JP6018362B2 - 修飾クロム系触媒およびそれを用いる重合方法 - Google Patents
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Description
この出願は2008年2月27日付け出願の番号第61/067254号の利益を請求し、それの開示は全体として本明細書へ参照によって組み込まれる。
ここに明らかにする態様は概して、オレフィン重合触媒に、そしてより一層詳しくは、クロム系(chromium-based)触媒、およびポリオレフィン類の製造のためのクロム系触媒の使用の方法に、そしてさらにより一層詳しくは、クロム系触媒のフローインデックス応答を、触媒への還元剤の制御された添加および/または制御された混合条件下での還元剤の添加を通して制御し、または調整するための方法に関する。
1局面において、ここに開示する態様は、オレフィン類の重合における使用のための触媒組成物の製造方法に関し、この方法には、選定された範囲内のフローインデックス応答を持つ触媒組成物を製造するために、a)担持されたクロム系触媒を、選定された供給速度にて選定された期間にわたって供給される還元剤と接触させること、および同時にb)クロム系触媒を選定された撹拌速度にて撹拌することが含まれる。
本化合物、成分、組成物、および/または方法を、開示して説明する前に、別段の指示がない限り、この発明が特定の化合物、成分、組成物、反応体、反応条件、リガンド、触媒構造、またはその他のものに制限されず、特に明記しない限り、それ自体変動しうることを理解すべきである。また、ここに用いられる文言が特定の態様だけを説明する目的のためのもので、本発明を限定するものではないと理解される。
上記のプロセスによって形成される触媒は、既知の設備および反応条件を用いて、任意の懸濁物、溶液、スラリー、または気相法によるオレフィン重合における使用に適しており、特定のタイプの重合システムに制限されない。概して、オレフィン重合温度は、大気圧、低圧(sub-atmospheric)、または過圧(super-atmospheric)にて、約0から約300℃に及ぶことができる。とりわけ、スラリーまたは溶液重合システムは、低圧または過圧で、約40から約300℃までの範囲の温度を採用することができる。
以下の試験方法は、請求の範囲において述べるような所定の特性および特長のための、密度、製造性、クロム含量、またはフローインデックスもしくはメルトインデックス等の数値を得るために利用すべきであるが、それらの値は、特許、特許出願または科学系出版物の少なくとも1種において発表された他の試験または測定の方法が提供されている場合にはここに必ずしも開示される必要のないそれら他の試験または測定の方法によって得られる任意の結果をも示すと理解される。また、請求の範囲において述べる値が、実験的、設備、またはオペレーターエラーであろうとなかろうと、それらの測定値と関係するある程度のエラーをもち、そして請求の範囲の所定値はおよその値であり、測定値からプラスマイナス10%または20%であってもよい値を含むことが理解される。
酸化クロム触媒
実施例で採用する所定の触媒、特に、シリカ支持体上の957HSクロムを用いるものは、以下の通りに商業上のスケールにて調製した。2.5重量%の酢酸クロム含有多孔性シリカ支持体の約408.2kg(900ポンド)は、約0.5%のCr含量であり〔W.R.Grace and Co.社のDavison Catalyst部門製、シリカ担持されたGrade Sylopol 957HSクロム〕、約40ミクロンの粒径および1グラムに付き約300平方メートルの表面積を持つものであり、この全量を流動床加熱容器に供給した。そこで、それは325℃にまで乾燥窒素下で1時間につき約50℃の速度にてゆっくりと加熱し、そして約2時間その温度にて保持した。窒素流を、次に乾燥空気の流れと入れ替え、そして触媒組成物を600℃にまで1時間につき約50℃の速度でゆっくりと加熱し、その温度でそれを約6時間活性化した。活性化された触媒を、次いで約300℃にまで(周囲温度で)乾燥空気で冷やし、そしてさらに(周囲温度で)乾燥窒素を用い、300℃から室温まで冷却した。冷却されて得られた粉体は、下記のように還元剤で処理されるまで窒素雰囲気下で保存した。
実施例において採用する所定の触媒、特に、シリカ支持体上のシリルクロメート化合物を用いるそれらは、以下の通りに商業上のスケールにて調製した。多孔性シリカ支持体の約408.2kg(900ポンド)(シリカ担持されたGrade Sylopol 955クロム、W.R.Grace and Co.社のDavison Catalyst部門製)は、約40μmの粒径および1グラムに付き約300平方メートルの表面積を持つものであり、この全量を流動床加熱容器に供給した。そこで、それは325℃にまで乾燥窒素下で1時間につき約100℃の速度にてゆっくりと加熱し、そして約2時間その温度にて保持した。窒素流を、次に乾燥空気の流れと入れ替え、そしてシリカ支持体を600℃にまで1時間につき約100℃の速度にてゆっくりと加熱し、そこでそれを約4時間活性化した。か焼された支持体を、次いで約300℃にまで(周囲温度で)乾燥空気で冷やし、そしてさらに(周囲温度で)乾燥窒素を用い、300℃から室温まで冷却した。冷却されて得られた粉体は、下記のようにクロム化合物および次いで還元剤で処理されるまで、窒素雰囲気下で保存した。
