JP6028432B2 - Cmp用研磨液、cmp用研磨液用貯蔵液及び研磨方法 - Google Patents

Cmp用研磨液、cmp用研磨液用貯蔵液及び研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体デバイスの配線形成工程等における研磨に使用されるCMP用研磨液、CMP用研磨液用貯蔵液、CMP用研磨液を用いる研磨方法、並びにこの研磨方法を用いて製造される半導体基板及び電子機器に関する。
近年、半導体集積回路(以下、「LSI」という。)の高集積化、高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(以下、「CMP」という。)法もその一つであり、LSI製造工程、特に、多層配線形成工程における絶縁膜の平坦化、金属プラグの形成、埋め込み配線の形成において頻繁に利用される技術である。この技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
また、最近は、LSIを高性能化するために、配線材料となる導電性物質として銅又は銅合金の利用が試みられている。しかし、銅又は銅合金は、従来のアルミニウム合金配線の形成で頻繁に用いられたドライエッチング法による微細加工が困難である。
そこで、あらかじめ溝を形成してある絶縁膜上に銅又は銅合金の薄膜を堆積して埋め込み、溝部以外の前記薄膜をCMPにより除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン法が主に採用されている。この技術は、例えば、特許文献2に開示されている。
一方、銅又は銅合金等の導電性物質の下層には、絶縁膜中への金属の拡散防止や密着性向上のためのバリア金属の層(以下、「バリア金属」という。)として、タンタル、タンタル合金、窒化タンタル等の導体からなる層が形成される。したがって、銅又は銅合金等の導電性物質を埋め込む配線部以外では、露出したバリア金属をCMPにより取り除く必要がある。
しかし、これらのバリア金属は、銅又は銅合金に比べ硬度が高いために、銅又は銅合金用の研磨材料を組み合わせて研磨しても充分な研磨速度が得られず、かつ被研磨面の平坦性が悪くなる場合が多い。そこで、導電性物質を研磨する第1の研磨工程と、バリア金属を研磨する第2の研磨工程からなる2段階の研磨方法が検討されている。
図1に一般的なダマシンプロセスによる配線形成を断面模式図で示す。図1(a)は研磨前の基板100を示し、基体1の上に、表面に溝が形成された絶縁膜2、絶縁膜2の表面凹凸に追従するように形成されたバリア金属3、凹凸を埋めるように堆積された銅又は銅合金の配線部用金属からなる導電性物質4を有している。
まず、図1(b)に示すように、導電性物質4を研磨するための研磨液で、バリア金属3が露出するまで導電性物質4を研磨して、基板110を得る(第1の研磨工程)。次に、バリア金属用の研磨液で絶縁膜2の凸部が露出するまでバリア金属3を研磨して基板120を得る(第2の研磨工程)。この第2の研磨工程においては、絶縁膜2を余分に研磨するオーバー研磨が行われることが多い。図1の(c)において、破線部分は、第2の研磨工程における、バリア金属研磨前の基板110の状態を示している。このようなオーバー研磨により、研磨後の被研磨面の平坦性を高めることができる。
このようなバリア金属用の研磨液として、酸化剤と、金属表面に対する保護膜形成剤と、酸と、水とを含み、pHが3以下であり、前記酸化剤の濃度が0.01〜3質量%であるCMP用研磨剤が提案されている。(例えば、特許文献3参照。)
ところで、近年、配線間隔が更に微細化されていることに伴い、配線遅延の問題が生じてきている。集積回路は、金属配線が何層にも張り巡らされて信号を伝達しているが、微細化に伴って配線同士の距離が近くなるために、近接する配線間の電気容量(配線間容量)が大きくなり、それに比例して配線を伝わる信号が遅くなるという現象(信号遅延)が生じる。それにより、回路の動作速度が上がらず、かえって消費電力が増えてしまうという問題が顕著になってきている。
そこで、この課題を克服するために、配線間容量を下げる手法の一つとして、二酸化珪素を主体とする絶縁膜から、低誘電率材料の膜(以下、「low−k膜」という。)への転換が図られている。low−k膜としては、オルガノシリケートグラスや全芳香環系low−k膜等を挙げることができる。これらのlow−k膜は、有機化合物を原料としたり、膜に空孔を形成させたりすることによって、誘電率を下げている。
更に、low−k膜においては、比誘電率が空気(〜1)程度に低い材料の開発が始まっている。これらはULK(Ultra low−k)等と呼ばれ、空気を含んだポーラス(多孔性)な材料を使う方向で検討が進んでいる。但し、ポーラス材料は、蜂の巣の様な中空構造なので軟らかく、二酸化珪素膜と比較して、機械的強度が低い、吸湿性が高い、プラズマ及び薬品耐性が低いといった弱点を有する。このため、前記第2の研磨工程において、low−k膜の損傷、過剰な研磨、膜の剥離等の問題を有する。
そこで、前記の課題を克服するため、low−k膜を二酸化珪素でキャップした構造とすることが提案されている。図2に、このような構造のデバイスの製造プロセスの一例を示す。図2の(a)の構造を得るためには、まず、シリコン基板11上に、low−k膜12と二酸化珪素からなるキャップ層13とを積層構造で成膜した後、***部及び溝部を形成する。その上に、表面の***部及び溝部に追従するようにバリア金属14が形成され、***部及び溝部を埋めるように全体に堆積された導電性物質15が形成されている。
絶縁膜部にキャップ層の二酸化珪素が含まれると、二酸化珪素の誘電率の影響を受けてしまうため、絶縁膜全体として実効比誘電率がさほど低くならない。すなわち、low−k膜の有する低誘電率特性を充分活かせていないこととなる。従って、前記キャップ層としての二酸化珪素膜は、前記バリア金属研磨時に除去され、最終的にはlow−k膜のみからなる絶縁膜とすることが望ましい。
このような構造のデバイスを得るためには、図2(a)に示す基板200の状態から、図2(b)に示す基板210の状態まで研磨を行う。具体的には、導電性物質15を研磨するための研磨液で、バリア金属14が露出するまで導電性物質15を研磨する(第1の研磨工程)。次に、図2(c)に示すようにバリア金属用の研磨液でバリア金属14を研磨し、図2(c)に示す基板220の状態まで、すなわち少なくとも二酸化珪素のキャップ層13を全て除去し、low−k膜12が露出するまで研磨する(第2の研磨工程)。
従って、前記の第2の研磨工程では、バリア金属及び導電性物質だけでなく、キャップ層である二酸化珪素膜及びlow−k膜の一部も研磨する必要がある。また、半導体デバイスを設計どおり構築するため、即ち、多層配線を実現するためには、各層が平坦である加工精度が求められるので、キャップ層を削りきった後に露出する下層のlow−k膜もある程度削る必要がある。これらの理由より、バリア金属用の研磨液には、バリア金属及び導電性物質だけでなく、キャップ層である二酸化珪素等の酸化物の膜に対してある程度の研磨速度が必要である。また、low−k膜に対してもある程度の研磨速度は必要であるが、キャップ層とは異なりlow−k膜が過度に除かれてはならないため、low−k膜に対する研磨速度が大きすぎないことも必要である。
このため、従来のバリア金属用研磨液と同等のバリア金属研磨速度を有し、かつ二酸化珪素膜の研磨速度も充分速く、さらに、low−k膜に対して適切な(速すぎずかつ遅すぎない)研磨速度を有する研磨液が求められている。
また、図1や図2に示されるような構造をもつデバイスにおいて、砥粒による機械的な作用により、バリア金属近傍の絶縁膜がえぐれるように過剰に研磨される現象(すなわち「シーム」)、及び絶縁膜ごと配線の厚みが薄くなる現象(すなわち「エロージョン」)が発生する傾向がある。この問題は、LSIの配線構造がより多様化する「スケーリング」が進むことでより重大となる。なぜならば、スケーリングが進むことで配線断面積が縮小し、配線間絶縁膜の膜厚が薄くなるため、微小なシーム、エロージョンであっても影響を受けるからである。
このため、従来のバリア金属用研磨液と同等のバリア金属研磨速度を有し、かつ二酸化珪素の研磨速度も充分速く、さらに、研磨によりシーム及びエロージョンの発生しない研磨液が求められている。二酸化珪素絶縁膜、バリア金属及び導電性物質を有するパターン基板を研磨した際に、シーム及びエロージョンの発生を抑える研磨液としては、シラノール基密度が5.0個/nm以下であり、かつ、表面処理されたものではなく、所定の二軸平均一次粒子径と所定の会合度を有する砥粒を含むCMP用研磨液が知られている(特許文献4参照)。
米国特許第4944836号明細書 特開平02−278822号公報 国際公開第01/13417号パンフレット 国際公開第2011/021599号パンフレット
前記のとおり、絶縁膜としてlow−k膜を使用する基板を研磨する場合には、バリア金属用研磨液には、バリア金属及び導電性物質だけでなく、キャップ層である二酸化珪素膜等の酸化膜に対してもある程度の研磨速度が必要であり、かつlow−k膜に対しては適切な研磨速度を有することが必要である。しかしながら、一般的にバリア金属の機械的強度が相対的に高いこと、low−k材料と比較して二酸化珪素の機械的強度が高いこと等から、各物質に対する研磨速度のバランスを取ることは難しい。このため、絶縁膜として二酸化珪素膜又はlow−k膜のみに着目したCMP用研磨液をそのまま転用することは難しい。
研磨速度を向上させるための手法としては、CMP用研磨液中の砥粒の含有量を多くすること、又はCMP用研磨液中の砥粒の粒径を大きくすること、といった手段が考えられる。しかしながら、前記のいずれの手段も、砥粒の分散安定性が悪くなる傾向があり、砥粒の沈降が発生しやすくなる。
本発明は、第一に、前記問題点に鑑み、砥粒の分散安定性を維持しつつ、バリア金属及び二酸化珪素膜を高速に研磨でき、かつ、low−k膜を適切な速度で研磨できるCMP用研磨液を提供することを目的とするものである。
より具体的には、本発明は、バリア金属を研磨する第2の研磨工程におけるlow−k膜の研磨速度を制御する一方で、実用的な研磨条件で二酸化珪素膜とlow−k膜との好適な研磨速度選択比を得ることが可能であり、なおかつ砥粒の分散安定性に優れるCMP用研磨液及び研磨方法を提供することを目的とするものである。
また一方で、従来のバリア金属用研磨液では、上述のとおりある程度好適な速度で二酸化珪素膜を研磨できるものの、この研磨によりシームやエロージョンが発生してしまう場合がある。シーム及びエロージョンについては、10〜数十nm程度に低減するCMP用研磨液が知られているが、さらに低減することが求められている。
本発明は、第二に、前記問題点に鑑み、砥粒の分散安定性を維持しつつ、二酸化珪素膜を高速に研磨でき、かつシーム及びエロージョン等の平坦性の問題を抑制できるCMP用研磨液を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、CMP用研磨液用貯蔵液、CMP用研磨液を用いる研磨方法、並びにこの研磨方法を用いて製造される半導体基板及び電子機器を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、前記課題を解決するために種々の検討を行った結果、砥粒としてシリカ粒子を使用するCMP用研磨液において、前記シリカ粒子が持つ(A)シラノール基密度及びアスペクト比と、(B)シリカ粒子X、Yの質量比とが、前記のいずれの課題に対しても、重要な因子であることを見出した。
すなわち、本発明の第一実施形態は、
(1)媒体と、媒体に分散している砥粒とを含む、CMP用研磨液であって、
(A)砥粒が、シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3以下のシリカ粒子Xと、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子Yとを含み、
(B)シリカ粒子X及びシリカ粒子Yの全質量に対するシリカ粒子Xの質量比(X/(X+Y)×100)が30〜95%であるCMP用研磨液に関する。
ここで、前記アスペクト比は、走査型電子顕微鏡にて任意の20個のシリカ粒子を観察し、各々の粒子につき算出されたアスペクト比の平均値として定義される。
このような研磨液とすることによって、CMP用研磨液中の砥粒の分散安定性を維持しつつ、バリア金属及び二酸化珪素膜の研磨速度が高速であり、かつ、low−k膜を適切な速度で研磨できるCMP用研磨液が提供される。
また、本発明の第二実施形態は、
(2)媒体と、媒体に分散している砥粒とを含む、CMP用研磨液であって、
(A)砥粒が、シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3以下のシリカ粒子Xと、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子Yとを含み、
(B)シリカ粒子X及びシリカ粒子Yの全質量に対するシリカ粒子Xの質量比(X/(X+Y)×100)が20〜80%であるCMP用研磨液に関する。
