以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理方法、基板処理システムおよび記憶媒体の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
<基板処理方法の内容>
まず、第1の実施形態に係る基板処理方法について図1A〜図1Cを用いて説明する。図1A〜図1Cは、第1の実施形態に係る基板処理方法の説明図である。
第1の実施形態に係る基板処理方法は、内部に形成される金属配線の少なくとも一部が露出した半導体ウェハ等の基板(以下、ウェハWと記載する)をQ−timeの制約を受けることなく処理することを可能とする。
ここで、Q−timeとは、たとえばドライエッチングによって露出した金属配線の酸化等を防止するために、ドライエッチング後の放置時間に対して設定される制限時間のことである。
Q−timeが設定されると、Q−timeを遵守するための時間管理が必要となるため、工数の増加に伴う生産性の低下が生じるおそれがある。また、設定されるQ−timeが短い場合、ライン管理が難しくなる。このため、ライン管理の複雑化による生産性の低下も懸念される。
図1Aに示すように、ウェハWは、たとえば配線層101と、ライナー膜103と、層間絶縁膜104とを有する。これらは、配線層101、ライナー膜103および層間絶縁膜104の順に積層される。配線層101には、金属配線の一例であるCu配線102が形成される。
また、ウェハWは、ビアホール106を有する。ビアホール106は、ドライエッチングによって形成される。ビアホール106は、配線層101まで達しており、Cu配線102の表面がビアホール106の底部から露出した状態となっている。
第1の実施形態に係る基板処理方法では、図1Bに示すように、揮発成分を含みウェハW上に膜を形成するための処理液(以下、「成膜用処理液」と記載する)をウェハW上に供給する。具体的には、第1の実施形態では、ウェハW上にトップコート膜を形成するための成膜用処理液(以下、「トップコート液」と記載する)をウェハW上に供給する。
ここで、トップコート膜とは、レジスト膜への液浸液の浸み込みを防ぐためにレジスト膜の上面に塗布される保護膜である。また、液浸液は、たとえばリソグラフィ工程における液浸露光に用いられる液体である。
ウェハW上に供給されたトップコート液は、その内部に含まれる揮発成分が揮発することによって体積収縮を起こしながら固化または硬化し、トップコート膜となる(図1C参照)。なお、トップコート液には、固化または硬化する際に体積が収縮する性質を有するアクリル樹脂が含まれており、かかるアクリル樹脂の硬化収縮によってもトップコート液の体積収縮が引き起こされる。ここでいう「固化」とは、固体化することを意味し、「硬化」とは、分子同士が連結して高分子化すること(たとえば架橋や重合等)を意味する。
ウェハW上にトップコート膜が形成されると、ドライエッチングによって露出したCu配線102は、トップコート膜によって覆われた状態となる。ウェハWは、この状態で搬送容器へ収容される。
このように、第1の実施形態に係る基板処理方法によれば、露出したCu配線102をトップコート膜で保護することにより、露出したCu配線102が酸化等の悪影響を受けることがなくなるため、Q−timeの設定が不要となる。Q−timeが不要となることで、Q−timeを遵守するための時間管理が不要となり、また、Q−timeの遵守に伴うライン管理の複雑化を防止することもできる。したがって、第1の実施形態に係る基板処理方法によれば、生産性を向上させることができる。
また、反応生成物Pは、ドライエッチングの残留ガスが大気中の水分や酸素と反応することによって成長する。これに対し、第1の実施形態に係る基板処理方法によれば、露出したCu配線102をトップコート膜で保護することにより、反応生成物Pの成長を抑えることができる。したがって、反応生成物Pによる電気特性の低下や歩留まり低下等の悪影響を防止することもできる。
なお、第1の実施形態に係る基板処理方法では、搬送容器に収容したウェハWを取り出した後、ウェハW上に形成されたトップコート膜を除去することにより、ドライエッチングまたはアッシングによって発生したポリマー等の反応生成物Pを除去する処理も行う。
具体的には、トップコート膜を除去する除去液をトップコート膜上に供給する。第1の実施形態では、除去液としてアルカリ現像液が用いられる。
アルカリ現像液が供給されることにより、トップコート膜はウェハWから剥離される。この際、ウェハW上に残存する反応生成物Pもトップコート膜とともにウェハWから剥離される。これにより、ウェハWから反応生成物Pを除去することができる。
このように、第1の実施形態に係る基板処理方法によれば、化学的作用を利用することなく反応生成物を除去することができるため、エッチング作用等によるCu配線102へのダメージを抑えることができる。
したがって、第1の実施形態に係る基板処理方法によれば、ドライエッチング後またはアッシング後にウェハW上に残存する反応生成物PをウェハWへのダメージを抑えつつ除去することができる。なお、トップコート膜は、ウェハWに成膜された後、パターン露光を行うことなくウェハWから全て除去される。
トップコート液は、体積収縮を起こしながら固化または硬化していき、トップコート膜となる。このときのトップコート液の体積収縮により生じる歪み(引っ張り力)によっても、ウェハWに残存する反応生成物PをウェハWから引き離すことができる。
トップコート液は、揮発成分の揮発およびアクリル樹脂の硬化収縮によって体積収縮が引き起こされるため、揮発成分のみを含む成膜用処理液と比べて体積収縮率が大きく、反応生成物Pを強力に引き離すことができる。特に、アクリル樹脂は、エポキシ樹脂等の他の樹脂と比較して硬化収縮が大きいため、反応生成物Pに引っ張り力を与えるという点でトップコート液は有効である。
また、トップコート膜は、アルカリ現像液によって剥離される際に膨潤する。このため、第1の実施形態に係る基板処理方法によれば、トップコート液の揮発による体積収縮に加え、トップコート膜の膨潤による体積膨張によっても、反応生成物PをウェハWから強力に引き離すことができる。
また、第1の実施形態では、除去液としてアルカリ性を有するものを用いることで、反応生成物Pの除去効率を高めることとしている。
アルカリ現像液を供給することにより、ウェハWの表面と反応生成物Pの表面とには、同一極性のゼータ電位が生じる。トップコート液の体積変化によってウェハWから引き離された反応生成物Pは、ウェハWと同一極性のゼータ電位に帯電することで、ウェハWと反発し合うようになる。これにより、反応生成物PのウェハWへの再付着が防止される。
このように、トップコート液の体積収縮を利用してウェハW等から反応生成物Pを引き離した後、ウェハWと反応生成物Pとに同一極性のゼータ電位を生じさせることで、反応生成物Pの再付着が防止されるため、反応生成物Pの除去効率を高めることができる。
なお、アルカリ現像液としては、たとえばアンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH:Tetra Methyl Ammonium Hydroxide)、コリン水溶液の少なくとも一つを含んでいればよい。
また、第1の実施形態に係る基板処理方法によれば、たとえば物理力を利用した洗浄方法では除去が困難であった、ビアホール106内に入り込んだ反応生成物Pも容易に除去することができる。
なお、ウェハW上に形成されたトップコート膜は、最終的にはウェハWから全て取り除かれる。したがって、トップコート膜が除去された後のウェハWは、トップコート液が供給される前の状態、すなわち、Cu配線102が露出した状態となる。
<基板処理システムの構成>
次に、上述した基板処理方法を実行する基板処理システムの構成について図2を参照して説明する。図2は、第1の実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。
図2に示すように、第1の実施形態に係る基板処理システム1は、前処理装置としての第1処理装置2と、後処理装置としての第2処理装置3とを備える。また、基板処理システム1は、第1制御装置4Aと、第2制御装置4Bとを備える。
第1処理装置2は、ウェハWに対してドライエッチングやトップコート液の供給を行う。また、第2処理装置3は、第1処理装置2で処理されたウェハWに対してアルカリ現像液の供給を行う。
