JP6020370B2 - 車両のブレーキ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の制御弁を有する車両のブレーキ制御装置に関する。
従来から、例えば、下記特許文献1に示された液圧制御装置及び液圧制御方法は知られている。この従来の液圧制御装置においては、フィードフォワード制御部が目標液圧の傾き等からフィードフォワード電流を算出し、目標液圧と制御液圧との偏差を「0」に近づけるためのフィードバック電流を算出するようになっている。又、この従来の液圧制御装置においては、開弁の瞬間に発生する油圧(液圧)の脈動を回避するための予備的な脈動低減電流を算出する脈動低減電流供給部が設けられており、司令電流選択部によって、フィードフォワード電流とフィードバック電流の和、又は、脈動低減電流が選択されて司令電流としてリニア弁に供給されるようになっている。
特開2005−35466号公報
ところで、弁体と弁座とから構成される弁部の開閉動作に伴って作動液の流通を許可又は遮断するリニア弁等の制御弁においては、弁体が弁座から離間することにより開弁されて作動液に流れが生じると、この作動液の流れの中に生じた圧力差に起因して、作動液中に短時間に泡の発生と消滅が生じるキャビテーション(蒸気性キャビテーション)や、作動液中に溶解していた気体が気泡となって発生するエアレーション(気体性キャビテーション)が生じる場合がある。そして、このようなキャビテーション(エアレーション)が流通する作動液に発生すると、作動液に、所謂、高周波成分を有する液圧脈動(油圧脈動)が生じ、その結果、弁体に作動液を介して高周波の荷重変動が伝達され、電磁弁の開弁時に、例えば、弁体の高周波振動に伴う異音が発生する虞がある。
ここで、このようなキャビテーション(エアレーション)が制御弁(電磁弁)の弁部近傍で生じる場合、制御弁(電磁弁)の開度である弁開度に応じて弁部上流側の作動液と弁部下流側の作動液との間の圧力差(差圧)が変化するため、弁開度に応じてキャビテーション(エアレーション)の発生程度(激しさ)が異なる。従って、上記特許文献1に示された液圧制御装置及び液圧制御方法のように、車両制動時において、目標液圧と制御液圧との偏差を「0」とするようにリニア弁の弁開度を制御しているときに、リニア弁の弁開度がキャビテーション(エアレーション)の激しく発生する弁開度の範囲内にある限り、弁体に作動液を介して高周波の荷重変動が伝達されて、高周波振動に伴う異音が発生し続ける可能性が高くなる。
本発明は、上記した問題に対処するためになされたものであり、その目的の一つは、電磁弁の開弁状態への移行に伴う高周波振動の発生を抑制する車両のブレーキ制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明による車両のブレーキ制御装置は、リザーバタンクと、液圧源と、ホイールシリンダと、一対の液圧制御弁と、制御手段とを備えている。
前記リザーバタンクは、作動液を貯留する。前記液圧源は、前記リザーバタンクに貯留された作動液を加圧ポンプによって昇圧し、この昇圧された作動液の液圧を蓄圧するアキュムレータを有する。前記ホイールシリンダは、前記液圧源からの前記液圧を受けて車輪に制動力を与える。前記一対の液圧制御弁は、前記液圧源の前記アキュムレータと前記ホイールシリンダとの間に配置されて前記ホイールシリンダに伝達される液圧を増圧して調整する制御弁及び前記ホイールシリンダと前記リザーバタンクとの間に配置されて前記ホイールシリンダに伝達される液圧を減圧して調整する制御弁からなる。前記制御手段は、前記車輪に制動力を与えるために設定される前記ホイールシリンダの目標液圧に応じて前記一対の液圧制御弁を構成するそれぞれの制御弁の開度である弁開度を制御する。
本発明による車両のブレーキ制御装置の特徴の一つは、前記制御手段は、前記一対の液圧制御弁のうちの一方の前記制御弁の弁開度を下限側から上限側へ増大させる制御において、前記一方の前記制御弁の弁開度が、弁開度の大きさに関連して前記作動液に発生する液圧脈動に起因し、前記制御弁の弁体を含む可動子に振動を生じさせる荷重振幅の大きさが所定の荷重振幅の大きさよりも大きく前記可動子に高周波振動を生じさせる起振範囲の上限側及び下限側を規定する弁開度の範囲内に存在するとき、前記一方の前記制御弁の前記弁開度を前記起振範囲の上限側を規定する弁開度以上となるまで増大させるとともに、前記一対の液圧制御弁のうちの他方の前記制御弁の弁開度を前記ホイールシリンダの目標液圧に応じて制御することにある。ここで、前記液圧制御弁を構成する前記制御弁の前記弁開度を、前記制御弁の弁部を形成する弁体と弁座とが離間した離間距離であって、前記弁体の前記弁座に対する着座位置から前記弁体の変位方向における離間距離により表すことができ、前記離間距離の増大又は減少を前記弁開度の増大又は減少に一致させることができる。
これらによれば、ホイールシリンダの液圧を調整して車輪に制動力を与える際において、制御弁の弁開度(離間距離)の大きさに関連して作動液に発生する液圧脈動、具体的には、弁開度(離間距離)の大きさに応じて作動液中に生じる圧力差によって発生するキャビテーション又はエアレーション、に起因して弁体を含む可動子に高周波振動を生じさせる起振範囲の上限側及び下限側を規定する弁開度の範囲内に、一対の液圧制御弁を構成する一方の制御弁の弁開度が存在するときには、この一方の制御弁の弁開度を起振範囲の上限側を規定する弁開度以上となるまで増大させることができる。これにより、ホイールシリンダの液圧を調整するときに、一方の制御弁の弁開度が起振範囲を規定する弁開度の範囲内に存在する時間、言い換えれば、一方の制御弁において高周波振動が発生する時間を確実に短くすることができ、異音の発生を効果的に抑制することができる。
又、このように一対の液圧制御弁の一方の制御弁の弁開度を増大させるときには、液圧制御弁の他方の制御弁の弁開度(離間距離)をホイールシリンダの目標液圧に応じて制御することができる。これにより、少なくとも、他方の制御弁によってホイールシリンダの液圧が目標液圧となるように(追従するように)調整されるため、車輪に対して適切な制動力を与えることができる。ここで、一対の液圧制御弁の一方の制御弁の弁開度を増大させた場合には、上記圧力差が小さくなっているため、他方の制御弁の弁開度に依存してこの制御弁に高周波振動は生じにくくなる。
また、この場合、前記一対の液圧制御弁を構成する前記制御弁は、供給される電流の増減に対応して前記弁開度が増大又は減少する電磁弁であり、前記制御手段は、前記一方の前記制御弁の前記弁開度が前記起振範囲を規定する前記弁開度の範囲内に存在するとき、前記一方の前記制御弁の前記弁開度が前記起振範囲の上限側を規定する弁開度以上となる電流を供給することができる。この場合、より具体的に、前記制御手段は、前記一対の液圧制御弁を構成する前記制御弁が電流の供給される通電時に閉弁状態から開弁状態に移行する常閉型の電磁弁であれば、前記一方の前記制御弁の前記弁開度が前記起振範囲を規定する前記弁開度の範囲内に存在するとき、前記一方の前記制御弁の前記弁開度が前記起振範囲の上限側を規定する弁開度以上となるまで供給する電流を増大させることができる。又、前記制御手段は、前記一対の液圧制御弁を構成する前記制御弁が電流の供給される通電時に開弁状態から閉弁状態に移行する常開型の電磁弁であれば、前記一方の前記制御弁の前記弁開度が前記起振範囲の上限側を規定する弁開度以上となるまで供給する電流を低下させることができる。
これらによれば、一対の液圧制御弁を構成する制御弁として常閉型の電磁弁又は常開型の電磁弁を用いることができ、これらの電磁弁に対して供給する電流を制御することによって弁開度を制御することができる。従って、このように常閉型の電磁弁又は常開型の電磁弁を用いる場合であっても、供給する電流を増減することにより、ホイールシリンダの液圧を調整するときに、一方の制御弁の弁開度が起振範囲を規定する弁開度の範囲内に存在する時間、言い換えれば、一方の制御弁において高周波振動が発生する時間を確実にかつ極めて容易に短くすることができ、異音の発生を効果的に抑制することができる。
又、これらの場合、車両のブレーキ制御装置が、前記一対の液圧制御弁の上流側の液圧を検出する上流側液圧検出手段と、前記一対の液圧制御弁の下流側の液圧を検出する下流側液圧検出手段とを備えており、前記制御手段は、前記上流側液圧検出手段によって検出された前記一対の液圧制御弁の前記上流側の液圧と、前記下流側液圧検出手段によって検出された前記一対の液圧制御弁の前記下流側の液圧との差によって表される前記一対の液圧制御弁に作用する差圧に応じて、前記起振範囲の上限側及び下限側を規定する弁開度を変更することができる。
これによれば、例えば、一対の液圧制御弁を構成する制御弁の弁部における差圧に応じて、キャビテーション及びエアレーションが発生するすなわち弁体を含む可動子に高周波振動が発生する起振範囲を規定する弁開度の範囲を適切に変更することができる。従って、ホイールシリンダの液圧を調整するときには、起振範囲を正確に特定することができ、一方の制御弁の弁開度が起振範囲を規定する弁開度の範囲内に存在する時間、言い換えれば、一方の制御弁において高周波振動が発生する時間を確実に短くすることができて、異音の発生を効果的に抑制することができる。
更に、これらの場合、前記制御手段は、前記ホイールシリンダの前記目標液圧と前記ホイールシリンダにおける実液圧との差分により表される液圧偏差の大きさが増加から減少に転じたとき、前記一方の前記制御弁の前記弁開度を前記起振範囲の上限側を規定する弁開度以上となるまで増大させるとともに、前記一対の液圧制御弁のうちの他方の前記制御弁の弁開度を前記ホイールシリンダの目標液圧に応じて制御することができる。そして、この場合には、前記制御手段は、前記液圧制御弁のうちの前記一方の前記制御弁の前記弁開度が前記起振範囲の下限側を規定する弁開度以上であり、かつ、前記液圧偏差の大きさが増加から減少に転じたとき、前記一方の前記制御弁の前記弁開度を前記起振範囲の上限側を規定する弁開度以上となるまで増大させるとともに、前記一対の液圧制御弁のうちの他方の前記制御弁の弁開度を前記ホイールシリンダの目標液圧に応じて制御することができる。
