JP6037380B2 - 固溶体単結晶製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、均一な組成及び単結晶性を有する固溶体を再現性良く且つ量産性良く製造する方法に関する。
従来、均一な組成及び単結晶性を有する固溶体(以下単に「固溶体単結晶」という。)を製造する有力な方法の一つとして、「飽和溶融帯移動法」と称される方法が提案されている。この「飽和溶融帯移動法」とは、融点の低い成分を融点の高い種結晶と原料で挟み、10℃/cm程度の比較的低い温度勾配下で加熱し、種結晶と原料の間に溶融帯を形成し、温度勾配を利用して該溶融帯を順次原料側へ移動させて、種結晶の方位を引き継いだ単結晶を製造する方法である。
この方法は、特開2003−238287号公報に開示されている(特許文献1)。温度勾配が低く、且つ溶融帯の幅が小さい時は溶融帯全域にわたり溶質濃度がほぼ飽和となり、成長結晶の組成制御が容易となって均一組成の結晶を成長させることができる点に特長がある。
特開2003−238287号公報
しかしながら、上記従来の方法では、結晶成長とともに溶融帯内の溶質が消費されるので、成長可能な長さに限度があり量産性に問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、均一組成の固溶体(混晶)単結晶を再現性よく量産することに適した固溶体単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するべく、本発明は、種結晶と、種結晶の外周側に配された、種結晶よりも融点が低い融液形成材と、融液形成材の外周側に配された、融液形成材よりも融点が高い固体原料と、を備える複合材を、複合材の外周部が内側よりも高温となるよう加熱し、融液形成材を溶融させて溶融帯を形成し、溶融帯の種結晶側領域に結晶を成長させつつ溶融帯を複合材の外周側に移動させることにより、複合材の外周側に向かって結晶を成長させることを特徴とする、固溶体単結晶製造方法を提供する。
本発明の方法は、結晶を軸方向に成長させる従来の方法とは異なり、複合材試料の外周側に向かって温度が高くなるよう、試料内部の温度分布を電気炉等で調整することにより、外周側に向かって結晶を成長させる。後述の各実施例が示すとおり、本発明の方法によれば中心付近から外周部に亘り均一な組成を有する固溶体単結晶を製造することが可能であるし、更に、本発明の方法は、後述のとおり複合材試料の軸方向(外周側に向かう方向に垂直な方向とする。)に同一構成の複合材を積み重ねたり、複合材の軸方向長さを長くしたりする等して、軸方向の任意の長さに亘り均一な組成を有するよう、固溶体単結晶を量産するために適している。
なお、複合材の外周部と内側の温度差は任意に選択可能である。結晶の成長速度を高めるためには大きな温度差を与える(温度勾配を大きくする)ことが好ましい一方、得られる固溶体単結晶の組成の変動を小さくするためには小さな温度差を与える(温度勾配を小さくする)ことが好ましいのであり、要求される生産性、及び品質の程度に応じて適宜温度差、及び温度分布を選択可能である。一例として、後述の実施例にて示されるとおりの態様で固溶体単結晶を製造する場合には、生産性の点から中心部と外周部との間に2℃以上の温度差を与えることが好ましい。
また上述のとおり、種結晶と固体原料の融点は融液形成材の融点よりも高くなければならないが、本発明の固溶体単結晶製造方法を実施する間に種結晶と固体原料が一切融解してはならない、というわけではない。例えば複合材試料の加熱により種結晶のほとんどが融解し、小さな結晶核しか残らない場合であっても、一様な固溶体単結晶を得ることは可能である(実施例3)。一例として、種結晶に融液形成材よりも融点の高い物質を用い、且つ固体原料に種結晶成分を一定割合(例えば10%以上)含ませることにより、固体原料と融液形成材との融点に差をつける(例えば5℃以上)ことが可能である。
