JP4525069B2 - 偏光板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの少なくとも片面に保護層を形成した偏光板、及びその製造方法に関するものである。
偏光板は、液晶表示装置の表示パターンを可視化するために、光の振動方向を制御する目的で、液晶セルの表裏に使用されている。通常、広く一般に使用されている偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素の吸着及び一軸延伸を施してその二色性色素を配向させた偏光フィルムの両面に、接着層を介して、透明樹脂フィルム、特にトリアセチルセルロースに代表される酢酸セルロース系のフィルムを積層した構成になっている。これを、必要により他の光学フィルムを介して、液晶セルに粘着剤で貼り合わせ、液晶表示装置が構成されている。
一方、液晶表示装置が種々のところで使用されるのに伴い、例えばモバイル用途などの液晶表示装置には、薄肉化及び軽量化が要望され、そこに使用される偏光板についても、薄肉化及び軽量化が要望されている。
しかしながら、従来の構成の偏光板では、薄肉化や軽量化を追求するには限界がある。先述したポリビニルアルコール系の偏光フィルムは、それ自体偏光性能を有しているが、加工方向(延伸方向)に裂け易いなどの理由から、保護層を付与することが必須である。ところが、接着層を介して透明樹脂フィルムを貼合する方式では、作業時の取扱い性などの点から、透明樹脂フィルムを薄くすることに限界がある。また、接着層、透明樹脂フィルム層と2層必要であり、薄肉化及び軽量化の目的を実現しにくいという問題があった。
このような諸課題に対して、ウレタンプレポリマーを偏光フィルムに塗布し、塗膜層を形成させた偏光板が提案されている。例えば、特開平 10-221524号公報(特許文献1)には、含水率8重量%以上の偏光フィルムの少なくとも片面に、ウレタンプレポリマーを塗布して塗膜層を形成させた偏光板が記載されている。また特開平 11-30715 号公報(特許文献2)には、偏光フィルムの少なくとも片面に、70℃における貯蔵弾性率が大きいウレタン樹脂層を積層した偏光板が記載されている。さらに特開平 11-30716 号公報(特許文献3)には、偏光フィルムの少なくとも片面にウレタンプレポリマーを塗布した後、高温高湿下で硬化処理することにより、偏光板を製造する方法が記載されている。しかしながら、ウレタンプレポリマーを用いた場合、その塗工後の乾燥及び硬化に要する期間が長いという問題がある。さらに、ウレタンプレポリマーには、希釈のために有機溶剤が用いられるので、環境上や作業者の健康上の問題がある。また、従来の有機溶剤を用いない偏光板製造設備にこの方法を適用しようとすると、防爆設備の新設など、設備改造の煩雑さを伴う。
一方、特開 2000-199819号公報(特許文献4)には、ポリビニルアルコールのような親水性高分子からなる偏光フィルムの少なくとも片面に、そのフィルムを溶解しない溶剤による樹脂溶液を塗工して乾燥させ、透明薄膜層を設けることにより、薄肉化を図った偏光板の製造方法が提案されている。この透明薄膜層の例として、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂及びアクリル系樹脂が挙げられている。しかしながら、この提案においては、透明薄膜層を形成するための樹脂溶液に有機溶剤が用いられるので、やはり環境上や作業者の健康上の問題がある。また、従来の有機溶剤を用いない偏光板製造設備にこの方法を適用しようとすると、やはり、防爆設備の新設など、設備改造の煩雑さを伴う。
偏光板の保護フィルムを酢酸セルロース系以外の樹脂で構成する試みは、以前からなされている。例えば、特開平 8-271733 号公報(特許文献5)には、液晶セルの前面側(視認側)に配置される偏光板の前面側保護フィルムとして、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、水系アンカーコーティング層を介してポリビニルアルコール系樹脂の薄層を設けた積層シートを用いることが提案されている。
また、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられるトリアセチルセルロースなどの酢酸セルロース系樹脂は、偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂との接着力があまり高くないため、通常はその表面をケン化処理して偏光フィルムへの積層に供されているが、このケン化処理を省略する試みもある。例えば、特開 2002-328230号公報(特許文献6)には、透明保護フィルムの偏光フィルムと接着する面にゼラチン系塗布層を形成し、そのゼラチン系塗布層側で、接着層を介して偏光フィルムに積層することが提案されている。