このような研磨液とすることによって、CMP用研磨液中の砥粒の分散安定性を維持しつつ、バリア金属及び二酸化珪素膜を高速に研磨でき、かつシーム及びエロージョン等の発生を抑制でき研磨後の基板の平坦性を良好にできるCMP用研磨液が提供される。
(3)本発明のCMP用研磨液は、更に金属防食剤を含むことが好ましい。これにより、導電性物質のエッチングを抑制し、更に、研磨後の基板表面に荒れが生じるのを防ぎやすくなる。
(4)金属防食剤は、トリアゾール骨格を有する化合物であることが好ましい。これにより、より効果的に導電性物質のエッチングを抑制し、更に、研磨後の基板表面に荒れが生じるのをさらに防ぎやすくなる。
(5)砥粒は、CMP用研磨液中でのゼータ電位が+5mV以上であることが好ましい。これにより、より砥粒の分散性に優れ、且つ、研磨速度選択比の優れたCMP用研磨液が提供される。
(6)シリカ粒子X及びシリカ粒子Yの少なくとも一方がコロイダルシリカ粒子であることが好ましい。コロイダルシリカ粒子であれば、前記シラノール基密度、アスペクト比及びゼータ電位の値を変えることが容易であり、また入手も容易である。
(7)シリカ粒子X及びシリカ粒子Yの含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して3.0〜8.0質量部であることが好ましい。これにより、より良好な研磨速度選択比が得られるCMP用研磨液が提供される。更に、粒子の凝集・沈降がより抑制しやすくなり、結果として良好な分散安定性・保存安定性を有するCMP用研磨液が提供される。
(8)本発明のCMP用研磨液は、導電性物質及びバリア金属の研磨速度をより良好な値に保つことができる観点で、pHが6.0以下であることが好ましい。
(9)本発明のCMP用研磨液は、更に金属溶解剤を含有することが好ましい。これにより、バリア金属等の金属に対するより良好な研磨速度を有するCMP用研磨液が提供される。また、前記第2の研磨工程では、導電性物質も研磨する必要があるが、金属溶解剤を含むことにより、導電性物質に対する研磨速度もより良好なCMP用研磨液が提供される。
(10)本発明のCMP用研磨液は、更に金属酸化剤を含むことが好ましい。これにより、導電性物質やバリア金属に対して、より優れた研磨速度を示すCMP用研磨液が提供される。
本発明のCMP用研磨液は、希釈されて使用されるCMP用研磨液用貯蔵液の形態で保存されることが好ましい。このとき、(11)CMP用研磨液用貯蔵液中の媒体の含有量が、CMP用研磨液中の媒体の含有量の1/3以下である。これにより、保管、輸送等に係るコストを低減できる上、使用時に濃度を調整しながら研磨することが可能となる。
(12)この場合、シリカ粒子X及びシリカ粒子Yを合わせた含有量は、CMP用研磨液用貯蔵液100質量部に対して10質量部以上であることが好ましい。
(13)また、本発明の第一実施形態によれば、次のような研磨方法を提供できる。すなわち、
一方の面に凹部を有しかつ一方の面における凹部以外の部分が二酸化珪素膜でキャップされたlow−k膜からなる絶縁膜と、絶縁膜を被覆するバリア金属と、前記凹部を充填しかつバリア金属を被覆する導電性物質と、を備える基板を研磨する研磨方法であって、
導電性物質を研磨して凹部以外の部分(凹部が形成されていない***部:以下、「凸部」という場合がある)上の前記バリア金属を露出させる第1の研磨工程と、
凹部以外の部分の上部に位置するバリア金属を研磨して、凸部(二酸化珪素膜によりキャップされたlow−k膜からなる絶縁膜)を露出させる第2の研磨工程と、を含み、少なくとも前記第2の研磨工程で前記(1)から(10)の本発明のCMP用研磨液のいずれかを供給しながら研磨する、研磨方法が提供される。このような研磨方法によれば、バリア金属を高速に研磨しつつ、二酸化珪素膜を高速に研磨でき、かつ、low−k膜を適切な速度で研磨することができる。
(14)更に、前記(11)又は(12)のCMP用研磨液用貯蔵液を、希釈液若しくは添加液又はその両方と混合してCMP用研磨液を調製して、前記(13)と同様に研磨しても良い。すなわち、第1の研磨工程の前に、前記(11)又は(12)のCMP用研磨液用貯蔵液と、希釈液及び添加液の少なくとも一方とを混合して、CMP用研磨液を調製する混合工程を含む研磨方法であってもよい。
(15)また、本発明の第二実施形態によれば、次のような研磨方法を提供できる。すなわち、
一方の面に凹部を有しかつ二酸化珪素からなる絶縁膜と、絶縁膜を被覆するバリア金属と、前記凹部を充填しかつバリア金属を被覆する導電性物質と、を備える基板を研磨する研磨方法であって、
導電性物質を研磨して凸部の上部(凹部以外の部分の上部)に位置する前記バリア金属を露出させる第1の研磨工程と、
凹部以外の部分の上部に位置するバリア金属を研磨して凸部(二酸化珪素からなる絶縁膜)を露出させる第2の研磨工程と、を含み、少なくとも前記第2の研磨工程で前記(1)から(10)の本発明のCMP用研磨液のいずれかを供給しながら研磨する、研磨方法が提供される。このような研磨方法によれば、バリア金属及び二酸化珪素膜を高速に研磨でき、かつ、シーム及びエロージョン等の発生を抑制して研磨後の基板の平坦性を良好にできる。
(16)更に、前記(11)又は(12)のCMP用研磨液用貯蔵液を、希釈液若しくは添加液又はその両方と混合してCMP用研磨液を調製して、前記(15)と同様に研磨しても良い。すなわち、第1の研磨工程の前に、前記(11)又は(12)のCMP用研磨液用貯蔵液と、希釈液及び添加液の少なくとも一方とを混合して、CMP用研磨液を調製する混合工程を含む研磨方法であってもよい。
(17)前記(13)又は(14)の研磨方法において、low−k膜が、誘電率2.9以下のシリコン系被膜又は有機ポリマー膜であることが好ましい。
(18)また、導電性物質は、銅、銅合金、銅の酸化物及び銅合金の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の導電性物質を含むことが好ましい。
(19)更に、バリア金属は、タンタル系金属、チタン系金属、タングステン系金属、ルテニウム系金属、コバルト系金属及びマンガン系金属からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
(20)前記の第2の研磨工程において、露出した絶縁膜(二酸化珪素膜又はlow−k膜)の一部をさらに研磨しても良い。このような研磨方法によれば、研磨後の被研磨面の平坦性をより高めることができる。
(21及び22)また、本発明によれば、前記の研磨方法を用いて作製された半導体基板又は電子機器が提供される。このようにして作製された半導体基板及び他の電子機器は、微細化、薄膜化が可能であり、なおかつ寸法精度、電気特性に優れる信頼性の高いものとなる。
本発明によれば、砥粒の分散安定性を維持しつつ、
第一実施形態では、バリア金属を研磨する第2の研磨工程においてバリア金属を高速に研磨しつつ、二酸化珪素膜に対する高い研磨速度とlow−k膜に対する研磨速度とをバランスよく適切に調整することでき、また、
第二実施形態では、バリア金属を研磨する第2の研磨工程においてバリア金属及び二酸化珪素膜を高速に研磨しつつ、シーム及びエロージョン等の発生を抑制して研磨後の基板の平坦性を良好にすることができる、CMP用研磨液を提供することができる。
さらに、本発明によれば、CMP用研磨液用貯蔵液、CMP用研磨液を用いる研磨方法、並びにこの研磨方法を用いて製造される半導体基板及び電子機器を提供することができる。
一般的なダマシンプロセスによる配線形成工程を示す断面模式図である。 絶縁膜としてlow−k膜及びキャップ層を用いた配線形成工程を示す断面模式図である。 粒子のアスペクト比及び二軸平均一次粒子径を算出する方法を示す模式図である。 半導体デバイスにおける配線層の形成工程の一例を示す断面模式図である。
(第一実施形態)
以下、本発明のCMP用研磨液について順に説明する。本発明のCMP用研磨液の第一実施形態は、媒体と、前記媒体に分散している砥粒とを含む、CMP用研磨液であって、前記砥粒が、シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3以下のシリカ粒子Xと、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子Yとを含む混合物であり、シリカ粒子X及びYの全質量に対するシリカ粒子Xの質量比(X/(X+Y)×100)が30〜95%であるCMP用研磨液である。
第一実施形態に係るCMP用研磨液は、シリカ粒子の分散安定性が良好であり、更に従来のCMP用研磨液と比較して、バリア金属に対する良好な研磨速度を維持しつつ、二酸化珪素膜を高速に研磨でき、かつ、low−k膜を適切な速度で研磨することができる。
(I.砥粒)
第一実施形態に係るCMP用研磨液は、液状媒体中に分散している砥粒を含む。なお、本実施形態において砥粒はシリカ粒子を含むものであるが、シリカ粒子以外の粒子(例えば、アルミナ粒子、セリア粒子等)が含まれていてもよい。
(I−i.シラノール基密度)
砥粒は、シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmのシリカ粒子Xと、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmのシリカ粒子Yとを含む混合物である。これにより、CMP用研磨液中の砥粒の分散安定性を維持しつつ、二酸化珪素膜に対して高速な研磨速度が得られ、かつ、low−k膜を適切な速度で研磨できるCMP用研磨液を得ることができる。
なお、シリカ粒子Xのシラノール基密度の下限は、3.1個/nm以上であることが好ましく、3.2個/nm以上であることがより好ましく、また、上限は4.9個/nm以下であることが好ましく、4.8個/nm以下であることがより好ましく、4.7以下であることが更に好ましく、4.6以下であることが特に好ましい。シリカ粒子Xのシラノール基密度は、前記の上限及び下限によって限定される範囲であることが好ましい。
また、シリカ粒子Yのシラノール基密度の下限は、1.1個/nm以上であることが好ましく、1.2個/nm以上であることがより好ましく、1.3個/nm以上であることが更に好ましく、1.5個/nm以上であることが特に好ましい。また、上限は1.9個/nm以下であることが好ましく、1.8個/nm以下であることがより好ましい。シリカ粒子Yのシラノール基密度は、前記の上限及び下限によって限定される範囲であることが好ましい。
本実施形態においてシラノール基密度(ρ[個/nm])は次のような滴定により測定及び算出することができる。まず、シリカ粒子(A[g])を1.5g量り取り、適量(100ml以下)の水に分散させる。次に、0.1mol/l塩酸でpHを3.0〜3.5に調整する。その後、塩化ナトリウムを30g添加し、更に超純水を添加して全量を150gにする。これを、0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液でpH4.0に調整し、滴定用サンプルとする。この滴定用サンプルに0.1mol/l水酸化ナトリウムをpHが9.0になるまで滴下し、pHが4.0から9.0になるまでに要した水酸化ナトリウム量(B[mol])を求め、下記式(1)よりシリカ粒子の持つシラノール基密度を算出する。
ρ=B・N/A・SBET ……(1)
式(1)中、N[個/mol]はアボガドロ数、SBET[m/g]はシリカ粒子のBET比表面積をそれぞれ示す。
後述するコロイダルシリカ粒子のように、水等の媒体に分散された状態で入手できるシリカ粒子の場合は、シリカ粒子量(A[g])が1.5gになる量を量り取り、以後は同じ手順でシラノール基密度を測定することができる。また、CMP用研磨液に含まれるシリカ粒子については、CMP用研磨液からシリカ粒子を単離・洗浄し、以後は同様の手順でシラノール基密度を測定することができる。
前記シリカ粒子のBET比表面積SBETは、BET比表面積法に従って求める。具体的な測定方法としては、例えば、シリカ粒子を250℃で充分に真空脱気した試料について、BET比表面積測定装置を用い、窒素ガスを吸着させる1点法もしくは多点法により求めることができる。より具体的には、まず砥粒を真空凍結乾燥機で乾燥し、この残分を乳鉢(磁性、100ml)で細かく砕いて測定用試料とし、これをBET比表面積測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製、商品名:オートソーブ6(「オートソーブ」は、登録商標。))を用いてBET比表面積SBETを測定する。
前記のシラノール基密度の算出方法の詳細については、例えば、Analytical Chemistry、1956年、第28巻、12号、p.1981−1983及びJapanese Journal of Applied Physics、2003年、第42巻、p.4992−4997に開示されている。
(I−ii.アスペクト比)
