JP6018276B2 - 偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents
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Description
前記偏光子はポリビニルアルコール系樹脂を含有し、厚みが15μm以下であって、
前記偏光子における前記透明層の側には、前記透明層との相溶層を有しており、
前記偏光子の厚みAと前記相溶層の厚みBは、一般式:(100×B/A)≧1、を満たすことを特徴とする偏光フィルム、に関する。
前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有し、厚みが15μm以下であり、
前記偏光子における前記透明層の側には、前記偏光子の他の部分よりもホウ酸濃度が相対的に低いホウ酸低濃度層を有しており、
前記偏光子の厚みAと前記ホウ酸低濃度層の厚みCは、一般式:(100×C/A)≧1、を満たすことを特徴とする偏光フィルム、に関する。
P>−(100.929T−42.4−1)×100(ただし、T<42.3)、又は、
P≧99.9(ただし、T≧42.3)表される範囲にあることが好ましい。
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。
特許第4751486号明細書、
特許第4751481号明細書、
特許第4815544号明細書、
特許第5048120号明細書、
特許第5587517号明細書、
国際公開第2014/077599号パンフレット、
国際公開第2014/077636号パンフレット、
等に記載されている薄型偏光子またはこれらに記載の製造方法から得られる薄型偏光子を挙げることができる。
P>−(100.929T−42.4−1)×100(ただし、T<42.3)、又は、
P≧99.9(ただし、T≧42.3)の条件を満足するように構成されたことが好ましい。前記条件を満足するように構成された偏光子は、一義的には、大型表示素子を用いた液晶テレビ用のディスプレイとして求められる性能を有する。具体的にはコントラスト比1000:1以上かつ最大輝度500cd/m2以上である。他の用途としては、例えば有機EL表示装置の視認側に貼り合される。
なお、図1(B)に示した樹脂基材(延伸用樹脂基材)は、前記薄型偏光子の製造に適用されたものを用いることができる。樹脂基材の形成材料としては、各種の熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミドレオ樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合樹脂等が挙げられる。これらのなかでも製造のしやすさ及びコスト軽減の点から、エステル系樹脂が好ましい。エステル系熱可塑性樹脂基材は、非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材または結晶性エステル系熱可塑性樹脂基材を用いることができる。
前記保護フィルムを構成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または上記ポリマーのブレンド物なども上記保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。
前記保護フィルムと偏光子は接着剤層、粘着剤層、下塗り層(プライマー層)などの介在層を介して積層される。この際、介在層により両者を空気間隙なく積層することが望ましい。
透明層は、各種の形成材から形成することができる。透明層の形成材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、PVA系樹脂、アクリル系樹脂等を挙げることができる。これら樹脂材料は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらの中でもポリウレタン系樹脂、PVA系樹脂からなる群から選択される1種以上が好ましく、PVA系樹脂がより好ましい。また、前記樹脂の形態は、水系、溶剤系のいずれでもよい。前記樹脂の形態は、水系樹脂が好ましく、PVA系樹脂が好ましい。また、水系樹脂としては、アクリル樹脂水溶液やウレタン樹脂水溶液を用いることができる。
前記偏光フィルムには粘着剤層を設けて、粘着剤層付偏光フィルムとして用いることができる。粘着剤層は、偏光フィルムの透明層または偏光子の側に、また、保護フィルムを有する場合には保護フィルムに設けることができる。粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層にはセパレータを設けることができる。
偏光フィルムには、表面保護フィルムを設けることができる。表面保護フィルムは、通常、基材フィルムおよび粘着剤層を有し、当該粘着剤層を介して偏光子を保護する。
