以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態である多機能周辺装置(以下「MFP」と称す)1の電気的構成を示すブロック図である。MFP1は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能など、複数の機能を有する複合機である。本実施形態のMFP1は、記録用紙における1の面に対する印刷が完了した場合に、所定の条件下では、記録用紙を搬送しながら、記録ヘッド21cを所定の退避位置へ移動させ、それにより、印刷に係るスループットを向上させる。
MFP1には、CPU10、フラッシュメモリ11、RAM12、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ20、プリンタ21、USB_I/F(USBインターフェイス)22が設けられている。CPU10、フラッシュメモリ11、RAM12は、バスライン23を介して互いに接続される。操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ20、プリンタ21、USB_I/F22、バスライン23は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)24を介して互いに接続される。
CPU10は、フラッシュメモリ11に記憶される固定値やプログラム、RAM12に記憶されているデータに従って、MFP1が有している各機能の制御や、ASIC24と接続された各部の制御を行う。フラッシュメモリ11は、不揮発性のメモリであり、MFP1の動作を制御する制御プログラム11a等が格納される。後述する図4〜図8のフローチャートに示す各処理は、制御プログラム11aに従いCPU10により実行される。
RAM12は、CPU10の処理に必要な情報を一時的に記憶する書換可能な揮発性のメモリである。RAM12には、退避位置メモリ12aと、用紙中央位置メモリ12bとが設けられている。退避位置メモリ12aは、記録用紙における1の面に対する印刷が完了した後、記録ヘッド21cを退避させる退避位置の候補を記憶する領域である。なお、「退避位置」は、記録用紙の1の面への印刷後に、記録済みの記録用紙と記録ヘッド21cのノズルとが接触しないように、記録ヘッド21cを退避させる位置である。用紙中央位置メモリ12cは、記録用紙の中央位置を記憶する領域である。
操作キー15はメカニカルキーであり、各種の設定値や指示などの入力をユーザから受け付ける。LCD16は液晶表示装置である。タッチパネル17は、LCD16に重ねて設けられ、各種の設定値や指示などの入力をユーザから受け付ける。USB_I/F24は、USBケーブルを介して他の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)を通信可能に接続するための装置であり、周知の装置で構成される。本実施形態では、USB_I/F24を介してパーソナルコンピュータ(PC)500が接続される。スキャナ20は、原稿を読み取り、その読み取った原稿の画像データを、CPU10に出力する装置である。
プリンタ21は、インクを吐出させて、記録用紙に対して画像を印刷(記録)するインクジェットプリンタである。プリンタ21は、第1駆動モータ21aと、第2駆動モータ21bと、記録ヘッド21cと、メディアセンサ21dと、レジセンサ21eと、エンコーダ21fとを有する。各部21a〜21fは、ASIC24に接続される。第1駆動モータ21aは、搬送ローラ41、排紙ローラ43、SBローラ45(以上、図2参照)に駆動力を与える。第2駆動モータ21bは、給紙ローラ34、反送ローラ47(以上、図2参照)、及びキャップ213(図3(a)参照)に駆動力を与える。第2駆動モータ21bの駆動力の伝達先は、駆動伝達切換機構214(図3(a)参照)により切り換えられる。また、プリンタ21には、キャリッジ211(図2,3参照)を主走査方向に移動させる駆動力を与えるキャリッジモータが設けられている。なお、各駆動モータ21a,21bおよびキャリッジモータ(図示せず)を制御する駆動回路は、モータ毎にASIC24に組み込まれており、CPU10からの駆動信号に基づき、当該駆動信号に対応するモータが当該駆動信号に応じた回転速度で正転又は逆転する。以下、CPU10が駆動信号を送出し、モータの回転を制御することで記録用紙を搬送することを、単に、CPU10が記録用紙を搬送する、と記載することもある。記録ヘッド21cは、キャリッジ211に搭載され、プラテン212(図2,3参照)に対向する側の面に形成される多数のノズルを有し、これらのノズルからインクを微小なインク滴として吐出する。
メディアセンサ21dは、記録用紙における主走査方向の両端の位置を検知する周知のセンサであり、LEDなどからなる発光体(図示せず)と、光学式センサ(図示せず)とにより構成される。メディアセンサ21dは、キャリッジ211の下面(プラテン212に対向する側の面)に設けられる。
レジセンサ21eは、印刷対象となる記録用紙の先端および後端を検知する周知のセンサである。なお、記録用紙の「先端」とは、記録用紙において印刷を開始する側の端であり、記録用紙における搬送方向の下流側の端である。一方、記録用紙の「後端」とは、記録用紙において印刷を終了する側の端であり、記録用紙における搬送方向の上流側の端である。レジセンサ21eは、LEDなどの発光体(図示せず)と、光学的センサ(図示せず)とにより構成される。レジセンサ21eは、主搬送路35(図2参照)における記録ヘッド21cより搬送方向の上流側の所定位置に設置される。レジセンサ21eは、前記所定位置を通過する記録用紙の先端及び後端を検知し、その検知結果をCPU10へ出力する。
