JP6005511B2 - バター - Google Patents
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Description
しかし、バターにおける減塩はバター本来の風味を犠牲にすることから、塩味の増強及び風味の更なる向上が求められている。一方、食塩を一切添加しない食塩不使用バターも販売されているが、ケーキや菓子等の原料として用いるものであり、バターそのものの風味を楽しむ有塩バターで訴求される風味は必要とされない。
(A)ナトリウム 0.3〜0.75質量%、
(B)カリウム 0.1〜0.7質量%、及び
(C)グルタミン酸もしくはアスパラギン酸又はこれらの組み合わせ 0.04〜1.8質量%。
バター中のナトリウムの含有量は、原子吸光光度計を用いて測定することができる。
バター中のカリウムの含有量は、原子吸光光度計を用いて測定することができる。
上記グルタミン酸塩に特に制限はないが、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウムであることが好ましく、グルタミン酸ナトリウムであることがより好ましい。2種以上のグルタミン酸塩を配合することでグルタミン酸を含有させてもよい。
上記グルタミン酸塩は、グルタミン酸が有する2つのカルボキシル基のいずれか一方がアルカリ金属塩等に置換された塩であってもよく、グルタミン酸が有する2つのカルボキシル基の両方がアルカリ金属等に置換された塩であってもよく、また、これらの混合物であってもよい。また、本発明のバターに含有されるグルタミン酸はD体であってもL体であってもこれらの混合物であってもよいが、L体であることが好ましい。
上記アスパラギン酸塩に特に制限はないが、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウムであることが好ましく、アスパラギン酸ナトリウムであることがより好ましい。また、2種以上のアスパラギン酸塩を配合することでアスパラギン酸を含有させてもよい。
上記アスパラギン酸塩は、アスパラギン酸が有する2つのカルボキシル基のいずれか一方がアルカリ金属塩等に置換された塩であってもよく、アスパラギン酸が有する2つのカルボキシル基の両方がアルカリ金属等に置換された塩であってもよく、また、これらの混合物であってもよい。また、本発明のバターに含有されるアスパラギン酸はD体であってもL体であってもこれらの混合物であってもよいが、L体であることが好ましい。
また、(C)成分がグルタミン酸からなる場合には、アミノ酸由来の異味をより抑える観点から、バター中の(C)成分の含有量は0.9質量%以下とすることが好ましく、0.85質量%以下とすることがより好ましい。
本発明のバターは、例えば、通常のバターの製造工程において、特定量のナトリウム、カリウム、並びに、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸又はこれらの組合せを配合することで得ることができる。より具体的には、下記(1)〜(7)の工程を経て得ることができる。
(2)(1)のクリームを、必要により、70〜100℃程度で数秒〜数分間加熱殺菌した後、1〜10℃程度にまで冷却する(殺菌・冷却工程)。
(3)(2)のクリームを、必要により、1〜10℃程度の低温で、5〜24時間程度保持して熟成させる(エージング工程)。
(4)クリームを1〜10℃程度の低温で激しく撹拌し、脂肪球を凝集させてバター粒を形成させる(チャーニング工程)。
(5)必要により、バター粒を水で洗い、バターミルクを取り除く(水洗工程)。
(6)ナトリウム、カリウム、並びに、グルタミン酸及び/又はアスパラギン酸を、バター中の濃度が本発明で規定する範囲内になるように配合する。
(7)バター粒を練り合わせて均質化する(ワーキング工程)。
上記各工程は、各工程を連続的に流れ作業で実施できる連続式製造機を用いて行うことができる。
また、本発明で規定するナトリウム含有量のバターを原料とし、これに特定量のカリウム、並びに、グルタミン酸及び/又はアスパラギン酸を配合・均質化して得ることもできる。
下記(A)〜(C)を含有するバター:
(A)ナトリウム 0.3〜0.75質量%、
(B)カリウム 0.1〜0.7質量%、及び
(C)グルタミン酸もしくはアスパラギン酸又はこれらの組合せ 0.04〜1.8質量%。
前記(A)成分の含有量が、好ましくは0.32質量%以上であり、より好ましくは0.35質量%以上であり、さらに好ましくは0.38質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.4質量%以上である、前記<1>に記載のバター。
<3>
前記(A)成分の含有量が、好ましくは0.72質量%以下であり、より好ましくは0.7質量%以下であり、さら好ましくは0.65質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.6質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.58質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.5質量%以下である、前記<1>又は<2>に記載のバター。
<4>
前記(A)成分の含有量が、好ましくは0.32〜0.72質量%であり、より好ましくは0.35〜0.7質量%であり、さらに好ましくは0.38〜0.65質量%であり、よりさらに好ましくは0.4〜0.6質量%であり、よりさらに好ましくは0.4〜0.58質量%である、前記<1>に記載のバター。
<5>
