JP6013726B2 - 一対の太陽電池用封止膜 - Google Patents
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Description
封止膜のEVAのMFRよりも高くすることにより、相対的に受光面側封止膜が裏面側封
止膜より硬くなるので、その硬さによって加熱加圧時に裏面側封止膜が受光面側封止膜を
押し退ける状況を回避することができる。また、受光面側封止膜に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率が上記範囲であれば、優れた接着性及び適度な柔軟性が得られ、加工性が良好となる。
(1)前記裏面側封止膜のエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレートと前記受光面側封止膜のエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレートとの差が、1g/10分以上である。これにより、受光面側封止膜と裏面側封止膜の相対的な硬さの相違が確実に得られ、確実に回り込みを防止することができる。
(2)前記裏面側封止膜に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率が、20〜35質量%である。この範囲によれば、優れた接着性及び適度な柔軟性が得られ、加工性が良好となる。
(3)前記受光面側封止膜及び裏面側封止膜はそれぞれ更に架橋剤を含む。発電素子を強固に封子することができ、気密性、耐久性等が向上する。
本発明において、受光面側封止膜及び裏面側封止膜は、エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋構造を形成するための架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤は、有機過酸化物又は光重合開始剤を用いることが好ましい。なかでも、接着力、耐湿性、耐貫通性の温度依存性が改善された封止膜が得られることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
受光面側封止膜及び裏面側封止膜は、必要に応じて、さらに架橋助剤を含んでいてもよい。前記架橋助剤は、エチレン−酢酸ビニル共重合体のゲル分率を向上させ、封止膜の接着性及び耐久性を向上させることができる。
受光面側封止膜及び裏面側封止膜は、太陽電池モジュール内部の封止性能を考慮すると、優れた接着力を有するのが好ましい。そのために、接着向上剤をさらに含んでいても良い。接着向上剤としては、シランカップリング剤を用いることができる。これにより、優れた接着力を有する太陽電池用封止膜を形成することが可能となる。前記シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。なかでも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましく挙げられる。
本発明に使用する裏面側封止膜は着色剤を含んでいる。着色剤は特に限定されないが、例えば、チタン白(二酸化チタン)、炭酸カルシウム等による白色着色剤;ウルトラマリン等による青色着色剤;カーボンブラック等による黒色着色剤;ガラスビーズ及び光拡散剤等による乳白色着色剤などを使用することができる。好ましくは、チタン白による白色着色剤を使用することができる。
受光面側封止膜及び裏面側封止膜は、膜の種々の物性(機械的強度、光学的特性、耐熱性、耐光性、架橋速度等)の改良あるいは調整のため、必要に応じて、可塑剤、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物などの各種添加剤、紫外線吸収剤、光安定剤および老化防止剤を含んでいてもよい。
本発明の太陽電池モジュールに使用される受光面側透明保護部材は、通常珪酸塩ガラスなどのガラス基板等を使用することができる。受光面側透明保護部材の厚さは、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。受光面側透明保護部材は、一般に、化学的に、或いは熱的に強化させたものであってもよい。
本発明で使用される裏面側保護部材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリアミドなどのプラスチックフィルムが好ましく用いられる。また、耐熱性、耐湿熱性を考慮してフッ化ポリエチレンフィルム、特にフッ化ポリエチレンフィルム/Al/フッ化ポリエチレンフィルムをこの順で積層させたフィルムや、ポリフッ化ビニル(商品名:テドラー)/PET/ポリフッ化ビニルをこの順で積層させたフィルムでも良い。
太陽電池モジュールに用いられる発電素子は、光電変換を行うものであり、従来公知の半導体基板が用いられる。半導体基板としては、単結晶、多結晶、あるいは非晶質によって構成された光半導体素子などが用いられる。具体的には、非晶質シリコンa−Si,水素化非晶質シリコンa−Si:H,水素化非晶質シリコンカーバイドa−SiC:H,非晶質シリコンナイトライドなどの他、シリコンと炭素、ゲルマニウム、スズなどの他の元素との合金から成る非晶質シリコン系半導体の非晶質あるいは微結晶をpin型、nip型、ni型、pn型、MIS型、ヘテロ接合型、ホモ接合型、ショットキーバリアー型あるいはこれらを組み合わせた型などに構成した半導体層が用いられる。その他、光半導体層はCdS系、GaAs系、InP系などであってもよい。
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、図1に示すように、受光面側透明保護部材11、受光面側封止膜13A、発電素子14、裏面側着色封止膜13B及び裏面側保護部材12をこの順で積層することにより積層体10を得、この積層体10を加圧及び加熱することにより一体化する工程を有する。以下、本発明の太陽電池モジュールの製造方法における積層体の一体化工程について説明する。
1.受光面側封止膜の作製
表1〜3に示す各エチレン−酢酸ビニル共重合体を使用して、下記配合の材料をロールミルに供給し、70℃で混練した。これにより得られた封止膜用組成物を70℃でカレンダ成形し、受光面側封止膜(厚さ0.6mm)をそれぞれ作製した。
・エチレン−酢酸ビニル共重合体 100質量部
・架橋剤(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン)