これらによれば、ホイールシリンダの液圧を調整するときにおいて、少なくとも、例えば、運転者によるブレーキ操作に応じて設定されるホイールシリンダの目標液圧とホイールシリンダにおける実液圧との液圧偏差の大きさが減少に転じる状況、すなわち、ホイールシリンダの目標液圧に対してホイールシリンダにおける実液圧が近づいている状況になってから、液圧制御弁の一方の制御弁の弁開度を起振範囲の上限側を規定する弁開度以上まで増大させるとともに、液圧制御弁の他方の制御弁の弁開度を目標液圧に応じて制御することができる。これにより、目標液圧に対してホイールシリンダの実液圧を速やかに追従させることができ、車輪に対して適切な制動力を与えることができる。
実施形態に係る車両のブレーキ制御装置をその液圧回路を中心に示す概略的な系統図である。 図1のブレーキECU及びその周辺の電気的構成を示す概略的なブロック図である。 ホイールシリンダ圧制御系統を説明するための概略的な系統図である。 図1の増圧リニア弁及び減圧リニア弁として採用される電磁弁の構成を示す断面図である。 弁体のリフト量(離間距離)を説明するための図である。 リフト量(離間距離)と荷重振幅との間の関係を示すグラフである。 (a)はリフト量(離間距離)が小さいときの荷重振幅を説明するための概略的な図であり、(b)はリフト量(離間距離)が大きいときの荷重振幅を説明するための概略的な図である。 差圧に応じて変化する電流(開弁電流)とリフト量(離間距離)との間の関係を示すグラフである。 任意の差圧における電流(開弁電流)とリフト量(離間距離)との間の関係を示すグラフである。 第1実施形態において図1のブレーキECUによって実行されるホイールシリンダ圧制御プログラムを表すフローチャートである。 (a)〜(e)は、図10のプログラムを実行することによる増圧リニア弁及び減圧リニア弁の作動を説明するためのタイムチャートである。 第2実施形態に係るホイールシリンダ圧制御系統を説明するための概略的な系統図である。 弁体のリフト量(離間距離)を検出する変位量センサの配置を説明するための図である。 第2実施形態において図1のブレーキECUによって実行されるホイールシリンダ圧制御プログラムを表すフローチャートである。 (a)〜(e)は、図14のプログラムを実行することによる増圧リニア弁及び減圧リニア弁の作動を説明するためのタイムチャートである。 第3実施形態に係るホイールシリンダ圧制御系統を説明するための概略的な系統図である。 荷重振幅を検出する荷重センサの配置を説明するための図である。 第3実施形態において図1のブレーキECUによって実行されるホイールシリンダ圧制御プログラムを表すフローチャートである。 (a)〜(e)は、図18のプログラムを実行することによる増圧リニア弁及び減圧リニア弁の作動を説明するためのタイムチャートである。 本発明の第1実施形態の第1変形例に係り、減圧リニア弁及び増圧リニア弁の作動を説明するためのタイムチャートである。 本発明の第2実施形態の第1変形例に係り、減圧リニア弁及び増圧リニア弁の作動を説明するためのタイムチャートである。 本発明の第2変形例に係り、常開の電磁弁を用いた場合の減圧リニア弁及び増圧リニア弁の作動を説明するためのタイムチャートである。 本発明の第2変形例に係り、常開の電磁弁を用いた場合に図1のブレーキECUによって実行されるホイールシリンダ圧制御プログラムを表すフローチャートである。
a.第1実施形態
以下、本発明の各実施形態に係る車両のブレーキ制御装置について図面を用いて説明する。図1は、各実施形態に係る車両のブレーキ制御装置10をその液圧回路を中心に示す概略的な系統図である。
ブレーキ制御装置10は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、車両に設けられた4つの車輪に付与される制動力を制御する。ブレーキ制御装置10は、例えば、走行駆動源として電動モータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両に搭載される。このようなハイブリッド車両においては、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに回生することによって車両を制動する回生制動と、ブレーキ制御装置10による液圧制動とのそれぞれを車両の制動に用いることができる。従って、実施形態に係るブレーキ制御装置10が搭載される車両は、必要に応じて、これらの回生制動と液圧制動とを併用して所望の制動力を発生させるブレーキ協調制御を実行することができる。
ブレーキペダル12は、運転者による踏み込み操作に応じて昇圧された作動液を送り出すマスタシリンダ14に接続されている。ブレーキペダル12には、その踏み込みストロークを検出するストロークセンサ46が設けられている。
マスタシリンダ14の第1出力ポート14aには、運転者によるブレーキペダル12の踏力に応じたペダルストロークを創出するストロークシミュレータ24が接続されている。マスタシリンダ14とストロークシミュレータ24とを接続する流路の中途には、シミュレータカット弁23が設けられている。シミュレータカット弁23は、通電時に開弁状態にあり、非通電時に閉弁状態に切り替えられる常閉型の電磁開閉弁である。又、マスタシリンダ14には、作動液を大気圧により貯留するためのリザーバタンク26が接続されている。
又、マスタシリンダ14の第1出力ポート14aには、右前輪用のブレーキ液圧制御管16が接続されている。ブレーキ液圧制御管16は、図示しない車両の右前輪に対して制動力を付与する右前輪用のホイールシリンダ20FRに接続されている。一方、マスタシリンダ14の第2出力ポート14bには、左前輪用のブレーキ液圧制御管18が接続されている。ブレーキ液圧制御管18は、図示しない車両の左前輪に対して制動力を付与する左前輪用のホイールシリンダ20FLに接続されている。
右前輪用のブレーキ液圧制御管16の中途には、右電磁開閉弁22FRが設けられており、左前輪用のブレーキ液圧制御管18の中途には、左電磁開閉弁22FLが設けられている。これらの右電磁開閉弁22FR及び左電磁開閉弁22FLは、何れも、非通電時に開弁状態にあり、通電時に閉弁状態に切り替えられる常開型の電磁開閉弁である。尚、以下の説明においては、右電磁開閉弁22FRと左電磁開閉弁22FLとを総称して、単に、「電磁開閉弁22」とも称呼する。
又、右前輪用のブレーキ液圧制御管16の中途には、右電磁開閉弁22FRよりも上流側に右前輪側のマスタシリンダ圧を検出する右マスタシリンダ圧センサ48FRが設けられており、左前輪用のブレーキ液圧制御管18の途中には、左電磁開閉弁22FLよりも上流側に左前輪側のマスタシリンダ圧を検出する左マスタシリンダ圧センサ48FLが設けられている。ブレーキ制御装置10では、運転者によってブレーキペダル12が踏み込まれた際、ストロークセンサ46によりその踏み込み操作量であるペダルストロークが検出されるが、これらの右マスタシリンダ圧センサ48FR及び左マスタシリンダ圧センサ48FLによって検出されるマスタシリンダ圧からもブレーキペダル12の踏み込み操作力(踏力)を求めることができる。尚、以下の説明においては、右マスタシリンダ圧センサ48FR及び左マスタシリンダ圧センサ48FLを総称して、単に、「マスタリンダ圧センサ48」とも称呼する。
一方、リザーバタンク26には、作動液給排管28の一端が接続されており、この作動液給排管28の他端には、モータ32により駆動される加圧ポンプ34の吸込口が接続されている。加圧ポンプ34の吐出口は、高圧管30に接続されており、この高圧管30には、液圧源としてのアキュムレータ50とリリーフバルブ54とが接続されている。尚、加圧ポンプ34としては、例えば、モータ32によってそれぞれ往復移動させられる図示省略の2体以上のピストンを備えた往復動ポンプ等を採用することができる。又、アキュムレータ50としては、例えば、作動液の圧力エネルギーを窒素等の封入ガスの圧力エネルギーに変換して蓄えるものが採用される。
アキュムレータ50は、通常、加圧ポンプ34によって所定液圧範囲内となるまで昇圧された作動液を蓄える。又、リリーフバルブ54の弁出口は、作動液給排管28に接続されており、アキュムレータ50における作動液の圧力が異常に高まると、リリーフバルブ54が開弁し、高圧の作動液は作動液給排管28を介してリザーバタンク26へと戻される。更に、高圧管30には、アキュムレータ50の出口圧力、すなわち、アキュムレータ50における液圧を検出する上流側液圧検出手段としてのアキュムレータ圧センサ52が設けられている。
そして、高圧管30は、一対の液圧制御弁のうちの例えば一方の制御弁としての増圧リニア弁40FR,40FL,40RR,40RLを介して右前輪用のホイールシリンダ20FR、左前輪用のホイールシリンダ20FL、右後輪用のホイールシリンダ20RR、左後輪用のホイールシリンダ20RLに接続されている。尚、以下の説明においては、これらのホイールシリンダ20FR〜20RLを総称して、単に、「ホイールシリンダ20」とも称呼し、増圧リニア弁40FR〜40RLを総称して、単に、「増圧リニア弁40」とも称呼する。増圧リニア弁40は、何れも、非通電時は閉弁状態にあり、開弁させる電流の値を表す開弁電流の供給される通電時に開弁状態となり、ホイールシリンダ20の増圧に利用される常閉型のリニア制御弁である。ここで、図示を省略する車両の各車輪に対しては、ディスクブレーキユニットが設けられており、各ディスクブレーキユニットは、液圧の供給されたホイールシリンダ20の作用によってブレーキパッドをディスクに押し付けることで制動力を発生する。
又、図1に示すように、右前輪用のホイールシリンダ20FR、左前輪用のホイールシリンダ20FL、右後輪用のホイールシリンダ20RR、左後輪用のホイールシリンダ20RLは、それぞれ、一対の液圧制御弁のうちの例えば他方の制御弁としての減圧リニア弁42FR,42FL,42RR,42RLを介して作動液給排管28すなわちリザーバタンク26に接続されている。尚、以下の説明においては、減圧リニア弁42FR〜42RLを総称して、単に、「減圧リニア弁42」とも称呼する。減圧リニア弁42は、何れも、非通電時は閉弁状態にあり、開弁電流の供給される通電時に開弁状態となり、ホイールシリンダ20の減圧に利用される常閉型のリニア制御弁である。
又、図1に示すように、増圧リニア弁40の下流側には、ホイールシリンダ20FR〜20RLに作用する液圧を検出する下流側液圧検出手段としてのホイールシリンダ圧センサ44FR,44FL,44RR及び44RLが設けられている。尚、以下の説明においては、ホイールシリンダ圧センサ44FR〜44RLを総称して、単に、「ホイールシリンダ圧センサ44」とも称呼する。
上述した電磁開閉弁22,増圧リニア弁40、減圧リニア弁42、モータ32は、図1に示すように、ブレーキ制御装置10の液圧アクチュエータ60を構成する。そして、この液圧アクチュエータ60は、ブレーキ電子制御ユニット70(以下、「ブレーキECU70」と称呼する。)によって制御される。
