JP5998804B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、入力をスイッチングして電力変換を行う電力変換装置に関するものである。
近年、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といったワイドバンドギャップ半導体を用いたMOSFET等のパワー半導体素子が開発され、これを空調機などの圧縮機のモータを駆動するインバータ回路に採用する例がある(例えば特許文献1を参照)。ワイドバンドギャップ半導体を用いたインバータ回路では、Si(シリコン)を主材料とした半導体(Si半導体)を用いたインバータ回路でのスイッチング周波数(5kHz程度)を超えたスイッチング周波数(例えばSi半導体の使用限界(20kHz程度)を大幅に超えた周波数)での使用が可能になる。そして、スイッチング周波数をこのように高めることができれば、電磁騒音の低減やモータ効率の向上等の効果が期待される。
特開2011-036020号公報
しかしながら、従来のインバータ回路の制御に用いられる安価な1チップマイクロコンピュータでは、PWM変調(パルス幅変調)や他の制御を含んだ演算処理に100μs程度の時間を要し、キャリア周波数にして最大10kHz程度が限界となる。そのため、高周波でPWM変調してスイッチング素子を駆動するには、高価な部品が必要となる。また、高価な部品を用いてたとしてもスイッチングの高周波化には限界がある。
本発明は前記の問題に着目してなされたものであり、電力変換装置において、コストの増加を抑えつつ、スイッチングの高周波化を図ることを目的としている。
前記の課題を解決するため、第1の発明は、
複数のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフを切り替えて直流を交流に変換するインバータ回路(4)と、
所定の制御周期(T)で前記インバータ回路(4)の出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)を求め、前記制御周期(T)よりも短い周期(Tc)のキャリア信号(Ca)に同期して、前記出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)に応じたパルスを生成して前記オンオフを制御する制御部(5)と、
を備え
前記インバータ回路(4)は、三相交流を出力するように構成され、
前記制御部(5)は、前記三相交流のうちの最大相及び最小相を前記制御周期(T)よりも短い周期(Tc)のキャリア信号(Ca1,Ca2)に同期して、ゼロベクトル(v0,v7)を分割して前記オンオフを制御するとともに、中間相を前記制御周期(T)の低速キャリア信号(Ca0)に同期して前記オンオフを制御することを特徴とする。
この構成では、キャリア周期(Tc)よりも長い制御周期(T)で出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)が求められる。一方、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチングは、キャリア周期(Tc)で実施される
また、この構成では、3本のキャリア信号を用いて、所定の1相のスイッチングが高周波化される。
また、第の発明は、
1の電力変換装置において、
前記インバータ回路(4)の出力電流に応じた電圧パルスを出力するシャント抵抗(R)を備え、
前記制御部(5)は、前記シャント抵抗(R)における電圧パルスの幅を所定以上に確保した期間を設け、前記出力電流の値を検出することを特徴とする。
この構成では、電圧パルスの幅を所定以上に確保した期間で電流検出を行え、スイッチングの高周波化できる。
また、第の発明は、
第1又はの発明電力変換装置において、
前記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ワイドバンドギャップ半導体を主材料とした半導体素子であることを特徴とする。
第1の発明によれば、キャリア周期(Tc)よりも長い制御周期(T)で出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)を求めればよいので、制御部(5)に高価な部品(例えばマイクロコンピュータ)を用いなくても、キャリア周波数(fc)をより高く設定してスイッチングの高周波化を実現することが可能になる。すなわち、コストの増加を抑えつつ、スイッチングの高周波化を図ることが可能になる
た、第の発明によれば、3本のキャリア信号を用いて容易に高周波化でき、電磁騒音の低減や、モータ効率のアップを実現することが可能になる。
また、第の発明によれば、シャント抵抗(R)を用いた電流検出と、スイッチングの高周波化の両立が可能になる。
また、第の発明によれば、容易にスイッチングの高周波化と効率化を実現できる。
図1は、本発明の関連技術に係る電力変換装置の構成を示すブロック図である。 図2は、制御部の動作(相電圧指令値演算フロー)を説明するフローチャートである。 図3は、制御部の動作(PWM信号作成フロー)を説明するフローチャートである。 図4は、(A)は関連技術におけるキャリア信号、(B)から(D)は上アームの各スイッチング素子へのPWM信号、(E)は相電圧指令演算フローの演算処理時間を示す図である。 図5は、関連技術の変形例1における制御部の動作を説明するフローチャートである。 図6は、関連技術の変形例1における制御部の動作を説明するフローチャートである。 図7は、関連技術の変形例2におけるPWM信号作成のフローチャートである。 図8は、従来の電力変換装置のキャリア信号、及び各相のスイッチング状態に対応する出力電圧ベクトルを示す図である。 図9は、(A)は実施形態におけるキャリア信号、(B)から(D)は上アームの各スイッチング素子へのPWM信号、(E)は相電圧指令値演算フローの演算処理時間を示す図である。 図10は、相電圧指令値の補正を説明するタイミングチャートである。 図11は、2つの高速キャリア信号の切換えを説明するタイミングチャートである。 図12は、(A)は実施形態におけるキャリア信号、(B)から(D)は上アームの各スイッチング素子へのPWM信号、(E)はシャント抵抗における電流波形である。 図13は、シャント抵抗を相毎に設けた電力変換装置である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の関連技術
