JP6026997B2 - リチウム二次電池の正極活物質及びリチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、層状岩塩構造を有する、リチウム二次電池の正極活物質に関する。また、本発明は、かかる正極活物質を用いたリチウム電池に関する。
リチウム二次電池(リチウムイオン二次電池と称されることもある)における正極活物質として、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物(リチウム遷移金属酸化物)を用いたものが、広く知られている(例えば、特開平5−226004号公報、特開2003−132887号公報、等参照。)。
この種の正極活物質においては、その内部でのリチウムイオン(Li)の拡散が(003)面の面内方向(すなわち(003)面と平行な平面内の任意の方向)で行われること、及び、(003)面以外の結晶面(例えば、(101)面や(104)面)でリチウムイオンの出入りが生じることが知られている。
そこで、この種の正極活物質において、リチウムイオンの出入りが良好に行われる結晶面((003)面以外の面:例えば、(101)面や(104)面)をより多く電解質と接触する表面に露出させることで、リチウム二次電池の電池特性を向上させる試みがなされている(例えば、国際公開第2010/074304号公報等参照)。
また、この種の正極活物質において、内部に気孔(空孔あるいは空隙とも称される)を形成したものが知られている(例えば、特開2002−75365号公報、特開2004−083388号公報、特開2009−117241号公報、等参照。)。
リチウム二次電池において、電池特性、特に、ハイレートでの放電電圧(以下、単に「出力特性」と称する)や、ハイレートでの放電容量(以下、単に「レート特性」と称する。)を、よりいっそう向上することが求められている。本発明は、この種の正極活物質において、従来のものよりも、さらに特性が向上したものを提供するためになされたものである。
本発明に係る、リチウム二次電池の正極活物質(以下、「本発明の正極活物質」あるいは単に「正極活物質」と称する。)は、層状岩塩構造を有するものであって、以下の特徴を備えたものである。
(1)前記正極活物質は、平均粒子径が0.01μm以上5μm以下である多数の一次粒子からなる、二次粒子を含有する。
(2)前記二次粒子は、以下の特徴を備えたものである。
・(003)面の配向率が、60%以上(好ましくは75%以上)である。
・平均粒子径が、1μm以上100μm以下である。
・長軸径を短軸径で除した値であるアスペクト比が、1.0以上2未満である。
・空隙率が、3%以上30%以下である。
・平均気孔径が、0.1μm以上5μm以下である。
・前記平均気孔径で前記一次粒子の平均粒子径を除した値が、0.1以上5以下である。
また、本発明に係るリチウム二次電池は、正極活物質層を含む正極と、負極活物質層を含む負極と、を備えている。そして、本発明に係るリチウム二次電池においては、前記正極活物質層は、前記一次粒子(層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物の単結晶一次粒子)が複数集合してなる前記二次粒子として形成された前記正極活物質を含有している。
ここで、「層状岩塩構造」とは、リチウム層とリチウム以外の遷移金属層とが酸素の層を挟んで交互に積層された結晶構造(典型的にはα−NaFeO型構造:立方晶岩塩型構造の[111]軸方向に遷移金属とリチウムとが規則配列した構造)をいう。
本発明の正極活物質を構成する、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物としては、典型的には、コバルト酸リチウム(LiCoO)を用いることができる。もっとも、コバルトの他にニッケルやマンガン等を含有した固溶体を、本発明の正極活物質を構成するリチウム複合酸化物として用いることも可能である。具体的には、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル・マンガン酸リチウム、ニッケル・コバルト酸リチウム、コバルト・ニッケル・マンガン酸リチウム、コバルト・マンガン酸リチウム等を、本発明の正極活物質を構成するリチウム複合酸化物として用いることが可能である。さらに、これらの材料に、Mg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Sb,Te,Ba,Bi等の元素が、1種以上含まれていてもよい。
具体的には、例えば、本発明の正極活物質を構成するリチウム複合酸化物として、下記の組成式で表されるものが利用可能である。
・組成式(1):LiMeO
(上記組成式(1)中、0.9≦p≦1.3である。Meは、Mn、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、Zr、B、及びMoからなる群から選択された少なくとも1種類の金属元素を示す。)
・組成式(2):xLiMO−(1−x)LiMeO
(上記組成式(2)中、0<x<1であり、0.9≦p≦1.3である。M及びMeは、それぞれ独立的に、Mn、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、Zr、B、及びMoからなる群から選択された少なくとも1種類の金属元素を示す。)
上記の組成式(1)及び(2)における“Me”は、平均酸化状態が“+3”である少なくとも1種類の金属元素であればよく、Mn、Ni、Co及びFeからなる群から選択された少なくとも1種類の金属元素であることが好ましい。また、上記の組成式(2)における“M”は、平均酸化状態が“+4”である少なくとも1種類の金属元素であればよく、Mn、Zr及びTiからなる群から選択された少なくとも1種類の金属元素であることが好ましい。
また、本発明にて好適に用いられるニッケル−コバルト−アルミニウム系の正極活物質は、以下の一般式で表される組成を有している。
・一般式:Li(Ni,Co,Al)O
(上記一般式中、0.9≦p≦1.3,0.6<x≦0.9,0.05≦y≦0.25,0≦z≦0.2,x+y+z=1)
上記一般式中、pの好ましい範囲は0.9≦p≦1.3であり、より好ましい範囲は1.0≦p≦1.1である。pが0.9未満であると、放電容量が低下するので、好ましくない。また、pが1.3以上であると、放電容量が低下したり、充電時の電池内部のガス発生が多くなったりするので、好ましくない。
また、上記一般式中、xが0.6未満であると、放電容量が低下するので、好ましくない。また、xが0.9を超えると、安定性が低下するので、好ましくない。xは、好ましくは、0.7〜0.85である。
また、上記一般式中、yが0.05以下であると、結晶構造が不安定になるので、好ましくない。また、yが0.25を超えると、放電容量が低下するので、好ましくない。yは、好ましくは、0.10〜0.20である。
また、上記一般式中、zが0.2を超えると、放電容量が低下するので、好ましくない。zは、好ましくは、0.01〜0.1である。
「一次粒子」とは、凝集体を形成せず単独で存在する粒子をいう。特に、「単結晶一次粒子」とは、内部に結晶粒界を含まない一次粒子をいう。これらに対し、一次粒子が凝集したものや、単結晶一次粒子が複数(多数)集合したものを、「二次粒子」という。
「平均粒子径」は、粒子の直径の平均値である。かかる「直径」は、典型的には、当該粒子を同体積あるいは同断面積を有する球形と仮定した場合の、当該球形における直径である。なお、「平均値」は、個数基準で算出されたものが適している。前記一次粒子の平均粒子径は、例えば、前記二次粒子の表面あるいは断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察することで求めることが可能である。
「(003)面の配向率」とは、前記二次粒子内の(003)面の配向割合を百分率で表示したものをいう。すなわち、前記二次粒子における(003)面の配向率が60%であるということは、当該二次粒子内に含まれる多数の(003)面(層状岩塩構造における(003)面)のうちの6割が互いに平行であることに相当する。よって、この値が高いほど、前記二次粒子における(003)面の配向度が高い(具体的には、当該二次粒子を構成する多数の単結晶の前記一次粒子が、それぞれの(003)面が可能な限り互いに平行になるように設けられている)ということができる。一方、この値が低いほど、前記二次粒子における(003)面の配向度が低い(具体的には、当該二次粒子を構成する多数の単結晶の前記一次粒子が、それぞれの(003)面が「ばらばら」な方向を向くように設けられている)ということができる。