ブレーキECU70は、ホイールシリンダ20における液圧すなわちホイールシリンダ圧を制御することにより車輪の制動力を制御する制御手段として機能する。ブレーキECU70は、各種演算処理を実行するCPU、後述するプログラムを含む各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、エンジン停止時にも記憶内容を保持できるバックアップRAM等の不揮発性メモリ、入出力インターフェース、各種センサ等から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して取り込むためのA/Dコンバータ等を備える。
ブレーキECU70には、図1に示すように、シミュレータカット弁23及び液圧アクチュエータ60が電気的に接続されている。更に詳しく、ブレーキECU70には、図2に示すように、液圧アクチュエータ60を構成する電磁開閉弁22,モータ32、増圧リニア弁40、減圧リニア弁42等が電気的に接続されている。そして、ブレーキECU70は、その詳細な図示を省略するが、シミュレータカット弁23及び液圧アクチュエータ60を駆動させるための駆動回路を備えており、この駆動回路を介してバッテリ(図示省略)からの電流をシミュレータカット弁23及び液圧アクチュエータ60に供給するようになっている。ここで、駆動回路には、供給している電流の値を検出する電流センサが設けられており、ブレーキECU70は、この電流センサから、少なくとも、増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42に供給する開弁電流Ih,Irの値を取得するようになっている。又、ブレーキECU70は、図示を省略する他の電子制御ユニット(例えば、上位のハイブリッドECU等)と通信可能とされている。
更に、ブレーキECU70には、制御に用いるための信号を出力する各種センサ等が電気的に接続されるようになっている。具体的に、ブレーキECU70には、図2に示すように、電気的に接続されたホイールシリンダ圧センサ44からホイールシリンダ20におけるホイールシリンダ圧Pwcを表す信号が連続的に入力される。又、ブレーキECU70には、図2に示すように、電気的に接続されたストロークセンサ46からブレーキペダル12のペダルストロークStrkを表す信号が入力される。又、ブレーキECU70には、図2に示すように、電気的に接続されたマスタリンダ圧センサ48からマスタシリンダ圧Pmcを表す信号が連続的に入力される。又、ブレーキECU70には、図2に示すように、電気的に接続されたアキュムレータ圧センサ52からアキュムレータ圧Paccを表す信号が連続的に入力される。
このように構成されるブレーキ制御装置10においては、上述したようにブレーキ回生協調制御を実行することができる。具体的に、ブレーキ制御装置10は、制動要求を受けて制動を開始する。制動要求は、例えば、運転者がブレーキペダル12を踏み込み操作した場合等、車両に制動力を付与すべきときに生成される。制動要求を受けて、ブレーキECU70は、例えば、ペダルストロークStrkの大きさに基づいて要求制動力を演算し、要求制動力から回生による制動力を減じることによりブレーキ制動装置10により発生させるべき制動力である要求液圧制動力を算出する。ここで、回生による制動力の情報は、図示を省略する上位のハイブリッドECUからブレーキECU70に供給される。ブレーキECU70は、算出した要求液圧制動力に基づいて各ホイールシリンダ20の目標液圧である目標ホイールシリンダ圧Pwcmを算出する。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧センサ44から入力される実液圧であるホイールシリンダ圧Pwcが目標ホイールシリンダ圧Pwcmとなるように、フィードバック制御により増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42に供給する開弁電流Ih,Irの値を決定する。
これにより、ブレーキ制御装置10においては、高圧の作動液がアキュムレータ50から各増圧リニア弁40を介して各ホイールシリンダ20に供給され、車輪に制動力が付与される。又、各ホイールシリンダ20から作動液が減圧リニア弁42を介して必要に応じてリザーバタンク26に向けて排出され、車輪に付与される制動力が調整される。ここで、車両のブレーキ制御装置10では、図3に示すように、上流側から順に、アキュムレータ50、アキュムレータ圧センサ52、増圧リニア弁40、ホイールシリンダ圧センサ44、減圧リニア弁42を含んで、ブレーキペダル12の踏み込み操作から独立してホイールシリンダ20のホイールシリンダ圧Pwcを制御し得るホイールシリンダ圧制御系統が構成されている。従って、車両のブレーキ制御装置10が各車輪に対応してホイールシリンダ圧制御系統を有することにより、所謂、ブレーキバイワイヤ方式の制動力制御が行われる。
そして、このブレーキバイワイヤ方式の制動力制御が行われるときには、電磁開閉弁22FR及び22FLは閉弁状態とされ、シミュレータカット弁23は開弁状態とされる。これにより、運転者によるブレーキペダル12の踏み込み操作によりマスタシリンダ14から創出された作動液は、シミュレータカット弁23を通ってストロークシミュレータ24に流入する。尚、アキュムレータ圧Paccが予め設定された蓄圧設定範囲の下限値以下であるときには、ブレーキECU70によりモータ33に駆動電流が供給され、加圧ポンプ34が駆動されてアキュムレータ圧Paccが昇圧される。この昇圧によってアキュムレータ圧Paccがその蓄圧設定範囲に入って上限値まで達すると、モータ32への給電が停止される。
ところで、図1及び図3に示した増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42は、図4に示すように、常閉の電磁弁100であり、弁体ユニット110を備えている。弁体ユニット110は、ロッド111、プランジャ112及びバネ113を有している。ロッド111は、その先端側に対して、後述するシート130に形成された弁座131に着座して作動液の連通を遮断(阻止)するように半球状の弁体111aが形成されている。プランジャ112は、図4に示すように、円筒状に形成された磁性体であり、ロッド111が一体的に組み付けられている。そして、プランジャ112は、後述するハウジング120の内部を弁室121とバネ室122とに区画する。ここで、プランジャ12には、弁室121と背圧室であるバネ室122とを連通させる連通路112a,112bが形成されている。バネ113は、図4に示すように、バネ室122内に収容されて、ロッド111及びプランジャ112を閉弁方向、すなわち、ロッド111の弁体111aをシート130の弁座131に着座させる方向に付勢する付勢力を発生する。ここで、ロッド111、弁体111a及びプランジャ112は本発明の可動子を構成する。
ハウジング120は、固定子として機能するものであり、図4に示すように、円柱状に形成された磁性体である本体部120aに、厚みが薄い円筒部120bが同軸となるように一体的に結合された形状に形成される。円筒部120bは、開口端部から所定長さに渡って設けられており、内部に収容したプランジャ112の軸方向への進退を案内(ガイド)する。又、円筒部120bは、非磁性の円環部120cを介して本体部120aに結合されるようになっている。又、円筒部120bには、端部の開口部120dの内壁側から外壁側へと径方向に貫通し、作動液を外部に排出する流出ポート120eが対向して2箇所に設けられている。
又、ハウジング120内部に形成される弁室121はプランジャ112の先端面とシート部130の上面とによって区画されるとともに、ロッド111の外周面と円筒部120b(すなわち、ハウジング120)の内周面とによって区画される空間であり、この弁室121にはロッド111の弁体111a及びシート130の弁座131によって構成される弁部が含まれる。ハウジング120内部に形成されるバネ室122は、プランジャ112を挟んで弁室121と反対側にて、プランジャ112の後端面と本体部120aの下端面とによって区画されるとともに、円筒部120b(すなわち、ハウジング120)の内周面によって区画される空間であり、バネ113が収容される。
シート130は、図4に示すように、円筒状に形成された非磁性体である本体部130aに作動液が流入する流入ポート130bが設けられている。流入ポート130bは、深部において細くなっており、細くなった流入ポート130bと本体部130aの端部との境界部分に弁座131が形成されている。弁座131は、弁体ユニット110を構成するロッド111の弁体111aがバネ113の付勢力によって当接(着座)することにより、流入ポート130bから弁室121への作動液の流入を遮断する。逆に、弁座131は、ロッド111の弁体111aがソレノイド140による吸引力(電磁力)によって離間(離座)することにより、流入ポート130bから弁室121への作動液の流入を許可する。尚、以下の説明において、ロッド111の弁体111aが弁座から離座する方向を「第1方向」と称呼し、ロッド111の弁体111aが弁座131着座する方向を「第2方向」と称呼する場合がある。
ここで、電磁弁100は、常閉のリニア弁であるため、ソレノイド140への通電量(電流の値)の増加に伴って開度を表す弁開度を増加させる。すなわち、常閉のリニア弁である電磁弁100では、内蔵されたバネ113がロッド111の弁体111aをシート130の弁座131に対して着座させる第2方向に付勢するバネ力と、相対的に高圧の作動液が流通する一次側(すなわち、流入ポート130b側)及び相対的に低圧の作動液が流通する二次側(すなわち、流出ポート120e側)の差圧が弁体111aを弁座131から離座させる第1方向に付勢する差圧力との差分として表される閉弁力により閉弁状態を維持する。これにより、作動液がシート130の流入ポート130bを介してハウジング120の弁室121に向けて流入しない。
一方、ソレノイド140への通電、すなわち、開弁電流Ih,Irの供給により発生する弁体111aを弁座131から離座させる(開弁させる)第1方向に作用する電磁吸引力が上記閉弁力を上回った場合、具体的に、電磁吸引力>閉弁力(=バネ力−差圧力)を満たす場合には、図5に概略的に示すように、弁体111aに作用する力のバランスに応じた弁開度で開弁する。これにより、シート130の流入ポート130bを介してハウジング120の弁室121に向けて作動液が流入し、流入した作動液はハウジング120の流出ポート120eから外部であるホイールシリンダ20又はリザーバタンク26に流出する。