〈全体構成〉
図1は、本発明の関連技術に係る電力変換装置(1)の構成を示すブロック図である。同図に示すように電力変換装置(1)は、コンバータ回路(2)、直流リンク部(3)、インバータ回路(4)、及び制御部(5)を備え、単相交流電源(6)から供給された交流を所定の周波数の交流に変換して、モータ(7)に供給するようになっている。なお、本関連技術のモータ(7)には、いわゆるIPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)を採用している。IPMモータは、例えば空気調和機の冷媒回路(図示は省略)に設けられた電動圧縮機に組み込まれ、圧縮機構(例えばスクロール式圧縮機など)を駆動する。
〈コンバータ回路(2)〉
コンバータ回路(2)は、単相交流電源(6)にリアクトル(L)を介して接続され、単相交流電源(6)の出力を全波整流する。この例では、コンバータ回路(2)は、4つのダイオード(D1〜D4)がブリッジ状に結線されたダイオードブリッジ回路である。
〈直流リンク部(3)〉
直流リンク部(3)は、コンデンサ(3a)を備えている。コンデンサ(3a)は、コンバータ回路(2)の出力ノード間に接続されている。また、コンデンサ(3a)は、インバータ回路(4)の入力ノード間に接続され、該コンデンサ(3a)の両端に生じた直流電圧(直流リンク電圧(Edc))が、インバータ回路(4)に入力されている。コンデンサ(3a)は、例えば電解コンデンサやフィルムコンデンサによって構成する。
〈インバータ回路(4)〉
インバータ回路(4)は、直流リンク部(3)の出力をスイッチングして三相交流に変換し、モータ(7)に供給する。インバータ回路(4)は、複数のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)がブリッジ結線されて構成されている。この例では、それぞれのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、SiC(炭化ケイ素)を主材料としたスイッチング素子である。
インバータ回路(4)は、三相交流をモータ(7)に出力するので、6個のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を備えている。詳しくは、インバータ回路(4)は、2つのスイッチング素子を互いに直列接続した3つのスイッチングレグを備えている。各スイッチングレグにおいて上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)と下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)との中点は、それぞれモータ(7)の各相のコイル(図示は省略)に接続されている。また、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)には、還流ダイオード(D)が逆並列に接続されている。
インバータ回路(4)は、これらのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフ動作によって、直流リンク部(3)から入力された直流をスイッチングして三相交流電圧に変換する。このオンオフ動作の制御は、制御部(5)が行う。
インバータ回路(4)の負荷(モータ(7))からの電流が流れ込む位置には、シャント抵抗(R)が設けられている。この例では、シャント抵抗(R)は、直流リンク部(3)の負側のノードとインバータ回路(4)の負側ノードとの間に設けられている。このシャント抵抗(R)にモータ(7)からの電流が流れると、シャント抵抗(R)の両端には電圧差が生じ、この両端間の電圧(電圧パルス)を検出し、それらの値とベクトルパターンで、インバータ回路(4)の出力電流(相電流(Iu,Iv,Iw))を算出することができる(参考文献:WO2003/030348)。
〈制御部(5)〉
制御部(5)は、キャリア信号(Ca)に同期して、PWM制御方式により前記スイッチングを制御している。制御部(5)は、具体的には、直流電圧検出部(51)、相電流検出部(52)、座標変換部(53)、位置センサレス制御部(54)、速度制御部(55)、電圧指令演算部(56)、相電圧指令演算部(57)、キャリア発生器(58)、及びPWM信号発生部(59)を備えている。この制御部(5)の主要部分は、マイクロコンピュータとそれを動作させるプログラムで実現されている。
直流電圧検出部(51)は、直流リンク部(3)の電圧(コンデンサ(3a)の両端の電圧(Edc)を検出する。
相電流検出部(52)は、負荷電流(モータ(7)のコイルに流れる電流)の検出処理を行う。具体的に相電流検出部(52)は、シャント抵抗(R)の両端間の電圧を検出することで2相分の相電流を検出し、それらの値とベクトルパターンから3相分の相電流(Iu,Iv,Iw)(以下では駆動電流とも呼ぶ)を算出する。
座標変換部(53)は、相電流検出部(52)で算出した3相分の駆動電流(Iu,Iv,Iw)をd−q座標系の励磁電流成分(idc)と、トルク電流成分(iqc)とに変換する座標変換処理を行う。