第1制御装置4Aは、たとえばコンピュータであり、制御部401と記憶部402とを備える。記憶部402は、たとえばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクといった記憶デバイスで構成されており、第1処理装置2において実行される各種の処理を制御するプログラムを記憶する。制御部401は、たとえばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶部402に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって第1処理装置2の動作を制御する。
同様に、第2制御装置4Bは、たとえばコンピュータであり、制御部403と記憶部404とを備える。記憶部404は、たとえばRAM、ROM、ハードディスクといった記憶デバイスで構成されており、第2処理装置3において実行される各種の処理を制御するプログラムを記憶する。制御部403は、たとえばCPUであり、記憶部404に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって第2処理装置3の動作を制御する。
なお、これらのプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から第1制御装置4Aの記憶部402や第2制御装置4Bの記憶部404にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
<第1処理装置の構成>
次に、第1処理装置2の構成について図3を参照して説明する。図3は、第1処理装置2の概略構成を示す図である。なお、以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図3に示すように、第1処理装置2は、搬入出ステーション5と、処理ステーション6とを備える。搬入出ステーション5と処理ステーション6とは隣接して設けられる。
搬入出ステーション5は、載置部10と、搬送部11とを備える。載置部10には、複数枚のウェハWを水平状態で収容する複数の搬送容器(以下、キャリアCと記載する)が載置される。
搬送部11は、載置部10に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置111を備える。基板搬送装置111は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置111は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと処理ステーション6との間でウェハWの搬送を行う。
具体的には、基板搬送装置111は、載置部10に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを後述する処理ステーション6のドライエッチングユニット12へ搬入する処理を行う。また、基板搬送装置111は、後述する処理ステーション6の第1液処理ユニット14からウェハWを取り出し、取り出したウェハWを載置部10のキャリアCへ収容する処理も行う。
処理ステーション6は、搬送部11に隣接して設けられる。処理ステーション6は、ドライエッチングユニット12と、ロードロック室13と、第1液処理ユニット14とを備える。
ドライエッチングユニット12は、前処理部の一例に相当し、基板搬送装置111によって搬入されたウェハWに対してドライエッチング処理を行う。これにより、ビアホール106が形成されて、ウェハW内部のCu配線102(図1A参照)が露出する。
なお、ドライエッチング処理は、減圧状態で行われる。また、ドライエッチングユニット12では、ドライエッチング処理後に、不要なレジストを除去するアッシング処理が行われる場合がある。
ロードロック室13は、内部の圧力を大気圧状態と減圧状態とで切り替え可能に構成される。ロードロック室13の内部には、図示しない基板搬送装置が設けられる。ドライエッチングユニット12での処理を終えたウェハWは、ロードロック室13の図示しない基板搬送装置によってドライエッチングユニット12から搬出されて、第1液処理ユニット14へ搬入される。
具体的には、ロードロック室13の内部は、ドライエッチングユニット12からウェハWを搬出するまでは減圧状態に保たれており、搬出が完了した後、窒素やアルゴン等の不活性ガスが供給されて大気圧状態へ切り替えられる。そして、大気圧状態へ切り替わった後で、ロードロック室13の図示しない基板搬送装置がウェハWを第1液処理ユニット14へ搬入する。
このように、ウェハWは、ドライエッチングユニット12から搬出されてから第1液処理ユニット14へ搬入されるまでの間、外気から遮断されるため、露出したCu配線102の酸化が防止される。
つづいて、第1液処理ユニット14は、ウェハWにトップコート液を供給する成膜用処理液供給処理を行う。上述したように、ウェハWに供給されたトップコート液は、体積収縮を起こしながら固化または硬化してトップコート膜となる。これにより、露出したCu配線102がトップコート膜によって覆われた状態となる。
成膜用処理液供給処理後のウェハWは、基板搬送装置111によってキャリアCへ収容され、その後、第2処理装置3へ搬送される。
<第2処理装置の構成>
次に、第2処理装置3の構成について図4を参照して説明する。図4は、第2処理装置3の概略構成を示す図である。
図4に示すように、第2処理装置3は、搬入出ステーション7と、処理ステーション8とを備える。搬入出ステーション7と処理ステーション8とは隣接して設けられる。
搬入出ステーション7は、載置部16と、搬送部17とを備える。載置部16には、複数のキャリアCが載置される。
搬送部17は、載置部16に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置171と、受渡部172とを備える。基板搬送装置171は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置171は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部172との間でウェハWの搬送を行う。
処理ステーション8は、搬送部17に隣接して設けられる。処理ステーション8は、搬送部18と、複数の第2液処理ユニット19とを備える。複数の第2液処理ユニット19は、搬送部18の両側に並べて設けられる。
搬送部18は、内部に基板搬送装置181を備える。基板搬送装置181は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置181は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部172と第2液処理ユニット19との間でウェハWの搬送を行う。
第2処理装置3では、搬入出ステーション7の基板搬送装置171が、第1処理装置2で処理されたウェハWをキャリアCから取り出し、取り出したウェハWを受渡部172に載置する。受渡部172に載置されたウェハWは、処理ステーション8の基板搬送装置181によって受渡部172から取り出されて、第2液処理ユニット19へ搬入される。
第2液処理ユニット19では、ウェハWに対し、アルカリ現像液を供給してトップコート膜を除去する処理等が行われる。これにより、トップコート膜の剥離に伴ってウェハW上に残存する反応生成物Pが除去される。また、第2液処理ユニット19では、トップコート膜が除去されたウェハWに対して薬液による洗浄も行われる。ここでは、薬液としてDHF(希フッ酸)が用いられる。
その後、ウェハWは、基板搬送装置181によって第2液処理ユニット19から搬出されて、受渡部172に載置される。そして、受渡部172に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置171によって載置部16のキャリアCへ戻される。
<ドライエッチングユニットの構成>
次に、上述した第1処理装置2および第2処理装置3が備える各ユニットの構成について説明する。まず、第1処理装置2が備えるドライエッチングユニット12の構成について図5を参照して説明する。図5は、ドライエッチングユニット12の構成の一例を示す模式図である。
図5に示すように、ドライエッチングユニット12は、ウェハWを収容する密閉構造のチャンバ201を備えており、チャンバ201内には、ウェハWを水平状態で載置する載置台202が設けられる。載置台202は、ウェハWを冷却したり、加熱したりして所定の温度に調節する温調機構203を備える。チャンバ201の側壁にはロードロック室13との間でウェハWを搬入出するための搬入出口(図示せず)が設けられる。