ロータリーエンコーダ21fは、LFモータ21bにより駆動される搬送ローラ41の回転量を検知し、検知した回転量に応じたエンコーダ信号をCPU10へ出力する。CPU10は、ロータリーエンコーダ21fから出力されたエンコーダ信号に基づいて、記録用紙の搬送量を算出する。
ここで、図2及び図3を参照して、プリンタ21をより詳細に説明する。図2は、プリンタ21の内部構造を模式的に示す概略側断面図である。図2における矢印U方向及びBo方向は、それぞれ、プリンタ21(MFP1)の上方及び下方を示す。
プリンタ21の下方には、給紙トレイ31が着脱可能に装着される。給紙トレイ31は、上面に開口が形成された容器形状であり、その内部空間に、記録用紙Sが積層状態で収容される。給紙トレイ20には、例えば、各種サイズの普通紙や光沢紙や封筒などの各種記録用紙が、記録用紙Sとして収容可能である。本実施形態では、給紙トレイ31の着脱を検出するためのセンサ(図示せず)がプリンタ21に設けられており、CPU10は、当該センサの出力に応じて、給紙トレイ31の着脱を検知できる。
給紙トレイ31の上方に架設された軸32には、支持アーム33の基端側が回動可能に支持される。支持アーム33の先端には、給紙ローラ34が回動可能に支持される。支持アーム33は、給紙ローラ34の重量やバネ等に付勢されて下側へ回動され、それにより、給紙ローラ34は、給紙トレイ31に収容された記録用紙Sの上面に接する。給紙ローラ34は、第2駆動モータ21bの駆動力(回転力)が周知の駆動伝達機構(図示せず)を介して伝達され回転する。第2駆動モータ21bが正転し、給紙ローラ34が正回転すると、給紙ローラ34のローラ面と記録用紙Sとの間の摩擦力により、給紙トレイ31内の記録用紙Sが主搬送路35へ案内される。主搬送路35は、キャリッジ211とプラテン212との間を経て、排紙トレイ36に通じる。
キャリッジ211よりも搬送方向の上流側には、搬送ローラ41が回転可能に設けられている。搬送ローラ41と、搬送ローラ41に圧接状態で配置されるピンチローラ42とにより、搬送ローラ対が構成される。搬送ローラ41とピンチローラ42との間に記録用紙Sが進入すると、記録用紙Sは、これらのローラ41,42に挟持されつつ、搬送ローラ41の回転向きに応じた方向へ搬送される。一方、キャリッジ211よりも搬送方向の下流側には、排紙ローラ43が回転可能に設けられている。排紙ローラ43と、排紙ローラ43に圧接状態で配置される拍車ローラ44とにより、排紙ローラ対が構成される。排紙ローラ43と拍車ローラ44との間に記録用紙Sが進入すると、記録用紙Sは、これらのローラ43,44に挟持されつつ、排紙ローラ43の回転向きに応じた方向へ搬送される。
搬送ローラ41及び排紙ローラ43は、第1駆動モータ21aから駆動伝達機構(図示せず)を介して伝達された駆動力(回転力)によって、同期しながら連続的又は間欠的に回転する。より具体的には、第1駆動モータ21aが正転する場合には、搬送ローラ41及び排紙ローラ43は正回転し、記録用紙Sを搬送方向における上流側から下流側へと搬送する。第1駆動モータ21aが逆転する場合には、搬送ローラ41及び排紙ローラ43は逆回転し、記録用紙Sを搬送方向における下流側から上流側へ搬送(逆搬送)する。
排紙ローラ43より搬送方向の下流側には、スイッチバックローラ(以下「SBローラ」と称す)45が、設けられている。SBローラ45と、SBローラ45に圧接状態で配置される拍車ローラ46とにより、SBローラ対が構成される。SBローラ45もまた、搬送ローラ41及び排紙ローラ43と同様、第1駆動モータ21aの駆動力により回転する。よって、第1駆動モータ21aが正転する場合には、SBローラ45は正回転し、記録用紙Sを搬送方向における上流側から下流側へと搬送する。一方、第1駆動モータ21aが逆転する場合には、SBローラ43は逆回転し、記録用紙Sを搬送方向における下流側から上流側へ搬送する。
SBローラ45より搬送方向の下流側には、排紙トレイ36が設けられる。よって、SBローラ45を正回転させると、記録用紙Sが排紙トレイ36に向けて搬送される。一方、SBローラ45と排紙ローラ43との間には、記録用紙Sを、印刷面(記録面)を反転させる反転搬送路38へと案内する分岐口37が設けられる。よって、SBローラ45と拍車ローラ45とが記録済みの記録用紙Sの後端を挟持した状態で、SBローラ45の回転を正回転から逆回転へと切り換えると、記録用紙Sが、分岐口37を経て反転搬送路38へと案内される。反転搬送路38は、プラテン212と給紙トレイ31との間を通り、主搬送路35における搬送ローラ41より上流側に接続される搬送路である。両面印刷を行う場合には、記録用紙Sの第1面(例えば、表面)の印刷を行った後、SBローラ45が記録用紙Sの第1面における後端側を挟持した状態で、SBローラ24を逆回転させて、当該後端を、分岐口37から反転経路38に案内することにより、印刷面を、第1面の裏面である第2面に変更できる。
反転搬送路38には、反送ローラ47が設けられている。反送ローラ47と、反送ローラ47に圧接状態で配置されるピンチローラ48とが、反送ローラ対を構成する。反送ローラ47は、第2駆動モータ21bから駆動伝達機構(図示せず)を介して伝達された駆動力(回転力)によって回転する。第2駆動モータ21bが正転し、反送ローラ47が正回転すると、記録用紙Sは、主搬送路35に向けて搬送される。
図3(a)は、プリンタ21におけるキャリッジ211付近の概略平面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における概略側断面図である。キャリッジ211は、キャリッジモータ(図示せず)の正転又は逆転により主走査方向に往復移動される。具体的に、キャリッジ211は、ホームポジションから主走査方向に離れる方向であるフォワード方向と、その反対方向であるリバース方向とに交互に移動される。なお、以下では、フォワード方向及びリバース方向を、それぞれ、単に「左側」及び「右側」と称することがある。キャリッジ211における搬送方向の上流側には、突起211aが連設される。突起211aは、キャリッジ211とともに主走査方向に往復移動される。