位置センサレス制御部(54)は、d−q座標系におけるモータ(7)の電圧方程式を座標変換して、モータ(7)の現在の回転速度ω(推定速度)と、ベクトル制御に必要なd軸位相(θdc)を求める。すなわち、位置センサレス制御部(54)は、センサレスでモータ(7)の回転子の位置を検出する。
速度制御部(55)は、速度制御に必要なパラメータを求める速度制御処理を行う。具体的には速度制御部(55)は、現在の回転速度(ω)が速度指令値(ω*)に一致するように、トルク電流指令値(iq*)を生成する。
電圧指令演算部(56)は、モータ(7)に印加すべき電圧を求める電圧指令演算処理を行う。具体的に電圧指令演算部(56)は、外部からの出力電流指令値(id*)と、速度制御部(55)が生成したトルク電流指令値(iq*)と、座標変換部(53)が生成したd−q座標電流成分(idc,iqc)とに基づき、d−q座標における出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)を求め、相電圧指令演算部(57)に与える。出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)は、本発明の出力電圧指令値の一例である。
相電圧指令演算部(57)は、インバータ回路(4)が出力すべき相電圧(相電圧指令値と呼ぶ)を求める相電圧指令演算処理を行う。具体的に相電圧指令演算部(57)は、直流リンク電圧(Edc)、d軸位相(θdc)、及び出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)に基づき相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)を求め、PWM信号発生部(59)に出力する。
キャリア発生器(58)は、所定周期のキャリア信号(Ca)を生成する。キャリア信号(Ca)は三角波である。この例ではキャリア信号(Ca)の周期(キャリア周期(Tc))は、20μsである(すなわちキャリア周波数(fc)は50kHz)。キャリア周期(Tc)は、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)とモータのトータル効率や、電磁騒音などを考慮して定めてある。
PWM信号発生部(59)は、キャリア信号(Ca)に同期した割込み(以下、キャリア割込みという)を受けると、相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)と、キャリア信号(Ca)(三角波)とを比較することによって、インバータ回路(4)の各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフを制御するオンオフ信号(Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz)(以下、PWM信号とも呼ぶ)を生成する。
〈電力変換装置(1)の動作〉
図2、及び図3は、制御部(5)の動作を説明するフローチャートである。図3に示したフロー(以下、PWM信号作成フロー)は、キャリア周期(Tc)で実行され、図2に示したフロー(以下、相電圧指令演算フロー)は、キャリア周期(Tc)よりも長い周期(以下、制御周期(T))で実行される。
制御部(5)では、制御周期(T)のクロック信号による割り込み(ベクトル制御割込みと呼ぶ)をトリガとして、主に前記マイクロコンピュータが相電圧指令演算フローを実行する。一方、PWM信号作成フローは、前記キャリア割込みをトリガとして、前記マイクロコンピュータが主に実行する。なお、詳細は後述するが、制御周期(T)は、前記マイクロコンピュータによる処理時間を考慮して200μsとしている。
−相電圧指令演算フロー−
相電圧指令演算フローでは、制御部(5)によってステップS01からステップS06の処理が行われ、相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)が求められる。
まず、ステップS01では、相電流検出部(52)が駆動電流(Iu,Iv,Iw)を検出し、これを座標変換部(53)が読み込む。
ステップS02では、座標変換部(53)が前記座標変換処理を行って、励磁電流成分(idc)と、トルク電流成分(iqc)とを求める。ステップS02における処理は、マイクロコンピュータにとっては比較的負荷の大きな処理である。
ステップS03では、電圧指令演算部(56)が出力電流指令値(id*)及びトルク電流指令値(iq*)を読み込む。トルク電流指令値(iq*)は、速度制御部(55)が、前記速度制御処理を行って生成したものである。この速度制御処理は、一般的なマイクロコンピュータにとっては比較的負荷の大きな処理である。
ステップS04では、電圧指令演算部(56)が前記電圧指令演算処理を行う。具体的に電圧指令演算部(56)は、外部からの出力電流指令値(id*)と、ステップS03で読み込んだトルク電流指令値(iq*)と、座標変換部(53)が生成したd−q座標電流成分(idc,iqc)とに基づき、出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)を求める。電圧指令演算部(56)は、出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)を相電圧指令演算部(57)に出力する。
ステップS05では、直流電圧検出部(51)が検出した直流リンク電圧(Edc)、位置センサレス制御部(54)が求めたd軸位相(θdc)を相電圧指令演算部(57)が読み込む。