前記(A)成分が、好ましくはバターの調製において配合したクリームと無機ナトリウム塩又は有機酸のナトリウム塩とに由来し、より好ましくはバターの調製において配合したクリームと、塩化ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウムやグアニル酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム及びクエン酸三ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上に由来し、さらに好ましくはバターの調製において配合したクリームと、塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム及びアスパラギン酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上に由来する、前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のバター。
前記(B)成分の含有量が、好ましくは0.12質量%以上であり、より好ましくは0.15質量%以上であり、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.3質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.4質量%以上である、前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のバター。
<7>
前記(B)成分の含有量が、好ましくは0.12〜0.7質量%であり、より好ましくは0.15〜0.7質量%であり、さらに好ましくは0.2〜0.7質量%であり、よりさらに好ましくは0.3〜0.7質量%であり、よりさらに好ましくは0.4〜0.7質量%である、前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のバター。
<8>
前記(B)成分が、好ましくはバターの調製において配合したクリームと無機カリウム塩又は有機酸のカリウム塩に由来し、より好ましくはバターの調製において配合したクリームと、塩化カリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、グルタミン酸カリウム、アスパラギン酸カリウム、イノシン酸カリウムやグアニル酸カリウム、グルコン酸カリウム、コハク酸カリウム及びクエン酸三カリウムから選ばれる1種又は2種以上に由来し、さらに好ましくはバターの調製において配合したクリームと塩化カリウムとに由来する、前記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のバター。
前記(A)成分と前記(B)成分の総含有量が、好ましくは0.4質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは0.6質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.7質量%以上である、前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のバター。
<10>
前記(A)成分と前記(B)成分の総含有量が、好ましくは1.45質量%以下であり、より好ましくは1.4質量%以下であり、さらに好ましくは1.3質量%以下であり、よりさらに好ましくは1.2質量%以下である、前記<1>〜<9>のいずれか1つに記載のバター。
<11>
前記(A)成分と前記(B)成分の総含有量が、好ましくは0.4〜1.45質量%であり、より好ましくは0.5〜1.4質量%であり、さらに好ましくは0.6〜1.3質量%であり、よりさらに好ましくは0.7〜1.2質量%である、前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のバター。
前記(C)成分の含有量が、好ましくは0.06質量%以上であり、より好ましくは0.08質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.4質量%以上である、前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のバター。
<13>
前記(C)成分の含有量が、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1.4質量%以下であり、さらに好ましくは1.2質量%以下であり、よりさらに好ましくは1.1質量%以下である、前記<1>〜<12>のいずれか1つに記載のバター。
<14>
前記(C)成分の含有量が、好ましくは0.06〜1.5質量%であり、より好ましくは0.08〜1.4質量%であり、さらに好ましくは0.1〜1.2質量%であり、よりさらに好ましくは0.4〜1.1質量%である、前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のバター。
<15>
前記(C)成分が、好ましくはグルタミン酸及びアスパラギン酸からなる、前記<1>〜<14>のいずれか1つに記載のバター。
<16>
前記(C)成分が、好ましくはグルタミン酸からなり、前記(C)成分の含有量が、好ましくは0.9質量%以下であり、より好ましくは0.85質量%以下である、前記<1>〜<14>のいずれか1つに記載のバター。
<17>
前記(C)成分が、好ましくはアスパラギン酸からなり、前記(C)成分の含有量が、好ましくは0.9質量%以下であり、より好ましくは0.85質量%以下である、前記<1>〜<14>のいずれか1つに記載のバター。
前記(A)成分の含有量に対する前記(B)成分の含有量の比率(前記(B)成分の含有量/前記(A)成分の含有量、モル比)が、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.3以上であり、よりさらに好ましくは0.4以上である、前記<1>〜<17>のいずれか1つに記載のバター。