記録ヘッド21cは、キャリッジ211の移動によって、主走査方向(フォワード方向又はリバース方向)に走査され、プラテン212上を搬送される記録用紙Sに対してインクを吐出して画像や文字などを印刷(記録)する。本実施形態のプリンタ21は、記録ヘッド21dが複数色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)をそれぞれ吐出可能なノズルC,M,Y,Kを有し、複数色で画像を形成可能に構成される。各色のノズルC,M,Y,Kは、それぞれ、搬送方向に並ぶ1又は複数列のノズル列からなるノズル群を構成する。なお、図3(a)では、各色のノズルC,M,Y,Kを分かり易く大きな円で示したが、実際には、どの色についても、小さな開口のノズルが多数形成されている。
キャップ213は、プラテン212におけるキャリッジ211のホームポジション側に設けられる。キャップ213は、図示されない移動機構により、記録ヘッド21cのノズルの吐出口を覆う当接位置と、当該吐出口から離間する位置との間で移動される。図示されない移動機構は、第2駆動モータ21bから伝達された駆動力により動作する。MFP1は、必要に応じて、記録ヘッド21cをキャップ213に対向する位置に移動させた後、キャップ213を当接位置まで上方に移動させ、キャップ213を記録ヘッド21cのノズル形成面に密着させる。この密着状態において、キャップ213内を吸引ポンプ(図示せず)により減圧させると、ノズルC,M,Y,Kの吐出口から、各インク流路内に存在する塵や気泡、増粘インクなどが、インクとともに吸引排出される(吸引パージ)。
プラテン212の右側(リバース方向の側)には、搬送方向の上流側に、駆動伝達切換機構214が設けられている。駆動伝達切換機構214は、第2駆動モータ21bにより回転駆動される駆動ギア(図示せず)と、駆動力の伝達先に応じた受けギア(図示せず)と、駆動ギアと受けギアとの間に介在される切換ギア(図示せず)とを含んで構成される。駆動伝達切換機構214は、切換ギアに接続する受けギアを切り換えることにより、第2駆動モータ21bの回転の駆動力の伝達先を切り換える。なお、駆動伝達切換機構214としては、例えば、特開2007−90761号公報や、特開2012−878号公報などに記載される動力伝達切換え手段や駆動伝達切換機構を採用できる。
駆動伝達切換機構214の切換ギアは、プリンタ21の上側(紙面手前側)に突設されるレバー214aの位置に応じた受けギアに接続される。本実施形態では、給紙ローラ34、反送ローラ47、及びキャップ213が、第2駆動モータ21bの回転の駆動力の伝達先とされるので、3つの受けギアが設けられる。レバー214aは、キャリッジ211の突起211aが当接可能な位置に設けられる。そのため、キャリッジ211の移動に伴い、突起211aがレバー214aに当接し、レバー214aの位置を変更できる。よって、突起211aの位置を制御することにより、レバー214aの位置を変更し、第2駆動モータ21bの回転の駆動力の伝達先を切り換えることができる。
レバー214aが、最も左側(フォワード方向の側)の第1位置P1に配置される場合、切換ギアは、駆動力の伝達先が給紙ローラ34となる受けギアに接続される。よって、給紙トレイ31から記録用紙Sを給紙する場合には、レバー214aを第1位置P1に配置させ、給紙ローラ34を第2駆動モータ21bにより駆動させる。なお、図3(a)では、レバー214aが第1位置P1にある状態を示す。レバー214aが、第1位置P1より右側の第2位置P2に配置される場合、切換ギアは、駆動力の伝達先が反送ローラ47となる受けギアに接続される。よって、両面印刷を行う場合には、レバー214aを第2位置に位置させ、反送ローラ47を第2駆動モータ21bにより駆動し、反転搬送路38に案内された第1面に記録済みの記録用紙Sを搬送して、当該記録用紙Sの記録面を反転させる。
レバー214aが、第2位置P2より右側の第3位置P3に配置される場合、切換ギアは、駆動力の伝達先がキャップ213となる受けギアに接続される。このとき、記録ヘッド21cは、ノズルがキャップ213によりキャップできる位置に位置する。よって、ノズルの吸引パージを行う場合には、レバー214aを第3位置に位置させ、キャップ213を第2駆動モータ21bにより駆動させる。なお、レバー214aの位置は、各位置P1〜P3において位置決め可能に構成され、位置決めされた場合には、レバー214aが突起211aによってさらに右側に移動されない限り、その位置に留まる。切換ギアは、バネなどによって左側に付勢されており、レバー214aを第3位置P3より右側に移動させた後、キャリッジ211を左側へ移動させた場合には、切換ギアが第1位置P1に戻るように構成されている。
図3(b)に示すように、メディアセンサ21dは、キャリッジ211の下面(プラテン212に対向する側の面)における記録ヘッド21cより上流側に設けられる。メディアセンサ21dは、発光部(図示せず)からプラテン212に向けて光を照射し、プラテン212又はその上の記録用紙Sで反射した反射光が受光部(図示せず)に受光され、その光量(反射光量)が受光部により検出される。メディアセンサ21eは、受光部により検出された反射光量の検出値(AD値)をCPU10へ出力する。メディアセンサ21dによるこれらの動作は、CPU10からの制御に基づき実行される。プラテン212の表面を黒色などの反射率の低い色とした場合、記録用紙Sの反射光による検出値と、プラテン212からの反射光による検出値とが異なる値となるので、CPU10は、メディアセンサ21dから供給された検出値に基づき、記録用紙Sの端部を検知できる。