そして、ステップS06では、相電圧指令演算部(57)が、直流リンク電圧(Edc)、d軸位相(θdc)、及び出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)に基づき相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)を求め、PWM信号発生部(59)に出力する。以上のように、本関連技術では、制御周期(T)には、制御部(5)において、位置制御処理、負荷電流の検出処理、座標変換処理、速度制御処理、電圧指令演算処理、相電圧指令演算処理が実行されるのである。
−PWM信号作成フロー−
PWM信号作成フローでは、制御部(5)によってステップS11からステップS13の処理が行われ、PWM信号(Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz)が生成される。PWM信号作成フローの処理は、PWM信号発生部(59)が実行する。
ステップS11では、PWM信号発生部(59)が相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)を読み込む。そして、ステップS12では、PWM信号発生部(59)は、相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)と、キャリア信号(Ca)とを比較して、PWM信号(Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz)のパルス幅(tu,tv,tw,tx,ty,tz)を演算する。
図4は、(A)は関連技術におけるキャリア信号(Ca)、(B)から(D)は上アームの各スイッチング素子(Su,Sv,Sw)へのPWM信号(Gu,Gv,Gw)、(E)は相電圧指令演算フローの演算処理時間を示す図である。なお、図4の(A)では、キャリア信号(Ca)とともに、各相の相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)も表示してある。また、図4の(E)は、演算処理時間を模式的に示したものであり、同図の信号幅は実際の処理時間に対応したものではない。
ステップS12の処理を例えばU相のスイッチング素子(Su)についてみると、PWM信号発生部(59)は、相電圧指令値(Vu*)大きさとキャリア信号(Ca)の大きさを比較する。そして、PWM信号発生部(59)は、相電圧指令値(Vu*)がキャリア信号(Ca)よりもレベルが高い期間にスイッチング素子(Su)がオンになり、相電圧指令値(Vu*)がキャリア信号(Ca)よりもレベルが低い期間にスイッチング素子(Su)がオフとなるように、そのキャリア周期(Tc)におけるパルス幅(tu)を演算する。同様に、PWM信号発生部(59)は、V相、W相についてもパルス幅(tv,tw)を演算する。なお、上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)がオンの期間は、下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)はオフに制御されるので、上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)に対するパルス幅(tu,tv,tw)が定まれば、下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)に対するパルス幅(tx,ty,tz)も決定できる。このようにして定めたパルス幅(tu,tv,tw,tx,ty,tz)は、1つの制御周期(T)内では等幅のパルス列になる(図4を参照)。
そして、ステップS13では、PWM信号発生部(59)は、求めたパルス幅(tu,tv,tw,tx,ty,tz)に応じたPWM信号(Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz)をインバータ回路(4)に出力する。本関連技術では、キャリア周期(Tc)毎にパルス幅(tu,tv,tw,tx,ty,tz)を演算しているので、出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)の値が電圧指令演算部(56)によって更新されると、それを直ちに反映できる。
以上のように、制御部(5)では、所定の制御周期(T)でインバータ回路(4)の出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)を求め、制御周期(T)よりも短い周期(Tc)のキャリア信号(Ca)に同期して、出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)に応じたパルス(PWM信号(Gu,Gv,Gw)等)を生成し、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフを制御するのである。これにより、インバータ回路(4)では各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチング状態が制御され、インバータ回路(4)からは所定の電圧及び周波数の交流が出力される。
−制御周期(T)の設定−
関連技術では、PWM信号作成フローをキャリア周期(Tc)で行いつつ、出力電圧ベクトル演算フローの処理が確実に行えるように、制御周期(T)を定めてある。