(パーヘキサ25B:日本油脂製) 1.5質量部
・架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート)
(TAIC:日本化成製) 1.5質量部
・シランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)
(KBM503:信越化学製) 0.3質量部
表1〜3に示す各エチレン−酢酸ビニル共重合体を使用して、下記配合の材料をロールミルに供給し、70℃で混練した。これにより得られた封止膜用組成物を70℃でカレンダ成形し、裏面側封止膜(厚さ0.6mm)をそれぞれ作製した。
・エチレン−酢酸ビニル共重合体 100質量部
・架橋剤(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン)
(パーヘキサ25B:日本油脂製) 1.5質量部
・架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート)
(TAIC:日本化成製) 1.5質量部
・シランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)
(KBM503:信越化学製) 0.3質量部
・着色剤(二酸化チタン) 5.0質量部
受光面側透明保護部材(白板強化ガラス(エンボス付)、230mm×230mm×3.2mm)/上記受光面側封止膜(230mm×230mm)/発電素子(単結晶シリコンセル:125mm×125mm、厚さ:220μm)/上記裏面側封止膜(230mm×230mm)/裏面側保護部材(イソボルタ社製TPT(テドラー/PET/テドラー:型番2442)、厚さ:350μm)の順で積層した後、この積層体を、ダイヤフラムを備える二重真空室方式真空ラミネータにて、145℃において、真空時間5分、圧力0.1MPa、プレス時間15分で接着一体化し、太陽電池モジュールを作製した。
・回り込み量の測定
作製した太陽電池モジュールについて、裏面側封止膜の発電素子の受光面上への回り込み量を測定した。回り込み量の測定は、回り込みが生じた裏面側封止膜の発電素子端部からの最大長さ(mm)をスケールで計測することにより行った。1mm未満を合格とした。結果を表1〜3に示す。
表1〜3に示されているように、裏面側封止膜のEVAのMFRが受光面側封止膜のEVAのMFRより高い場合には、そうでない比較例と比べて回り込み量が減少していることが認められた。以上により、上述した条件を満たす一対の太陽電池用封止膜によれば裏面側封止膜の回り込みが防止され、外観性及び発電効率の低下が防止された太陽電池モジュールを得ることができることが認められた。
12 裏面側保護部材
13A 受光面側封止膜
13B 裏面側封止膜
14 発電素子
15 接続タブ
Claims (6)
- 受光面側透明保護部材と裏面側保護部材との間に配置される発電素子をその受光面側と裏面側から封止するための二枚一対の太陽電池用封止膜であって、
前記受光面側透明保護部材と発電素子との間に配置される受光面側封止膜は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含み、
前記裏面側保護部材と発電素子との間に配置される裏面側封止膜は、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び着色剤を含み、
前記裏面側封止膜のエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレート(JIS K7210に従って、190℃、荷重21.18Nで測定。以下同じ。)が、前記受光面側封止膜のエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレートよりも高く、
前記受光面側封止膜に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレートが、2.0〜10g/10分であり、
前記裏面側封止膜に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレートが、2.0g/10分を超え30g/10分以下であり、
前記受光面側封止膜及び裏面側封止膜はそれぞれ更に架橋剤を含み、
前記受光面側封止膜に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率が、26.0〜35質量%であることを特徴とする一対の太陽電池用封止膜。 - 前記裏面側封止膜のエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレートと前記受光面側封止膜のエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレートとの差が、1g/10分以上であることを特徴とする請求項1に記載の一対の太陽電池用封止膜。
- 前記裏面側封止膜に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率が、20〜35質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の一対の太陽電池用封止膜。
- 受光面側透明保護部材、受光面側封止膜、発電素子、裏面側封止膜及び裏面側保護部材をこの順で積層することにより積層体を得、該積層体を加圧及び加熱することにより一体化する工程を含む太陽電池モジュールの製造方法において、
前記受光面側封止膜と裏面側封止膜からなる一対の太陽電池用封止膜として、請求項1〜3の何れか1項に記載の一対の太陽電池用封止膜を使用することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。 - 受光面側透明保護部材、受光面側封止膜、発電素子、裏面側封止膜及び裏面側保護部材をこの順で積層し、接着一体化してなる太陽電池モジュールにおいて、
前記受光面側封止膜と裏面側封止膜からなる一対の太陽電池用封止膜が、請求項1〜3の何れか1項に記載の一対の太陽電池用封止膜であることを特徴とする太陽電池モジュール。 - 前記発電素子と前記受光面側封止膜との間に侵入している前記裏面側封止膜の、前記発電素子の端部からの最大長さが1mm未満であることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池モジュール。
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