チャンバ201の天井部には、シャワーヘッド204が設けられる。シャワーヘッド204には、ガス供給管205が接続される。このガス供給管205には、バルブ206を介してエッチングガス供給源207が接続されており、エッチングガス供給源207からシャワーヘッド204に対して所定のエッチングガスが供給される。シャワーヘッド204は、エッチングガス供給源207から供給されるエッチングガスをチャンバ201内へ供給する。
なお、エッチングガス供給源207から供給されるエッチングガスは、たとえばCH3Fガス、CH2F2ガス、CF4ガス、O2ガス、Arガス源などである。
チャンバ201の底部には排気ライン208を介して排気装置209が接続される。チャンバ201の内部の圧力は、かかる排気装置209によって減圧状態に維持される。
ドライエッチングユニット12は、上記のように構成されており、排気装置209を用いてチャンバ201の内部を減圧した状態で、シャワーヘッド204からチャンバ201内にエッチングガスを供給することによって載置台202に載置されたウェハWをドライエッチングする。これにより、ウェハWにビアホール106(図1A参照)が形成されて、Cu配線102が露出した状態となる。
また、ドライエッチングユニット12では、たとえばレジスト膜をマスクとして層間絶縁膜104(図1A参照)をドライエッチングした後に、レジスト膜を除去するためのアッシング処理が行われる場合がある。
<第1液処理ユニットの構成>
次に、第1処理装置2が備える第1液処理ユニット14の構成について図6を参照して説明する。図6は、第1液処理ユニット14の構成の一例を示す模式図である。
図6に示すように、第1液処理ユニット14は、チャンバ20と、基板保持機構30と、液供給部40_1,40_2と、回収カップ50とを備える。
チャンバ20は、基板保持機構30と液供給部40_1,40_2と回収カップ50とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
FFU21には、バルブ22を介して不活性ガス供給源23が接続される。FFU21は、不活性ガス供給源23から供給されるN2ガス等の不活性ガスをチャンバ20内に吐出する。このように、ダウンフローガスとして不活性ガスを用いることにより、露出したCu配線102(図1A参照)が酸化することを防止することができる。
基板保持機構30は、ウェハWを回転可能に保持する回転保持部31と、回転保持部31の中空部314に挿通され、ウェハWの下面に気体を供給する流体供給部32とを備える。
回転保持部31は、チャンバ20の略中央に設けられる。かかる回転保持部31の上面には、ウェハWを側面から保持する保持部材311が設けられる。ウェハWは、かかる保持部材311によって回転保持部31の上面からわずかに離間した状態で水平保持される。
また、回転保持部31は、モータやモータの回転を回転保持部31へ伝達するベルト等から構成される駆動機構312を備える。回転保持部31は、かかる駆動機構312によって鉛直軸まわりに回転する。そして、回転保持部31が回転することによって、回転保持部31に保持されたウェハWが回転保持部31と一体に回転する。なお、回転保持部31は、軸受313を介してチャンバ20および回収カップ50に回転可能に支持される。
流体供給部32は、回転保持部31の中央に形成された中空部314に挿通される。流体供給部32の内部には流路321が形成されており、かかる流路321には、バルブ33を介してN2供給源34が接続される。流体供給部32は、N2供給源34から供給されるN2ガスをバルブ33および流路321を介してウェハWの下面へ供給する。
バルブ33を介して供給されるN2ガスは、高温(たとえば、90℃程度)のN2ガスであり、後述する揮発促進処理に用いられる。
基板保持機構30は、ロードロック室13の図示しない基板搬送装置からウェハWを受け取る場合には、図示しない昇降機構を用いて流体供給部32を上昇させた状態で、流体供給部32の上面に設けられた図示しない支持ピン上にウェハWを載置させる。その後、基板保持機構30は、流体供給部32を所定の位置まで降下させた後、回転保持部31の保持部材311にウェハWを渡す。また、基板保持機構30は、処理済のウェハWを基板搬送装置111へ渡す場合には、図示しない昇降機構を用いて流体供給部32を上昇させ、保持部材311によって保持されたウェハWを図示しない支持ピン上に載置させる。そして、基板保持機構30は、図示しない支持ピン上に載置させたウェハWを基板搬送装置111へ渡す。
液供給部40_1は、ノズル41a〜41cと、アーム42と、旋回昇降機構43とを備える。
ノズル41aには、バルブ44aを介してDHF供給源45aが接続され、ノズル41bには、バルブ44bを介してDIW供給源45bが接続され、ノズル41cには、バルブ44cを介してIPA供給源45cがそれぞれ接続される。なお、ノズル41aから供給されるDHFは、Cu配線102を腐食させない程度の濃度に希釈された希フッ酸である。また、アーム42は、ノズル41a〜41cを水平に支持し、旋回昇降機構43は、アーム42を旋回および昇降させる。
かかる液供給部40_1は、ウェハWに対し、所定の薬液(ここでは、DHF)をノズル41aから供給し、リンス液の一種であるDIW(純水)をノズル41bから供給し、乾燥溶媒の一種であるIPA(イソプロピルアルコール)をノズル41cから供給する。
また、液供給部40_2は、ノズル41d,41eと、ノズル41d,41eを水平に支持するアーム42と、アーム42を旋回および昇降させる旋回昇降機構43とを備える。ノズル41dには、バルブ44dを介してMIBC供給源45dが接続され、ノズル41eには、バルブ44eを介してトップコート液供給源45eが接続される。
かかる液供給部40_2は、ウェハWに対し、トップコート液と親和性のある溶剤としてMIBC(4−メチル−2−ペンタノール)をノズル41dから供給し、トップコート液をノズル41eから供給する。
MIBCは、トップコート液にも含有されており、トップコート液と親和性がある。なお、MIBC以外のトップコート液と親和性のある溶剤として、たとえばPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)などを用いてもよい。
なお、ここでは、処理液ごとに専用のノズル41a〜41eを設けることとしたが、複数の処理液でノズルを共用してもよい。ただし、ノズルを共用化すると、たとえば処理液同士を混ぜたくない場合等に、ノズルや配管に残存する処理液を一旦排出する工程が必要となり、処理液が無駄に消費されることとなる。これに対し、専用のノズル41a〜41eを設けることとすれば、上記のように処理液を排出する工程が必要とならないため、処理液を無駄に消費することもない。
回収カップ50は、回転保持部31を取り囲むように配置され、回転保持部31の回転によってウェハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、かかる排液口51から第1液処理ユニット14の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、流体供給部32によって供給されるN2ガスやFFU21から供給される不活性ガスを第1液処理ユニット14の外部へ排出する排気口52が形成される。
<第2液処理ユニットの構成>
次に、第2処理装置3が備える第2液処理ユニット19の構成について図7を参照して説明する。図7は、第2液処理ユニット19の構成の一例を示す模式図である。
図7に示すように、第2液処理ユニット19は、チャンバ60内に、基板保持機構70と、液供給部80と、回収カップ90とを備える。
基板保持機構70は、回転保持部71と、支柱部72と、駆動部73とを備える。回転保持部71は、チャンバ60の略中央に設けられる。かかる回転保持部71の上面には、ウェハWを側面から保持する保持部材711が設けられる。ウェハWは、かかる保持部材711によって回転保持部71の上面からわずかに離間した状態で水平保持される。支柱部72は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部73によって回転可能に支持され、先端部において回転保持部71を水平に支持する。駆動部73は、支柱部72を鉛直軸まわりに回転させる。
かかる基板保持機構70は、駆動部73を用いて支柱部72を回転させることによって支柱部72に支持された回転保持部71を回転させ、これにより、回転保持部71に保持されたウェハWを回転させる。