さらには、偏光フィルムと透明保護フィルムを接合する接着層についても種々の検討がなされている。例えば、特開平 7-134212 号公報(特許文献7)には、ポリビニルアルコール系偏光フィルムと保護フィルムを接合するポリビニルアルコール系接着剤に、グリオキザールを所定量配合することが記載され、また特開平 9-258023 号公報(特許文献8)には、同じくポリビニルアルコール系偏光フィルムと保護フィルムを接合するポリビニルアルコール系接着剤に、水溶性エポキシ化合物を所定量配合することが記載されている。
特開平10−221524号公報 特開平11−30715号公報 特開平11−30716号公報 特開2000−199819号公報 特開平8−271733号公報 特開2002−328230号公報 特開平7−134212号公報 特開平9−258023号公報
本発明者らは、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに対し、実質的に有機溶剤を用いることなく、薄い保護層を形成して、偏光板のさらなる薄肉化及び軽量化を図り、また従来の酢酸セルロース系保護フィルム/ポリビニルアルコール系偏光フィルム/酢酸セルロース系保護フィルムからなる構成の偏光板製造設備を大きく変えることなく製造できる偏光板を見出すべく研究を行い、本発明に到達した。
したがって本発明の目的は、従来の酢酸セルロース系保護フィルム/ポリビニルアルコール系偏光フィルム/酢酸セルロース系保護フィルムからなる構成の偏光板に比べて薄肉・軽量化しうる偏光板を提供し、さらにはそれを簡易に製造する方法を提供することにある。本発明のもう一つの目的は、従来の酢酸セルロース系保護フィルム/ポリビニルアルコール系偏光フィルム/酢酸セルロース系保護フィルムからなる構成の偏光板を製造するときと同様の設備で製造することができ、しかも薄肉・軽量化しうる偏光板を提供し、さらには上記の設備に適用可能な方法で、この偏光板を製造することにある。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂に対して軽い密着性を示すが、その後に剥離可能である剥離フィルムとを用い、両者を水溶性の皮膜形成性組成物の水溶液を介して積層し、当該皮膜形成性組成物を硬化させれば、偏光フィルムの片面又は両面に、上記水溶性樹脂組成物の硬化物を介して上記剥離フィルムが接着した構成の偏光板が得られ、そしてこの剥離フィルムを剥離すれば、露出する上記皮膜形成性組成物の硬化層は、偏光フィルムの加工方向への裂け易さを防止し、偏光フィルムの保護層として機能するとともに、十分に薄肉化できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明によれば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの少なくとも片面に、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とし、さらに硬化性成分を含有する水溶性の皮膜形成性組成物からなる厚みが 0.1〜10μm の保護層を介して剥離フィルムが積層されている偏光板が提供される。
この保護層と剥離フィルムは、偏光フィルムの片面に設けることもできるし、偏光フィルムの両面に設けることもできる。偏光フィルムの片面にのみ保護層を介して剥離フィルムを積層した場合、偏光フィルムの他方の面には、接着剤を介して剥離不可能な保護フィルムを設けることができる。
上記の偏光板において、剥離フィルムとしては、ポリエチレン系樹脂やポリエステル系樹脂を用いることができる。
上記の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムと剥離フィルムのうち、少なくとも一方の表面に、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とし、さらに硬化性成分を含有する水溶性の皮膜形成性組成物の塗液を塗布し、その塗布面側で上記の偏光フィルムと剥離フィルムとを貼り合わせ、次いで上記の塗布された塗液を硬化させて0.1〜10μmの厚みを有する保護層を形成する方法により、有利に製造することができる。この後、剥離フィルムを剥離除去すれば、皮膜形成性組成物の硬化層が露出し、この層が保護層となって、薄肉化された偏光板が得られる。
また上記の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムと剥離フィルムとを、両者が一対のロール間で貼り合わされるように供給し、ロール間で貼り合わされる前の偏光フィルムと剥離フィルムの間に、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とし、さらに硬化性成分を含有する水溶性の皮膜形成性組成物の塗液を供給し、この塗液層を介して偏光フィルムと剥離フィルムをロール間で貼合した後、塗液層を硬化させて0.1〜10μmの厚みを有する保護層を形成する方法により、連続的にロール状に巻き取って製造することができる。