本実施形態の研磨液に使用されるシリカ粒子は、シラノール基密度に応じて特定のアスペクト比を有している。すなわち、シラノール基密度が前記のとおりであるシリカ粒子Xについては、low−k膜に対する適度な研磨速度が得られる点で、粒子のアスペクト比が1.3以下である。同様の理由で、前記アスペクト比は1.25以下であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましく、1.15以下であることが更に好ましい。なお、シリカ粒子Xのアスペクト比の下限は、1.0以上であることが好ましい。シリカ粒子Xのアスペクト比は、前記の上限及び下限によって限定される範囲であることが好ましい。アスペクト比が前記範囲であることは、シリカ粒子Xが球形に近いことを意味する。
一方、シラノール基密度が前記のとおりであるシリカ粒子Yについては、二酸化珪素膜に対する良好な研磨速度が得られる点で、粒子のアスペクト比が1.3を超えるものである。同様の理由で、前記アスペクト比は1.4を超えることが好ましく、1.5を超えることがより好ましく、1.6を超えることが更に好ましく、1.7を超えることが特に好ましい。なお、シリカ粒子Yのアスペクト比の上限は、3.0以下であることが好ましい。シリカ粒子Yのアスペクト比は、前記の上限及び下限によって限定される範囲であることが好ましい。アスペクト比が前記範囲であることは、粒子が細長い形状を有することを意味する。このような粒子としては、例えば、球状の粒子が2つ以上結合した外見を有する粒子等が挙げられる。
また、シリカ粒子X及びYのアスペクト比を前記の通りとすることで、研磨時に導電性物質層、バリア層及び絶縁膜層に対し、粒子が効率よく接触するため、被研磨面の平坦化能がより向上し、シーム及びエロージョンを抑制しやすくなると考えられる。
なお、本実施形態において、アスペクト比は、任意の粒子20個を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、各々の粒子につき算出されたアスペクト比の平均値として定義される。すなわち、通常水に分散しており固形分濃度(固形分含量)が5〜40質量%であるコロイダルシリカ粒子を例にすると、まず、適量のコロイダルシリカの液を取り、その液が入っている容器にパターン配線付きウエハを2cm角に切ったチップを約30秒浸した後、純水の入った容器に移して約30秒間すすぎ、そのチップを窒素ブロー乾燥する。その後、SEM観察用の試料台に乗せ、加速電圧10kVを印加し、10万倍の倍率にてシリカ粒子を観察、画像を撮影する。得られた画像から任意の20個のシリカ粒子を選択する。
例えば、選択したシリカ粒子が図3に示すような形状であった場合、シリカ粒子Pに外接し、その長径が最も長くなるように配置した長方形(外接長方形R)を描く。そして、その外接長方形Rの長径をL、短径をBとしたときの、L/Bの値を1粒子のアスペクト比として算出する。この作業を任意の20個のシリカ粒子に対して実施し、得られた値の平均値を、本実施形態におけるアスペクト比とする。
(I−iii.二軸平均一次粒子径)
本実施形態に係るCMP用研磨液に使用するシリカ粒子としては、バリア金属に対する良好な研磨速度が得られる点にのみ着目すれば、二軸平均一次粒子径が100nm以下であることが好ましい。ただし、CMP用研磨液中での分散安定性が比較的良く、CMPにより発生する研磨傷の発生数を比較的少なくできる点で、シリカ粒子の二軸平均一次粒子径は20〜80nmであることが好ましい。同様の理由から、二軸平均一次粒子径の下限は25nm以上であることがより好ましく、35nm以上であることがさらに好ましく、また、上限は70nm以下であることがより好ましい。従って、実施形態に係るCMP用研磨液では、バリア金属に対する良好な研磨速度が得られ、かつ、シリカ粒子の分散安定性を高いレベルで両立するためには、二軸平均一次粒子径を25〜70nmとすることが好ましく、同様の理由で、35〜70nmとすることがより好ましい。
例えば、選択したシリカ粒子が図3に示すような形状であった場合、シリカ粒子Pに外接し、その長径が最も長くなるように配置した長方形(外接長方形R)を描く。そして、前記アスペクト比の算出時に求めた長径L及び短径Bを用いて、(L+B)/2の値を1粒子の二軸平均一次粒子径として算出する。この作業を任意の20個のシリカ粒子に対して実施し、得られた値の平均値を、本実施形態における二軸平均一次粒子径とする。
(I−iv.ゼータ電位)
本実施形態のCMP用研磨液に使用される砥粒は、分散性に優れ、二酸化珪素膜に対してさらに良好な研磨速度が得られつつ、適切な速度でlow−k膜を研磨し易くなる点で、CMP用研磨液中でのゼータ電位が+5mV以上であることが好ましく、+10mV以上であることがより好ましい。上限は特に制限はないが、+80mV以下であれば通常の研磨には充分である。砥粒のゼータ電位は、前記の上限及び下限によって限定される範囲であることが好ましい。なお、前記ゼータ電位を+5mV以上とする手法としては、CMP用研磨液のpHを調整する方法、CMP用研磨液にカップリング剤又は水溶性ポリマーを配合する方法等の手法が挙げられる。前記水溶性ポリマーとしては、水溶性陽イオン性ポリマーが好適に使用できる。
本実施形態においてゼータ電位(ζ[mV])は、ゼータ電位測定装置を用いて測定する。その際、測定サンプルの散乱強度が1.0×10〜5.0×10cps(ここでcpsとはcounts per second、すなわちカウント毎秒を意味し、粒子の計数の単位である。以下同じ。)となるようにCMP用研磨液を純水で希釈し、ゼータ電位測定用セルに入れ、測定する。散乱強度を前記範囲にするには、例えば、研磨液100質量部に対して砥粒が1.7〜1.8質量部となるようにCMP用研磨液を希釈することが挙げられる。
なお、本実施形態において、砥粒としてシリカ粒子X及びシリカ粒子Yのみを用いた場合、前記ゼータ電位は、シリカ粒子X及びシリカ粒子Yのそれぞれのゼータ電位ではなく、シリカ粒子X及び前記シリカ粒子Yを含むCMP用研磨液に対して測定される値を意味する。
前記シラノール基密度、アスペクト比、二軸平均一次粒子径及びゼータ電位の異なる種々のシリカ粒子は、いくつかのシリカ粒子メーカーから容易に入手可能であり、これらの値もメーカーでの知見により制御が可能である。
また、シリカ粒子の種類としては、ヒュームドシリカ粒子、コロイダルシリカ粒子等公知のものを使用することができるが、前記のシラノール基密度、二軸平均一次粒子径、アスペクト比及びゼータ電位を有するシリカ粒子の入手が容易な点で、コロイダルシリカ粒子であることが好ましい。なお、本実施形態のCMP用研磨液において、前記の特性を満たす限りは、2種類以上の砥粒を組み合わせて使用することができる。
(I−v.含有量)
前記シリカ粒子X及びYの合計の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、1.0〜10質量部とすることが好ましく、3.0〜8.0質量部とすることがより好ましい。前記の特性を有するシリカ粒子の含有量が1.0質量部以上の場合、絶縁膜に対するより良好な研磨速度が得られる傾向があり、このような観点から前記含有量は3.0質量部以上であることがより好ましい。10質量部以下の場合、粒子の凝集・沈降がより抑制しやすくなり、結果として良好な分散安定性・保存安定性を得やすい傾向がある。このような観点から、前記含有量は、8.0質量部以下であることがより好ましく、5.0質量部以下であることが更に好ましい。すなわち、前記含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、3.0〜8.0質量部であることがより好ましく、3.0〜5.0質量部であることが更に好ましい。なお、ここでの含有量とは、CMP研磨工程に使用しうる状態に調合した状態(Point of Use)のCMP用研磨液における配合量であり、後述する分液保存時又はCMP研磨液用貯蔵液における配合量ではない。
なお、前記シリカ粒子を含む砥粒の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、1.0〜16.0質量部とすることが好ましい。砥粒の含有量が1.0質量部以上の場合、絶縁膜に対する良好な研磨速度が得られる傾向があり、16.0質量部以下の場合、粒子の凝集・沈降がより抑制しやすくなり、結果として良好な分散安定性・保存安定性が得られる傾向がある。
(I−vi.質量比)
シリカ粒子X及びYの全質量に対するシリカ粒子Xの質量比(X/(X+Y)×100)は30〜95%であるが、粒子の凝集・沈降がより抑制しやすくなり、結果として良好な分散安定性・保存安定性を得やすいという観点から、前記質量比は35%以上であることがより好ましく、40%以上であることが更に好ましく、45%以上であることが特に好ましい。一方、前記質量比を95%以下とすることにより二酸化珪素膜を好適に研磨することができる。このような観点から、前記質量比は、90%以下であることがより好ましい。また、前記質量比は、前記の上限及び下限によって限定される範囲であることがより好ましい。
(II.pH)
本実施形態のCMP用研磨液は、バリア金属及び二酸化珪素膜に対する良好な研磨速度が得られ、かつ、low−k膜を適切な速度で研磨できることを特長とする。ただし、前記のように、バリア金属の研磨においてオーバー研磨する場合のCMP用研磨液として好適に使用するためには、更に導電性物質に対する研磨速度も良好な値に保つことが好ましい。このような点で、本実施形態のCMP用研磨液のpH(25℃)は6.0以下であることが好ましい。
pHは、導電性物質が過剰に研磨されることに起因するディッシングを抑制しやすくなる点で、1.5以上がより好ましく、1.8以上が更に好ましく、2.0以上が特に好ましい。後述する金属溶解剤として有機酸化合物、無機酸化合物を使用する場合、pHをこの範囲とすることが特に好ましい。また、酸性が強すぎる場合と比較しても取り扱いが容易になる。また、導電性物質に対して良好な研磨速度を有し、かつバリア金属の導体に対しても良好な研磨速度を得ることができる点で、pHは5.0以下がより好ましく、4.5以下が更に好ましく、4.0以下が特に好ましく、3.5以下が非常に好ましく、3.0以下が極めて好ましい。pHは、前記の上限及び下限によって限定される範囲であることが好ましい。
研磨液のpHは、pHメータ(例えば、横河電機株式会社製の型番PH81)で測定することができる。pHとしては、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液:pH4.01(25℃)、中性りん酸塩pH緩衝液:pH6.86(25℃))を用いて、2点校正した後、電極を研磨液に入れて、2分以上経過して安定した後の値を採用する。
(III.媒体)
CMP用研磨液の媒体としては、シリカ粒子を分散できる液体であれば特に制限されないが、pH調整の取り扱い性、安全性、被研磨面との反応性等の点から水を主成分とするものが好ましく、より具体的には、脱イオン水、イオン交換水、超純水等が好ましい。
CMP用研磨液は、必要に応じて水以外の有機溶媒を添加しても良い。これらの有機溶媒は、水に溶解しにくい成分の溶解補助剤として使用したり、研磨する面に対するCMP用研磨液の濡れ性を向上させる目的で使用したりすることができる。本実施形態のCMP用研磨液における有機溶媒としては特に制限はないが、水と混合できるものが好ましく、1種類単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
溶解補助剤として使用する場合の有機溶媒としては、アルコール等の極性溶媒を挙げることができる。また、濡れ性を向上させる目的では、例えば、グリコール類、グリコールモノエーテル類、グリコールジエーテル類、アルコール類、炭酸エステル類、ラクトン類、エーテル類、ケトン類、フェノール類、ジメチルホルムアミド、n−メチルピロリドン、酢酸エチル、乳酸エチル、スルホランが挙げられる。中でも、グリコールモノエーテル類、アルコール類、炭酸エステル類から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
有機溶媒を配合する場合、有機溶媒の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、0.1〜95質量部とすることが好ましい。前記含有量は、CMP用研磨液の基板に対する濡れ性を向上させる点で0.2質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が更に好ましい。また、上限としては、製造プロセス上困難が生じるのを防ぐ点で50質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。
なお、水の含有量は、他の構成成分の含有量の残部でよく、含有されていれば特に制限はない。また、水は、後述するCMP用研磨液用貯蔵液を、使用に適する濃度まで希釈する希釈液としても用いられる。
(IV.その他の成分)
