JP6003490B2 - 易接着層組成物、及びそれを用いた白色裏面保護シート - Google Patents
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Description
まず初めに本発明の易接着層組成物について説明する。本実施形態の易接着層組成物は、裏面保護シート基材層の表面に白色易接着層を形成するために用いられるものであり、該白色易接着層に太陽電池モジュール用の白色裏面保護シートとして、好ましい接着性と耐ブロッキング性を付与しうるものである。
易接着層組成物は、a)架橋性主剤樹脂と、b)ポリイソシアネート化合物と、c)コロイダルシリカと、d)白色顔料と、e)シランカップリング剤と、f)有機金属配位化合物と、を含む組成物である。易接着層インキ中の白色顔料の沈降、及び凝集に伴う白色易接着層の接着性の低下を防止するために添加する凝集防止剤をコロイダルシリカに限定した点に特徴がある。
架橋性主剤樹脂として用いることができるものとして、例えば、架橋性置換基含有アクリル樹脂、或いはポリオール系化合物、架橋性置換基含有ウレタン樹脂、架橋性置換含有フッ素樹脂、架橋性置換基含有ビニル樹脂、架橋性置換基含有オレフィン樹脂等が挙げられる。架橋樹脂が架橋アクリル樹脂の場合、例えば、主剤樹脂が架橋性置換基含有アクリル樹脂であり、これとポリイソシアネート化合物との反応によって架橋アクリル樹脂が得られる。又、架橋樹脂が架橋ウレタン樹脂の場合、例えば、主剤樹脂がポリオールであり、これとポリイソシアネート化合物(概念としてイソシアネート基末端のウレタンプレポリマーを含む)との反応によって架橋ウレタン樹脂が得られる。本明細書においては、ポリイソシアネート化合物で架橋されて硬化する前の樹脂化合物のことを「架橋性主剤樹脂(又は単に「主剤樹脂」)」と言い、白色易接着層に含まれる樹脂、即ち、硬化して白色易接着層を形成した樹脂と区別する。以下、各構成材料について説明する。
主剤樹脂の一例となる架橋性置換基含有アクリル樹脂(以下単に、「アクリル樹脂」とも言う)について説明する。主剤樹脂として用いられるアクリル樹脂は、ポリイソシアネート化合物と反応するための架橋性置換基を複数有し、ポリイソシアネート化合物と反応して架橋されることにより、硬化して強固な皮膜を形成する。ここで、架橋性置換基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられる。主剤樹脂は、溶剤可溶性の樹脂又は溶剤に分散可能な樹脂から選択される。入手性及び架橋反応性の観点から、架橋性置換基は水酸基であることが好ましい。好ましい水酸基価の範囲は5から100である。
次に、ポリイソシアネート化合物について説明する。ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。上記のように、ポリイソシアネート化合物は、主剤樹脂を架橋して硬化(高分子量化)させ、白色易接着層に含まれる樹脂を形成させる。このとき、ポリイソシアネート化合物は、主剤樹脂とともに白色易接着層に含まれる樹脂の一部となる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系、芳香族−脂肪族系等が挙げられるが、白色易接着層が長期間に亘って外部環境に曝されることに伴う着色を抑制するという観点からは、脂肪族系、脂環式系のポリイソシアネート化合物が好ましく使用される。
本発明の易接着層組成物は、白色顔料の沈降及び凝集による白色易接着層の接着性の低下を防止するための凝集防止剤として、コロイダルシリカを用いる。コロイダルシリカとは、主成分として二酸化ケイ素(その水和物を含む)を含み、ケイ素を含む無機酸化物の粒径数百nm程度以下の微粒子からなるコロイドである。
易接着層組成物に添加する白色顔料としては、酸化チタンや、或は、炭酸カルシウム、硫化亜鉛、水酸化バリウム等を用いることができる。これらの中でも、耐候性に優れ、塗料化が容易であること及び価格を含め入手が安易であることから、酸化チタンを好ましく用いることができ、中でも、平均粒子径0.1μm以上0.5μm以下の酸化チタンを特に好ましく用いることができる。平均粒子径0.1μm未満の酸化チタンは光を透過し白色顔料に好ましくない。又、平均粒子径0.5μmを超えると均一な易接着層の塗膜形成が難しくなる。又、本発明の易接着層組成物においては、上記のコロイダルシリカを用いることにより、光の透過が少ない酸化チタンを分散することができるため、このような平均粒子径0.1μm以上0.5μm以下酸化チタンを白色顔料として特に好ましく用いることができる。
本発明の易接着層組成物では、白色易接着層に好ましい接着性と耐ブロッキング性を付与するために、易接着層組成物に添加するシランカップリング剤を添加する。シランカップリング剤は、e1)メルカプト基含有シランカップリング剤(以下、メルカプト系シランカップリング剤とも言う)、又は、e2)エポキシ基含有シランカップリング剤(以下、エポキシ系シランカップリング剤とも言う)であるか、或いは、これら2種のシランカップリング剤の混合物であることが好ましい。これらのシランカップリング剤を用いることにより、カップリング剤の経時変化に起因する接着性等の向上効果のばらつきを低減することができる。