なお、前記二次粒子には、上述のように多数の前記一次粒子が含まれている。そして、前記一次粒子は、単結晶であるので、これ自体についての配向率は問題とならない。そこで、前記二次粒子内の多数の前記一次粒子の配向状態を、当該二次粒子全体としての(003)面の配向状態として捉える、という観点から、前記二次粒子における(003)面の配向率は、「前記二次粒子における前記一次粒子の(003)面の配向率」と言い換えることも可能である。
(003)面の配向率は、例えば、前記二次粒子の板面あるいは断面(クロスセクションポリッシャや集束イオンビーム等により加工したもの)について、電子後方散乱回折像法(EBSD)や透過電子顕微鏡(TEM)等を用いて当該二次粒子内の各一次粒子における(003)面の方位を特定し、方位の揃った(±10度以内にある)一次粒子数の、全一次粒子数に対する割合を算出することで、求めることができる。
「アスペクト比」は、粒子の長手方向の径(長軸径)と短手方向の径(短軸径)との比である。この値が1に近いほど、粒子は球状に近い形状であるといえる。
「空隙率(voidage)」は、本発明の正極活物質における、空隙(気孔:開気孔及び閉気孔を含む)の体積比率である。「空隙率」は、「気孔率(porosity)」と称されることもある。この「空隙率」は、例えば、嵩密度と真密度とから計算上求められる。
「平均気孔径」は、前記二次粒子内の気孔の、直径の平均値である。この「直径」は、典型的には、当該気孔を同体積あるいは同断面積を有する球形と仮定した場合の、当該球形における直径である。なお、「平均値」は、個数基準で算出されたものが適している。また、平均気孔径は、例えば、前記二次粒子の断面のSEM写真の画像処理や、水銀圧入法等の、周知の方法によって求めることが可能である。
すなわち、本発明の発明者らは、鋭意検討の結果、
・層状岩塩構造を有する前記正極活物質の前記二次粒子における(003)面を実質的に一軸配向させること(前記二次粒子を構成する多数の単結晶の前記一次粒子を、それぞれの(003)面が可能な限り互いに平行になるように、当該二次粒子内に設けること:具体的には、前記二次粒子における前記一次粒子の(003)面の配向率が60%以上(好ましくは75%以上)となるようにすること)とともに、
・前記二次粒子における平均粒子径、アスペクト比、空隙率、平均気孔径、及び、前記平均気孔径で前記一次粒子の平均粒子径を除した値を、上記の所定範囲とすること
によって、電池特性をよりいっそう向上させることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
かかる構成を有する、本発明の前記正極活物質においては、前記二次粒子中の前記気孔の周辺に多数の前記一次粒子が存在するとともに、隣り合う複数の前記一次粒子同士で電子伝導及びリチウムイオン拡散の方向(特に電子伝導の方向)が良好に揃う。このため、前記二次粒子中における電子伝導及びリチウムイオン拡散の経路(特に電子伝導の経路)が良好に確保される。したがって、本発明によれば、従来よりもさらにいっそう電池特性を向上させることが可能となる。
なお、「平均一次粒子径/平均気孔径」の値が上述のように0.1以上5以下のとき、前記二次粒子におけるリチウムイオン伝導性及び電子伝導性が最大限に引き出される。
これに対し、「平均一次粒子径/平均気孔径」の値が0.1より小さい場合、前記気孔の周辺に存在する前記一次粒子の数が多くなり過ぎることで粒界抵抗が大きくなり過ぎ、以て出力特性やレート特性が低下する。
一方、「平均一次粒子径/平均気孔径」の値が5より大きい場合、前記気孔の周辺に存在する前記一次粒子同士の接触点が少なくなるために、電子伝導及びリチウムイオン拡散の経路(特に電子伝導の経路)が確保され難くなり、以て出力特性が低下する。特に、前記二次粒子の配向性が高い場合、電子伝導及びリチウムイオン拡散の経路が(003)面を横断する頻度が高くなる(このような(003)面を横断する電子伝導やリチウムイオンの拡散は困難である)ため、出力特性の低下が顕著となる。
本発明の一実施形態が適用されたリチウム二次電池の概略構成を示す断面図である。 図1に示されている正極板の拡大断面図である。 図2に示されている本実施形態の正極活物質粒子を模式的に示す拡大図である。 図3に示されている本実施形態の正極活物質粒子の走査電子顕微鏡写真である。 図3に示されている本実施形態の正極活物質粒子におけるリチウムイオン拡散の様子を、従来の正極活物質の場合と対比して模式的に示す、一部拡大図である。 図2に示されている本実施形態の正極活物質粒子の製造方法の一例を模式的に示す図である。 図3に示されている正極活物質粒子の一変形例の構成を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態を、実施例及び比較例を用いつつ説明する。なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件、実施可能要件等)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。
よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態や実施例の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。なお、本実施形態や実施例に対して施され得る各種の変更の例示は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、主として末尾にまとめて記載されている。
1.リチウム二次電池の構成
図1は、本発明の一実施形態が適用されたリチウム二次電池1の概略構成を示す断面図である。以下図1を参照すると、このリチウム二次電池1は、いわゆる液体型のコインセルであって、正極板2と、負極板3と、セパレータ4と、電解液5と、電池ケース6と、を備えている。
正極板2は、正極集電体21と正極活物質層22とを積層することによって形成されている。同様に、負極板3は、負極集電体31と負極活物質層32とを積層することによって形成されている。
リチウム二次電池1は、正極集電体21と、正極活物質層22と、セパレータ4と、負極層31と、負極集電体32と、を、この順に積層し、この積層体とリチウム化合物を電解質として含む電解液5とを電池ケース6(正極側容器61と、負極側容器62と、絶縁ガスケット63と、を含む)内に液密的に封入することによって形成されている。
このリチウム二次電池1における、正極活物質層22以外の部分は、従来周知の種々の材料を用いて形成することが可能である。例えば、負極層31を構成する負極活物質としては、ソフトカーボンやハードカーボン等のアモルファス系炭素質材料、人造黒鉛や天然黒鉛等の高黒鉛化炭素材料、アセチレンブラック、等を用いることができる。これらの中でも、リチウム容量の大きい高黒鉛化炭素材料を用いることが好ましい。これらの負極活物質を用いて調製した負極材を、金属箔等からなる負極集電体32上に塗工することで、負極板3が形成されている。
非水系の電解液5に用いられる有機溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)等の炭酸エステル系溶媒の他、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の単独溶媒、又はこれらの混合溶媒が好適である。
電解液5中に含まれる電解質としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)やホウフッ化リチウム(LiBF)等のリチウム錯体フッ素化合物;過塩素酸リチウム(LiClO)等のリチウムハロゲン化物;等を用いることが可能である。なお、これらの電解質の一種以上を前述の有機溶媒に溶解することで、電解液5が調製されるのが通常である。これらの中でも、酸化分解が起こり難く、非水電解液の導電性の高い、LiPFを用いることが好適である。
なお、リチウム二次電池1における正極活物質層22以外の部分は周知であるので、これらの部分についてのこれ以上の詳細な説明については、本明細書では省略する。
2.正極活物質層及び正極活物質粒子の構成