本発明の偏光フィルムは、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4などの波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置などの形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の偏光フィルムに更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光フィルムまたは半透過型偏光フィルム、偏光フィルムに更に位相差板が積層されてなる楕円偏光フィルムまたは円偏光フィルム、偏光フィルムに更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光フィルム、あるいは偏光フィルムに更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光フィルムが好ましい。
吸水率0.75%、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)基材の片面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液を25℃で塗布および乾燥して、厚み11μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.0倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
次いで、積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴に、偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本実施例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.0重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
以上により、厚み5μmの偏光子を含む光学フィルム積層体A0を得た。
光学フィルム積層体A0の作製において、水中延伸処理におけるホウ酸水溶液に配合したホウ酸を3.5重量部に変えたこと以外は光学フィルム積層体A0の作製方法と同様にして光学フィルム積層体A1を得た。得られた偏光子の厚みは5μmであった。
光学フィルム積層体A0の作製において、水中延伸処理におけるホウ酸水溶液に配合したホウ酸を4.5重量部に変えたこと以外は光学フィルム積層体A0の作製方法と同様にして光学フィルム積層体A2を得た。得られた偏光子の厚みは5μmであった。
光学フィルム積層体A0の作製において、厚み15μmのPVA系樹脂層を形成したこと以外は光学フィルム積層体A0の作製方法と同様にして光学フィルム積層体Dを得た。得られた偏光子の厚みは7μmであった。
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み30μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬し膨潤させた。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=0.5/8)の濃度0.3%の水溶液に浸漬し、3.5倍まで延伸させながらフィルムを染色した。その後、65℃のホウ酸エステル水溶液中で、総延伸倍率が6倍となるように延伸を行った。延伸後に、40℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、PVA系偏光子Eを得た。得られた偏光子の厚みは12μmであった。
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬し膨潤させた。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=0.5/8)の濃度0.3%の水溶液に浸漬し、3.5倍まで延伸させながらフィルムを染色した。その後、65℃のホウ酸エステル水溶液中で、総延伸倍率が6倍となるように延伸を行った。延伸後に、40℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、PVA系偏光子Fを得た。得られた偏光子の厚みは23μmであった。
保護フィルム:厚み40μmのラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂フィルムの易接着処理面にコロナ処理を施して用いた。
N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)40重量部とアクリロイルモルホリン(ACMO)60重量部と光開始剤「IRGACURE 819」(BASF社製)3重量部を混合し、紫外線硬化型接着剤を調製した。
重合度2500、ケン化度99.0モル%のポリビニルアルコール樹脂を純水に溶解し、固形分濃度4重量%の水溶液を調製した。
重合度500、ケン化度99.0モル%のポリビニルアルコール樹脂を純水に溶解し、固形分濃度4重量%の水溶液を調製した。
重合度2500、ケン化度89.0モル%のポリビニルアルコール樹脂を純水に溶解し、固形分濃度4重量%の水溶液を調製した。
重合度2500、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール樹脂を純水に溶解し、固形分濃度4重量%の水溶液を調製した。
重合度2500、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール樹脂100部と、添加剤としてメチロールメラミン(DIC社製、商品名「ウォーターゾル:S−695」)5部とを純水に溶解し、固形分濃度4重量%の水溶液を調製した。
