JP2011216804A - 太陽電池用封止膜、これを用いた太陽電池、及び太陽電池の製造方法 - Google Patents

太陽電池用封止膜、これを用いた太陽電池、及び太陽電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反射による発電効率の向上効果を有する着色剤を含む裏面側太陽電池用封止膜であって、太陽電池の製造の際に、難しい条件設定なしに、表面側への回りこみが防止され、発電効率の低下や外観不良を生じさせない太陽電池用封止膜、及びこの封止膜を用いた太陽電池を提供する。
【解決手段】太陽電池の太陽電池用素子14と裏面側保護部材12との間に配置し、太陽電池用素子14を封止するための裏面側太陽電池用封止膜13Bであって、エチレン−極性モノマー共重合体を含む透明シート13Baと、エチレン−極性モノマー共重合体及び着色剤を含む着色シート13Bbとの積層体であることを特徴とする太陽電池用封止膜、及びこの封止膜が、透明シート13Baが太陽電池用素子14側になるように配置されて用いられたことを特徴とする太陽電池。
【選択図】図2

Description

本発明は、エチレン−極性モノマー共重合体を主成分とする太陽電池用封止膜に関し、特に太陽電池の裏面側に使用する、チタン白(二酸化チタン)等の着色剤を配合した太陽電池用封止膜に関する。
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を電気エネルギーに直接、変換する太陽電池が広く使用され、更に、発電効率や耐候性等の点から開発が進められている。
太陽電池は、一般に、図4に示すように、ガラス基板などからなる表面側透明保護部材31、表面側封止膜33A、シリコン結晶系発電素子などの太陽電池用セル34、裏面側封止膜33B、及び裏面側保護部材(バックカバー)32が積層された構造を有する。
このような太陽電池では、高い電気出力を得るために、複数の太陽電池用セル34を接続して用いられている。従って、太陽電池用セル34の絶縁性を確保するために、絶縁性のある封止膜33A、33Bを用いて複数の太陽電池用セルを封止している。
また、薄膜シリコン系、薄膜アモルファスシリコン系太陽電池、セレン化銅インジウム(CIS)系太陽電池等の薄膜太陽電池の開発も進められており、この場合は、ガラスやポリイミド基板等の透明基板の表面に化学気相蒸着法等により半導体層等の発電素子層が形成され、その上に封止膜等が積層された構造を有する。
従来から、これらの太陽電池に用いられる封止膜としては、エチレン酢酸ビニル共重合体(以下、EVAとも言う)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)等のエチレン−極性モノマー共重合体からなるフィルムが用いられている。特に、安価であり高い透明性を有することからEVAフィルムが好ましく用いられている。
更に、太陽電池の発電効率を向上させるために、太陽電池に入射した光をできるだけ効率良く太陽電池用セルや薄膜太陽電池用発電素子(本発明において、これらを総称して太陽電池用素子ともいう)に集光することが求められている。そのため、表面側封止膜(受光面側に用いる封止膜)は、できるだけ高い透明性を有し、入射した光を吸収したり、反射したりすること無く透過させるものが望ましい。
一方、裏面側封止膜(受光面の反対側に用いる封止膜)としては、チタン白(二酸化チタン)等の着色剤を配合し、白色等に着色した封止膜が開発されている(例えば、特許文献1〜3)。即ち、着色した裏面側封止膜を用いることにより、この裏面側封止膜と表面側封止膜との界面における光の反射や着色剤による光の乱反射により、複数の太陽電池用素子の間に入射した光や、太陽電池用素子を透過した光を反射させ、光の利用効率を高め、太陽電池の発電効率を向上させるものである。
太陽電池の製造方法について、図4を参照しながら説明する。即ち、太陽電池は、一般に表面側透明保護部材31、表面側封止膜33A、太陽電池用セル34、裏面側封止膜33B、及び裏面側保護部材(バックカバー)32をこの順で積層した積層体を、減圧下で脱気した後、加熱加圧して表面側封止膜33A及び裏面側封止膜33Bを架橋硬化させて接着一体化することにより製造される。この加熱加圧工程において、着色した裏面側封止膜を用いると、溶融した封止膜が流動し、積層体の側面や太陽電池用セル間の隙間から表面側(受光面側)に回りこみ、太陽電池用セル34と表面側封止膜33Aとの間に侵入する場合がある。このような現象は、発電効率の低下や外観不良を引き起こすことになる。
この現象を防止するため、特許文献1では、14g/10min以下のメルトフローレートを有する封止膜が開示されている。また、特許文献2では着色した裏面側封止膜のEVAの酢酸ビニル含有量よりも、透明な表面側封止膜のEVAの酢酸ビニル含有量を高くした太陽電池が開示され、特許文献3では着色した裏面側封止膜のEVAのメルトフローレートよりも、透明な表面側封止膜のEVAのメルトフローレートを高くした太陽電池が開示されている。
特開平6−177412号公報 特開2003−258283号公報 特開2005−050928号公報
しかしながら、特許文献1〜3では、EVAのメルトフローレートや酢酸ビニル含有量、及び太陽電池の製造工程における加熱加圧条件によっては、上記の現象を防止することができない場合があり、条件設定が難しいという問題がある。
