから左右方向の内側に向かって延出する中間板17bとを備えている。そして、図6に示すように、側方板17aと中間板17bとは、互いに連結部17xにおいて連結されている。
フレーム基礎部17の側方板17aは、サイドフレーム本体部15の側板15aの下方を延長するように形成されており、着座フレーム2との関係で、支障のない範囲で延長されている。そして、フレーム基礎部17は、サイドフレーム本体部15の側板15aの下方において、一部が重なるようにして連結されている。
また、フレーム基礎部17の中間板17bは、サイドフレーム本体部15の後縁部15cの下方において、一部が重なるようにして連結されている。すなわち、側方板17aが「フレーム側部」に相当し、中間板17bが「フレーム架設部」に相当する。
さらに、サイドフレーム本体部15とフレーム基礎部17とは、上記のようにボルト等の締結手段によって接合されるだけでなく、溶接等の手段によって固着接合された構成としてもよい。
シートバックフレーム1内(両側のサイドフレーム本体部15の間)でシートバックフレーム1の内側領域には、クッションパッド1aを後方から支える受圧部材としての受圧部材20が配設されている。
衝撃低減部材としての移動部材30は、後面衝突等により所定以上の衝撃荷重が受圧部材20に加わったときに、連結部材(ワイヤ22)を介して伝わる衝撃荷重により乗物後方に移動すると共に受圧部材20を後方へ移動させ、乗員を後方へ移動するものである。なお、「移動」とは、水平移動、回動等の動きを指す。本実施形態では、軸部32を回動軸として回動する移動部材30について説明する。この移動部材30の乗物後方への移動により受圧部材20を乗物後方へ大きく移動させることができ、その結果、乗員を後方へ移動させるため、乗員にかかる荷重を効率的に低減することができる。
そして、本実施形態の移動部材30は、回動可能な軸部32によって、サイドフレーム本体部15の内側、より詳細には側板15aの一部がシート内側に膨出して形成された凸部15eに軸支されている。
本実施形態では、移動部材30が、両側のサイドフレーム本体部15に取り付けられており、これら両側に取り付けられた移動部材30は、互いに独立して移動(回動)するように構成されている。このため、荷重が左右方向に偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイドフレーム本体部15に取り付けられた移動部材30が、各々独立して移動(回動)することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を後方へ沈み込ませることができる。
以下、受圧部材20と移動部材30の構成及び作用を説明する。
乗員が着座した通常の着座時において、シートバックS1内のクッションパッド1a、受圧部材20、ワイヤ22を介して、移動部材30を後方移動(回動)させる張力が生じる。一方、引張りコイルばね35は、移動部材30をシートバックフレーム1の前方側へ移動(回動)させるように付勢している。ここで、移動部材30に連結されている引張りコイルばね35は、通常の着座時において生じる荷重領域では撓まない荷重特性を有しているため、移動部材30は常に初期位置に制止されている。つまり、移動部材30を移動(回動)させる力に抗して初期状態に復帰させる力が、通常の着座時に最も大きくなるように構成されている。
移動部材30の移動阻止部39は移動部材30を外周方向に延出させて一体に形成されており、その当接面が移動(回動)後においてサイドフレーム本体部15(より詳細には、後縁部15c)と当接するので、後面衝突等により所定以上の衝撃荷重が受圧部材20に加わったときであっても、移動部材30の移動(回動)を安定して停止させることができる。
この移動阻止部39は、付勢手段(引張りコイルばね35)や連結部材(ワイヤ22)と干渉しない位置に形成される。
ここで、移動部材30が移動(回動)を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置はシートバックS1に対して相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と乗員の頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減することができる。
さらに、上記のように、移動部材30に係止されたワイヤ22によって、サイドフレーム本体部15へ衝撃エネルギーを効率よく伝達することが可能となる。
本発明の車両用シートSは、衝撃荷重が加わったときに変形する脆弱部(以下で説明する孔部15f、側方脆弱部15g、内方脆弱部15h)と、脆弱部の一部を挟み込む位置に配設されて脆弱部の変形量を規制する規制部40(以下で説明する第1の規制部41、第2の規制部42)と、を備えている。以下では、特にサイドフレーム本体部15において脆弱部及び規制部が形成された構成を説明する。なお、本明細書中において、「脆弱部」とは、後面衝突時等の所定以上の大きさの衝撃荷重が加わった際に変形する脆弱性を備えた部分を示すものであり、穴部、凹部等により形成されたものである。
側方脆弱部15gは、孔部15fを起点とし、側板15aの前後方向の中央付近(より詳細には、中央よりも後方側)まで延設されている。