本発明によれば、薄肉で軽量化された偏光板が提供され、この偏光板は、液晶表示装置の薄肉化に寄与するものとなる。この偏光板は、製造に際して有機溶剤を使う必要がないことから、環境面や安全衛生面で優れるとともに、従来からの透明保護フィルム/偏光フィルム/透明保護フィルムからなる偏光板と同じ設備で製造することができ、大きな設備投資をする必要もない。さらに本発明の製造方法によれば、かかる偏光板を簡易に製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの少なくとも片面に、水溶性の皮膜形成性組成物からなる保護層を介して剥離フィルムを積層し、偏光板とする。偏光フィルムは、具体的には、一軸延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向したものであることができる。
偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98モル%以上である。このポリビニルアルコール系樹脂はさらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜5,000程度である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの膜厚は特に限定されないが、例えば、1μm〜150μm程度である。延伸のしやすさなども考慮すれば、その膜厚は10μm 以上であるのが好ましい。偏光フィルムに適したポリビニルアルコール原反フィルムとしては、例えば、(株)クラレから販売されているビニロンフィルム“VF-PS #7500”(厚み約75μm )や“VF-PS #4200”(厚み約42μm )などがある。
偏光フィルムは通常、このようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びこのホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て、製造される。
一軸延伸は、染色の前に行ってもよいし、染色と同時に行ってもよいし、染色の後に行ってもよい。一軸延伸を染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。もちろん、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤で膨潤した状態にて延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色するには、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬すればよい。二色性色素として具体的には、ヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に、水又は温水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100重量部あたり 0.01〜1重量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100重量部あたり 0.5〜20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、水100重量部あたり、通常1×10-3〜10重量部程度、好ましくは1×10-3〜1重量部程度であり、また例えば、1×10-2重量部程度以下であってもよい。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常30〜300秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより、行われる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部程度、好ましくは5〜12重量部程度である。二色性色素としてヨウ素を用いた場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、通常40重量部以下、好ましくは30重量部以下である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常 60〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常1〜120秒程度である。その後に行われる乾燥処理は通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行われる。乾燥処理の温度は、通常40〜100℃程度である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒程度であり、好ましくは120〜600秒程度である。