図2は、図1に示されている正極板2の拡大断面図である。図2を参照すると、正極活物質層22は、結着材221、及びこの結着材221中に均一に分散された正極活物質粒子222と導電助剤(カーボン等)とからなり、正極集電体21と接合されている。すなわち、正極板2は、正極活物質粒子222と、結着材221としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)等と、導電剤としてのアセチレンブラック等とを、所定の割合で混合することで正極材を調製し、かかる正極材を金属箔等からなる正極集電体21の表面に塗工することによって形成されている。
本実施形態に係る正極活物質粒子222は、平均粒子径が1μm以上100μm以下の微粒子であって、略球体状ないし略回転楕円体状、具体的にはアスペクト比が1.0以上2未満(好ましくは1.1〜1.5)となるように形成されている。
図3は、図2に示されている本実施形態の正極活物質粒子222(後述の実施例1)を模式的に示す拡大図である。また、図4は、図3に示されている本実施形態の正極活物質粒子222のSEM写真である。図4中、(i)は粒子表面のSEM写真であり、(ii)は断面のSEM写真である。
図3に示されているように、正極活物質粒子222は、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物の単結晶一次粒子222aが複数集合してなる二次粒子である。単結晶一次粒子222aは、平均粒子径が0.01μm以上5μm以下であって、図中「MP」で示されている(003)面が面内配向する(すなわち(003)面が単結晶一次粒子222aの板面と交差するように配向する)ように形成されている。なお、1つの単結晶一次粒子222a内においては、すべての(003)面が互いに平行であることは、いうまでもない。
本実施形態の正極活物質粒子222は、(003)面の高い一軸配向性を有している。すなわち、正極活物質粒子222においては、これを構成する多数の単結晶一次粒子222aが、それぞれの(003)面の方位が互いに揃うように(それぞれの(003)面が可能な限り互いに平行になるように)設けられている。具体的には、(003)面の配向率が60%以上(好ましくは75%以上)となるように(正極活物質粒子222中に含まれる複数の単結晶一次粒子222aの全数に対して、(003)面の配向性が同一の単結晶一次粒子222aの割合が、60%以上(好ましくは75%以上)となるように)、正極活物質粒子222が形成されている。
また、正極活物質粒子222は、多数の気孔Vを有している。すなわち、この正極活物質粒子222においては、空隙率が3%以上30%以下であり、平均気孔径が0.1μm以上5μm以下である。さらに、この正極活物質粒子222においては、単結晶一次粒子222aの平均粒子径を平均気孔径で除した値が、0.1以上5以下である。
3.実施形態の正極活物質粒子の構成による作用・効果
図5は、図3に示されている本実施形態の正極活物質粒子222におけるリチウムイオン拡散の様子を、従来の正極活物質の場合と対比して模式的に示す、一部拡大図である。なお、図5中、(i)は本実施形態の正極活物質粒子222の一部拡大図であり、(ii)は従来の正極活物質粒子222’の一部拡大図である。また、図中、矢印は、電子伝導の様子を示すものとする。
本実施形態の正極活物質粒子222においては、(003)面が実質的に一軸配向する(具体的には(003)面の配向率が60%以上(好ましくは75%以上)となる)ように単結晶一次粒子222aが含まれるとともに、空隙率が3%以上30%以下、平均気孔径が0.1μm以上5μm以下、「平均一次粒子径/平均気孔径」の値が0.1以上5以下である。
かかる構成を有する、本実施形態の正極活物質粒子222においては、気孔Vの周辺に多数の単結晶一次粒子222aが(粒界抵抗が大きくなり過ぎない程度に)存在するとともに、隣り合う複数の単結晶一次粒子222a同士で電子伝導及びリチウムイオン拡散の方向が良好に揃う。このため、電子伝導及びリチウムイオン拡散の経路が良好に確保される。よって、単結晶一次粒子222a間での電子伝導及びリチウムイオン拡散の抵抗が低減され、リチウムイオン伝導性や電子伝導性が向上する。したがって、本実施形態の正極活物質粒子222によれば、リチウム二次電池1の充放電特性(特にレート特性や出力特性)を顕著に向上させることができる。
これに対し、図5における(ii)に示されている、従来の正極活物質粒子222’(例えば、特許第4,740,409号公報、特許第4,740,415号公報、等参照)においては、気孔Vの周辺に存在する単結晶一次粒子222aの数が少なく、また、粒界での電子伝導及びリチウムイオン拡散の経路が不連続的となる(図中破線の矢印参照)。このため、このような構成では、電子伝導及びリチウムイオン拡散の経路が良好に確保されず、したがって、良好なリチウムイオン伝導性や電子伝導性が得られない。
以下、本実施形態の正極活物質粒子222の構成による作用・効果について、より詳細に説明すると、上述のように、本実施形態の正極活物質粒子222においては、(003)面が実質的に一軸配向する、具体的には、(003)面の配向率が60%以上(好ましくは75%以上)となることで、隣り合う単結晶一次粒子222a間での(すなわち粒界での)リチウムイオン拡散抵抗や電子伝導抵抗が低減され、リチウムイオン拡散性や電子伝導性が向上する。これにより、リチウム二次電池1の充放電特性(特にレート特性や出力特性)を顕著に向上させることができる。
すなわち、図5における(i)に示されているように、気孔Vを含む正極活物質粒子222を構成する単結晶一次粒子222aの(003)面(図中“MP”参照)が、ある特定の方向に配向することで、粒界抵抗が低減する。かかる粒界抵抗の低減と、電解液や導電材を内在する気孔Vとにより、気孔Vを含む正極活物質粒子222におけるリチウムイオン拡散性及び電子伝導性が最大限に引き出される。
一方、図5における(ii)に示されているように、従来の正極活物質粒子222’内に気孔Vが含まれている場合、かかる気孔V内に電解液は浸透するものの、リチウムイオン拡散や電子伝導の経路が細くなる。このため、リチウムイオン伝導性及び電子伝導性が低下する。ここで、リチウムイオン拡散や電子伝導の経路が最も細い部位(ネック部位)は、粒界となっていることが多い。このため、粒界抵抗が高い場合に、リチウムイオン拡散性や電子伝導性の低下が顕著となる。
特に、電子伝導は、気孔Vを介して行うことができず、隣接する単結晶一次粒子222a間の粒界を介して行わざるを得ない。この点、本実施形態の正極活物質粒子222によれば、電子伝導性が良好に確保される。これに対し、上述の従来の正極活物質粒子222’(特許第4,740,409号公報や特許第4,740,415号公報等参照)においては、良好な電子伝導性が確保され難い。
また、充放電の繰り返しに伴う体積膨張収縮によって単結晶一次粒子222a間で(すなわち粒界で)通常発生するマイクロクラックについては、リチウムイオン拡散面及び電子伝導面である(003)面に平行に(すなわちリチウムイオンの拡散抵抗にならず電子伝導性にも影響のない方向に)入る可能性が高くなる。このため、充放電サイクルの繰り返しによる充放電特性(特にレート特性)の劣化を抑制することができる。
なお、(003)面の配向率については、70%以上であることが好ましく、90%であることが特に好ましい。配向率が高いほど、正極活物質粒子222内に含まれる多数の単結晶一次粒子222aにおいて、リチウムイオンの拡散、電子伝導が良好に行われる方向である(003)面の面内方向が互いに平行となる割合が高まるといえる。このため、配向率が高いほど、リチウムイオンの拡散、電子伝導距離が短縮されるとともに上述のようにリチウムイオンの拡散抵抗および電子抵抗が低減され、以てリチウム二次電池1の充放電特性がより顕著に向上する。したがって、例えば、液体型のリチウム二次電池1の正極材料として正極活物質粒子222を用いた場合であって、耐久性の向上及び高容量化、さらには安全性の向上を目的として、正極活物質粒子222の平均粒子径を大きくしたときであっても、配向率を高くすることによって高いレート特性を維持することが可能になる。
また、単結晶一次粒子222aの平均粒子径は、0.01μm以上5μm以下であり、0.01μm以上3μm以下であることが好ましく、0.01μm以上1.5μm以下であることがさらに好ましい。単結晶一次粒子222aの平均粒子径を上記の範囲内とすることで、単結晶一次粒子222aの結晶性が確保される。
この点、単結晶一次粒子222aの平均粒子径が0.1μm未満であると、単結晶一次粒子222aの結晶性が低下し、リチウム二次電池1の出力特性やレート特性が低下する場合がある。しかしながら、本実施形態の正極活物質粒子222においては、単結晶一次粒子222aの平均粒子径が0.1〜0.01μmであっても、出力特性やレート特性の大きな低下は見られない。