図4は、MFP1のCPU10が実行する印刷制御処理を示すフローチャートである。本実施形態の印刷制御処理は、記録用紙における1の面に対する印刷が完了した場合に、所定の条件下では、記録用紙を搬送しながら、キャリッジ211(記録ヘッド21c)を所定の退避位置へ移動させる。本処理は、PC500に対し所定の印刷指示が入力されたことに伴い、MFP1がPC500からパスデータを受信すると開始される。なお、「パス」とは、記録ヘッド21cの主走査を意味し、「1パス」とは、1回のパス(即ち、1回の主走査)を意味する。「パスデータ」とは、パス単位の印刷データを意味する。なお、MFP1は、PC500から、パスデータとともに、片面印刷であるか両面印刷であるかの情報と、印刷対象とする記録用紙の種類およびサイズの情報とを受信する。本実施形態では、印刷対象とし得る記録用紙の種類を、普通紙、封筒、および光沢紙との3種類とする。これらの種類のうち、普通紙及び封筒は、浮き上がり易い傾向にある記録用紙として分類され、光沢紙は、浮き上がり難い傾向にある記録用紙として分類されている。
まず、ステップS401(以下、ステップを省略)において、CPU10は、給紙ローラ34を回転させ、給紙トレイ31から1枚の記録用紙を給紙する(S401)。次に、印刷対象とする記録用紙の種類が浮き上がり易い傾向にある記録用紙(本実施形態では、普通紙又は封筒)であると、CPU10が判断した場合(S402:Yes)、MFP1への電源投入後の1ページ目であれば(S403:Yes)、CPU10は、退避位置の候補を取得して退避位置メモリ12aに格納する退避位置候補取得処理を実行する(S405)。退避位置候補取得処理(S405)の詳細は、図5(a)を参照して後述する。
MFP1への電源投入後の1ページ目でないが、給紙トレイ31が脱着された後の1ページ目である場合もまた(S403:No,S404:Yes)、CPU10は、退避位置候補取得処理を実行する(S405)。つまり、退避位置候補取得処理(S405)は、給紙トレイ31が脱着される毎に実行される。CPU10は、退避位置候補取得処理(S405)の実行後、記録用紙の中央位置を取得して用紙中央位置メモリ12bに格納する用紙中央位置取得処理を実行し(S406)、処理をS407に移行する。用紙中央位置取得処理(S406)の詳細は、図5(b)を参照して後述する。
一方、MFP1への電源投入後の1ページ目でなく、かつ、給紙トレイ31が脱着された後の1ページ目でない場合(S403:No,S404:No)、退避位置メモリ12a及び用紙中央位置メモリ12bにそれぞれ格納されている退避位置の候補及び用紙中央位置を使用するので、CPU10は、処理をS407に移行する。また、S402において、印刷対象とする記録用紙の種類が、浮き上がり難い傾向にある記録用紙(本実施形態では、光沢紙)であると、CPU10が判断した場合(S402:No)、記録ヘッド21cの退避を行う必要がないので、CPU10は、処理をS407に移行する。
S407において、CPU10は、搬送ローラ41及び排紙ローラ43を回転させ、印刷位置まで記録用紙を搬送する(S407)。次いで、CPU10は、パスデータに基づいて1パス分の印刷をプリンタ21に実行させる(S408)。S408で印刷したパスが最終パスでなければ(S409:No)、CPU10は、処理をS407に移行する。
S408で印刷したパスが最終パスであれば(S409:Yes)、CPU10は、処理をS410に移行する。印刷対象とする記録用紙の種類が普通紙又は封筒であると、CPU10が判断した場合(S410:Yes)、記録ヘッド21cを退避位置に退避させるため、CPU10は、S411〜S415の処理を実行する。具体的に、両面印刷であり、次に裏面の印刷を行う場合(S411:Yes)、CPU10は、裏面印刷時の退避処理を実行し(S415)、処理をS402に移行し、裏面への印刷を行う。
一方、片面印刷の実行後又は両面印刷における裏面の印刷後に次ページがある場合には(S411:No,S412:Yes)、CPU10は、次ページ印刷時の退避処理を実行し(S413)、処理をS401に移行し、次ページの記録用紙への印刷を行う。また、次ページがない場合には(S411:No,S412:No)、CPU10は、最終ページ印刷時の退避処理を実行し(S414)、本処理を終了する。なお、次ページ印刷時の退避処理(S413)、最終ページ印刷時の退避処理(S414)、および裏面印刷時の退避処理(S415)の詳細は、それぞれ、図6〜図8を参照して後述する。
S410において、印刷対象とする記録用紙の種類が光沢紙であると、CPU10が判断した場合(S410:No)、記録ヘッド21cの退避を行う必要がないので、CPU10は、記録済みの記録用紙を排紙トレイ36に排紙させ(S416)、本処理を終了する。なお、S416の処理実行後に、両面印刷で次に裏面の印刷を行う場合には、CPU10は、記録用紙を反転して給紙してから、処理をS402に移行し、次ページの記録用紙に印刷を行う場合には、CPU10は、処理をS401に移行するようにすればよい。
図5(a)は、上述した退避位置候補取得処理(S405)を示すフローチャートである。まず、CPU10は、記録用紙を、メディアセンサ21dによる検出位置まで搬送する(S501)。具体的に、S501において、CPU10は、記録用紙の先端がレジセンサ21eにより検出された後、記録用紙を「(レジセンサ21eによる検出位置からメディアセンサ21dによる検出位置までの距離)+α」の搬送量だけ搬送させる。なお、上記αは、記録用紙の先端から、メディアセンサ21dを走査する位置までの距離である。よって、メディアセンサ21dを走査する位置を、例えば、記録用紙の先端とした場合、αの値は0となる。メディアセンサ21dを走査する位置は、適宜設定可能である。次に、CPU10は、キャリッジ211を移動させながらメディアセンサ21dを走査し、記録用紙における主走査方向の用紙左右端の位置(具体的には、主走査方向における用紙左右端の座標)を検出する(S502)。