ところで、弁体111aは弁座131から離座する第1方向に速やかに変位して、所望の弁開度となる。この場合、電磁弁100の弁開度、より具体的には、図5に示すように、弁体111aと弁座131との間の離間距離であって、弁体111aの変位方向における着座位置からの離間距離(以下、本実施形態においては、離間距離をリフト量とも称呼する)に依存して、弁体111aの離座に伴う流入ポート130bから流出ポート120eへの作動液の流れにおける圧力差(すなわち、差圧)に起因する短時間の気泡の発生及び消滅現象であるキャビテーション或いはエアレーションが発生する可能性がある。
この場合、弁体111aのリフト量Z(離間距離)と、キャビテーション(エアレーション)の発生により可動子である弁体111a(ロッド111及びプランジャ112)に対して作動液を介して伝播する高周波の荷重変動を表す振幅F(以下、単に、荷重振幅Fと称呼する。)との間には、図6に示す関係が成立する。より詳しく、図6のA点すなわちリフト量Z1における荷重振幅Fが図7(a)に示すように数kHzから数MHz程度の荷重変動である荷重振幅Fsである場合、リフト量Zがリフト量Z1からリフト量Z2に向けて増大するときにはキャビテーション(エアレーション)が激しく発生し、図6のB点で示すようにその途中にて荷重振幅Fが最大値となり、リフト量Z2にて荷重振幅Fsまで減少する関係が成立する。ここで、最大値となるB点近傍における荷重振幅Fは、図7(b)に示すように、激しく発生するキャビテーション(エアレーション)によって数KHzから数MHz程度で荷重振幅Fsよりも大きな振幅となるため、例えば、リフト量Zが、リフト量Z1よりも大きくリフト量Z2未満であるときには弁体111aに対して荷重振幅Fsよりも大きな荷重振幅Fを有する荷重変動が伝播し、その結果、弁体111aに高周波振動が発生して異音が発生する可能性が高くなる。従って、キャビテーション(エアレーション)の発生に伴う弁体111aの高周波振動を抑制し、異音の発生を低減する必要がある。
そこで、ホイールシリンダ20におけるホイールシリンダ圧Pwcを目標ホイールシリンダ圧Pwcmに追従させる上記ホイールシリンダ圧制御の実行において、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42の一方を閉弁状態から開弁状態に移行させるときには、リフト量Z(離間距離)を適切に維持してキャビテーション(エアレーション)の発生に伴う弁体111aの高周波振動を抑制する。より具体的に、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42の一方を開弁状態に移行させるときにおいて、弁開度すなわち離間距離(リフト量Z)が激しいキャビテーション(エアレーション)の発生に起因して弁体111aに顕著な高周波振動が発生する範囲(以下、起振範囲と称呼する。)から速やかに外れるように、増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42の一方の弁開度を大きくして維持する。一方で、ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧制御によってホイールシリンダ圧Pwcを目標ホイールシリンダ圧Pwcmに追従させるべく、増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42の他方の弁開度をフィードバック制御、具体的に、上記一方の弁開度を大きくすることに伴うホイールシリンダ圧Pwcの変化を抑制するために弁開度が大きくなるようにフィードバック制御する。以下、ホイールシリンダ圧制御における増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42の作動制御、すなわち、電磁弁100の作動制御を具体的に説明する。
ブレーキ制御装置10において、ブレーキECU70は、運転者によるブレーキペダル12の踏み込み操作に応答し、ホイールシリンダ20におけるホイールシリンダ圧Pwcを増圧させて目標ホイールシリンダ圧Pwcmに追従させる。このため、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40に開弁電流Ihを供給して閉弁状態から開弁状態に移行させ、増圧リニア弁40を介して、上流側のアキュムレータ50から高圧の作動液を下流側のホイールシリンダ20に供給させる。この場合、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40を閉弁状態から開弁状態に移行させる、すなわち、増圧リニア弁40である電磁弁100の弁体111aを目標ホイールシリンダ圧Pwcmに応じた弁開度となるように開弁電流Ihの値を決定して供給する。従って、目標ホイールシリンダ圧Pwcmに応じた弁開度すなわちリフト量Z(離間距離)が、図6に示したように下限側のリフト量Z1よりも大きくかつ上限側のリフト量Z2よりも小さい範囲としてリフト量Z1,Z2によって規定される起振範囲内に存在すると、激しいキャビテーション(エアレーション)の発生によって弁体111aに高周波振動が発生して異音等が生じる。
このため、本実施形態におけるブレーキECU70のROMの所定記憶位置には、図8に示すような電流−リフト量マップが予め記憶されている。ここで、電流−リフト量マップは、電磁弁100に供給する開弁電流I、リフト量Z、流出ポート130bから流出ポート120eに流れる作動液の流量Q及び増圧リニア弁40の弁部よりも上流側(アキュムレータ50側であってアキュムレータ圧センサ52によって検出される液圧)と下流側(ホイールシリンダ20側であってホイールシリンダ圧センサ44によって検出される液圧)との間の差圧Pの関係に基づいて決定されるものであり、図6に示したリフト量Z1,Z2に対応する電流の値(開弁電流の値)I1,I2がマップ化されている。
尚、この場合、図8に示した電流−リフト量マップを予め記憶しておくことに代えて、例えば、実際にアキュムレータ圧センサ52及びホイールシリンダ圧センサ44から取得可能なアキュムレータ圧Pacc及びホイールシリンダ圧Pwcを用いた差圧P、図示を省略する電磁弁100の駆動回路に設けられた電流センサから取得可能な電流I、車両ごとに決定される作動液の流量Qを用いて、起振範囲を規定するリフト量Z1,Z2に対応する電流の値(開弁電流の値)I1,I2の関係を順次記憶して(学習して)マップ化するように実施すること、及び、図8に示したマップを上記各センサからの値に基づいて更新して(学習して)実施することは可能である。或いは、リフト量Z1n,Z2nと電流の値I1n,I2nとの間の関係を関数によって表して実施することも可能である。
そして、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40よりも上流側のアキュムレータ圧Pacc(高圧)をアキュムレータ圧センサ52から取得し、増圧リニア弁40よりも下流側ホイールシリンダ圧センサ44から取得したホイールシリンダ圧Pwc(低圧)と間の差圧P、すなわち、弁体111aと弁座131からなる弁部に作用する差圧Pkの大きさを算出する。これにより、ブレーキECU70は、図9に示すように、算出した差圧Pkに対応する電流−リフト量マップを取得して起振範囲を規定する開弁電流I1k,I2k(リフト量Z1k,Z2kに対応)を決定し、図10に示すホイールシリンダ圧制御プログラムを所定の短い時間間隔により実行する。
具体的に、ブレーキECU70(より詳しくは、CPU)は、図10のホイールシリンダ圧制御プログラムの実行をステップS10から開始し、続くステップS11にて、現在、増圧リニア弁40のソレノイドに対して供給している開弁電流Ihの値が、上述したように取得した図9のマップに従ってリフト量Zk1に対応する開弁電流I1kの値以上であるか否かを判定する。すなわち、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40に供給している開弁電流Ihの値が開弁電流I1kの値(すなわち、リフト量Z1kに対応)未満であれば、「No」と判定してステップS18に進み、本プログラムの実行を一旦終了する。そして、所定の短い時間の経過後、再び、ステップS10にて本プログラムの実行を開始する。一方、増圧リニア弁40に供給している開弁電流Ihの値が開弁電流I1k以上であれば、ブレーキECU70は「Yes」と判定してステップS12に進む。
ステップS12においては、ブレーキECU70は、目標ホイールシリンダ圧Pwcmとホイールシリンダ圧センサ44によって検出される実液圧であるホイールシリンダ圧Pwcとの差分として表される液圧偏差ΔPwのうち、前記ステップS11の判定処理に従い、開弁電流Ihの値が開弁電流I1kの値以上となったときの液圧偏差ΔPwkを算出する。そして、ブレーキECU70は、RAM(又はバックアップRAM)の所定記憶位置に算出した液圧偏差ΔPwkを記憶してステップS13に進む。
ステップS13においては、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40に供給している開弁電流Ihの値が図9のマップに従ってリフト量Z2kに対応する開弁電流I2kの値未満であり、かつ、液圧偏差ΔPwが増加から減少に転じたか否かを判定する。すなわち、ブレーキECU70は、開弁電流Ihの値が開弁電流I2kの値未満であり、かつ、液圧偏差ΔPwが減少に転じていれば、「Yes」と判定してステップS14に進む。ここで、開弁電流Ihの値が開弁電流I2kの値未満である状況下において、液圧偏差ΔPwが減少に転じた場合には、実液圧であるホイールシリンダ圧Pwcが目標ホイールシリンダ圧Pwcmに対して近づくように増大している場合である。従って、液圧偏差ΔPwが減少に転じたか否かを判定することにより、ホイールシリンダ圧Pwcの目標ホイールシリンダ圧Pwcmに対する確実かつ速やかな増圧追従性を確保してホイールシリンダ圧制御を実行することができる。