液供給部80は、ノズル81a〜81cと、アーム82と、旋回昇降機構83とを備える。
ノズル81aには、バルブ84aを介してDHF供給源85aが接続され、ノズル81bには、バルブ84bを介してアルカリ現像液供給源85bが接続され、ノズル81cには、バルブ84cを介してDIW供給源85cが接続される。アーム82は、ノズル81a〜81cを水平に支持する。旋回昇降機構83は、アーム82を旋回および昇降させる。
かかる液供給部80は、ウェハWに対し、所定の薬液であるDHFをノズル81aから供給し、トップコート膜を除去する除去液であるアルカリ現像液をノズル81bから供給し、リンス液であるDIWをノズル81cから供給する。
ノズル81bから供給されるアルカリ現像液には、Cu配線102の腐食を防止する防食剤が含有される。これにより、後述する除去液供給処理において、Cu配線102へのダメージを抑えつつトップコート膜を除去することができる。また、ノズル81aから供給されるDHFは、Cu配線102を腐食させない程度の濃度に希釈されている。
回収カップ90は、処理液の周囲への飛散を防止するために、回転保持部71を取り囲むように配置される。回収カップ90の底部には、排液口91が形成されており、回収カップ90によって捕集された処理液は、かかる排液口91から第2液処理ユニット19の外部に排出される。
このように、第1の実施形態に係る第2液処理ユニット19は、ウェハWからトップコート膜を除去する除去部およびトップコート膜が除去されたウェハWに対して所定の後処理を行う後処理部の一例に相当する。
<基板処理システムの具体的動作>
次に、基板処理システム1の具体的動作について図8を参照して説明する。図8は、第1の実施形態に係る基板処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図8に示す各処理手順は、第1制御装置4Aまたは第2制御装置4Bの制御に基づいて行われる。
第1の実施形態に係る基板処理システム1では、図8に示すドライエッチング処理(ステップS101)から第1搬出処理(ステップS107)までの処理が第1処理装置2において行われ、除去液供給処理(ステップS108)から第2搬出処理(ステップS110)までの処理が第2処理装置3において行われる。
図8に示すように、まず、ドライエッチングユニット12においてドライエッチング処理が行われる(ステップS101)。かかるドライエッチング処理では、ドライエッチングユニット12がウェハWに対してドライエッチングやアッシングを行う。これにより、ウェハWの内部に設けられたCu配線102が露出する(図1A参照)。
つづいて、ウェハWは、第1液処理ユニット14へ搬入される。かかる搬入処理は、ロードロック室13を介して行われるため、露出したCu配線102の酸化を防止することができる。
つづいて、第1液処理ユニット14において薬液処理が行われる(ステップS102)。かかる薬液処理では、液供給部40_1(図6参照)のノズル41aがウェハWの中央上方に位置する。その後、ノズル41aからウェハWに対してDHFが供給される。ウェハWに供給されたDHFは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの主面に広がる。
これにより、Cu配線102や反応生成物Pの表面がDHFによって僅かに溶解されて、反応生成物Pの付着力が弱まる。したがって、反応生成物Pを除去し易い状態にすることができる。
ここで、ステップS102の薬液処理は、反応生成物Pを除去しやすくする目的で行われるものであり、反応生成物Pを完全には除去しない程度の低エッチング条件で行われる。低エッチング条件とは、たとえば、反応生成物Pを完全に除去するのに必要なエッチング時間よりも短い時間、または、反応生成物Pを完全に除去するのに必要なDHFの濃度よりも低いDHFの濃度でエッチングを行う条件である。
このため、従来のようにDHFのみで反応生成物Pを除去する場合と比較して、Cu配線102のダメージを抑えつつ、反応生成物Pの除去をより効果的に行うことができる。また、第1の実施形態においてノズル41aから供給されるDHFは、Cu配線102を腐食させない程度の濃度に希釈されているため、Cu配線102のダメージをより確実に抑えることができる。
薬液処理においては、粒子径の比較的小さい反応生成物Pが除去されやすく、後述するトップコート液およびアルカリ除去液を用いた反応生成物Pの除去においては、粒子径の比較的大きい反応生成物Pが除去されやすい。したがって、これらの処理を組み合わせることにより、より効果的に反応生成物Pを除去することができる。
なお、ノズル41aから供給される薬液は、DHFに限らず、たとえばフッ化アンモニウム、塩酸、硫酸、過酸化水素水、リン酸、酢酸、硝酸、水酸化アンモニウム、有機酸またはフッ化アンモニウムを含む水溶液等であってもよい。
つづいて、第1液処理ユニット14では、ウェハWの主面をDIWですすぐリンス処理が行われる(ステップS103)。かかるリンス処理では、ノズル41b(図6参照)がウェハWの中央上方に位置する。その後、バルブ44bが所定時間開放されることによって、ノズル41bから回転するウェハWの主面へDIWが供給され、ウェハW上に残存するDHFが洗い流される。
つづいて、第1液処理ユニット14では、置換処理が行われる(ステップS104)。かかる置換処理では、ノズル41c(図6参照)がウェハWの中央上方に位置する。その後、バルブ44cが所定時間開放されることによって、ノズル41cから回転するウェハWの主面へIPAが供給され、ウェハW上のDIWがIPAに置換される。その後、ウェハW上にIPAが残存した状態でウェハWの回転が停止する。置換処理が完了すると、液供給部40_1がウェハWの外方へ移動する。なお、ステップS102〜S104の処理は、必ずしも実施されることを要しない。
つづいて、第1液処理ユニット14では、溶剤供給処理が行われる(ステップS105)。溶剤供給処理は、成膜用処理液であるトップコート液をウェハWに供給する前に、かかるトップコート液と親和性のあるMIBCをウェハWに供給する処理である。
具体的には、液供給部40_2のノズル41dがウェハWの中央上方に位置し、その後、ノズル41dからウェハWへMIBCが供給される。ウェハWに供給されたMIBCは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの主面に塗り広げられる。
このように、トップコート液と親和性のあるMIBCを事前にウェハWに塗り広げておくことで、後述する成膜用処理液供給処理において、トップコート液がウェハWに広がり易くなるとともに、ビアホール106にも入り込み易くなる。したがって、トップコート液の消費量を抑えることができるとともに、ビアホール106に入り込んだ反応生成物Pをより確実に除去することができる。
MIBCは、トップコート液との親和性はあるが、DIWに対してはほとんど混ざらず親和性が低い。これに対し、第1液処理ユニット14では、MIBCを供給する前に、DIWと比べてMIBCとの親和性が高いIPAでDIWを置換することとしている。これにより、リンス処理(ステップS103)の直後に溶剤供給処理(ステップS105)を行った場合と比較し、MIBCがウェハWの主面に広がり易くなり、MIBCの消費量を抑えることができる。
なお、成膜用処理液と親和性のある溶剤が、成膜用処理液だけでなくDIWとの親和性も有する場合には、ステップS104の置換処理を省略してもよい。
このように、トップコート膜をウェハWの上面に短時間で効率的に塗り広げたい場合等には、上述した溶剤供給処理を行うことが好ましい。なお、成膜用処理液がIPAとの親和性を有する場合には、ステップS105の溶剤供給処理を省略してもよい。
つづいて、第1液処理ユニット14では、成膜用処理液供給処理が行われる(ステップS106)。かかる成膜用処理液供給処理では、液供給部40_2のノズル41eがウェハWの中央上方に位置する。その後、成膜用処理液であるトップコート液が、レジスト膜が形成されていない回路形成面であるウェハWの主面へノズル41eから供給される。
ウェハWへ供給されたトップコート液は、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの主面に広がる。これにより、ウェハWの主面全体にトップコート液の液膜が形成される(図1B参照)。このとき、ウェハWの主面は、ステップS105においてウェハW上に供給されたMIBCによって濡れ性が高められた状態となっている。これにより、トップコート液がウェハWの主面に広がり易くなるとともに、ビアホール106にも入り込み易くなる。したがって、トップコート液の使用量を削減することができるとともに、処理時間の短縮化を図ることができる。