また、単結晶一次粒子222aの平均粒子径を上記の範囲内とすることで、充放電時に単結晶一次粒子222aの体積が膨張又は収縮しても、二次粒子としての正極活物質粒子222にクラックが生じることが、可及的に抑制される。これに対し、単結晶一次粒子222aの平均粒子径が5μm超であると、充放電時に単結晶一次粒子222aの体積が膨張又は収縮することで生じる応力により、二次粒子としての正極活物質粒子222にクラックが生じる場合がある。
二次粒子としての正極活物質粒子222の平均粒子径は、1μm以上100μm以下であり、2μm以上70μm以下であることが好ましく、3μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。正極活物質粒子222の平均粒子径をこの範囲内とすることで、正極活物質粒子222内における正極活物質の充填性が確保される(充填率が向上する)。また、リチウム二次電池1の出力特性やレート特性を維持しつつ、平坦な電極表面を形成することができる。
一方、正極活物質粒子222の平均粒子径が1μm未満であると、正極活物質の充填率が低下する場合がある。また、正極活物質粒子222の平均粒子径が100μm超であると、リチウム二次電池1の出力特性やレート特性が低下するとともに、電極表面の平坦性が低下する場合がある。
正極活物質粒子222の平均粒子径の分布は、シャープであってもよく、ブロードであってもよく、ピークを複数有していてもよい。例えば、正極活物質粒子222の平均粒子径の分布がシャープでない場合は、正極活物質層22内の正極活物質の充填密度を高めたり、正極活物質層22と正極集電体21との密着力を高めたりすることができる。これにより、充放電特性をさらに改善することができる。
正極活物質粒子222のアスペクト比は、1.0以上2.0未満であり、1.1以上1.5未満であることが好ましい。正極活物質粒子222のアスペクト比をこの範囲内とすることで、正極活物質層22内の正極活物質の充填密度を高めた場合であっても、正極活物質層22内に含浸された電解液5中のリチウムイオンが正極活物質層22の厚み方向に拡散する経路を確保することができる程度の適度な隙間を正極活物質粒子222間に形成することが可能になる。これにより、リチウム二次電池1の出力特性やレート特性をさらに向上させることができる。
一方、正極活物質粒子222のアスペクト比が2.0以上であると、正極活物質層22の形成時に、正極活物質粒子222が、正極集電体21の板面方向と粒子の長軸方向とが平行になるように並んだ状態で充填されやすくなる。すると、正極活物質層22内に含浸された電解液5中のリチウムイオンの、正極活物質層22の厚み方向の拡散経路が長くなる。このため、リチウム二次電池1の出力特性やレート特性が低下する場合がある。
また、単結晶一次粒子222aのアスペクト比も、1.0以上2.0未満であることが好ましく、1.1以上1.5未満であることがさらに好ましい。単結晶一次粒子222aのアスペクト比をこの範囲内とすることで、リチウムイオン伝導性及び電子伝導性が良好に確保される。
正極活物質粒子222における空隙率(気孔Vの体積比率)は、3%以上30%以下である。空隙率をこの範囲にすることで、容量を損なうことなく充放電特性の改善という効果を得ることができる。
正極活物質粒子222における平均気孔径(正極活物質粒子222内の気孔Vの直径の平均値)は、0.1μm以上5μm以下である。平均気孔径が5μm超の場合、比較的大きな気孔Vが生じることとなる。このような大きな気孔Vが存在する場合、充放電に寄与する正極活物質の体積あたりの量が減少する。また、このような大きな気孔Vの局所において、応力集中が発生し易くなり、内部で応力を均一に開放する効果が得られ難くなる。一方、平均気孔径が0.1μm未満の場合、導電材や電解質を内在させることが難しくなるとともに、気孔Vによる応力開放効果が不十分となる。このため、高容量を維持しつつ充放電特性を改善するという効果が期待できない場合がある。
なお、上述のような所望の空隙率及び平均気孔径を実現するためには、原料に対して、添加剤としての造孔材(空隙形成材)を配合すればよい。このような造孔材としては、仮焼成工程において分解(蒸発あるいは炭化)される、粒子状又は繊維状物質が好適に用いられ得る。具体的には、テオブロミン、ナイロン、グラファイト、フェノール樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、発泡性樹脂等の有機合成樹脂の、粒子状又は繊維状物質が、好適に用いられ得る。勿論、このような造孔材を使用しなくても、原料粒子の種類や粒径、仮焼成(熱処理)工程における焼成温度等を適宜調整することによって、上述のような所望の空隙率及び平均気孔径を実現することが可能である。
4.製造方法の概要
正極活物質粒子222は、例えば、以下に説明するような製造方法によって製造することができる。図6は、かかる製造方法の一例を模式的に示す図である。
(1)原料粒子の調製
原料粒子としては、正極活物質の組成がLiMOとなるようにLi、Co、Ni、Mn、Al等の化合物の粒子を適宜混合したものを用いることができる。具体的には、例えば、リチウム化合物を含まない、Co、Ni、Mn、Al等の各化合物の混合粒子((Co,Ni,Mn)O、(Co,Ni,Al)O、(Co,Ni,Mn)OH、(Co,Ni,Al)OH、等の組成を有する混合粒子)等を用いることができる。これらの混合粒子を成形し、得られた成形体とリチウム化合物とをさらに反応させることで、所定の組成を有する正極活物質粒子222を得ることができる。
上述の配向率を高める目的で、(Co,Ni,Mn)OH、(Co,Ni,Al)OH、等の組成を有する水酸化物を原料粒子として用いることが好ましい。このような水酸化物は、扁平面に(001)面を有する扁平な一次粒子の形状を有するため、後述する成形工程によって当該一次粒子を配向させることが容易となる。かかる(001)面は、リチウム化合物と反応させることで、所定の組成を有する正極活物質における(003)面として方位が継承される面である。このため、かかる板状原料粒子を用いることで、正極活物質粒子222内における(003)面を容易に配向させることができる。
なお、粒成長の促進、あるいは、焼成中におけるリチウム揮発を考慮して、リチウムが0.5〜40mol%過剰になるように、原料粒子中にリチウム化合物が多めに投入されていてもよい。また、粒成長を促進する目的で、原料粒子に低融点酸化物(酸化ビスマス等)、低融点ガラス(ホウケイ酸ガラス等)、フッ化リチウム、塩化リチウム等が、0.001〜30質量%添加されてもよい。さらに、上記したように所望の「空隙率」、「平均気孔径」を実現するために、上述のように造孔材(空隙形成材)が適宜添加されてもよい。
また、原料粒子の一部は、他の原料で置き換えられ得る。例えば(Co,Ni,Mn)OHにおけるMnの一部は、MnCOで置き換えられ得る。これにより、充分な配向性が実現されるとともに、気孔径や空隙率を変化させることができる。
(2)原料粒子の成形
調製した原料粒子は、厚さが100μm以下のシート状の自立した成形体に成形される。ここで、「自立した成形体」とは、原則として、それ単体でシート状の成形体の形状を保つことができるものである。但し、或る一時期において、それ単体ではシート状の成形体の形状を保つことができないものであっても、何らかの基板上に貼り付けたり成膜したりして一旦シート状に成形された後であって焼成前又は焼成後にこの基板から剥離されたものは、「自立した成形体」に含まれる。具体的には、押し出し成形されたシートは、成形直後から「自立した成形体」である。これに対し、スラリーの塗布膜は、乾燥前はそれ単体で取り扱うことはできないものの、乾燥されその後基板から剥離された後に「自立した成形体」となる。また、「シート状」の概念には、板状、フレーク状、鱗片状、等が含まれる。
成形方法としては、原料粒子が成形体内にて結晶方位を揃えて充填される限り、特に限定はない。例えば、ドクターブレード法を用いて、原料粒子を含むスラリーを成膜(成形)することで、原料粒子が結晶方位を揃えて充填された(自立したシート状の)成形体を得ることができる。具体的には、ドクターブレード法を用いる場合、まず、可撓性を有する基板(例えば、PETフィルム等の有機ポリマー板等)に原料粒子701を含むスラリーS(図6における(i)参照)を塗布し、塗布したスラリーSを乾燥固化して乾燥膜とする。次に、この乾燥膜を上述の基板から剥離することにより、原料粒子701が配向した(結晶方位を揃えて充填された)成形体702が得られる(図6における(ii)参照)。