次に、CPU10は、主走査方向における左側(フォワード方向の側)の退避位置を取得する(S503)。本実施形態では、CPU10は、S502において取得した用紙左端の位置から、キャリッジ211の主走査方向における基準位置(例えば、中央)を、主走査方向における左側に、所定の退避必要距離だけ移動させる位置を、左側の退避位置として取得する。次に、CPU10は、主走査方向における右側(リバース方向の側)の退避位置を取得する(S504)。本実施形態では、CPU10は、S502において取得した用紙右端の位置から、キャリッジ211の主走査方向における基準位置(例えば、中央)を、主走査方向における右側に、所定の退避必要距離だけ移動させる位置を、右側の退避位置として取得する。
「退避必要距離」は、主走査方向における記録用紙の搬送領域(つまり、用紙左端及び用紙右端を主走査方向の両端とする領域)から外れた領域に、少なくとも、記録ヘッド21cのノズルが配置されるために必要な距離とされる。なお、本実施形態では、CPU10は、S503及びS504において、それぞれ1つずつの退避位置を取得するものとする。つまり、本実施形態では、退避位置は、左右にそれぞれ1つずつ設けるものとする。次に、CPU10は、S503及びS504において取得した左右の退避位置を、退避位置の候補として、退避位置メモリ12aに格納し(S505)、本処理を終了する。
図5(b)は、上述した用紙中央位置取得処理(S406)を示すフローチャートである。まず、CPU10は、S502において取得した用紙左右端の位置に基づいて、用紙中央位置を算出する(S521)。具体的に、CPU10は、(用紙左端の位置+用紙右端の位置)/2として、用紙中央位置を算出する。次に、CPU10は、算出した用紙中央位置を用紙中央位置メモリ12bに格納し(S522)、本処理を終了する。
図6は、上述した次ページ印刷時の退避処理(S413)を示すフローチャートである。本処理において、まず、CPU10は、次ページの印刷開始位置は、左右どちらの退避位置に近いかを判断する(S601)。具体的に、次ページの印刷開始位置が右側である場合、CPU10は、S601において、印刷開始位置が右側の退避位置に近いと判断する。一方、次ページの印刷開始位置が左側である場合、CPU10は、S601において、印刷開始位置が左側の退避位置に近いと判断する。
次ページの印刷開始位置が右側に近いとCPU10が判断した場合(S601:右側)、CPU10は、退避位置メモリ12aに格納されている右側の退避位置を退避位置として選択し(S602)、処理をS603へ移行する。一方、次ページの印刷開始位置が左側に近いとCPU10が判断した場合(S601:左側)、CPU10は、退避位置メモリ12aに格納されている左側の退避位置を退避位置として選択し(S617)、処理をS603へ移行する。従って、片面印刷の実行後又は両面印刷における裏面の印刷後に次ページがある場合には、S601,S602,S617の処理により、次ページの印刷開始位置に最も近い退避位置が退避位置として選択される。
S603において、CPU10は、記録用紙の位置を取得する(S603)。本実施形態では、CPU10は、レジセンサ21eにより記録用紙の先端が検出されてからの搬送量を、記録用紙の位置として取得する。次に、CPU10は、S603において取得された記録用紙の位置に基づき、搬送ローラ41及び排紙ローラ43の双方が記録用紙を挟持しているかを判断する(S604)。搬送ローラ41が記録用紙を挟持しているか否かは、例えば、レジセンサ21eにより記録用紙の先端が検出されてからの搬送量から記録用紙の搬送方向長さを差し引いた距離と、レジセンサ21eによる検出位置から搬送ローラ41のニップ位置までの距離との比較により判断できる。なお、「記録用紙の搬送方向長さ」は、PC500から受信した記録用紙のサイズに基づく。上記例の場合、前者の距離が後者の距離以下であれば、記録用紙の後端が搬送ローラ41から抜けていないので、CPU10は、搬送ローラ41が記録用紙を挟持していると判断する。一方、前者の距離が後者の距離より長ければ、記録用紙の後端が搬送ローラ41から抜けているので、CPU10は、搬送ローラ41が記録用紙を挟持していないと判断する。また、排紙ローラ43が記録用紙を挟持しているか否かは、例えば、レジセンサ21eにより記録用紙の先端が検出されてからの搬送量と、レジセンサ21eによる検出位置から排紙ローラ43のニップ位置までの距離との比較により判断できる。この例の場合、前者の距離が後者の距離以上であれば、記録用紙の先端が排紙ローラ43から抜けていないので、CPU10は、排紙ローラ43が記録用紙を挟持していると判断する。一方、前者の距離が後者の距離より短ければ、記録用紙の先端が排紙ローラ43から抜けているので、CPU10は、排紙ローラ43が記録用紙を挟持していないと判断する。
S604において、搬送ローラ41及び排紙ローラ43の双方が記録用紙を挟持していないとCPU10が判断した場合(S604:No)、記録用紙の端部が搬送ローラ41又は排紙ローラ43から抜けており、端部が浮き上がった記録用紙と記録ヘッド21c(特に、ノズル)とが接触する可能性が高い。よって、かかる場合、CPU10は、従来と同様に、S602又はS617において選択された退避位置に、キャリッジ211を移動(退避)させ(S615)、キャリッジ211の退避完了後に記録用紙の排紙を開始して(S616)、本処理を終了する。
一方、S604において、搬送ローラ41及び排紙ローラ43の双方が記録用紙を挟持しているとCPU10が判断した場合(S604:Yes)、CPU10は、印刷終了時のキャリッジ211の位置(具体的には、主走査方向における座標)を取得する(S605)。本実施形態では、CPU10は、印刷終了時のキャリッジ211の主走査方向における基準位置(例えば、中央)を、印刷終了時のキャリッジ211の位置として取得する。なお、キャリッジ211の位置は、図示されないリニアエンコーダのエンコーダ量に基づき取得される。