そして側方脆弱部15gは、所定以上の衝撃荷重に対して可撓性を備えている。
内方脆弱部15hは、孔部15fを起点とし、後縁部15cの左右方向内側の端部まで延設されている。
そして内方脆弱部15hは、所定以上の衝撃荷重に対して可撓性を備えている。
そして少なくとも、孔部15f及び側方脆弱部15gは、図3に示すように、左右側方に位置する「フレーム側部」に相当する側板15a及び側方板17aと、側板15a及び側方板17aよりも左右方向内側に配設されるフレーム延出部Cと、を有する構成において、後方から見たとき、「フレーム」としてのサイドフレーム本体部15及びフレーム基礎部17のうち、側方板17aと、側板15aとフレーム延出部Cとを連結する連結部と重ならない位置に形成されている。より詳細には、孔部15f及び側方脆弱部15gは、フレーム基礎部17のうち、側方板17aと、側板15aとフレーム延出部Cとの境界部Xと重ならない位置に形成されている。
より詳細には、図4のように、シートフレームFを左右方向において側方から見たときに、側板15a上であって、且つフレーム基礎部17の中間板17bと重ならない位置に脆弱部(孔部15f及び側方脆弱部15g)が形成されている。すなわち、脆弱部(孔部15f及び側方脆弱部15g)は、フレーム基礎部17の上端(図4において点線で示した部分)よりも上方に形成されている。
そしてより詳細には、サイドエアバッグユニット50において備えられる取着部52は、サイドフレーム本体部15を左右方向において側方から見た際に脆弱部と重ならない位置に配設される。すなわち、脆弱部は、サイドエアバッグユニット50の取着部52よりも下方に形成されている。なお、図4では、取着部52は二か所に配設された構成を図示したが、この数に限定されるものではなく、脆弱部は、複数設けられた取着部52のうち、最も下方に配設された取着部52よりも下方に形成されていると好ましい。
また、サイドフレーム本体部15の側板15aに形成される脆弱部は、側板15aの後端部に形成される第1の脆弱部としての孔部15fと、側板15aに形成されて孔部15fから延設される第2の脆弱部としての側方脆弱部15gとを有しているが、サイドエアバッグユニット50の取着部52は、側方脆弱部15gよりも上方、且つ前方に配設されている。
サイドフレーム本体部15は、上記構成の脆弱部(より詳細には、内方脆弱部15h)の一部を挟み込む位置に配設され、脆弱部が変形した際に当接し合うことにより脆弱部の変形量を規制する規制部40を備えている。
すなわち、第1の規制部41及び第2の規制部42のうち少なくとも一方に備えられた規制面41a(または規制面42a)は、平面状に形成されている。
また、規制部40は、内方脆弱部15hの近傍のみに備えられた例を示したが、他の脆弱部(孔部15f、側方脆弱部15g)の近傍に備えられていても良い。このとき、孔部15f、内方脆弱部15h、側方脆弱部15gのうち、少なくとも一つが規制部40に挟まれる位置に配設されていればよい。
後面衝突時の衝撃荷重が加わった際にサイドフレーム本体部15が変形する様子について、図6、図7を参照して、以下説明する。
図6は、後面衝突時の衝撃荷重がサイドフレーム本体部15にかかる前、図7は、後面衝突時の衝撃荷重がサイドフレーム本体部15にかかった後の様子を図示している。このとき、シートバックフレーム1に対して、主として後傾する方向の荷重が加わるが、サイドフレーム本体部15に大きな荷重が加わる。
以下、図8を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。
規制部40がサイドフレーム本体部15に設けられた上記実施形態とは異なり、図8に示すように、サイドフレーム本体部115に対し、規制部140を備えた別フレーム(架設フレーム70)を備えた構成としてもよい。
さらに、側板115aの後端部(より詳細には、側板115aと後縁部115cの連結部115x)には、孔部115fが形成されている。なお、孔部115f、側方脆弱部115g、内方脆弱部115hの構成及び作用は、上記実施形態の孔部15f、側方脆弱部15g、内方脆弱部15hと同様であるため、その説明を省略する。
以下、図9を参照して、本発明のさらに他の実施形態について説明する。
上記実施形態では、サイドフレーム本体部15,115において脆弱部及び規制部が形成された構成を説明したが、図9に示すように、脆弱部(孔部215f、側方脆弱部215g、内方脆弱部215h)及び規制部240が着座フレーム2を構成する着座側サイドフレーム160に形成されていてもよい。
そして、側板160aの後端部において孔部215fが形成されており、さらに、側板160aには、孔部215fから延設される側方脆弱部215gが形成されている。また、後縁部160bには、孔部215fから延設される内方脆弱部215hが形成されている。
なお、孔部215f、側方脆弱部215g、内方脆弱部215hの構成及び作用は、上記実施形態の孔部15f、側方脆弱部15g、内方脆弱部15hと同様であるため、その説明を省略する。
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム(フレーム)