N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製、商品名「HEAA」) 20部
ウレタンアクリレート(日本合成化学社製、商品名「UV−1700B」) 80部
光ラジカル重合開始剤(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、BASF社製、商品名「IRGACURE907」) 3部
光増感剤(ジエチルチオキサントン、日本化薬社製、商品名「KAYACURE DETX−S」) 2部
上記アクリル系形成材を混合して50℃で1時間撹拌して、各種の活性エネルギー線硬化型形成材を調製した。
活性エネルギー線として、可視光線(ガリウム封入メタルハライドランプ) 照射装置:Fusion UV Systems,Inc社製Light HAMMER10 バルブ:Vバルブ ピーク照度:1600mW/cm2、積算照射量1000/mJ/cm2(波長380〜440nm)を使用した。なお、可視光線の照度は、Solatell社製Sola−Checkシステムを使用して測定した。
<片保護偏光フィルムAの作製>
上記光学フィルム積層体A0の偏光子の表面に、上記紫外線硬化型接着剤を硬化後の接着剤層の厚みが0.5μmとなるように塗布しながら、上記保護フィルムを貼合せたのち、活性エネルギー線を照射し、接着剤を硬化させた。次いで、非晶性PET基材を剥離し、薄型偏光子を用いた片保護偏光フィルムA0を作製した。得られた片保護偏光フィルムA0の光学特性は、透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
<片保護偏光フィルムA1、A2、Dの作製>
参考例1において、光学フィルム積層体A0の代わりに、光学フィルム積層体A1、A2またはDを用いたこと以外は、片保護偏光フィルムA0の作製方法と同様にして片保護偏光フィルムA1、A2またはDを得た。得られた片保護偏光フィルムA1、A2またはDの光学特性は、透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
<片保護偏光フィルムEの作製>
偏光子Eの片側表面に、上記紫外線硬化型接着剤を硬化後の接着剤層の厚みが0.5μmとなるように塗布しながら、上記保護フィルムを貼合せたのち、活性エネルギー線を照射し、接着剤を硬化させ片保護偏光フィルムEを得た。得られた片保護偏光フィルムEの光学特性は、透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
<片保護偏光フィルムFの作製>
参考例5において、偏光子Eの代わりに、偏光子Fを用いたこと以外は参考例5と同様にして、片保護偏光フィルムFを得た。得られた片保護偏光フィルムFの光学特性は、透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
<透明層付の片保護偏光フィルムA0の作製:図2(A)に対応>
参考例1で得られた、上記片保護偏光フィルムA0の偏光子の面(保護フィルムが設けられていない偏光子面)に、25℃に調整した上記ポリビニルアルコール系形成材Aをワイヤーバーコーターで乾燥後の厚み(相溶層を含まない)が0.8μmになるように塗布した後、80℃で30秒間熱風乾燥して、透明層付の片保護偏光フィルムA0を作製した。
実施例1において、透明層の形成材の種類、透明層の厚みを表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様にして、透明層付の片保護偏光フィルムA0、A1またはA2を作製した。
なお、比較例2における透明層は下記のとおりである。
上記活性エネルギー線硬化型形成材(アクリル系形成材A)をワイヤーバーコーターを用いて、厚み1μmになるように塗工した後、窒素雰囲気下で活性エネルギー線を照射することで、透明層付の片保護偏光フィルムA0を作製した。得られた透明層付の片保護偏光フィルムA0の光学特性は、いずれも透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
<透明層付の片保護偏光フィルムD乃至Fの作製>
実施例1において、片保護偏光フィルムの種類、透明層の形成材の種類、透明層の厚みを表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様にして、透明層付の片保護偏光フィルムD乃至Fを作製した。得られた透明層付の片保護偏光フィルムD乃至Fの光学特性は、透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
(水系接着剤の作製)
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度:1200,ケン化度:98.5モル%,アセトアセチル化度:5モル%)100部に対し、メチロールメラミン50部を、30℃の温度条件下に、純水に溶解し、固形分濃度3.7%に調整した水溶液を調製した。前記水溶液100部に対し、アルミナコロイド水溶液(平均粒子径15nm,固形分濃度10%,正電荷)18部を加えて水系接着剤を調製した。