本発明の固溶体単結晶製造方法においては、複合材を円板状又は多角形板状に形成し、複合材の円状面又は多角形状面の径方向に向かって結晶を成長させることが可能である。このとき更に、円板状又は多角形板状に形成された複合材を、スペーサを介して複数積み重ね、積み重ねられた複数の複合材を、各々の複合材の外周部が内側よりも高温となるよう同時に加熱して、各々の複合材の外周側に向かって同時に結晶を成長させることが可能である。このような方法で本発明の固溶体単結晶製造方法を実施すれば、軸方向に任意の数だけ複合材を積み重ね、一度に大量の固溶体単結晶を製造することが可能となる。
また、本発明の固溶体単結晶製造方法においては、複合材を円柱状又は多角柱状に形成し、複合材の円状面又は多角形状面の径方向に向かって結晶を成長させることが可能である。このような複合材の軸方向長さは任意に選択可能であり、従来のように軸方向長さの制限を受けない、任意のサイズの固溶体単結晶を製造することが可能である。
なお、便宜上、本明細書において「円板」、「多角形板」とは、その軸方向長さが「円状面又は多角形状面の最大径の0.5倍」よりも小さいものであるとし、「円柱」、「多角柱」とは、その軸方向長さが「円状面又は多角形状面の最大径の0.5倍」以上のものに限られるとして区別するが、例えば円柱状、多角柱状の複合材を軸方向に積み重ねて同時に加熱することや、円板状、多角形板状の複合材の軸方向長さを任意に選択して、任意のサイズの固溶体単結晶を製造することも可能である。また、後述の各実施例においては複合材が円板状又は円柱状である場合を例にとって説明するが、任意の多角形板状、多角柱状の複合材を用いても本発明の方法を同様の原理で実施できることは明らかであるし、複合材の形状は、例示されたこれらのものに限らず任意に選択可能である。
本発明によれば外周側に向かって上昇する温度勾配を利用して単結晶成長させるために軸方向には長さの制約がなく、炉心管の長さを長くして結晶成長可能な領域を長くすれば長尺結晶成長が可能となり、高い品質を保ったまま飛躍的に量産性を向上させることができる。
本発明の実施例1に係る固溶体単結晶の製造方法に用いられる円板状試料の断面図(a)及び平面図(b)。 本発明の実施例1に係る固溶体単結晶の製造方法に用いられる結晶成長ユニットの断面図。 結晶成長ユニット4つをルツボ内に配置し、さらに石英容器内に真空封入した状態の断面図。 InAs-GaAs擬似二元系状態図。 石英容器が設置されている管状電気炉の炉心管内軸方向温度分布を示すグラフ。 石英容器が設置されている管状電気炉の炉心管内径方向温度分布を示すグラフ。 本発明の実施例1に係る固溶体単結晶の製造方法において、時間経過に伴う結晶成長の様子を模式的に示した断面図及び上方から見た平面図。融液形成材の砒化インジウムが熔けて種結晶及び原料方向に広がった状態を示す。 本発明の実施例1に係る固溶体単結晶の製造方法において、時間経過に伴う結晶成長の様子を模式的に示した断面図及び上方から見た平面図。中心部の種結晶から結晶が成長し始めた様子を示す。 本発明の実施例1に係る固溶体単結晶の製造方法において、時間経過に伴う結晶成長の様子を模式的に示した断面図及び上方から見た平面図。結晶が中心から約8mmの所まで進んだ状態を示す。 本発明の実施例1に係る固溶体単結晶の製造方法において、時間経過に伴う結晶成長の様子を模式的に示した断面図及び上方から見た平面図。結晶成長が原料の外周まで進み直径50mmの結晶が成長した状態を示す。 本発明の実施例1において製造された結晶の径方向InAs濃度分布を示すグラフ。 本発明の実施例2における結晶成長終了段階の試料状態を示す模式図。 本発明の実施例2において製造された結晶の径方向Ge濃度分布を示すグラフ。 本発明の実施例3における試料の正面図及び平面図。 本発明の実施例3において製造された結晶の径方向SnTe濃度分布を示すグラフ。 本発明の実施例3において製造された結晶の軸方向SnTe濃度分布を示すグラフ。