前記マイクロコンピュータによる出力電圧ベクトル演算フロー(ステップS01〜S06)、及びPWM信号作成フロー(ステップS11〜S13)の実行時間がそれぞれt1、t2(ただしt2<Tc)であるとすると、1キャリア周期中に、出力電圧ベクトル演算フローのために、前記マイクロコンピュータを割り当てることができる時間は、Tc−t2である。そのため、出力電圧ベクトル演算フローを完了するために必要なキャリア周期数は、t1/(Tc-t2)となる。例えば、t1=90μs、t2=10μs(すなわち総演算時間100μs)、Tc=20μsとすると、90/(20-10)=9キャリア周期以上を、制御周期(T)として確保する必要がある。そこで、制御周期(T)としては、マージンを設けて例えば10キャリア周期を確保して、200μsとすることが考えられる。勿論、制御周期(T)の値は例示であり、さらにマージンを設けるなど、適宜変更すればよい。なお、T=200μs,Tc=20μsとすると、1制御周期中に10のキャリア周期(Tc)が含まれることになるが、図4ではこの計算とは異なる例(6周期分のキャリア信号(Ca)が制御周期中に含まれる例)を図示している。勿論、電力変換装置(1)の仕様によっては、図4に示したように、制御周期(T)がキャリア周期(Tc)の6倍となる場合もありえる。
〈本関連技術における効果〉
図4の(A)には、参考のために従来の電力変換装置のキャリア信号を併記してある。従来の電力変換装置では、1キャリア周期中に、前記出力電圧ベクトル演算フロー及び前記PWM信号作成フローの両処理に相当する処理が行われる。そのため、従来の電力変換装置では、制御周期とキャリア周期は一致し、例えば、出力電圧ベクトル演算フロー及びPWM信号作成フローの両フローの総実行時間に100μsかかるマイクロコンピュータを用いたとすれば、従来の電力変換装置では、本関連技術のようにキャリア周波数(fc)を高めることは難しい。
これに対し、本関連技術の電力変換装置(1)では、キャリア周期(Tc)よりも長い制御周期(T)で出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)を求めればよい。具体的には、制御部(5)における処理を、キャリア周期(Tc)毎に行う処理(PWM信号作成フロー)と、複数のキャリア周期(Tc)に跨ってキャリア周期(Tc)よりも長い制御周期(T)で行う処理(出力電圧ベクトル演算フロー)とに分けてインバータ回路(4)を制御している。これにより、本関連技術では、制御部(5)に高価なマイクロコンピュータを用いなくても、キャリア周波数(fc)を従来の電力変換装置のキャリア周波数よりも高く設定してスイッチングの高周波化を実現することが可能になる。すなわち、本関連技術では、コストの増加を抑えつつ、スイッチングの高周波化を図ることが可能になる。
そして、スイッチングの高周波化により、インバータ回路(4)の出力の精密な波形制御が可能になり、電磁騒音の低減やモータ効率のアップが可能になる。
なお、本関連技術では、一旦、出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)が定まると、制御周期(T)中はこの値が更新されない。そのため、一度だけパルス幅(tu,tv,tw,tx,ty,tz)を演算しておいて、一定期間(制御周期(T)と同じ時間)は、一度だけ計算しておいたパルス幅(tu,tv,tw,tx,ty,tz)を用いて、PWM信号(Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz)をキャリア周期(Tc)毎に出力するように制御部(5)を構成してもよい。
関連技術の変形例1》
制御部(5)が行う、1キャリア周期(Tc)内で完了する処理と、複数のキャリア周期(Tc)を跨って行う処理との区分けは、関連技術の例には限定されない。図5、及び図6は、関連技術の変形例1における制御部(5)の動作を説明するフローチャートである。詳しくは、図5は、複数のキャリア周期(Tc)に跨って行う処理の他の例を示すフローチャートである。また、図6は、1キャリア周期(Tc)内で完了する処理の他の例を示すフローチャートである。これらの処理も制御部(5)が行う。
図5に示した処理(以下、出力電圧指令演算フローと呼ぶ)は、図2に示した相電圧指令演算フローにおけるステップS01からステップS04までの処理を抜き出したものである。そして、図6に示したフロー(以下、PWM信号作成フローと呼ぶ)では、ステップS21で相電圧指令演算部(57)が出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)を電圧指令演算部(56)から読み込んだ後に、制御部(5)は、既述のステップS05〜S06(図2参照)、既述のステップS12〜S13(図3参照)を実行する。すなわち、本変形例は、関連技術で説明したステップS05〜S06の処理を、キャリア周期(Tc)内で行うようにしたものである。
この場合も、関連技術と同様に、出力電圧指令演算フローの完了に必要な時間を予め見積もって制御周期(T)を決定すればよい。なお、ステップS05〜S06の処理をキャリア周期(Tc)内で行うようにしたことで、複数のキャリア周期(Tc)を跨って行う処理(本関連技術では出力電圧指令演算フロー)自体の実行時間は短くなる。また、1キャリア周期内で、出力電圧指令演算フローに割り当てできる時間は関連技術の例よりも短くなる。
関連技術の変形例2》
制御周期(T)内のパルス列は前記のように等幅である必要はない。図7は、関連技術の変形例2におけるPWM信号作成のフローチャートである。本変形例のPWM信号作成フローは、関連技術のPWM信号作成フローにおけるステップS12とステップS13の間に、ステップS31及びステップS32を追加したものである。これらの処理も制御部(5)が行う。