吸水率0.75%、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)基材の片面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度2500,ケン化度99.0モル%)を含む水溶液を25℃で塗布および乾燥して、厚み1μmのPVA樹脂層を形成し、積層体を作製した。次いで片保護偏光フィルムA0の偏光子の面(保護フィルムが設けられていない偏光子面)に上記水系接着剤を膜厚が0.1μmとなるように塗工し、上記積層体のPVA樹脂層面に貼り合せた後、60℃で1分間乾燥した。その後、基材のPETフィルムを剥離することで、透明層付の片保護偏光フィルムを作製した。
<片保護偏光フィルム(積層)Bの作製>
上記光学フィルム積層体A0の偏光子の表面に、上記紫外線硬化型接着剤を硬化後の接着剤層の厚みが0.5μmとなるように塗布しながら、上記保護フィルムを貼合せた。さらに、前記保護フィルムの表面に、上記紫外線硬化型接着剤を硬化後の接着剤層の厚みが0.5μmとなるように塗布しながら、上記保護フィルムを貼合せた後、活性エネルギー線として、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。
次いで、非晶性PET基材を剥離し、薄型偏光子を用いた片保護偏光フィルム(積層)Bを作製した。得られた片保護偏光フィルム(積層)Bの光学特性は、透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
<透明層付の片保護偏光フィルム(積層)を作製:図2(B)に対応>
参考例7で得られた、上記片保護偏光フィルム(積層)Bの偏光子の面(保護フィルムが設けられていない偏光子面)に、25℃に調整した上記ポリビニルアルコール系形成材Aをワイヤーバーコーターで乾燥後の厚みが0.7μmになるように塗布した後、60℃で1分間熱風乾燥して、透明層付の片保護偏光フィルム(積層)Bを作製した。得られた透明層付の片保護偏光フィルム(積層)Bの光学特性は、いずれも透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
<透明層付の両保護偏光フィルムCの作製:図2(C)に対応>
参考例1で得られた、上記片保護偏光フィルムA0の偏光子の面(保護フィルムが設けられていない偏光子面)に、25℃に調整した上記ポリビニルアルコール系形成材Aをワイヤーバーコーターで乾燥後の厚みが0.7μmになるように塗布した後、60℃で1分間熱風乾燥して、透明層付の片保護偏光フィルムA0を作製した。
上記透明層付の片保護偏光フィルムA0の透明層の表面に、上記紫外線硬化型接着剤を硬化後の接着剤層の厚みが0.5μmとなるように塗布しながら、上記保護フィルムを貼合せ後、活性エネルギー線として、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。得られた透明層付の両保護偏光フィルムCの光学特性は、透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
<両保護偏光フィルムCの作製>
参考例1で得られた、上記片保護偏光フィルムA0の偏光子の面(保護フィルムが設けられていない偏光子面)に、上記紫外線硬化型接着剤を硬化後の接着剤層の厚みが0.5μmとなるように塗布しながら、上記保護フィルムを貼合せ後、活性エネルギー線として、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。得られた両保護偏光フィルムCの光学特性は、透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
実施例および比較例で得られた偏光子について、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)(Perkin Elmer社製、商品名「SPECTRUM2000」)を用いて、偏光を測定光とする全反射減衰分光(ATR)測定によりホウ酸ピーク(665cm−1)の強度および参照ピーク(2941cm−1)の強度を測定した。得られたホウ酸ピーク強度および参照ピーク強度からホウ酸量指数を下記式により算出し、さらに、算出したホウ酸量指数から下記式によりホウ酸含有量(重量%)を決定した。
(ホウ酸量指数)=(ホウ酸ピーク665cm−1の強度)/(参照ピーク2941cm−1の強度)
(ホウ酸含有量(重量%))=(ホウ酸量指数)×5.54+4.1
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート99部およびアクリル酸4−ヒドロキシブチル1部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、前記モノマー混合物(固形分)100部に対して、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチルと共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を60℃付近に保って7時間重合反応を行った。その後、得られた反応液に、酢酸エチルを加えて、固形分濃度30%に調整した、重量平均分子量140万のアクリル系ポリマーの溶液を調製した。