<19>
前記(A)成分の含有量に対する前記(B)成分の含有量の比率(前記(B)成分の含有量/前記(A)成分の含有量、モル比)が、好ましくは1.2以下であり、より好ましくは1.1以下であり、さらに好ましくは1.0以下である、前記<1>〜<18>のいずれか1つに記載のバター。
<20>
前記(A)成分の含有量に対する前記(B)成分の含有量の比率(前記(B)成分の含有量/前記(A)成分の含有量、モル比)が、好ましくは0.1〜1.2であり、より好ましくは0.2〜1.1であり、さらに好ましくは0.3〜1.1であり、よりさらに好ましくは0.4〜1.0である、前記<1>〜<17>のいずれか1つに記載のバター。
前記(A)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量の比率(前記(C)成分の含有量/前記(A)成分の含有量、モル比)が、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.02以上であり、さらに好ましくは0.03以上である、前記<1>〜<20>のいずれか1つに記載のバター。
<22>
前記(A)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量の比率(前記(C)成分の含有量/前記(A)成分の含有量、モル比)が、好ましくは1以下であり、より好ましくは0.5以下であり、さらに好ましくは0.4以下である、前記<1>〜<21>のいずれか1つに記載のバター。
<23>
前記(A)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量の比率(前記(C)成分の含有量/前記(A)成分の含有量、モル比)が、好ましくは0.01〜1であり、より好ましくは0.01〜0.5であり、さらに好ましくは0.02〜0.5であり、よりさらに好ましくは0.03〜0.4である、前記<1>〜<20>のいずれか1つに記載のバター。
前記(B)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量の比率(前記(C)成分の含有量/前記(B)成分の含有量、モル比)が、好ましくは0.016以上であり、より好ましくは0.02以上であり、さらに好ましくは0.03以上である、前記<1>〜<23>のいずれか1つに記載のバター。
<25>
前記(B)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量の比率(前記(C)成分の含有量/前記(B)成分の含有量、モル比)が、好ましくは5以下であり、より好ましくは3以下であり、さらに好ましくは2以下であり、よりさらに好ましくは1以下である、前記<1>〜<24>のいずれか1つに記載のバター。
<26>
前記(B)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量の比率(前記(C)成分の含有量/前記(B)成分の含有量、モル比)が、好ましくは0.016〜5であり、より好ましくは0.02〜3であり、さらに好ましくは0.02〜2であり、よりさらに好ましくは0.03〜1である、前記<1>〜<23>のいずれか1つに記載のバター。
好ましくは、乳脂肪分を含む油相を連続相とする油中水型の乳化組成物であり、0〜10℃の温度下において可塑性を示す、前記<1>〜<26>のいずれか1つに記載のバター。
<28>
水相と油相の割合が好ましくは水相:油相=40:60〜5:95であり、より好ましくは30:70〜10:90である、前記<1>〜<27>のいずれか1つに記載のバター。
塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、L−グルタミン酸ナトリウム一水和物、L−アスパラギン酸ナトリウム一水和物及びL−ヒスチジンは、バター中への溶解度を上げるために、予め乳鉢で微粉状にしたものを下記のバターの調製に用いた。また、食塩無添加バター(雪印乳業社製、Na0.009質量%、K0.020質量%含有)は、30.00gを計量し、プリンカップ(90ml)に入れて冷蔵保存しておき、使用時に室温に戻して下記のバターの調製に用いた。
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(20mg)、NaCl(299mg)、KCl(385mg)を計量した。これらを、予め室温下で30分以上放置しておいた上記のプリンカップに入れた食塩無添加バターに加え、粉末が分散溶解するようスパチュラで15分間撹拌を行うことで、食塩無添加バターと混合した。続いてプリンカップをタッピングして気泡を除き、プリンカップに蓋をして室温下で3時間放置してから冷蔵庫で保存し、本発明のバターを調製した。
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(39mg)、NaCl(293mg)、KCl(386mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例3]
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(196mg)、NaCl(245mg)、KCl(387mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例4]
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(394mg)、NaCl(184mg)、KCl(389mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例5]