上記のように調製し、そして表1および3で示した所定の触媒試料を、実験室の1リットルのスラリー反応装置においてそれらのフローインデックス応答について試験した。典型的なスラリー重合(欧州特許出願公開第0931797A1号)において、触媒は機械的撹拌器および内部の温度制御のためのジャケットを備える反応装置に供給された。実施例において、0.149から0.164gまでの触媒を導入し、次いで600mLの乾燥精製イソブタンを加えたが続いた。500ccの水素をバッチで供給し、反応装置を反応温度(これらの例では95℃)にまで上げ、そのステップの間、エチレン供給を開始し、10mLの1-ヘキセンを高圧容器(ボンベ)を通してバッチ供給した。エチレンを、13.8バール(200psi)のエチレン分圧を維持する要求を満たすように連続的に供給した。エチレンの取り込みは、電子流量計で測定した。約180グラムのポリエチレンが製造されるまで、重合を行った。反応装置は減圧後開放し、冷却してポリマーを回収した。乾燥後、ポリマーフローインデックスが測定された。
上述のように調製され、そして表2A、2B、および2Cにおいて示された所定の触媒試料を、14インチの直径のパイロットスケールの流動床反応装置中で、エチレン/1-ヘキセン共重合体生成物を製造するそれらのフローインデックス応答について試験した。サイクルガスを、反応装置を通して循環させ、そして反応熱を熱交換器内で除去した。触媒粉体を流動床中に連続的に導入した。モノマー、水素および酸素を、サイクルガス配管中に供給した。生成物を、断続的に製品チャンバに移し、減圧し、簡単に脱気し、ドラム中に排出した。流動床反応装置内の所定条件は、一定の値に維持され、または行われた試験の各々のセット内で、関連した実験のための狭い範囲内であった。エチレン分圧は、約13.8バール(200psi)であった。サイクルガスにおけるH2/C2モルガス比率を、約0.05で維持した。全反応装置圧は、約24.8バール(360psia)絶対圧であった。流動床内の表面的なガス速度は、1.3-1.8フィート/秒であった。反応装置内の樹脂の平均滞留時間は、1.9から2.4時間にわたった。反応装置温度、ヘキセン比率、酸素比率、および実施例で変化させた触媒調製条件等のパラメータは、得られたポリマー特性とともに、表2A、2B、および2Cにまとめる。
実施例1から10において、DEAlE還元された酸化クロム系触媒を、上記のように活性化した957HS支持体を用いてパイロットスケールにて調製し、そして次いで実験室のスラリー重合反応装置においてフローインデックス応答を試験した。用いた触媒調製条件は、表1中に示される(DEAlE添加および反応中の撹拌速度、DEA1E/Cr比率、およびDEAlE供給時間)。重合結果を、表1および図1に示す。
実施例11から15において、DEAlE還元された酸化クロム系触媒を、上記のように活性化した957HS支持体を用いてプラントスケールにて調製し、そして次いで実験室のスラリー重合反応装置においてフローインデックス応答について試験した。用いた触媒調製条件を表1に示す(DEAlE添加および反応中の撹拌速度、DEA1E/Cr比率、およびDEAlE供給時間)。重合結果は、表1および図2に示す。
実施例16から19では、DEAlE還元された酸化クロム系触媒を、上記のように活性化されたC35300MS支持体を用いてパイロットスケールにて調製し、次いで実験室のスラリー重合反応装置においてフローインデックス応答について試験した。用いる触媒調製条件は、表1に示す(DEAlE添加および反応中の撹拌速度、DEA1E/Cr比率、およびDEAlE供給時間)。重合結果を表1および図3に示す。
実施例20から30において、DEAlE還元された酸化クロム系触媒を、上記のように活性化した957HS支持体および活性化したC35300MS支持体を用いて双方のパイロットスケールおよびプラントスケールにて調製し、そしてパイロットスケールの流動床反応装置においてフローインデックス応答について試験した。用いる触媒調製条件は、表2A、2B、および2Cに示す(DEAlE添加および反応中の撹拌速度37rpm、DEA1E/Cr比率、およびDEAlE添加時間)。重合結果は、表2A、2Bおよび2Cに示す。反応装置は、樹脂凝集または重合プロセスの破壊・混乱無しに良好に動いた。
実施例31から34では、DEAlE還元されたビス(トリフェニルシリル)クロメート系触媒を、上記のように脱水955シリカ支持体を用いてパイロットスケールにて調製し、次いで実験室スラリー重合反応装置においてフローインデックス応答について試験した。用いる触媒調製条件は、表3に示す(DEAlE添加および反応中の撹拌速度、DEA1E/Cr比率、およびDEAlE供給時間)。重合結果は表3および図4に示す。
Claims (18)
- オレフィンの重合における使用のための触媒組成物の製造方法であって、
選定された範囲内のフローインデックス応答をもつ触媒組成物を製造するために、