一方、ブレーキECU70は、開弁電流Ihの値が開弁電流I2kの値以上である、又は、未だ液圧偏差ΔPwが増加中であるときには、開弁電流Ihの値が開弁電流I2kの値未満であり、かつ、液圧偏差ΔPwが減少に転ずるまで、ステップS13にて「No」の判定を繰り返す。ここで、開弁電流Ihの値が開弁電流I2kの値以上となる状況は、後述するように、起振範囲外となるリフト量Z2kまで電磁弁100の弁体111aが弁座131から離間している状況である。従って、開弁電流Ihの値が開弁電流I2kの値以上となる状況では、既に、弁体111aに激しいキャビテーション(エアレーション)による振動が発生しにくい状態となっている。
ステップS14においては、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40に対して開弁電流Ik2を供給する。上述したように、液圧偏差ΔPwが減少に転じた状況、言い換えれば、ホイールシリンダ圧Pwcが目標ホイールシリンダ圧Pwcmに対して近づくように追従して増大している状況では、増圧リニア弁40はアキュムレータ50から高圧のアキュムレータ圧Paccをホイールシリンダ20に供給するために、弁体111aはリフト量Z1k以上のリフト量Zとなっている。従って、液圧偏差ΔPwが減少に転じた状況下では、弁体111aのリフト量Zが起振範囲内に存在しており、激しいキャビテーション(エアレーション)の発生に伴って振動が発生しやすい状況となっている。このため、ブレーキECU70は、速やかに弁体111aのリフト量Zが起振範囲外となるように、すなわち、弁体111aのリフト量Zが起振範囲内に存在している時間が短くなるように、増圧リニア弁40のソレノイド140に対してより大きな(増大した)開弁電流I2kを供給し、弁体111aのリフト量Zを起振範囲の上限側を規定するリフト量Z2kまで速やかに増加させる。そして、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40に開弁電流I2kを供給すると、ステップS15に進む。
ステップS15及びステップS16においては、ブレーキECU70は、前記ステップS14にて増圧リニア弁40のリフト量Zをリフト量Z2kまで増加させるすなわち弁開度を大きくした状況下であっても、ホイールシリンダ圧Pwcを目標ホイールシリンダ圧Pwcmに忠実にかつ速やかに追従させるために、減圧リニア弁42をフィードバックにより開弁制御する。すなわち、ブレーキECU70は、ステップS15にて減圧リニア弁42に対して開弁電流Irを供給して閉弁状態から開弁状態に移行させるとともに弁開度を制御し、続くステップS16にて液圧偏差ΔPwが前記ステップS12にて所定記憶位置に記憶した液圧偏差ΔPwk未満となるまで「No」と判定することにより、繰り返しステップS15,S16を実行して減圧リニア弁42をフィードバック制御する。そして、ブレーキECU70は、ステップS16にて液圧偏差ΔPwが液圧偏差ΔPwk未満となれば、言い換えれば、ホイールシリンダ圧Pwcが目標ホイールシリンダ圧Pwcmに近づいていれば(或いは、一致していれば)、「Yes」と判定してステップS17に進む。
ステップS17においては、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40に対する開弁電流Ihとして開弁電流I2kから低下させた開弁電流I1kを供給するとともに、減圧リニア弁42への開弁電流Irの供給を遮断して開弁状態から閉弁状態に移行させる。すなわち、ステップS17の処理実行時には、既に、ホイールシリンダ圧Pwcが目標ホイールシリンダ圧Pwcmに近づいている(或いは、一致している)ため、増圧リニア弁40の弁開度、言い換えれば、リフト量Zをリフト量Z1k以下で維持することができる。従って、ブレーキECU70は、ステップS17にて、増圧リニア弁40に開弁電流I1kを供給する一方で減圧リニア弁42への開弁電流Irの供給を遮断する。そして、ブレーキECU70は、続くステップS18にてホイールシリンダ圧制御プログラムの実行を一旦終了し、所定の短い時間の経過後、再び、ステップS10にて本プログラムの実行を開始する。
ここで、上述した本実施形態におけるホイールシリンダ圧制御プログラムの実行による増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42の作動を、図11にて(a)〜(e)に示すタイムチャートを用いて説明しておく。まず、運転者によってブレーキペダル12が踏み込み操作されると、図11(a)に示すように、ブレーキECU70は、増加する目標ホイールシリンダ圧Pwcmを算出し、この目標ホイールシリンダ圧Pwcmに対して時間の経過に伴ってホイールシリンダ圧Pwcを追従させる。このため、図11(d)に示すように、ブレーキECU70は速やかに増圧リニア弁40の開弁電流Ihの値を増加させる。このとき、図11(b)に示すように、増圧リニア弁40の開弁電流Ihの値の増加に伴って、増圧リニア弁40のリフト量Zも増加する。一方、この時点では、図11(e)に示すように、ブレーキECU70は減圧リニア弁42の開弁電流Irの値を「0」に維持する。そして、図11(d)に示すように、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40の開弁電流Ihの値が起振範囲の下限側を規定するリフト量Z1kに対応付けられた開弁電流I1k以上であると判定すると、図11(c)に示すように、この判定のときの液圧偏差ΔPwkを記憶する。
そして、図11(a)、(c)及び(d)に示すように、増圧リニア弁40への開弁電流Ihが開弁電流I1kとリフト量Z2kに対応する開弁電流I2kの間にあるときに、液圧偏差ΔPwが増加から減少に転じたと判定すると、図11(d)に示すように、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40の開弁電流Ihをより大きな開弁電流I2kまで増大させるとともに、図11(e)に示すように、減圧リニア弁42に開弁電流Irを供給する。これにより、図11(a)及び(c)に示すように、ブレーキECU70は減圧リニア弁42を液圧偏差ΔPwに基づいてフィードバック制御し、ホイールシリンダ圧Pwcを目標ホイールシリンダ圧Pwcmに対して適切に追従させる。又、このときには、図11(d)に示すように、開弁電流Ihが開弁電流I2kに維持されており、その結果、図11(b)に示すように、増圧リニア弁40のリフト量Zはリフト量Z2kに維持される。
そして、ブレーキECU70は、図11(c)に示すように、液圧偏差ΔPwが液圧偏差ΔPwk以下であると判定すると、図11(d)に示すように、増圧リニア弁40に供給する開弁電流Ihの値を開弁電流I1kの値まで低下させ、図11(e)に示すように、減圧リニア弁42に供給する開弁電流Irの値を「0」とする。このとき、図11(b)に示すように、増圧リニア弁40のリフト量Zはリフト量Z1k以下に維持される。尚、図11(c)、(d)及び(e)中にカッコ書きで示した(S12)〜(S17)は、上述したホイールシリンダ圧制御プログラムにおける各ステップ番号を示す。
以上の説明からも理解できるように、上記第1実施形態によれば、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40のリフト量Z(弁開度)が起振範囲の下限側を規定するリフト量Z1kと上限側を規定するリフト量Z2kとの間に存在するときには、開弁電流Ihの値を開弁電流I2kの値まで増大させることによって、リフト量Zを速やかにリフト量Z2k以上まで増大させることができる。これにより、図11(b)に示すように、一点鎖線により示すリフト量Zを増大させない場合の時間T’に比して、増圧リニア弁40のリフト量Zが起振範囲の下限側を規定するリフト量Z1kと上限側を規定するリフト量Z2kとの間に存在する時間Tを短くすることができる。従って、増圧リニア弁40において高周波振動が発生する時間を確実に短くすることができて、異音の発生を効果的に抑制することができる。
又、増圧リニア弁40のリフト量Zをリフト量Z2kまで増大させることに併せて、ブレーキECU70は、減圧リニア弁42を目標ホイールシリンダ圧Pwcmに応じてフィードバック制御することができる。これにより、ホイールシリンダ20における実ホイールシリンダ圧Pwcを目標ホイールシリンダ圧Pwcmに適切に追従させることができるため、車輪に対して適切な制動力を与えることができる。
b.第2実施形態
上記第1実施形態においては、起振範囲を規定する離間距離としての下限側のリフト量Zk1及び上限側のリフト量Zk2にそれぞれ対応する開弁電流Ik1及び開弁電流Ik2を設定し、増圧リニア弁40に供給する開弁電流Ihの値を制御するように実施した。これにより、ホイールシリンダ20のホイールシリンダ圧Pwcを目標ホイールシリンダ圧Pwcmに追従させて増大させるときは増圧リニア弁40に供給する開弁電流Ihの値を開弁電流Ik2の値まで増大させることができ、増圧リニア弁40の弁開度すなわちリフト量Zを、起振範囲を規定する上限側のリフト量Z2kに維持することができ、激しいキャビテーション(エアレーション)の発生に伴う弁体111a(ロッド11及びプランジャ112)の高周波振動の発生を抑制することができるようにした。
この場合、図12に示すように、増圧リニア弁40に対して、弁体111aの離間距離すなわちリフト量Zを直接取得する変位量センサ56を設け、この変位量センサ56によるリフト量Zが起振範囲外となるようにホイールシリンダ圧制御を実行することができる。以下、この第2実施形態を具体的に説明するが、上記第1実施形態と同一部分に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
変位量センサ56は、図13に示すように、弁体111aの形成されるロッド11と一体的に変位するプランジャ112の外周面に対向して設けられる、所謂、差動トランスを採用することができ、弁体111aの変位に伴って発生する電位差を検出し、この電位差に対応する変位量すなわち離間距離であるリフト量Zを出力する。ここで、変位量センサ56は、図2にて破線により示すように、ブレーキECU70に接続されており、取得したリフト量Zを出力する。尚、変位量センサ56としては、電磁気的に弁体111aの変位量(離間距離)を取得して出力できるものであれば、如何なるものであっても採用することが可能である。