L−アスパラギン酸ナトリウム一水和物(200mg)、NaCl(238mg)、KCl(387mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例6]
L−アスパラギン酸ナトリウム一水和物(403mg)、NaCl(171mg)、KCl(389mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例7]
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(98mg)、L−アスパラギン酸ナトリウム一水和物(100mg)、NaCl(242mg)、KCl(387mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例8]
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(197mg)、L−アスパラギン酸ナトリウム一水和物(201mg)、NaCl(178mg)、KCl(389mg)を計量し、実施例1と同様な手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例9]
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(196mg)、NaCl(370mg)、KCl(227mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例10]
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(393mg)、NaCl(310mg)、KCl(228mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例11]
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(196mg)、NaCl(494mg)、KCl(68mg)を計量し、実施例1と同様な手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例12]
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(393mg)、NaCl(435mg)、KCl(68mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(196mg)、NaCl(242mg)、KCl(47mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例14]
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(195mg)、NaCl(242mg)、KCl(158mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例15]
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(315mg)、NaCl(209mg)、KCl(388mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例16]
L−アスパラギン酸ナトリウム一水和物(321mg)、NaCl(198mg)、KCl(388mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[実施例17]
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(157mg)、L−アスパラギン酸ナトリウム一水和物(161mg)、NaCl(202mg)、KCl(386mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(795mg)、NaCl(62mg)、KCl(392mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[比較例2]
L−アスパラギン酸ナトリウム一水和物(795mg)、NaCl(62mg)、KCl(392mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[比較例3]
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物(394mg)、NaCl(59mg)、KCl(549mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[比較例4]
L−ヒスチジン(310mg)、NaCl(308mg)、KCl(389mg)を計量し、実施例1と同様な手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[比較例5]
NaCl(305mg)、KCl(385mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
[比較例6]
NaCl(429mg)、KCl(226mg)を計量し、実施例1と同様の手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。
NaCl(419mg)を計量し、実施例1と同様な手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調製した。従来例1は、市販されている標準的な有塩バターの組成である。
[従来例2]
NaCl(605mg)を計量し、実施例1と同様な手順で食塩無添加バターと混合し、バターを調整した。従来例2は、現行の有塩バター(従来例1)が普及する以前における標準的な有塩バターの組成である。