メルカプト系シランカップリング剤とは、一般式[R1−Si(OR2)3](R1はメルカプトアルキル基を、R2はアルキル基をそれぞれ表わす)で表されるものであり、例としては、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、6−メルカプトヘキサトリメトキシシラン等があげられる。尚、メルカプト系のシランカップリング剤は特に限定されず、公知のシランカップリング剤を好適に用いることができる。例えば、「KBM802」、「KBM803」(いずれも信越シリコーン株式会社製)があり、市場から容易に入手できる。
エポキシ系シランカップリング剤とは、一般式[R3−Si−R4(3−m)R5m](mは1〜3の整数を表し、R3はエポキシ基を表し、R4はアルキル基を表し、R5はアルコキシ基を表す)で表されるものであり、例としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、等が挙げられる。これらは単独又は2種以上使用してもよい。尚、エポキシ系のシランカップリング剤は特に限定されず、公知のシランカップリング剤を好適に用いることができる。例えば、「KBM303」、「KBM402」、「KBM403」「KBE402」、「KBE403」(いずれも「信越シリコーン株式会社」製)があり、市場から容易に入手できる。
本発明の易接着層組成物では、易接着層組成物に有機金属配位化合物を添加する。有機金属配位化合物はキレート化剤とも呼ばれ架橋剤として硬化に寄与すると推定される。特に上記シランカップリング剤と併用することで接着強度が著しく向上する。又、併せて、白色易接着層の耐ブロッキング性を良好なものとすることもできる。
本発明の易接着層組成物には、白色易接着層に、耐候性、耐光性、耐熱性、耐湿性、難燃性等を付与するためのその他の添加剤が必要に応じて添加される。又、易接着層組成物は通常、硫黄剤に添加してコーティング液として、白色易接着層の形成に用いられるが、その他の添加剤は、易接着層組成物を含むコーティング液の安定性、塗工性、乾燥性、耐ブロッキング性等を向上させるためにも必要に応じて添加される。
白色裏面保護シートについて説明する。本実施形態の白色裏面保護シートは、裏面保護シート基材層と、該裏面保護シート基材層の表面に形成される白色易接着層とを含んで形成される太陽電池モジュール用の白色裏面保護シートである。
白色裏面保護シートを構成する裏面保護シート基材層は、その表面に、上記において説明した易接着層組成物によって白色易接着層が形成されることにより、白色裏面保護シートとなる。
白色易接着層はいわゆるプライマー層であり、白色裏面保護シートの少なくとも一方の最表面にポリイソシアネート化合物による架橋樹脂として形成されている。この白色易接着層は、上記において説明した易接着層組成物を含むコーティング液を、裏面保護シート基材層の表面に塗布し、塗布されたコーティング液から皮膜を形成させることにより形成される。
[コーティング液及び白色易接着層の形成]
白色易接着層は、上記の裏面保護シート基材層上に塗布されたコーティング液から溶剤を乾燥させ、コーティング液に含まれる主剤樹脂がポリイソシアネート化合物によって架橋することにより形成される。コーティング液には主剤樹脂を溶解又は分散するための有機系の溶剤が含まれる。
図1は、本発明の太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面側封止材層3、太陽電池素子4、裏面側封止材層5、及び白色裏面保護シート6が順に積層されている。本発明の太陽電池モジュール1は、白色裏面保護シート6として上記の白色裏面保護シートを使用する。
凝集防止剤2(シリカ粒子):粒径3μm。(製品名「sicastar」、コアフロント株式会社製)
コーティング液における凝集防止剤の配合比は、表1に示す通りとした。尚、凝集防止剤について、架橋性主剤樹脂とポリイソシアネート化合物と、下記白色顔料との合計量に対する含有量比(質量%)についても、表1中に「含有量比」として併記した。
コーティング液における配合比は24質量部とした。
コーティング液における配合比は0.75質量部とした。
シランカップリング剤2(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン):(製品名「KBM803」、信越シリコーン株式会社製)。
コーティング液における配合比は0.75質量部とした。又、シランカップリング剤1及び2の合計の添加量が、架橋性主剤樹脂とポリイソシアネート化合物との合計量に対する含有量比(質量%)は、いずれも、8.4質量%となっている。
コーティング液における配合比は160質量部とした。
封止材シート1:エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)シート。(製品名「S−11」ブリヂストン社製)
封止材シート2:低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)シート
下記のシラン変性透明樹脂と耐候性マスターバッチと重合開始剤コンパウンド樹脂の質量比が20:5:80となるようにブレンドした樹脂を押し出し温度210℃で厚さ200μmになるように成膜した弱架橋性を有するLLDPE樹脂。
シラン変性透明樹脂:密度0.881g/cm3であり、190℃でのMFRが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、密度0.884g/cm3、190℃でのMFRが1.8g/10分であるシラン変性透明樹脂。
耐候性マスターバッチ:密度0.880g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチ。