また、ドラムドライヤーを用いて、原料粒子を含むスラリーを熱したドラム上に塗布して乾燥させたものをスクレイパーでドラムから掻き取ることで、上述の成形体702を得ることができる。さらには、ディスクドライヤーを用いて、原料粒子を含むスラリーを熱した円板面上に塗布して乾燥させたものをスクレイパーで掻き取ることで、上述の成形体702を得ることができる。また、原料粒子を含む坏土を用いて押し出し成形することで、上述の成形体702を得ることができる。
成形前のスラリーや坏土を調製する段階で、原料粒子を適当な分散媒に分散させたものに対して、バインダーや可塑剤等が適宜加えられてもよい。バインダー等の添加剤の種類や量は、成形時の原料粒子の充填密度や配向度、あるいは後述の解砕工程における解砕物の形状を、所望の状態に制御できるように、適宜調整される。具体的には、例えば、解砕前の成形体の柔軟性が高いと、解砕時に解砕物のアスペクト比が大きくなる傾向にある。このため、解砕前の成形体の柔軟性が高くなりすぎないように、バインダーや可塑剤等の種類や添加量が適宜調整され得る。したがって、例えば、解砕前の成形体の柔軟性を制御するために、バインダーの変性や分解が生じる200〜500℃程度で同成形体が乾燥されてもよい。
原料粒子を含むスラリーを使用する場合は、粘度を0.5〜5Pa・sとなるように調整したり、減圧下で脱泡したりすることが好ましい。さらに、空孔V内に他の化合物を存在させる場合、この化合物と原料粒子とを含むスラリーを調製することが好ましい。
成形体702の厚さは、120μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。また、成形体702の厚さは、1μm以上であることが好ましい。成形体702の厚さが1μm以上であれば、自立したシート状の成形体を作製することが容易となる。なお、成形体702の厚さは、正極活物質粒子222の平均粒子径を決定する直接的な因子となることから、粒子の用途に合わせて適宜設定される。
(3)成形体の解砕
得られた成形体702は、正極活物質粒子222が所望のアスペクト比になるように解砕される。解砕には、例えば、以下のものを用いることができる:メッシュにヘラ等で押し付ける方法;ピンミル等の解砕力の弱い解砕機で解砕する方法;気流の中でシート片を互いに衝突させる方法(具体的には、気流分級機に投入する方法);旋回式ジェットミル;ポット解砕;バレル研磨;等。
また、解砕物を球形化するための処理が行われてもよい。これにより、最終的に得られる正極活物質粒子222が略球体状ないし略回転楕円体状となる。正極活物質粒子222が略球体状ないし略回転楕円体状となることで、当該粒子の外表面におけるリチウムイオン出入り面および電子伝導面の露出が増大するとともに、正極活物質層22内の正極活物質の充填率が向上し、以て電池特性が向上する。
球形化処理には、例えば、以下の方法を用いることができる:気流中で解砕物粒子同士を衝突させることで解砕物粒子の「角」を取る方法(気流分級やハイブリダイゼーション等);容器中で解砕物粒子同士を衝突させることで解砕物粒子の「角」を取る方法(ハイブリッドミキサーや高速攪拌機・混合機を用いた方法、バレル研磨、等。);メカノケミカル法;熱風により解砕物粒子の表面を溶融する方法。球形化処理と解砕とは、別途行われてもよいが、同時にも行われ得る。すなわち、例えば、気流分級機を用いることで、解砕と球形化処理とが同時に行われ得る。
なお、解砕や球形化処理を容易にするために、予め成形体を脱脂したり熱処理(焼成あるいは仮焼成)したりしてもよい。例えば、上述のように、解砕前の成形体の柔軟性を制御するために、バインダーの変性や分解が生じるような比較的高い温度で同成形体が乾燥されてもよい。あるいは、原料粒子が板状である場合(例えば原料粒子が水酸化物である場合)、解砕前の成形体は、多数の板状の原料粒子が成形体の板面と平行に配列しつつ凝集したような内部構造となる。このため、かかる成形体は、強度に異方性が生じやすく、よって解砕時に解砕物のアスペクト比が大きくなる(すなわちアスペクト比を2未満にすることが困難になる)傾向にある。したがって、この場合、解砕前に仮焼成したり、後述する焼成工程(リチウム導入工程)後に解砕を行ったりすることが好ましい。
解砕前の仮焼成により、解砕前且つ焼成前(リチウム導入前)の成形体の内部構造を、等方的な形状の酸化物がネッキングした状態とすることができ、以て解砕時に解砕物のアスペクト比を2未満にすることが容易となる。仮焼成温度は、400〜1100℃の範囲内であることが好ましい。仮焼成温度が400℃未満であると、上述のネッキングの進行が不充分となって仮焼成後の成形体が脆くなるため、解砕により解砕物の粒径が微細化し過ぎることとなる。一方、仮焼成温度が1100℃を超えると、原料の焼結が進行し過ぎて、後続するリチウム導入の際の反応の進行が困難となり、所望の組成のリチウム複合酸化物が合成されなくなる。かかる解砕前の仮焼成は、仮焼成により分相等の悪影響が生じにくい組成(例えば、ニッケル−コバルト系、ニッケル−コバルト−アルミニウム系、ニッケル−アルミニウム系、等の、ニッケルを含む一方でマンガンを含まない系)において行われることが特に好適である。
この仮焼成を行う場合、昇温速度を変更することで、気孔を制御することができる。昇温速度は、10〜400℃/hの範囲内であることが好ましい。10℃/h未満であると、気孔形成時に原料粒子の配列が乱れることで、配向率が低くなる場合がある。一方、400℃/hを超えると、造孔材の効果が十分に得られず、狙いの気孔径、空隙率が得られにくい。
解砕前に仮焼成が行われない場合は、得られた解砕物である正極活物質前駆体粒子703内に、原料粒子(板状原料粒子)701が良好に配向した状態が残存している(図6における(iii)参照)。すなわち、正極活物質前駆体粒子703は、板状の原料粒子701を多数含有する原料粒子集合体であって、これらの原料粒子701が実質的に一様に配向するように形成されている。
これに対し、解砕前に仮焼成が行われた場合は、上述のネッキング(粒成長)が進行するため、得られた解砕物である正極活物質前駆体粒子704内には、原料粒子(板状原料粒子)701が配向した状態は残存していない(図6における(iv)参照)。すなわち、正極活物質前駆体粒子704は、正極活物質前駆体粒子703を熱処理したものに相当するような内部構造を有している。よって、仮焼成を行わずに一旦解砕により正極活物質前駆体粒子703を得た後に、これを仮焼成することで、正極活物質前駆体粒子704を形成することも可能である。
解砕や球形化処理の際に生じたもののうちの、所望のアスペクト比以外のもの(充分に解砕されずにアスペクト比が大きいままのもの等)や微粉は、原料として再利用され得る。
以上のようにして、正極活物質粒子222が所望のアスペクト比及び所望の(003)面の配向状態となるように、アスペクト比が1.0以上2.0未満(好ましくは1.1〜1.5)で所定の内部構造を有する正極活物質前駆体粒子703あるいは704が形成される。
(4)リチウム化合物との混合
以上のようにして得られた正極活物質前駆体粒子703あるいは704とリチウム化合物(水酸化リチウムや炭酸リチウム等)とを混合することで、焼成前混合物が得られる。混合方法としては、乾式混合、湿式混合等が用いられる。リチウム化合物の平均粒子径は、0.1〜5μmであることが好ましい。リチウム化合物の平均粒子径が0.1μm以上であると、吸湿性の観点からリチウム化合物の取扱いが容易となる。また、リチウム化合物の平均粒子径が5μm以下であると、解砕物との反応性が高まる。なお、反応性を高めるために、リチウム量を0.5〜40mol%過剰にしておくことも可能である。
(5)焼成(本焼成:リチウム導入)
上述の焼成前混合物を、適宜の方法で焼成することで、正極活物質前駆体粒子703あるいは704にリチウムが導入され、以て正極活物質粒子222が得られる。具体的には、例えば、上述の焼成前混合物を収容した鞘を炉中に投入することで、焼成が行われ得る。この焼成により、正極活物質の合成、さらには粒子の焼結及び粒成長が行われる。このとき、上述したように、成形体(正極活物質前駆体粒子703あるいは704)中で原料粒子の(001)面が配向しているため、その結晶方位が継承されることで、所定の組成を有する正極活物質粒子222において(003)面が良好に一軸配向したものを得ることができる。