従って、本発明の目的は、着色剤を含む裏面側太陽電池用封止膜であって、太陽電池の製造の際に、難しい条件設定なしに、表面側への回りこみが防止され、発電効率の低下や外観不良を生じさせない太陽電池用封止膜を提供することにある。
また、本発明の目的は、この封止膜を用いた太陽電池を提供することにある。
更に、本発明の目的は、太陽電池の製造方法を提供することにある。
上記目的は、太陽電池の太陽電池用素子と裏面側保護部材との間に配置し、太陽電池用素子を封止するための裏面側太陽電池用封止膜であって、エチレン−極性モノマー共重合体を含む透明シートと、エチレン−極性モノマー共重合体及び着色剤を含む着色シートとの積層体であることを特徴とする太陽電池用封止膜によって達成される。
本発明の裏面側太陽電池用封止膜は、透明シートと、着色剤を含む着色シートとが積層されているので、太陽電池の製造の際に、着色シートが表面側(受光面側)に回り込むことを、透明シートがブロックすることにより防止することができる。また、透明シートの部分は表面側に回り込んだとしても、発電効率を低下させることは無い。従って、着色した裏面側封止膜として、反射による太陽電池の発電効率の向上効果が得られるとともに、難しい条件設定なしに、着色した裏面側封止膜の表面側への回り込みによる太陽電池の発電効率の低下や外観不良を防止することができる。
本発明の太陽電池用封止膜の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記透明シートの膜厚が、前記着色シートの膜厚よりも薄い膜厚である。
透明シートの膜厚が厚過ぎると、透明シートに光が吸収され、着色した裏面側封止膜としての反射性が低下し、発電効率の向上効果が十分発揮されなくなる。従って、透明シートの膜厚を着色シートよりも薄くすることで、着色した裏面側封止膜としての発電効率の向上効果をより発揮することができる。
(2)前記透明シートの膜厚が、0.3mm以下である。これにより、着色した裏面側封止膜としての反射性を十分に維持することができる。
(3)前記透明シートの膜厚が、0.1〜0.3mmである。
これにより、着色した裏面側封止膜としての反射性を十分に維持し、且つ着色シートの表面側への回り込みを十分にブロックすることができる。
(4)前記着色シートに含まれる着色剤が、二酸化チタンである。より着色性が高い点で好ましい。
(5)前記透明シート及び前記着色シートのエチレン−極性モノマー共重合体が、共にエチレン−酢酸ビニル共重合体である。透明性、及び接着性が高く、安価である点で好ましい。
また、上記目的は、太陽電池用素子と裏面側保護部材との間に、本発明の太陽電池用封止膜が、前記透明シートが前記太陽電池用素子側になるように配置されて用いられたことを特徴とする太陽電池によって達成される。
本発明の太陽電池においては、本発明の裏面側太陽電池用封止膜が、透明シートが太陽電池用素子側になるように配置されて用いられているので、難しい条件設定なしに、着色シートの表面側への回り込みが防止されている。従って、本発明の太陽電池は、着色した裏面側封止膜により発電効率が向上され、且つ着色した裏面側封止膜の表面側への回り込みによる発電効率の低下や外観不良が防止された太陽電池である。
更に、上記目的は、表面側透明保護部材、表面側封止膜、太陽電池用素子、裏面側封止膜、及び裏面側保護部材をこの順で積層して得られた積層体を、加熱及び加圧することにより一体化する工程を含む太陽電池の製造方法であって、前記裏面側封止膜として、請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜を用い、且つ積層時に前記透明シートが前記太陽電池用素子側になるように配置することを特徴とする太陽電池の製造方法によって達成される。
本発明の太陽電池の製造方法においては、裏面側封止膜として、本発明の太陽電池用封止膜を、透明シートが太陽電池用素子側になるように配置して用いているので、加熱加圧工程において、難しい条件設定なしに、着色シートが表面側に回りこむことを防止することができる。従って、本発明の太陽電池の製造方法により、着色した裏面側封止膜により発電効率が向上され、且つ着色した裏面側封止膜の表面側への回り込みによる発電効率の低下や外観不良が防止された太陽電池を、容易に製造することができる。
また、上記目的は、上記太陽電池の製造方法において、裏面側封止膜として、本発明の太陽電池用封止膜を用い、且つ透明シート及び着色シートの積層を、太陽電池の製造時に、この順で載置することにより行うことを特徴とする太陽電池の製造方法によっても達成される。
本発明の太陽電池用封止膜として、予め透明シートと着色シートとの積層体を形成したものを用いなくても、透明シート及び着色シートを別々に用意し、太陽電池の製造時に、この順に載置することで本発明の太陽電池用封止膜を形成しても、本発明の効果を発揮することができる。
なお、本発明において、太陽電池セルの光が照射される側(受光面側)を「表面側」と称し、太陽電池セルの受光面とは反対面側を「裏面側」と称する。