そして、この第2実施形態においては、ブレーキECU70が、変位量センサ56から所定の短い時間間隔により出力される弁体111aのリフト量Zを取得して、例えば、バックアップRAMの所定記憶位置に蓄積するようになっており、この取得したリフト量Zを用いて増圧リニア弁40の弁部に作用する差圧Pに依存して変動する起振範囲を規定する下限側のリフト量Z1及び上流側のリフト量Z2を補正するようになっている。すなわち、ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧制御中に変位量センサ56によって検出される実際の弁体111aのリフト量Zを用いて、差圧Pごとの起振範囲を規定するリフト量Z1,Z2を更新する(学習する)ことができる。
この第2実施形態においても、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40よりも上流側のアキュムレータ圧Pacc(高圧)をアキュムレータ圧センサ52から取得し、増圧リニア弁40よりも下流側ホイールシリンダ圧センサ44から取得したホイールシリンダ圧Pwc(低圧)と間の差圧P、すなわち、弁体111aと弁座131からなる弁部に作用する差圧Pkの大きさを算出する。そして、この第2実施形態では、ブレーキECU70は、算出した差圧Pkにおいて、上述したように補正した(学習した)起振範囲を規定するリフト量Z1k,Z2kを決定し、図14に示すホイールシリンダ圧制御プログラムを実行する。
ここで、この第2実施形態におけるホイールシリンダ圧制御プログラムは、変位量センサ56から取得したリフト量Zを用いるため、この点で上記第1実施形態におけるホイールシリンダ圧制御プログラムと若干異なる。具体的に、上記第1実施形態におけるホイールシリンダ圧制御プログラムのステップS11、ステップS13、ステップS14及びステップS17が、図14に示すように、ステップS11’、ステップS13’、ステップS14’及びステップS17’にそれぞれ変更される。以下、これら変更された各ステップ処理を主に説明する。
この第2実施形態においても、ブレーキECU70(より詳しくは、CPU)は、所定の短い時間の経過ごとに、図14に示すホイールシリンダ圧制御プログラムの実行をステップS10から開始する。そして、ステップS11’において、ブレーキECU70は、変位量センサ56から弁体111aの離間距離であるリフト量Zを取得し、取得したリフト量Zが差圧Pkにおける起振範囲の下限側を規定するリフト量Z1k以上であるか否かを判定する。すなわち、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40の弁体111aのリフト量Z(離間距離)がリフト量Z1k未満であれば、「No」と判定してステップS18に進み、本プログラムの実行を一旦終了する。そして、所定の短い時間の経過後、再び、ステップS10にて本プログラムの実行を開始する。一方、増圧リニア弁40の弁体111aのリフト量Z(離間距離)がリフト量Z1k以上であれば、ブレーキECU70は、「Yes」と判定してステップS12に進み、リフト量Zがリフト量Z1k以上となったときの液圧偏差ΔPwkを算出してRAM(又はバックアップRAM)の所定記憶位置に記憶してステップS13’に進む。
ステップS13’においては、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40の弁体111aのリフト量Zが差圧Pkにおける起振範囲の上限側を規定するリフト量Z2k未満であり、かつ、液圧偏差ΔPwが増加から減少に転じたか否かを判定する。すなわち、ブレーキECU70は、リフト量Zがリフト量Z2k未満であり、かつ、液圧偏差ΔPwが減少に転じていれば、「Yes」と判定してステップS14’に進む。一方、ブレーキECU70は、リフト量Zがリフト量Z2k以上である、又は、未だ液圧偏差ΔPwが増加中であるときには、「No」の判定を繰り返す。
ステップS14’においては、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40の弁体111aのリフト量Zがリフト量Z2kとなるように、増圧リニア弁40に対して供給している開弁電流Ihの値に電流ΔIの値を加算する。すなわち、ブレーキECU70は、速やかに弁体111aのリフト量Zが起振範囲外となるように、言い換えれば、弁体111aのリフト量Zが起振範囲内に存在している時間が短くなるように、増圧リニア弁40のソレノイド140に対して開弁電流Ihの値を電流ΔIの値だけ嵩上げして供給する。このように、嵩上げした開弁電流(Ih+ΔI)を供給すると、ブレーキECU70は、上記第1実施形態と同様に、ステップS15及びステップS16にて減圧リニア弁42をフィードバックにより開弁制御して、ステップS17’に進む。
ステップS17’においては、ブレーキECU70は、前記ステップS14’にて電流ΔIの値を加算することによって嵩上げした開弁電流(Ih+ΔI)を、電流ΔIの値を「0」とすることによって嵩上げ前の開弁電流Ihに戻して供給するとともに、減圧リニア弁42への開弁電流Irの供給を遮断して開弁状態から閉弁状態に移行させる。すなわち、上記第1実施形態と同様に、ステップS17’の処理実行時には、既に、ホイールシリンダ圧Pwcが目標ホイールシリンダ圧Pwcmに近づいている(或いは、一致している)ため、増圧リニア弁40の弁開度、言い換えれば、リフト量Zをリフト量Z1k以下で維持することができる。そして、ブレーキECU70は、ステップS18にてホイールシリンダ圧制御プログラムの実行を一旦終了し、所定の短時間の経過後、再び、ステップS10にて本プログラムの実行を開始する。
ここで、この第2実施形態におけるホイールシリンダ圧制御プログラムの実行による増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42の作動も、上記第1実施形態と同様にして図15(a)〜(e)のタイムチャートに示すことができる。尚、この第2実施形態では、上述したように、変位量センサ56によって検出された弁体111aのリフト量Zを用いる点で上記第1実施形態と異なるのみであるため、図15中に上述した第2実施形態のホイールシリンダ圧制御プログラムに対応する各ステップ番号を付し、以下に簡単に説明しておく。
この第2実施形態においては、運転者によってブレーキペダル12が踏み込み操作されると、ブレーキECU70は、図15(d)に示すように増圧リニア弁40の開弁電流Ihを増加させ、図15(b)に示すように増大する弁体111aのリフト量Z(離間距離)がリフト量Z1k以上であるか否か判定する。そして、図15(a)、(b)及び(c)に示すように、増圧リニア弁40の弁体111aのリフト量Zがリフト量Z1kとリフト量Z2kの間にあるときに、液圧偏差ΔPwが増加から減少に転じたと判定すると、ブレーキECU70は、図15(d)に示すように、増圧リニア弁40の開弁電流Ihの値を電流ΔIの値の加算により嵩上げするとともに、図15(e)に示すように、減圧リニア弁42に開弁電流Irを供給する。これにより、図15(a)及び(c)に示すように、ブレーキECU70は、減圧リニア弁42を液圧偏差ΔPwに基づいてフィードバック制御することにより、ホイールシリンダ圧Pwcを目標ホイールシリンダ圧Pwcmに対して適切に追従させる。又、このときには、図15(b)に示すように、増圧リニア弁40のリフト量Zはリフト量Z2kに維持される。そして、図15(c)に示すように、液圧偏差ΔPwが液圧偏差ΔPwk以下であると判定すると、ブレーキECU70は、図15(d)に示すように、増圧リニア弁40に供給される開弁電流Ihの値に加算される電流ΔIの値を「0」に戻す。このとき、図15(b)に示すように、増圧リニア弁40のリフト量Zはリフト量Z1k以下に維持される。
以上の説明からも理解できるように、上記第2実施形態によれば、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40のリフト量Z(弁開度)が起振範囲の下限側を規定するリフト量Z1kと上限側を規定するリフト量Z2kとの間に存在するときには、開弁電流Ihの値に電流ΔIの値を加算して嵩上げすることによって、リフト量Zを速やかにリフト量Z2k以上まで増大させることができる。これにより、この第2実施形態においても、図15(b)に示すように、一点鎖線により示すリフト量Zを増大させない場合の時間T’に比して、増圧リニア弁40のリフト量Zが起振範囲の下限側を規定するリフト量Z1kと上限側を規定するリフト量Z2kとの間に存在する時間Tを短くすることができる。従って、増圧リニア弁40において高周波振動が発生する時間を確実に短くすることができて、異音の発生を効果的に抑制することができる。
又、この第2実施形態においても、増圧リニア弁40のリフト量Zをリフト量Z2kまで増大させることに併せて、ブレーキECU70は、減圧リニア弁42を目標ホイールシリンダ圧Pwcmに応じてフィードバック制御することができる。これにより、ホイールシリンダ20における実ホイールシリンダ圧Pwcを目標ホイールシリンダ圧Pwcmに適切に追従させることができるため、車輪に対して適切な制動力を与えることができる。
c.第3実施形態
上記第1実施形態においては、起振範囲を規定する離間距離としての下限側のリフト量Zk1及び上限側のリフト量Zk2にそれぞれ対応する開弁電流Ik1及び開弁電流Ik2を設定し、増圧リニア弁40に供給する開弁電流Ihの値を制御して、激しいキャビテーション(エアレーション)の発生に伴う弁体111aの振動の発生を抑制するように実施した。又、上記第2実施形態においては、変位量センサ56によって増圧リニア弁40の弁体111aの離間距離であるリフト量Zを直接的に取得し、増圧リニア弁40のリフト量Zを制御して、激しいキャビテーション(エアレーション)の発生に伴う弁体111aの振動の発生を抑制するように実施した。
これらの場合、図16に示すように、増圧リニア弁40に対して弁体111aに作用する高周波の荷重変動すなわち荷重振幅Fを直接取得する荷重センサ58を設け、この荷重センサ58による荷重振幅Fが、図6に示した弁体111aのリフト量Zが起振範囲外となるとき、すなわち、リフト量Zがリフト量Z1以下又はリフト量Z2以上であるときにおける荷重振幅Fs以下となるようにホイールシリンダ圧制御を実行することができる。以下、この第3実施形態を具体的に説明するが、上記第1実施形態及び第2実施形態と同一部分に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
