JP6004702B2 - 不快味が軽減された固形製剤の製造方法 - Google Patents
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(1)不快味を有する成分を含む粉末を、結合剤を用いて造粒する工程、
(2)前記工程(1)で得られた造粒物を、アルコール溶解性の非水溶性コーティング剤でコートする工程
を有することを特徴とする、不快味が軽減されてなる固形製剤の製造方法。
前記項1に記載の固形製剤の製造方法。
(3)前記工程(1)で得られた造粒物を、20メッシュ通過270メッシュ保持の粒度を有する造粒物を得るように、整粒する工程
を有する、前記項1又は2に記載の固形製剤の製造方法。
(4)前記工程(2)で得られたコーティング顆粒物を打錠する工程
を有する、前記項1〜3いずれかに記載の固形製剤の製造方法。
前記項4に記載の固形製剤の製造方法。
(1)不快味を有する成分を含む粉末を、結合剤を用いて造粒する工程、
(2)前記工程(1)で得られた造粒物を、アルコール溶解性の非水溶性コーティング剤でコートする工程
を有する。斯くして、上記不快味を有する成分(以下、「不快味成分」ともいう)に起因する不快味が軽減された固形製剤を製造することができる。
本発明の固形製剤の製造方法では、不快味を有する成分を含む粉末を、結合剤を用いて造粒する工程を有する。造粒工程により、不快味を有する成分を含む粉末と結合剤との造粒物を調製することができる。
本発明が対象とする不快味には、特に制限されないが、口腔内で感じられる苦味、酸味、収斂味、臭みなど、摂取者が苦痛に感じる味や風味が含まれる。
本発明の固形製剤の製造方法で用いる結合剤としては、通常の顆粒剤や錠剤等の固形製剤の製造において結合剤として使用されるものであればよく、特に制限されない。好ましくはデキストリン、セルロース及びその誘導体、デンプン、ポリビニルピロリドン、及びアルギン酸ナトリウムを例示することができる。より好ましくはデキストリン、及びセルロース及びその誘導体であり、特に好ましくはデキストリンである。
本発明の固形製剤は、その造粒工程において、少なくとも前述する上記不快味を有する成分(不快味成分)及び結合剤を配合して製造されるものであればよいが、本発明の効果を妨げない範囲で他の成分を配合することもできる。
本発明の固形製剤の製造方法では、(錠剤を調製する場合であれば、打錠する前に、)上記不快味を有する成分を含む粉末と結合剤とを含む混合物を造粒して、造粒物(顆粒)を得る。
本発明の固形製剤の製造方法は、前記造粒工程の後、コーティング工程を有する方法であればよいが、コーティング工程に供する前に、前記造粒工程で得られた造粒物を、必要に応じて整粒工程に供することもできる。
本発明の固形製剤の製造方法は、前記造粒工程の後又は前記整粒工程の後、得られた造粒物又は整粒物を、アルコール溶解性の非水溶性コーティング剤でコートする工程を有する。当該コーティング工程により、アルコール溶解性の非水溶性コーティング剤でコートされたコーティング顆粒物を調製することができる。
本発明で用いるアルコール溶解性の非水溶性コーティング剤としては、低級アルコール、特にエタノールに溶解し、且つ水に溶解しない物質であれば、特に限定されるものではなく、通常医薬品や食品の製造において被覆材または皮膜剤として用いられる可食性の物質であればよい。例えば、シェラック、ツェイン(ゼイン)、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヘミロース等が挙げられる。不快味の改善効果の面から、好ましくはツェイン(ゼイン)、アミノアルキルメタクリレートコポリマー及びシェラックであり、特に好ましくはシェラックである。
得られた造粒物又は整粒物を、アルコール溶解性の非水溶性コーティング剤(以下、コーティング剤とも記す)で被覆する。被覆は、コーティング剤をアルコールに溶解し、アルコール溶液としたものを、上記造粒物又は整粒物の表面に噴霧することにより行うことが好ましい。
本発明の固形製剤が錠剤である場合、本発明の固形製剤の製造方法は、上記(1)造粒工程、及び(3)コーティング工程、または(1)造粒工程、(2)整粒工程及び(3)コーティング工程に加えて、(3)コーティング工程で得られたコーティング顆粒物を打錠する工程を有する。打錠工程により、コーティング顆粒物から錠剤を調製することができる。
本発明の製造方法で製造する固形製剤の剤形としては、口腔内で咀嚼したり溶解したりするのに適した剤形であることが好ましく、造粒方法で造粒した顆粒や、造粒した顆粒を圧縮成形した錠剤などが挙げられる。錠剤としては、前述するように、通常の経口投与用の錠剤の他、口腔内で咀嚼して摂取するチュアブル錠、舐めて口腔内で溶解させるトローチ錠、その他バッカル錠、舌下錠、口腔内崩壊錠等の口腔用錠剤を挙げることができる。
本発明の固形製剤は、上記不快味を有する成分の含有量が、30〜95質量%程度であることが好ましく、50〜90質量%程度がより好ましく、70〜90質量%程度が更に好ましい。
本発明の固形製剤(顆粒、錠剤等)は、医薬品、及び食品(錠菓、栄養補助食品、特別用途食品、特定保健用食品等の機能食品を含む)として用いることができる。