かくして得られた偏光フィルムは、その少なくとも片面に保護層を介して剥離フィルムを積層し、剥離フィルム付き偏光板とされる。このように、保護層の外側に剥離フィルムを積層することで、保護層表面の傷付きを防止し、また保護層への異物の混入を防ぐことができる。この際、偏光フィルムの両面に、保護層を介して剥離フィルムを積層することもできるし、偏光フィルムの片面に、保護層を介して剥離フィルムを積層することもできる。偏光フィルムの片面にのみ、保護層を介して剥離フィルムを積層した場合、偏光フィルムの他方の面は、そのまま剥き出しにすることもできるが、例えば、一般の偏光板と同様に、接着剤を介して、トリアセチルセルロースの如き酢酸セルロース系樹脂や、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂などに代表される透明樹脂からなる剥離不可能な保護フィルムを積層した構成とすることもできる。ここでいう剥離不可能とは、剥離しようとしても、保護フィルム又は偏光フィルムが材料破壊を起こしてしまい、保護フィルムを接着剤層又は偏光フィルムからそのまま剥離除去できないことを意味する。
偏光フィルムの少なくとも片面に形成される保護層は、水溶性の皮膜形成性組成物を硬化させることにより得られるものである。水溶性の皮膜形成性組成物は、偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂と密着性のよい皮膜を形成しうるものであって、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミドポリアミン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、ポリアミド系樹脂、多糖類などの中から、水溶性のものを選択することができる
ポリビニルアルコール系樹脂や多糖類は、多くの場合、水溶性である。ポリアミドポリアミン系樹脂は、例えば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンとアジピン酸のようなジカルボン酸との反応によって得られるものであり、これも多くの場合、水溶性である。水溶性のエポキシ系樹脂としては、例えば、上記のようなポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂などが挙げられる。水溶性のメラミン系樹脂としては、例えば、トリメチロールメラミンのようなオリゴメチロールメラミンの縮合反応によって得られるものが挙げられる。水溶性のユリア系樹脂としては、例えば、尿素とホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるものが挙げられる。水溶性のポリアミド系樹脂としては、例えば、カゼイン、にかわなどが挙げられる。
これら水溶性の皮膜形成性物質のなかでも、保護層の塗設装置の設計、乾燥炉の設計、環境問題などから、本発明では、偏光フィルムを構成する樹脂と同じ種類であるポリビニルアルコール系樹脂を主成分とするものが用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂には、水溶性エポキシ樹脂、グリオキザールのようなジアルデヒド、イソシアネート、また、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、ジルコニウムイオンのような金属イオンなど、硬化性成分ないし架橋剤を配合して、皮膜形成性組成物とする。水溶性エポキシ樹脂は、例えば先述のように、ポリアルキレンポリアミンとジカルボン酸との反応物であるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂であることができ、かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、住友化学工業(株)から販売されている“スミレーズレジン 650”や“スミレーズレジン 675”、また日本PMC(株)から販売されている“WS-525”などがある。硬化性成分の含有量は、例えば、皮膜形成性組成物を構成するポリビニルアルコール系樹脂100重量部あたり、1〜50重量部程度である。
上記した水溶性の皮膜形成性組成物から保護層を形成するには、その組成物を含む塗液を塗布し、硬化させればよい。このために用いる塗液は、皮膜形成性組成物を溶剤に溶かしたものであり、このときの溶剤としては水が用いられるが、若干量の親水性有機溶媒、例えば、アルコール類などが含まれていてもよい。また、溶質が安定に溶解するための、安定剤などが含まれていてもよい。
偏光フィルムの表面に、水溶性の皮膜形成性組成物からなる保護層を介して剥離フィルムを積層するに際しては、偏光フィルムと剥離フィルムのうち少なくとも一方の表面に、上記した水溶性の皮膜形成性組成物の塗液を塗布し、その塗布面側で偏光フィルムと剥離フィルムを貼り合わせ、次いでその塗布された塗液を乾燥させ、硬化させればよい。
偏光フィルム又は剥離フィルムの表面に皮膜形成性組成物の塗液を塗布する方法は、通常一般に知られているものでよく、例えば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などが挙げられる。流延法とは、被塗布物である偏光フィルム又は剥離フィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、又は両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に塗液を流下し、拡布させる方法である。塗液を塗布した後、偏光フィルムと剥離フィルムを貼り合わせることを考えると、偏光フィルムと剥離フィルムの間に塗液を流延する方法が好ましく採用される。