荷重センサ58は、図17に示すように、弁体111aの形成されるロッド111と一体的に変位するプランジャ112とバネ113との間に設けられており、例えば、ピエゾ素子を採用することができる。そして、荷重センサ58は、例えば、図7(a)及び(b)に示したような弁体111aを介して入力される高周波の荷重の変動、すなわち、荷重振幅Fを検出して出力する。ここで、荷重センサ58は、図2にて破線により示すように、ブレーキECU70に接続されており、荷重振幅Fを出力する。
そして、この第3実施形態においては、ブレーキECU70は、図18に示すホイールシリンダ圧制御プログラムを実行する。ここで、この第3実施形態におけるホイールシリンダ圧制御プログラムは、荷重センサ58から取得した荷重振幅Fを用いるため、この点で上記第1実施形態及び第2実施形態と若干異なる。具体的に、上記第1実施形態及び第2実施形態におけるホイールシリンダ圧制御プログラムに比して、ステップS11、ステップS13及びステップS14が、図18に示すように、ステップS11”、ステップS13”及びステップS14”にそれぞれ変更される。尚、ステップS17’については、上記第2実施形態と同一のステップ処理が実行される。従って、以下、これら変更された各ステップ処理を主に説明する。
この第3実施形態においても、ブレーキECU70(より詳しくは、CPU)は、所定の短い時間の経過ごとに、図18に示すホイールシリンダ圧制御プログラムの実行をステップS10から開始する。そして、ステップS11”において、ブレーキECU70は、荷重センサ58から弁体111aの荷重振幅Fを取得し、取得した荷重振幅Fが、図6に示した起振範囲の下限側の荷重振幅Fs、言い換えれば、図7(a)に示したように起振範囲の下限側を規定する弁体111aのリフト量Z1(リフト量Z2)に対応する荷重振幅Fsよりも大きいか否かを判定する。すなわち、ブレーキECU70は、現在、弁体111aにおける荷重振幅Fが荷重振幅Fs以下であれば、「No」と判定してステップS18に進み、本プログラムの実行を一旦終了する。そして、短い時間の経過後、再び、ステップS10にて本プログラムの実行を開始する。一方、弁体111aにおける荷重振幅Fが荷重振幅Fsよりも大きければ、ブレーキECU70は、「Yes」と判定してステップS12に進み、荷重振幅Fが荷重振幅Fsよりも大きくなったときの液圧偏差ΔPwkを算出してRAM(又はバックアップRAM)の所定記憶位置に記憶してステップS13”に進む。
ステップS13”においては、ブレーキECU70は、液圧偏差ΔPwが増加から減少に転じたか否かを判定する。すなわち、ブレーキECU70は、液圧偏差ΔPwが減少に転じていれば、「Yes」と判定してステップS14”に進む。一方、ブレーキECU70は、液圧偏差ΔPwが未だ増加中であるときには、「No」の判定を繰り返す。
ステップS14”においては、ブレーキECU70は、荷重センサ58から取得する荷重振幅Fが荷重振幅Fs以下となるように、増圧リニア弁40に対して供給している開弁電流Ihの値に電流ΔIの値を加算する。すなわち、ブレーキECU70は、速やかに実荷重振幅Fが荷重振幅Fs以下となるように、言い換えれば、弁体111aのリフト量Zが速やかに起振範囲外となるように、増圧リニア弁40のソレノイド140に対して開弁電流Ihの値を電流ΔIの値だけ嵩上げして供給する。このように、嵩上げした開弁電流(Ih+ΔI)を供給すると、ブレーキECU70は、上記第1実施形態と同様に、ステップS15及びステップS16にて減圧リニア弁42をフィードバックにより開弁制御して、ステップS17’に進む。そして、ステップS17’において、ブレーキECU70は、上記第2実施形態と同様に、前記ステップS14”にて電流ΔIの値を加算することによって嵩上げした開弁電流(Ih+ΔI)を、電流ΔIの値を「0」とすることによって嵩上げ前の開弁電流Ihに戻して供給するとともに、減圧リニア弁42への開弁電流Irの供給を遮断して開弁状態から閉弁状態に移行させる。
ここで、この第3実施形態におけるホイールシリンダ圧制御プログラムの実行による増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42の作動も、上記第1実施形態及び第2実施形態と同様にして図19(a)〜(e)のタイムチャートに示すことができる。尚、この第3実施形態では、上述したように、荷重センサ58によって検出された荷重振幅Fを用いる点で上記第1実施形態及び第2実施形態と異なる。以下、図19中に上述したホイールシリンダ圧制御プログラムに対応する各ステップ番号を付し、この第3実施形態を簡単に説明しておくと、本実施形態においては、運転者によってブレーキペダル12が踏み込み操作されると、図19(d)に示すように増圧リニア弁40の開弁電流Ihが増加する、すなわち、弁体111aのリフト量Zが増大することにより、図19(b)に示すように増圧リニア弁40の弁体111aにおける荷重振幅Fが増加し、ブレーキECU70は荷重振幅Fが荷重振幅Fsよりも大きいか否か判定する。
そして、図19(a)及び(c)に示すように、液圧偏差ΔPwが増加から減少に転じたと判定すると、ブレーキECU70は、図19(d)に示すように、増圧リニア弁40の開弁電流Ihの値を電流ΔIの値の加算により嵩上げするとともに、図19(e)に示すように、減圧リニア弁42に開弁電流Irを供給する。これにより、図19(a)及び(c)に示すように、ブレーキECU70は、減圧リニア弁42を液圧偏差ΔPwに基づいてフィードバック制御することにより、ホイールシリンダ圧Pwcを目標ホイールシリンダ圧Pwcmに対して適切に追従させる。又、このときには、開弁電流(Ih+ΔI)が供給されることにより、図19(b)に示すように、増圧リニア弁40の弁体111aにおける荷重振幅Fが荷重振幅Fs以下、言い換えれば、増圧リニア弁40のリフト量Zがリフト量Z2k以上に維持される。そして、ブレーキECU70は、図19(c)に示すように、液圧偏差Pwが液圧偏差ΔPwkであると判定すると、図19(d)に示すように、増圧リニア弁40に供給される開弁電流Ihに加算される電流ΔIの値を「0」に戻す。
以上の説明からも理解できるように、上記第3実施形態においては、ブレーキECU70は、増圧リニア弁40の荷重振幅Fが起振範囲の下限側を規定するリフト量Z1k及びリフト量Z2kに対応する荷重振幅Fs以上であるときには、開弁電流Ihの値に電流ΔIの値を加算して嵩上げすることによって、荷重振幅Fを速やかに荷重振幅Fs未満となるまで減少させることができる。すなわち、ブレーキECU70は、開弁電流Ihの値に電流ΔIの値を加算して嵩上げすることによって、リフト量Zを速やかにリフト量Z2k以上まで増大させることができる。これにより、この第3実施形態においては、図19(b)に示すように、一点鎖線により示す荷重振幅Fを減少させない(リフト量Zを増大させない)場合の時間T’に比して、荷重振幅Fが荷重振幅Fs以上となっている時間Tを確実に短くすることができる。従って、増圧リニア弁40において高周波振動が発生する時間を確実に短くすることができて、異音の発生を効果的に抑制することができる。
又、この第3実施形態においても、増圧リニア弁40のリフト量Zをリフト量Z2kまで増大させることに併せて、ブレーキECU70は、減圧リニア弁42を目標ホイールシリンダ圧Pwcmに応じてフィードバック制御することができる。これにより、ホイールシリンダ20における実ホイールシリンダ圧Pwcを目標ホイールシリンダ圧Pwcmに適切に追従させることができるため、車輪に対して適切な制動力を与えることができる。
d.変形例
(d−1)第1変形例
上記第1〜第3実施形態においては、運転者によるブレーキペダル12の踏み込み操作に応答して増圧リニア弁40を閉弁状態から開弁状態に移行させ、ホイールシリンダ圧Pwcを増圧させる場合を説明した。これに対し、例えば、運転者のブレーキペダル12に対する踏み込み操作の解除に応答して減圧リニア弁42を閉弁状態から開弁状態に移行させ、ホイールシリンダ圧Pwcを減圧させる場合も、減圧リニア弁42の弁体111aのリフト量Zが起振範囲外となるように制御することができる。
例えば、上記第1実施形態の増圧リニア弁40と同様に、減圧リニア弁42に対する開弁電流Irの値を制御することが可能である。この場合には、ホイールシリンダ圧制御に従い、減少する目標ホイールシリンダ圧Pwcmと追従して減少するホイールシリンダ圧Pwcとにおいて、図20(a)、(c)に示すように液圧偏差ΔPwが減少に転じると、ブレーキECU70は、図20(e)に示すように、減圧リニア弁42のソレノイド140に対する開弁電流Irの値を、上記第1実施形態と同様に、開弁電流I2kの値まで増大させる。そして、ブレーキECU70は、図20(d)に示すように、増圧リニア弁40をフィードバックにより開弁制御する。これにより、図20(b)に示すように、減圧リニア弁42の弁体111aのリフト量Z(離間距離)がリフト量Z2kで維持され、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
又、例えば、上記第2実施形態における増圧リニア弁40と同様に、減圧リニア弁42のリフト量Zを直接的に制御することも可能である。この場合には、減圧リニア弁42に変位量センサ56が設けられる。そして、この場合には、ホイールシリンダ圧制御に従い、減少する目標ホイールシリンダ圧Pwcmと追従して減少するホイールシリンダ圧Pwcとにおいて、図21(a)、(c)に示すように液圧偏差ΔPwが減少に転じると、ブレーキECU70は、図21(e)に示すように、減圧リニア弁42のソレノイド140に対する開弁電流Irの値を、上記第2実施形態と同様に、電流ΔIの値の加算により嵩上げする。そして、ブレーキECU70は、図21(d)に示すように、増圧リニア弁40をフィードバックにより開弁制御する。これにより、図21(b)に示すように、減圧リニア弁42の弁体111aのリフト量Z(離間距離)がリフト量Z2kで維持され、上記第2実施形態と同様の効果が得られる。
(d−2)第2変形例
上記第1〜第3実施形態及び上記第1変形例においては、常閉型の増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42を用いる場合を説明した。この場合、図1に示したブレーキ制御装置10では、例えば、左前輪の増圧リニア弁40FL及び左後輪の増圧リニア弁40RLを常開型の電磁弁により構成したり、或いは、右後輪の減圧リニア弁42を常開型の電磁弁により構成する場合がある。このように、常開型の電磁弁が採用される場合であっても、上記第1〜第3実施形態及び上記第1変形例と同様に、弁体のリフト量Zが起振範囲外となるように制御することができる。