上記アクリル系ポリマー溶液の固形分100部に対して、トリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート(三井化学社製:タケネートD110N)0.1部と、ジベンゾイルパーオキサイド0.3部と、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン(信越化学工業社製:KBM−403)0.075部を配合して、アクリル系粘着剤溶液を調製した。
次いで、上記アクリル系粘着剤溶液を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータフィルム)の表面に、ファウンテンコータで均一に塗工し、155℃の空気循環式恒温オーブンで2分間乾燥し、セパレータフィルムの表面に厚さ20μmの粘着剤層を形成した。
次いで、各例で得られた偏光フィルムの透明層(但し、参考例1〜7では偏光子側、参考例8では一方の保護フィルム)に、上記離型シート(セパレータ)の剥離処理面に形成した粘着剤層を貼り合わせて、粘着剤層付偏光フィルムを作製した。
相溶層の厚みは、ガスクラスターイオン銃搭載のTOF−SIMSによって測定した。偏光フィルム(サンプル)の透明層(相溶層を含まない)の膜厚は予め走査型電子顕微鏡で正確な膜厚を算出した数値を使用した。偏光フィルム(サンプル)の透明層側から偏光子側に向かってアルゴンクラスターでエッチングしながらデプスプロファイルを観察し、偏光子由来の「BO2 −イオン」(イオン強度)を抽出した。透明層側からの深さ(nm)と「BO2 −イオン」(イオン強度)について、図3に示すようなグラフを作成した。電子顕微鏡から得られた透明層の膜厚を「B」、偏光子側から透明層側に向かって「BO2 −イオン」が減少し始めるところを「A」とし、「A−B間距離」を相溶層の厚みとした。実施例1に関して走査型電子顕微鏡にて膜厚を計測したところ、偏光子の厚みが5.0μmであるのに対して透明層の厚みは0.8μmであった。また、TOF−SIMSによって透明層側からエッチングしながらイオン強度を測定した結果、図3に示すようなグラフが得られた。図3の透明層中の「BO2 −イオン」強度は0.8であったのに対して、偏光子中の「BO2 −イオン」強度は3.5であった。また図3に示すようにA−B間には「BO2 −イオン」強度の勾配が出来ていた。「A−B間距離」をアルゴンクラスターのエッチングレートから換算すると、相溶層の厚みは0.12μmであった。また、透明層側の「BO2 −イオン」強度0.8の部分を実施例に記載のFTIRを用いたホウ酸含有量測定を行うと、ホウ酸含有量は4%であった。一方で、TOF−SIMSにおける「BO2 −イオン」強度が3.5であった偏光子中のホウ酸含有量は、透明層を形成する前にFTIRによって求められ、ホウ酸含有量は16%であった。このことから、偏光子中の相溶層ではホウ酸が勾配を持って存在していること(相溶層が偏光子の他の部分よりもホウ酸濃度が相対的に低いホウ酸低濃度層に該当すること)が示された。
測定装置は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(Perkin Elmer社製、商品名:「SPECTRUM2000」)を用いた。偏光を測定光として、全反射減衰分光(ATR:attenuated total reflection)測定により、透明層表面の評価を行った。配向関数の算出は以下の手順で行った。測定偏光を偏光子の延伸方向に対して0°と90°にした状態で測定を実施した。得られたスペクトルの2941cm−1の強度を用いて、以下に記した(式)に従い算出した。また、下記強度Iは3330cm−1を参照ピークとして、2941cm−1/3330cm−1の値を用いた。なお、f=1のとき完全配向、f=0のときランダムとなる。また、2941cm−1のピークは、「−CH2−」の振動起因の吸収といわれている。透明層に使用している材料の主鎖中に、「−CH2−」が無い場合には、主鎖の振動起因のスペクトルに置き換えて評価することができる。
(式)f=(3<cos2θ>−1)/2
=(1−D)/[c(2D+1)]
但し、
c=(3cos2β−1)/2
β=90deg⇒f=−2×(1−D)/(2D+1)
θ:分子鎖・延伸方向
β:分子鎖・遷移双極子モーメント
D=(I⊥)/(I//)
(PVAが配向するほどDの値が大きくなる。)
I⊥:偏光を延伸方向と垂直方向に入射して測定したときの強度
I//:偏光を延伸方向と平行方向に入射して測定したときの強度
得られた粘着剤層付偏光フィルムの吸収軸方向を縦とし、縦100mm×100mmの大きさにカットし、厚み1.3mmの無アルカリガラスに貼りつけた後、85℃の環境下に500時間投入した。その後、偏光フィルムの大きさを測定した。得られた結果から、吸収軸方向の寸法変化率%を下記式により算出した。
{(投入後の長さ)−(投入前の長さ)}/(投入前の長さ)×100(%)
寸法変化率は、透明層を設けていない場合(参考例1〜8)を基準として、同じ構成の偏光フィルムにおいて、寸法変化率が減少している割合を以下に示す基準により判断した。寸法変化抑制効果は、下記式により算出した。
100―{(寸法変化率)/(基準の寸法変化率)×100}(%)
基準に対して
×:寸法変化の抑制効果が10%未満である。
△:寸法変化の抑制効果が10%以上15%未満である。
○:寸法変化の抑制効果が15%以上20%未満である。
◎:寸法変化の抑制効果が20%以上である。