以下、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。
本実施例に係る固溶体単結晶の製造方法において、まず、円板状結晶成長ユニットを積み重ねる方法に関して、砒化ガリウムGaAsと砒化インジウムInAsの固溶体を製造する場合を例にとって説明する。
直径10mm、厚さ2mmの{100}面を有する円板状砒化ガリウム(単結晶)を種結晶1とし、その外側に外径20mm、内径10.5mm、厚さ2mmのドーナツ板状砒化インジウム(多結晶)を融液形成材2として配し、さらにその外側に外径50mm、内径21mm、厚さ2mmのドーナツ板状砒化ガリウム(単結晶)を原料3として配置する。
図1にこの様子を示す。図1(a)は中心軸を含む断面図、(b)は上から眺めた平面図である。このように種結晶1、融液形成材2、原料3が配置できたら次にその上に窒化ホウ素(BN)製のスペーサ4(外径55mm、厚さ2mm)をかぶせる。以下、この状態の試料を結晶成長ユニット5と呼ぶことにする。図2に結晶成長ユニットの断面図を示す。図3は結晶成長ユニット5を4つまとめて窒化ホウ素(BN)製ルツボ6(内径56mm、外径60mm、深さ40mm)内に配置した後、窒化ホウ素(BN)製プラグ7で押圧し、さらに石英容器8内に挿入し、次いで真空封止用端子9側から真空引きし、約1×10-5 Paの真空度に達したところで真空封止用端子9と石英容器8を溶着させることにより試料を真空封入した状態の断面図である。図3では、一度に4枚の結晶基板を製造する場合を示したが、結晶成長ユニットをさらに多段に積み重ねて石英容器8に挿入し結晶成長を行わせればもっと多くの枚数の基板結晶が製造できることは言うまでもない。
以下ではまず一つの結晶成長ユニットに着目して結晶成長の態様について詳述する。目的の固溶体単結晶として、In0.14Ga0.86Asの組成を有する単結晶を製造する場合について説明する。
石英容器8を温度勾配のついた管状電気炉(不図示)に挿入し、結晶成長ユニット部分が約1090℃となるよう、外側から管状電気炉のヒータによって加熱する(炉心管内では、ヒータに近い外周部の方が、中心軸位置よりも5℃程度高温になる。図6参照。)。この1090℃という温度は、図4の相図中、固相線においてInAs組成、xが0.14に等しいときの温度値である。x=0.14とは異なる組成の固溶体単結晶を製造する場合には、結晶成長ユニット部分の温度が固相線上で所望のxに対応する温度に近づくよう、電気炉を調整すればよい。
なお、上述のとおり、炉心管の中心軸位置に比べて外周部の温度は5℃程度高くなっており、結晶成長ユニットにおいても中心軸位置に比べて外周部の温度は2℃以上高くなっているが、1090℃付近におけるこの程度の温度差によって、固相線上でのInAs組成、xは大きく変化していない。この場合、後に測定データを用いて示されるとおり、製造される固溶体単結晶の組成が径方向に大きく変動することもない。
管状電気炉の炉心管の直径は100mmであった。この時の炉心管内の軸方向温度分布を図5に示す。長さ方向(軸方向)に温度勾配が形成されているが、当該長さ方向60cm位置付近に、軸方向均熱温度領域が約100mmの長さにわたって存在する。
結晶成長ユニットはこの軸方向均熱温度領域に置かれている。軸方向には均熱であるが、炉心管中央部と炉心管周囲部との間に径方向温度勾配が形成されていた。これは、炉心管外周部がヒータに近いことに依る。
図6に測定された径方向温度分布を示す。炉心管の中心軸位置が1090℃、周辺部が約1095℃であり、中心部と周辺部との間に約1℃/cmの温度勾配が形成されていた。