焼成温度は、600℃〜1100℃が好ましい。焼成温度が600℃より低温では、粒成長が不十分となり、配向率が低くなる場合がある。一方、焼成温度が1100℃より高温では、正極活物質の分解やリチウムの揮発が進行してしまい、所定の組成が実現されない場合がある。焼成時間は、1〜50時間とするのが好ましい。焼成時間が1時間より短い場合、配向率が低くなる場合がある。一方、焼成時間が50時間より長い場合、焼成のために消費されるエネルギーが大きくなりすぎる場合がある。
また、昇温過程において混合したリチウムと前駆体との反応性を高める目的で、焼成温度より低温(例えば400〜600℃)で1〜20時間の温度保持が行われてもよい。かかる温度保持工程を経ることで、リチウムが溶融するため、反応性を高めることができる。なお、この焼成(リチウム導入)工程における、ある温度域(例えば400〜600℃)の昇温速度を調整することによっても、同様の効果が得られる。
焼成雰囲気は、焼成中に分解が進まないように適宜設定する必要がある。リチウムの揮発が進むような場合は、炭酸リチウム等を同じ鞘内に配置してリチウム雰囲気とすることが好ましい。焼成中に酸素の放出や、さらには還元が進むような場合、酸素分圧の高い雰囲気で焼成することが好ましい。なお、焼成後に、正極活物質粒子222同士の癒着や凝集を解したり、正極活物質粒子222の平均粒子径を調整したりする目的で、適宜、解砕や分級(上述の焼成前の解砕や分級の後に行われるため「二次解砕」あるいは「二次分級」とも称され得る)が行われてもよい。あるいは、上述の解砕工程は、焼成後に行われてもよい。すなわち、解砕工程(及び分級工程)は、焼成後にのみ行われてもよい。
また、焼成後、もしくは解砕や分級工程を経た、正極材活物質において、100〜400℃で後熱処理を行われても良い。かかる後熱処理工程を行うことで、一次粒子の表面層を改質することができ、以てレート特性及び出力特性が改善される。
5.実施例
以下、本実施形態の正極活物質粒子222の実施例(具体的な製造例)及びその評価結果を、比較例とともに説明する。なお、以下の実施例及び比較例の記述において、「部」及び「%」は、特に断らない限り、質量基準である。また、記載の簡略化のため、正極活物質粒子222を単に「二次粒子」と称し、その平均粒子径を「二次粒子径」と称する。また、単結晶一次粒子222aを単に「一次粒子」と称し、その平均粒子径を「一次粒子径」と称する。
また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法は、以下に示す通りである。
[二次粒子径(μm)]
レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製 型番「MT3000−II」)を用いて、水を分散媒として、二次粒子のメディアン径(D50)を測定し、この値を二次粒子径とした。
[一次粒子径(μm)]
FE−SEM(電界放射型走査型電子顕微鏡:日本電子株式会社製 製品名「JSM−7000F」)を用いて、一次粒子が視野内に10個以上入る倍率を選択して、SEM画像を撮影した。このSEM画像において、10個の一次粒子のそれぞれについて、外接円を描いたときの当該外接円の直径を求めた。そして、得られた10個の直径の平均値を、一次粒子径とした。
[二次粒子のアスペクト比]
上述のFE−SEMを用いて、二次粒子が視野内に10個以上入る倍率を選択して、SEM画像を撮影した。このSEM画像において、10個の二次粒子のそれぞれについて、長軸径及び短軸径を求めた後、長軸径を短軸径で除した値を求めた。そして、得られた10個の値の平均値を、二次粒子のアスペクト比とした。
[一次粒子のアスペクト比]
FE−SEMを用いて、一次粒子が視野内に10個以上入る倍率を選択して、SEM画像を撮影した。このSEM画像において、10個の一次粒子のそれぞれについて、長軸径及び短軸径を求めた後、長軸径を短軸径で除した値を求めた。そして、得られた10個の値の平均値を、一次粒子のアスペクト比とした。
[空隙率(%)]
空隙率は、嵩密度と真密度から計算上求めた。具体的には、アルキメデス法で求めた嵩密度を、ピクノメータを用いて求めた真密度で除することで、相対密度を算出した。次いで、求めた相対密度を下記一般式に代入することで、空隙率を算出した。
一般式:空隙率(%)=(1−相対密度)×100
なお、嵩密度の測定の際に、気孔中に存在する空気を十分に追い出すために、試料を水中に投入した後に煮沸処理を行った。また、気孔径の小さな試料の場合、予め真空含浸装置(ストルアス社製 装置名「シトバック」)を用いて気孔中に水を含浸させた後に、煮沸処理を行った。
[平均気孔径(μm)]
平均気孔径は、水銀圧入式細孔分布測定装置(株式会社島津製作所製 装置名「オートポアIV9510」)を用いた水銀圧入法によって測定した。
[配向率(%)]
二次粒子同士ができるだけ重ならないように、ガラス基板上に二次粒子粉末を配置した後に、この粉末を粘着テープに写し取って合成樹脂に埋めたものを、二次粒子の板面あるいは断面研磨面が観察できるように研磨することで、観察用サンプルを作製した。なお、板面観察の場合は、仕上げ研磨として、コロイダルシリカ(0.05μm)を研磨剤として振動型回転研磨機にて研磨を行った。一方、断面観察の場合は、クロスセクションポリッシャにより研磨を行った。
このようにして作製したサンプルに対し、一個の二次粒子中に一次粒子が10個以上見られる視野において、EBSD(電子後方散乱回折像法:測定ソフト「OIM Data Collection」及び解析ソフト「OIM Analysis」は株式会社TSLソリューションズ製)を用いて、測定のピクセル分解能を0.1μmとして、各二次粒子の結晶方位解析を行った。これにより、各一次粒子の(003)面について、測定面(研磨面)に対する傾き角度を求めた。
角度に対する粒子数のヒストグラム(角度分布)を出力し、一次粒子数が最大(ピーク値)となる角度を、この二次粒子の測定面に対する(003)面傾斜角θとした。この傾斜角θに対し、測定した二次粒子について(003)面がθ±10度以内にある一次粒子数を算出した。求めた一次粒子数を全一次粒子数で除することで、測定した二次粒子における(003)面の配向率を算出した。これを異なる10個の二次粒子について行い、その平均値を、(003)面の配向率とした。
[レート容量維持率(%)]
電池特性の評価のために、次のようにしてコインセル型電池を作製した。
得られた二次粒子粉末、アセチレンブラック、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、質量比で90:5:5となるように混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させることで、正極活物質ペーストを作製した。このペーストを正極集電体としての厚さ20μmのアルミニウム箔上に均一な厚さ(乾燥後の厚さ50μm)となるように塗布し、乾燥後のシートから直径14mmの円板状に打ち抜いたものを2000kg/cmの圧力でプレスすることで、正極板を作製した。このようにして作製した正極板を用いて、図1に示されているようなコインセルを作製した。
なお、電解液は、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を等体積比で混合した有機溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解することで調製した。
上述のように作製した特性評価用電池(コインセル)を用いて、以下のように充放電操作を行うことで、レート容量維持率の評価を行った。
まず、0.1Cレートの電流値で電池電圧が4.3Vとなるまで定電流充電した。その後、電池電圧を4.3Vに維持する電流条件で、その電流値が1/20に低下するまで定電圧充電した。10分間休止した後、0.1Cレートの電流値で電池電圧が2.5Vになるまで定電流放電し、その後10分間休止した。これらの充放電操作を1サイクルとし、25℃の条件下で合計2サイクル繰り返し、2サイクル目の放電容量の測定値を、「0.1Cレートにおける放電容量」とした。
引き続き、充電時の電流値を0.1Cレートに固定し、放電時の電流値を5Cレートにして、上記と同様に2サイクル充放電を繰り返した。そして、2サイクル目の放電容量の測定値を、「5Cレートにおける放電容量」とした。
「5Cレートにおける放電容量」を「0.1Cレートの放電容量」で除した値(実際には、これを百分率で表した値)を、「レート容量維持率」とした。
[出力特性]