偏光フィルムと剥離フィルムを、それぞれ連続したフィルム状で供給し、積層後もフィルム状で巻き取る場合は、図1に示す如く、偏光フィルム1と剥離フィルム2を一対のロール5A,5B間で貼り合わされるよう、所定の速度にて供給し、保護層を形成するための塗液4を偏光フィルム1と剥離フィルム2の間に流延させ、その後、この塗液層を偏光フィルム1と剥離フィルム2とで挟持し、上記一対のロール5A,5Bを通過させる方法が好ましい。このような方法を採用することで、硬化後の保護層を均一な厚みとすることもできる。図1では、積層後の製品が白抜き矢印の方向へ進むようになっている。また一対のロール5A,5Bは、それぞれ矢印方向に回転している。なお、一対のロール5A,5Bによる線圧は、皮膜形成性組成物が一定の塗液層を形成できるように任意に調整することができる。図1では、偏光フィルム1の表面に塗液4が流下するようにした状態を示しているが、塗液4が剥離フィルム2の表面に流下するようにしても、同様のものが得られる。
偏光フィルムの表面に保護層を介して積層される剥離フィルムは、偏光板を実際に使用するまでの間、その偏光板の表面を保護し、使用前に剥離除去されるものである。この剥離フィルムは、偏光板の使用前に容易に剥離できる程度に、適度に密着性があり、また、保護層の乾燥、硬化を阻害しないものであればよい。具体的には例えば、ポリエチレン系樹脂からなるフィルムや、ポリエステル系樹脂からなるフィルムが、一般に用いられる。剥離フィルムの厚みは、例えば、30μm 以上であるのが有利である。偏光板のカールを防止するために、厚い剥離フィルムを用いることが好ましい場合もあり、例えば、約75μm 厚の剥離フィルムを使用したり、38μm 厚の剥離フィルムにさらに75μm 厚のフィルムを積層して剥離フィルムとしたり、約125μm 厚の剥離フィルムを使用したりするなど、適宜の形態が選択される。
また、剥離フィルムの密着性や剥離性を適度に調整するため、偏光フィルムに接合される表面に、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム処理などの表面処理を施してもよいし、あるいはその表面に、粘着層、シリコーン系やフッ素系の離型剤層、界面活性層などを適宜付与してもよい。この剥離フィルムはさらに、表面の埃付着防止のため、帯電防止処理が施されていることが好ましく、表面抵抗値は、1013Ω/□以下、とりわけ1010Ω/□以下であるのが好ましい。
偏光フィルムの両面に、保護層となる水溶性の皮膜形成性組成物の塗液を介して剥離フィルムを積層する場合は、図1の方法で偏光フィルム1の片面に剥離フィルム2を積層した後、偏光フィルム1の他方の面にも同様の方法でもう1枚の剥離フィルムを積層することができるほか、図2に示す如く、偏光フィルム1の両面に同時に、保護層となる水溶性の皮膜形成性組成物の塗液4,4を介して剥離フィルム2,3を積層する形態を採用することもできる。すなわち図2では、偏光フィルム1と、その両面側から剥離フィルム2,3とが、それぞれ矢印方向に回転する一対のロール5A,5B間で貼り合わされるよう、所定の速度にて供給され、保護層を形成するための塗液4,4が、偏光フィルム1と第一の剥離フィルム2の間及び偏光フィルム1と第二の剥離フィルム3の間にそれぞれ流延され、その後、それぞれの塗液層が偏光フィルム1とその両側の剥離フィルム2,3とで挟持され、一対のロール5A,5Bを通過し、白抜き矢印方向へ進むようになっている。
偏光フィルムの片面に、保護層を介して剥離フィルムを積層し、偏光フィルムの他方の面には、剥離不可能な保護フィルムを積層する場合は、図2において、偏光フィルム1の一方の面に供給されるフィルム2を剥離フィルムとし、他方の面に供給されるフィルム3を保護フィルムとすればよい。この場合の保護フィルム3としては、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのような酢酸セルロース系の樹脂からなるフィルム、とりわけトリアセチルセルロースフィルムが好適に用いられる。酢酸セルロース系の樹脂は、先述の如く、ポリビニルアルコール系の樹脂に対して必ずしも十分な接着力を有していないので、その接合面にケン化処理を施しておくのが好ましい。保護フィルムとしては、通常100μm 以下の厚みのものが用いられるが、好ましくは60μm 以下、さらに好ましくは50μm 以下である。例えば、富士写真フィルム(株)から販売されている“フジタック T40UZ”(厚み約40μm )、“フジタック SH50”(厚み約50μm)などが、好適に用いられる。保護フィルムの接合面と反対側の面(露出面)には、防眩処理、ハードコート処理、反射防止処理、帯電防止処理など、適宜の表面処理が施されていてもよい。