次に、CPU10は、S605において取得した位置(印刷終了時のキャリッジ211の位置)に基づき、キャリッジ211の退避位置移動距離L1、即ち、キャリッジ211が選択された退避位置に達するまで移動する距離を算出する(S606)。具体的に、CPU10は、(印刷終了時のキャリッジ211の位置−選択された退避位置)の絶対値を、退避位置移動距離L1として算出する。次に、CPU10は、キャリッジ211の退避位置移動時間T1、即ち、キャリッジ211が選択された退避位置に到達するまでに要する時間を算出する(S607)。具体的に、CPU10は、(S606において算出した距離L1)/(キャリッジ211の移動速度)を、キャリッジ211の退避位置移動時間T1として算出する。なお、本実施形態では「キャリッジ211の移動速度」を予め指定された固定値とするが、可変値(例えば、距離L1に応じた可変値)であってもよい。
次に、CPU10は、用紙後端抜けまでの距離L2、即ち、記録用紙の後端が搬送ローラ41から抜けるまでの距離を算出する(S608)。具体的に、CPU10は、(記録用紙後端位置−搬送ローラ位置)の絶対値を、用紙後端抜けまでの距離L2として算出する。なお、本実施形態では、レジセンサ21eにより記録用紙の先端が検出されてからの搬送量から記録用紙の搬送方向長さを差し引いた距離を「記録用紙後端位置」とし、レジセンサ21eによる検出位置から搬送ローラ41のニップ位置までの距離を「搬送ローラ位置」とする。次に、CPU10は、用紙後端抜けまでの時間T2、即ち、記録用紙の後端が搬送ローラ41から抜けるまでに要する時間を算出する(S609)。具体的に、CPU10は、(S608において算出した距離L2)/(記録用紙の搬送速度)を、用紙後端抜けまでの時間T2として算出する。なお、本実施形態では「記録用紙の搬送速度」を予め指定された固定値とするが、可変値(例えば、距離L2に応じた可変値)であってもよい。
(用紙後端抜けまでの時間T2)≧(キャリッジ211の退避位置移動時間T1)である場合(S610:Yes)、記録用紙を排紙しながら、キャリッジ211を退避位置に移動させても、キャリッジ211の退避が完了する前に、記録用紙の後端が搬送ローラ41から抜けることはなく、記録用紙と記録ヘッド21c(特に、ノズル)とが接触することもない。よって、かかる場合、CPU10は、排紙しながら、選択された退避位置にキャリッジを移動させ(S611)、本処理を終了する。
一方、(用紙後端抜けまでの時間T2)<(キャリッジ211の退避位置移動時間T1)である場合(S610:No)、CPU10は、(時間T1−時間T2)を、待機時間T3として算出する(S612)。次に、CPU10は、選択された退避位置へのキャリッジ211の移動を開始し(S613)、キャリッジ211の移動開始から待機時間T3の経過後に、記録用紙の排紙を開始して(S614)、本処理を終了する。用紙後端抜けまでの時間T2が、キャリッジ211の退避位置移動時間T1より短い場合には、記録用紙の排紙開始を、キャリッジ211の移動開始から(時間T1−時間T2)だけ遅らせることにより、キャリッジ211の退避が完了する前に、記録用紙の後端が搬送ローラ41から抜けないようにできる。
図7は、上述した最終ページ印刷時の退避処理(S414)を示すフローチャートである。本処理において、まず、CPU10は、印刷終了時のキャリッジ位置は、用紙中央位置メモリ12bに格納される用紙中央位置より右側(リバース方向の側)かを判断する(S701)。S701において、「印刷終了時のキャリッジ位置」は、上述したS605と同様、印刷終了時のキャリッジ211の主走査方向における基準位置とされる。S701において、印刷終了時のキャリッジ位置が用紙中央位置より右側であるとCPU10が判断する場合(S701:Yes)、CPU10は、退避位置メモリ12aに格納されている右側の退避位置を退避位置として選択する(S702)。一方、印刷終了時のキャリッジ位置が用紙中央位置より左側であるとCPU10が判断する場合(S701:No)、CPU10は、退避位置メモリ12aに格納されている左側の退避位置を退避位置として選択する(S703)。従って、最終ページの記録用紙への印刷後は、S701〜S703の印刷終了時のキャリッジの位置に最も近い退避位置が退避位置として選択される。CPU10は、S702又はS703の処理後、上述した図6の次ページ印刷時の退避処理の場合と同様に、S603〜S616の処理を実行し、本処理を終了する。
図8は、上述した裏面印刷時の退避処理(S415)を示すフローチャートである。本処理では、退避位置メモリ12aに格納されている退避位置を使用せず、主走査方向における右側(リバース方向の側)に設けた裏面印刷用の退避位置(以下「専用退避位置」と称す)を使用する。本処理において、CPU10は、S606の処理に換えてS801の処理を行い、S611の処理に換えてS802の処理を行い、S613の処理に換えてS803の処理を行い、S615の処理に換えてS804の処理を行うこと以外、上述した図6の次ページ印刷時の退避処理の場合と同様に、S603〜S616の処理を実行する。そして、CPU10は、S802、S614、またはS616を実行した後、記録用紙を、反転搬送路37を搬送させることにより反転して給紙し(S805)、本処理を終了する。
具体的に、S801において、CPU10は、(S605において取得した印刷終了時のキャリッジ211の位置−右側の専用退避位置)の絶対値を、退避位置移動距離L1として算出する(S801)。本実施形態では、キャリッジ211がレバー214a(駆動伝達切換機構214)を第2位置P2に配置させたときの、当該キャリッジ211の基準位置(例えば、中央)を、「専用退避位置」とする。よって、S607において算出される時間T1は、裏面印刷時には、印刷終了時のキャリッジ211が、レバー214aを第2位置P2に配置させる位置に到達するまでに要する時間である。