重合開始剤コンパウンド樹脂:密度0.880g/cm3、190℃でのMFRが3.1g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、t−アミル−パーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート0.1質量部を含浸させコンパウンドペレットした樹脂。
実施例1〜5、比較例1〜3の主剤樹脂(40質量部)、白色顔料(60質量部)、凝集防止剤(各条件)、及びトルエン(50質量部)と酢エチ(100質量部)の混合液を、40℃で1ヶ月間保管し、その後、混合液に沈降及び凝集有無を確認することにより、インキ安定性を観察し、下記の基準で評価した。
[評価基準]
A:沈降なく、そのまま使用できる。
B:沈降しているが、再分散すると使用できる。
C:凝集しているため、使用できない。
実施例1〜5、比較例1〜3の試料について、耐ブロッキング性を以下の方法で測定した。
(耐ブロッキング性試験)
厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表面に、表1に記載の組成からなる各コーティング液をバーコーターにて塗工し、塗工されたコーティング液を120℃で2分間乾燥させて基材表面に白色易接着層を形成した。そして乾燥直後の白色易接着層表面に、同じPETフィルムを重ね合わせて接触させた状態で50℃で3日間養生したものを、耐ブロッキング性評価用試料とした。各耐ブロッキング性評価用試料の重ね合わせた部分を剥がすことでブロッキング状態を評価する方法で耐ブロッキング性の試験を行い、下記の基準で評価した。
[評価基準]
A:白色易接着層の転移なく、自然にシート同士が剥離する
B:白色易接着層の転移なく、基材同士の剥離時の若干の密着手ごたえ有り
C:白色易接着層の転移あり、及び/又は、基材同士の剥離時に密着手ごたえ有り
実施例1〜4、比較例1〜5の接着性の評価用の試料について、上記の封止材シート1及び2、それぞれに対する接着性を以下の方法で測定した。
(接着性試験)
各評価用の試料について、剥離強度(N)を15mm幅の180度ピールにて接着性について測定及び評価した。測定には、剥離試験装置(「株式会社エー・アンド・デイ」社製、商品名「TENSILON RTG−1210」)を用いて、180度ピールにて剥離条件50mm/minで25℃にて測定を行い、4回の測定の平均値を採用し、下記の基準で評価した。結果を表2に示す。
[評価基準]
A:30N/15mm以上
B:15N/15mm以上、30N/15mm未満
C:15N/15mm未満
2 透明前面基板
3 前面側封止材層
4 太陽電池素子
5 裏面側封止材層
6 白色裏面保護シート
Claims (9)
- 太陽電池モジュール用の白色裏面保護シートの表面に白色易接着層を形成する易接着層組成物であって、
a)架橋性主剤樹脂が、b)ポリイソシアネート化合物により架橋されている架橋樹脂と、
c)凝集防止剤と、
d)白色顔料と、
e)シランカップリング剤と、
f)有機金属配位化合物と、を含有し、
前記c)凝集防止剤は、コロイダルシリカであり、前記a)架橋性主剤樹脂と、前記b)ポリイソシアネート化合物と、前記d)白色顔料との合計量に対する含有量比が、0.1質量%以上10.0質量%以下であり、
前記b)ポリイソシアネート化合物のNCO価と前記a)架橋性主剤樹脂のOH価との比が、1.0以上4.7以下である易接着層組成物。 - 前記コロイダルシリカの平均粒子径が、3nm以上30nm以下である請求項1に記載の易接着層組成物。
- 前記d)白色顔料が、平均粒子径0.1μm以上0.5μm以下の酸化チタンである請求項1又は2に記載の易接着層組成物。
- 前記e)シランカップリング剤は、e1)メルカプト基含有シランカップリング剤、又は、e2)エポキシ基含有シランカップリング剤、或いは、それら2種のシランカップリング剤の混合物である請求項1から3のいずれかに記載の易接着層組成物。
- 前記a)架橋性主剤樹脂が架橋性置換基含有アクリル樹脂であり、そのガラス転移点(Tg)が25℃以上70℃以下である請求項1から4のいずれかに記載の易接着層組成物。
- 一方の面に白色易接着層が形成されている太陽電池モジュール用の白色裏面保護シートであって、
前記白色易接着層は、請求項1から5のいずれかに記載の易接着層組成物を含有するコーティング液が、前記太陽電池モジュール用の白色裏面保護シートの片面において皮膜形成されたものである白色裏面保護シート。 - 一方の面に白色易接着層が形成されている太陽電池モジュール用の白色裏面保護シートの製造方法であって、
請求項1から5のいずれかに記載の易接着層組成物を含有するコーティング液を樹脂基材の一方の面に塗布するコーティング液塗布工程と、
前記コーティング液を皮膜形成することにより白色易接着層を形成する皮膜形成工程と、を備える白色裏面保護シートの製造方法。 - 請求項6に記載の白色裏面保護シートと、封止材と、太陽電池素子とが少なくとも一体化されている太陽電池モジュールにおいて、
前記白色易接着層を介して、前記白色裏面保護シートと、ポリエチレン系樹脂を含む前記封止材と、が一体化されている太陽電池モジュール。 - 前記封止材が、少なくとも密度が0.900g/cm3以下の低密度ポリエチレン(LDPE)、及び又は直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体を含んでなるポリエチレン系樹脂を含む封止材である請求項8に記載の太陽電池モジュール。
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