またこの場合に、偏光フィルム1と保護フィルム3とを接合する接着剤は、剥離フィルム2との間で保護層を形成するための皮膜形成性組成物と同じものであってもよいし、それとは異なる組成のものであってもよい。例えば、剥離フィルム2との間で保護層を形成するための皮膜形成性組成物として、ポリビニルアルコール系樹脂とともに硬化性成分を含有する水溶液を用い、保護フィルムを接合するための接着剤としてポリビニルアルコールのみの水溶液を用いることも可能である。
保護層を形成する塗液を介して偏光フィルムと剥離フィルムを積層した後は、この塗液を硬化させる。この保護層を形成するための皮膜形成性組成物は、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とし、さらに硬化性成分を含有するものであるが、その硬化は、熱硬化、紫外線硬化又は乾燥硬化により行われる。例えば、乾燥硬化は、熱風を吹き付けることにより行われるが、そのときの温度は、40〜100℃程度、好ましくは45〜90℃の範囲から適宜選択される。乾燥硬化時間は、通常 20〜1,200秒程度である。熱硬化や紫外線硬化は、乾燥後に行ってもよい。硬化後の保護層の厚みは、0.1〜10μmとされるが、好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上であり、また好ましくは5μm 以下である。
偏光フィルムの片面に剥離不可能な保護フィルムを積層した場合は、その後、この保護フィルムの表面に、防眩処理、ハードコート処理、反射防止処理、帯電防止処理などの表面処理を適宜施してもよい。このような表面処理を行う場合には、偏光板のカールを防止するため、反対面の剥離フィルムを厚くしたり、さらにフィルムを積層したりすることが好ましい。例えば、75μm 厚の剥離フィルムを使用したり、38μm 厚の剥離フィルムにさらに75μm 厚のフィルムを積層したりするなど、適宜の形態が選択される。
保護層の表面には、接着剤を介して光学機能性フィルムを貼着してもよい。光学機能性フィルムとしては、例えば、基材表面に液晶性化合物が塗付され、配向されている光学補償フィルム、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を有する偏光光を反射する反射型偏光フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなる位相差フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルム、表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム、表面反射防止処理付きフィルム、表面に反射機能を有する反射フィルム、反射機能と透過機能を併せ持つ半透過反射フィルムなどが挙げられる。基材表面に液晶性化合物が塗付され、配向されている光学補償フィルムに相当する市販品として、富士写真フィルム(株)から販売されている“WVフィルム”、新日本石油(株)から販売されている“NHフィルム”や“NRフィルム”(いずれも商品名)などがある。ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を有する偏光光を反射する反射型偏光フィルムに相当する市販品として、Minnesota Mining and Manufacturing 社 (3M社)(日本では住友スリーエム(株))から販売されている“DBEF”(商品名)などがある。また、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに相当する市販品として、積水化学工業(株)から販売されている“エスシーナ”、(株)オプテスから販売されている“ゼオノアフィルム”(いずれも商品名)などがある。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。
参考例1
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μm のポリビニルアルコールフィルムを乾式で倍率5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が 0.15/5/100の水溶液に28℃で35秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で9/9.5/100 の水溶液に76℃で300秒間浸漬した。引き続き、15℃の純水で2秒間洗浄した後、50℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの厚みを表1に示した。この状態の偏光フィルムは、延伸方向に直交する一辺部を両手で持ち、各々の手で逆方向に力を加えると、容易に延伸方向に裂けるものであった。
参考例2