0.1Cレートの電流値で電池電圧が4.3Vとなるまで定電流充電した。その後、電池電圧を4.3Vに維持する電流条件で、その電流値が1/20に低下するまで定電圧充電した。10分間休止した後、5Cレートの電流値で電池電圧が2.5Vになるまで定電流放電し、その後10分間休止した。これらの充放電操作を1サイクルとし、25℃の条件下で合計2サイクル繰り返した。2サイクル目の放電容量を100%とした際の90%時の放電電圧(SOC10%電圧:SOCは「State Of Charge」の略であって充電状態を意味する)を放電曲線から読み取った。この数値を出力特性の指標とした。この数値が高いほど、出力特性が高く、好ましい。
5−1:ニッケル系組成
(実施例1)
(1)原料粒子及びスラリーの調製
最初に、混合物における、Ni、Co、Alのモル比が80:15:5となるように、Ni(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、Co(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、及びAl・HO(SASOL社製)を秤量した。次に、かかる秤量物に対して、造孔材(球状:エアウォーター株式会社製 商品名「ベルパールR100」)を添加した。造孔材は、添加後の粉末総重量に対する割合が2%となるように秤量した。そして、造孔材添加後の混合粉末をボールミルにより24時間粉砕・混合することで、原料粒子の粉末を調製した。
調製した原料粒子の粉末100部と、分散媒としての純水400部と、バインダー(ポリビニルアルコール:品番VP−18、日本酢ビ・ポバール株式会社製)1部と、分散剤(製品名「マリアリムKM−0521」、日油株式会社製)1部と、消泡剤(1−オクタノール:和光純薬工業株式会社製)0.5部と、を混合した。さらに、この混合物を、減圧下で撹拌することで脱泡するとともに、粘度を0.5Pa・s(ブルックフィールド社製LVT型粘度計を用いて測定)に調整することで、スラリーを調製した。
(2)原料粒子の成形及び加熱処理(仮焼成)
上述のようにして調製したスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが25μmとなるようにシート状に成形した。乾燥後にPETフィルムから剥がしたシート状の成形体を、ジルコニア製セッターの中央に載置し、大気中にて200℃/hで昇温し、900℃、3時間加熱処理することで、シート状の(Ni0.8Co0.15Al0.05)Oセラミックスシートを得た。
(3)成形体の解砕
加熱処理(仮焼成)によって得られた上述のセラミックスシートを、開口径30μmのふるい(メッシュ)に載せ、ヘラで軽く押し付けながらメッシュを通過させて解砕することで、略球形状の(Ni0.8Co0.15Al0.05)O粉末を得た。
(4)解砕物の球形化処理及び分級
解砕によって得られた(Ni0.8Co0.15Al0.05)O粉末を、気流分級機(日清エンジニアリング株式会社製 製品名「ターボクラシファイア」、型式TC−15:排風量1.7m/min、分級ロータ回転数10000rpm)に、20g/minの速度で投入し、得られた粉末のうちの粗粒側のものを回収した。かかる球形化処理(同時に微粉除去による分級も行われる)を、5回繰り返した。
(5)リチウム化合物との混合
微粉除去後の(Ni0.8Co0.15Al0.05)O粉末と、LiOH・HO粉末(和光純薬工業株式会社製)とを、mol比率でLi/(Ni0.8Co0.15Al0.05)=1.05となるように混合した。
(6)焼成工程(リチウム導入工程)
上述の混合粉末を、高純度アルミナ製のるつぼ内に投入し、酸素雰囲気中(0.1MPa)にて775℃で24時間加熱処理することで、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O粉末を得た(実施例1)。
(実施例2〜10及び比較例1〜3)
上述の実施例1の製造方法に対して、造孔材の種類及び添加量、成形方法、仮焼成の有無及び条件、解砕時のメッシュ開口径、球形化処理の有無について変化させることで、実施例2〜10及び比較例1〜3の粉末を得た(表1参照)。
なお、表1中、「造孔材」が「球状」となっているものにおいては、上述の実施例1と同一の造孔材が用いられている。これに対し、「造孔材」が「繊維状」となっているものにおいては、造孔材として、ダイセルファインケム株式会社製 商品名「セレッシュPC110S」が用いられている。
また、テープ成形に代えてスプレードライを用いた比較例2における粉末成形は、以下のようにして行った:スプレードライヤ(株式会社坂本技研製:ターニング式 型式TSR−3W)を用い、液量40g/min、入口温度200℃、アトマイザ回転数13000rpmの条件下で、球状の顆粒を得た。
球形化処理を行わなかったものにおいては、以下の方法で分級処理を行った:粉末100部とエタノール500部とを、なるべく粉末粒子が壊れないよう超音波分散機(超音波洗浄機)等を用いて混合・分散した。その後、分散液を開口径5μmのふるい(メッシュ)を通過させ、ふるい上に残った粉末を150℃で5時間乾燥することで、解砕により発生した5μm以下の微粉を除去した。
(実施例11)
また、実施例11においては、原料粒子及びスラリーの調製を以下のようにして行った他は、実施例1と同一の処理を用いた。
最初に、混合物における、Ni、Co、Alのモル比が80:15:5となるように、Ni(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、Co(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、及びAl・HO(SASOL社製)を秤量した。次に、かかる秤量物に対して、造孔材(球状:エアウォーター株式会社製 商品名「ベルパールR100」)を添加した。造孔材は、添加後の粉末総重量に対する割合が8%となるように秤量した。そして、造孔材添加後の混合粉末をボールミルにより24時間粉砕・混合することで、原料粒子の粉末を調製した。
調製した原料粒子の粉末100部と、分散媒(トルエン:イソプロピルアルコール=1:1(質量比))100部と、バインダー(ポリビニルブチラール:品番BM−2、積水化学工業株式会社製)10部と、可塑剤(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル):別名フタル酸ジオクチル(略称DOP)、黒金化成株式会社製)4部と、分散剤(製品名「レオドールSP−O30」、花王株式会社製)2部と、を混合した。さらに、この混合物を、減圧下で撹拌することで脱泡するとともに、粘度を3〜4Pa・sに調整することで、スラリーを調製した。
以上の実施例1〜11及び比較例1〜4の製造条件を表1に示し、これらの評価結果を表2及び表3に示す。
5−2:3元系組成
(実施例12・比較例5)
実施例12においては、実施例1における原料粒子の調製時の秤量条件及び焼成(リチウム導入)条件を下記のように変更することで、Li(Ni0.33Co0.33Mn0.33)O粉末を作製した。また、実施例12における成形方法をスプレードライに変更したものを、比較例5とした。
原料粒子の調製の際に、混合物におけるNi、Co、Alのモル比が0.33:0.33:0.33となるように、Ni(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、Co(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、及びMnCO粉末(東ソー株式会社製)を秤量した。また、焼成(リチウム導入)時においては、大気雰囲気中(0.02MPa)にて950℃で12時間加熱処理した。
5−3:固溶体系組成
(実施例13・比較例6)
実施例13においては、実施例1における原料粒子の調製条件を下記のように変更することで、固溶体系の二次粒子粉末を作製した。また、実施例13における成形方法をスプレードライに変更したものを、比較例6とした。
Ni、Co、Mnの硫酸塩混合水溶液を、混合物におけるCo、Ni、Mnのモル比が16.3:16.3:67.5となるように合成し、合成した硫酸塩混合水溶液を50℃の湯浴内でNaOHと反応させることで、共沈水酸化物を得た。得られた共沈水酸化物をボールミルにより16時間粉砕・混合することで、原料粒子の粉末を得た。なお、実施例13については、さらに、かかる原料粒子の粉末に対して、添加後の全重量に対して0.5wt%の重量となるように、酸化ビスマス(太陽鉱工株式会社製)を添加した(比較例6については、かかる酸化ビスマスの添加は行わなかった。)。