本実施形態においては、導電性物質やバリア金属に対するより良好な研磨速度を得ることを主な目的として、更に金属溶解剤、金属酸化剤(以下、単に「酸化剤」ともいう。)、水溶性ポリマーを含有することができる。また、CMP用研磨液のpHが低い場合には、導電性物質のエッチングが生じるおそれがあるため、これを抑制する目的で金属防食剤を含有することができる。以下これらの成分について説明する。
(IV−i.金属溶解剤)
本実施形態のCMP用研磨液は、導電性物質及びバリア金属等の金属に対する良好な研磨速度をより得やすくなる点で、金属溶解剤を含有することが好ましい。ここで金属溶解剤とは、少なくとも導電性物質を水に溶解させるのに寄与する物質として定義され、キレート剤、エッチング剤として知られる物質を含む。
金属溶解剤としては、例えば、アミノ酸、有機酸(ただし、アミノ酸に含まれるものを除く)、有機酸エステル、有機酸の塩等の有機酸化合物;無機酸、無機酸の塩等の無機酸化合物などが挙げられる。前記の塩としては、特に制限はないが、アンモニウム塩であることが好ましい。これらの金属溶解剤は1種類単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
前記の金属溶解剤としては、実用的なCMP速度を維持しつつ、エッチング速度を効果的に抑制できるという点では、有機酸化合物を含むことが好ましく、有機酸であることがより好ましい。前記有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、乳酸、マンデル酸、ビニル酢酸、3−ヒドロキシ絡酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、フタル酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、オキサロ酢酸、クエン酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メリト酸、イソクエン酸、アコニット酸、オキサロコハク酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、オクタン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アクリル酸、プロピオール酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、安息香酸、ケイヒ酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フランカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、グリコール酸、サリチル酸、クレオソート酸、バニリン酸、シリング酸、ピロカテク酸、レソルシル酸、ゲンチジン酸、プロカテク酸、オルセリン酸、没食子酸、タルトロン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、シトラマル酸、キナ酸、シキミ酸、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、カフェー酸、フェルラ酸、イソフェルラ酸、シナピン酸等の有機酸;無水マレイン酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の有機酸の酸無水物などが挙げられる。金属溶解剤は、これらの中でも、ギ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸及びアジピン酸からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。これらは、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
前記の金属溶解剤としては、導電性物質に対する高い研磨速度が得られやすい点では、無機酸を含むことが好ましい。具体的には、例えば、塩酸、硝酸等の一価の無機酸;硫酸、クロム酸、炭酸、モリブデン酸、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、セレン酸、テルル酸、亜テルル酸、タングステン酸、ホスホン酸等の二価の酸;リン酸、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、バナジン酸等の三価の酸;ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等の四価以上の酸などが挙げられる。無機酸を使用する場合は、硝酸であることが好ましい。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
前記金属溶解剤としては、pHの調整が容易であり、導電性物質に対する高い研磨速度が得られやすい点では、アミノ酸を含むことが好ましい。アミノ酸としては、わずかでも水に溶解するアミノ酸であれば特に制限はない。具体的には、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、オキシプロリン等が挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
金属溶解剤を配合する場合、その含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、0.001〜20質量部とすることが好ましい。前記含有量は、導電性物質及びバリア金属等の金属に対して良好な研磨速度が得られやすい点で0.002質量部以上がより好ましく、0.005質量部以上が更に好ましい。また、上限としては、エッチングを抑制し被研磨面に荒れが生じるのを防ぎやすい点で、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることが更に好ましく、3質量部以下であることが特に好ましい。
(IV−ii.金属防食剤)
本実施形態のCMP用研磨液は、導電性物質に対する保護膜を形成して導電性物質のエッチングを抑制し、更に、研磨後の表面に荒れが生じるのを防ぐ機能を有する金属防食剤を含有することが好ましい。ここで、金属防食剤とは、単独で使用したときに前記導電性物質に保護膜を形成しうる物質として定義される。前記保護膜を形成しうるか否かは、金属防食剤の水溶液に導電性物質を有する試料を浸し、試料の表面の組成分析を行うことで判別することができる。本実施形態のCMP用研磨液を用いた研磨において、導電性物質には必ずしも前記金属防食剤からなる保護膜が形成されている必要はない。
このような金属防食剤としては、具体的には、例えば、分子内にトリアゾール骨格を有するトリアゾール化合物、分子内にピラゾール骨格を有するピラゾール化合物、分子内にピラミジン骨格を有するピラミジン化合物、分子内にイミダゾール骨格を有するイミダソール化合物、分子内にグアニジン骨格を有するグアニジン化合物、分子内にチアゾール骨格を有するチアゾール化合物、分子内にテトラゾール骨格を有するテトラゾール化合物が挙げられる。これらは1種類単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
中でもトリアゾール化合物(トリアゾール骨格を有する化合物)が好ましく、具体的には、例えば、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール等の無置換トリアゾール;3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体;ベンゾトリアゾール;1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−4−カルボン酸メチル、1H−ベンゾトリアゾール−4−カルボン酸ブチル、1H−ベンゾトリアゾール−4−カルボン酸オクチル、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、[1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル][1,2,4−トリアゾリル−1−メチル][2−エチルヘキシル]アミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸、3−アミノベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体などが挙げられる。
金属防食剤の含有量としては、導電性物質のエッチングを抑制し、更に、研磨後の表面に荒れが生じるのを防ぎやすくなる点で、CMP用研磨液100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、0.01質量部以上がより好ましい。また、上限としては、導電性物質及びバリア金属の研磨速度をより実用的な研磨速度に保つことができる点で10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が更に好ましく、2質量部以下が特に好ましい。
(IV−iii.金属酸化剤)
本実施形態のCMP用研磨液は、前記導電性物質を酸化する能力を有する金属酸化剤を含有することが好ましい。このような金属酸化剤としては、具体的には、例えば、過酸化水素、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸、オゾン水が挙げられ、中でも過酸化水素が好ましい。これらは1種類単独で又は2種類以上混合して用いることができる。過酸化水素は、通常過酸化水素水として入手できるため、本実施形態のCMP用研磨液を後述するようにCMP用研磨液用貯蔵液として保存する場合に、過酸化水素水を希釈液として使用することができる。
基板が集積回路用素子を含むシリコン基板である場合、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染は望ましくないため、これらの不揮発成分を含まない酸化剤が望ましい。但し、オゾン水は組成の時間変化が激しいため、過酸化水素が最も適している。なお、適用対象の基板が半導体素子を含まないガラス基板等である場合は不揮発成分を含む酸化剤であっても差し支えない。
前記金属酸化剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、0.01〜50質量部とすることが好ましい。前記含有量は、金属の酸化が不充分となりCMP研磨速度が低下することを防ぎやすい観点から、0.02質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上が更に好ましい。また、上限としては、被研磨面に荒れが生じるのを防ぐことができる点で、30質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。なお、酸化剤として過酸化水素を使用する場合、過酸化水素の含有量が最終的に前記範囲になるように換算して、過酸化水素水を配合する。
また、CMP用研磨液のpHを酸性領域とする場合には、前記酸化剤の含有量は、バリア金属に対するより良好な研磨速度が得られる点で、CMP用研磨液100質量部に対して0.01〜3質量部の範囲とすることが好ましい。CMP用研磨液のpHが1〜4である場合には、前記酸化剤の含有量が0.15質量部付近でバリア金属に対する研磨速度が極大となる傾向がある。この観点から、前記酸化剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して2.5質量部以下であることがより好ましく、2質量部以下であることが更に好ましく、1.5質量部以下であることが特に好ましく、1.0質量部以下であることが極めて好ましい。
(IV−iv:水溶性ポリマー)
本実施形態のCMP用研磨液は、水溶性ポリマーを含有することができる。水溶性ポリマーを含有させることで、被研磨面の平坦化能をより向上し、また、微細配線部が密集している部位においても、エロージョンの発生を抑制しやすくなる。
水溶性ポリマーの重量平均分子量は、より高い研磨速度を発現させることができる点で、500以上が好ましく、1500以上がより好ましく、5000以上が更に好ましい。また、上限としては特に制限はないが、CMP用研磨液中への溶解度の観点から、500万以下が好ましい。水溶性ポリマーの重量平均分子量は、前記の上限及び下限によって限定される範囲であることが好ましい。水溶性ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば、以下の条件で、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
(条件)
試料:10μl
標準ポリスチレン:東ソー株式会社製標準ポリスチレン(重量平均分子量;190000、17900、9100、2980、578、474、370、266)
検出器:株式会社日立製作所製、RI−モニター、商品名:L−3000
インテグレーター:株式会社日立製作所製、GPCインテグレーター、商品名:D−2200
ポンプ:株式会社日立製作所製、商品名:L−6000
デガス装置:昭和電工株式会社製、商品名:Shodex DEGAS(「Shodex」は、登録商標。)