本発明の裏面側太陽電池用封止膜によれば、透明シートと、着色剤を含む着色シートとが積層されているので、太陽電池の製造の際に、着色シートが太陽電池用素子の表面側に回り込むことを、透明シートがブロックすることにより防止することができる。従って、着色した裏面側封止膜として、反射による太陽電池の発電効率の向上効果が得られるとともに、難しい条件設定なしに、着色した裏面側封止膜の表面側への回り込みによる太陽電池の発電効率の低下や外観不良を防止することができる。これにより、発電効率の高い太陽電池を容易に提供することができる。
本発明の太陽電池用封止膜の代表的な一例を示す概略断面図である。 本発明の太陽電池の代表的な一例を示す概略断面図である。 本発明の実施例における太陽電池の作製例を示す概略断面図である。 一般的な太陽電池の概略断面図である。
以下に、本発明の太陽電池用封止膜を詳細に説明する。
図1は、本発明の太陽電池用封止膜の代表的な一例を示す概略断面図である。図示の通り、本発明の太陽電池用封止膜(裏面側封止膜13B)は、エチレン−極性モノマー共重合体を含む透明シート13Baと、エチレン−極性モノマー共重合体及び着色剤を含む着色シート13Bbとの積層体である。
本発明の太陽電池用封止膜は、太陽電池用素子と裏面側保護部材との間に配置して、太陽電池用素子を封止するための裏面側封止膜として用いられる。この際、透明シート13Baが太陽電池用素子側になるように配置されて用いられる。これにより、太陽電池を製造する際に、加熱加圧工程において、着色剤を含む着色シート13Bbが溶融しても、透明シート13Baがブロックするように作用し、着色シート13Bbが太陽電池用素子を回り込んで、表面側(受光面側)まで流動することを防止することができる。また、透明シート13Baの部分が溶融して、表面側まで流動しても発電効率を低下させることは無い。この効果は、封止膜のメルトフローレートや加熱加圧工程の条件等に、大きな影響を受けないので、従来技術のように、メルトフローレートの設定や加熱加圧工程の温度、圧力条件設定等、難しい条件設定の必要が無い。
従って、本発明の太陽電池用封止膜により、着色した裏面側封止膜として、太陽電池の発電効率の向上効果が得られるとともに、着色した裏面側封止膜の表面側への回り込みによる太陽電池の発電効率の低下や外観不良を、容易に防止することができる。
また、本発明の太陽電池用封止膜は、太陽電池の製造時に、透明シート13Baが太陽電池用素子側になるように配置されるので、太陽電池の使用時においては、着色シート13Bbの光の入射側に透明シート13Baが配置されることになる(図2参照)。透明シート13Baは光を吸収し易いため、透明シート13Baの膜厚Dが厚過ぎると、着色シート13Bbに到達する光が減少し、着色シート13Bbから太陽電地素子へ反射する光も減少することになり、着色した裏面側封止膜として、光を反射する性能が低下し、太陽電池の発電効率の向上効果が十分発揮されなくなる場合がある。
従って、透明シート13Baの膜厚Dは着色シート13Bbの膜厚Dよりも薄い膜厚であることが好ましい。これにより、本発明の太陽電池用封止膜が、着色した裏面封止膜として、太陽電池の発電効率の向上効果を十分発揮することができる。着色した裏面側封止膜としての反射性を十分に維持するため、透明シート13Baの膜厚Dは、0.3mm以下が好ましく、0.2mm以下が更に好ましい。
また、透明シート13Baの膜厚Dは、薄過ぎると、着色シート13Bbの表面側への回り込みをブロックする効果が低くなる場合がある。そのため、透明シート13Baの膜厚Dは、着色シート13Bbの表面側への回り込みをブロックする効果を示す必要最低限の膜厚に設定することが好ましい。この膜厚は太陽電池用素子の厚さや、太陽電池を製造する際の加熱加圧工程の条件によっても異なるので、これらの条件に応じて最適な膜厚に設定することが好ましい。着色した裏面側封止膜としての反射性を十分に維持し、且つ着色シート13Bbの表面側への回り込みをブロックするため、透明シート13Baの膜厚Dは、0.1〜0.3mmが好ましく、0.1〜0.2mmが更に好ましい。
なお、本発明の太陽電池用封止膜全体としての膜厚に特に制限はないが、通常、50μm〜2mm以下であり、0.2〜2mmが好ましい。
以下に、本発明の太陽電池用封止膜に用いる材料について説明する。
[着色剤]
本発明において、着色シート13Bbに配合される着色剤は、裏面側封止膜として入射した光を反射し、太陽電池用素子による発電効率を向上できるものであれば、どのような着色剤でも良い。チタン白(二酸化チタン)、炭酸カルシウム等による白色、ウルトラマリン等による青色、カーボンブラック等による黒色、ガラスビーズ及び光拡散剤等による乳白色等を挙げることができる。特に光の反射性の点で白色の着色剤が好ましく、着色性が高い点で、チタン白(二酸化チタン)が、特に好ましい。これらの着色剤の含有量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、2〜5質量部が更に好ましい。
[エチレン−極性モノマー共重合体]