以上の実施例12及び13並びに比較例5及び6の製造条件を表4に示し、これらの評価結果を表5及び表6に示す。なお、固溶体系の実施例13及び比較例6においては、レート容量維持率の評価の際に、上記の充放電操作における「4.3V」を「4.8V」に変更するとともに、「2.5V」を「2.0V」に変更した。
6.変形例の例示列挙
なお、上述の実施形態や具体例は、上述した通り、出願人が本願の出願時点において最良であると考えた本発明の具現化の一例を単に示したものにすぎないのであって、本発明はもとより上述の実施形態や具体例によって何ら限定されるべきものではない。よって、上述の実施形態や具体例に対して、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、種々の変形が施され得ることは、当然である。
以下、変形例について幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態における各構成要素と同様の構成・機能を有する構成要素については、本変形例においても同一の名称及び同一の符号が付されているものとする。そして、当該構成要素の説明については、上述の実施形態における説明が、矛盾しない範囲で適宜援用され得るものとする。
もっとも、変形例とて、下記のものに限定されるものではないことはいうまでもない。本発明を、上述の実施形態や下記変形例の記載に基づいて限定解釈することは、出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない(特に出願を急ぐ先願主義の下ではなおさらである)。
また、上述の実施形態の構成、及び下記の各変形例に記載された構成の、全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲において、適宜複合して適用され得ることも、いうまでもない。
本発明の適用対象であるリチウム二次電池1の構成は、上述のような構成に限定されない。例えば、本発明は、上述したような具体的な電池構成に限定されない。すなわち、例えば、図11に示されているように、巻芯7に捲回された円筒型のリチウム二次電池1に対しても、本発明は好適に適用され得る。また、本発明は、いわゆる液体型の電池構成に限定されない。すなわち、例えば、電解質としては、ゲル電解質、ポリマー電解質が用いられ得る。
気孔V内には、他の化合物が存在していてもよい。例えば、電解質や導電材、レート特性に優れた他のリチウムイオン正極活物質、粒径の異なる正極活物質等が気孔V内に存在すると、レート特性やサイクル特性がさらに改善する。気孔V内に他の化合物を存在させる方法としては、予め造孔材の表面に化合物を塗布しておき、焼成条件を調整することで存在させる手法や、正極活物質粒子222を成形する際に、化合物を原料粒子に混合しておく手法等がある。
さらに、単結晶一次粒子222a、もしくは正極活物質粒子222の表面を他の材料でコートしてもよい。コートする材料により、材料の熱安定性や化学的な安定性が改善されたり、レート特性が改善されたりする。コートする材料としては、例えば、以下のものを用いることが可能である:化学的に安定なアルミナ、ジルコニア、フッ化アルミナ等;リチウムの拡散性に優れるコバルト酸リチウム等の材料;電子伝導性に優れるカーボン。
図7は、図3に示されている正極活物質粒子222の一変形例の構成を示す図である。図7に示されているように、正極活物質粒子222における表層部分の配向性が、内部より低くなっていてもよい。すなわち、本変形例の正極活物質粒子222における単結晶一次粒子222aは、当該正極活物質粒子222における表層部分のみにて、ランダムな配向状態となっていてもよい。
かかる構成によれば、リチウムイオンや電子が出入りしにくい(003)面が広く外部に露出した表面を有する領域においても、単結晶一次粒子222aとその外側の電解質との間でのリチウムイオンの出入りが生じやすくなり、以てレート特性が向上する。このような表層は、例えば、解砕や球形化処理の際に生じた微粉を、粒子に再付着させることによって形成され得る(これは解砕や球形化処理の条件を適宜調整することで可能となる)。なお、このような粒内微構造は、例えば、二次粒子の断面(クロスセクションポリッシャや集束イオンビーム等により加工したもの)について、SEM観察におけるEBSD(電子後方散乱回折像法)や、TEM観察における結晶方位解析を行うことによって評価可能である。
本発明は、上述の具体的な製造方法に何ら限定されるものではない。例えば、成形方法は、上述の方法に限定されない。また、成形前の原料を適宜選択することで、上述の焼成(リチウム導入)工程は、省略され得る。
さらに、原料粒子として酸化物を用いた場合であっても、成形時に磁界を作用させること等により、原料粒子が配向した(結晶方位を揃えて充填された)正極活物質前駆体粒子704が得られる場合があり得る。したがって、本発明は、原料粒子として水酸化物を用いた場合に限定されない。
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した先行出願や各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして適宜援用され得る。

Claims (6)

  1. 層状岩塩構造を有する、リチウム二次電池の正極活物質であって、
    平均粒子径が0.01μm以上5μm以下である多数の単結晶一次粒子からなる二次粒子を含有し、
    前記二次粒子は、
    EBSDを用いて前記多数の一次粒子のうち10個以上の一次粒子の(003)面の測定面に対する傾き角度を測定した場合における、前記10個以上の一次粒子の(003)面の角度に対する一次粒子数のヒストグラムにおいて、一次粒子数が最大となる角度±10度以内の一次粒子数を前記10個以上の一次粒子の数で除すことによって得られる(003)面の配向率が、60%以上であり、
    平均粒子径が、1μm以上100μm以下であり、
    長軸径を短軸径で除した値であるアスペクト比が1.0以上2.0未満であり、
    空隙率が、3%以上30%以下であり、
    平均気孔径が、0.1μm以上5μm以下であり、
    前記平均気孔径で前記一次粒子の平均粒子径を除した値が、0.1以上5以下である
    ことを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質。
  2. 請求項1に記載の、リチウム二次電池の正極活物質であって、
    前記配向率が、75%以上であることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質。
  3. 請求項1又は2に記載の、リチウム二次電池の正極活物質であって、
    前記二次粒子のアスペクト比が、1.1以上1.5以下であることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質。
  4. 正極活物質層を含む正極と、負極活物質層を含む負極と、を備えたリチウム二次電池であって、
    前記正極活物質層は、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物の単結晶一次粒子が複数集合してなる二次粒子として形成された正極活物質を含有し、
    前記一次粒子は、平均粒子径が0.01μm以上5μm以下であり、
    前記二次粒子は、
    EBSDを用いて前記複数の一次粒子のうち10個以上の一次粒子の(003)面の測定面に対する傾き角度を測定した場合における、前記10個以上の一次粒子の(003)面の角度に対する一次粒子数のヒストグラムにおいて、一次粒子数が最大となる角度±10度以内の一次粒子数を前記10個以上の一次粒子の数で除すことによって得られる(003)面の配向率が、60%以上であり、
    平均粒子径が、1μm以上100μm以下であり、
    長軸径を短軸径で除した値であるアスペクト比が、1.0以上2.0未満であり、
    空隙率が、3%以上30%以下であり、
    平均気孔径が、0.1μm以上5μm以下であり、
    前記平均気孔径で前記一次粒子の平均粒子径を除した値が、0.1以上5以下である
    ことを特徴とする、リチウム二次電池。
  5. 請求項4に記載の、リチウム二次電池であって、
    前記配向率が、75%以上であることを特徴とする、リチウム二次電池。
  6. 請求項4又は5に記載の、リチウム二次電池であって、
    前記二次粒子のアスペクト比が、1.1以上1.5以下であることを特徴とする、リチウム二次電池。
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