図7は図6で示した径方向温度勾配の下で結晶成長ユニットを加熱した場合の時間経過に伴う結晶成長の様子を示した断面図及び上方から見た平面図である。図では種結晶の砒化ガリウムと融液形成材である砒化インジウム及び原料の砒化ガリウムのみを取り出して図示してある。加熱前の状態で砒化ガリウムと砒化インジウムはどちらも固体である。電気炉を加熱して結晶成長ユニットの温度が943℃以上になると、砒化インジウム(融点943℃)が融けた状態になり、一方砒化ガリウムは融点が1238℃であるのでまだ固体のままであり、砒化インジウムの溶融帯11が形成される。
1090℃まで加熱しても砒化ガリウムは固体のままであり溶融帯が維持されるが、砒化インジウムと接する境界では砒化ガリウムは砒化インジウム中に溶け込むので、溶融帯11の幅は温度上昇とともにやや広くなっている。1090℃の温度を保持し続けると砒化ガリウムは飽和濃度まで砒化インジウム中に溶け込むが、砒化ガリウムの種結晶10及び原料12は熔け残っている。
図7(a)にこの状態を示す。この時重要なのは、設定温度である。融液の組成は温度に依存するためである。本実施例のように中心部が1090℃に設定されている場合、図4の液相線が示すとおり飽和融液の組成はIn0.67Ga0.33Asとなり、この組成と平衡な固相組成であるIn0.14Ga0.86Asが、中心部で熔け残った砒化ガリウムを種結晶10にして結晶13として析出する(砒化ガリウムGaAsとIn0.14Ga0.86Asとの格子定数の違いは1%以内であり、格子不整合の問題は無視できる。)。
この結晶成長の初期段階を図7(b)に示す。ところで先に述べた融液組成と結晶組成の違いから明らかなように、結晶中の砒化インジウム成分は融液中の砒化インジウム成分よりも少ない。したがって、固化に際して砒化インジウムが融液側に排出される。これにより結晶化界面近傍の融液中では砒化インジウムの濃度が高くなるが、この砒化インジウムは拡散により砒化インジウム濃度の低い方、すなわち原料方向へ運ばれる(図4の液相線に示されるとおり、溶融帯中、温度が高い外側ほど砒化インジウム濃度は低い。)。運ばれてきた砒化インジウムはその先の固体の砒化ガリウム原料12を熔かす。種結晶10側で結晶が析出し、それに伴い排出された砒化インジウムが外側の砒化ガリウム原料12を溶かすというプロセスにより、溶融帯11は外周側に移動する。固体の砒化ガリウム原料12を溶かすことにより、溶融帯11は再び飽和状態になろうとする。
実際の結晶成長においては上で述べた成長過程が連続的に進み、In0.14Ga0.86As組成の結晶13が次第に外周部へ拡がって成長していく。濃度勾配によって生じる拡散を駆動力として結晶成長は径方向に自発的に起こるので、試料移動速度などの煩わしい調整をすることなく、静止して放置しておくだけで結晶が得られることとなる。
結晶成長が進んだ中期段階を図7(c)に示す。さらに結晶成長が進み、結晶成長が砒化ガリウム円板の外周まで達して結晶成長が終了する。なお、この時点で砒化インジウムが余っている場合には、スペーサ4と円板外周部、及びルツボ6によって形成される隙間(図3)へと、円板外周部からインジウムリッチな融液が排出される。図7(d)に結晶成長の終期段階を示す。図7(d)は、上述のとおり図5,図6に示す温度分布で、約500時間加熱した後の状態を示している。製造された固溶体単結晶を、約60℃/時の冷却速度で常温まで徐冷した。
以上のようにして結晶成長させた試料の径方向組成分布を図8に示す。砒化インジウムモル分率は中央の種結晶部を除き全面にわたり0.12±0.01と一定で、組成均一性に優れていた。
以上は結晶成長単位における結晶成長の様子を示したものであるが、この結晶成長単位を図3に示すように積み重ねることによって一度に複数枚の結晶成長を行わせることができる。縦方向成長の場合、中心部に2〜3枚の板状試料を仕込むことは可能であるがそれ以上は無理である。しかしながら、本発明の方法によれば、結晶成長単位は縦方向に容易に且つ温度分布の変化がなければ原理的に何枚でも積み重ねることができ、量産性に富む利点を有している。