本発明において、透明シート13Ba及び着色シート13Bbを構成するエチレン−極性モノマー共重合体の極性モノマーは、不飽和カルボン酸、その塩、そのエステル、そのアミド、ビニルエステル、一酸化炭素等を例示することができる。より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これら不飽和カルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属の塩やマグネシウム、カルシウム、亜鉛などの多価金属の塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、一酸化炭素、二酸化硫黄などの一種又は二種以上などを例示することができる。
エチレン−極性モノマー共重合体として、より具体的には、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の一部又は全部が上記金属で中和されたアイオノマー、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸エステル−不飽和カルボン酸共重合体及びそのカルボキシル基の一部又は全部が上記金属で中和されたアイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなエチレン−ビニルエステル共重合体等を代表例として例示することができる。
エチレン−極性モノマー共重合体としては、JIS K7210で規定されるメルトフローレートが、35g/10分以下、特に3〜6g/10分のものを使用するのが好ましい。このようなメルトフローレート有するエチレン−極性モノマー共重合体を用いた太陽電池用封止膜によれば、太陽電池作製時の封止工程における加熱加圧の際に、封止膜が溶融や位置ズレを起こして基板の端部からはみ出でるのを抑制することができる。
なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)の値は、JIS K7210に従い、190℃、荷重21.18Nの条件に基づいて測定されたものである。
本発明において、透明シート13Ba及び着色シート13Bbを構成するエチレン−極性モノマー共重合体は同一でも異なっていても良い。
透明シート13Ba及び着色シート13Bbのエチレン−極性モノマー共重合体としては、共にエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAとも言う)が特に好ましい。これにより、安価であり、透明性(着色剤を配合した本発明の封止膜の場合、反射性に影響する)、柔軟性に優れる太陽電池用封止膜を形成することができる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニルの含有量は、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体に対して20〜35質量%、さらに22〜30質量%、特に24〜28質量%とするのが好ましい。酢酸ビニルの含有量が、20質量%未満であると、高温で架橋硬化させる場合に得られる封止膜の透明性が充分でない恐れがあり、35質量%を超えると、カルボン酸、アルコール、アミン等が発生し封止膜と保護部材との界面で発泡が生じ易くなる恐れがある。
本発明において、エチレン−極性モノマー共重合体に加えて、さらにポリビニルアセタール系樹脂(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール(PVB樹脂)、変性PVB)、塩化ビニル樹脂を副次的に使用しても良い。その場合、特にPVBが好ましい。
[架橋剤]
本発明において、透明シート13Baと着色シート13Bbは、封止膜として太陽電池の製造時に、通常、加熱及び加圧により、太陽電池用素子を封止するために、架橋剤を含んでいる。
架橋剤は、エチレン−極性モノマー共重合体の架橋構造を形成することができるものである。本発明において、架橋剤は、接着力、透明性、耐湿性、耐貫通性の温度依存性が改善された封止膜が得られることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
前記有機過酸化物としては、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであれば、どのようなものでも使用することができる。有機過酸化物は、一般に、成膜温度、組成物の調整条件、硬化温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。特に、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。
前記有機過酸化物としては、樹脂の加工温度・貯蔵安定性の観点から例えば、ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、スクシニックアシドパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイル+ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシマレイックアシド、tert−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサン、tert−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、等が挙げられる。
ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤としては、70℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであればいずれも使用可能であるが、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが好ましく、調製条件、成膜温度、硬化(貼り合わせ)温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して適宜選択できる。使用可能なベンゾイルパーオキサイド系硬化剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤は1種でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有機過酸化物として、特に、2,5−ジメチル−2,5ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが好ましい。これにより、優れた絶縁性を有する太陽電池用封止膜が得られる。
前記有機過酸化物の含有量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して、好ましくは0.1〜2質量部、より好ましくは0.2〜1.5質量部であることが好ましい。前記有機過酸化物の含有量は、少ないと得られる封止膜の絶縁性が低下する恐れがあり、多くなると共重合体との相溶性が悪くなる恐れがある。
[架橋助剤]
本発明において、透明シート13Baと着色シート13Bbは、必要に応じて、さらに架橋助剤を含んでいてもよい。前記架橋助剤は、エチレン−極性モノマー共重合体のゲル分率を向上させ、封止膜の接着性及び耐久性を向上させることができる。
前記架橋助剤の含有量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して、一般に10質量部以下、好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.1〜2.5質量部で使用される。これにより、接着性に優れる封止膜が得られる。
前記架橋助剤(官能基としてラジカル重合性基を有する化合物)としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の3官能の架橋助剤の他、(メタ)アクリルエステル(例、NKエステル等)の単官能又は2官能の架橋助剤等を挙げることができる。なかでも、トリアリルシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートが好ましく、特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。
[接着向上剤]
本発明において、透明シート13Baと着色シート13Bbは、太陽電池内部の封止性能を考慮すると、優れた接着力を有するのが好ましい。そのために、接着向上剤をさらに含んでいても良い。接着向上剤としては、シランカップリング剤を用いることができる。これにより、優れた接着力を有する太陽電池用封止膜を形成することが可能となる。前記シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。なかでも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましく挙げられる。
前記シランカップリング剤の含有量はエチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.1〜0.7質量部、特に0.15〜0.65質量部であることが好ましい。
[その他]
本発明において、透明シート13Baと着色シート13Bbは、封止膜の種々の物性(機械的強度、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性、架橋速度等)の改良あるいは調整のため、必要に応じて、可塑剤、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物などの各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
可塑剤としては、特に限定されるものではないが、一般に多塩基酸のエステル、多価アルコールのエステルが使用される。その例としては、ジオクチルフタレート、ジヘキシルアジペート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、ブチルセバケート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、トリエチレングリコールジペラルゴネートを挙げることができる。可塑剤は一種用いてもよく、二種以上組み合わせて使用しても良い。可塑剤の含有量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して5質量部以下の範囲が好ましい。