X 境界部
C フレーム延出部
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
1a,2a,3a クッションパッド(パッド材)
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
11a リクライニングシャフト
15,115 サイドフレーム本体部
15a,115a 側板(フレーム側部)
15b 前縁部
15c,115c 後縁部(内側延出部)
15c1 後縁部外側
15c2 後縁部内側(フレーム延出部)
15d 突起部
15e 凸部
15f,115f,215f 孔部(第1の脆弱部、脆弱部)
15g,115g,215g 側方脆弱部(第2の脆弱部、脆弱部)
15h,115h,215h 内方脆弱部(第3の脆弱部、脆弱部)
15x,115x 連結部
16 上部フレーム
16a 側方部(フレーム側部)
16b 上方部(フレーム架設部)
17 フレーム基礎部
17a 側方板(フレーム側部)
17b 中間板(フレーム架設部)
17b1 中間板外側
17b2 中間板内側(フレーム延出部)
17c シャフト挿通孔
17d,17j 取付け孔
17i ハーネス取付部
17x 連結部
18 下部フレーム架設部(フレーム延出部、フレーム架設部)
19 ヘッドレストピラー
19a ピラー支持部
20 受圧部材
21 ワイヤ(連結部材)
21a 軸支部
22 ワイヤ(連結部材)
30 移動部材(衝撃低減部材)
32 軸部
35 引張りコイルばね(付勢手段)
39 移動阻止部
40,140,240 規制部
41,141,241 第1の規制部
41a 規制面(対向部)
42,142,242 第2の規制部
42a 規制面(対向部)
50 サイドエアバッグユニット
51 本体部
52 取着部
53 締結手段
60,160 着座側サイドフレーム(フレーム側部)
160a 側板(フレーム側部)
160b 後縁部(内側延出部)
70 架設フレーム(フレーム架設部)
71 上方架設フレーム
72 下方架設フレーム
Claims (9)
- シートバックフレームと、該シートバックフレームと連結されている着座フレームと、を備える車両用シートであって、
前記着座フレームは、左右側方に位置するフレーム側部を有し、
前記シートバックフレームは、前記着座フレームに対して回動可能であり、
前記着座フレームの前記フレーム側部には、衝撃荷重が加わった際に変形する脆弱部が形成されており、
該脆弱部は、前記着座フレームにおいて前記シートバックフレームとの連結箇所よりも下方に位置し、
前記脆弱部の少なくとも一部は、前記シートバックフレームが前記着座フレームに対して回動する際の回動中心よりも後方に位置し、
左右方向における前記フレーム側部の端面に形成された前記脆弱部である側方脆弱部は、前後方向に延びており、前記側方脆弱部の上端から下端までの長さが前記側方脆弱部の後端から前端付近までの範囲において略一定となるように形成されていることを特徴とする車両用シート。 - 前記脆弱部の少なくとも一部は、前記フレーム側部の後端部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
- 前記シートバックフレームは、左右側方に位置する側板には、サイドエアバッグユニットが取着されており、
前記脆弱部は、左右方向において前記サイドエアバッグユニットと同じ側に位置し、前記サイドエアバッグユニットの下端よりも下方位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。 - 前記脆弱部は、前記フレーム側部に設けられた凹部によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
- 前記脆弱部の一部を挟み込む位置に配置され、前記脆弱部が変形した際に当接し合うことにより前記脆弱部の変形量を規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
- 前記脆弱部は、前記フレーム側部の後端部、及び、左右方向における前記フレーム側部の端面の双方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
- 前記フレーム側部の後端部に形成された前記脆弱部と、前記フレーム側部の端面に形成された前記側方脆弱部と、が互いに連続していることを特徴とする請求項6に記載の車両用シート。
- 前記脆弱部は、前記シートバックフレームの最下端部よりも下方位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
- 前記着座フレームの下方に配置されたレール部材と、
前記着座フレームと前記レール部材との間に配置され、前記着座フレーム及び前記レール部材のそれぞれに接続されている接続部材と、を有し、
前記脆弱部は、前記着座フレームにおいて前記接続部材が接続されている箇所よりも上方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
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