カラム:日立化成工業株式会社製、商品名:GL−R440、GL−R430、GL−R420をこの順番で連結して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
測定温度:23℃
流速:1.75ml/min
測定時間:45min
水溶性ポリマーとしては、特に制限はないが、平坦化特性に優れる点で、アクリル酸系ポリマー(モノマー成分としてC=C−COOH骨格を含む原料モノマーを重合又は共重合させて得られるポリマー)であることが好ましい。
前記アクリル酸系ポリマーを得るための前記原料モノマーとしては、具体的には例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、チグリン酸、2−トリフルオロメチルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルコン酸等のカルボン酸類;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸類;アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のエステル類、及びこれらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルキルアミン塩等の塩などが挙げられる。
前記の中でも、CMP用研磨液はメタクリル酸系ポリマー(モノマー成分としてメタクリル酸を含む原料モノマーを重合又は共重合させて得られるポリマー)を含有することが好ましい。前記メタクリル酸系ポリマーは、メタクリル酸のホモポリマー及び、メタクリル酸と該メタクリル酸と共重合可能なモノマーとのコポリマーから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
メタクリル酸系ポリマーがメタクリル酸と、該メタクリル酸と共重合可能なモノマーとのコポリマーである場合、モノマー全量に対するメタクリル酸の割合は、エロージョン及びシームを抑制し、被研磨面の平坦性をより高めることができる点で40モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、98モル%以上であることがより好ましい。また、前記割合は、100モル%未満であることが好ましく、99.5モル%以下であることがより好ましい。モノマー全量に対するメタクリル酸の割合は、前記の上限及び下限によって限定される範囲であることが好ましい。
メタクリル酸系ポリマーの配合量は、CMP用研磨液に含まれる砥粒の安定性が極端に低下するのを抑制しつつ、平坦性をより向上できる点で、CMP用研磨液の全成分の総量100質量部に対して、1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましく、0.1質量部以下が更に好ましく、0.05質量部以下が特に好ましい。下限としては、平坦性をより効果的に向上できる点で、CMP用研磨液の全成分の総量100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.01質量部以上が更に好ましい。
(第二実施形態)
本実施形態のCMP用研磨液の第二実施形態は、媒体と、前記媒体に分散している砥粒とを含む、CMP用研磨液であって、前記砥粒が、シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3以下のシリカ粒子Xと、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子Yとを含む混合物であり、シリカ粒子X及びYの全質量に対するシリカ粒子Xの質量比(X/(X+Y)×100)が20〜80%であるCMP用研磨液である。
第二実施形態に係るCMP用研磨液は、従来のCMP用研磨液と比較して、シリカ粒子の分散安定性が良好であり、更にバリア金属及び二酸化珪素膜に対する良好な研磨速度を維持しつつ、シーム及びエロージョン等の発生を抑制し平坦性を良好に保つことができる。
なお、本実施形態においては、シリカ粒子X及びYの全質量に対するシリカ粒子Xの質量比が20〜80%である。砥粒に含まれるシリカ粒子X及びYについて、前記質量比を20%〜80%の範囲とすることによりエロージョン及びシームの両方を低減しうるCMP研磨液を得られる傾向がある。またエロージョンをより高いレベルで低減できる観点から、前記質量比の下限は、25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。同様の観点で、上限は、70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。
その他の構成及び好ましい態様については、前記第一実施形態のCMP用研磨液と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態のCMP用研磨液によれば、第一実施形態に係るCMP用研磨液は、相対的に少ない砥粒の添加量でも二酸化珪素膜を高速に研磨でき、かつ、low−k膜を適切に研磨することができ、また、第二実施形態に係るCMP用研磨液は、相対的に少ない砥粒の添加量でも二酸化珪素膜を高速に研磨でき、かつ、シーム及びエロージョン等を抑制し平坦性に優れているため、コスト面でも有利である。もちろん凝集・沈降等の影響を受けない程度に砥粒を多く添加することは可能である。しかしながら本実施形態のCMP用研磨液において砥粒の添加量は少なくてよく、また砥粒の分散性も非常に高いため、例えば、CMP用研磨液を運搬・保存する際には、高濃度に濃縮することが可能である。すなわち、少なくともシリカ粒子を含む「スラリ」と、シリカ粒子以外の成分を含む1つ又は複数の「添加液」や「希釈液」とに分けて調製して保存し、CMP研磨工程に際して、それらを混合することにより調合して使用しうる。
(分液保存)
前記で説明してきたような金属溶解剤等の成分を含むことによって、研磨速度をより好ましい値に調整することができるが、研磨液中にこれらを予め混合しておくことによって、シリカ粒子の分散安定性が低下することがある。これを避けるために、本実施形態のCMP用研磨液は、少なくとも前記のシリカ粒子を含むスラリと、シリカ粒子以外の成分(例えば、シリカ粒子の分散安定性を低下させうる成分)を含む添加液と、に分けて調製して保存することができる。例えば、前記のシリカ粒子、金属溶解剤、金属酸化剤、金属防食剤及び水を含有するCMP用研磨液の場合、シリカ粒子の分散安定性に影響を与える可能性がある金属酸化剤とシリカ粒子とを分けて保存することができる。すなわち、金属酸化剤を含む添加液と、シリカ粒子、金属溶解剤、金属防食剤及び水を含有するスラリとに分けることができる。
(濃縮保存)
本実施形態のCMP用研磨液に使用されるシリカ粒子は、一次粒子径、シラノール基密度及びアスペクト比がこれまで説明した範囲にあり、相対的に少ない砥粒の含有量でも、二酸化珪素膜を高速に研磨でき、かつ、low−k膜を適切に研磨することができるため、媒体に高濃度に含有・分散させることができる。従来のシリカ粒子は、公知の方法で分散性を高めた場合であっても媒体100質量部に対して、せいぜい10質量部程度の含有量が限界であり、これ以上添加すると凝集・沈降が起こる。しかしながら、本実施形態のCMP用研磨液に使用されるシリカ粒子は、10質量部以上媒体に分散させることができ、12質量部程度までは容易に媒体に含有・分散させることが可能である。また、最大で18質量部程度まで含有・分散させることが可能である。このことは、本実施形態のCMP用研磨液が高い濃縮状態のCMP用研磨液用貯蔵液(CMP用研磨液用貯蔵液)で保存・運搬できることを意味しており、プロセス上極めて有利である。例えば、シリカ粒子を5質量部含有するCMP用研磨液として使用する場合、保存・運搬時には3倍以上濃縮することが可能であることを意味する。このように、CMP用研磨液を、使用時よりも3倍以上に濃縮されてなるCMP用研磨液用貯蔵液として保存・運搬できる。すなわち、CMP用研磨液用貯蔵液中の媒体の含有量は、前記CMP用研磨液中の前記媒体の含有量の1/3以下とすることができる。ただし、貯蔵中のシリカ粒子の分散安定性を確保するため、CMP用研磨液用貯蔵液中の媒体の含有量は、CMP用研磨液中の媒体の含有量の1/5以上であることが好ましい。
より具体的には、例えば、CMP用研磨液用貯蔵液100質量部に対して、少なくとも前記のシリカ粒子を10質量部以上含むCMP用研磨液用貯蔵液と、それ以外の成分を含む添加液と、希釈液とに分けて調製し、これらを研磨工程の直前に混合、又は、研磨時に所望の濃度になるように流量を調節しながら供給することで、所望のCMP用研磨液として使用することができる。希釈液としては、例えば、水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合溶媒が挙げられる。また、希釈液にも、シリカ粒子以外の成分を含ませることが可能であり、例えば、CMP用研磨液用貯蔵液と、金属酸化剤を含む希釈液としての過酸化水素水と、それ以外の成分を含む添加液とに分けることも可能である。前記添加液と希釈液とに分けなくとも分散安定性に支障がない場合は、両液を混合して用いてもよい。
なお、CMP用研磨液用貯蔵液中には、CMP用研磨液用貯蔵液100質量部に対して、前記シリカ粒子を含む砥粒が16質量部以上含まれていてもよい。なお、砥粒としては、上述のとおりシリカ粒子以外の粒子(例えば、アルミナ粒子)が含まれていてもよい。
(V.用途・使用方法)
以上のような本実施形態のCMP用研磨液を、半導体基板や電子機器製造のための研磨工程に適用することができる。より具体的には、半導体基板における配線の形成に適用できる。例えば、導電性物質層(導電性物質で構成された層)、バリア層(バリア金属で構成された層)及び絶縁膜(絶縁性物質で構成された膜)を備える基板のCMP研磨に使用することができる。ここで、「層」及び「膜」との語句は、局所的に層状又は膜状であればよいことを意味し、例えば基板全面において層状又は膜状であることを必ずしも意味するものではない。
第一実施形態に係るCMP用研磨液を使用した具体的な研磨方法の一つとしては、
一方の面に凹部を有しかつ一方の面における凹部以外の部分が二酸化珪素膜でキャップされたlow−k膜からなる絶縁膜と、絶縁膜をその表面に沿って被覆するバリア金属と、前記凹部を充填しかつバリア金属を被覆する導電性物質と、を備える基板を研磨する研磨方法であって、
導電性物質を研磨して凸部(凹部以外の部分)上の前記バリア金属を露出させる第1の研磨工程と、
第一実施形態に係るCMP用研磨液を供給しながら、バリア金属が露出した基板を研磨することで、少なくとも凸部上の前記バリア金属を研磨して凸部(二酸化珪素膜によりキャップされたlow−k膜からなる絶縁膜)を露出させる第2の研磨工程と、を含む研磨方法、
を挙げることができる。なお、第2の研磨工程においては、更に露出した二酸化珪素膜及びlow−k膜の一部を研磨して平坦化させる、いわゆるオーバー研磨を行うこともできる。
また、本実施形態のCMP用研磨液を濃縮状態で調製して、前記CMP用研磨液用貯蔵液として保存する場合の研磨方法としては、
一方の面に凹部を有しかつ一方の面における凹部以外の部分が二酸化珪素膜でキャップされたlow−k膜からなる絶縁膜と、絶縁膜をその表面に沿って被覆するバリア金属と、前記凹部を充填しかつバリア金属を被覆する導電性物質と、を備える基板を研磨する研磨方法であって、
前記CMP用研磨液用貯蔵液を、希釈液若しくは添加液又はその両方と混合して、第一実施形態に係るCMP用研磨液を調製する混合工程と、
導電性物質を研磨して凸部(凹部以外の部分)上の前記バリア金属を露出させる第1の研磨工程と、
第一実施形態に係るCMP用研磨液を供給しながら、バリア金属が露出した基板を研磨することで、少なくとも凸部上の前記バリア金属を研磨して凸部(二酸化珪素膜によりキャップされたlow−k膜からなる絶縁膜)を露出させる第2の研磨工程と、を含む研磨方法、
を挙げることができる。この際、前記混合工程は、前記第2の研磨工程が行われる時に同時に行ってもよい。すなわち、CMP用研磨液用貯蔵液、希釈液、添加液等を別々の配管で供給し、前記第2の研磨工程の系の中で混合する方法をとることができる。また、前記混合工程として、前記第2の研磨工程の前(第1の研磨工程の後)に、CMP用研磨液用貯蔵液、希釈液、添加液等を混合して、CMP用研磨液を調製しておく方法をとることもできる。
第二実施形態に係るCMP用研磨液を使用した具体的な研磨方法の一つとしては、
一方の面に凹部を有しかつ二酸化珪素からなる絶縁膜と、絶縁膜をその表面に沿って被覆するバリア金属と、前記凹部を充填しかつバリア金属を被覆する導電性物質と、を備える基板を研磨する研磨方法であって、
導電性物質を研磨して凸部(凹部以外の部分)上の前記バリア金属を露出させる第1の研磨工程と、
第二実施形態に係るCMP用研磨液を供給しながら、バリア金属が露出した基板を研磨することで、少なくとも凸部上の前記バリア金属を研磨して凸部(二酸化珪素からなる絶縁膜)を露出させる第2の研磨工程と、を含む研磨方法、