具体的に、常開型の電磁弁を採用する場合には、常閉型の電磁弁100の場合と異なり、閉弁電流を供給することによって閉弁状態を維持する。このため、閉弁状態にある常開型の電磁弁を開弁状態に移行させる場合、上述した常閉型の電磁弁100において供給する開弁電流に対応させると、常開型の電磁弁に対して供給する開弁電流(閉弁電流)の値が大きいほど、弁体と弁座との間の離間距離(リフト量Z)が小さくなり、開弁電流(閉弁電流)の値が小さいほど、弁体と弁座との間の離間距離(リフト量Z)が大きくなる。すなわち、常開型の電磁弁と常閉型の電磁弁とは、供給される電流に対する作動が全く逆の関係となる。従って、例えば、上記第1実施形態において説明した常閉型の増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42の場合に対応付けて示すと、図22(d)及び(e)に示すように、閉弁状態を維持するために供給される閉弁電流から減じた電流の値が上述した開弁電流Ih,Irの値に相当する。このため、常開型の電磁弁を用いる場合には、供給する電流に関し、上述した常閉型の増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42の場合と全く逆の関係が成立し、常閉型の増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42における開弁電流I1k,Ik2及びリフト量Z1k,Z2kの関係が、それぞれ、常開の電磁弁における開弁電流Ik2,I1k及びリフト量Z1k,Z2kとなる。
従って、このような逆の関係が成立するため、例えば、上記第1実施形態において説明した図10のホイールシリンダ圧制御プログラムは、図23に示すように、変形される。すなわち、上記第1実施形態のホイールシリンダ圧制御プログラムにおけるステップS11、ステップS13、ステップS14、ステップS15及びステップS17がそれぞれステップS111、ステップS113、ステップS114、ステップS115及びステップS117に変形される。そして、このように変形されるホイールシリンダ圧制御プログラムを実行することにより、常開型の電磁弁を採用した場合であっても、上記第1実施形態と同様に効果が得られる。又、上述した逆の関係に従って同様にホイールシリンダ圧制御プログラムを変形することにより、常開型の電磁弁を採用する場合であっても、上記第2実施形態、第3実施形態及び上記第1変形例と同様の効果が得られる。
本発明の実施にあたっては、上記各実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記各実施形態及び各変形例においては、増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42に採用可能な電磁弁100として、可動子に含まれる弁体111aがバネ113及びソレノイド140による付勢力(電磁吸引力)によってその軸線方向に変位する電磁弁を採用して実施した。この場合、増圧リニア弁40及び減圧リニア弁42に採用可能な電磁弁として、可動子に含まれる弁体が弁座に対して軸線周りに回転する電磁弁(ロータリ弁)等を採用して実施可能であることは言うまでもない。
又、上記各実施形態及び各変形例においては、車両に搭載されるブレーキ制御装置10を例示して説明した。この場合、例えば、当業者の知識に基づいて、車両のブレーキ制御装置10以外の各種油圧装置に対して、上記制御プログラムを適用して実施可能であることは言うまでもない。
10…車両のブレーキ制御装置、12…ブレーキペダル、14…マスタシリンダ、20…ホイールシリンダ、22…電磁開閉弁、26…リザーバタンク、32…モータ、34…加圧ポンプ、40…増圧リニア弁(液圧制御弁)、42…減圧リニア弁(液圧制御弁)、44…ホイールシリンダ圧センサ(下流側液圧検出手段)、46…ストロークセンサ、48…マスタリンダ圧センサ、50…アキュムレータ、52…アキュムレータ圧センサ(上流側液圧検出手段)、56…変位量センサ、58…荷重センサ、60…液圧アクチュエータ、70…ブレーキECU(制御手段)、100…電磁弁、110…弁体ユニット、111…ロッド、111a…弁体、112…プランジャ、113…バネ、120…ハウジング、120e…流出ポート、121…弁室、130…シート、130b…流入ポート、131…弁座、140…ソレノイド

Claims (7)

  1. 作動液を貯留するリザーバタンクと、前記リザーバタンクに貯留された作動液を加圧ポンプによって昇圧し、この昇圧された作動液の液圧を蓄圧するアキュムレータを有する液圧源と、前記液圧源からの前記液圧を受けて車輪に制動力を与えるホイールシリンダと、前記液圧源の前記アキュムレータと前記ホイールシリンダとの間に配置されて前記ホイールシリンダに伝達される液圧を増圧して調整する制御弁及び前記ホイールシリンダと前記リザーバタンクとの間に配置されて前記ホイールシリンダに伝達される液圧を減圧して調整する制御弁からなる一対の液圧制御弁と、前記車輪に制動力を与えるために設定される前記ホイールシリンダの目標液圧に応じて前記一対の液圧制御弁を構成するそれぞれの制御弁の開度である弁開度を制御する制御手段とを備えた車両のブレーキ制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記一対の液圧制御弁のうちの一方の前記制御弁の弁開度を下限側から上限側へ増大させる制御において、前記一方の前記制御弁の弁開度が、弁開度の大きさに関連して前記作動液に発生する液圧脈動に起因し、前記制御弁の弁体を含む可動子に振動を生じさせる荷重振幅の大きさが所定の荷重振幅の大きさよりも大きく前記可動子に高周波振動を生じさせる起振範囲の上限側及び下限側を規定する弁開度の範囲内に存在するとき、
    前記一方の前記制御弁の前記弁開度を前記起振範囲の上限側を規定する弁開度以上となるまで増大させるとともに、前記一対の液圧制御弁のうちの他方の前記制御弁の弁開度を前記ホイールシリンダの目標液圧に応じて制御することを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  2. 請求項1に記載した車両のブレーキ制御装置において、
    前記一対の液圧制御弁を構成する前記制御弁は、供給される電流の増減に対応して前記弁開度が増大又は減少する電磁弁であり、
    前記制御手段は、
    前記一方の前記制御弁の前記弁開度が前記起振範囲を規定する前記弁開度の範囲内に存在するとき、
    前記一方の前記制御弁の前記弁開度が前記起振範囲の上限側を規定する弁開度以上となる電流を供給することを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  3. 請求項2に記載した車両のブレーキ制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記一対の液圧制御弁を構成する前記制御弁が電流の供給される通電時に閉弁状態から開弁状態に移行する常閉型の電磁弁であれば、前記一方の前記制御弁の前記弁開度が前記起振範囲を規定する前記弁開度の範囲内に存在するとき、前記一方の前記制御弁の前記弁開度が前記起振範囲の上限側を規定する弁開度以上となるまで供給する電流を増大させ、
    前記一対の液圧制御弁を構成する前記制御弁が電流の供給される通電時に開弁状態から閉弁状態に移行する常開型の電磁弁であれば、前記一方の前記制御弁の前記弁開度が前記起振範囲を規定する弁開度の範囲内に存在するとき、前記一方の前記制御弁の前記弁開度が前記起振範囲の上限側を規定する弁開度以上となるまで供給する電流を低下させることを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載した車両のブレーキ制御装置において、更に、
    前記一対の液圧制御弁の上流側の液圧を検出する上流側液圧検出手段と、
    前記一対の液圧制御弁の下流側の液圧を検出する下流側液圧検出手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記上流側液圧検出手段によって検出された前記一対の液圧制御弁の前記上流側の液圧と、前記下流側液圧検出手段によって検出された前記一対の液圧制御弁の前記下流側の液圧との差によって表される前記一対の液圧制御弁に作用する差圧に応じて、前記起振範囲の上限側及び下限側を規定する弁開度を変更することを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載した車両のブレーキ制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記ホイールシリンダの前記目標液圧と前記ホイールシリンダにおける実液圧との差分により表される液圧偏差の大きさが増加から減少に転じたとき、
    前記一方の前記制御弁の前記弁開度を前記起振範囲の上限側を規定する弁開度以上となるまで増大させるとともに、前記一対の液圧制御弁のうちの他方の前記制御弁の弁開度を前記ホイールシリンダの目標液圧に応じて制御することを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  6. 請求項5に記載した車両のブレーキ制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記液圧制御弁のうちの前記一方の前記制御弁の前記弁開度が前記起振範囲の下限側を規定する弁開度以上であり、かつ、前記液圧偏差の大きさが増加から減少に転じたとき、
    前記一方の前記制御弁の前記弁開度を前記起振範囲の上限側を規定する弁開度以上となるまで増大させるとともに、前記一対の液圧制御弁のうちの他方の前記制御弁の弁開度を前記ホイールシリンダの目標液圧に応じて制御することを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか一つに記載した車両のブレーキ制御装置において、
    前記液圧制御弁を構成する前記制御弁の前記弁開度は、
    前記制御弁の弁部を形成する弁体と弁座とが離間した離間距離であって、前記弁体の前記弁座に対する着座位置から前記弁体の変位方向における離間距離により表され、
    前記離間距離の増大又は減少が前記弁開度の増大又は減少に一致することを特徴とする車両のブレーキ制御装置。
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