ウェハWの回転によって揮発成分が揮発することにより、トップコート液が固化または硬化する。これにより、ウェハWの主面全体にトップコート膜が形成される。
また、第1液処理ユニット14では、揮発促進処理が行われる。かかる揮発促進処理は、ウェハWの主面全体に膜を形成するトップコート液に含まれる揮発成分のさらなる揮発を促進させる処理である。具体的には、バルブ33(図6参照)が所定時間開放されることによって、高温のN2ガスが流体供給部32から回転するウェハWの裏面へ供給される。これにより、ウェハWとともにトップコート液が加熱されて揮発成分の揮発が促進される。
なお、揮発促進処理は、図示しない減圧装置によってチャンバ20内を減圧状態にする処理であってもよいし、FFU21から供給されるガスによってチャンバ20内の湿度を低下させる処理であってもよい。これらの処理によっても、揮発成分の揮発を促進させることができる。
また、ここでは、第1液処理ユニット14が揮発促進処理を行う場合の例について示したが、揮発促進処理は省略可能である。すなわち、トップコート液が自然に固化または硬化するまでウェハWを第1液処理ユニット14で待機させてもよい。また、ウェハWの回転を停止させたり、トップコート液が振り切られてウェハWの主面が露出することがない程度の回転数でウェハWを回転させたりすることによって、トップコート液の揮発を促進させてもよい。
つづいて、第1液処理ユニット14では、第1搬出処理が行われる(ステップS107)。かかる第1搬出処理では、基板搬送装置111が、第1液処理ユニット14からウェハWを取り出し、載置部10まで搬送して、載置部10に載置されたキャリアCへ収容する。
このとき、ウェハWの露出したCu配線102は、ドライエッチング後短時間でトップコート膜に覆われる(図1C参照)。すなわち、Cu配線102は、外気から遮断された状態となっているため、酸化等の悪影響を受けることがない。
したがって、第1の実施形態に係る基板処理システム1によれば、ドライエッチング後から洗浄までのQ−timeを遵守するための時間管理が不要となるため、生産性を向上させることができる。
キャリアCに収容されたウェハWは、第1処理装置2から第2処理装置3の載置部16へ搬送される。その後、ウェハWは、第2処理装置3の基板搬送装置171(図4参照)によってキャリアCから取り出され、受渡部172、基板搬送装置181を経由して第2液処理ユニット19へ搬入される。
第2液処理ユニット19では、まず、除去液供給処理が行われる(ステップS108)。かかる除去液供給処理では、ノズル81b(図7参照)がウェハWの中央上方に位置する。その後、バルブ84bが所定時間開放されることによって、除去液であるアルカリ現像液がノズル81bから回転するウェハW上に供給される。これにより、ウェハW上に形成されたトップコート膜が剥離および溶解してウェハWから除去される。
このとき、ウェハWに残存する反応生成物Pは、ウェハWから剥離されて除去される。また、このとき、ウェハWおよび反応生成物Pに同一極性のゼータ電位が生じるため、ウェハWおよび反応生成物Pが反発して反応生成物PのウェハW等への再付着が防止される。
また、アルカリ現像液には、Cu配線102の腐食を防止する防食剤が含有される。このため、Cu配線102にアルカリ現像液が付着してもCu配線102の腐食を抑えることができる。したがって、第1の実施形態に係る基板処理システム1によれば、Cu配線102へのダメージを抑えつつトップコート膜を除去することができる。
つづいて、第2液処理ユニット19では、薬液処理が行われる(ステップS109)。かかる薬液処理では、ノズル81a(図7参照)がウェハWの中央上方に位置する。その後、ノズル81aからウェハWに対してDHFが供給される。ウェハWに供給されたDHFは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの主面に広がる。
このように、除去液供給処理の後、すなわち、トップコート膜が除去された後に薬液処理を行うことにより、トップコート膜の剥離によって除去し切れなかった反応生成物P(特に、粒子径の小さい反応生成物P)が存在する場合に、かかる反応生成物Pを除去することができる。かかる場合にも、一般的な薬液洗浄と比較して、ウェハWへの侵食を抑えつつ、より効果的に反応生成物Pの除去を行うことができる。なお、除去液供給処理により反応生成物Pが十分に除去されるのであれば、ステップS109の薬液処理、すなわちウェット洗浄は省略してもよい。
薬液処理を終えると、第2液処理ユニット19では、ノズル81cからウェハWへDIWを供給してウェハWの主面をすすぐリンス処理が行われる。これにより、溶解したトップコート膜やアルカリ現像液中に浮遊する反応生成物Pが、DIWとともにウェハWから除去される。また、リンス処理を終えると、第2液処理ユニット19では、ウェハWの回転速度を所定時間増加させることによってウェハWの主面に残存するDIWを振り切ってウェハWを乾燥させる乾燥処理が行われる。その後、ウェハWの回転が停止する。
そして、第2液処理ユニット19では、第2搬出処理が行われる(ステップS110)。かかる第2搬出処理においてウェハWは、基板搬送装置181(図4参照)によって第2液処理ユニット19から取り出され、受渡部172および基板搬送装置171を経由して、載置部16に載置されたキャリアCに収容される。かかる第2搬出処理が完了すると、1枚のウェハWについての一連の基板処理が完了する。
上述してきたように、第1の実施形態に係る基板処理システム1は、載置部10と、液供給部40_2(処理液供給部の一例に相当)と、基板搬送装置111とを備える。載置部10は、複数のウェハWを収容可能なキャリアCを載置する。液供給部40_2は、内部に形成されるCu配線102の少なくとも一部が露出したドライエッチング後またはアッシング後のウェハWに対し、揮発成分を含みウェハW上に膜を形成するための処理液であるトップコート液を供給する。基板搬送装置111は、揮発成分が揮発することによってトップコート液が固化または硬化したウェハWを載置部10へ搬送して、載置部10に載置されたキャリアCへ収容する。
したがって、第1の実施形態に係る基板処理システム1によれば、Cu配線102が露出してから洗浄までのQ−time管理が容易となり、生産性を向上させることができる。
(第2の実施形態)
ところで、半導体の製造工程においては、ウェハWの裏面に対して洗浄等の裏面処理を行う場合がある。しかし、かかる場合、裏面処理に用いる洗浄液等がウェハWの主面に飛散したり回り込んだりすることによって、ウェハWの主面が汚染されるおそれがある。
そこで、ウェハWの主面にトップコート膜を形成した後で、つまり、ウェハWの主面がトップコート膜によって保護された状態で、ウェハWの裏面処理を行うことで、ウェハWの主面の汚染を防止することとしてもよい。
かかる点について図9Aおよび図9Bを参照して説明する。図9Aおよび図9Bは、裏面洗浄処理の一例を示す図である。
図9Aに示すように、第1液処理ユニット14Aが備える流体供給部32は、バルブ33を介してN2供給源34に接続されるとともに、バルブ35を介してSC1供給源36にも接続される。かかる流体供給部32は、N2供給源34から供給されるN2ガスをウェハWの裏面へ供給するとともに、SC1供給源36から供給されるSC1(アンモニア過水)をウェハWの裏面へ供給する。
第1液処理ユニット14Aは、図8に示すステップS106の処理を行った後、すなわち、ウェハWの主面全体にトップコート膜が形成された後、図9Bに示す裏面洗浄処理を行う。
かかる裏面洗浄処理では、バルブ35が所定時間開放されることによって、流体供給部32から回転するウェハWの裏面へSC1が供給される。これにより、ウェハWの裏面が洗浄される。
このように、ウェハWの主面全面がトップコート膜によって覆われた状態で、ウェハWの裏面を洗浄することで、仮に、裏面洗浄処理中に洗浄液が飛散したとしても、ウェハWの主面に洗浄液が付着してウェハWの主面が汚染されることを防止することができる。また、洗浄液の回り込みによるウェハWの主面の汚染を防止することができる。
図9Aおよび図9Bには、ウェハWの裏面に対してSC1等の洗浄液を供給する処理を裏面洗浄処理として行う場合の例を示したが、裏面洗浄処理は、上記の処理に限定されない。たとえば、ブラシ等の洗浄体を用いたスクラブ洗浄を裏面洗浄処理として行ってもよい。