得られた粘着剤層付偏光フィルムを、縦400mm×横708mmのサイズ(吸収軸方向が400mm)と縦708mm×横400mmのサイズ(吸収軸方向が708mm)に裁断し、縦402mm×横710mm×厚み1.3mmの無アルカリガラスの両面にクロスニコルの方向に貼り合せてサンプルを作成した。当該サンプルを、95℃のオーブンに250時間投入した後に、取り出して粘着剤層付偏光フィルムにクラックが発生しているか否かを目視にて確認した。この試験を1サンプルにつき10枚行い、クラックが発生したサンプルの枚数をカウントし、以下の判断基準で判断を行った。
×:クラック発生枚数が6枚以上。
△:クラック発生枚数が3〜5枚。
○:クラック発生枚数が1〜2枚。
◎:クラック発生無し。
得られた粘着剤層付偏光フィルムを25mm×50mmのサイズ(吸収軸方向が50mm)に裁断した。当該片保護偏光フィルム(サンプル)を、85℃/85%RHの恒温恒湿機に150時間投入した。投入前と投入後の片保護偏光フィルムの偏光度を、積分球付き分光透過率測定器(村上色彩技術研究所のDot−3c)を用いて測定し、
偏光度の変化率(%)=(1−(投入後の偏光度/投入前の偏光度))、を求めた。
なお、偏光度Pは、2枚の同じ偏光フィルムを両者の透過軸が平行となるように重ね合わせた場合の透過率(平行透過率:Tp)および、両者の透過軸が直交するように重ね合わせた場合の透過率(直交透過率:Tc)を以下の式に適用することにより求められるものである。偏光度P(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
各透過率は、グランテラープリズム偏光子を通して得られた完全偏光を100%として、JIS Z8701の2度視野(C光源)により視感度補整したY値で示したものである。
表1には、偏光度の変化率を記載するとともに、当該変化率を下記の基準で判断した。
〇:偏光度の変化率が0.5%以下。
△:偏光度の変化率が0.5%超5.0%以下。
×:偏光度の変化率が5.0%超。
2 透明層
3 樹脂基材
4 保護フィルム
10 偏光フィルム
11 偏光フィルム
X 相溶層
A 偏光子の厚み
B 相溶層の厚み
Claims (12)
- 偏光子の少なくとも片面に透明層を有する偏光フィルムであって、
前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有し、厚みが15μm以下であり、
前記偏光子における前記透明層の側には、前記透明層との相溶層を有しており、
前記偏光子の厚みAと前記相溶層の厚みBは、一般式:(100×B/A)≧1、を満たすことを特徴とする偏光フィルム。 - 前記相溶層は、前記偏光子における前記相溶層以外の部分よりもホウ酸濃度が低いことを特徴とする請求項1記載の偏光フィルム。
- 偏光子の少なくとも片面に透明層を有する偏光フィルムであって、
前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有し、厚みが15μm以下であり、
前記偏光子における前記透明層の側には、前記偏光子の他の部分よりもホウ酸濃度が相対的に低いホウ酸低濃度層を有しており、
前記偏光子の厚みAと前記ホウ酸低濃度層の厚みCは、一般式:(100×C/A)≧1、を満たすことを特徴とする偏光フィルム。 - 前記透明層は、厚みが0.2μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光フィルム。
- 前記透明層は、厚みが6μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の偏光フィルム。
- 前記透明層は、配向性指数が0.05以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の偏光フィルム。
- 前記透明層は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する形成材の形成物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の偏光フィルム。
- 前記ポリビニルアルコール系樹脂は、ケン化度が99モル%以上、平均重合度が2000以上であることを特徴とする請求項7記載の偏光フィルム。
- 前記偏光子は、単体透過率T及び偏光度Pによって表される光学特性が、下記式
P>−(100.929T−42.4−1)×100(ただし、T<42.3)、又は、
P≧99.9(ただし、T≧42.3)の条件を満足するように構成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の偏光フィルム。 - 保護フィルムを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の偏光フィルム。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の偏光フィルム、および粘着剤層を有することを特徴とする粘着剤層付偏光フィルム。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の偏光フィルムまたは請求項11記載の粘着剤層付偏光フィルムを有する画像表示装置。
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