アクリロキシ基含有化合物及びメタクリロキシ基含有化合物としては、一般にアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体であり、例えばアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルやアミドを挙げることができる。エステル残基の例としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリル等の直鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基、テトラヒドルフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプオピル基を挙げることができる。アミドの例としては、ジアセトンアクリルアミドを挙げることができる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルも挙げることができる。
エポキシ含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(エチレンオキシ)5グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテルを挙げることができる。
前記アクリロキシ基含有化合物、前記メタクリロキシ基含有化合物、または前記エポキシ基含有化合物は、それぞれエチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対してそれぞれ一般に0.5〜5.0質量部、特に1.0〜4.0質量部含まれていることが好ましい。
更に、本発明において、透明シート13Baと着色シート13Bbは、紫外線吸収剤、光安定剤および老化防止剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤を含むことにより、照射された光などの影響によってエチレン−極性モノマー共重合体が劣化し、太陽電池用封止膜が黄変するのを抑制することができる。紫外線吸収剤としては、特に制限されないが、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく挙げられる。なお、上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の配合量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
また、光安定剤を含むことによっても、照射された光などの影響によってエチレン−極性モノマー共重合体の劣化し、太陽電池用封止膜が黄変するのを抑制することができる。光安定剤としてはヒンダードアミン系と呼ばれる光安定剤を用いることが好ましく、例えば、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63LA−63p、LA−67、LA−68(いずれも(株)ADEKA製)、Tinuvin744、Tinuvin 770、Tinuvin 765、Tinuvin144、Tinuvin 622LD、CHIMASSORB 944LD(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製)、UV−3034(B.F.グッドリッチ社製)等を挙げることができる。なお、上記光安定剤は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよく、その配合量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
老化防止剤としては、例えばN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、ビタミンE系熱安定剤、イオウ系熱安定剤等が挙げられる。
[太陽電池用封止膜の製造]
上述した本発明の太陽電池用封止膜を製造するには、公知の方法に準じて行えばよい。例えば、まず、透明シート及び着色シートを形成する組成物の材料を、それぞれスーパーミキサー(高速流動混合機)、ロールミル等を用いて公知の方法で混合し、通常の押出成形、又はカレンダ成形(カレンダリング)等により成形してシート状物を得るか、又は、前記組成物を溶剤に溶解させ、この溶液を適当な塗布機(コーター)で適当な支持体上に塗布、乾燥して塗膜を形成することによりシート状物を得る。次いで、透明シート及び着色シートを、連続又はバッチ式に積層して、図1に示したような太陽電池用封止膜を製造することができる。
また、別々に成膜して積層すると、付着し合って生産性が低下する場合があるので、共押出し法によって成形及び積層を同時に行う工程により製造することが好ましい。共押出し法による本発明の太陽電池用封止膜の製造方法は、例えば、内部に複数のマニホールドを有するTダイを使用し、上記透明シートと着色シートの組成物を複数の押出機から供給し、各シート成形と同時に積層して太陽電池用封止膜を製造する方法が挙げられる。
なお、製膜時の加熱温度は、架橋剤が反応しない或いはほとんど反応しない温度とすることが好ましい。例えば、50〜90℃、特に40〜80℃とするのが好ましい。
[太陽電池及びその製造方法]
本発明の太陽電池の構造としては、少なくとも太陽電池用素子(単結晶又は多結晶のシリコン結晶系の太陽電池用セルや薄膜太陽電池用発電素子を含む)と裏面側保護部材との間に、本発明の太陽電池用封止膜を裏面側封止膜として透明シートが太陽電池用素子側になるように配置されて用いていれば、特に制限されない。