裏面洗浄処理としてスクラブ洗浄を行う場合の例について図10を用いて説明する。図10は、裏面洗浄処理の他の一例を示す図である。
裏面洗浄処理としてスクラブ洗浄を行う場合、図10に示す第1液処理ユニット14Bは、まず、図8に示すステップS101〜S106の処理を行う。
つづいて、ウェハWは、基板搬送装置111によって第1液処理ユニット14Bから一旦取り出された後、図示しない反転機構へ搬送される。そして、ウェハWは、かかる反転機構によって表裏が反転された後、基板搬送装置111によって第1液処理ユニット14Bに再び搬入される。なお、反転機構は、たとえば第1処理装置2の処理ステーション6に設けられる。反転機構の構成としては、いずれの公知技術を用いても構わない。
つづいて、図10に示すように、第1液処理ユニット14Bは、表裏が反転されたウェハWを基板保持機構30によって保持して回転させた後、ブラシ500を用いて、ウェハWの裏面をスクラブ洗浄する。具体的には、第1液処理ユニット14Bは、回転するブラシ500をウェハWの裏面に接触させた状態でブラシ500を移動させることによって、ウェハWの裏面に付着した異物を除去する。
このとき、ウェハWの主面は、トップコート膜によって全面が覆われた状態となっている。このため、ウェハWの裏面から除去された異物がウェハWの主面に付着するおそれがない。なお、流体供給部32からN2ガス等の流体を供給してトップコート膜への異物の付着を防止することとしてもよい。
スクラブ洗浄を終えたウェハWは、基板搬送装置111によって第1液処理ユニット14Bから搬出され、図示しない反転機構によって再度反転された後、キャリアCへ収容される。
なお、ここでは、ブラシ500を用いることとしたが、スポンジ等の他の洗浄体を用いてスクラブ洗浄を行ってもよい。
また、ウェハWの裏面にガスクラスタを噴き付けることによってウェハW裏面のパーティクルを除去する処理を裏面洗浄処理として行ってもよい。かかる点について図11を参照して説明する。図11は、裏面洗浄処理の他の一例を示す図である。
図11に示すように、第1液処理ユニット14Cは、ノズル600を備える。ノズル600は、洗浄用のガスである二酸化炭素を高圧噴射することにより、断熱膨張によって洗浄用のガスの原子または分子の集合体であるガスクラスタを生成させる。
ノズル600は、下端部が開口するように例えば概略円筒形状に形成された圧力室601を備える。この圧力室601の下端部は、オリフィス部602をなすように構成されている。このオリフィス部602には、下方に向かうにつれて拡径するガス拡散部603が接続される。オリフィス部602における開口径は例えば0.1mm程度である。
圧力室601の上端部には、ガス供給路604の一端側が接続されており、このガス供給路604には圧力調整バルブ605を介して二酸化炭素供給源606が接続されている。
第1液処理ユニット14Cは、上述したスクラブ洗浄を行う場合と同様の処理手順で、トップコート膜が形成されたウェハWを反転させたうえで基板保持機構30に保持させて回転させる。そして、第1液処理ユニット14Cは、第1液処理ユニット14Cのチャンバ20内の圧力よりも高い圧力で、ノズル600に二酸化炭素を供給する。二酸化炭素は、ノズル600からチャンバ20内に噴出されると、急激な断熱膨張により凝縮温度以下に冷却され、互いの分子M1同士がファンデルワールス力により結合して、集合体であるガスクラスタM2となる。
ガスクラスタM2は、ウェハWの裏面に向かって垂直に噴出され、ウェハW裏面に付着した異物を吹き飛ばして除去する。このとき、ウェハWの主面は、トップコート膜によって全面が覆われた状態となっている。このため、ウェハWの裏面から除去された異物がウェハWの主面に付着するおそれがない。
ガスクラスタM2による洗浄を終えたウェハWは、基板搬送装置111によって第1液処理ユニット14Cから搬出され、図示しない反転機構によって再度反転された後、キャリアCへ収容される。
なお、裏面洗浄処理は、上述した処理以外に、たとえば洗浄液をガスによってミスト化してウェハWの裏面に吹き付ける2流体ノズルを用いた2流体洗浄や、超音波振動子等を用いた超音波洗浄等であってもよい。
また、トップコート膜によってウェハWの主面が覆われた状態で行う処理は、裏面洗浄処理に限定されるものではなく、たとえば、薬液を用いてウェハWの裏面やベベル部をエッチングするエッチング処理等であってもよい。エッチング処理とは、たとえばフッ酸(HF)等を用いて酸化膜を除去する処理のことである。トップコート膜によってウェハWの主面が覆われた状態でエッチング処理を行うことで、ウェハWの裏面側から主面側へ薬液が回り込んだとしても、ウェハWの主面はトップコート膜によって保護された状態であるためエッチングされない。このように、トップコート膜によってエッチング領域が決定されるため、エッチングを精度良く行うことができる。
また、トップコート膜によってウェハWの主面が覆われた状態で行う処理は、研磨ブラシを用いてウェハWの裏面やベベル部を研磨する研磨処理であってもよい。
このように、トップコート膜によってウェハWの主面が覆われた状態で、ウェハWの他の面を処理することにより、ウェハWの主面の汚染を防止しつつ、ウェハWの他の面を処理することができる。
上記の例では、第1液処理ユニット14A〜14Cが他面処理部の一例に相当する場合の例について説明した。すなわち、上記の例では、第1液処理ユニット14A〜14Cが成膜用処理液供給処理に加えて裏面洗浄処理も行う場合の例について説明した。しかし、第1処理装置2は、裏面洗浄処理を行う裏面洗浄ユニットを第1液処理ユニット14と別体で備えていてもよい。
また、裏面洗浄処理等の他面処理は、第2処理装置3において行われてもよい。かかる場合、裏面洗浄用のノズルやブラシを第2液処理ユニット19に組み込んでもよいし、第2液処理ユニット19とは別体の裏面処理ユニットを第2処理装置3に設けてもよい。
(第3の実施形態)
ところで、成膜用処理液供給処理や除去液供給処理を行うための構成は、これらの構成を有していない既存の前処理装置や後処理装置に対して後付けされてもよい。第3の実施形態では、かかる点について説明する。図12は、第3の実施形態に係る第1処理装置の概略構成を示す図である。
図12に示すように、第1処理装置2Aは、第1ブロック2A1と、第2ブロック2A2と、連結部2A3とを備える。
第1ブロック2A1は、搬入出ステーション5と処理ステーション6とを備える。搬入出ステーション5は、第1の実施形態に係る第1処理装置2が備える搬入出ステーション5と同様であるため、ここでの説明は省略する。
第1ブロック2A1の処理ステーション6には、複数のドライエッチングユニット12が配置される。なお、第1の実施形態に係る第1処理装置2の処理ステーション6とは異なり、第1ブロック2A1の処理ステーション6には、第1液処理ユニット14が配置されていない。
第2ブロック2A2は、搬送部11’と、複数の第1液処理ユニット14とを備える。搬送部11’は、基板搬送装置111と同様の基板搬送装置112を備えており、かかる基板搬送装置112を用いて第1液処理ユニット14に対してウェハWの搬入出を行う。
連結部2A3は、第1ブロック2A1の搬送部11と第2ブロック2A2の搬送部11’とを連結する。かかる連結部2A3は、大気から遮断された内部空間を有する。内部空間は、たとえばN2ガス等の不活性ガスで満たされることによって大気から遮断される。また、内部空間には、図示しない載置台が設けられる。
かかる第1処理装置2Aにおいて、ドライエッチングユニット12での処理を終えたウェハWは、基板搬送装置111によってドライエッチングユニット12から取り出された後、連結部2A3の図示しない載置台へ載置される。
載置台へ載置されたウェハWは、第2ブロック2A2の基板搬送装置112によって載置台から取り出された後、第1液処理ユニット14へ搬送され、第1液処理ユニット14によって図8に示すステップS102〜S106の処理が行われる。これにより、ウェハWの主面にトップコート膜が形成される。
その後、ウェハWは、基板搬送装置112によって第1液処理ユニット14から取り出された後、連結部2A3の図示しない載置台を介して基板搬送装置112から基板搬送装置111へ受け渡され、基板搬送装置111によって載置部10に載置されたキャリアCに収容される。
このように、成膜用処理液供給処理を行う第1液処理ユニット14は、載置部10、基板搬送装置111およびドライエッチングユニット12を含む第1ブロック2A1と別体であり、かかる第1ブロック2A1と連結部2A3を介して接続される第2ブロック2A2に対して配置してもよい。すなわち、第1液処理ユニット14は、第1液処理ユニット14を備えない既存の前処理装置に対して後付けされてもよい。