実施例1では砒化ガリウムと砒化インジウムの固溶体(混晶)を製造する場合を例にとって説明したが、本発明の方法は砒化ガリウムと砒化インジウムの固溶体(混晶)を製造する場合に限られるのではなく、各種固溶体(混晶)に適用できる。以下では、シリコンSiとゲルマニウムGeの混晶Si0.5Ge0.5を製造する場合について説明する。
実施例1と同様にして、直径10mm、厚さ2mmの{100}面を有するシリコン(単結晶)を種結晶として、その外側に外径30mm、内径11mm、厚さ2mmのドーナツ板状ゲルマニウム(多結晶)を融液形成材として配置する。さらにその外側に外径50mm、内径31mm、厚さ2mmのドーナツ板状シリコン(多結晶)を原料として配置する。
これらを窒化ホウ素(BN)製ルツボ(内径51mm、外径55mm、深さ10mm)内に挿入し、その上にBN製の蓋(外径50mm、厚さ5mm)をかぶせる。この組合せを別に用意した石英容器(内径60mm、外径66mm、肉厚3mm、長さ150mm)内に挿入し、約1×10-5 Paの真空度に達したところで真空封止用端子部を石英容器の外側から加熱し、石英容器と真空封止用端子とを溶着させることにより石英容器内部の試料を真空封止した。
このようにして原料が真空封入された石英容器を温度勾配のついた管状電気炉に挿入しシリコン及びゲルマニウムの設置された部分を約1098℃となるよう加熱する。この場合もやはり石英容器は炉心管内温度分布が軸方向にほぼ均一となる領域に配置されている。この領域では中心部が1098℃、周辺部が1103℃となるような、すなわち炉心管において中心部がその周辺部より5℃低くなっている温度分布を得た。
以上のような温度分布で約140時間加熱し、50℃/時の冷却速度で常温まで徐冷した。図9にBNルツボから取り出した試料の上面のスケッチを示す。また径方向のゲルマニウム濃度分布を図10に示す。
シリコンとゲルマニウムの組成比が1:1のSi0.5Ge0.5組成の結晶成長を行ったので融液形成材のゲルマニウムの仕込み量が少なく、結晶成長の途中でゲルマニウムは消費しつくされてSi0.5Ge0.5混晶は種結晶の先約20mmまでしか成長しておらず、その先はシリコン原料がそのまま残されていた。しかし、中心から2〜20mmまでは組成の均一性はSi0.5Ge0.5±0.01と極めて良好であった。
IV - VI族混晶であるPbTe - SnTe系に本発明の方法を適用した結果を以下に述べる。
本実施例においては、試料は図11に示す円柱状で、中心部にPbTe、その外側にSnTe、さらに一番外側にPbTeが配置されている。軸と垂直な断面は同心円状になっている。具体的には、直径10mm、軸方位が<100>、長さ150mmの円柱PbTe(単結晶)を芯とし、外径20mm、内径11mm、長さ150mmの円筒SnTe(多結晶)を融液形成材として芯の外側にかぶせ、さらにその外側に外径40mm、内径21mm、長さ150mmの円筒PbTe(多結晶)を配した構造となっている。
この試料を窒化ホウ素(BN)製ルツボ(内径41mm、外径45mm、深さ180mm)内に挿入し、その上にBN製の蓋(外径41mm、長さ25mm)をかぶせ、これを別に用意した石英容器(内径46mm、外径52mm、肉厚3mm、長さ300mm)内に挿入し、
約1×10-5 Paの真空度で真空封止した。
以上のようにして原料が真空封入された石英容器を温度勾配のついた管状電気炉に挿入しPbTe及びSnTeの設置された部分を約890℃となるよう加熱する。この場合もやはり炉心管内に径方向温度勾配が付与されている。実際は、炉心管の中心部が890℃、炉心管の周辺部が895℃となっていた。
以上のような温度分布中で約200時間加熱し、50℃//時の冷却速度で常温まで徐冷した。図12に電子マイクロアナライザ(EPMA)で分析した径方向のSnTe濃度分布を示す。測定には長さ50mmの位置で約2mm厚さに輪切りした試料を用いた。Pb0.8Sn0.2Teの組成の結晶が中心から周辺まで成長しており(種結晶のPbTeはほとんど融けてしまって小さな結晶核しか残らない状態から、固溶体結晶が成長した。)、組成の均一性はPb0.8Sn0.2Te±0.02と極めて良好であった。また、図13に軸方向の組成分布を示す。150mmという長距離にわたり均一組成(SnTe濃度0.20±0.02モル)が実現していた。