図2は、本発明の太陽電池の代表的な一例を示す概略断面図である。図2に示した太陽電池は、表面側透明保護部材11、表面側封止膜13A、太陽電池用セル14、裏面側封止膜13B(本発明の太陽電池用封止膜)の透明シート13Ba、着色シート13Bb、及び裏面側保護部材12を積層し、加熱加圧など常法に従って、封止膜を架橋硬化させ、接着一体化したものである。表面側封止膜13Aとしては、白色無機顔料を含有する本発明の太陽電池用封止膜は適していないため、白色無機顔料等の着色剤を含有しない公知の太陽電池用封止膜を使用することができる。
前記加熱加圧するには、例えば、前記積層体を、真空ラミネータで温度135〜180℃、さらに140〜180℃、特に155〜180℃、脱気時間0.1〜5分、プレス圧力0.1〜1.5kg/cm2、プレス時間5〜15分で加熱圧着すればよい。この加熱加圧時に、表面側封止膜13A、裏面側封止膜13Baに含まれるエチレン−極性モノマー共重合体を架橋させることにより、表面側封止膜13A及び、裏面側封止膜13Bを介して、表面側透明保護部材11、裏面側透明部材12、および太陽電池用セル14を一体化させて、太陽電池用セル14を封止することができる。この際、太陽電池用セル14と着色シート13Bbの間に透明シート13Baがあるので、着色シート13Bbが溶融しても、透明シート13Baがブロックするように作用し、着色シート13Bbが複数の太陽電池用セル14の隙間等から回り込んで表面側まで流動することが防止される。
本発明の太陽電池用封止膜は、透明シート13Baと着色シート13Bbとが、予め積層された封止膜を用いなくても、太陽電池の製造時に、別々に用意した透明シート13Baと、着色シート13Bbをこの順で載置することにより積層して用いても同様な効果が得られる。透明シート13Baと着色シート13Bbとを積層する際の位置決めの煩雑さを考慮すると、透明シート13Baと着色シート13Bbとが、予め積層された封止膜を用いるのが好ましい。
また、本発明の太陽電池用封止膜は、薄膜シリコン系、薄膜アモルファスシリコン系太陽電池、セレン化銅インジウム(CIS)系太陽電池等の薄膜太陽電池の封止膜にも使用することもできる。この場合は、例えば、ガラス基板、ポリイミド基板、フッ素樹脂系透明基板等の表面側透明保護部材の表面上に化学気相蒸着法等により形成された薄膜太陽電池素子層上に、裏面側封止膜(本発明の太陽電池用封止膜)、裏面側保護部材を積層し、接着一体化させた構造、又は表面側透明保護部材、表面側封止膜、薄膜太陽電池素子、裏面側封止膜(本発明の太陽電池用封止膜)、及び裏面側保護部材をこの順で積層し、接着一体化させた構造等が挙げられる。
本発明の太陽電池は、着色した裏面側封止膜により発電効率が向上されており、且つ難しい条件設定なしに、着色した裏面側封止膜の表面側への回り込みによる発電効率の低下や外観不良が防止された太陽電池である。
本発明の太陽電池に使用される表面側透明保護部材11は、通常珪酸塩ガラスなどのガラス基板であるのがよい。ガラス基板の厚さは、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。ガラス基板は、一般に、化学的に、或いは熱的に強化させたものであってもよい。
本発明で使用される裏面側保護部材12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックフィルムが好ましく用いられる。また、耐熱性、耐湿熱性を考慮してフッ化ポリエチレンフィルム、特にフッ化ポリエチレンフィルム/Al/フッ化ポリエチレンフィルムをこの順で積層させたフィルムも好ましい。
なお、本発明の太陽電池は、上述した通り、裏面側封止膜に特徴を有する。したがって、表面側透明保護部材、裏面側保護部材、表面側封止膜及び太陽電池用素子などの裏面側封止膜以外の部材については、従来公知の太陽電池と同様の構成を有していればよく、特に制限されない。
以下、本発明を実施例により説明する。
(実施例1〜5、比較例1及び2)
1.太陽電池用封止膜の作製
以下の配合:
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(EVAにおける酢酸ビニル含有量25質量%);100質量部、
架橋剤(1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン);2.0質量部
架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート);2.0質量部
添加剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン);1.0質量部、
の透明シート用材料、及び
上記配合に、
白色着色剤(二酸化チタン);5質量部、
を添加した、着色シート用材料を、それぞれロールミルに供給し、70℃で、混練して透明シート組成物、及び着色シート組成物を調製した。これらの組成物を、70℃で、カレンダ成形し、放冷後、表1に示した膜厚の透明シート及び着色シートを得て、これらを張り合わせ、実施例1〜5、比較例1及び2の太陽電池用封止膜(全体の厚さ0.6mm)を作製した。
また、表面側封止膜として、上記透明シート組成物と同様な組成物で太陽電池用封止膜(厚さ0.6mm)を作製した。