かかる場合、連結部2A3の内部空間を大気と遮断することにより、ドライエッチング後のウェハWを第1ブロック2A1から第2ブロック2A2へ搬送する際に、ドライエッチングによって露出したCu配線102の酸化を抑えることができる。
なお、連結部2A3の内部空間と同様に、第1ブロック2A1および第2ブロック2A2の搬送部11,11’内も、たとえばN2ガスで満たすなどして大気から遮断されてもよい。これにより、露出したCu配線102の酸化をさらに抑えることができる。
また、上記の例では、第1ブロック2A1の搬送部11と第2ブロック2A2の搬送部11’とを連結部2A3で連結することとした。しかし、第1処理装置2Aは、たとえば第1ブロック2A1のドライエッチングユニット12と第2ブロック2A2の第1液処理ユニット14とが連結部2A3で連結された構成を有していてもよい。かかる場合、連結部2A3の内部空間に、図示しない基板搬送装置を配置し、かかる基板搬送装置によってドライエッチングユニット12および第1液処理ユニット14間のウェハWの搬送を行えばよい。なお、かかる場合、第2ブロック2A2は、搬送部11’を備えなくてもよい。
次に、第2処理装置の変形例について図13を参照して説明する。図13は、第3の実施形態に係る第2処理装置の概略構成を示す図である。
図13に示すように、第2処理装置3Aは、第1ブロック3A1と、第2ブロック3A2と、連結部3A3とを備える。
第1ブロック3A1は、搬入出ステーション7と処理ステーション8とを備える。搬入出ステーション7は、第1の実施形態に係る第2処理装置3が備える搬入出ステーション7と同様である。
第1ブロック3A1の処理ステーション8には、複数の第2液処理ユニット19Aが配置される。第2液処理ユニット19Aは、第1の実施形態に係る第2液処理ユニット19から除去液供給処理に関する構成、具体的には、ノズル81b、バルブ84bおよびアルカリ現像液供給源85bが除外された構成を有する。
第2ブロック3A2は、搬送部18’と、複数の除去ユニット700とを備える。搬送部18’は、基板搬送装置181と同様の基板搬送装置182を備えており、かかる基板搬送装置182を用いて除去ユニット700に対してウェハWの搬入出を行う。
除去ユニット700は、第1の実施形態に係る第2液処理ユニット19から、ノズル81a、バルブ84a、DHF供給源85a、ノズル81c、バルブ84cおよびDIW供給源85cが除外された構成を有する。
連結部3A3は、第1ブロック3A1の搬送部18と第2ブロック3A2の搬送部18’とを連結する。かかる連結部3A3は、大気から遮断された内部空間を有する。内部空間は、たとえばN2ガス等の不活性ガスで満たされることによって大気から遮断される。また、内部空間には、図示しない載置台が設けられる。
かかる第2処理装置3Aにおいて、ウェハWは、搬入出ステーション7から処理ステーション8の搬送部18へ搬送された後、基板搬送装置181によって連結部3A3の図示しない載置台へ載置される。
載置台へ載置されたウェハWは、第2ブロック3A2の基板搬送装置182によって載置台から取り出された後、除去ユニット700へ搬送され、除去ユニット700によって除去液供給処理(図8のステップS108)が行われる。これにより、ウェハWの主面からトップコート膜が除去される。
その後、ウェハWは、基板搬送装置182によって除去ユニット700から取り出された後、連結部3A3の図示しない載置台を介して基板搬送装置182から基板搬送装置181へ受け渡される。そして、ウェハWは、基板搬送装置181によって第2液処理ユニット19Aへ搬送され、第2液処理ユニット19Aによって薬液処理(図8のステップS109)の処理が行われた後、第2搬出処理(図8のステップS110)によってキャリアCに収容される。
このように、除去液供給処理を行う除去ユニット700は、載置部16、基板搬送装置181および薬液処理を行う第2液処理ユニット19Aを含む第1ブロック3A1と別体であり、かかる第1ブロック3A1と連結部3A3を介して接続される第2ブロック3A2に対して配置されてもよい。すなわち、除去ユニット700は、除去ユニット700を備えない既存の後処理装置に対して後付けされてもよい。
かかる場合、連結部3A3の内部空間を大気と遮断することにより、除去処理後のウェハWを第2ブロック3A2から第1ブロック3A1へ搬送する際に、露出したCu配線102の酸化を抑えることができる。なお、第2処理装置3Aは、第1ブロック3A1および第2ブロック3A2の搬送部18,18’内を大気から遮断してもよい。
なお、第2ブロック3A2は、搬入出ステーション7と同様の搬入出ステーションを備えていてもよい。かかる場合、トップコート膜が形成されたウェハWを第2ブロック3A2の搬入出ステーションから第2ブロック3A2内へ搬入し、除去ユニット700によってかかるウェハWからトップコート膜を除去した後、かかるウェハWを連結部3A3を介して第1ブロック3A1へ搬送する。これにより、ウェハWの搬送効率を高めることができる。
(第4の実施形態)
上述してきた実施形態では、除去液であるアルカリ現像液をトップコート膜に供給することによってウェハWからトップコート膜を除去する場合の例について説明した。しかし、ウェハWからトップコート膜を除去する方法は、上記の例に限定されない。以下では、ウェハWからトップコート膜を除去する除去処理の他の例について説明する。図14は、第4の実施形態に係る第2処理装置の概略構成を示す図である。
図14に示すように、第4の実施形態に係る第2処理装置3Bは、処理ステーション8に、複数の第2液処理ユニット19Bと複数の除去ユニット710とを備える。
第2液処理ユニット19Bは、第3の実施形態に係る第2液処理ユニット19Aと同様の構成を有する。すなわち、第2液処理ユニット19Bは、第1の実施形態に係る第2液処理ユニット19から除去液供給処理に関する構成であるノズル81b、バルブ84bおよびアルカリ現像液供給源85bが除外された構成を有する。
除去ユニット710は、ウェハWに形成された膜を昇華により除去する。ここで、かかる除去ユニット710の構成について図15を参照して説明する。図15は、第4の実施形態に係る除去ユニット710の構成の一例を示す模式図である。
なお、第4の実施形態では、成膜用処理液として、昇華性物質の溶液が用いられる。昇華性物質としては、たとえばケイフッ化アンモニウム、ショウノウまたはナフタレン等を用いることができる。成膜用処理液は、IPAなどの揮発性の溶剤に上記の昇華性物質を溶解させることによって得られる。かかる成膜用処理液は、溶媒であるIPAが揮発することによって固化または硬化して膜となる。なお、成膜用処理液は、昇華性物質およびIPAの他に純水を含んでいてもよい。
図15に示すように、除去ユニット710は、ヒータ702が内蔵された熱板701と、熱板701上面から突出する複数の支持ピン703を有する。支持ピン703は、ウェハWの下面周縁部を支持する。これにより、ウェハWの下面と熱板701の上面との間には、小さな隙間が形成される。
熱板701の上方には、昇降移動可能な排気用フード704が設けられる。排気用フード704は、中央に開口部を有する。かかる開口部には、昇華性物質回収装置706およびポンプ707が介設された排気管705が接続される。なお、昇華性物質回収装置706としては、排気が通流するチャンバ内に設けた冷却板上に昇華性物質を析出させる形式のものや、排気が通流するチャンバ内で昇華性物質のガスに冷却流体を接触させる形式のもの等、さまざまな公知の昇華性物質回収装置を用いることができる。
かかる除去ユニット710は、基板搬送装置181によって支持ピン703上にウェハWが載置されると、排気用フード704を下降させて熱板701との間に処理空間を形成する。つづいて、除去ユニット710は、排気用フード704に接続された排気管705に介設されたポンプ707によりウェハWの上方空間を吸引しながら、昇温された熱板701により昇華性物質の昇華温度よりも高い温度にウェハWを加熱する。
これにより、ウェハW上の昇華性物質が昇華してウェハWから除去される。このとき、昇華して気体となった昇華性物質は、昇華性物質回収装置706により回収され、再利用される。その後、ウェハWは、基板搬送装置181によって除去ユニット710から取り出されて、第2液処理ユニット19Bへ搬送される。