を挙げることができる。なお、第2の研磨工程においては、更に露出した二酸化珪素膜の一部を研磨して平坦化させる、いわゆるオーバー研磨を行うこともできる。
また、本実施形態のCMP用研磨液を濃縮状態で調製して、前記CMP用研磨液用貯蔵液として保存する場合の研磨方法としては、
一方の面に凹部を有しかつ二酸化珪素からなる絶縁膜と、絶縁膜をその表面に沿って被覆するバリア金属と、前記凹部を充填しかつバリア金属を被覆する導電性物質と、をこの順に備える基板を研磨する研磨方法であって、
前記CMP用研磨液用貯蔵液を、希釈液若しくは添加液又はその両方と混合して、第二実施形態に係るCMP用研磨液を調製する混合工程と、
導電性物質を研磨して凸部(凹部以外の部分)上の前記バリア金属を露出させる第1の研磨工程と、
第二実施形態に係るCMP用研磨液を供給しながら、バリア金属が露出した基板を研磨することで、少なくとも凸部上の前記バリア金属を研磨して凸部(二酸化珪素からなる絶縁膜)を露出させる第2の研磨工程と、を含む研磨方法、
を挙げることができる。この際、前記混合工程は、前記第2の研磨工程が行われる時に同時に行ってもよい。すなわち、CMP用研磨液用貯蔵液、希釈液、添加液等を別々の配管で供給し、前記第2の研磨工程の系の中で混合する方法をとることができる。また、前記混合工程として、前記第2の研磨工程の前(第1の研磨工程の後)に、CMP用研磨液用貯蔵液、希釈液、添加液等を混合して、CMP用研磨液を調製しておく方法をとることもできる。
前記導電性物質を形成する材料としては、例えば、銅、銅合金、銅の酸化物、銅合金の酸化物等の銅系金属;タングステン、窒化タングステン、タングステン合金等のタングステン系金属;銀、金等が主成分の金属などが挙げられる。この中でも、銅、銅合金、銅の酸化物及び銅合金の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の銅系金属が主成分である金属が好ましく、銅が主成分である金属がより好ましい。前記導電性物質は、公知のスパッタ法、メッキ法等により成膜することができる。なお、主成分とは、当該物質の含有量が50質量%を超えることを意味する。
絶縁膜としては、例えば、シリコン系被膜、有機ポリマー膜等が挙げられる。これらの膜は、CVD法、スピンコート法、ディップコート法、スプレー法等によって成膜される。なお、絶縁膜の一方の表面には、凹部が形成される。
シリコン系被膜を形成する材料としては、例えば、二酸化珪素、フルオロシリケートグラス、トリメチルシラン又はジメトキシジメチルシランを出発原料として得られるオルガノシリケートグラス、ポーラスオルガノシリケートグラス、シリコンオキシナイトライド、水素化シルセスキオキサン等のシリカ系被膜、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド等のlow−k膜(低誘電率膜)などが挙げられる。
また、有機ポリマー膜を形成する材料としては、例えば、全芳香環系low−k膜(全芳香族系低誘電率絶縁膜)等のlow−k膜などが挙げられる。
これらの中でも特に、オルガノシリケートグラスが好ましい。これらの絶縁膜は、CVD法、スピンコート法、ディップコート法又はスプレー法によって成膜される。なお、配線間容量を下げるという観点から、low−k膜は、誘電率が2.9以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましい。誘電率の下限は特に限定されないが、2.2以上が好ましい。なお、絶縁膜の誘電率は、例えば、水銀プローバを用いて測定することができる。
バリア金属は、絶縁膜中に導電性物質が拡散するのを防止するため、及び絶縁膜と導電性物質との密着性を向上させるために形成される。このようなバリア金属を形成する材料としては、タンタル系金属、チタン系金属、タングステン系金属、ルテニウム系金属、コバルト系金属及びマンガン系金属からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。具体的には、例えば、タンタル、窒化タンタル、タンタル合金等のタンタル系金属;チタン、窒化チタン、チタン合金等のチタン系金属;タングステン、タングステン合金等のタングステン系金属;ルテニウム、ルテニウム合金等のルテニウム系金属;コバルト、コバルト合金等のコバルト系金属;マンガン、マンガン合金等のマンガン系金属などが挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。また、バリア金属は、二層以上積層することもできる。
研磨する装置としては、例えば、研磨パッドにより研磨する場合、研磨される基板を保持できるホルダと、回転数を変更可能なモータ等に接続され研磨パッドが貼り付けられた定盤と、を有する一般的な研磨装置を使用できる。研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用できる。
研磨条件には制限はないが、定盤の回転速度は基板が飛び出さないように200min−1以下の低回転が好ましい。研磨圧力としては、1〜100kPaであることが好ましく、同一基板内でCMP速度のばらつきが少ないこと(CMP速度の面内均一性)及び研磨前に存在していた凹凸が解消し平坦になること(パターンの平坦性)をより好適に満足するためには、5〜50kPaであることがより好ましい。
研磨している間、研磨パッドにはCMP用研磨液がポンプ等で連続的に供給される。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常にCMP用研磨液で覆われていることが好ましい。研磨終了後の基板は、流水中でよく洗浄後、スピンドライ等を用いて基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。すなわち、本実施形態による研磨工程が実施された後、更に、基板洗浄工程が実施されることが好ましい。
以下、本発明の第一実施形態に係るCMP用研磨液を使用した具体的な研磨方法を、図4に示すような半導体基板における配線層の形成工程の具体例を示しながら、より詳細に説明する。なお、本実施形態の研磨方法がこれに限られないことは言うまでもない。
まず、図4(a)に示すように、シリコン基板21上にオルガノシリケートグラス等のlow−k膜22を成膜した後、その上部に二酸化珪素等のキャップ層23を積層し、low−k膜22及びキャップ層23からなる絶縁膜が形成された基板300を得る。次いで、レジスト層(図示せず)を形成し、エッチング等の公知の手段を用いて、絶縁膜表面を加工し、所定パターンの凹部24(基板露出部)を形成する。これにより、図4(b)に示すような凹部と、凹部が形成されていない***部(凹部以外の部分:凸部)とを有する基板310が形成される。次に、図4(c)に示すように、キャップ層23によりキャップされたlow−k膜22からなる絶縁膜をその表面の凹凸に沿って被覆するタンタル等のバリア金属を、蒸着又はCVD等により成膜し、バリア層25を備えた基板320を得る。
更に、図4(d)に示すように、前記凹部を充填しかつバリア層25を被覆するように、銅等の配線用金属からなる導電性物質を用いて、蒸着、めっき、CVD等の手法により導電性物質層26を形成して、本実施形態の研磨方法に供される基板330を形成する。low−k膜22及びキャップ層23から構成される絶縁膜、バリア層25並びに導電性物質層26の形成厚さは、それぞれ10〜2000nm、1〜100nm、10〜2500nm程度が好ましい。
次に、前記方法により作製された基板330を、本発明の第一実施形態に係るCMP用研磨液を用いて研磨する方法を、図2を参照しながら説明する。まず、図2(a)の基板200の表面の導電性物質15を、例えば、導電性物質/バリア金属の研磨速度比が充分大きい、第1のCMP用研磨液を用いて、CMPにより研磨する(第1の研磨工程)。これにより、図2(b)に示すように基板上の凸部のバリア金属14を露出させ、凹部に前記導電性物質15が残された所望の導体パターンが露出した基板210(図2(b))を得る。研磨条件によっては、わずかに導電性物質が残り、凸部のバリア金属の一部が露出しない場合もある(この状態は図示していない)が、本実施形態のCMP用研磨液は、導電性物質を研磨することもできるので、大半の導電性物質が除去されていれば差し支えない。
得られた基板210を、本発明の第一実施形態に係るCMP用研磨液(第2のCMP用研磨液)を使用して研磨する、第2の研磨工程を行う。第2の研磨工程では、導電性物質15、バリア金属14及び絶縁膜を構成するlow−k膜12及びキャップ層(二酸化珪素膜)13を研磨できる第2のCMP用研磨液を使用して、まず、少なくとも前記露出しているバリア金属14、凹部の導電性物質15の一部を研磨する。これにより、凸部を被覆するバリア金属を除去し、その下のキャップ層13を全て露出させる。
さらに、キャップ層13及びlow−k膜12の一部を除去して研磨を終了し、研磨終了後の基板220(図2(c))を得る。研磨終了後の基板220は、凹部に金属配線となる前記導電性物質15が埋め込まれ、導電性物質15とlow−k膜12との境界にバリア層14の断面が露出した形状となる。
ここで、本発明の第一実施形態に係るCMP用研磨液は、前記第1のCMP用研磨液及び第2のCMP用研磨液のどちらにも使用することができるが、二酸化珪素膜を高速に研磨でき、かつ、low−k膜を適切な速度で研磨することができるという特長を活かすためには、少なくとも前記第2のCMP用研磨液として使用されることが好ましい。
このようにして形成された金属配線の上に、更に、絶縁膜及び第2層目の金属配線を形成し、同様な工程を所定数繰り返すことにより、所望の配線層数を有する半導体基板を製造することができる(図示せず)。
また、本発明の第二実施形態に係るCMP用研磨液を使用した具体的な研磨方法は、前記low−k膜を成膜せず、絶縁膜として二酸化珪素膜を用いたこと以外は、前記実施形態と同様であるため、説明を割愛する。
本実施形態のCMP用研磨液は、前記のような半導体基板に形成された珪素化合物膜の研磨だけでなく、その他の膜の研磨にも好適に使用できる。例えば、所定の配線を有する配線板に形成された酸化珪素、ガラス、窒化珪素等からなる無機絶縁膜;フォトマスク・レンズ・プリズム等の光学ガラス;ITO等の無機導電膜;ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路・光スイッチング素子・光導波路;光ファイバの端面;シンチレータ等の光学用単結晶;固体レーザ単結晶;青色レーザ用LEDサファイア基板;SiC、GaP、GaAs等の半導体単結晶;磁気ディスク用ガラス基板;磁気ヘッド等の基板などを研磨するためにも使用することができる。
以下、実施例により本発明を説明する。但し、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。なお、下記において、「コロイダルシリカ粒子」はシリカ粒子の一例であり、「コロイダルシリカ」とは「コロイダルシリカ粒子」が液状媒体に分散したものとして定義される。
<実験A>
(I−1.シリカ粒子の特性評価)
本実施例に用いたシリカ粒子A〜Iのシラノール基密度(ρ)、二軸平均一次粒子径(R)、長径(L)、短径(B)、アスペクト比、BET比表面積(SBET)及びコロイダルシリカ中でのシリカ粒子の粒子径を評価した。結果は表1に示されるとおりである。
Figure 0006028432
(I−2.シリカ粒子の特性評価の方法)
なお、表1に示されるシリカ粒子A〜Iの特性は、下記のようにして調べた。
(1)二軸平均一次粒子径(R[nm])
適量のコロイダルシリカA〜Iを容器に入れ、その中に、パターン配線付きウエハを2cm角に切ったチップを約30秒浸した後、純水の入った容器に移して約30秒間すすぎ、そのチップを窒素ブロー乾燥した。その後、走査型電子顕微鏡(SEM)観察用の試料台に乗せ、加速電圧10kVを印加し、10万倍の倍率にてシリカ粒子を観察、画像を撮影し、SEM画像を得た。得られたSEM画像から、任意の粒子20個を選択した。図3に示すように、選択した粒子Pに外接し、その長径が最も長くなるように配置した長方形(外接長方形)Rを描き、その外接長方形Rの長径をL、短径をBとして、(L+B)/2として1粒子の二軸平均一次粒子径を算出した。この作業を任意の20粒子に対して実施し、得られた値の平均値を求め、二軸平均一次粒子径とした。
(2)長径(L)、短径(B)、アスペクト比
前記走査型電子顕微鏡で得られた画像から、任意の粒子20個を選択し、長径(L)、短径(B)及びアスペクト比(L/B)をそれぞれ算出した。得られた値の平均値を求め、長径(L)、短径(B)、アスペクト比とした。
(3)BET比表面積(SBET[m/g])
コロイダルシリカA〜Iをそれぞれ250℃で充分に真空脱気し、BET比表面積測定装置を用い、窒素ガスを吸着させる1点法により求めた。
(4)シラノール基密度(ρ[個/nm])