従来の方法では軸方向長さは20mmが限度で、本発明の方法により軸方向に大幅に長い試料が製造できることが明らかとなった。なお、図11では種結晶、融液形成材、原料の長さは一致しているが、これらの長さは必ずしも一致していなくてもよい。
以上説明したように、本発明に係る固溶体単結晶の製造方法によれば、結晶原料及び融液形成材を適切な径方向温度分布のところに配置するだけで濃度勾配によって生じる拡散を駆動力として結晶成長は径方向に自発的に起こるので、試料移動速度などの煩わしい調整をすることなく、静止して放置しておくだけで均一組成の固溶体(混晶)を製造することができる利点を有する。また本発明の方法によれば、結晶成長が径方向に同心円が拡がるようにして起こるので結晶成長ユニットを縦方向に何重にも積み重ねて結晶成長を行わせることが可能になり、また円柱状試料においては長さの制約がなくなるので、量産性に富むという利点を有する。
なお、本発明に係る固溶体単結晶の製造方法は、特定の材料の製造に限定されるものではなく、広く一般の固溶体単結晶の製造に適用できるものである。特に、InAs-GaAs系、Si-Ge系、PbTe-SnTe系などの半導体の固溶体は、レーザダイオードや集積回路素子作製用基板に用いられる際に、高品質化や組成均一化が要求される。よって、本発明に係る固溶体単結晶の製造方法は、InAs-GaAs系、Si-Ge系、PbTe-SnTe系などの半導体の固溶体の製造に特に好適である。
1 砒化ガリウム(種結晶)
2 砒化インジウム(融液形成材)
3 砒化ガリウム(原料)
4 窒化ホウ素(BN)製スペーサ
5 結晶成長ユニット
6 窒化ホウ素(BN)製ルツボ
7 窒化ホウ素(BN)製プラグ
8 石英容器
9 真空封止用端子
10 熔け残った砒化ガリウム種結晶
11 熔けて拡がった砒化インジウム(溶融帯)
12 熔け残った砒化ガリウム原料
13 成長結晶
14 シリコン種結晶
15 成長したシリコンゲルマニウム結晶
16 熔け残ったシリコン原料
17 PbTe(種結晶)
18 SnTe(融液形成材)
19 PbTe(原料)

Claims (4)

  1. 種結晶と、該種結晶の外周側に配された、該種結晶よりも融点が低い融液形成材と、該融液形成材の外周側に配された、該融液形成材よりも融点が高い固体原料と、を備える複合材を、該複合材の外周部が内側よりも高温となるよう加熱し、
    前記融液形成材を溶融させて溶融帯を形成し、該溶融帯の前記種結晶側領域に結晶を成長させつつ該溶融帯を前記複合材の外周側に移動させることにより、該複合材の外周側に向かって結晶を成長させる
    ことを特徴とする、固溶体単結晶製造方法。
  2. 前記複合材が円板状又は多角形板状に形成されており、該複合材の円状面又は多角形状面の径方向に向かって結晶を成長させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記円板状又は多角形板状に形成された前記複合材を、スペーサを介して複数積み重ね、該積み重ねられた複数の複合材を、各々の複合材の外周部が内側よりも高温となるよう同時に加熱して、該各々の複合材の外周側に向かって同時に結晶を成長させることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 前記複合材が円柱状又は多角柱状に形成されており、該複合材の円状面又は多角形状面の径方向に向かって結晶を成長させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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