このように、第2処理装置3Bは、成膜用処理液に含まれる昇華性物質の昇華温度よりも高い温度にウェハWを加熱することにより、固化または硬化した成膜用処理液をウェハWから除去する処理を除去処理として行ってもよい。なお、ここでの昇華方法は一例であって、基板ではなく昇華性物質自体をガス等により直接的に過熱するよう構成してもよい。また、昇華性物質の昇華温度によっては、加熱処理を省略してもよい。
(第5の実施形態)
上述してきた実施形態では、固化または硬化した成膜用処理液をウェハWから除去した後の後処理として、薬液処理を行う場合について説明した。しかし、後処理は、薬液処理に限定されない。第5の実施形態では、後処理としてドライエッチング処理を行う場合の例について図16を参照して説明する。図16は、第5の実施形態に係る第2処理装置の概略構成を示す図である。
図16に示すように、第5の実施形態に係る第2処理装置3Cは、処理ステーション8に、複数の除去ユニット720と、複数のドライエッチングユニット800とを備える。
除去ユニット720は、第4の実施形態に係る除去ユニット710と同様の構成を有し、固化または硬化した成膜用処理液を昇華によりウェハWから除去する。なお、除去ユニット720は、第3の実施形態に係る除去ユニット700と同様の構成を有し、固化または硬化した成膜用処理液をアルカリ現像液等の除去液によってウェハWから除去するものであってもよい。
ドライエッチングユニット800は、第1の実施形態に係るドライエッチングユニット12と同様の構成を有し、除去ユニット720によって固化または硬化した成膜用処理液が除去されたウェハWに対してドライエッチング処理を行う。ドライエッチング処理後のウェハWは、第2搬出処理(図8のステップS110)によってキャリアCへ収容される。
このように、第2処理装置3Cは、後処理としてドライエッチング処理を行ってもよい。すなわち、前処理においてドライエッチング処理を行い、その後、後処理において更にドライエッチング処理を行うプロセスに対しても、上述した成膜用処理液供給処理および除去処理を追加することが可能である。
なお、このようなプロセスとしては、たとえば、ハードマスクをエッチングするハードマスクエッチングを前処理として行った後、ウェハW上の被加工膜をエッチングするメインエッチングを後処理として行うプロセスが挙げられる。かかるプロセスに対して上述した成膜用処理液供給処理および除去処理を適用することで、ハードマスクエッチング後の反応生成物Pの成長を防止したり、メインエッチングの際の被加工膜の形状を安定化させたりすることができる。
除去処理として第4の実施形態において説明した昇華による除去を行う場合、ドライエッチングユニット800内において除去処理を行うことも可能である。
(その他の実施形態)
上述した実施形態では、成膜用処理液としてトップコート液や昇華性物質の溶液を用いる場合の例について説明したが、成膜用処理液は、これらに限定されない。
たとえば、成膜用処理液は、フェノール樹脂を含む処理液であってもよい。かかるフェノール樹脂も上述したアクリル樹脂と同様に硬化収縮を引き起こすため、トップコート液と同様、反応生成物Pに引っ張り力を与えるという点で有効である。
フェノール樹脂を含む成膜用処理液としては、たとえばレジスト液がある。レジスト液は、ウェハW上にレジスト膜を形成するための成膜用処理液である。具体的には、レジスト液には、ノボラック型フェノール樹脂が含まれる。
なお、レジスト液を成膜用処理液として用いる場合には、レジスト液を溶解させることのできるシンナーを除去液として用いればよい。除去液としてシンナーを用いる場合、除去液供給処理後のリンス処理を省略することが可能である。また、レジスト液を成膜用処理液として用いる場合には、ウェハW上に形成されたレジスト膜に対して全面露光等の露光処理を行った後に除去液を供給することとしてもよい。かかる場合、除去液は、現像液でもシンナーでもよい。
成膜用処理液に含まれる合成樹脂は、硬化収縮するものであればよく、上記のアクリル樹脂やフェノール樹脂に限定されない。たとえば、成膜用処理液に含まれる合成樹脂は、エポキシ樹脂、メラニン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、ポリアミド、ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド等であってもよい。
また、成膜用処理液として、反射防止膜液を用いてもよい。反射防止膜液とは、ウェハW上に反射防止膜を形成するための成膜用処理液である。なお、反射防止膜とは、ウェハWの表面反射を軽減し、透過率を増加させるための保護膜である。かかる反射防止膜液を成膜用処理液として用いる場合には、反射防止膜液を溶解させることのできるDIWを除去液として用いることができる。
また、成膜用処理液は、揮発成分および合成樹脂に加え、ウェハWやウェハW上に構成される材料あるいはウェハW上に付着する異物を溶解する所定の薬液をさらに含んでいてもよい。「ウェハW上に構成される材料」とは、たとえばCu配線102であり、「ウェハW上に付着する異物」とは、たとえば反応生成物Pである。また、「所定の薬液」としては、たとえばフッ化水素、フッ化アンモニウム、塩酸、硫酸、過酸化水素水、リン酸、酢酸、硝酸、水酸化アンモニウム、有機酸またはフッ化アンモニウムを含む水溶液等がある。これらの薬液によって反応生成物Pの表面が溶解されることにより、反応生成物Pの付着力が弱まるため、反応生成物Pを除去し易い状態にすることができる。
「所定の薬液」は、薬液の化学的作用のみを用いて洗浄を行う通常の薬液洗浄における薬液と比較してエッチング量の少ない条件で使用される。このため、一般的な薬液洗浄と比較してウェハWへの侵食を抑えつつ、より効果的に反応生成物Pの除去を行うことができる。
また、上述した実施形態では、除去液としてアルカリ現像液を用いた場合の例について説明してきたが、除去液は、アルカリ現像液に過酸化水素水を加えたものであってもよい。このように、アルカリ現像液に過酸化水素水を加えることによって、アルカリ現像液によるウェハWの面荒れを抑制することができる。
また、除去液は、シンナー、トルエン、酢酸エステル類、アルコール類、グリコール類(プロピレングリコールモノメチルエーテル)等の有機溶剤であってもよいし、酢酸、蟻酸、ヒドロキシ酢酸等の酸性現像液であってもよい。
さらに、除去液は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。界面活性剤には表面張力を弱める働きがあるため、反応生成物PのウェハWへの再付着を抑制することができる。
また、上述した実施形態では、ウェハWの内部に設けられる金属配線がCu配線102である場合の例について説明したが、金属配線は、Cu配線102に限定されない。かかる場合、トップコート膜の除去液には、金属配線の種類に応じた防食剤を含有させればよい。
また、上述した実施形態では、ドライエッチングの被対象材料が金属配線である場合の例を示したが、ドライエッチングの被対象材料や構造は金属配線に限定されない。また、第1の実施形態に係る基板処理方法は、レジストをアッシングで除去した後の反応生成物の除去にも適用することができる。たとえば、レジストパターンをマスクにしてイオン注入し、アッシングによりレジストを除去した後のウェハの洗浄にも有効である。
また、上述した実施形態では、成膜用処理液供給処理の前および除去液供給処理の後に薬液処理を行う場合の例を示したが、薬液処理は、成膜用処理液供給処理の前または除去液供給処理の後の何れか一方のみ行うこととしてもよい。また、薬液処理は、必ずしも実行することを要しない。
なお、薬液処理を除去液供給処理の後に行う場合には、第1液処理ユニット14が備える液供給部40_1を第2液処理ユニット19に設けてもよいし、薬液洗浄を行うための処理ユニットを別途設けてもよい。
また、基板処理システム1の構成は、上述した実施形態において例示した構成に限定されない。
たとえば、図8のステップS107までの処理を終えたウェハWに対して成膜処理を行う他の成膜ユニットに対し、第2液処理ユニット19が備える液供給部80の構成を設けてもよい。すなわち、上記他の成膜ユニットにおいて、トップコート膜の除去を行ってもよい。あるいは、第2処理装置3の処理ステーション8に成膜ユニットを設けてもよいし、第2液処理ユニット19内で成膜処理を行うようにしてもよい。これにより、トップコート膜の除去後すぐに成膜処理を行うことができるため、Q−time管理をさらに容易化することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。