担持されたクロム系触媒を、選定された供給速度にて選定された添加期間にわたって供給される還元剤と接触させ、選定された期間は30秒から500分までの範囲内にあること、および同時に、
クロム系触媒を、選定された撹拌速度にて撹拌し、選定された撹拌速度は5rpmから70rpm未満の範囲にあること、
さらに、クロム系触媒および供給された還元剤を5分から240分までの範囲で選定された時間反応させること、
を含み、
前記選定された供給速度、選定された添加時間、及び選定された撹拌速度は、触媒組成物のフローインデックス応答を前記選定範囲に制御するために選択され、
選定された撹拌速度が70rpm未満であるとき、より高いフローインデックス応答は、還元剤を加えるための選定された期間が増加するときに達成される、該方法。 - 選定された反応時間は30分から180分までの範囲である、請求項1の方法。
- 担持されたクロム系触媒には担持された酸化クロム触媒が含まれる、請求項1または2の方法。
- さらに、担持された、クロムアセチルアセトナート(chromic acetyl acetonate)、ハロゲン化クロム、硝酸クロム、酢酸クロム、硫酸クロム、クロム酸アンモニウム、および重クロム酸アンモニウムの少なくとも1種を、酸化条件下、担持された酸化クロム触媒を形成するために、300℃から900℃までの範囲の温度に加熱することによって活性化することを含む、請求項3の方法。
- 担持されたクロム系触媒には担持されたシリルクロメート触媒が含まれる、請求項1または2の方法。
- さらに、シリカ支持体を、400℃から850℃までの温度でか焼すること、および担持されたシリルクロメート触媒を形成するために、シリルクロメート化合物をか焼されたシリカ支持体と接触させること、を含む、請求項5の方法。
- シリルクロメート化合物には、ビス−トリエチルシリルクロメート、ビス−トリブチルシリルクロメート、ビス−トリイソペンチルシリルクロメート、ビス−トリ−2−エチルヘキシルシリルクロメート、ビス−トリデシルシリルクロメート、ビス−トリ(テトラデシル)シリルクロメート、ビス−トリベンジルシリルクロメート、ビス−トリフェニルエチルシリルクロメート、ビス−トリフェニルシリルクロメート、ビス−トリトリルシリルクロメート、ビス−トリキシリルシリルクロメート、ビス−トリナフチルシリルクロメート、ビス−トリエチルフェニルシリルクロメート、ビス−トリメチルナフチルシリルクロメート、ポリジフェニルシリルクロメート、およびポリジエチルシリルクロメートの少なくとも1種が含まれる、請求項5または6の方法。
- 還元剤には、アルキルアルミニウムおよびアルキルアルミニウムアルコキシドの少なくとも1種が含まれる、請求項1〜7のいずれか1項の方法。
- アルキルアルミニウムアルコキシドには、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムプロポキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジ−イソプロピルアルミニウムエトキシド、ジ−イソブチルアルミニウムエトキシド、メチルエチルアルミニウムエトキシド、およびその混合物の少なくとも1種が含まれる、請求項8の方法。
- 撹拌は、らせん形リボンアジテーター、円錐形アジテーター、またはらせん形リボンアジテーター若しくは円錐形アジテーターとインペラとの組合せの少なくとも1種を用いて実行される、請求項1〜9のいずれか1項の方法。
- 選定された撹拌速度は70rpm未満であり、および選定された添加時間は20分未満である、請求項1〜10のいずれか1項の方法。
- 選定された撹拌速度は70rpm未満であり、および選定された添加時間は20分以上である、請求項1〜10のいずれか1項の方法。
- 得られる触媒組成物は0.5から8までに及ぶ還元剤のクロムに対するモル比を持つ、請求項1〜12のいずれか1項の方法。
- 担持されたクロム系触媒には、(a)1.1から1.8cm3/gまでの細孔容積および245から375m2/gまでの表面積、(b)2.4から3.7cm3/gまでの細孔容積および410から620m2/gまでの表面積、および(c)0.9から1.4cm3/gまでの細孔容積および390から590m2/gまでの表面積を持つシリカからなる群より選ばれるシリカ含有支持体が含まれる、請求項1〜13のいずれか1項の方法。
- さらに、担持された酢酸クロム化合物を、酸化クロム触媒を製造するために、酸化条件下で500℃から850℃までの範囲の温度に加熱することによって活性化することを含む、請求項3または4の方法。
- さらに、シリカ支持体を600℃の温度にてか焼すること、および、
ビス(トリフェニルシリル)クロメート化合物を、担持されたシリルクロメート触媒を形成するために、か焼されたシリカと接触させること、
を含む、請求項5の方法。 - 選定された期間は0.5から10分までの範囲にある、請求項16の方法。
- ポリオレフィンの製造方法であって、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法によって製造された触媒組成物を重合条件下でオレフィンと接触させることを含む、方法。
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