ステップS31では、PWM信号発生部(59)が、d軸位相(θdc)を読み込む。d軸位相(θdc)は、位置センサレス制御部(54)が求めたものである。ステップS32では、PWM信号発生部(59)が、d軸位相(θdc)に基づいて、インバータ回路(4)の出力電流(相電流(Iu,Iv,Iw))が正弦波となるように、ステップS12で算出されたパルス幅(tu,tv,tw,tx,ty,tz)を補正した補正パルス幅(tu(n),tv(n),tw(n),tx(n),ty(n),tz(n))を求める。この補正は、キャリア周期(Tc)で実施されるので、制御周期(T)内のパルスの列は互いに不等幅となる。
PWM信号発生部(59)は、補正パルス幅(tu(n),tv(n),tw(n),tx(n),ty(n),tz(n))に応じたPWM信号(Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz)をインバータ回路(4)に出力する。これにより、インバータ回路(4)では各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチング状態が制御され、インバータ回路(4)からは所定の電圧及び周波数の交流が出力される。本関連技術では、前記補正により、相電流(Iu,Iv,Iw)を正弦波に近付けたので、電磁騒音の低減や、モータ効率のアップをより効果的に実現できる。
《発明の実施形態
本発明の実施形態の電力変換装置(1)は、高周波のスイッチングを行う相を順次切替えて電力変換を行う。所定の1相(後述の最大相または最小相)をより高速にスイッチングする。
参考のため、図8に従来の電力変換装置のキャリア信号、及び各相のスイッチング状態に対応する出力電圧ベクトルを示す。各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチング状態は、v0(000)、v1(001)、v2(010)、v3(011)、v4(100)、v5(101)、v6(110)、及びv7(111)の8つの出力電圧ベクトルで表せる。v0及びv7はゼロベクトルである。例えばv1(001)は、上アームではW相のみのスイッチング素子(Su)がオンであることを示している。同様に、v2はV相の上アームのスイッチング素子(Sv)がオンであることを示し、v3は、W相とV相の上アームのスイッチング素子(Su,Sv)がオンであることを示している。また、v0(000)は、上アームの全てのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)がオフであることを示し、v7(111)は、上アームの全てのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)がオンであることを示している。図8の例では、v7→v6→v4→v0→v4→v6→v7のパターンでスイッチングが行われている。なお、従来の電力変換装置のキャリア信号の周期は200μsとする(すなわちキャリア周波数=5kHz)。
従来の変調方式では、出力電圧が最大値の相(最大相)、出力電圧が最小値の相(最小相)のそれぞれに対する指令値とキャリア信号の比較結果に応じてゼロベクトルが出現し、キャリア信号が最大相を超える領域はv0、最小相よりも小さい領域はv7が出現する(図8参照)。出力電圧ベクトル制御では、最大相をキャリア信号の最大値となるようにすればv7のみ出現し、最小相をキャリア信号の最小値となるようにすればv0のみ出現する。
ゼロベクトルを高周波のスイッチングで実現することを考えた場合は、v0、v7の使い方によってはメイン・サブベクトル以外(空間ベクトル制御におけるベクトル指令に対して隣り合う2つのベクトル)のベクトルが出現することがある。メイン・サブベクトル以外のベクトルが出現すると、電流波形が歪み、モータ損失が増加する可能性がある。そこで、本実施形態では、インバータ回路(4)が出力する3相のうちの2相は高速キャリア信号で変調してゼロベクトルのスイッチングを行うとともに、残る1相はそれより低速のキャリア信号で変調することで、メイン・サブベクトル以外のベクトルが出現することを防ぐようにしている。
具体的には、中間相(後述)がオンからオフにスイッチングする前の所定期間は出力電圧ベクトルとしてv7を使用し、スイッチングした後の所定期間は出力電圧ベクトルとしてv0を使用する。それを実現するために、本実施形態では、最大相に対する指令値と、最小相に対する出力電圧ベクトルを補正する。この制御は、制御部(5)によって実現する。以下、制御部(5)の具体的な構成例を説明する。
〈本実施形態における制御部等の構成〉
本実施形態では、キャリア発生器(58)は、制御周期(T)と同じ周期のキャリア信号(以下、低速キャリア信号(Ca0)と呼ぶ)と、制御周期(T)よりも周期が短い2つのキャリア信号(以下、高速キャリア信号(Ca1,Ca2)と呼ぶ)を生成する。そして、制御部(5)は、最大相に対する相電圧指令値は、高速キャリア信号(Ca1,Ca2)の最大値となるように補正し、最小相に対する出力電圧ベクトルは、高速キャリア信号(Ca1,Ca2)の最小値となるように補正する。なお、2つの高速キャリア信号(Ca1,Ca2)の何れを用いるかは後述する。
図9は、(A)は実施形態におけるキャリア信号(Ca0,Ca1,Ca2)、(B)から(D)は上アームの各スイッチング素子(Su,Sv,Sw)へのPWM信号(Gu,Gv,Gw)、(E)は相電圧指令演算フローの演算処理時間を示す図である。低速キャリア信号(Ca0)は、図9に示すように、三角波である(振幅は1とする)。本実施形態では、低速キャリア信号(Ca0)の周期、すなわち制御周期(T)は例えば、前記従来の電力変換装置のキャリア周期と同じ200μsとしている。一方、高速キャリア信号(Ca1,Ca2)は、何れも図9に示すように、低速キャリア信号(Ca0)の6倍の周波数を有し、三角波である(振幅は1とする)。また、一方の高速キャリア信号(Ca1)ともう一方の高速キャリア信号(Ca2)とは、位相が180度ずれている。