参考例1で用いたのと同じポリビニルアルコールフィルムに、同様の方法で一軸延伸及び純水への浸漬処理を施した後、二色性染料/硫酸ナトリウム/水の重量比が 0.025/2/100の水溶液に70℃で300秒間浸漬して染色し、次いで、ホウ酸/水が重量比で7.5/100 の水溶液に73℃で300秒間浸漬した。その後、参考例1と同様にして水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアルコールに二色性染料が吸着配向された偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの厚みを表1に示した。この状態の偏光フィルムも、延伸方向に直交する一辺部を両手で持ち、各々の手で逆方向に力を加えると、容易に延伸方向に裂けるものであった。
実施例1
ポリビニルアルコール系樹脂〔 (株)クラレ製の“KL-318”、けん化度87.8モル%〕を、水100部に対して3部溶解し、さらにそこに、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂〔住友化学工業(株)製の“スミレーズレジン 650”、固形分濃度30%品〕を 1.5部加えて、ポリビニルアルコール系塗液とした。参考例1の方法で得た偏光フィルムを、23℃の雰囲気下、垂直方向に移動させながら、その両面に上記のポリビニルアルコール系塗液を流延し、さらにその塗布面(両面)に、片面が離型処理された厚み約38μm のポリエチレンテレフタレートフィルム〔藤森工業(株)製の“38EAS ”〕をその離型処理面で貼り合わせて挟持し、一対のロールを通過させ、その後60℃で5分間熱風乾燥して硬化させ、両面剥離フィルム付き偏光板を得た。この剥離フィルム付き偏光板の製造は、従来の偏光板の製造設備を使用して行うことができた。得られた剥離フィルム付き偏光板から両面の剥離フィルムを剥がして、両面にポリビニルアルコール系保護層を有する偏光板を得た。この偏光板の厚みを表1に示した。この偏光板は、参考例1の偏光フィルムに比べ、延伸方向に直交する一辺部を両手で持ち、各々の手で逆方向に力を加えても裂けにくく、保護層の存在により耐引き裂き性が付与されていた。
実施例2
ポリビニルアルコール〔(株)クラレ製の“PVA 117H”、重合度1,700 、ケン化度99.3モル%以上〕の5%水溶液1,800部に、40%グリオキザール水溶液〔和光純薬工業(株)から入手〕20部と塩化亜鉛 2.5部を加えて、ポリビニルアルコール系塗液とした。この塗液と参考例2の方法で得た偏光フィルムとを用いて、実施例1と同様の方法で両面剥離フィルム付き偏光板を作製した。この剥離フィルム付き偏光板の製造も、従来の偏光板の製造設備を使用して行うことができた。得られた剥離フィルム付き偏光板から両面の剥離フィルムを剥がして、両面にポリビニルアルコール系保護層を有する偏光板を得た。この偏光板の厚みを表1に示した。この偏光板は、参考例2の偏光フィルムに比べ、延伸方向に直交する一辺部を両手で持ち、各々の手で逆方向に力を加えても裂けにくく、保護層の存在により耐引き裂き性が付与されていた。
参考例3
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μm のポリビニルアルコールフィルムを乾式で倍率5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に浸漬した。次に、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.15/5/100 の水溶液に28℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で 9/8.1/100の水溶液に69℃で180秒間浸漬した。引き続き、25℃の純水で洗浄した後60℃で乾燥し、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
実施例3
参考例3で得た偏光フィルムを、23℃の雰囲気下、斜め方向に移動させながら、その上面には、片面が離型処理された厚み約38μm のポリエチレンテレフタレートフィルム〔藤森工業(株)製の“38EAS ”〕を剥離フィルムとして、その離型処理面が偏光フィルム側となるように供給し、偏光フィルムの下面には、ケン化処理が施されたトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フィルム(株)製の“フジタック T40UZ”)を保護フィルムとして供給した。そして、偏光フィルムと剥離フィルムの間及び偏光フィルムと保護フィルムの間に、実施例1で用いたのと同じ組成のポリビニルアルコール系塗液を流延しながら、一対のロールを通過させ、その後60℃で5分間熱風乾燥して硬化させ、片面剥離フィルム付き偏光板を得た。この剥離フィルム付き偏光板の製造は、従来の偏光板の製造設備を使用して行うことができた。得られた剥離フィルム付き偏光板から片面の剥離フィルムを剥がして、片面にポリビニルアルコール系保護層を、もう片面に剥離不可能な保護フィルムを有する偏光板を得た。この偏光板の厚みを表1に示した。この偏光板は、参考例1の偏光フィルムに比べ、延伸方向に直交する一辺部を両手で持ち、各々の手で逆方向に力を加えても裂けにくかった。