コロイダルシリカA〜Iを、それぞれ、含まれるシリカ粒子量(A[g])が1.5gとなるように量り取り、塩酸を加えてpH:3.0〜3.5に調整した。その後、塩化ナトリウムを30g添加し、更に超純水を添加して全量を150gにした。これを、水酸化ナトリウム溶液でpH:4.0に調整し、滴定用サンプルとした。
この滴定用サンプルのpHが9.0になるまで水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHが4.0から9.0になるまでに要した水酸化ナトリウム量(B[mol])を求めた。
これら2つの値と前記(3)で別途測定したBET比表面積(SBET[m/g])、アボガドロ数(N[個/mol])の値を下記式(1)に代入して、シラノール基密度を算出した。
ρ=B・N/A・SBET ……(1)
式(1)中、N[個/mol]はアボガドロ数、SBET[m/g]はシリカ粒子のBET比表面積をそれぞれ示す。
(5)コロイダルシリカ中でのシリカ粒子の粒子径
コロイダルシリカA〜Iを、それぞれ適量量り取り、動的光散乱方式粒度分布計が必要とする散乱光強度の範囲に入るように必要に応じて水で希釈して測定サンプル調整した。次にこの測定サンプルを、動的光散乱方式粒度分布計に投入し、散乱光基準モードで測定し、D50として得られる値を粒子径(平均粒径、二次粒子径)とした。
(II.研磨液の調製)
ブランケット基板を研磨するための各実施例及び比較例のCMP用研磨液を調製した。
(II−1.CMP用研磨液用貯蔵液の調製)
容器にリンゴ酸を1.2質量部、金属防食剤としてベンゾトリアゾールを0.3質量部入れ、そこに超純水をM質量部注ぎ、攪拌・混合して、両成分を溶解させた。次に、表1に示すシリカ粒子(コロイダルシリカ粒子)A〜Iの水分散液(コロイダルシリカA〜I)を準備した。
次に、表2に示されるシリカ粒子の種類及び配合量に従って、前記シリカ粒子A〜Iの水分散液を容器に添加し、「CMP用研磨液用貯蔵液」を得た。CMP用研磨液用貯蔵液において、CMP用研磨液用貯蔵液100質量部に対して合計12.0質量部に相当する量のシリカ粒子が含まれていた。なお、前記シリカ粒子A〜Iの水分散液(コロイダルシリカA〜I)は、それぞれ固形分(シリカ粒子含有量)が相違するため、前記超純水のM質量部は、貯蔵液全体の合計が100質量部になるよう計算して求めた。
(II−2.CMP用研磨液の調製)
前記CMP用研磨液用貯蔵液:100質量部に、超純水を200質量部添加して3倍に希釈し、「スラリ」を得た。次に、30質量%の過酸化水素水を、過酸化水素として0.2質量部に相当する量を添加し、攪拌・混合して、実施例1〜10、比較例1〜15のCMP用研磨液を調製した。このとき、シリカ粒子の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して4.0質量部であり、CMP用研磨液のpH(25℃)は2.4であった。
(II−3.CMP研磨液の特性)
(1)CMP研磨液中でのシリカ粒子のゼータ電位)
前記CMP研磨液中でのシリカ粒子のゼータ電位を測定した。測定装置として、BECKMAN COULTER社製、商品名:Delsa Nano Cを使用し、前記装置における測定サンプルの散乱強度が1.0×10〜5.0×10cpsとなるように、コロイダルシリカA〜Iを含む前記(II−2)のCMP用研磨液をそれぞれ希釈して測定サンプルを調製した。具体的にはCMP用研磨液に含まれるコロイダルシリカ粒子が、CMP用研磨液100質量部中に1.71質量部となるようにCMP用研磨液を純水で希釈したものを測定サンプルとし、ゼータ電位測定用セルに入れ、測定した。結果を表2に示す。
(2)シリカ粒子Xの質量比
シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmであり、アスペクト比が1.3以下のシリカ粒子をシリカ粒子Xとし、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmであり、アスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子をシリカ粒子Yとしたときの、シリカ粒子X及びYの全質量に対するシリカ粒子Xの質量比(X/(X+Y)×100)を求めた。結果を表2に示す。
(3)分散安定性
実施例1〜10で調製したCMP用研磨液用貯蔵液を、60℃で3日間保管したところ、砥粒の沈降は発生しなかった。
(4)CMP用研磨液中でのシリカ粒子の粒子径
実施例1〜10で調製したCMP用研磨液について、前記「コロイダルシリカ中でのシリカ粒子の粒子径」と同様にして、CMP用研磨液中でのシリカ粒径を求めたところ、いずれも、20〜80nmの範囲にあった。
(III.ブランケット基板の研磨)
[実験(A−1)]
砥粒として種々のシリカ砥粒を用いたCMP用研磨液を用いて、バリア金属(タンタル膜)を成膜したブランケット基板を研磨した際の研磨速度を調べた。具体的には、前記(II−2)で得られたCMP用研磨液を用いて、下記研磨条件で評価用チップであるブランケット基板(a)(タンタル膜)を研磨した。
(研磨条件)
・研磨・洗浄装置:日本エンギス株式会社製ラッピングマシーン(商品名:IMPTEC 10DVT)
・研磨パッド:スウェード状発泡ポリウレタン樹脂製研磨パッド
・回転数:90回/min
・研磨圧力:30kPa
・CMP用研磨液の供給量:150ml/min
・研磨時間:120sec
(ブランケット基板)
・ブランケット基板(a):
厚さ2.8μmのタンタル膜をスパッタ法で形成したシリコン基板を用意し、20mm角のチップに切り出してブランケット基板(a)とした。
(研磨速度の算出)
ブランケット基板(a)を研磨して洗浄し、研磨後の前記のブランケット基板(a)について、下記のようにして研磨速度を求めた。すなわち、ブランケット基板(a)について、研磨前後での抵抗を、抵抗測定装置(ナプソン株式会社製、商品名:RT−70)を用いて測定し、下記式により膜厚を換算した。得られた研磨前後の膜厚差から、ブランケット基板(a)の研磨速度(Å/min)を求めた。研磨速度の測定結果を表2の研磨速度欄の(a)Ta欄に示す。
ブランケット基板(a)の膜厚(Å)=タンタルの比抵抗値(0.160mΩcm)×10/ブランケット基板(a)の抵抗値(Ω)
[実験(A−2)]
砥粒として種々のシリカ砥粒を用いたCMP用研磨液を用いて、タンタル以外の物質を成膜したブランケット基板を研磨した際の研磨速度を調べた。具体的には、前記(II−2)で得られたCMP用研磨液を用いて、下記研磨条件でそれぞれブランケット基板(b)〜(f)を研磨した。
(研磨条件)
・研磨・洗浄装置:CMP用研磨機(Applied Materials社製、商品名:Reflexion LK(「Reflexion」は、登録商標。))
・研磨パッド:発泡ポリウレタン樹脂(Rohm and Haas社製、商品名:VP3100)
・定盤回転数:93回/min
・ヘッド回転数:87回/min
・研磨圧力:10kPa
・CMP用研磨液の供給量:300ml/min
・研磨時間:ブランケット基板(b):120sec、ブランケット基板(c):60sec、ブランケット基板(d):60sec、ブランケット基板(e)(f):90sec
(ブランケット基板)
・ブランケット基板(b):
厚さ1.6μmの銅膜をスパッタ法で形成したシリコン基板。
・ブランケット基板(c):
厚さ2.8μmの窒化タンタル膜をスパッタ法で形成したシリコン基板。
・ブランケット基板(d):
厚さ1μmの二酸化珪素膜をCVD法で形成したシリコン基板。
・ブランケット基板(e):
厚さ0.5μmのSiOC膜(low−k膜)をCVD法で形成したシリコン基板(株式会社アドバンテック製、商品名:BD膜)。
・ブランケット基板(f):
厚さ1600ÅのSiOC膜(low−k膜)をCVD法で形成したシリコン基板(株式会社アドバンテック製、商品名:BDIIX膜)。
(研磨速度の算出)
各ブランケット基板を研磨して洗浄し、研磨後のブランケット基板それぞれについて、下記のようにして研磨速度を求めた。
ブランケット基板(b)、(c)については、研磨前後での膜厚を金属膜厚測定装置(株式会社日立国際電気製、商品名:VR−120/08S)を用いて測定し、その膜厚差から研磨速度を求めた。研磨速度の測定結果を表2の研磨速度欄の(b)Cu欄及び(c)TaN欄に示す。
ブランケット基板(d)、(e)、(f)については、研磨前後での膜厚を膜厚測定装置(大日本スクリーン製造株式会社製、商品名:RE−3000)を用いて測定し、その膜厚差から研磨速度を求めた。研磨速度の測定結果を表2の研磨速度欄の(d)SiO欄、(e)BD欄及び(f)BDIIX欄に示す。
Figure 0006028432
(IV.評価結果)
比較例1〜3のCMP用研磨液は、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmを満たすシリカ粒子であるが、アスペクト比が1.3以下のシリカ粒子が単独で用いられているCMP用研磨液である。表2から明らかなように、これらのCMP用研磨液は、二酸化珪素に対する研磨速度が遅かった。
また、比較例4〜6のCMP用研磨液は、シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3以下を満たすシリカ粒子(シリカ粒子X)が単独で用いられているCMP用研磨液である。表2から明らかなように、比較例4及び6は、low−k膜であるBD膜に対する研磨速度が速く、過剰に研磨されてしまうことがわかった。また、比較例4〜6はいずれもBDIIX膜に対する研磨速度が速く、過剰に研磨されてしまうことがわかった。また、比較例5及び6はタンタルに対する研磨速度が遅いことが分かった。
更に、比較例7〜9のCMP用研磨液は、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子(シリカ粒子Y)が単独で用いられているCMP用研磨液である。表2から明らかなように、バリア金属であるタンタルに対する研磨速度が遅いことが分かった。
シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3以下を満たすシリカ粒子(シリカ粒子X)と、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmを満たすシリカ粒子でありかつアスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子(シリカ粒子Y)と、を併用しているが、シリカ粒子Xの質量比(X/(X+Y)×100)が30〜95%でない比較例10〜12のCMP用研磨液は、low−k膜であるBD膜及びBDIIX膜に対する研磨速度を抑制できるが、タンタル膜に対する研磨速度が遅いことが分かった。
シリカ粒子が単独で用いられてはいないが、シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3以下を満たすシリカ粒子(シリカ粒子X)と、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmを満たすシリカ粒子でありかつアスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子(シリカ粒子Y)との組合せではない比較例13〜15は、いずれかの膜に対する研磨速度が良好ではなかった。すなわち、比較例13はBD膜及びBDIIX膜に対する研磨速度が速く、比較例14は二酸化珪素に対する研磨速度が遅く、比較例15はタンタルに対する研磨速度が遅かった。
以上の結果から明らかなように、比較例1〜15は、タンタル若しくは二酸化珪素に対する研磨速度が遅い、又は、BD膜及びBDIIX膜に対する研磨速度が速過ぎるという点で、実施例1〜10と比べて劣るものであった。これに対し、実施例1〜10のCMP用研磨液は、含まれる砥粒が、シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3以下のシリカ粒子Xと、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子Yとを含む混合物であり、シリカ粒子Xの質量比(X/(X+Y)×100)が30〜95%であることから、タンタル、銅、窒化タンタル、二酸化珪素を高速に研磨でき、かつ、low−k膜であるBD膜及びBDIIX膜に対する研磨速度が小さいことがわかった。このため、例えば、導電性物質層、バリア層及び絶縁膜を構成するlow−k膜及びキャップ層(二酸化珪素膜)を有する基板に対する研磨を、良好な特性で行うことができる。
<実験B>
(I.研磨液の調製)
パターン付き基板を研磨するための各実施例及び比較例のCMP用研磨液を調製した。研磨液中に含まれるシリカ粒子の各種特性は、実験Aと同様にして評価した。
(I−1.CMP用研磨液用貯蔵液の調製)