[参考例]
市販の食塩無添加バター(雪印乳業社製)。
バター中のNa及びKの含有量は、原子吸光光度計(偏光ゼーマン原子吸光光度計 日立 Z−6100)を用いて測定することができる。
バター中のアミノ酸の含有量は下記方法により測定することができる。
バター10gに蒸留水10gを添加しホモジナイザー(ULTRA DISPERSER LK-22、ヤマト科学社製)により10000rpmで5分間の条件でホモジナイズする。ホモジナイズした溶液を遠心分離装置(日立 CF7D2)により3000rpm、4℃、30分間の条件で遠心分離し、その水相3mlを0.02N塩酸で100mlに定溶しサンプルとする。サンプルをアミノ酸分析計(日立L−8800)により測定する。
上記実施例、比較例及び従来例で得られた各バターを室温下で30分放置して軟化させ、これをディスポミニスプーンに擦り切り一杯載せ(0.18〜0.19g)、スプーンが裏返しになるよう舌先にミニスプーンを載せ舌先でバターをかき出し食味評価(塩味の強さ、塩味の質、苦味の強さ、配合したアミノ酸由来の異味、減塩バターとしての適性)を行った。評価後、微温湯で口を数回濯ぎ15分間の時間を置いて次の食味評価を行った。食味の評価基準を下記に示す。評価数値は5人の専門パネルにより決定した。
−塩味の強さ−
1:塩味をほとんど感じない。
2:非常に弱い塩味を感じる。
3:弱い塩味を感じる。
4:塩味を感じる。
5:強い塩味を感じる。
6:より強い塩味を感じる。
1:刺激感がより強い。
2:刺激感が強く、まろやかさに欠ける。
3:わずかな刺激感を感じるが、まろやかである。
4:刺激感がより抑えられ、よりまろやかである。
5:刺激感をほとんど感じない。
1:強い苦味を感じる。
2:苦味を感じる。
3:わずかな苦味を感じる。
4:ほとんどに苦味を感じない。
5:苦味を感じない。
1:強い異味を感じる。
2:異味を感じる。
3:わずかな異味を感じる。
4:ほとんど異味を感じない。
5:異味を感じない。
1:バターとしての風味が弱い。
2:バターとしての風味がやや弱い。
3:バターとしての風味が良好である。
4:バターとしての風味がより高められている。
1:バターとしてはコクが弱い。
2:バターとしてはコクがやや弱い。
3:バターとして良好なコクを有する。
4:コクがやや向上しており、バターとしてより良好なコクを有する。
5:バターとしてのコクがより高められている。
さらに、実施例1〜17のバターはいずれもバターとしての風味に優れ、コクも高められていた。
また、上述のようにバターはアミノ酸の含有量が少なく、グルタミン酸やアスパラギン酸を実質的に含有しない。このようなバターにグルタミン酸やアスパラギン酸を配合すれば、当然に配合したグルタミン酸やアスパラギン酸の味を強く感じると予想していた。しかし、上記試験結果からは、意外にも、配合したグルタミン酸やアスパラギン酸由来の異味が抑えられており、塩味の増強効果がより際立つ結果となった。
表2に記載の配合組成となるように、NaCl、KCl、グルタミン酸、アスパラギン酸を含有する水溶液を調製した。ディスポミニスプーンに各溶液を0.18〜0.19g載せ、これを舌先で裏返し、塩味強度を下記評価基準により評価した。評価結果は5人の専門パネルにより決定した。
1:塩味をほとんど感じない。
2:弱い塩味を感じる。
3:塩味を感じる。
4:やや強い塩味を感じる。
5:強い塩味を感じる。
結果を下記表2に示す。
Claims (8)
- 下記(A)〜(C)を含有するバター:
(A)ナトリウム 0.3〜0.75質量%、
(B)カリウム 0.1〜0.7質量%、及び
(C)グルタミン酸もしくはアスパラギン酸又はこれらの組合せ 0.04〜1.8質量%。 - (A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の比率((B)成分の含有量/(A)成分の含有量、モル比)が、0.1〜1.2である、請求項1に記載のバター。
- (A)成分と(B)成分の総含有量が0.4〜1.45質量%である、請求項1又は2に記載のバター。
- (C)成分としてグルタミン酸及びアスパラギン酸を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバター。
- (A)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の比率((C)成分の含有量/(A)成分の含有量、モル比)が、0.01〜1である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバター。
- (B)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の比率((C)成分の含有量/(B)成分の含有量、モル比)が、0.016〜5である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバター。
- (B)成分の含有量が0.3〜0.7質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバター。
- 塩化カリウムを含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のバター。
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JP2011286995 | 2011-12-27 | ||
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Publications (2)
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