そして、制御部(5)は、最大相については、一方の高速キャリア信号(Ca1,Ca2)との比較によってPWM信号(Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz)を求め、最小相については、もう一方の高速キャリア信号(Ca1,Ca2)との比較によってPWM信号(Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz)を求める。
これにより、図9に示す期間(A)においては、高速キャリア信号(Ca1,Ca2)との比較することにより、従来の低速キャリア信号(Ca0)に同期したスイッチングが行われた場合のゼロベクトルv7を複数個に分割した、v6→v7→v6→v7→v6→v7→v6のパターンでスイッチングを行うことができる(図8の例では、v6→v7→v6のパターンでスイッチングが行われている)。
また、図9に示す期間(B)においては、高速キャリア信号(Ca1,Ca2)との比較することにより、従来の低速キャリア信号(Ca0)に同期したスイッチングが行われた場合のゼロベクトルv0を複数個に分割した、v4→v0→v4→v0→v4→v0→v4のパターンでスイッチングを行うことができる(図8の例では、v4→v0→v4のパターンでスイッチングが行われている)。
また、最大相、最小相以外の相(中間相)については低速キャリア信号(Ca0)との比較によってPWM信号(Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz)を求める。つまり、本実施形態では、インバータ回路(4)の出力には、低速キャリア信号(Ca0)に同期したスイッチングが行われる相と、高速キャリア信号(Ca1,Ca2)に同期したスイッチング(高速スイッチング)が行われる相がある。
図10は、出力電圧ベクトルの補正を説明するタイミングチャートである。図10では、3つのキャリア信号(Ca0,Ca1,Ca2)とともに、各相の相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)を表示してある。相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)の補正タイミングは、次のように定める。
最大相を高速キャリア信号(Ca1,Ca2)の最大値とする期間をT1、最小相を高速キャリア信号(Ca1,Ca2)の最小値とする期間をT2、低速キャリア信号(Ca0)の1/2周期をT3、変調率(図10参照)をδとすると、補正量(Δ)は次の式で表せる。
Δ=T1(1−δ)/T3
そして、中間相の電圧(V')は、相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)から定まる値からずれた値(Δ')であるV'=V+Δ'となる。また、T1=V'Tとなる。
したがって、Δ=V'T3(1-δ)/T3=V'(1-δ)である。そして、3相とも同じだけずらす必要があるので、Δ'=Δ=V'(1-δ)である。
よって、
V'=V+Δ'=V+V'(1-δ)
V-V'δ=0
∴ V'=V/δ
したがって、中間相の電圧をV/δとし、最大相及び最小相をずらすタイミングを中間相のスイッチングタイミングと同時にする。
図10に示すように、低速キャリア信号(Ca0)の1周期のうちの、中間相(図10の例ではV相)がオンからオフにスイッチングする前の期間(例えば図9の期間(A))は、最大相(図10の例ではU相)に対する相電圧指令値(Vu*)をΔ(前述)だけ大きくし、中間相がオフの期間(図9では期間(B))は、最大相に対する相電圧指令値(Vu*)をΔ(前述)だけ小さくする。同様に、最小相(図10の例ではW相)でも、低速キャリア信号(Ca0)の1周期のうちの、中間相がオンからオフにスイッチングする前の期間は、相電圧指令値(Vw*)をΔだけ大きくし、中間相がオフの期間は、相電圧指令値(Vw*)をΔだけ小さくする。
また、本実施形態では、高速キャリア信号(Ca1,Ca2)を互いに位相が180度異なる三角波(あるいはそれに相当するものでもよい)とした上で、最大相用の高速キャリア信号と、最小相用の高速キャリア信号とを、中間相のスイッチングタイミングで切替えるようにしている。図10に示すように、キャリア信号(Ca0,Ca1,Ca2)を三角波とした場合には、v0は三角波の最大値前後、v7は三角波の最小値前後に出力される。そのため、ゼロベクトルを均等に出力するためには、少なくとも2つの三角波(位相が180度異なるもの)、あるいはそれに相当するものを用いるとよい。
そして、本実施形態では、中間相のスイッチングタイミング(t1,t2)における相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)の補正時に、ゼロベクトルが正しく出力されるように、最大相用の高速キャリア信号、及び最小相用の高速キャリア信号を180度位相の異なるものに切り替える。図11は、2つの高速キャリア信号(Ca1,Ca2)の切換えを説明するタイミングチャートである。なお、図11では低速キャリア信号(Ca0)の図示を省略してある。
図11に於いては、太線で示した高速キャリア信号が選択された信号である。例えばスイッチングタイミング(t1)よりも前には高速キャリア信号(Ca1)が選択され、スイッチングタイミング(t1)からスイッチングタイミング(t2)の間は、高速キャリア信号(Ca2)が選択されている。これにより、電力変換装置(1)では、メイン・サブベクトル以外のベクトルは出力されることなく、ゼロベクトルを均等に出力することができる。なお、中間相の出力電圧指令V'をスイッチングタイミング(t1,t2)の後で高速キャリア信号の最大値、最小値に切り替えても、そのキャリア信号での平均値はV'と一致させることができる。