S802において、CPU10は、排紙しながら、右側の専用退避位置(即ち、キャリッジ211がレバー214aを第2位置P2に配置させる位置)に、キャリッジを移動させる(S802)。また、S803において、CPU10は、右側の専用退避位置へのキャリッジ211の移動を開始する(S803)。また、S804において、CPU10は、右側の専用退避位置へキャリッジ211を移動(退避)させる(S804)。レバー214aが第2位置P2に配置されると、第2駆動モータ21bの駆動力は反送ローラ47に伝達され、それにより、記録用紙は、反送ローラ47の回転によって反転搬送路38を搬送される。記録用紙が反転搬送路37を通過することにより、記録済みの第1面の裏面である第2面が記録面となり、第2面への印刷が可能となる。
本実施形態のMFP1(プリンタ21)によれば、記録用紙における1の面に対する印刷が完了した場合に、記録済みの記録用紙が搬送ローラ41及び排紙ローラ43の双方に挟持されている場合には、当該記録済みの記録用紙を搬送しながら、キャリッジ211を所定の退避位置へ移動させる。記録用紙が搬送ローラ41及び排紙ローラ43の双方に挟持されている場合には、搬送ローラ41と排紙ローラ42との間において記録用紙が浮き上がる可能性は殆どない。そのため、記録用紙の搬送と、キャリッジ211の退避動作とを同時に行ったとしても、記録用紙と記録ヘッド21c(特に、ノズル)との接触を防止できる。よって、記録用紙を搬送させながら、キャリッジ211(記録ヘッド21c)を退避位置へ移動させるので、従来のように、キャリッジ211を退避位置へ移動させる間、記録用紙の搬送を停止する場合に比べ、印刷に係るスループットを向上できる。特に、(キャリッジ211の退避位置移動時間T1)と(用紙後端抜けまでの時間T2)との比較に基づいて、キャリッジ211の退避が完了する前に、記録用紙の後端が搬送ローラ41から抜けないよう、退避位置へのキャリッジの移動開始のタイミングと、記録済み記録用紙の排紙開始のタイミングとを制御するので、記録用紙と記録ヘッド21cとの接触を防止しつつ、印刷に係るスループットを向上できる。
また、記録すべき次ページの記録用紙がある場合には、次ページの印刷開始位置に最も近い退避位置が選択されるので、キャリッジ211を無駄に移動させることなく、次ページの記録用紙に対する印刷を開始することができる。一方、両面印刷において、第1面に対する印刷後におけるキャリッジ211の退避位置を、キャリッジ211がレバー214aを第2位置P2に配置させる位置とするので、キャリッジ211を無駄に移動させることなく、記録用紙を反転搬送路38において記録用紙を搬送させ、記録面を第2面に変更することができる。複数の記録用紙に対する連続印刷や、両面印刷において、キャリッジ211の無駄な移動を防ぐことにより、この点においても、印刷に係るスループットを向上できる。また、最終ページの記録用紙の印刷後は、印刷終了時のキャリッジ211の位置に最も近い退避位置が選択されるので、キャリッジ211の退避動作に要する時間を最小限に抑えることができ、この点においても、印刷に係るスループットを向上できる。
また、退避位置候補取得処理(S405)では、メディアセンサ21dにより検出された記録用紙の両端の位置に基づいて退避位置の候補を決定するので、退避位置を当該両端の位置に応じて可変的かつ適切に設定できる。よって、退避位置が、記録用紙の主走査方向における端から無駄に離れた位置となることを防止できる。また、給紙トレイ31が脱着される毎にS405の処理が実行されるので、給紙トレイ31に収容される記録用紙のサイズが変わっても、変更後のサイズに適した退避位置を取得できる。
また、印刷対象とする記録用紙の種類が、浮き上がり難い傾向にある記録用紙(例えば、光沢紙)である場合には、キャリッジ211の退避処理を行わないので、この点においても、印刷に係るスループットを向上できる。
上記各実施形態において、MFP1が、インクジェット記録装置の一例である。搬送ローラ41が、第1搬送部及び第1搬送ローラの一例である。記録ヘッド21cが、記録部及び記録ヘッドの一例である。排紙ローラ43が、第2搬送部及び第2搬送ローラの一例である。S604の処理を実行するCPU10が、判断部の一例である。S611,S614,S802の処理を実行するCPU10が、退避制御部の一例である。レジセンサ21eが、検出部の一例である。S603を実行するCPU10が、搬送量取得部の一例である。S605の処理を実行するCPU10が、記録部位置取得部の一例である。S610の処理を実行するCPU10が、第2判断部の一例である。反転搬送路38が、反転経路の一例である。駆動伝達切換機構214が、切換機構の一例である。S410の処理を実行するCPU10が、種類特定部の一例である。S416の処理を実行するCPU10が、排紙制御部の一例である。S503,S504の処理を実行するCPU10が、退避位置候補取得部の一例である。RAM12が、記憶部の一例である。S505の処理を実行するCPU10が、記憶制御部の一例である。CPU10が、制御部の一例である。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、インクジェット記録装置の一例として、印刷機能以外の機能も有するMFP1を説明したが、印刷機能に特化したインクジェットプリンタもインクジェット記録装置の一例となり得る。また、上記実施形態では、MFP1が、PC500から受信したパスデータに基づく印刷を行う場合に本発明を適用したが、プリンタ21が印刷する状況であれば本発明を適用可能である。例えば、スキャナ20によるスキャンデータをプリンタ21により印刷する場合(即ち、コピー機能を実行する)場合に本発明を適用してもよい。かかる場合、記録用紙のサイズや種類などは、フラッシュメモリ11に印刷設定として設定されている値を用いればよい。