2.太陽電池の作製
実施例1〜5、比較例1及び2の太陽電池用封止膜を用い、図3に示すように、表面側透明保護部材21(FLガラス(厚さ3mm))、表面側封止膜23A、太陽電池用セル24、裏面側封止膜23Bの透明シート23Ba、着色シート23Bb、裏面側保護部材22(Al蒸着したポリフッ化ビニル樹脂フィルム(厚さ200μm))をこの順で積層し、真空ラミネーターにて90℃で仮圧着した後、オーブンで155℃、30分で加熱し、ゲル化分率90%以上まで架橋させた。
3.評価方法
(1)着色樹脂の表面側への回りこみ
作製した太陽電池について、ガラス面側から、太陽電池用セル上に回り込んだ着色樹脂(着色シート23Bb)の量を観察した。評価は、以下のように判定した。
◎:太陽電池用セル端部から着色樹脂侵入が認められない。
○:太陽電池用セルの端部から着色樹脂の侵入が、最大部1mm未満の幅で認められる。
△:太陽電池用セルの端部から着色樹脂の侵入が、最大部1〜2mmの幅で認められる。
×:太陽電池用セルの端部から着色樹脂の侵入が、最大部2mmを越える幅で認められる。
(2)反射率
作製した太陽電池の裏面側封止膜の反射率を、分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、硫酸バリウム粉末をリファレンスとして、300〜1200nmの平均反射率を測定した。
(評価結果)
評価結果を表1に示す。
Figure 2011216804
表1に示したように、透明シートを有する本発明の裏面側封止膜は、着色した裏面側封止膜として、比較例2より高い反射率を示すと共に、比較例1より、着色樹脂の太陽電池用セル上への回りこみ量が抑制されていた。
また、反射率の点では、透明シートの膜厚が薄い方が、裏面側封止膜としての反射率が高いことが示され、膜厚は、0.3mm以下が好ましいと考えられた。更に、着色樹脂の回り込み量を抑制する観点では、透明シートの膜厚は、0.1mm以上が好ましいことが示された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、発電効率の高い太陽電池を容易に提供することができる。
11、21、31 表面側透明保護部材
12、22、32 裏面側保護部材
13A、23A、33A 表面側封止膜
13B、23B、33B 裏面側封止膜
13Ba、23Ba 透明シート
13Bb、23Bb 着色シート
14、24、34 太陽電池用セル

Claims (9)

  1. 太陽電池の太陽電池用素子と裏面側保護部材との間に配置し、太陽電池用素子を封止するための裏面側太陽電池用封止膜であって、
    エチレン−極性モノマー共重合体を含む透明シートと、エチレン−極性モノマー共重合体及び着色剤を含む着色シートとの積層体であることを特徴とする太陽電池用封止膜。
  2. 前記透明シートの膜厚が、前記着色シートの膜厚よりも薄い膜厚である請求項1に記載の太陽電池用封止膜。
  3. 前記透明シートの膜厚が、0.3mm以下である請求項1又は2に記載の太陽電池用封止膜。
  4. 前記透明シートの膜厚が、0.1〜0.3mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  5. 前記着色シートに含まれる着色剤が、二酸化チタンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  6. 前記透明シート及び前記着色シートのエチレン−極性モノマー共重合体が、共にエチレン−酢酸ビニル共重合体である請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  7. 太陽電池用素子と裏面側保護部材との間に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜が、前記透明シートが前記太陽電池用素子側になるように配置されて用いられたことを特徴とする太陽電池。
  8. 表面側透明保護部材、表面側封止膜、太陽電池用素子、裏面側封止膜、及び裏面側保護部材をこの順で積層して得られた積層体を、加熱及び加圧することにより一体化する工程を含む太陽電池の製造方法であって、
    前記裏面側封止膜として、請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜を用い、且つ
    積層時に前記透明シートが前記太陽電池用素子側になるように配置することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  9. 表面側透明保護部材、表面側封止膜、太陽電池用素子、裏面側封止膜、及び裏面側保護部材をこの順で積層して得られた積層体を、加熱及び加圧することにより一体化する工程を含む太陽電池の製造方法であって、
    前記裏面側封止膜として、請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜を用い、且つ
    前記透明シート及び前記着色シートの積層を、太陽電池の製造時に、この順で載置することにより行うことを特徴とする太陽電池の製造方法。
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