不快味を有する成分として、ペプチド粉末を用いて、固形製剤を製造した。
・不快味を有する成分:ペプチド粉末(雪印メグミルク(株)製のWhey Peptid HW-3)
・結合剤:サイクロデキストリン(江崎グリコ(株)製のクラスターデキストリン)
・コーティング剤:シェラック(日本シェラック(株)製)
・香料:ヨーグルトフレーバー(小川香料(株)製)
・甘味料:スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)
・滑沢剤:ステアリン酸マグネシウム
なお、結合剤は、上記サイクロデキストリン50gを300gの水に溶解し水溶液(約14w/w%)にして使用した。またコーティング剤は、上記シェラック25〜100gをエタノール500gに溶解しエタノール溶液(約4.7〜17w/w%)にして使用した。
(2-1)造粒工程
ペプチド粉末500gを流動層造粒装置((株)パウレック製のFD-MP-01D/SPC)に投入し、サイクロデキストリン水溶液(サイクロデキストリンを50g含む)を均一に噴霧しながら造粒した。このとき、造粒槽の吸気温度を70℃に設定し、造粒時間は45分間とした。
上記造粒工程で得られた造粒物を、20メッシュの篩にかけて整粒し、当該篩を通過した整粒物550gを得た。
上記整粒工程で得られた整粒物550gを流動層造粒装置内に投入し、これにシェラックのエタノール溶液(シェラックを25〜100g含む)を噴霧して、整粒物をコーティングし、コーティング顆粒物を得た。造粒槽の吸気温度を50℃に設定し、コーティング時間は120分間とした。
上記コーティング工程で得られたコーティング顆粒物に、香料及び甘味料を適量加え、更に滑沢剤を全体の0.5質量%となるように加えて、ロータリー式打錠機(富士薬品機械(株)製のFY-MCU-MSD)を用いて、打錠し、錠剤を得た。
・錠剤重量:2g
・打錠圧力:750〜3000kgf/cm2
(3)評価試験
(3-1) 味の評価試験
上記で製造した錠剤(実施例1〜4)を、1錠ずつ10名のパネラーに摂取してもらい、口内で噛み砕いた時に感じられるペプチド由来の苦味について官能評価を行った。なお、比較品として、上記錠剤の製造方法において、コーティング剤として、上記シェラックを含むエタノール溶液に代えて、シェラックを含まないエタノール溶液500gを用いて同様にして製造した錠剤を用いて、また対照品として、上記(2-2)整粒工程で得られた整粒物を使用して、同様に、ペプチド由来の苦味について官能評価を行った。
◎:ペプチドの苦味を全く感じない。
○:ペプチドの苦味をわずかに感じる。
△:ペプチドの苦味を感じるが対照品より少ない。
×:対照品と同等の苦味を感じる。
ロードセル式錠剤硬度計(岡田精工(株)製、ポータブルチェッカーPC-30型)を用いて、得られた錠剤(実施例1〜4、比較品)の硬度(n=3)を測定した。
◎:3kgf以上15kgf未満
○:15kg以上〜20kgf未満
△:1kgf以上3kgf未満、または20kgf以上
×:1kgf未満
−:錠剤として成形できず
試験結果から、口中で溶かして服用するための錠剤にペプチド粉末(不快味を有する成分)が含まれる場合であっても、先ず、ペプチド粉末とシクロデキストリン水溶液(結合剤)とを造粒し、次に、造粒により得られた造粒物をシェラックのエタノール溶液(アルコール溶解性の非水溶性コーティング剤)でコートすることで、ペプチド粉末由来の不快味を感じさせない錠剤(固形製剤)を製造することができた。更に、打錠によって、十分な硬度を有する錠剤を得ることができた。
Claims (5)
- 不快味を有する成分を含む固形製剤の製造方法であって、
(1)不快味を有する成分を含む粉末を、結合剤を用いて造粒する工程、
(2)前記工程(1)で得られた造粒物を、アルコール溶解性の非水溶性コーティング剤でコートする工程
を有し、
前記結合剤がシクロデキストリンであり、
前記アルコール溶解性の非水溶性コーティング剤がツェイン及び/又はシェラックであり、当該アルコール溶解性の非水溶性コーティング剤の噴霧量が前記不快味を有する成分100質量部に対して5〜10質量部であることを特徴とする、
不快味が軽減されてなる固形製剤の製造方法。 - 前記工程(1)が、80メッシュ通過の造粒物が全造粒物中に50質量%以上含まれる粒度を有するように造粒する工程である、
請求項1に記載の固形製剤の製造方法。 - 更に、前記工程(1)の後で、前記工程(2)の前に、
(3)前記工程(1)で得られた造粒物を、20メッシュ通過270メッシュ保持の粒度を有する造粒物を得るように、整粒する工程
を有する、請求項1又は2に記載の固形製剤の製造方法。 - 更に、前記工程(2)の後で、
(4)前記工程(2)で得られたコーティング顆粒物を打錠する工程
を有する、請求項1〜3いずれかに記載の固形製剤の製造方法。 - 前記工程(4)が、錠剤の硬度が1〜20kgfとなるように打錠する工程である、
請求項4に記載の固形製剤の製造方法。
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