比較例1
参考例1の方法で得た偏光フィルムの両面に、実施例1で用いたポリビニルアルコール系塗液を実施例1と同じ方法で流延し、さらにその塗布面(両面)に、厚み約80μm の片面ケン化処理トリアセチルセルロースフィルム〔富士写真フイルム(株)製の“フジタック T80UZ”〕をそのケン化処理面で貼り合わせて挟持し、一対のロールを通過させ、その後60℃で5分間熱風乾燥して硬化させ、両面保護フィルム付き偏光板を作製した。この偏光板の保護フィルム(トリアセチルセルロース層)は、引き剥がそうとしても保護フィルム又は偏光フィルムが材料破壊を起こし、剥離不可能であった。この偏光板の厚みを表1に示した。
比較例2
参考例2の方法で得た偏光フィルムの両面に、実施例2で用いたポリビニルアルコール系塗液を実施例2と同じ方法で流延し、さらにその塗布面(両面)に、厚み約80μm の片面ケン化処理トリアセチルセルロースフィルム〔富士写真フイルム(株)製の“フジタック UV-80”〕をそのケン化処理面で貼り合わせて挟持し、一対のロールを通過させ、その後60℃で5分間熱風乾燥して硬化させ、両面保護フィルム付き偏光板を作製した。この偏光板の保護フィルム(トリアセチルセルロース層)は、引き剥がそうとしても保護フィルム又は偏光フィルムが材料破壊を起こし、剥離不可能であった。この偏光板の厚みを表1に示した。
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
参 考 例 実 施 例 比 較 例
No. 1 2 1 2 3 1 2
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚み 22.1μm 22.1μm 22.8μm 27.6μm 62.8μm 183.9μm 185.7μm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
偏光フィルムに皮膜形成性組成物の塗液を介して剥離フィルムを貼り合わせる一形態を模式的に示す断面図である。 偏光フィルムに皮膜形成性組成物の塗液を介して剥離フィルムを貼り合わせる別の形態を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1……偏光フィルム、
2……剥離フィルム、
3……剥離フィルム又は保護フィルム、
4……塗液、
5A,5B……一対のロール。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの少なくとも片面に、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とし、さらに硬化性成分を含有する水溶性の皮膜形成性組成物からなる厚みが 0.1〜10μm の保護層を介して剥離フィルムが積層されていることを特徴とする、偏光板。
  2. 偏光フィルムの両面に、該保護層を介して剥離フィルムが積層されている、請求項1に記載の偏光板。
  3. 偏光フィルムの片面に、該保護層を介して剥離フィルムが積層されており、偏光フィルムの他方の面には、接着剤を介して剥離不可能な保護フィルムが積層されている、請求項1に記載の偏光板。
  4. 剥離フィルムは、ポリエチレン系樹脂又はポリエステル系樹脂からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
  5. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムと、その表面に積層される剥離フィルムのうち、少なくとも一方の表面に、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とし、さらに硬化性成分を含有する水溶性の皮膜形成性組成物の塗液を塗布し、その塗布面側で上記の偏光フィルムと剥離フィルムを貼り合わせ、次いで上記の塗布された塗液を硬化させて 0.1〜10μm の厚みを有する保護層を形成することを特徴とする、偏光板の製造方法
  6. 塗液を硬化させた後、剥離フィルムを剥離して保護層を露出させる、請求項5に記載の方法。
  7. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムと、その表面に積層される剥離フィルムとを、両者が一対のロール間で貼り合わされるように供給し、該ロール間で貼り合わされる前の偏光フィルムと剥離フィルムの間に、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とし、さらに硬化性成分を含有する水溶性の皮膜形成性組成物の塗液を供給し、該塗液層を介して偏光フィルムと剥離フィルムをロール間で貼合した後、該塗液層を硬化させて 0.1〜10μm の厚みを有する保護層を形成することを特徴とする、偏光板の製造方法。
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