容器にリンゴ酸を1.2質量部、金属防食剤として1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを0.3質量部入れ、そこに超純水をM質量部注ぎ、さらにメタクリル酸とアクリル酸の共重合体(共重合比99/1、重量平均分子量7500。以下「PMAA」という。)の36.5%水溶液を、PMAAとして0.06質量部含まれるよう添加し、攪拌混合して全ての成分を溶解させた。次に、表3に示すコロイダルシリカを準備し、これをシリカ粒子として合計12.0質量部に相当する量容器に添加し、「CMP用研磨液用貯蔵液」を得た。なお、前記コロイダルシリカは、それぞれ固形分(シリカ粒子含有量)が相違するため、前記超純水のM質量部は、合計が100質量部になるよう計算して求めた。
(I−2.CMP用研磨液の調製)
前記CMP用研磨液用貯蔵液:100質量部に、超純水を200質量部添加して3倍に希釈し、「スラリ」を得た。次に、30質量%の過酸化水素水を過酸化水素として0.1質量部に相当する量を添加し、攪拌・混合して実施例11〜15、比較例16〜26のCMP用研磨液を調製した。このとき、シリカ粒子の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して4.0質量部であり、CMP用研磨液のpH(25℃)は2.4であった。
(II.パターン付き基板の研磨)
砥粒として種々のシリカ粒子を用いたCMP用研磨液を用いて、配線パターンを有する半導体基板を研磨した際の二酸化珪素膜研磨量、エロージョン及びシームの発生程度を調べた。具体的には、前記(I−2)で得られたCMP用研磨液を用いて、下記研磨条件でパターン付き基板を研磨した。
(研磨条件)
・研磨・洗浄装置:CMP用研磨機(Applied Materials社製、商品名:Reflexion LK(「Reflexion」は、登録商標。))
・研磨パッド:発泡ポリウレタン樹脂(Rohm and Haas社製、商品名:IC1010)
・定盤回転数:93回/min
・ヘッド回転数:87回/min
・研磨圧力:10kPa
・CMP用研磨液の供給量:300ml/min
(パターン付き基板)
直径12インチ(30.5cm)(Φ)サイズのパターン付き基板(ADVANTECH製 SEMATECH754)を用意した(成膜厚さ:銅 1000nm、タンタル 25nm、二酸化珪素 500nm)。この基板を、公知の銅研磨用研磨剤を用いて、バリア金属が露出するまで研磨して、評価用のパターン付き基板を準備した。
(各種評価)
評価用のパターン付き基板をCMP用研磨液で研磨して洗浄し、研磨処理時における二酸化珪素膜の研磨量、エロージョン量およびシーム量を評価した。なお、評価用のパターン付き基板の研磨は、配線幅100μmの銅配線部、配線幅100μmの絶縁膜部をもつパターン領域における前記銅配線部のディッシング量が20nm以下となるまで行った。
・二酸化珪素膜研磨量
前記条件でバリア金属を完全に研磨したパターン付き基板の二酸化珪素膜の研磨量を、卓上型光干渉式膜厚測定システム ナノスペックM5000(ナノメトリックス製)で測定した。結果を表3の「SiO研磨量」として示す。
・エロージョン評価方法
研磨後のパターン付き基板において、配線幅9μmの銅配線部、配線幅1μmの絶縁膜部を有するパターン(L/S=9/1μm)を、接触式段差計(ケーエルエー・テンコール製P−16)で走査して、絶縁膜部の膜厚と配線部の膜厚との差を測定し、その絶対値をエロージョン量とした。結果を表3に示す。
・シーム評価方法
研磨後のパターン付き基板において、配線幅100μmの銅配線部、配線幅100μmの絶縁膜部パターン(L/S=100/100μm)を、接触式段差計(ケーエルエー・テンコール製P−16)で走査し、銅配線部近傍の絶縁膜部が過剰に研磨された段差量を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006028432
(III.評価結果)
表3から明らかなように、比較例16のCMP用研磨液は、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子(シリカ粒子Y)が単独で用いられているCMP用研磨液である。このCMP用研磨液では、シームの低減は達成しているが、エロージョンの低減は達成することができなかった。
また、比較例19、22、23のCMP用研磨液は、シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3以下であるシリカ粒子(シリカ粒子X)が単独で用いられているCMP用研磨液である。そのため、比較例19、22ではエロージョンの低減は達成しているが、シームの低減は達成することができなかった。一方、比較例23では、エロージョン及びシームの低減を達成することができなかった。
また、比較例20、21のCMP用研磨液は、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmを満たすシリカ粒子であるが、アスペクト比が1.3を超えないシリカ粒子が用いられているため、エロージョン及びシームの低減を達成することができなかった。これらの結果は、主としていずれもシリカ粒子が単独で用いられていることによる。
しかし、シリカ粒子が単独で用いられてはいないが、シリカ粒子Xの質量比(X/(X+Y)×100)が20〜80%でないシリカ粒子を用いた比較例17、18のCMP用研磨液は、エロージョン又はシームが低減していないことが分かった。
シリカ粒子が単独で用いられてはいないが、シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmで、アスペクト比が1.3以下を満たすシリカ粒子(シリカ粒子X)と、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmを満たすシリカ粒子であり、アスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子(シリカ粒子Y)との組合せではない比較例24〜26は、エロージョン又はシームのいずれかが低減していないことがわかった。具体的には、比較例24のCMP用研磨液は、シームを低減できず、比較例25、26のCMP用研磨液は、エロージョンを低減できなった。これらの結果は、シリカ粒子が単独で用いられてはいないが、いずれのシリカ粒子のシラノール基密度も、比較例24では3.0〜5.0個/nm、比較例26では1.0〜2.0個/nmであり、同種のシリカ粒子が用いられているためである。また、比較例25では、シラノール基密度1.0〜2.0個/nmでありかつアスペクト比1.3を超えているシリカ粒子と、シラノール基密度1.0〜2.0個/nmでありかつアスペクト比1.3以下のシリカ粒子が用いられているためである。
これに対し、実施例11〜15のCMP用研磨液は、砥粒が、シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3以下のシリカ粒子Xと、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子Yとを含み、シリカ粒子Xの質量比(X/(X+Y)×100)が20〜80%であることから、二酸化珪素膜の研磨速度を高速に維持しつつ、エロージョン及びシームを低減できることが分かった。
1、11、21…シリコン基板(基体)、2…絶縁膜、12、22…low−k膜、3、14、25…バリア金属(バリア層)、4、15、26…導電性物質(導電性物質層)、13、23…キャップ層、24…凹部、P…粒子、R…外接長方形、L…外接長方形の長径、B…外接長方形の短径。

Claims (16)

  1. 媒体と、前記媒体に分散している砥粒とを含むCMP用研磨液であって、
    前記砥粒が、シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3以下のシリカ粒子Xと、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子Yとを含み、
    前記シリカ粒子X及び前記シリカ粒子Yの全質量に対する前記シリカ粒子Xの質量比が30〜95%である、CMP用研磨液。
  2. 媒体と、前記媒体に分散している砥粒とを含むCMP用研磨液であって、
    前記砥粒が、シラノール基密度が3.0〜5.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3以下のシリカ粒子Xと、シラノール基密度が1.0〜2.0個/nmでありかつアスペクト比が1.3を超えるシリカ粒子Yとを含み、
    前記シリカ粒子X及び前記シリカ粒子Yの全質量に対する前記シリカ粒子Xの質量比が20〜80%である、CMP用研磨液。
  3. 金属防食剤をさらに含む、請求項1又は2記載のCMP用研磨液。
  4. 前記金属防食剤がトリアゾール骨格を有する化合物である、請求項3記載のCMP用研磨液。
  5. 前記砥粒のCMP用研磨液中でのゼータ電位が+5mV以上である、請求項1〜4のいずれか一項記載のCMP用研磨液。
  6. 前記シリカ粒子X及び前記シリカ粒子Yの少なくとも一方がコロイダルシリカ粒子である、請求項1〜5のいずれか一項記載のCMP用研磨液。
  7. 前記シリカ粒子X及び前記シリカ粒子Yの含有量が、CMP用研磨液100質量部に対して1.0〜10質量部である、請求項1〜6のいずれか一項記載のCMP用研磨液。
  8. pHが6.0以下である、請求項1〜7のいずれか一項記載のCMP用研磨液。
  9. 金属溶解剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項記載のCMP用研磨液。
  10. 金属酸化剤をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項記載のCMP用研磨液。
  11. CMP用研磨液用貯蔵液中の媒体の含有量が、請求項1〜10のいずれか一項記載のCMP用研磨液中の前記媒体の含有量の1/3以下である、CMP用研磨液用貯蔵液。
  12. 前記シリカ粒子X及び前記シリカ粒子Yの含有量が、CMP用研磨液用貯蔵液100質量部に対して10質量部以上である、請求項11に記載のCMP用研磨液用貯蔵液。
  13. 一方の面に凹部を有しかつ前記一方の面における前記凹部以外の部分が二酸化珪素膜でキャップされたlow−k膜からなる絶縁膜と、前記絶縁膜を被覆するバリア金属と、前記凹部を充填しかつ前記バリア金属を被覆する導電性物質と、を備える基板を研磨する研磨方法であって、
    前記導電性物質を研磨して前記凹部以外の部分の上部に位置する前記バリア金属を露出させる第1の研磨工程と、
    前記凹部以外の部分の上部に位置する前記バリア金属を研磨して、前記絶縁膜を露出させる第2の研磨工程と、を含み、
    少なくとも前記第2の研磨工程で、請求項1〜10のいずれか一項記載のCMP用研磨液を供給しながら研磨する、研磨方法。
  14. 一方の面に凹部を有しかつ前記一方の面における前記凹部以外の部分が二酸化珪素膜でキャップされたlow−k膜からなる絶縁膜と、前記絶縁膜を被覆するバリア金属と、前記凹部を充填しかつ前記バリア金属を被覆する導電性物質と、を備える基板を研磨する研磨方法であって、
    請求項11又は12記載のCMP用研磨液用貯蔵液と、希釈液及び添加液の少なくとも一方とを混合して、CMP用研磨液を調製する混合工程と、
    前記導電性物質を研磨して前記凹部以外の部分の上部に位置する前記バリア金属を露出させる第1の研磨工程と、
    前記凹部以外の部分の上部に位置する前記バリア金属を研磨して、前記絶縁膜を露出させる第2の研磨工程と、を含み、
    少なくとも前記第2の研磨工程で、前記CMP用研磨液を供給しながら研磨する、研磨方法。
  15. 一方の面に凹部を有しかつ二酸化珪素からなる絶縁膜と、前記絶縁膜を被覆するバリア金属と、前記凹部を充填しかつ前記バリア金属を被覆する導電性物質と、を備える基板を研磨する研磨方法であって、
    前記導電性物質を研磨して前記凹部以外の部分の上部に位置する前記バリア金属を露出させる第1の研磨工程と、
    前記凹部以外の部分の上部に位置する前記バリア金属を研磨して、前記絶縁膜を露出させる第2の研磨工程と、を含み、
    少なくとも前記第2の研磨工程で、請求項1〜10のいずれか一項記載のCMP用研磨液を供給しながら研磨する、研磨方法。
  16. 一方の面に凹部を有しかつ二酸化珪素からなる絶縁膜と、前記絶縁膜を被覆するバリア金属と、前記凹部を充填しかつ前記バリア金属を被覆する導電性物質と、を備える基板を研磨する研磨方法であって、
    請求項11又は12記載のCMP用研磨液用貯蔵液と、希釈液及び添加液の少なくとも一方とを混合して、CMP用研磨液を調製する混合工程と、
    前記導電性物質を研磨して前記凹部以外の部分の上部に位置する前記バリア金属を露出させる第1の研磨工程と、
    前記凹部以外の部分の上部に位置する前記バリア金属を研磨して、前記絶縁膜を露出させる第2の研磨工程と、を含み、
    少なくとも前記第2の研磨工程で、前記CMP用研磨液を供給しながら研磨する、研磨方法。
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