上記実施形態では、搬送ローラ41及び排紙ローラ43の双方が記録用紙を挟持しているか否かの判断を、レジセンサ21eにより記録用紙の先端(記録用紙の搬送方向における下流端)が検出されてからの搬送量と、記録用紙の搬送方向長さとに基づいて行う構成とした。これに換えて、レジセンサ21eにより記録用紙の後端(記録用紙の搬送方向における上流端)からの搬送量に基づいて、搬送ローラ41及び排紙ローラ43の双方が記録用紙を挟持しているか否かの判断を行う構成としてもよい。具体的に、レジセンサ21eにより記録用紙の後端が検出されてからの搬送量が、レジセンサ21eによる検出位置から搬送ローラ41のニップ位置までの距離より短い場合、CPU10は、搬送ローラ41が記録用紙を挟持していると判断する。一方、前者の搬送量が後者の距離より長ければ、CPU10は、搬送ローラ41が記録用紙を挟持していないと判断する。また、レジセンサ21eにより記録用紙の後端が検出されてからの搬送量に、記録用紙の搬送方向長さを加えた距離が、レジセンサ21eによる検出位置から排紙ローラ43のニップ位置までの距離より長い場合、CPU10は、排紙ローラ43が記録用紙を挟持していると判断する。一方、前者の搬送量が後者の距離より短ければ、CPU10は、排紙ローラ43が記録用紙を挟持していないと判断する。
また、レジセンサ21eにより記録用紙の先端が検出されてからの搬送量に基づき、当該記録用紙の先端が排紙ローラ43に挟持されているか否かを判断し、レジセンサ21eにより記録用紙の後端が検出されてからの搬送量に基づき、当該記録用紙の後端が搬送ローラ41に挟持されているか否かを判断し、それらの判断に基づいて、搬送ローラ41及び排紙ローラ43の双方が記録用紙を挟持しているか否かを判断する構成としてもよい。かかる変形例では、記録用紙の搬送方向長さを用いることなく判断を行なうので、PC500から受信した記録用紙のサイズと、実際の記録用紙のサイズとが異なる場合であっても、搬送ローラ41及び排紙ローラ43の双方が記録用紙を挟持しているか否かを適切に判断できる。
上記実施形態では、CPU10は、記録用紙の先端が排紙ローラ43に挟持されているか否かの判断結果、及び、記録用紙の後端が搬送ローラ41に挟持されているか否かの判断結果に基づいて、搬送ローラ41及び排紙ローラ43の双方が記録用紙を挟持しているか否かを判断する構成とした。これに換えて、CPU10は、記録用紙の後端が搬送ローラ41に挟持されているか否かの判断結果に基づいて、搬送ローラ41及び排紙ローラ43の双方が記録用紙を挟持しているか否かを判断してもよい。具体的に、CPU10は、記録用紙の後端が搬送ローラ41に挟持されていると判断される場合に、搬送ローラ41及び排紙ローラ43の双方が記録用紙を挟持していると判断し、記録用紙の後端が搬送ローラ41に挟持されていないと判断される場合に、搬送ローラ41及び排紙ローラ43の双方が記録用紙を挟持していないと判断してもよい。例えば、搬送方向における記録ヘッド21cと排紙ローラ43との距離が短く、1の面に対する記録が完了した際に、必ず排紙ローラ43に記録用紙が挟持されるように構成される装置などにおいて、有効である。
上記実施形態では、退避位置の候補を、記録用紙の通過領域を挟んで左右に1つずつ設ける構成としたが、各側に1つ以上設ける構成としてもよい。各側に複数の退避位置の候補を設けた場合、最初に記録用紙の通過領域に最も近い退避位置を選択し、その後、例えば、キャリッジ211の退避中に、選択された退避位置が不適切であると判断された場合に、次に記録用紙の通過領域に近い退避位置に退避先を切り換えるようにしてもよい。また、右のいずれか一方に、1又は複数の退避位置の候補を設ける構成としてもよい。
上記実施形態では、退避位置候補取得処理(S405)において、記録用紙の両端の位置に基づいて退避位置の候補を取得する構成としたが、記録用紙のサイズに応じて予め退避位置の候補が設定されており、PC500から受信した記録用紙のサイズに応じた候補の中から退避位置を選択する構成としてもよい。ただし、記録用紙の両端の位置に基づいて退避位置の候補を取得する方が、実際の記録用紙のサイズに適した退避位置を設定できるので好ましい。
上記実施形態では、時間T1=時間T2の場合も、S611又はS802をCPU10に実行させる構成としたが、S611又はS802をCPU10に実行させる条件としては、少なくとも時間T1>時間T2であればよい。
上記実施形態では、「専用退避位置」を、キャリッジ211がレバー214aを第2位置P2に配置させたときの、当該キャリッジ211の基準位置としたが、レバー214aを第2位置P2に移動させる位置より、記録用紙の通過領域側の位置にあるキャリッジ211の基準位置を「専用退避位置」としてもよい。ただし、キャリッジ211がレバー214aを第2位置P2に配置させたときの、当該キャリッジ211の基準位置を「専用退避位置」とする方が、レバー214aを第2位置P2に配置させるキャリッジ211の位置と、キャリッジ211の退避位置とを兼ねることができるので好ましい。
上記実施形態では、次ページがある場合に、次ページ印刷時の退避処理(S413)を実行する構成としたが、かかる場合に、最終ページ印刷時の退避処理(S414)を実行させてもよい。また、上記実施形態では、両面印刷で次が裏面の印刷である場合に、裏面印刷時の退避処理(S415)を実行する構成としたが、かかる場合に、最終ページ印刷時の退避処理(S414)を実行させてもよい。
上記実施形態では、CPU10が、図4〜図8の各処理を実行する構成として説明したが、CPU10の代わりに、ASIC24が図4〜図8の各処理を実行する構成としてもよい。また、CPU10とASIC24とが協働して、図4〜図8の各処理を実行する構成としてもよい。