〈本実施形態における効果〉
本実施形態の電力変換装置(1)では、制御部(5)における処理を、高速キャリア信号(Ca1)毎に行う処理と、高速キャリア信号(Ca1,Ca2)よりも長い制御周期(T)で行う処理(出力電圧ベクトル演算フロー)とに分けて、何れかの1相で高速スイッチングを行っている。そして、3本のキャリア信号を用いて、高周波化するので制御は容易である。
以上のように、本実施形態でも、制御部(5)に高価なマイクロコンピュータを用いなくても、キャリア周波数(fc)を従来の電力変換装置のキャリア周波数よりも高く設定してスイッチングの高周波化を実現することが可能になる。したがって、本実施形態でも関連技術と同様の効果を得ることができる。また、メイン・サブベクトル以外のベクトルが出現しないようにできるので、電流波形が歪みの抑制や、モータ損失の低減が可能になる。
《発明の実施形態
関連技術や実施形態などように、スイッチング周波数がより高くなると、シャント抵抗(R)における電圧パルスの幅も狭くなり、インバータ回路(4)の電流検出が難しくなる。確実に電流検出を行うために交流電流出力部に高価な電流検出用トランス(DC-CT)を複数個採用すると、電力変換装置のコスト増加につながる。
そこで、本実施形態では、実施形態の電力変換装置(1)の制御部(5)を変更して、制御周期(T)内に一度程度、一定以上のパルス幅(tu,tv,tw,tx,ty,tz)を確保する電流検出期間を設けるようにした。図12は、(A)は実施形態におけるキャリア信号(Ca)、(B)から(D)は上アームの各スイッチング素子(Su,Sv,Sw)へのPWM信号(Gu,Gv,Gw)、(E)はシャント抵抗(R)における電流波形である。
図12に示した例では、制御周期(T)において一度だけ、キャリア発生器(58)によって高速キャリア信号(Ca1,Ca2)のキャリア周期(Tc)を伸ばしている。キャリア周期(Tc)が延ばされた期間では、図12に示すように、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン時間が長くなり、電流検出期間を確保することが可能になる。したがって、本実施形態ではシャント抵抗(R)を用いた電流検出と、スイッチングの高周波化の両立が可能になる。
なお、シャント抵抗(R)は、図13に示すように、相毎に設けてもよい。この例では、それぞれのシャント抵抗(R)に対応して検出部(60)を設け、検出部(60)でそれぞれの相電圧(Vu,Vv,Vw)を検出して制御部(5)に出力している。制御部(5)では、それぞれの検出部(60)の出力を座標変換部(53)が使用する。この構成でも、所定のタイミングでキャリア周期(Tc)を伸ばすことで、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオン時間が長くなり、電流検出期間を確保することが可能になる。
また、複数の電流検出期間を制御周期(T)内に設けてもよい。
《その他の実施形態》
〈1〉位置制御処理や速度制御処理は、必ずしもベクトル制御割込みに同期して実行する必要はない。例えば、制御周期(T)よりもさらに長い周期で実行するようにしてもよい。
〈2〉また、スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)として採用したSiCは、例示であり、その他にも例えばGaN(窒化ガリウム)を主材料としてスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)などを採用してもよい。
本発明は、入力をスイッチングして電力変換を行う電力変換装置として有用である。
1 電力変換装置
4 インバータ回路
5 制御部

Claims (3)

  1. 複数のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフを切り替えて直流を交流に変換するインバータ回路(4)と、
    所定の制御周期(T)で前記インバータ回路(4)の出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)を求め、前記制御周期(T)よりも短い周期(Tc)のキャリア信号(Ca)に同期して、前記出力電圧指令値(Vdc*,Vqc*)に応じたパルスを生成して前記オンオフを制御する制御部(5)と、
    を備え
    前記インバータ回路(4)は、三相交流を出力するように構成され、
    前記制御部(5)は、前記三相交流のうちの最大相及び最小相を前記制御周期(T)よりも短い周期(Tc)のキャリア信号(Ca1,Ca2)に同期して、ゼロベクトル(v0,v7)を分割して前記オンオフを制御するとともに、中間相を前記制御周期(T)の低速キャリア信号(Ca0)に同期して前記オンオフを制御することを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1の電力変換装置において、
    前記インバータ回路(4)の出力電流に応じた電圧パルスを出力するシャント抵抗(R)を備え、
    前記制御部(5)は、前記シャント抵抗(R)における電圧パルスの幅を所定以上に確保した期間を設け、前記出力電流の値を検出することを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項1又は請求項の電力変換装置において、
    前記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ワイドバンドギャップ半導体を主材料とした半導体素子であることを特徴とする電力変換装置。
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